JP4378672B2 - 回路基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、素子や回路の転写により回路基板を製造する方法に係わり、特に、複数の転写元基板から効率的に素子や回路を転写する回路基板の製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ)や薄膜ダイオード(TFD)等の薄膜素子を備えた回路基板の製造に関し、素子や回路を含む微小基板を転写先の基板に転写することにより、エッチングにより捨てられている素子構成材料を削減し、製造コストを大幅に低減するための技術が種々検討されている。
【0003】
従来、シリコンウェハ上に製造したLSI回路を別な基板上に配置するための技術として、Alien Technology社によって開発された微小構造体技術と称される方法が知られている(Information DISPLAY, Vol.15, No.11 (November 1999))(非特許文献1)。この微小構造体技術は、シリコンウェハ上に製造したLSI回路を微小チップ(=微小構造体)に分離し、ついで該微小構造体を分散した溶媒を、予め埋め込み用の穴がパターンされている基板上に流し、基板上の所定位置に該微小構造体を配置することを特徴としている。この微小構造体技術によれば、シリコンウェハ上に多数形成しておいた微小構造体を、基板上に分散配置することができる。
【0004】
しかしながら、この微小構造体技術においては、微小構造体を基板上に確実に配置すること、及び正確な位置合わせが困難であるという欠点がある。さらに、微小構造体が配置される方向はランダムであるため、回路を対称にする等、特別の回路を微小構造体に設ける必要があった。
【0005】
また液晶表示装置のカラーフィルタの製造において、転写技術を利用する方法が米国特許第6,057,067号に開示されている(特許文献1)。
【0006】
さらに本出願人は、基板上に形成した薄膜トランジスタ等の薄膜素子を転写体に転写する方法として、基板上に剥離層を介して被転写層を形成し、これを総て転写体に接合してから剥離層に光を照射し剥離を生じさせ、基板を剥離層から離脱させる転写方法を開発し、既に特許出願している(特開平10−125931号公報:特許文献2)。同じく本出願人は、被転写層全体を一次転写体に接合し、これをさらに二次転写体に転写するという転写方法を開発し、既に特許出願している(特開平11−26733号公報:特許文献3)。
【0007】
これらの転写技術によれば、製造に高温プロセスを要求される機能性デバイスを、このような高温に耐えることのできないものも含めて所望の基板上に転写することができる。
【0008】
【非特許文献1】
Information DISPLAY, Vol.15, No.11、1999年11月
【特許文献1】
米国特許第6,057,067号
【特許文献2】
特開平10−125931号公報
【特許文献3】
特開平11−26733号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の転写技術には次のような問題があった。
【0009】
すなわち、従来の転写技術では転写元基板に設けられた素子や回路等の被転写体全体を転写先基板に転写するものであったため、素子や回路の一部のみを利用したい場合には、転写後にダイシング等によって転写先基材を所要のチップサイズ(あるいは小型基板サイズ)に切り分けてからバラバラになったチップ等を最終基板上に正確に整列させなければならなかった。このため製造効率が低下し易いという課題があった。また素子や回路等の被転写体全体を剥離させるために、必要な素子や回路の領域以外に広範囲にわたってエネルギーを供給する必要があった。
【0010】
特に、転写元基材に形成した薄膜素子層全体を転写先基材に全面転写する場合、素子や回路が反転して転写先基材に転写されるために、反転して転写された素子や回路を転写先基板の配線等と接続するために、素子や回路に特殊構造を要したり転写先基板における接続のための特別の工程が必要になったりしていた。
【0011】
また一次転写体への転写と二次転写体への再転写とにより素子や回路の表裏を元に戻すことはできるが、転写のための工数が増えることは避けられなかった。
【0012】
さらに従来の転写方法では一枚の転写元基板に形成された素子や回路を転写先基板に転写するものであったため転写元基板に形成されている素子や回路は同一の工程で製造される必要があった。このため同一の製造工程で製造することができない素子や回路を組み合わせた回路基板を従来の転写方法で形成することは困難であった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明は、素子や回路等の被転写体を単位として、向きを反転することなく、比較的簡単に、かつ、製造工程の異なる被転写体を含めて、同一の転写先基板に転写することの可能な回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
本発明において、「剥離層」とは、エネルギーの付与によって転写元基板と被転写体との結合力が弱まるような材料で形成されていればよく、例えばアモルファスシリコン、水素を含有するアモルファスシリコン、窒素を含有するアモルファスシリコン、水素含有合金、窒素含有合金、多層膜、セラミックス、金属、有機高分子材料等を利用可能である。
【0015】
上記方法によれば、それぞれの転写元基板には互いに独立して形成された素子や回路等の被転写体が集積して形成され、それぞれの転写元基板から仮固定によって被転写体が剥離されそのままの向きで転写先基板の所定位置に転写される。このため被転写体の向きを反転させるための中間的な転写基板を用いることなく、簡単に被転写体の配置が可能である。また複数の転写元基板から必要とされる被転写体を選んで配置していくということが可能であるため、複数種類の素子や回路を集積したアセンブリ基板を簡単に製造することができる。
【0016】
ここで本発明において、「被転写体」とは、薄膜トランジスタ、ダイオード、抵抗、インダクタ、キャパシタ、その他能動素子・受動素子を問わない単体の素子、一定の機能を奏するように素子が集積され配線された集積回路等の回路(チップ)、さらに複数の素子の組み合わせからなる回路の一部、集積回路等の回路を1以上組み合わせて一定の機能を奏するように構成された装置の全部又は一部を意味する。すなわち、「被転写体」の構成や形状、大きさに限定はない。
【0017】
また本発明において「転写元基板」とは、被転写体が複数集積して形成される基板をいい、必ずしも平板であることを要しない。例えば被転写体が球面に形成されるものでもよく、また可撓性を有するフィルムのように一定の剛性を有しないものでもよい。
【0018】
さらに本発明において「転写先基板」とは、最終的に被転写体を配置すべき対象をいい、必ずしも平板であることを要しない。例えば被転写体が球面に形成されるものでもよく、また可撓性を有するフィルムのように一定の剛性を有しないものでもよい。
【0019】
さらにまた本発明において「仮固定」とは、圧力、静電力、磁力、機械的な力によって被転写体をそのままの向きで一定の力でその力を解除可能に固定することをいい、被転写体を一時的に保持できるものであればその手段を問わない。
【0021】
また本発明は、表面に突起が形成された転写元基板上に剥離層と被転写体層とを積層する第1工程と、前記転写元基板と前記被転写体層との間に積層する前記剥離層にエネルギーを付与する第2工程と、前記転写元基板から前記複数の被転写体のうち少なくとも一つを剥離し、転写先基板に転写する第3工程と、を有し、前記転写元基板上に形成される突起は、前記被転写体層間の連続性を弱めて破断容易とするように形成されることを特徴とする回路基板の製造方法でもある。
【0022】
さらに本発明は、表面に溝部が形成された転写元基板上に剥離層と被転写体層とを積層する第1工程と、前記転写元基板と前記被転写体層との間に積層する前記剥離層にエネルギーを付与する第2工程と、前記転写元基板から前記複数の被転写体のうち少なくとも一つを剥離し、転写先基板に転写する第3工程と、を有し、前記転写元基板上に形成される溝部は、前記被転写体層間の連続性を弱めて破断容易とするように形成されることを特徴とする回路基板の製造方法でもある。
【0023】
ここで、本発明において、エネルギーは光であり、該光は剥離層の構成材料の原子または分子の結合を切断し、剥離層の少なくとも一部を相変化させるものであることは好ましい。例えば、エネルギーとして光を照射するものとすれば、任意の領域へのエネルギー付与が行え、併せて正確な位置合わせが可能であるため、特に被転写体が微少な大きさである場合に有利である。ここでエネルギー源には限定はないが、例えばレーザ光を用いれば、コヒーレント光であるため効率的にエネルギーを付与でき、併せて正確な位置にエネルギーを付与することが可能である。
【0024】
ここで、本発明において、剥離工程は、複数の被転写体のうち少なくとも一つを仮固定手段に仮固定して剥離することは好ましい。上記方法によれば、同一工程で形成された複数種類の被転写体が転写元基板上に形成されているので、その被転写体の種類を選んで仮固定して剥離してから転写することになる。このため被転写体の向きを反転させるための中間的な転写基板を用いることなく、簡単に任意の種類の被転写体の配置が可能である。また複数種類の被転写体を選んで配置していくということが可能であるため、複数種類の素子や回路を集積したアセンブリ基板を簡単に製造することができる。
【0025】
ここで、仮固定手段は複数の被転写体のうち少なくとも一つを吸引するものであることは好ましい。
