JP2004327728A - 転写方法、転写体の製造方法、回路基板の製造方法、電気光学装置および電子機器 - Google Patents

転写方法、転写体の製造方法、回路基板の製造方法、電気光学装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】被転写体の特性、条件等にかかわらず、被転写体を効率よく容易に転写することができ、量産にも好適な転写方法、それを用いた回路基板の製造方法、それにより製造される回路基板、その回路基板を有する電子機器等を提供する。
【解決手段】第1の基板(112)上に設けられた一又は複数の被転写体(110)を第2の基板(104)に転写する方法であって、被転写体(110)と第2の基板(104)とを接合した場合に流体が介在する加圧室(130)を設ける工程と、被転写体(110)と第2の基板(104)を接合する工程と、加圧室(130)の内圧を外部の圧力より相対的に高めることで、第1の基板(112)と被転写体(110)とを離隔する工程とを含む、被転写体の転写方法により課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜デバイスなどの薄膜よりなる被転写層を剥離して、他の基板へ転写する転写方法の改良、その転写方法を用いた転写体の製造方法、回路基板の製造方法、電気光学装置及び電子機器に関するものである。
【従来の技術】
薄膜トランジスタ(TFT)を用いた液晶ディスプレイ(LCD)を製造する際には、通常、透明基板上に薄膜トランジスタを形成する工程を経る。
【0002】
薄膜トランジスタの透明基板上への形成は、一般に高温下でなされるため、透明基板上に薄膜トランジスタを形成してから、安価な基板に薄膜トランジスタを転写する方法が開発されていた。
【0003】
例えば特許文献1(特開平10−125929号公報)には、薄膜トランジスタ等の被転写体の形成といった高温化で行うプロセスを、石英ガラス等の耐熱基板上で行った後、耐熱性には劣るがより安価な材料から構成される他の基板に、耐熱基板上で形成した被転写体を転写するといった方法が開示されている。
【0004】
このような方法によれば、高温化で行うプロセスを耐熱基板上で行った後に、安価で加工し易い基板に被転写体を転写し得るので、耐熱基板を再利用することができ、大型で安価な液晶ディスプレイ等を容易に製造し得ることになる。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、被転写体を形成する元の基板を剥離する際、基板の外側から力をかけて引き剥がすことになるため、被転写体を破損しないように慎重に剥がしていく必要があり、剥離工程に時間を要した。
【0005】
本発明は、被転写体の特性、条件等にかかわらず、被転写体を効率よく容易に転写することができ、量産にも好適な転写方法、それを用いた回路基板の製造方法、それにより製造される回路基板、その回路基板を有する電気光学装置及び電子機器等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、第1の基板上に設けられた一又は複数の被転写体を第2の基板に転写する方法であって、前記被転写体と前記第2の基板とを接合した場合に流体が介在する加圧室を設ける工程と、前記被転写体と前記第2の基板を接合する工程と、前記加圧室の内圧を外部の圧力より相対的に高めることで、前記第1の基板と前記被転写体とを離隔する工程とを含む、被転写体の転写方法を提供するものである。
【0006】
かかる構成によれば、第1の基板と第2の基板との間に設けられた加圧室の内圧により、内側から第1の基板と被転写体を離隔し得るので、従来の基板の外部より一方向に力をかけて引き剥がす場合に比べ、離隔する力が内部からかかるので、離隔時の基板の破損を防止し得ると共に、作業時間を短縮することができ、効率よく、容易に両基板を離隔し得る。したがって、転写作業の効率化を図ることが可能となる。
【0007】
ここで、第1の基板から第2の基板への被転写体の転写は、第1の基板と被転写体、及び第2の基板と被転写体との接合力の違いを利用して行われる。また、被転写体は、第1の基板から剥離される被剥離物でもある。
【0008】
なお、上記加圧室を設ける工程と離隔工程は、同時であっても、別々に行われてもよい。
【0009】
前記第1の基板と前記被転写体が、剥離層を介して接合されており、前記剥離層を構成する物質の結合力を消失又は減少させることにより、前記剥離層の層内及び/又は界面にて、前記第1の基板と前記被転写体の離隔工程を促進することが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、第1の基板と第2の基板が剥離層を介して接合されているので、第1の基板と被転写体の離隔を促進することができ、転写作業の効率化を高めることが可能となる。
【0011】
前記剥離層を構成する物質の結合力を消失又は減少させる手段が、熱又は光の照射であることが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、容易な手段で、第1の基板と被転写体の離隔を促進することができる。
