JP4650066B2 - 転写用基板、可撓性配線基板の製造方法および電子機器の製造方法 - Google Patents

転写用基板、可撓性配線基板の製造方法および電子機器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、転写用基板、可撓性配線基板の製造方法および電子機器の製造方法に関するものである。
従来のFPC(Flexible Printed Circuit)に代表される可撓性配線基板の製造には、一般に、次のような方法が採用されている。
すなわち、ポリイミド基板上にメッキ法等により銅薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法とエッチング法を用いて、不要部分を除去することにより配線パターンを得て製造する。
さらに、両面配線基板や多層配線基板では、ポリイミド基板や層間絶縁膜を介して、第2の配線パターンを形成する。そして、コンタクトホールを形成した後、このコンタクトホール内に金属を充填することにより、異なる層の配線パターンの導通をとる。
しかしながら、このような方法では、熱処理、特に、フォトリソグラフィー法の加熱処理によりポリイミド基板の熱収縮が生じ、大面積かつ高精細なものを製造することが困難である。両面配線基板や多層配線基板を製造する場合には、かかる問題がさらに顕著となる。
かかる問題点を解決するためには、例えば、特許文献1等に記載の方法を適用して、予め形成された配線パターンをポリイミド基板上に転写することが考えられる。
この特許文献1に記載の方法では、まず、透光性の基板上に、シリコンまたはアモルファスシリコンで構成される剥離層(分離層)を形成し、さらに、この剥離層上に被転写層(配線パターン)を形成する。
そして、被転写層の基板と反対側に接着層を介して転写体(ポリイミド基板)を接合すし、この状態で、基板の裏面側から剥離層に光を照射し、アブレーションにより剥離層の層内剥離や界面剥離を生ぜしめ、被転写層を基板から離脱させて転写体へ転写する。
ところが、この方法では、剥離層の層内剥離や界面剥離を利用するが、これには、いずれも無機物同士の分離が強いられる。無機物同士の分離には、高いエネルギーの光が必要とされ、高価な光源を用いなければならず、コスト高になるという問題がある。また、被転写層(剥離層)が大面積となった場合、剥離層の剥離を均一かつ確実に行うことができないという問題もある。
特開2004−349543号公報
本発明の目的は、低エネルギーの光で、大面積の被転写層を確実に転写し得る転写用基板、この転写用基板を用いた可撓性配線基板の製造方法、および、かかる製造方法を適用した電子機器の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の転写用基板は、表面に設けられた被転写層を、転写体に転写するのに用いられる転写用基板であって、
透光性を有する基板と、
該基板上に設けられ、前記基板側に位置する無機物層と、該無機物層に接触し、前記被転写層側に位置する有機物層とを備える分離層とを有し、
前記基板を介して前記分離層に光を照射することにより、前記無機物層と前記有機物層との界面において剥離が生じるよう構成されていることを特徴とする。
これにより、低エネルギーの光で、大面積の被転写層を確実に転写することができる。
また、本発明の転写用基板では、前記無機物層が前記基板側に位置し、前記有機物層が前記被転写層側に位置していることにより、被転写層を転写体に転写後、無機物層を除去する操作を省略することができる。また、基板を介して光を照射する場合、無機物層に効率よく光を到達させることができる。
本発明の転写用基板では、前記無機物層は、アモルファスシリコンを主材料として構成されていることが好ましい。
アモルファスシリコンは、光の吸収効率に優れるため、無機物層をアモルファスシリコンを主材料として構成することにより、比較的低いエネルギー強度の光で、容易に界面剥離を生じさせることができる。
本発明の転写用基板では、前記アモルファスシリコンは、水素原子の含有量が2原子%未満であることが好ましい。
これにより、光の照射により無機物層が加熱された際に、水素ガスが放出されるのを好適に防止することができる。そして、水素ガスの放出を防止することにより、不本意な箇所での剥離を防止して、無機物層と有機物層との界面において確実に剥離を生じさせることができる。
本発明の転写用基板では、前記無機物層は、その平均厚さが1〜1000nmであることが好ましい。
これにより、無機物層内における剥離をより確実に防止して、無機物層と有機物層との界面にける剥離をより確実に生じさせることができる。
本発明の転写用基板では、前記有機物層は、有機高分子材料を主材料として構成されていることが好ましい。
有機物層を有機高分子材料を主材料として構成することにより、無機物層との界面における剥離の際に、より破損し難いものとすることができる。
本発明の転写用基板では、前記有機物層は、絶縁性を有することが好ましい。
これにより、有機物層が被転写層を転写体上に転写した際に、被転写層とともに、転写体上に転写される構成の場合、有機物層を絶縁性を有するものとすることにより、有機物層を取り除くことなく、そのまま、層間絶縁層や、保護層等として機能させることができる。
本発明の転写用基板では、前記有機物層は、ポリイミド系樹脂を主材料として構成されていることが好ましい。
有機物層を層間絶縁層や保護層として利用する場合には、ポリイミド系樹脂は、柔軟性、強度、耐熱性、絶縁性等に優れ、特に好ましい材料である。
本発明の転写用基板では、前記有機物層は、その平均厚さが1〜2000nmであることが好ましい。
これにより、無機物層との界面における剥離をより確実に生じさせることができる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法は、透光性を有する基板と、該基板上に設けられ、前記基板側に位置する無機物層と、該無機物層に接触し、前記被転写層側に位置する有機物層とを備える分離層とを有し、該分離層の前記基板と反対側の面に配線パターンを含む被転写層が設けられた転写用基板を用意する工程と、
前記基板を介して前記分離層に、光を照射することにより、前記無機物層と前記有機物層との界面において剥離を生じさせるとともに、前記被転写層を可撓性基板上に転写する工程とを有することを特徴とする。
これにより、大面積かつ高精細の可撓性配線基板を製造することができる。
また、本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記基板は、光透過性を有し、前記分離層への光の照射は、前記基板を介して行われることにより、分離層に効率よく、かつ、ムラなく光を照射することができる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記無機物層は、気相プロセスにより形成されたものであり、前記有機物層は、液相プロセスにより形成されたものであることが好ましい。
これにより、無機物層と有機物層との界面における密着性が必要以上に高くなるのを防止することができ、無機物層と有機物層との界面における剥離をより確実に生じさせることができるようになる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記有機物層は、前記被転写層を転写する工程において、前記被転写層とともに前記可撓性基板上に転写されることが好ましい。
これにより、被転写層を転写体に転写後、無機物層を除去する操作を省略することができる。また、基板を介して光を照射する場合、無機物層に効率よく光を到達させることができる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記有機物層は、絶縁性を有しており、前記可撓性基板上に転写された後、取り除かれることなく絶縁層として利用されることが好ましい。