ここで本発明において、「吸引」とは一部に相対的な低気圧部分を作り出して周りの高気圧によって対象物が低気圧部分に引き寄せられることをいう。例えば真空ピンセットによって、個々の被転写体を「吸引」しその吸引力で剥離することになる。
ここで「仮固定手段」は吸引により被転写体を仮固定できる構造であればよく、その構造に特に限定はない。例えば、真空ピンセットは、柔軟性のある樹脂で形成された先端部を備えた管形状をなしており、真空ポンプ等によって先端部の開口から吸引することができるようになっている。この先端部を被転写体の表面に当接させて吸引させれば、被転写体が仮固定される。この仮固定手段は搬送手段によって転写元基板から転写先基板へ相対的に位置を変更し吸引物の搬送ができるようになっている。
【0045】
また本発明は、上記回路基板の製造方法によって製造される回路基板を備える電気光学装置でもある。
【0046】
ここで、「電気光学装置」とは、電気的作用によって発光するあるいは外部からの光の状態を変化させる電気光学素子を備えた装置一般をいい、自ら光を発するものと外部からの光の通過を制御するもの双方を含む。例えば、電気光学素子として、液晶素子、電気泳動素子、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、電界の印加により発生した電子を発光板に当てて発光させる電子放出素子を備えたアクティブマトリクス型の表示装置等をいう。
【0047】
例えば、EL素子を用いた電気光学装置であれば、EL素子の製造工程とこれを駆動する薄膜トランジスタ等の素子の製造工程とが異なる。これらをそれぞれ別の転写元基板上に製造しそれぞれ被転写体として選択的に集積することで、簡単に電気光学装置の編成が可能である。
【0048】
また、転写法を利用することで、EL素子の製造時に、発光層及び反射防止層に熱的ダメージを与えることなくEL素子を転写により実装できるとともに、従来のように基板と発光層の間に素子を形成する場合と比べ素子が表示の邪魔にならないために表示性能が向上するという効果も奏する。
【0049】
また本発明は、上記回路基板の製造方法によって製造される回路基板を備える電子機器でもある。
【0050】
本発明の電子機器によれば、電子機器を構成する複数の素子や回路等の被転写体について、それぞれが同一工程で製造可能であれば一の転写元基板に形成し、他の製造工程が必要であれば他の転写元基板に製造し、それぞれの転写元基板から選択的に被転写体を吸引し、電子機器製造のための回路基板上に集積することができる。このため多種多様な素子や回路を利用する電子機器の製造方法として本発明は簡便な方法を提供することとなる。
【0051】
また、本発明では転写法を利用しているため、基材上に間隔をおいて分散配置される電子機器に用いられる多数の素子や回路を転写元基材上に集中的に製造し、それらを転写先基材上の所定位置に正確に転写することができるので、基板上に直接素子を形成し製造される従来の電子機器と比べ、薄膜トランジスタ等の素子製造における面積効率を大幅に向上できる。
【0052】
また多数の素子や回路を転写元基材上に集中的に製造してから、転写先基材に転写して製造するので、熱等の製造プロセスにおいて一旦製造した素子や回路にダメージを与えることなく最終的に転写先基材に実装させることができ、電子機器の性能向上を図ることができる。
【0053】
さらに素子や回路を転写前に選別、排除することが容易に実行可能となり、その結果製品歩留まりを向上することができる。
【0054】
また、微小な素子や回路を最終的な転写先基材の所定位置に正確に配置することによって基板の曲げに対する追従性が向上し、フレキシブルな転写先基材を用いることによって、しなやかで、軽く、落下の衝撃にも強い電子機器を提供することができる。さらに曲面ディスプレイ等の曲面を有する電子機器を提供することもできるので、従来品では不可能であるかまたは困難であった形状とすることができ、製品設計の自由度が広げられる。
【0055】
ここで「電子機器」とは、複数の素子または回路の組み合わせにより一定の機能を奏する機器一般をいい、例えば電気光学装置やメモリを備えて構成される。回路基板を一枚または複数備えることが可能である。その構成に特に限定が無いが、例えば、ICカード、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が含まれる。
【0056】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好適な実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、それぞれ異なる種類の被転写体が複数形成されている複数の転写元基板のそれぞれから一以上の当該被転写体を仮固定して剥離し、剥離された被転写体を転写先基板の各々を、予め定められた位置にそれぞれ転写していく回路基板の製造方法である。
【0057】
図1に本第1の実施の形態に係る回路基板の製造方法の概略図を示す。
本第1の実施の形態は、連続的に回路基板を製造する方法に係る。すなわち、図1に示すように、転写先基板SUBDを一枚ずつ供給する工程(S10)と、後述する転写方法によって被転写体の剥離・転写する工程(S11〜S14)と、転写後の転写先基板SUBDを順次排出する工程(S15)と、を繰り返して、転写先基板SUBD1〜nが順次供給・製造されるようになっている。
【0058】
転写方法としては、まず第1被転写体Saが複数形成された第1転写元基板SUBAからいずれかの第1被転写体Saを仮固定して剥離する工程(S11)、剥離された第1被転写体Saを転写先基板SUBDの予め定められた位置Paに転写する工程(S12)、第2被転写体Sbが複数形成された第2転写元基板SUBBからいずれかの第2被転写体Sbを仮固定して剥離する工程(S13)、及び剥離された第2被転写体Sbを転写先基板SUBDの予め定められた位置Pbに転写する工程(S14)を備えている。
【0059】
転写元基板SUBAには、予め、領域Aにおいて同一の被転写体Saが複数集積して形成されている。同様に転写元基板SUBBには、予め領域Bにおいて同一の被転写体Sbが複数集積して形成されている。これらの形成方法は次のステップS101〜S103において詳述する。
【0060】
なお、転写元基板SUBAやSUBBに被転写体SaまたはSbを形成する工程はどちらが先に形成するものでもよいし同時に形成するものでもよい。
【0061】
被転写体SaまたはSbの剥離は、仮固定手段HaまたはHbによる。当該仮固定手段HaまたはHbを被転写体SaまたはSbに当接させ、仮固定手段により吸引することにより被転写体を仮固定し、被転写体SaまたはSbが仮固定された仮固定手段HaまたはHbを移動(図では上昇)させて当該被転写体を転写元基板から剥離して達成される。
【0062】
また被転写体SaまたはSbの転写は、転写先基板SUBAまたはSUBBに図示しない接着手段を供給し、仮固定手段HaまたはHbを転写先基板SUBAまたはSUBBの予め定められた位置PaまたはPbに搬送して当該被転写体を接着し、接着された被転写体SaまたはSbを搬送した仮固定手段HaまたはHbの吸引を解除することにより仮固定を解除して達成される。
【0063】
なお、転写元基板SUBAやSUBBに被転写体SaまたはSbを形成する工程はどちらが先に形成するものでもよいし同時に形成するものでもよい。同様に被転写体SaまたはSbの剥離・転写はどちらが先に行うものでも同時に行うものでもよい。仮固定手段を兼用とし被転写体SaおよびSbを順に剥離・転写するものでもよい。また、転写先基板SUBDには予め所定のパターンP0を設けておいてもよい。
【0064】
次に、図2に示す本第1の実施の形態に係る回路基板の製造方法の製造工程断面図を参照して、詳細な製造方法を説明する。
(剥離層形成工程:ST101)
まず図2:ST101に示すように、転写元基板10上に剥離層11を形成する。
転写元基板10は、光が透過し得る透光性を有するものであることが好ましい。これにより転写元基板を介して剥離層に光を照射することができ、剥離層を光照射によって迅速かつ正確に剥離させることができるからである。光の透過率は10%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。この透過率が高い程光の減衰(ロス)がより少なくなり、剥離層11を剥離するのにより小さな光量で済むからである。
【0065】
転写元基板10は、信頼性の高い材料で構成されているのが好ましく、特に、耐熱性に優れた材料で構成されているのが好ましい。その理由は、被転写体層12を形成する際に、その種類や形成方法によってはプロセス温度が高くなる(例えば350〜1000℃程度)ことがあるが、そのとき転写元基板10が耐熱性に優れていれば、転写元基板10上への被転写体層12の形成に際し、その温度条件等の成膜条件の設定の幅が広がるからである。これにより転写元基板上に多数の素子や回路を製造する際、所望の高温処理が可能となり、信頼性が高く高性能の素子や回路を製造することができる。
【0066】
従って、転写元基板10は、被転写体層12の形成の際の最高温度をTmaxとしたとき、歪点がTmax以上の材料で構成されているものが好ましい。具体的には、転写元基板10の構成材料は、歪点が350℃以上のものが好ましく、500℃以上のものがより好ましい。このようなものとしては、例えば、石英ガラス、コーニング7059、日本電気ガラスOA−2等の耐熱性ガラスが挙げられる。
【0067】
また、転写元基板10の厚さは、特に限定されないが、通常は、0.1〜5.0mm程度であるのが好ましく、0.5〜1.5mm程度であるのがより好ましい。転写元基板10の厚さがより厚ければより強度が上昇し、より薄ければ転写元基板10の透過率が低い場合に、光の減衰をより生じにくくなるからである。なお、転写元基板10の光の透過率が高い場合には、その厚さは、前記上限値を超えるものであってもよい。