【0013】
前記第2の基板と前記被転写体が、接着層を介して接合されていてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、前記被転写体をより確実に第2の基板に固定し得る。
【0015】
前記加圧室が、前記被転写体が前記第2の基板に接合された領域以外の領域に設けられていることが好ましい。具体的には、前記第1の基板と前記第2の基板との間に、前記被転写体が形成される被転写体形成層を含む多層構造体を有し、前記加圧室が、前記被転写体が形成された領域に対応する領域以外の前記多層構造体内の領域に設けられていることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、被転写体が接合されている領域の周囲から剥離を促進するための圧力を付与し得るので、被転写体の接合部に外周から均一に圧力を付与することが可能となり、一層剥離を促進し得る。
【0017】
前記多層構造体は、例えば、被転写体形成層、剥離層、必要に応じて剥離層を含み構成されている。
【0018】
前記加圧室は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に、格子状又は網目状に形成されていることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、両基板の全面にわたって、均一に圧力を付与することができるので、一層剥離を促進し得る。
【0020】
前記加圧室が、前記被転写体の外周の少なくとも一部又は全部に設けられた流路であることが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、被転写体が接合されている領域の周囲から剥離を促進するための圧力を付与し得るので、被転写体の接合部に外周から均一に圧力を付与することが可能となり、一層剥離を促進し得る。また、流路内に流体をいきわたらせることが可能となる。
【0022】
前記離隔する工程が、前記加圧室内の流体により前記加圧室内の内圧を高めることで、前記第1の基板と前記被転写体を離隔する工程であることが好ましい。
【0023】
かかる構成によれば、流体を利用することにより、容易な工程で、加圧室内に均一に圧力を付与することが可能となる。
【0024】
前記流体により加圧室内の内圧を高める方法が、前記加圧室内に流体を注入することによることが好ましい。
【0025】
かかる構成によれば、加圧室の内圧を流体の注入量、注入速度等によって調整することが可能となるので、剥離時に付与する圧力の微調整が可能となる。
【0026】
前記流体により加圧室の内圧を高める方法が、前記加圧室の内圧を外部の圧力より相対的に高くすることで、前記加圧室内の流体を膨張させることによることが好ましい。
【0027】
かかる構成によれば、加圧室の内圧と外圧の圧力差を利用しているので、例えば、真空チャンバー等を用いて、外圧を調整することができ、剥離時に付与する圧力の微調整が可能となる。
【0028】
前記流体が気体であることが好ましい。
【0029】
かかる構成によれば、被転写層等に対する汚染の虞がない。
【0030】
前記離隔する工程において、前記第1の基板及び第2の基板の周囲の一部又は全部を封止材で封じる段階を含むことが好ましい。
【0031】
両基板の周囲の一部又は全部を封止することで、密閉性を高めることが可能となり、より効率よく加圧室内に内圧を付与し得る。
【0032】
前記被転写体が、薄膜デバイスであることが好ましい。
【0033】
本発明の方法は、特に薄膜デバイス等の転写に実用的である。
【0034】
本発明の転写体の製造方法は、上記転写方法を用いて転写体を形成することを特徴としている。
【0035】
かかる構成によれば、上記転写方法を用いているので、歩留まりよく転写体を製造することが可能となる。
【0036】
本発明の回路基板の製造方法は、上記転写方法を用いて回路基板を形成することを特徴としている。
【0037】
かかる構成によれば、上記転写方法を用いているので、歩留まりよく回路基板を製造することが可能となる。
【0038】
本発明の回路基板は、上記転写方法を用いて形成することを特徴としている。
【0039】
かかる構成によれば、上記転写方法を用いているので、歩留まりよく製造し得るので、安価な回路基板を提供し得る。
【0040】
本発明の電気光学装置は、上記転写体の製造方法を用いて製造された転写体を有することを特徴としている。
【0041】
また、本発明の電子機器は、上記電気光学装置を有することを特徴としている。
【0042】
かかる構成によれば、上記転写体の製造方法を用いて製造された転写体を有するので、安価な電気光学装置及び電子機器を提供し得る。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の転写方法(剥離方法)について、図面を参照しながら説明する。
(原理説明)