これにより、有機物層を絶縁性を有するものとすることにより、有機物層を、層間絶縁層や、保護層等として機能させることができる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記基板は、波長310nmの光の透過率が10%以上であることが好ましい。
これにより、基板において、照射される光の減衰(ロス)が大きくなるのを防止して、無機物層と有機物層との界面における剥離を生じさせるのに必要なエネルギーの光を、より小さい光量で確実に分離層に到達させることができる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記光は、レーザ光であることが好ましい。
レーザ光を用いることにより、無機物層の温度を制御し易いことから好ましい。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記レーザ光は、その波長が100〜350nmであることが好ましい。
これにより、剥離層を構成する材料として非晶質シリコン、またはシリコンを用いる場合、剥離層における短波長レーザ光の吸収効率が高いために、効果的な剥離を行うことができるという効果が得られる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記レーザ光は、そのエネルギー密度が100〜300mJ/cmであることが好ましい。
無機物層と有機物層との界面で剥離を生じさせる場合には、このようなエネルギー密度で十分である。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記配線パターンは、Alを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、Alは、比較的応力の低い材料であるため、配線パターンの有機物層からの剥離を好適に防止することができる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記被転写層は、前記可撓性基板より硬度の低い接着層を介して、前記可撓性基板に固定されることが好ましい。
これにより、接着層が応力緩和層として機能し、被転写層が可撓性基板から容易に剥離するのを防止することができる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記接着層を構成する接着剤は、シリコーン系およびアクリレート系のうちの少なくとも一方を主成分とするものであることが好ましい。
これにより、接着層も可撓性を有し、可撓時に接着層でのクラック防止を抑制するという効果が得られる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記被転写層は、有機薄膜トランジスタを含むことが好ましい。
これにより、例えば、大面積かつ高精細のアクティブマトリクス装置を製造することができる。
本発明の可撓性配線基板の製造方法では、前記被転写層は、電界の作用により電気泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を含有する電気泳動分散液層を含むことが好ましい。
これにより、大面積かつ高精細の電気泳動表示装置を製造することができる。
本発明の電子機器の製造方法は、本発明の可撓性配線基板の製造方法を用いることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を製造することができる。
以下、本発明の転写用基板、可撓性配線基板の製造方法および電子機器の製造方法について、好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の可撓性配線基板の製造方法の第1実施形態について説明する。
第1実施形態は、本発明の可撓性配線基板の製造方法を、多層配線基板の製造に適用した例である。
図1および図2は、それぞれ、多層配線基板の製造工程を説明するための図である。
[1A] まず、図1(a)に示すような転写用基板(本発明の転写用基板)1を用意する。
図1に示す転写用基板1は、基板100と、この基板100上に、基板100側の無機物層120aと、この無機物層120aに接触する有機物層120bとで構成される分離層(光吸収層)120とを有している。
そして、この転写用基板1では、主に、無機物層120aと有機物層120bとの熱膨張係数の差や、無機物層120aの有機物層120bとの界面の構造(形状)変化を利用して、これらの界面に剥離を生じさせるように構成されている。具体的には、光の照射により、無機物層120aが光を吸収して加熱され、この熱により、無機物層120aおよび有機物層120bを熱膨張させることや、無機物層120aの有機物層120bとの界面の構造(形状)を変化させることにより、無機物層120aと有機物層120bとの界面において剥離を生じさせるように構成されている。
本発明者は、前述したような問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、無機物層120aと有機物層120bとの界面における剥離(以下、「界面剥離」と言う。)を利用することにより、従来のように、無機物層と無機物層との界面における剥離(界面剥離)を利用する構成のものに比べて、より低エネルギーの光の照射で剥離が可能となることを見出した。
また、無機物層120aと有機物層120bとの界面の密着性は、無機物層と無機物層との界面の密着性に比べて低いため、転写用基板1を大型化した場合でも、無機物層120aと有機物層120bとの界面において、均一かつ確実な剥離を生じさ得ることをも見い出した。
このような転写用基板1では、基板100と反対側の面(図1中、上面)に、後述するように、可撓性基板(転写体)180に転写する被転写層140が設けられる。このため、基板100は、好ましくは光が透過し得る透光性を有するものとされ、この基板100を介して分離層120に光が照射されるように構成されている。これにより、分離層120に効率よく、かつ、ムラなく光を照射することができる。
基板100の光の透過率は、特に限定されないが、波長310nmの光の透過率が10%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。これにより、基板100において、照射される光の減衰(ロス)が大きくなるのを防止して、界面剥離を生じさせるのに必要なエネルギーの光を、より小さい光量で確実に分離層120に到達させることができる。
また、基板100は、特に、耐熱性に優れた材料で構成されているのが好ましい。これにより、例えば後述する被転写層140や中間層142を形成する際に、その種類や形成方法によってはプロセス温度が高くなる(例えば350〜1000℃程度)ことがあるが、その場合でも、基板100が耐熱性に優れていれば、基板100上への被転写層140等の形成に際し、その温度条件等の成膜条件の設定の幅を広けることができるという利点がある。
したがって、基板100は、被転写層140の形成の際の最高温度をTmaxとしたとき、歪点がTmax以上の材料で構成されているのものが好ましい。具体的には、基板100の構成材料は、歪点が350℃以上のものが好ましく、500℃以上のものがより好ましい。このような基板100の構成材料としては、例えば、石英ガラス、コーニング7059、日本電気ガラスOA−10等の耐熱性ガラスが挙げられる。