【0068】
なお、光を均一に照射できるように、転写元基板10の厚さは、均一であるのが好ましい。
【0069】
このように転写元基材である転写元基板には数々の条件があるが、転写元基材は最終製品となる転写先基材とは異なり、繰り返し利用することが可能であるため、比較的高価な材料を用いても繰り返し使用によって製造コストの上昇を少なくすることが可能である。
【0070】
剥離層11は、照射される光を吸収し、その層内および/または界面において剥離(以下、「層内剥離」、「界面剥離」と言う)を生じるような性質を有するものであり、好ましくは、光の照射により、剥離層11を構成する物質の原子間または分子間の結合力が消失または減少すること、すなわち、アブレーションが生じて層内剥離および/または界面剥離に至るものがよい。
【0071】
光の照射により、剥離層11から気体が放出され、分離効果が発現される場合もある。すなわち、剥離層11に含有されていた成分が気体となって放出される場合と、剥離層11が光を吸収して一瞬気体になり、その蒸気が放出され、分離に寄与する場合とがある。このような剥離層11の組成としては、例えば、次の材料A〜Fに記載されるものが挙げられる。
【0072】
材料A.アモルファスシリコン(a−Si)
このアモルファスシリコン中には、水素(H)が含有されていてもよい。この場合、Hの含有量は、2原子%以上程度であるのが好ましく、2〜20原子%程度であるのがより好ましい。このように、水素(H)が所定量含有されていると、光の照射によって水素が放出され、剥離層11に内圧が発生し、それが上下の薄膜を剥離する力となる。アモルファスシリコン中の水素(H)の含有量は、成膜条件、例えばCVDにおけるガス組成、ガス圧、ガス雰囲気、ガス流量、温度、基板温度、投入パワー等の条件を適宜設定することにより調整することができる。アモルファスシリコンは光吸収性がよく、また、成膜も容易であり実用性が高い。したがって、剥離層をアモルファスシリコンで構成することによって、光照射により正確に剥離を生じる剥離層を安価に形成することができる。
【0073】
材料B.酸化ケイ素又はケイ酸化合物、酸化チタンまたはチタン酸化合物、酸化ジルコニウムまたはジルコン酸化合物、酸化ランタンまたはランタン酸化化合物等の各種酸化物セラミックス、透電体(強誘電体)あるいは半導体
酸化ケイ素としては、SiO、SiO2、Si3O2が挙げられ、ケイ酸化合物としては、例えばK2SiO3、Li2SiO3、CaSiO3、ZrSiO4、Na2SiO3が挙げられる。
【0074】
酸化チタンとしては、TiO、Ti2O3、TiO2が挙げられ、チタン酸化合物としては、例えば、BaTiO4、BaTiO3、Ba2Ti9O2 0、BaTi5O11、CaTiO3、SrTiO3、PbTiO3、MgTiO3、ZrTiO2、SnTiO4、Al2TiO5、FeTiO3が挙げられる。
【0075】
酸化ジルコニウムとしては、ZrO2が挙げられ、ジルコン酸化合物としては、例えばBaZrO3、ZrSiO4、PbZrO3、MgZrO3、K2ZrO3が挙げられる。
【0076】
また窒素を含有するシリコンで構成することは好ましい。剥離層に窒素含有シリコンを用いた場合、光の照射に伴い窒素が放出され、これによって剥離層における剥離が促進されるからである。
【0077】
材料C.PZT、PLZT、PLLZT、PBZT等のセラミックスあるいは誘電体(強誘電体)
【0078】
材料D.窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化物セラミックス
【0079】
材料E.有機高分子材料有機高分子材料としては、−CH−、−CO−(ケトン)、−CONH−(アミド)、−NH−(イミド)、−COO−(エステル)、−N=N−(アゾ)、−CH=N−(シッフ)等の結合(光の照射によりこれらの結合が切断される)を有するもの、特に、これらの結合を多く有するものであればいかなるものでもよい。また、有機高分子材料は、構成式中に芳香族炭化水素(1または2以上のベンゼン環またはその縮合環)を有するものであってもよい。
【0080】
このような有機高分子材料の具体例としては、ポリエチレン,ポリプロピレンのようなポリオレフィン,ポリイミド,ポリアミド,ポリエステル,ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリフェニレンサルファイド(PPS),ポリエーテルスルホン(PES),エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0081】
材料F.金属
金属としては、例えば、Al,Li,Ti,Mn,In,Sn,Y,La,Ce,Nd,Pr,Gd,Smまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金が挙げられる。
【0082】
その他、剥離層11を水素含有合金で構成することもできる。剥離層に水素含有合金を用いた場合、光の照射に伴い水素が放出され、これによって剥離層における剥離が促進されるからである。
【0083】
また、剥離層11を窒素含有合金で構成することもできる。剥離層に窒素含有合金を用いた場合、光の照射に伴い窒素が放出され、これによって剥離層における剥離が促進されるからである。
【0084】
さらに、剥離層11を多層膜からなるものとすることもできる。多層膜は、例えばアモルファスシリコン膜とその上に形成された金属膜とからなるものとすることができる。多層膜の材料として、上記したセラミックス,金属,有機高分子材料の少なくとも一種から構成することもできる。このように剥離層を多層膜または異種材料の組み合わせによる膜として構成すれば、アモルファスシリコンの場合と同様に、光の照射に伴う水素ガスや窒素ガスの放出によって、分離層における剥離が促進されるからである。
【0085】
剥離層11の厚さは、剥離目的や剥離層の組成、層構成、形成方法等の諸条件により異なるが、通常は、1nm〜20μm程度であるのが好ましく、10nm〜2μm程度であるのがより好ましく、40nm〜1μm程度であるのがさらに好ましい。剥離層11の膜厚がより大きい程より成膜の均一性を保て剥離にムラを生じにくくなる一方、膜厚がより薄い程剥離層11の良好な剥離性を確保するための光のパワー(光量)が小さくて済むとともに、後に剥離層11を除去する際にその作業にかかる時間がより少なくなるからである。なお、剥離層11の膜厚は、できるだけ均一であるのが好ましい。
【0086】
剥離層11の形成方法は、特に限定されず、膜組成や膜厚等の諸条件に応じて適宜選択される。たとえば、CVD(MOCVD、低圧CVD、ECR−CVDを含む)、蒸着、分子線蒸着(MB)、スパッタリング、イオンプレーティング、PVD等の各種気相成膜法、電気メッキ、浸漬メッキ(ディッピング)、無電解メッキ等の各種メッキ法、ラングミュア・プロジェット(LB)法、スピンコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布法、各種印刷法、転写法、インクジェットコーティング法、粉末ジェット法等が挙げられ、これらのうちの2以上を組み合わせて形成することもできる。
【0087】
例えば、剥離層11の組成がアモルファスシリコン(a−Si)の場合には、CVD、特に低圧CVDやプラズマCVDにより成膜するのが好ましい。
【0088】
また、剥離層11をゾル−ゲル法によるセラミックスで構成する場合や、有機高分子材料で構成する場合には、塗布法、特に、スピンコートにより成膜するのが好ましい。
【0089】
なお、図2には示されていないが、転写元基板10と剥離層11の性状に応じて、両者の密着性の向上等を目的とした中間層を転写元基板10と剥離層11の間に設けても良い。この中間層は、例えば製造時または使用時において被転写層を物理的または化学的に保護する保護層、絶縁層、被転写層へのまたは被転写層からの成分の移行(マイグレーション)を阻止するバリア層、反射層としての機能のうち少なくとも一つを発揮するものである。
【0090】
この中間層の組成は、その目的に応じて適宜選択されえる。例えば非晶質シリコンで構成された剥離層と被転写層との間に形成される中間層の場合には、SiO2等の酸化珪素が挙げられる。また、他の中間層の組成としては、例えば、Pt、Au、W,Ta,Mo,Al,Cr,Tiまたはこれらを主成分とする合金のような金属が挙げられる。
【0091】
中間層の厚みは、その形成目的に応じて適宜決定される。通常は、10nm〜5μm程度であるのが好ましく、40nm〜1μm程度であるのがより好ましい。中間層の膜厚がより大きい程より成膜の均一性を保て密着性にムラを生じにくくなる一方、膜厚がより薄い程剥離層にまで透過すべき光の減衰がより少なくなるからである。
【0092】
中間層の形成方法としては、前記剥離層で説明した各種の方法が適用可能である。中間層は、一層で形成する他、同一または異なる組成を有する複数の材料を用いて二層以上形成することもできる。
【0093】
(被転写体形成工程:ST102)
次に、図2:ST102に示すように、剥離層11上に複数の被転写体12aからなる転写体層12を形成する。各被転写体12aは、薄膜トランジスタその他の能動素子や受動素子、又はそれらの組み合わせからなる回路である。被転写体12aは、個々の素子であったり集積回路等の独立した機能を有するチップであったり、さらに両者の中間の独立した機能は奏しないが他の素子や回路と組み合わせることにより独立して機能する回路の部分であったりする。したがってその構造やサイズに限定はない。各被転写体12aは、同じ機能の素子又は回路を複数形成する場合の他、異なる機能の素子又は回路を複数形成したり、異なる種類の素子又は回路をそれぞれ複数個ずつ形成したりしてもよい。