まず、図1を参照して、本発明に係る転写方法の原理を簡単に説明する。図1は、本発明の転写方法の離隔工程における、第1の基板から被転写体を離隔(剥離)する剥離機構を説明するための概念図である。
【0043】
図1(a)に示すように、本発明の転写方法は、まず、第1の基板112上に設けられた被転写体110と第2の基板104とを接合し、両者の間に加圧室130が形成されるようにする。次に、図1(b)に示すように、この加圧室130の内圧を外部の圧力より相対的に高めることにより、第1の基板112と第2の基板104、より詳しくは、第1の基板112と被転写体110とを離隔(剥離)させるようにしたものである。
【0044】
このように、基板間に設けられた加圧室130内に内圧を生じさせることで、内部より両基板を離隔させる力を働かせるため、両基板を一端から引き離す場合に比べ、短時間で効率よく、剥離することが可能となる。
【0045】
加圧室130は、第1の基板112及び第2の基板104、より詳しくは、第1の基板112及び被転写体形成層210を離隔させる力を働かせ得る構造であればよく、その大きさ及び形状は、特に限定されない。したがって、周囲を隔壁により囲まれた閉空間であっても、開放端を有する空間であってもよい。ただし、第1の基板112及び第2の基板104の全体に一律に圧力を付与し得るという観点からは、加圧室130は、基板全面に渡って形成されていることが好ましい。したがって、例えば網目状又は格子状に張り巡らされた構造を有していることが好ましい。また、被転写体110の外周に一律に圧力を付与し得るという観点からは、被転写体110の外周の一部又は全部に圧力を付与し得るよう形成された流路であることが好ましい。
【0046】
図2は、第1の基板112及び第2の基板104間に設けられた加圧室130に、内圧を生じさせる方法を説明するための説明図を示す。
【0047】
加圧室130に内圧を付与する方法としては、例えば、周囲を封止し、一又は複数箇所から、加圧室130に流体を注入することにより内圧を高める第1の方法(同図(a))、周囲から流体を注入することにより内圧を高める第2の方法(同図(b))、及び、予め流体を密封しておき、加圧室130内の圧力と外部との圧力差を利用して内圧を高める第3の方法(同図(c))等が挙げられる。以下、図2(a)〜(c)を参照しながら、具体的に説明する。
【0048】
図2(a)に示す第1の方法では、第1の基板112と第2の基板104の接合体100の外周を、流体107の注入口として一又は複数箇所の挿入口150を残し、封止材105により封止して、各開口部150から流体107を注入することにより、加圧室130内の内圧を高める。
【0049】
流体107は、液体であっても、気体であってもよい。液体としては、例えば、水、油、エタノール等の各種有機溶剤等を使用することができる。また、気体としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス、空気等を使用することができる。なお、流体107は、上記例示に限定するものではない。
【0050】
流体107の注入法としては、特に限定するものではないが、例えば、図3に示すように、開口部150の隙間に、2枚の薄刃115が断面V字状となり、先端に流体107が通過し得る隙間が形成されている補助具を挿入し、薄刃115の隙間から流体107を注入する方法が挙げられる。
【0051】
また、先端が楔状となっている剥離ノズルを、開口部150の隙間に突き当てることにより、注入することも可能である。
【0052】
このような先端が狭まった補助具又はノズル等の道具を用いることで、狭い開口部150の隙間に流体107を注入可能とすることが可能となる。
【0053】
また、図2(b)に示すように、第2の方法によれば、格子状に形成された加圧室130としての流路の各開放端130aより流体107を挿入することにより、加圧室130としての流路内の内圧を高めることが可能となる。この場合においても、流体107は、薄刃115を介して注入することが可能である。
【0054】
図2(c)に示す第3の方法では、加圧室130内に予め存在する気体又は別途注入した気体を、第1の基板112と第2の基板104の接合体100の外周全部を封止材105で封止することにより封入し、その後、外部の圧力を減圧にすることで、加圧室130内に存在する気体(流体107)を膨張させ、内圧を生じさせる。
【0055】
次に、加圧室の構造の態様について、説明する。
【0056】
図4は、第1の基板112と第2の基板104の接合体100の構成及び加圧室130の配置を説明するための接合体100の断面図である。
【0057】
図4(a)〜(f)の各々は、加圧室の異なる態様を示している。
【0058】
まず、同図(a)を参照しながら、第1の基板112と第2の基板104の接合体100の構成について概略を併せて説明する。なお、接合体100を構成する各要素の説明は、後に、さらに詳述する。
【0059】
接合体100は、基本としては、第1の基板112と第2の基板104が、被転写体110(又は被転写体形成層210)を介して接合された構造を有する。
【0060】