また、基板100の平均厚さは、特に限定されないが、通常は、0.1〜5.0mm程度であるのが好ましく、0.5〜1.5mm程度であるのがより好ましい。これにより、基板100の十分な機械的強度を確保しつつ、基板100の光の透過率が低い場合でも、界面剥離を生じさせるのに十分なエネルギーの光を、分離層120に到達させることができる。なお、基板100の光の透過率が高い場合には、その平均厚さは、前記上限値を超えるものであってもよい。また、光を分離層120に均一に照射できるように、基板100の厚さは、均一であるのが好ましい。
本実施形態の分離層120では、無機物層120aが基板100側に位置し、有機物層120bが被転写層140側に位置している。これにより、被転写層140を可撓性基板180に転写後、無機物層120aを除去する操作を省略することができる。また、本実施形態の場合、無機物層120aに効率よく光を到達させることができる。
光が照射されると、無機物層120aは、光を吸収することにより加熱される。このとき、無機物層120aと有機物層120bとの熱膨張係数が異なることや、無機物層120aの有機物層120bとの界面の構造が変化すること等により、無機物層120aは、有機物層120bとの界面において剥離することとなる。
このような無機物層120aの構成材料(無機材料)としては、光を効率よく吸収するものであればよく、特に限定されないが、例えば、アモルファスシリコン(a−Si)、SiO、SiO、Siのような酸化ケイ素、KSiO、LiSiO、CaSiO、ZrSiO、NaSiOのようなケイ酸化合物、TiO、Ti、TiOのような酸化チタン、BaTiO、BaTiO、BaTi20、BaTi11、CaTiO、SrTiO、PbTiO、MgTiO、ZrTiO、SnTiO、AlTiO、FeTiOのようなチタン酸化合物、ZrOのような酸化ジルコニウム、BaZrO、ZrSiO、PbZrO、MgZrO、KZrOのようなジルコン酸化合物、酸化ランタン、ランタン酸化合物等の酸化物セラミックス、窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化物セラミックス、PZT、PLZT、PLLZT、PBZT等の強誘電体材料、Al、Li、Ti、Mn、In、Sn、Y、La、Ce、Nd、Pr、Gd、Smまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金等の金属材料等が挙げられる。
これらの中でも、無機物層120aの構成材料としては、アモルファスシリコンを主成分とするものが好ましい。アモルファスシリコンは、光の吸収効率に優れるため、無機物層120aをアモルファスシリコンを主材料として構成することにより、比較的低いエネルギー強度の光で、容易に界面剥離を生じさせることができる。
また、この場合、アモルファスシリコン中の水素原子の含有量は、できるだけ少ない方が好ましい。これにより、光の照射により無機物層120aが加熱された際に、水素ガスが放出されるのを好適に防止することができる。そして、水素ガスの放出を防止することにより、例えば、無機物層120aの層内における剥離や、無機物層120aと基板100との界面における剥離を防止して、無機物層120aと有機物層120bとの界面において確実に剥離を生じさせることができる。
具体的には、アモルファスシリコンは、水素原子の含有量が2原子%未満であるのが好ましく、1原子%未満であるのがより好ましく、0.1〜0.9原子%程度であるのがさらに好ましい。これにより、前記効果がより顕著となる。
なお、アモルファスシリコンの水素原子の含有量は、無機物層120aの成膜条件、例えば、CVDにおけるガス組成、ガス圧、ガス雰囲気、ガス流量、温度、基板温度、投入パワー等の条件を適宜設定することにより調整することができる。
このような無機物層120aの平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nm程度であるのが好ましく、10〜700nm程度であるのがより好ましい。これにより、無機物層120a内における剥離をより確実に防止して、界面剥離をより確実に生じさせることができる。
有機物層120bは、無機物層120aに対して十分に熱膨張係数が大きいものであればよいが、界面剥離に際して、損傷(破損)し難いもの、すなわち、比較的柔軟性の高いものが好ましい。
このような有機物層120bの構成材料としては、有機低分子材料を用いることもできるが、有機高分子材料を主成分とするものを用いるのが好ましい。有機物層120bを有機高分子材料を主材料として構成することにより、界面剥離の際に、より破損し難いものとすることができる。
この有機高分子材料としては、例えば、ポリエチレン、ポロプロピレン、エチレン−プレピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプチレンテレフタレート(PBT)、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エボキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
また、本実施形態では、有機物層120bは、被転写層140を後述する可撓性基板(転写体)180上に転写した際に、被転写層140とともに、可撓性基板180上に転写される。このため、例えば、有機物層120bを絶縁性を有するものとすることにより、有機物層120bを取り除くことなく、そのまま、得られる多層配線基板(本発明の可撓性配線基板)200Aにおいて、層間絶縁層や、保護層等として機能させることができる。
これらのことを考慮した場合、有機物層120bの構成材料としては、前述した有機高分子材料の中でも、特に、ポリイミド系樹脂を主成分とするものが好ましい。ポリイミド系樹脂は、柔軟性、強度、耐熱性、絶縁性等に優れ、多層配線基板200Aを構築(形成)する上で、特に好ましい材料である。
このような有機物層120bの平均厚さは、特に限定されないが、1〜2000nm程度であるのが好ましく、40〜1000nm程度であるのがより好ましい。これにより、界面剥離をより確実に生じさせることができる。なお、有機物層120bが厚過ぎると、被転写層140の形成条件等にもよるが、被転写層140が破損したり、有機物層120bから剥離し易くなる傾向を示す。
なお、有機物層120bおよび無機物層120aの膜厚は、それぞれ、できるだけ均一であるのが好ましい。
これらの無機物層120aおよび有機物層120bは、それぞれ、気相プロセス、液相プロセスのいずれを用いて形成するようにしてもよいが、無機物層120aを気相プロセスを用いて形成し、有機物層120bを液相プロセスを用いて形成するのが好ましい。これにより、無機物層120aと有機物層120bとの界面における密着性が必要以上に高くなるのを防止することができ、界面剥離をより確実に生じさせることができるようになる。
また、前述したように、無機物層120aをアモルファスシリコンを主材料として構成する場合、アモルファスシリコン中の水素原子の含有量は、できるだけ少なくするのが好ましいが、気相プロセスを用いることにより、水素原子の含有量を所望の値に、容易かつ確実に調整することができるという利点もある。かかる観点からも、無機物層120aを気相プロセスを用いて形成することにより、界面剥離をより確実に生じさせることができる。
ここで、気相プロセスには、例えば、CVD(MOCVD、低圧CVD、ECR−CVDを含む)、蒸着、分子線蒸着(MB)、スパッタリング、イオンプレーティング等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、液相プロセスでは、液状材料を基材に供給して、脱溶媒(脱分散媒)の後、必要に応じて熱処理を施すことにより膜(各層)を形成する。なお、この液状材料の供給には、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[2A] 次に、図1(b)に示すように、転写用基板1(分離層120)上に、被転写層140を形成する。本実施形態では、被転写層140として配線パターン(配線層)を形成する。