【0094】
いずれにせよ、被転写体12aは同一の基板上に形成されるものであるため、同様な製造プロセスで製造可能であるものである。
【0095】
本実施の形態では、特に、被転写体を薄膜素子または薄膜素子で構成される集積回路とする。このような薄膜素子は製造過程においてある程度の高温プロセスが要求され、薄膜素子を形成する基材は転写元基板のように種々の条件を満たす必要がある。一方で製品化する最終基板は例えば可撓性を有するフレキシブル基板であることが考えられる。このように薄膜素子の製造では、転写先基板に求められる要件と薄膜素子を製造する基板に求められる条件が相反する可能性があるが、本発明の製造方法を適用すれば、製造条件を満たす基板で薄膜素子を製造してから、この製造条件を満たさない転写先基板に薄膜素子を転写することが可能である。
【0096】
このような薄膜素子の例として、薄膜トランジスタの他に、例えば、薄膜ダイオードや、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子(光センサ、太陽電池)やシリコン抵抗素子、その他の薄膜半導体デバイス、電極(例:ITO、メサ膜のような透明電極)、スイッチング素子、メモリ、圧電素子等のアクチュエータ、マイクロミラー(ピエゾ薄膜セラミックス)、磁気記録薄膜ヘッド、コイル、インダクター、抵抗、キャパシタ、薄膜高透磁材料およびそれらを組み合わせたマイクロ磁気デバイス、フィルター、反射膜、ダイクロイックミラー等がある。
【0097】
図3(a)は、本実施の形態において用いられる被転写体12aの一例である薄膜トランジスタTの断面図である。この薄膜トランジスタTは、剥離層11に中間層13を介して形成されており、ゲート絶縁膜14、ゲート電極16、層間絶縁膜15、及びアルミニウム等からなる電極17、チャネル領域18、及びポリシリコン層にn型不純物を導入して形成されたソース,ドレイン領域19を具備する。薄膜トランジスタTはこのような構成に限定されることなく、シリコンベースのトランジスタやSOI(silicon on insulator)などの種々の構造を適用し得る。
【0098】
中間層13としてはSiO2膜を使用する。その他中間層として、Si3N4その他の絶縁膜を使用することもできる。中間層13の厚みは、その形成目的や発揮し得る機能の程度に応じて適宜決定されるが、通常は、10nm〜5μm程度であるのが好ましく、40nm〜1μm程度であるのがより好ましい。中間層は、種々の目的で形成され、例えば、被転写体(薄膜素子)12aを物理的または化学的に保護する保護層,絶縁層,導電層,レーザ光の遮光層,マイグレーション防止用のバリア層,反射層としての機能の内の少なくとも1つの機能を発揮する。
【0099】
なお、場合によっては、中間層13を形成せず、剥離層11上に直接被転写体(薄膜素子)12aを形成してもよい。
【0100】
図3(b)及び図3(c)は、本実施の形態において用いられる被転写体12aの一例として、本発明の転写方法で製造され、薄膜素子を集積して構成される集積回路であるスタティックRAMを示してある。
【0101】
図3(c)に示すように、当該集積回路200は、メモリセルアレー201、アドレスバッファ202、行デコーダ203、ワードドライバ204、アドレスバッファ205、列デコーダ206、列選択スイッチ207、入出力回路208、及び制御回路209の各ブロックを備えている。各ブロックには、薄膜トランジスタを中心とする回路が形成されており、互いのブロック間には金属層をパターニングすることによる配線が形成されている。
【0102】
図3(b)は、図3(c)の3B―3B断面における集積回路200の断面図であり、p型MOSトランジスタTpとn型MOSトランジスタTnとが形成されている付近を示している。当該断面図に示すように、剥離層11の上に被転写体層12が形成されている。被転写体層12は、下地となるシリコン層13、多数の素子や配線の層構造が形成された配線層210、および上面を保護するための保護層217等が形成されている。
【0103】
配線層210には、ウェル領域211、不純物が導入され、ソースまたはドレインを形成する半導体領域212、ゲート絶縁膜214、ゲート配線膜213、層間絶縁膜215、金属配線層216等によって回路が形成されている。保護層217は、配線層210を保護するための膜である。集積回路200の回路構成は種々に考えられるが、このようなメモリ回路に関するものの他、例えば電気光学装置である表示装置用の画素駆動回路等にも適用が考えられる。このように、被転写体12aとしては、個々の素子のみならず素子の組み合わせによって一定の機能を奏するように構成された集積回路も適用可能である。
【0104】
図4に、被転写体12aの製造方法として、図3(a)で説明したような薄膜トランジスタTの製造方法を例示する。
【0105】
まず、ST110に示すように、転写元基板10上にSiO2膜を堆積させて中間層13を形成する。SiO2膜の形成方法としては、公知の方法、例えば、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)や低圧化学気相堆積法(LPCVD法)、スパッタリング法等の気相堆積法が挙げられる。例えば、PECVD法を利用することにより厚さ1μmの中間層13を形成する。次いで公知の方法、例えばLPCVD法を適用して半導体膜18を形成する。この半導体膜18をパターニングして、薄膜トランジスタの半導体領域の形状に形成する。
【0106】
次に、ST111に示すように、SiO2等の絶縁膜14を所定の製造方法、例えば電子サイクロトロン共鳴PECVD法(ECR−CVD法)、平行平板PECVD法、またはLPCVD法にて形成する。この絶縁膜14は薄膜トランジスタのゲート絶縁膜として機能するものである。
【0107】
次に、ST112に示すように、所定のゲート用金属、例えばタンタルまたはアルミニウムの金属薄膜をスパッタリング法により形成した後、パターニングすることによって、ゲート電極16を形成する。そしてこのゲート電極16をマスクとして、ドナーまたはアクセプターとなる不純物イオンを打ち込み、ソース/ドレイン領域19をゲート電極16に対して自己整合的に作製する。例えば、NMOSトランジスタを作製するためには、不純物元素としてリン(P)を所定の濃度、例えば1×1016cm−2の濃度でソース/ドレイン領域に打ち込む。その後、適当なエネルギーの印加、例えばXeClエキシマレーザを照射エネルギー密度200から400mJ/cm2程度で照射するか、250℃から450℃程度の温度で熱処理することにより、不純物元素の活性化を行う。
【0108】
次に、ST113に示すように、絶縁膜14およびゲート電極16の上面に、所定の方法、例えばPECVD法により約500nmのSiO2膜15を形成する。次に、ソース/ドレイン領域19に至るコンタクトホールをSiO2膜14及び15に設けて、これらコンタクトホールおよびコンタクトホールの周縁部に、所定の方法、例えばスパッタリング法でアルミニウム等を堆積してソース/ドレイン電極17を形成する。
【0109】
(被転写体分離工程:ST103)
次に、図2:ST103に示すように、被転写体層12を素子や回路等の被転写体12a単位に分割する。具体的には、被転写体12aの周辺領域をエッチングして被転写体層12及び剥離層11を完全に分離する。エッチングにはウェットエッチングまたはドライエッチングを用いる。エッチングにより被転写体12aの周囲には溝12cが形成されており、各々の被転写体12aが島状に残されている。このような溝を設けることにより、一つの被転写体12aに対応する剥離層11の結合力を弱めれば、その被転写体のみを確実に選択してきれいに剥離することが可能となり、当該被転写体が剥離の際に破壊されることを防止することが可能となる。また剥離に伴う被転写体層12の破断が隣接領域に及ばないようにすることが可能となる。また、膜厚方向にカットを入れておくことによって、特定の被転写体12aを仮固定するための仮固定手段の接合力が弱い場合であっても被転写体12aを剥がすことが可能となる。また、転写対象となる領域の外観が明確であるので基板間の転写の際の位置合わせが容易となる。
【0110】
図5に、被転写層12における各被転写体12aの分離方法の変形例について示す。被転写体の分離工程は、個々の被転写体を選択的に分離するという目的を達成すればよく、その目的を達成できる範囲において変形が可能である。
【0111】
例えば、図5(a)に示すように、完全に被転写体層12と剥離層11とをエッチングで分離する変わりに、被転写体層12のみをエッチングして島状にしておいてもよい。被転写体12aが形成された領域に満遍なくエネルギーを付与できるのならこの領域の剥離層11に確実に剥離を生じさせることができるため、剥離層11自体に亀裂を設けていなくても所望の被転写体のみを剥離させることが可能である。
【0112】
また図5(b)に示すように、剥離層11の途中までエッチングして被転写体12aを島状に残しておくこともできる。このような分離によれば、剥離層の分離がこのエッチングの溝に沿って綺麗に生じさせることができる。
【0113】
また図5(c)に示すように、エッチング、特にウェットエッチングを強めることで、各々の被転写体12aとその直下の剥離層11とを同じ形状で島状に残すようにしてもよい。剥離層11をオーバーエッチングすることによって、剥離層の面積が少なくなるため剥離層11に光を照射して剥離する際に少ない力で確実に剥離できるとともに、剥離層11を縮小することによって剥離の際に必要な光エネルギー量を減らすことができるからである。
【0114】