配線パターン(被転写層)140は、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法およびMOD法、金属箔の接合等により、導電膜を形成した後、不要部分を除去することにより形成することができる。
不要部分の除去には、例えば、プラズマエッチング、リアクティブエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、配線パターン140は、導電性粒子を含む液状材料をインクジェット法(液滴吐出法)を用いて供給して塗膜を形成した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することもできる。
この配線パターン140の構成材料(導電性材料)としては、例えば、Al、Ta、Li、Ti、Mn、In、Sn、Y、La、Ce、Nd、Pr、Gd、Smまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金のような金属材料が挙げられる。これらの中でも、配線パターン140の構成材料としては、Alを主成分とするものが好ましい。Alは、比較的応力の低い材料であるため、配線パターン140の有機物層120bからの剥離を好適に防止することができる。
なお、配線パターン140の構成材料には、金属材料の他、例えば、ITO、FTOのような金属酸化物材料や、その他、導電性の有機高分子材料等を用いることができる。
また、配線パターン140を覆うように、保護層等を設けるようにしてもよいが、配線パターン140をAlを主材料として構成することにより、保護層と配線パターン140との剥離も好適に防止することができる。
この保護層は、例えば、SiOを主材料として構成することができる。この場合、かかる保護層は、例えば、ポリシラザンやポリシランを液相プロセスにより供給した後、焼成(加熱処理)を施す方法により形成することができる。
なお、保護層の構成材料としては、SiOの他、例えば、Si、TiNのような無機材料、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルフェニレン、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂、ポリビニルフェノールあるいはノボラック樹脂のようなフェノール系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテンなどのオレフィン系樹脂のような有機材料等が挙げられる。
以上のようにして、配線パターン(被転写層)140が設けられた転写用基板1が得られる。配線パターン140までの各層は、いずれも、液相プロセスにより形成することが可能であり、全ての層を液相プロセスにより形成することで、製造コストの削減を図ることができる。
[3A] 次に、図1(c)に示すように、配線パターン140を接着層160を介して可撓性基板(転写体)180に接合(接着)する。
この接着層160は、可撓性基板180より硬度の低いものが好ましい。これにより、接着層160が応力緩和層として機能し、配線パターン140が可撓性基板180から容易に剥離するのを防止することができる。
接着層160を構成する接着剤としては、例えば、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤等の各種硬化型接着剤が挙げられる。
また、接着剤の組成としては、例えば、シリコーン系、アクリレート系、エポキシ系等のいかなるものでもよいが、特に、シリコーン系およびアクリレート系のうちの少なくとも一方を主成分とするものが好ましい。かかる接着剤を用いることにより、接着層も可撓性を有し、可撓時に接着層でのクラック防止を抑制するという効果が得られる。
このような接着層160は、例えば、前述したような塗布法等により、接着剤を配線パターン140上に供給することにより形成することができる。
例えば、硬化型接着剤を用いる場合、配線パターン140上に、硬化型接着剤を塗布し、その上に可撓性基板180を接合した後、硬化型接着剤の特性に応じた硬化方法により硬化させて、配線パターン140と可撓性基板180とを接着し、固定する。
接着剤が光硬化型の場合、光透過性の基板100および光透過性の可撓性基板180の一方の外側または双方の外側から光を照射する。なお、紫外線硬化型などの光硬化型接着剤は、配線パターン140や可撓性基板180へ悪影響を与え難いことから好ましい。
なお、図示と異なり、可撓性基板180側に接着層160を形成し、その上に配線パターン140を接着してもよい。なお、例えば可撓性基板180自体が接着機能を有する場合等には、接着層160の形成を省略してもよい。
本発明では、転写用基板1側に配線パターン140を形成し、その後、配線パターン140を可撓性基板180に転写するため、多層配線基板200Aの形成に際して、従来の方法のように、可撓性基板180に繰り返し熱処理が施され、可撓性基板180が熱収縮等するのを好適に防止することができる。その結果、高精細かつ大面積の多層配線基板200Aを得ることができる。
したがって、配線パターン140の形成の際の最高温度をTmaxとしたとき、可撓性基板(転写体)180の構成材料としては、ガラス転移点(Tg)または軟化点がTmax以下のものを用いることができる。例えば、可撓性基板180は、ガラス転移点(Tg)または軟化点が好ましくは800℃以下、より好ましくは500℃以下、さらに好ましくは320℃以下の材料で構成することができる。
なお、可撓性基板180の構成材料としては、例えば、前述した各種樹脂材料の中から1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、樹脂材料で構成される可撓性基板180は、大型のものを一体的に成形することができるとともに、湾曲面や凹凸を有するもの等の複雑な形状であっても容易に製造することができ、また、材料コスト、製造コストも安価であるという種々の利点が享受できる。したがって、樹脂材料の使用は、大型で安価なデバイス(例えば、液晶表示装置、電気泳動表示装置)を製造する上で有利である。
[4A] 次に、図1(d)に示すように、基板100の裏面側(下側)から、転写用基板1に対して光を照射する。
この光は、基板100を透過した後に、分離層120に照射される。これにより、無機物層120aが加熱され、無機物層120aと有機物層120bとの熱膨張係数の差が異なることや、無機物層120aの有機物層120bとの界面の構造(形状)が変化すること等により、これらの界面で剥離(界面剥離)が生じる。
照射する光としては、界面剥離を確実に生じさせ得るものであればいかなるものでもよく、例えば、X線、紫外線、可視光、赤外線(熱線)、レーザ光、ミリ波、マイクロ波、電子線、放射線(α線、β線、γ線)等が挙げられる。
これらの中でも、光としては、レーザ光を用いるのが好ましい。レーザ光を用いることで高密度で単一な波長を照射でき、無機物層120aの温度を制御し易いことから好ましい。
このレーザ光を発生させるレーザ装置としては、例えば、各種気体レーザ、固体レーザ(半導体レーザ)等が挙げられるが、エキシマレーザ、Nd−YAGレーザ、Arレーザ、COレーザ、COレーザ、He−Neレーザ等が好適に用いられ、その中でもエキシマレーザが特に好ましい。
エキシマレーザは、短波長域で高エネルギーを出力するため、極めて短時間で無機物層120aを選択的に加熱することができ、よって、可撓性基板(転写体)180や基板100等に温度上昇をほとんど生じさせることなく、すなわち劣化、損傷を生じさせることなく、界面剥離を生じさせることができる。
また、レーザ光の波長は、100nm〜350nm程度であるのが好ましく、150〜320nm程度であるのがより好ましい。これにより、特に、剥離層を構成する材料として非晶質シリコン、またはシリコンを用いる場合、剥離層における短波長レーザ光の吸収効率が高いために、効果的な剥離を行うことができるという効果が得られる。
レーザ光のエネルギー密度は、100〜300mJ/cm程度であるのが好ましく、150〜250mJ/cm程度であるのがより好ましい。本発明のように、無機物層120aと有機物層120bとの界面で剥離を生じさせる場合には、このようなエネルギー密度で十分である。また、かかる範囲のエネルギー強度のレーザ光を用いることにより、分離層120を透過した照射光により、配線パターン140や可撓性基板180等に悪影響を及ぼすことを確実に防止することができる。
また、レーザ光の照射時間は、1〜1000nsec程度とするのが好ましく、10〜100nsec程度とするのがより好ましい。
なお、分離層120を透過した照射光が配線パターン(被転写層)140にまで達するのを防止する観点から、分離層120と配線パターン140との間に、タンタル(Ta)等の金属層を設けるようにしてもよい。これにより、この金属層において、分離層120を透過した照射光が反射や散乱等され、配線パターン140に到達するのを防止することができる。
また、レーザ光に代表される照射光は、その強度が均一となるように照射されるのが好ましい。照射光の照射方向は、分離層120に対しほぼ垂直な方向に限らず、分離層120に対し所定角度傾斜した方向であってもよい。
また、分離層120の面積が照射光の1回の照射面積より大きい場合には、分離層120の全領域に対し、複数回に分けて照射光を照射することもできる。また、同一箇所に2回以上照射してもよい。また、異なる種類、異なる波長(波長域)の照射光(レーザ光)を同一領域または異なる領域に2回以上照射してもよい。
[5A] 次に、図2(e)に示すように、基板100を下方に向かって引っ張って、無機物層120a毎、基板100を有機物層120bから離脱させる。
本発明では、無機物層120aと有機物層120bとの界面での剥離を利用するため、これらを確実に分離することができ、無機物層120aの一部が有機物層120bに付着することを好適に防止することができる。このため、本発明では、可撓性基板180側に不本意に転写された不要物(無機物層120aの一部)を除去する工程を省略することができる。
なお、例えば、基板100が石英ガラスのような高価な材料、希少な材料で構成されている場合等には、離脱した基板100に付着した無機物層120aを除去して、再利用(リサイクル)に供するのが好ましい。すなわち、再利用したい基板100に対し、本発明を適用することができ、有用性が高い。
また、本工程[5A]では、配線パターン140とともに、有機物層120bが可撓性基板180に転写される。本実施形態では、この有機物層120bを取り除くことなく層間絶縁層として利用する。これにより、多層配線基板200Aの製造時間および製造コストの削減を図ることができ有利である。
[6A] 次に、図2(f)に示すように、有機物層120bの所定の位置に、スルーホール(貫通孔)121を形成し、導電性材料122を充填する。
スルーホール121を形成する方法としては、例えば、レーザ加工、フォトリソグラフィ法、針等を用いて機械的に形成する方法等が挙げられる。
また、スルーホール121内に導電性材料122を充填する方法としては、例えば、無電解メッキ、導電性粒子を含有する液状材料を供給する方法、シャドウマスクで金属を蒸着する方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[7A] 次に、前記工程[2A]〜[5A]を繰り返して行う。
これにより、図2(g)に示すように、2つの配線パターン140を有する多層配線基板(多層構成の可撓性配線基板)200Aが得られる。
以上のように、本発明では、被転写層140自体を直接に剥離するのではなく、被転写層(配線パターン)140に接合された分離層120において剥離を生じさせるため、被転写層140の特性、条件等にかかわらず、容易かつ確実に、しかも均一に剥離(転写)することができ、剥離操作に伴う被転写層140へのダメージもないか、極めて少なく、被転写層140の高い信頼性を維持することができる。
また、多層配線基板200Aは、被転写層140を可撓性基板180に転写することにより、積層して製造されるため、可撓積基板180が高温に曝されることを防止することができる。このため、加熱により可撓性基板180が熱収縮するのを防止することができ、高精細の多層配線基板200Aを得ることができる。
また、体面積の多層配線基板200Aを容易に製造することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の可撓性配線基板の製造方法の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態の可撓性配線基板の製造方法について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態では、転写用基板1上に、配線パターンおよび有機薄膜トランジスタ2(以下、「有機TFT2」と略す。)を含む被転写層140を形成し、これを可撓性基板180上に転写する。
すなわち、第2実施形態は、本発明の可撓性配線基板の製造方法を、アクティブマトリクス装置の製造に適用した例である。
図3〜図6は、それぞれ、アクティブマトリクス装置の製造工程を説明するための図、図7は、アクティブマトリクス装置の平面図である。
[1B] まず、前記工程[1A]と同様にして、図3(a)に示すような転写用基板1を用意する。
[2B] 次に、図3(b)に示すように、転写用基板1上に、中間層142を形成する。
この中間層142は、種々の目的で設けられるが、その目的としては、例えば、配線パターンおよび有機TFT(薄膜素子)2を含む被転写層140を物理的または化学的に保護する保護層、絶縁層、導電層、レーザ光の遮光層、マイグレーション防止用のバリア層、反射層としての機能のうちの少なくとも1つを発揮するものが挙げられる。
中間層142の構成材料としては、例えば、SiO、Si、TiN等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような中間層142の平均厚さは、その形成目的や発揮し得る機能の程度に応じて適宜決定されるが、通常は、10〜1000nm程度であるのが好ましく、40〜700nm程度であるのがより好ましい。
中間層142は、気相成膜法により形成することができる他、例えば、SiOで構成する場合には、ポリシラザンやポリシランを液相プロセスにより供給した後、焼成(加熱処理)を施す方法により形成することができる。
[3B] 次に、図3(c)に示すように、中間層142上に、配線パターンとして、有機TFT2のソース電極3およびドレイン電極4、ソース電極3に接続されたデータ線102(図示せず)、および、ドレイン電極4に接続された画素電極41を形成する。
これは、前記工程[2A]と同様にして行うことができる。
[4B] 次に、図3(d)に示すように、ソース電極3とドレイン電極4とに接触するように有機半導体層5を形成する。
このとき、ソース電極3とドレイン電極4との間の領域には、チャネル領域51が形成される。
有機半導体層5は、例えば、有機高分子材料またはその前駆体を含む溶液を、塗布法を用いて、基板2上にソース電極3とドレイン電極4との間の領域を含む所定の領域に塗布(供給)した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することができる。
ここで、塗布法としては、前述した方法の中でも、インクジェット法を用いるのが好ましい。インクジェット法によれば、レジスト層等を形成することなく、目的とする領域に選択的に有機半導体層5を形成することができる。これにより、有機半導体材料の使用量を削減することができ、製造コストの削減を図ることができる。