逆に図5(d)に示すように、被転写体層12の途中までエッチングによりカットしておくことも可能である。被転写体層12が薄く、仮固定による機械的な剥離力によって破断するものであれば、溝12cが比較的浅くても分離が可能である。このような分離では、被転写体12aの周囲にそって破断が生じるため、素子や回路に影響を与えないように、破断線の周囲に沿って素子や回路を設けない禁止領域を形成しておくことが好ましい。
【0115】
または図5(e)に示すように、転写元基板10の表面に転写対象領域の外周に沿って盛り上がった突起10bを形成しておく。このような凸部構造が剥離層11に生じ(11b)さらに被転写体層12にも生ずる(12b)。このような構造により隣接する被転写体間の連続性が弱められ、当該構造によって仕切られる領域にそって被転写体層12を破断させやすくなる。凸部構造の代わりに凹部構造としてもよい。
【0116】
なお、凸部構造をした転写元基板10上に剥離層11を形成してからエッチバック等により剥離層表面を平坦化してから被転写層12を形成してもよい。
【0117】
(剥離工程:ST104)
次に、図2:ST104に示すように、転写させたい被転写体12aに対応する領域の剥離層11に選択的に光Lを照射することによって、転写するべき被転写体12aを支持している剥離層11に剥離(層内剥離および/または界面剥離)を生じさせる。
【0118】
剥離層11の層内剥離および/または界面剥離が生じる原理は、剥離層11の構成材料にアブレーションが生じること、また、剥離層11に含まれているガスの放出、さらには照射直後に生じる溶融、蒸散等の相変化によるものである。
【0119】
ここで、アブレーションとは、照射光を吸収した固定材料(剥離層11の構成材料)が光化学的または熱的に励起され、その表面や内部の原子または分子の結合が切断されて放出することをいい、主に、剥離層11の構成材料の全部または一部が溶融、蒸散(気化)等の相変化を生じる現象として現れる。また、前記相変化によって微小な発泡状態となり、結合力が低下することもある。
【0120】
剥離層11が層内剥離を生じるか、界面剥離を生じるか、またはその両方であるかは、剥離層11の組成や、その他種々の要因に左右され、その要因の1つとして、照射される光の種類、波長、強度、到達深さ等の条件が挙げられる。
【0121】
照射する光Lとしては、剥離層11に層内剥離および/または界面剥離を起こさせるものであればいかなるものでもよく、例えば、X線、紫外線、可視光、赤外線(熱線)、レーザ光、ミリ波、マイクロ波、電子線、放射線(α線、β線、γ線)等が挙げられる。
【0122】
そのなかでも、剥離層11の剥離(アブレーション)を生じさせ易く、かつ高精度の局部照射が可能である点で、レーザ光が好ましい。レーザ光はコヒーレント光であり、転写元基板10を介して剥離層に高出力パルス光を照射して高精度で所望部分に剥離を生じさせるのに好適である。したがって、レーザ光の使用によって、容易にかつ確実に被転写体12aを剥離させることができる。
【0123】
このレーザ光を発生させるレーザ装置としては、各種気体レーザ、固体レーザ(半導体レーザ)等が挙げられるが、エキシマレーザ、Nd−YAGレーザ、Arレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Neレーザ等が好適に用いられる。
【0124】
このレーザ光としては、波長100nm〜350nmを有するレーザ光が好ましい。このように短波長レーザ光を用いることにより、光照射精度が高められるとともに、剥離層11における剥離を効果的に行うことができる。
【0125】
上述の条件を満たすレーザ光としては、例えばエキシマレーザを挙げることができる。エキシマレーザは、短波長紫外域の高エネルギーのレーザ光出力が可能なガスレーザであり、レーザ媒質として希ガス(Ar,Kr,Xeなど)とハロゲンガス(F2,HClなど)とを組み合わせたものを用いることにより、代表的な4種類の波長のレーザ光を出力することができる(XeF=351nm,XeCl=308nm,KrF=248nm,ArF=193nm)。エキシマレーザは、短波長域で高エネルギーを出力するため、極めて短時間で剥離層11にアブレーションを生じさせることができ、よって転写元基板10に温度上昇をほとんど生じさせることなく、被転写体12a等に劣化、損傷を生じさせることなく、剥離層11を剥離することができる。
【0126】
あるいは、剥離層11に、例えばガス放出、気化、昇華等の相変化を起こさせて分離特性を与える場合、照射されるレーザ光の波長は、350から1200nm程度が好ましい。
【0127】
このような波長のレーザ光は、YAG、ガスレーザなどの一般加工分野で広く使用されるレーザ光源や照射装置を用いることができ、光照射を安価にかつ簡単に行うことができる。また、このような可視光領域の波長のレーザ光を用いることによって、転写元基板10が可視光透光性であればよく、転写元基板10の選択の自由度を広げることができる。
【0128】
また、照射されるレーザ光のエネルギー密度、特に、エキシマレーザの場合のエネルギー密度は、10〜5000mJ/cm2程度とするのが好ましく、100〜500mJ/cm2程度とするのがより好ましい。また、照射時間は、1〜1000nsec程度とするのが好ましく、10〜100nsec程度とするのがより好ましい。エネルギー密度がより高くまたは照射時間がより長い程アブレーション等が生じ易く、一方で、エネルギー密度がより低くまたは照射時間がより短い程剥離層11を透過した照射光により被転写体12a等に悪影響を及ぼすおそれを低減できるからである。
【0129】
なお、剥離層11を透過した照射光が被転写体12aにまで達して悪影響を及ぼす場合の対策としては、例えば、剥離層11上にタンタル(Ta)等の金属膜を形成する方法がある。これにより、剥離層11を透過したレーザ光は、金属膜の界面で完全に反射され、それよりの上の被転写体12aに悪影響を与えない。
【0130】
レーザ光に代表される照射光は、その強度が均一となるように照射されるのが好ましい。照射光の照射方向は、剥離層11に対し垂直な方向に限らず、剥離層11に対し所定角度傾斜した方向であってもよい。
【0131】
また、剥離層11の面積が照射光の1回の照射面積より大きい場合には、剥離層11の全領域に対し、複数回に分けて照射光を照射することもできる。また、同一箇所に2回以上照射してもよい。また、異なる種類、異なる波長(波長域)の照射光(レーザ光)を同一領域または異なる領域に2回以上照射してもよい。
【0132】
(仮固定工程:ST105)
次に、図2:ST105に示すように、仮固定手段Vによって剥離させるべき被転写体12aを仮固定して転写元基板10から剥離する。具体的には、仮固定手段Vを剥離させるべき被転写体12aに当接させる。そして仮固定手段Vによいり吸引することにより被転写体12aを仮固定してから仮固定手段Vを移動(上昇)させて当該被転写体12aを転写元基板10から剥離する。
【0133】
仮固定手段Vとしては、真空ピンセットを用いる。当該真空ピンセットとは、中空状のピンセットであって、先端部を含めて樹脂で覆われており、真空ポンプによって先端部から吸引することが可能になっているピンセットであり、ウェハ搬送用のピンセットやマニュアル用のピンセットがある。例えば、フロロメカニック(Fluoro Mechanic)社製の真空ピンセットC001-C-X-100-97やC001-D-Y-161-92等を真空ポンプFV-30、FV-60、FV-TP等と組み合わせて利用することが可能である。真空ピンセットには吸引した被転写体を転写先基板まで相対的に搬送する搬送手段が必要である。搬送手段は転写元基板と転写先基板とを動かすものであってもよい。
【0134】
図2:ST105に示すように、被転写体12aが転写された転写元基板10には、剥離層11の剥離残分が付着している場合があり、これを完全に取り除くことが望ましい。残存している剥離層11を除去するための方法は、例えば洗浄、エッチング、アッシング、研磨等の方法、またはこれらを組み合わせた方法の中から適宜選択して採用することができる。
【0135】
同様に、剥離された被転写体12aの底面にも剥離層11の剥離残分が付着している場合には、前記と同様に除去することができる。これによって総ての被転写体12aが剥離された後に、この転写元基板10を再利用(リサイクル)に供することができる。転写元基板10を再利用することにより、製造コストの無駄を省くことができる。これは石英ガラスのような高価な材料、希少な材料からなる転写元基板10を用いる場合に特に有効となる。
【0136】
なお、本実施の形態では、剥離工程(ST104)を仮固定工程(ST105)の先に行っていたが、剥離と仮固定とを逆の順に行ってもまた同時に行ってもよい。
【0137】
(転写工程:ST106)
次に図2:ST106に示すように、仮固定した被転写体12aを転写先基板20に転写する。その前に、転写先基板20に接着層21を予め供給しておく。
【0138】
転写先基板20としては、特に限定されないが、基板(板材)、特に透明基板が挙げられる。なお、このような基板は平板であっても、湾曲板であってもよい。また、転写先基板20は、転写元基板10に比べ、耐熱性・耐食性等の特性が劣るものであってもよい。その理由は、本発明では、転写元基板10側に被転写体12aを形成し、その後、被転写体12aを転写先基板20に転写するため、転写先基板20に要求される特性、特に耐熱性は、被転写体12aの形成の際の温度条件等に依存しないからである。
【0139】
したがって、被転写体12aの形成の際の最高温度をTmaxとしたとき、転写先基板20の構成材料として、ガラス転移点(Tg)または軟化点がTmax以下のものを用いることができる。例えば、転写先基板20は、ガラス転移点(Tg)または軟化点が好ましくは800℃以下、より好ましくは500℃以下、さらに好ましくは320℃以下の材料で構成することができる。