また、フォトレジストや現像液、剥離液などの化学薬品の使用や、酸素プラズマ、CFプラズマなどのプラズマ処理を省略することができる。そのため、有機半導体材料の特性が変化(例えば、ドープされる)したり、劣化するのを確実に防止することができる。
有機半導体材料としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン、ペリレン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、スチルベン、アリールビニル、ピラゾリン、トリフェニルアミン、トリアリールアミン、オリゴチオフェン、フタロシアニンまたはこれらの誘導体のような低分子の有機半導体材料や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ポリアリールアミン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂、フルオレン−ビチオフェン共重合体、フルオレン−アリールアミン共重合体またはこれらの誘導体のような高分子の有機半導体材料(共役系高分子材料)が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、高分子の有機半導体材料(共役系高分子材料)を主とするものを用いるのが好ましい。共役系高分子材料は、その特有な電子雲の広がりにより、キャリアの移動能が特に高い。また、このような高分子の有機半導体材料は、簡易な方法で成膜することができるとともに、比較的容易に配向させることができる。
これらの中でも、有機半導体材料は、フルオレン−ビチオフェン共重合体のようなフルオレンとビチオフェンとを含む共重合体、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体のようなアリールアミンを含む重合体またはこれらの誘導体のうちの少なくとも1種を主成分とするものが好ましく、ポリアリールアミン、フルオレン−ビチオフェン共重合体またはこれらの誘導体のうちの少なくとも1種を主成分とするものが好ましい。このような有機半導体材料は、耐水性および耐酸化性が高いことから、かかる有機半導体材料で構成される有機半導体層5は、一時的に高温多湿な環境下に晒されても、品質劣化が防止される。
また、溶媒には、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等を用いることができる。
なお、有機半導体材料は、芳香族炭化水素基、複素環基などの共役系を含むため、一般的に芳香族炭化水素系溶媒に溶けやすい。このため、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンなどが特に適する溶媒である。
[5B] 次に、図4(e)に示すように、有機半導体層5を覆うように、ゲート絶縁層6を形成する。
ゲート絶縁層6は、例えば、絶縁材料またはその前駆体を含む溶液を、塗布法を用いて、有機半導体層5を覆うように塗布(供給)した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することができる。
また、塗布法には、前記と同様の方法を用いることができる。有機半導体層5が可溶な有機半導体材料で構成されている場合には、絶縁材料用の溶媒が、有機半導体層5を膨潤させたり、溶解しないものを選択するのが好ましい。
前述したように、有機半導体材料は芳香族炭化水素系溶媒に溶けやすいので、絶縁材料を塗布する際には、これを避けることが好ましい。すなわち、水系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、フッ素系溶媒を用いることが好ましい。
なお、絶縁材料としては、前述したような樹脂材料の他、例えば、SiO等の無機材料を用いることができる。
[6B] 次に、図4(g)に示すように、ゲート絶縁層6上の所定の領域に、ゲート電極8を形成する。
なお、このとき、隣接する有機TFT2のゲート電極8を連続して形成する。これにより、後述するゲート線101を形成する。
ゲート電極8(ゲート線101)は、前述したソース電極3およびドレイン電極4と同様の方法によって形成することができる。
[7B] 次に、図4(h)に示すように、転写用基板1の全面を覆うように、保護層11を形成する。
保護層11は、中間層142やゲート絶縁層6と同様にして形成することができる。
以上のようにして、転写用基板1上に、中間層142、配線パターン、有機TFT2および保護層11からなる被転写層140が設けられる。
[8B] 次に、図5(i)に示すように、保護層11(被転写層140)を接着層170を介して仮転写基板190に接合(接着)する。
接着層170の構成材料としては、水溶性樹脂を主成分とするものが好適に用いられる。これにより、後工程[13B]において、被転写層140から仮転写基板190を比較的容易に除去する(離脱させる)ことができる。
このような水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体のようなビニルアルコールを含む重合体が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[9B] 次に、図5(j)に示すように、基板100の裏面側(下側)から、転写用基板1に対して光を照射する。
[10B] 次に、図5(k)に示すように、基板100を下方に向かって引っ張って、無機物層120a毎、基板100を有機物層120bから離脱させる。
[11B] 次に、図6(l)に示すように、有機物層120bを除去する。
有機物層120bの除去は、例えば、有機溶剤による洗浄、エッチング、アッシング、研磨等の方法またはこれらを組み合わせた方法等により行うことができる。
なお、有機物層120bは、取り除くことなく、アクティブマトリクス装置200Bにおいて利用するようにしてもよい。
[12B] 次に、図6(m)に示すように、中間層142を接着層160を介して可撓性基板(転写体)180に接合(接着)する。
[13B] 次に、図6(n)に示すように、接着層170を除去して、仮転写基板190を被転写層140から離脱させる。
このとき、接着層170を水溶性樹脂を主材料として構成することにより、例えば水洗等により仮転写基板190を被転写層140から容易に離脱させることができる。
また、水洗による方法を用いることにより、被転写層140、特に、有機TFT2の有機半導体層5等が膨潤することを防止することができ、有機TFT2の特性の低下を防止することができる。
これにより、図7に示すように、有機TFT2、画素電極41およびデータ線102が設けられたアクティブマトリクス装置(可撓性配線基板)200Bが得られる。
このような第2実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
<第3実施形態>
次に、本発明の可撓性配線基板の製造方法の第3実施形態について説明する。
以下、第3実施形態の可撓性配線基板の製造方法について、前記第1および第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態では、被転写層140が電気泳動表示部25を含むこと以外は、前記第2実施形態と同様である。
すなわち、第3実施形態は、本発明の可撓性配線基板の製造方法を、電気泳動表示装置の製造に適用した例である。
図8および図9は、それぞれ、電気泳動表示装置の製造工程を説明するための図である。
[1C] まず、前記工程[1B]と同様にして、図8(a)に示すような転写用基板1を用意する。
[2C] 次に、前記工程[2B]〜[6B]と同様にして、図8(b)に示すように、転写用基板1上に、中間層142、データ線102、画素電極41および有機TFT2を形成する。
なお、図8(b)には、画素電極41のみを示してある。
[3C] 次に、別途用意した電気泳動表示部25を、図8(c)に示すように、転写用基板1上に積層して、接合する。
ここで、電気泳動表示部25は、対向基板251と、対向電極252と、マイクロカプセル40と、バインダ材45とを有している。
そして、対向基板251上に、対向電極252が積層され、マイクロカプセル40(表示媒体)がバインダ材45により、対向電極252上に固定されている。
また、各カプセル40内には、それぞれ、特性の異なる複数種の電気泳動粒子、本実施形態では、電荷および色(色相)の異なる2種の電気泳動粒子401、402を含む電気泳動分散液400が封入されている。
本実施形態では、マイクロカプセル40とバインダ材45とにより、電気泳動分散液層が構成されている。
具体的には、電気泳導表示部25は、マイクロカプセル40が画素電極41に接触するようにして、転写用基板1上に積層して、ラミネートすることによって、接合することができる。
ここで、ラミネート法としては、例えば、真空ラミネート法やロールラミネート法等が挙げられる。
真空ラミネート法は、対向配置され、互いに対向する面が曲面となされた一対の弾性部材同士の間に、転写用基板1と電気泳動表示部25とを配置し、これら圧着部材同士の間の空間を陰圧とすることによって、一対の弾性部材の曲面を、転写用基板1および電気泳動表示部25を互いに押し付け、圧着する方法である。
ロールラミネート法は、対向配置された一対のロールの間を、転写用基板1と電気泳動表示部25とを通過させることによって圧着させる方法である。
これらの中でも、真空ラミネート法を用いるのが好ましい。真空ラミネート法を用いることにより、面に対して圧力が加わるため、せん断応力による配線パターンの断線や有機TFT2の損傷をより確実に防止することができる。
以上のようにして、転写用基板1上に、中間層142、有機TFT2、画素電極41、データ線102および電気泳動表示部25からなる被転写層140が設けられる。
なお、電気泳動表示部25の接合に先立って、転写用基板1の全面を覆うように、前記と同様の保護層11と同様の保護層を形成するようにしてもよい。
[4C] 次に、前記工程[8B]〜[13B]と同様にして、図9に示すように、被転写層140を可撓性基板180上に転写する。
これにより、中間層142、有機TFT2、画素電極41、データ線102および電気泳動表示部25が設けられた電気泳動表示装置(可撓性配線基板)200Cが得られる。
このような電気泳動表示装置200Cでは、1本あるいは複数本のゲート線101に選択信号(選択電圧)を供給すると、この選択信号(選択電圧)が供給されたゲート線101に接続されている有機TFT2がONとなる。
これにより、かかる有機TFT2に接続されているデータ線102と画素電極41とは、実質的に導通する。このとき、データ線102に所望のデータ(電圧)を供給した状態であれば、このデータ(電圧)は画素電極41に供給される。
このとき、画素電極41と対向電極252との間に電界が生じ、この電界の方向、強さ、電気泳動粒子401、402の特性等に応じて、電気泳動粒子401、402は、いずれかの電極の方向に向かって電気泳動する。
一方、この状態から、ゲート線101への選択信号(選択電圧)の供給を停止すると、有機TFT2はOFFとなり、かかる有機TFT2に接続されているデータ線102と画素電極41とは非導通状態となる。
したがって、ゲート線101への選択信号の供給および停止、あるいは、データ線102へのデータの供給および停止を適宜組み合わせて行うことにより、電気泳動表示装置200Cの表示面側(対向基板)には、所望の画像(情報)を表示させることができる。
特に、電気泳動表示装置200Cでは、電気泳動粒子401、402の色を異ならせていることにより、多階調の画像を表示することが可能となっている。
このような第3実施形態によっても、前記第1および第2実施形態と同様の効果が得られる。
<電子機器>
以上説明したような可撓性配線基板200A、200B、200Cは、各種電子機器に組み込むことができる。以下、可撓性配線基板200A、200B、200Cを備える本発明の電子機器の製造方法で製造される電子機器について説明する。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図10は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
この図に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置200Cで構成されている。
<<ディスプレイ>>
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図11は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
この図に示すディスプレイ800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図10に示す構成と同様のものである。
本体部801は、その側部(図中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
また、本体部801の表示面側(下図(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置200Cで構成されている。
なお、本発明の電子機器は、以上のようなものへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、電気泳動表示装置200Cを適用することが可能である。
また、電子機器は表示部を構成するパネル等、商取引で譲渡されうる形態を備えた半製品でもよく、上記電気泳動表示装置200Cのほか、例えば液晶表示装置、有機EL装置などが含まれる。
以上、本発明の転写用基板、可撓性配線基板の製造方法および電子機器の製造方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、転写体は、液晶セルのように、それ自体独立したデバイスを構成するものや、例えばカラーフィルター、電極層、誘電体層、絶縁層、半導体素子のように、デバイスの一部を構成するものであってもよい。
また、転写体は、平板であっても、湾曲板であってもよい。
さらに、転写体は、金属、セラミックス、石材、木材紙等の物質であってもよいし、ある品物を構成する任意の面上(時計の面上、エアコンの表面上、プリント基板の上等)、さらには壁、柱、天井、窓ガラス等の構造物の表面上であってもよい。
なお、被転写層には、例えば、薄膜ダイオードや、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子(光センサ、太陽電池)やシリコン抵抗素子、その他の薄膜半導体デバイス、電極(例:ITO、メサ膜のような透明電極)、スイッチング素子、メモリー、圧電素子等のアクチュエータ、マイクロミラー(ピエゾ薄膜セラミックス)、磁気記録薄膜ヘッド、コイル、インダクター、薄膜高透磁材料およびそれらを組み合わせたマイクロ磁気デバイス、フィルター、反射膜、ダイクロイックミラー等のような薄膜素子が含まれていてもよい。
また、前記実施形態では、転写用基板において、無機物層が基板側に、有機物層が被転写層側に設けられた構成であってが、これらは逆であってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.転写用基板の製造
(実施例1)