【0140】
また、転写先基板20の機械的特性としては、ある程度の剛性(強度)を有するものが好ましいが、可撓性、弾性を有するものであってもよい。このように可撓性を有する転写先基板に薄膜トランジスタ等の素子を転写すれば、剛性の高いガラス基板では得られないような優れた特性が実現可能である。従って、本発明において、可撓性のある転写先基板を用い、例えば電気光学装置を製造することによって、しなやかで、軽くかつ落下の衝撃にも強い電気光学装置を実現することができる。
【0141】
このような転写先基板20の構成材料としては、各種合成樹脂または各種ガラス材が挙げられ、特に、各種合成樹脂や通常の低融点の安価なガラス材が好ましい。特に、ソーダガラス基板は低価格であり、経済的に有利な基板である。ソーダガラス基板は、薄膜トランジスタ製造時の熱処理によりアルカリ成分が溶出するといった問題があり、従来は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置等の電気光学装置への適用が困難であった。しかし、本発明によれば、既に完成した素子を転写先基板に転写するため、前述の熱処理に伴う問題は解消される。よって本発明では、アクティブマトリクス型の電気光学装置の分野において、ソーダガラス基板等の従来使用が困難だった基板も使用可能になる。
【0142】
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、ポリエチレン、ポロプロピレン、エチレン−プレピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エボキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
【0143】
ガラス材としては、例えば、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。このうち、ケイ酸ガラス以外のものは、ケイ酸ガラスに比べて融点が低く、また、成形、加工も比較的容易であり、しかも安価であり、好ましい。
【0144】
転写先基板20として合成樹脂で構成されたものを用いる場合には、大型の転写先基板を一体的に成形することができるとともに、湾曲面や凹凸を有するもの等の複雑な形状であっても容易に製造することができ、また、材料コスト、製造コストも安価であるという種々の利点が享受できる。したがって、合成樹脂の使用は、大型で安価なデバイス(例えば、液晶ディスプレイ)を製造する上で有利である。
【0145】
なお、転写先基板20は、例えば、液晶セルのように、それ自体独立したデバイスを構成するものや、例えばカラーフィルタ、電極層、誘電体層、絶縁層、半導体素子のように、デバイスの一部を構成するものであってもよい。
【0146】
さらに、転写先基板20は、金属、セラミックス、石材、木材紙等の物質であってもよいし、ある品物を構成する任意の面上(時計の面上、エアコンの表面上、プリント基板の上等)、さらには壁、柱、天井、窓ガラス等の構造物の表面上であってもよい。
【0147】
このような転写先基板20上の被転写体12aを転写すべき領域には、予め接着層21が設けられている。接着層21を構成する接着剤の好適な例としては、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤等の各種硬化型接着剤が挙げられる。接着剤の組成としては、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系等、いかなるものでもよい。また市販の接着剤を用いる場合、使用する接着剤は適当な溶剤を添加することによって、塗布するために好適な粘度に調節してもよい。
【0148】
本実施の形態において、接着層21は、転写するべき被転写体12a上にのみ、あるいは転写するべき被転写体12aに対応する転写先基板20上にのみ形成される。このような接着層15の局部形成は、印刷法やインクジェットコーティング法が利用できる。インクジェットコーティング法を実施するためには液体噴射装置を利用する。液体噴射装置の構造は、静電駆動タイプ、ピエゾ駆動タイプ、熱駆動タイプ等に分けられるが、その中でもピエゾ駆動タイプの液体吐出法は、材料液に熱を加えず吐出させるため接着剤の性質を変化させるおそれがない。従って、このような一部に液体を塗布する工業的目的として好ましい。このピエゾ駆動タイプのヘッドは、圧力室の壁面をなす振動板に圧電体素子を設けた構造をしており、圧電体素子に所定の電圧を加えることにより振動板を変形させて圧力室の体積を変化させ圧力室内部の液体を吐出させるものである。インクジェットコーティング法を利用する場合には、適当な有機溶媒に前記接着剤を溶解し、吐出可能な粘度と表面張力になるように材料液を調整する必要がある。
【0149】
接着層21の形成は、液体噴射装置のノズルを被転写体12aの転写位置に移動させて接着剤を含んだ材料液を吐出する。必要に応じて有機溶媒を蒸発させるための熱処理・乾燥処理をする。なお、被転写体12aの剥離に先立って、接着層21を転写先基板20上に形成しておいてもよい。
【0150】
接着層21が形成できたら、被転写体が仮固定された仮固定手段Vを転写先基板20の接着層21上に搬送し、当該被転写体を接着層21に圧着して接着層21と被転写体12aとの接着力を高める。そして、図2:ST107に示すように、仮固定手段Vの吸引を解除することにより仮固定を解除する。以上の工程により、一の被転写体12aの転写先基板20への転写が完了する。
【0151】
なお、本実施の形態では、接着層21として接着剤の塗布に代わり、接着(熱融着)シートを利用することも可能である。このような接着シートは、例えばフィルムテープ上に多数設けられており、このフィルムテープを装着したテープキャリアから順に供給して用いることが可能である。例えば、この接着シートを転写先基板20の該当箇所に貼ったり搬送中の被転写体12aの底面に貼り付けて用いることが可能である。接着シートは、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、EVAなど)、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、カルボキシル基含有アクリル系樹脂などの熱溶融樹脂ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂等のうちの1種または2種以上を混合して形成されている。接着シートの厚みは0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm程度とされる。また接着シートの面積及び形状を被転写体12aの大きさや形状に対応させておくことは好ましい。テープキャリアを利用した接着シートの連続供給によって、生産効率を上げることができる。
【0152】
さて本第1の実施の形態では、同一の転写元基板10から他の被転写体12aを転写する場合には、剥離工程から転写工程まで(ST104〜ST107)を繰り返す。
【0153】
また他の転写元基板(図1における第2転写元基板)においても、上記第1転写元基板10について行った処理と同様の処理を繰り返す。これらの処理により、複数の転写元基板の被転写体が選択的に反転することなく転写先基板に集積される。
【0154】
なお、転写元基板は第1及び第2転写元基板SUBA及びSUBBに限らず、3枚以上の数とすることも可能である。各転写元基板は異なる製造方法で製造されるものであってもよい。本発明によれば、異なる製造工程によって製造された被転写体をそれぞれ任意の数だけ選択して一つの転写元基板に転写していくことができるからである。
【0155】
以上、本第1の実施の形態によれば、同様のまたは異なる製造工程によって製造される素子や回路等の被転写体が集積された転写元基板から任意の数だけ選択的に被転写体を仮固定によってそのままの向きで転写先基板の所定位置に転写することができる。このため被転写体の向きを反転させるための中間的な転写基板を用いることなく、簡単に被転写体を転写させてアセンブリ基板を製造することが可能である。また被転写体の向きが変わらないので、転写後の電極配線や接続が容易である。
【0156】
すなわち、本第1の実施の形態によれば、素子や回路等の被転写体を単位として、向きを反転することなく、比較的簡単に、かつ、製造工程の異なる被転写体を含めて、同一の転写先基板に転写することが可能である。
【0157】
また本第1の実施の形態によれば、転写先基材上に間隔をおいて分散配置される多数の素子や回路を転写元基材上に集中的に製造し、それらを転写先基材上の所定位置に正確に転写することができるので、基板上に直接素子を形成し製造される従来の回路基板と比べ、薄膜トランジスタ等の素子製造における面積効率を大幅に向上でき、特に大型の回路基板を安価に提供することができる。
【0158】
さらに多数の素子や回路を転写元基材上に集中的に製造してから、転写先基材に転写して製造するので、熱等の製造プロセスにおいて一旦製造した素子や回路にダメージを与えることなく最終的に転写先基材に実装させることができ、回路基板の性能向上を図ることができる。さらに素子や回路を転写前に選別、排除することが容易に実行可能となり、その結果製品歩留まりを向上することができる。
【0159】
さらにまた、微小な素子や回路を最終的な転写先基材の所定位置に正確に配置することによって基板の曲げに対する追従性が向上し、フレキシブルな転写先基材を用いることによって、しなやかで、軽く、落下の衝撃にも強いアクティブマトリクス型表示装置を提供することができる。さらに曲面ディスプレイ等の曲面を有する回路基板を提供することもできる。
【0160】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、同一の製造工程で製造されるが構造の異なる複数種類の被転写体が形成されている転写元基板を製造工程に対応させて複数枚用意し、それぞれの転写元基板から一種以上の被転写体を吸引により選択的に剥離し転写先基板に転写していく回路基板の製造方法である。
【0161】
図6に、本第2の実施の形態に係る回路基板の製造方法の概略図を示す。
本第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様に、連続的に回路基板を製造する方法に係る。すなわち、図6に示すように、転写先基板SUBDを一枚ずつ供給する工程(S20)と、後述する転写方法によって被転写体の剥離・転写する工程(S21〜S25)と、転写後の転写先基板SUBDを次々排出する工程(S26)と、を繰り返して、転写先基板SUBD1〜nが順次供給・製造されるようになっている。
【0162】
本第2の実施の形態は、製造工程がそれぞれ異なる第1転写元基板SUBA及び第2転写元基板SUBBを利用する点では、上記第1の実施の形態と同様であるが、それぞれの転写元基板にも複数種類の被転写体が形成されている点で異なる。すなわち、第1転写元基板SUBAには、予め複数の領域A1、A2、A3それぞれに複数の被転写体Sa1、Sa2、Sa3が形成されている。第2転写元基板SUBBには、予め複数の領域B1、B2それぞれに複数の被転写体Sb1、Sb2が形成されている。
【0163】
基本的には、当該第2の実施の形態における転写・剥離は上記第1の実施の形態における転写・剥離と同様に実施される。
【0164】
図6では、各領域から被転写体を一個ずつ集積させたアセンブリ基板を製造する例を示している。そのために、転写先基板SUBDを供給した後、第1転写元基板SUBAの領域A1からいずれか一の第1被転写体Sa1を選択的に仮固定して剥離し転写先基板SUBD上の予め定められた位置Pa1に転写する工程(S21)、第1転写元基板SUBAの領域A2からいずれか一の第1被転写体Sa2を選択的に仮固定して剥離し転写先基板SUBD上の予め定められた位置Pa2に転写する工程(S22)、第1転写元基板SUBAの領域A3からいずれか一の第1被転写体Sa3を選択的に仮固定して剥離し転写先基板SUBD上の予め定められた位置Pa3に転写する工程(S23)により、第1転写元基板から剥離・転写が行われる。
【0165】
また、第2転写元基板SUBBの領域B1からいずれか一の第2被転写体Sb1を選択的に仮固定して剥離し転写先基板SUBD上の予め定められた位置Pb1に転写する工程(S24)、第2転写元基板SUBBの領域B2からいずれか一の第2被転写体Sb2を選択的に仮固定して剥離し転写先基板SUBD上の予め定められた位置Pb2に転写する工程(S25)により、第2転写元基板から剥離・転写が行われる。
【0166】
第1転写元基板SUBA及び第2転写元基板SUBBのそれぞれにおける被転写体の形成方法および剥離・転写工程の詳細は、上記第1の実施の形態と同様なので、説明を省略する。
【0167】
なお、転写元基板SUBAやSUBBに被転写体Sa1〜Sa3またはSb1・Sb2を形成する工程はどちらが先に形成するものでもよいし同時に形成するものでもよい。
【0168】
被転写体Sa1〜Sa3またはSb1・Sb2の剥離は、第1の実施の形態と同様に、仮固定手段HaまたはHbによる。当該仮固定手段HaまたはHbを被転写体Sa1〜Sa3またはSb1・Sb2に当接させ、仮固定手段により吸引することにより被転写体を仮固定し、被転写体Sa1〜Sa3またはSb1・Sb2が仮固定された仮固定手段HaまたはHbを移動(上昇)させて当該被転写体を転写元基板から剥離して達成される。
【0169】
また被転写体Sa1〜Sa3またはSb1・Sb2の転写は、転写先基板SUBAまたはSUBBに図示しない接着手段を供給し、仮固定手段HaまたはHbを転写先基板SUBAまたはSUBBの予め定められた位置Pa1〜Pa3またはPb1・Pb2に搬送して当該被転写体を接着し、接着された被転写体Sa1〜Sa3またはSb1・Sb2を搬送した仮固定手段HaまたはHbの吸引を解除することにより仮固定を解除して達成される。
【0170】
なお、転写元基板SUBAやSUBBに被転写体Sa1〜Sa3またはSb1・Sb2を形成する工程はどちらが先に形成するものでもよいし同時に形成するものでもよい。同様に被転写体Sa1〜Sa3またはSb1・Sb2の剥離・転写はどちらが先に行うものでも同時に行うものでもよい。仮固定手段を兼用とし被転写体Sa1〜Sa3またはSb1・Sb2を順に剥離・転写するものでもよい。また、転写先基板SUBDには予め所定のパターンを設けておいてもよい。
【0171】
また、転写元基板は第1及び第2転写元基板SUBA及びSUBBに限らず、3枚以上の数とすることも可能である。各転写元基板は異なる製造方法で製造されるものであってもよい。本発明によれば、異なる製造工程によって製造された被転写体をそれぞれ任意の数だけ選択して一つの転写元基板に転写していくことができるからである。
【0172】
以上、本第2の実施の形態によれば、基本的に上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
特に、当該第2の実施の形態によれば、同一工程で形成された複数種類の被転写体が転写元基板上に形成されているので、複数種類の被転写体を選んで配置していくということが可能であるため、複数種類の素子や回路を集積したアセンブリ基板を簡単に製造することができる。
【0173】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態は、剥離させるべき複数の被転写体を含む転写元基板の一部または全部の領域にエネルギーを付与して、当該一部または全部の領域に含まれる被転写体を一以上剥離させる回路基板の製造方法に関する。この点で被転写体毎にエネルギーを供給して剥離していく上記第1の実施の形態と異なる。
【0174】
図7に示す本第3の実施の形態に係る製造工程断面図を参照して、本実施の形態の製造方法を説明する。
剥離層形成工程(S201)、被転写体形成工程(ST202)、および被転写体分離工程(ST203)については、上記第1の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0175】
(剥離工程:ST204)
本第3の実施の形態に係る剥離工程では、図7:ST204に示すように、転写元基板10の一定の領域に対し全面的に光Lを照射し、剥離層11全体に剥離(層内剥離および/または界面剥離)を生じさせる。
【0176】
照射する光Lとしては、上記第1の実施の形態と同様に、剥離層11に層内剥離および/または界面剥離を起こさせるものであればいかなるものでもよく、例えば、X線、紫外線、可視光、赤外線(熱線)、レーザ光、ミリ波、マイクロ波、電子線、放射線(α線、β線、γ線)等であって、所定のレーザ光が好ましい。
【0177】
特に本実施の形態では、レーザ光の照射面積が広範であるため、複数回に分けてレーザ光を照射してもよいし、異なる種類、異なる波長(波長域)の照射光(レーザ光)を異なる領域に複数回以上照射してもよい。
【0178】
ここでエネルギーを付与して剥離を生じさせる領域は、何個の被転写体をどの領域からどのくらいの期間内に剥離・転写していくかに応じて定める。すなわち、レーザ光等によりエネルギーを付与した直後は剥離層11はアブレーションを生じて剥離し易い状態となっているが、時間の経過とともに再び硬化していく場合がある。本発明によれば、選択的に被転写体を転写していくので、エネルギーを付与した領域から総ての被転写体を剥離・転写していくのには時間がかかる。したがって、エネルギーを一時に付与する領域は、剥離層11の剥離状態が持続している期間内に転写できる被転写体に対応した領域に留めておくことが好ましい。
【0179】
ただし、剥離層11の材料が不可逆的に剥離を生じる性質を有しており、一旦剥離を生じた以後、時間が経過しても剥離状態に大きな変化が無い場合には、一時に広範な面積(例えば転写元基板の全領域)にエネルギーを付与して剥離層に剥離を生じさせてもよい。
【0180】
仮固定手段Vによる仮固定工程(ST205)及び転写工程(ST206・ST207)については、上記第1の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0181】
以上、本第3の実施の形態によれば、基本的に上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
特に本第3の実施の形態によれば、転写元基板の一部または全部の領域にエネルギーを付与するため、個別にエネルギーを付与する場合に比べ、剥離工程に要する時間を短縮し、製造コストを下げることが可能である。
【0182】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態は、上記各実施の形態における回路基板の製造方法によって製造される電気光学装置に関する。
図7に、本第4の実施の形態における電気光学装置1の基板平面ブロック図を示す。当該電気光学装置1は、転写先基板20上に、表示領域4、走査線駆動回路2、及びデータ線駆動回路3を配置して構成されている。走査線駆動回路2からは選択信号線Vsnが、データ線駆動回路3からはデータ線Idatamが、それぞれ表示領域4に配線されている。選択信号線Vsnとデータ線Idatamとは交差する位置に対応させて画素領域Pmnが設けられており、アクティブマトリクス基板を構成している。各画素領域Pmnは、例えば電界発光効果により発光可能なEL素子と薄膜トランジスタ等で構成された周辺回路とが設けられている。選択信号線Vsnとデータ線Idatamとを制御することにより、各画素領域に対する電流プログラムが行われ、EL素子による発光が制御される。