まず、縦200mm×横150mm×厚さ1.1mmの石英基板(軟化点:1630℃、歪点:1070℃、エキシマレーザの透過率:ほぼ100%)を用意した。
次に、この石英基板の片面に、無機物層として、アモルファスシリコン(a−Si)層を低圧CVD法(Siガス、425℃)により形成した。
なお、アモルファスシリコン層の平均厚さは、100nmであった。
また、アモルファスシリコン中の水素原子の含有率は、0.5原子%であった。
次に、アモルファスシリコン層上に、有機物層として、スピンコート法によりポリイミド層を形成した。
なお、ポリイミド層の平均厚さは、200nmであった。
以上のようにして、転写用基板を製造した。
(実施例2)
アモルファスシリコン層に代えて、ゾル・ゲル法により、TiO層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして、転写用基板を製造した。
(比較例)
有機物層に代えて、アモルファスシリコン層上に、ECR−CVD法(SiH+Oガス、100℃)により、SiO層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして、転写用基板を製造した。
2.評価
各実施例および比較例で製造された転写用基板上に、それぞれ、真空蒸着法により、Al層を形成した後、フォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用いて、配線パターンを形成した。
なお、配線パターンの平均厚さは、それそれ、70nmとなるようにした。
次に、縦200mm×横150mmの粘着剤付シートを配線パターンに接合した。
なお、粘着剤付シートは、ポリエチレンテレフタレート基材:130μm、粘着層30μmのもの(ニッタ社製)を用いた。
次に、この状態で、Xe−Clエキシマレーザ(波長:308nm)を石英基板側から照射し、分離層に剥離を生じさせた。
なお、Xe−Clエキシマレーザは、エネルギー密度を218mJ/cm、照射時間を20nsecとし、単位領域(9mm×9mm)にスポット照射し、このスポット照射を単位領域の1/10程度ずつずらしながら照射していった。
この後、石英基板と粘着剤付シートとを分離層において分離することを試みた。
その結果、各実施例の転写用基板では、いずれも、粘着剤付シートとの分離が可能であり、配線パターンを粘着剤付シート側に転写することができた。
これに対して、比較例の転写用基板では、石英基板と粘着剤付シートとの分離が困難であった。
そこで、比較例の転写用基板に、再度、エネルギー密度を480mJ/cmでXe−Clエキシマレーザを照射したが、配線パターンの全ての部分を完全に転写するのは困難であった。すなわち、石英基板と粘着剤付シートとの一部において分離困難な箇所が存在した。
多層配線基板の製造工程を説明するための図である。 多層配線基板の製造工程を説明するための図である。 アクティブマトリクス装置の製造工程を説明するための図である。 アクティブマトリクス装置の製造工程を説明するための図である。 アクティブマトリクス装置の製造工程を説明するための図である。 アクティブマトリクス装置の製造工程を説明するための図である。 アクティブマトリクス装置の平面図である。 電気泳動表示装置の製造工程を説明するための図である。 電気泳動表示装置の製造工程を説明するための図である。 電子ペーパーの実施形態を示す斜視図である。 ディスプレイの実施形態を示す図である。
符号の説明
1‥‥転写用基板 100‥‥基板 120‥‥分離層 120a‥‥無機物層 120b‥‥有機物層 121‥‥スルーホール 122‥‥導電性材料 140‥‥被転写層 142‥‥中間層 160、170‥‥接着層 180‥‥可撓性基板(転写体) 190‥‥仮転写基板 200A‥‥多層配線基板 200B‥‥アクティブマトリクス装置 200C‥‥電気泳動表示装置 2‥‥薄膜トランジスタ 3‥‥ソース電極 4‥‥ドレイン電極 41‥‥画素電極 5‥‥有機半導体層 51‥‥チャネル領域 6‥‥ゲート絶縁層 8‥‥ゲート電極 11‥‥保護層 101‥‥ゲート線 102‥‥データ線 25‥‥電気泳動表示部 251‥‥対向基板 252‥‥対向電極 40‥‥マイクロカプセル 400‥‥電気泳動分散液 401、402‥‥電気泳動粒子 45‥‥バインダ材 600‥‥電子ペーパー 601‥‥本体 602‥‥表示ユニット 800‥‥ディスプレイ 801‥‥本体部 802a、802b‥‥搬送ローラ対 803‥‥孔部 804‥‥透明ガラス板 805‥‥挿入口 806‥‥端子部 807‥‥ソケット 808‥‥コントローラー 809‥‥操作部

Claims (17)

  1. 表面に設けられた被転写層を、転写体に転写するのに用いられる転写用基板であって、
    透光性を有する基板と、
    該基板上に設けられ、前記基板側に位置する無機物層と、該無機物層に接触し、前記被転写層側に位置する有機物層とを備える分離層とを有し、
    前記基板を介して前記分離層に光を照射することにより、前記無機物層と前記有機物層との界面において剥離が生じるよう構成されていることを特徴とする転写用基板。
  2. 前記無機物層は、アモルファスシリコンを主材料として構成されている請求項に記載の転写用基板。
  3. 前記アモルファスシリコンは、水素原子の含有量が2原子%未満である請求項に記載の転写用基板。
  4. 前記無機物層は、その平均厚さが1〜1000nmである請求項ないしのいずれかに記載の転写用基板。
  5. 前記有機物層は、有機高分子材料を主材料として構成されている請求項1ないしのいずれかに記載の転写用基板。
  6. 前記有機物層は、絶縁性を有する請求項1ないしのいずれかに記載の転写用基板。
  7. 前記有機物層は、ポリイミド系樹脂を主材料として構成されている請求項に記載の転写用基板。
  8. 前記有機物層は、その平均厚さが1〜2000nmである請求項1ないしのいずれかに記載の転写用基板。
  9. 透光性を有する基板と、該基板上に設けられ、前記基板側に位置する無機物層と、該無機物層に接触し、前記被転写層側に位置する有機物層とを備える分離層とを有し、該分離層の前記基板と反対側の面に配線パターンを含む被転写層が設けられた転写用基板を用意する工程と、
    前記基板を介して前記分離層に、光を照射することにより、前記無機物層と前記有機物層との界面において剥離を生じさせるとともに、前記被転写層を可撓性基板上に転写する工程とを有することを特徴とする可撓性配線基板の製造方法。
  10. 前記無機物層は、気相プロセスにより形成されたものであり、前記有機物層は、液相プロセスにより形成されたものである請求項に記載の可撓性配線基板の製造方法。
  11. 前記有機物層は、前記被転写層を転写する工程において、前記被転写層とともに前記可撓性基板上に転写される請求項または10に記載の可撓性配線基板の製造方法。
  12. 前記有機物層は、絶縁性を有しており、前記可撓性基板上に転写された後、取り除かれることなく絶縁層として利用される請求項11に記載の可撓性配線基板の製造方法。
  13. 前記基板は、波長310nmの光の透過率が10%以上である請求項9ないし12のいずれかに記載の可撓性配線基板の製造方法。
  14. 前記光は、レーザ光である請求項ないし13のいずれかに記載の可撓性配線基板の製造方法。
  15. 前記レーザ光は、その波長が100〜350nmである請求項14に記載の可撓性配線基板の製造方法。
  16. 前記レーザ光は、そのエネルギー密度が100〜300mJ/cmである請求項14または15に記載の可撓性配線基板の製造方法。
  17. 請求項ないし16のいずれかに記載の可撓性配線基板の製造方法を用いることを特徴とする電子機器の製造方法。
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