【0183】
ここで、本発明の回路基板の製造方法により、各画素領域Pmn、走査線駆動回路2、及びデータ線駆動回路3のそれぞれを、同一または異なる転写元基板上で製造してから個々に剥離して、当該転写先基板20上に配置することが可能である。選択信号線やデータ線だけは予め転写先基板20上に形成しておけばよい。
【0184】
例えば総ての画素領域Pmnは同一の製造工程で形成できるため一の転写元基板に集積して形成しておくことができる。一方、走査線駆動回路2及びデータ線駆動回路3は、薄膜トランジスタを主体的に用いて回路を構成することになるため、同一の転写元基板上に形成することが可能である。ところが画素領域PmnはEL素子の形成工程を含むため、走査線駆動回路2やデータ線駆動回路3とは製造工程が一部異なる。このため、画素領域を第1転写元基板上に形成し、走査線駆動回路2及びデータ線駆動回路3を第2転写元基板上に形成して、それぞれの転写元基板から必要な数だけ転写先基板20にこれら被転写体を転写していくことで、当該電気光学装置1が製造される。
【0185】
以上、本第4の実施の形態によれば、本発明の回路基板の製造方法を適用するので、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
特に、本第4の実施の形態によれば、EL素子の製造時に、発光層及び反射防止層に熱的ダメージを与えることなくEL素子を転写により実装できるとともに、従来のように基板と発光層の間に素子を形成する場合と比べ素子が表示の邪魔にならないために表示性能が向上するという効果も奏する。
【0186】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態は、上記実施の形態によって製造された回路基板を利用した電子機器に関する。図9に、本第5の実施の形態における電子機器の例を挙げる。
図9(a)は本発明の回路基板の製造方法によって製造された回路基板、例えば第4の実施の形態における電気光学装置1が搭載された携帯電話の例であり、当該携帯電話110は、電気光学装置(表示パネル)111、音声出力部112、音声入力部113、操作部114、およびアンテナ部115を備えている。
【0187】
図9(b)は本発明の製造方法によって製造される回路基板(電気光学装置)が搭載されたビデオカメラの例であり、当該ビデオカメラ120は、電気光学装置(表示パネル)121、操作部122、音声入力部123、および受像部124を備えている。
【0188】
図9(b)は本発明の製造方法によって製造される回路基板(電気光学装置)が搭載された携帯型パーソナルコンピュータの例であり、当該コンピュータ130は、電気光学装置(表示パネル)131、操作部132、およびカメラ部133を備えている。 図9(d)は本発明の製造方法によって製造される回路基板(電気光学装置)が搭載されたヘッドマウントディスプレイの例であり、当該ヘッドマウントディスプレイ140は、電気光学装置(表示パネル)141、光学系収納部142およびバンド部143を備えている。
【0189】
図9(e)は本発明の製造方法によって製造される回路基板(電気光学装置)が搭載されたリア型プロジェクターの例であり、当該プロジェクター150は、電気光学装置(光変調器)151、光源152、合成光学系153、ミラー154・155、及びスクリーン157を筐体156内に備えている。
【0190】
図9(f)は本発明の製造方法によって製造される回路基板(電気光学装置)が搭載されたフロント型プロジェクターの例であり、当該プロジェクター160は、電気光学装置(画像表示源)161及び光学系162を筐体163内に備え、画像をスクリーン164に表示可能になっている。
【0191】
上記例に限らず本発明に係る回路基板の製造方法は、あらゆる電子機器の製造に適用可能である。例えば、この他に、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ、ICカードなどにも適用することができる。
【0192】
以上、本第5の実施の形態によれば、電子機器を構成する複数の素子や回路等の被転写体について、それぞれが同一工程で製造可能であれば一の転写元基板に形成し、他の製造工程が必要であれば他の転写元基板に製造し、それぞれの転写元基板から選択的に被転写体を吸引し、電子機器製造のための回路基板上に集積することができる。このため多種多様な素子や回路を利用する電子機器の製造方法として本発明は簡便な方法を提供することとなる。
【0193】
また、本発明では転写法を利用しているため、基材上に間隔をおいて分散配置される電子機器に用いられる多数の素子や回路を転写元基材上に集中的に製造し、それらを転写先基材上の所定位置に正確に転写することができるので、基板上に直接素子を形成し製造される従来の電子機器と比べ、薄膜トランジスタ等の素子製造における面積効率を大幅に向上できる。
【0194】
また多数の素子や回路を転写元基材上に集中的に製造してから、転写先基材に転写して製造するので、熱等の製造プロセスにおいて一旦製造した素子や回路にダメージを与えることなく最終的に転写先基材に実装させることができ、電子機器の性能向上を図ることができる。
【0195】
さらに素子や回路を転写前に選別、排除することが容易に実行可能となり、その結果製品歩留まりを向上することができる。
【0196】
また、微小な素子や回路を最終的な転写先基材の所定位置に正確に配置することによって基板の曲げに対する追従性が向上し、フレキシブルな転写先基材を用いることによって、しなやかで、軽く、落下の衝撃にも強い電子機器を提供することができる。さらに曲面ディスプレイ等の曲面を有する電子機器を提供することもできるので、従来品では不可能であるかまたは困難であった形状とすることができ、製品設計の自由度が広げられる。
【0197】
<その他の変形例>
上記実施の形態は、本発明の趣旨の範囲で種々に変形して適用することが可能である。
例えば、剥離方法は、簡単に剥離をさせることができるものであれば、剥離層、レーザ光、または/および仮固定手段以外の方法を利用してもよい。例えば、剥離層を用いずに、仮固定手段の吸引力で被転写体を強制的に剥離させてしまってもよい。またレーザ光を用いる代わりに剥離層に熱可塑性樹脂等を用い、転写元基板を部分的または全体的に加熱することで剥離させてもよい。また仮固定手段として真空ピンセットの他に、機械的なピンセット、静電力による吸着装置、磁力を利用した磁石手段を用いることもできる。
【0198】
また転写方法としても、接着層や接着シート以外の方法で接着してもよい。例えば、被転写層が半田等の端子を含んだものであれば、転写先基板に載置後、熱を印加することで半田が溶けてから硬化し転写先基板に電気的に接続されると同時に機械的にも固定される。
【0199】
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係る回路基板の製造方法の概略説明図。
【図2】 第1の実施の形態に係る回路基板の製造方法の製造工程断面図。
【図3】 被転写体の素子及び回路例であり、(a)は薄膜トランジスタの断面図、(b)は集積回路の断面図、(c)は集積回路の断面図。
【図4】 被転写体である薄膜トランジスタの製造工程断面図。
【図5】 分離構造の具体例。
【図6】 第2の実施の形態に係る回路基板の製造方法の概略説明図。
【図7】 第3の実施の形態に係る回路基板の製造方法の製造工程断面図。
【図8】 第4の実施の形態に係る電気光学装置の平面図。
【図9】 変形例に係る電子機器の応用例。
【符号の説明】
SUBA,SUNBB…転写元基板、SUBD…転写先基板、V…吸引手段、a、b…被転写体、1…電気光学装置、10…転写元基板、11…剥離層、12…被転写体層、12a…被転写体、12c…溝、20…転写先基板、21…接着層(接着手段)
Claims (5)
- 表面に突起が形成された転写元基板上に剥離層と被転写体層とを積層する第1工程と、
前記転写元基板と前記被転写体層との間に積層する前記剥離層にエネルギーを付与する第2工程と、
前記転写元基板から前記複数の被転写体のうち少なくとも一つを剥離し、転写先基板に転写する第3工程と、を有し、
前記転写元基板上に形成される突起は、前記被転写体層間の連続性を弱めて破断容易とするように形成されることを特徴とする回路基板の製造方法。 - 表面に溝部が形成された転写元基板上に剥離層と被転写体層とを積層する第1工程と、
前記転写元基板と前記被転写体層との間に積層する前記剥離層にエネルギーを付与する第2工程と、
前記転写元基板から前記複数の被転写体のうち少なくとも一つを剥離し、転写先基板に転写する第3工程と、を有し、
前記転写元基板上に形成される溝部は、前記被転写体層間の連続性を弱めて破断容易とするように形成されることを特徴とする回路基板の製造方法。 - 請求項1または2に記載の回路基板の製造方法において、
前記エネルギーは光であり、該光は前記剥離層の構成材料の原子または分子の結合を切断し、前記剥離層の少なくとも一部を相変化させるものであることを特徴とする回路基板の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の回路基板の製造方法において、
前記剥離工程は、前記複数の被転写体のうち少なくとも一つを仮固定手段に仮固定して剥離することを特徴とする回路基板の製造方法。 - 請求項4に記載の回路基板の製造方法において、
前記仮固定手段は前記複数の被転写体のうち少なくとも一つを吸引するものであることを特徴とする回路基板の製造方法。
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