被転写体110は、第1の基板112上で形成され、その後に、第2の基板104に転写される層である。また、ここで、被転写体形成層(以下、「被転写層」という)210とは、一又は複数の被転写体110が略面一に形成された一又は複数の被転写体領域102を有する層をいう。なお、被転写体110は、各被転写体110ごとに、第1の基板112上に形成してもよいが、被転写層210として形成した後、被転写体110となる領域が島状に残るように、エッチング又はレーザ等により処理して形成してもよい。
【0061】
剥離層111は、被転写体110(又は被転写層210)と第1の基板112間に存在し、例えば、第1の基板112と被転写体110(又は被転写層210)を接合させると共に、後の剥離を容易にせしめる機能を有するものである。なお、第1の基板112と被転写体110(被転写層210)を接合させることができ、後に剥離が可能であれば、剥離層111の代わりに、他の層を設けてもよい。このような層としては、例えば、接着層が挙げられ、接着層を構成する接着剤の強度、接着層の厚み、後の剥離方法等を適宜選択することにより、同様の効果を得られる。該接着層を後に剥離する方法としては、例えば、熱や光を与える方法、有機溶剤によって溶解する方法、等を挙げることができる。
【0062】
接着層120は、被転写体110(又は被転写層210)と第2の基板112間に存在し、被転写体110(又は被転写層210)と第2の基板104とを接着する機能を有するものである。なお、接着層120は、第2の基板104自体に接着能が有る場合には、特に設けなくてもよい。
【0063】
なお、このような接着層120を構成する接着剤としては、例えば、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤等の各種硬化型接着剤が挙げられる。また、接着剤の組成としては、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系等のいかなるものであってもよい。
【0064】
次に、加圧室130の配置について、図4(a)〜(f)を参照しながら、説明する。
【0065】
図4(a)では、加圧室130は、剥離層111と第2の基板の間に設けられている。このような加圧室130は、例えば、まず、第1の基板112上に剥離層111を設けた後、一又は多数の被転写体領域102を含む被転写層210を形成する。次に、被転写体領域102が島状に残り、被転写体110が形成されるように、エッチング又はレーザ等により処理し、その後、点在する被転写体110に接着層120を塗布等により設け、第2の基板104を張り合わせる(接合する)ことにより得られる。なお、被転写体110は、最初から各々独立に別個に形成してもよい。
【0066】
また、図4(b)に示すように、加圧室130は、第1の基板112と第2の基板間に設けられていてもよい。このような加圧室130は、例えば、第1の基板112上に剥離層111、被転写層210を順次形成した後、被転写体領域102が島状に残るように、エッチング等により剥離層111まで処理し、その後、点在する被転写体110に接着層120を塗布等により設け、第2の基板104を接合することにより得られる。
【0067】
また、図4(c)に示すように、加圧室130は、被転写層210と第2の基板間に設けられていてもよい。このような加圧室130は、例えば、第1の基板112上に剥離層111、被転写層210を順次形成した後、被転写体領域102以外の領域に接着層120を塗布等により設け、第2の基板104を接合することにより得られる。
【0068】
また、図4(d)に示すように、加圧室130は、剥離層111と接着層120との間に設けられていてもよい。上記図(a)の場合と同様に、被転写体110まで形成した後、別途、接着層120を形成した第2の基板104を接合することにより得られる。
【0069】
また、図4(e)に示すように、加圧室130は、第1の基板112と被転写層210の間に設けられていてもよく、また、第1の基板112と接着層120との間に設けられていてもよい。
【0070】
次に、図4(a)及び図4(c)の変形例について説明する。
【0071】
図5は、シール材103の形成配置を説明するため断面図である。
【0072】
図5(a)及び(b)は、図4(c)の変形例であり、図5(c)は、図4(a)の変形例である。
【0073】
図5(a)では、被転写体領域102上に、被転写体領域102を囲うようにシール材103が配置されている。このシール材103は、加圧室130と接着層120を隔離する役割を果たす。
【0074】
図4では、接着層120の形成法として、塗布法を例に挙げたが、接着層120を均一に形成し得るという観点からは、例えば、予め、シール材103により接着層形成領域140を形成しておき、その接着層形成領域140内に、液状接着剤を、真空方式による注入法、インクジェット方式による吐出法、流し込み等によって、充填することが好ましい。接着層120を、均一に形成することで、精度の良い製品が得られるからである。
【0075】
また、シール材103の機能としては、加圧室130と接着層120の隔離の他に、加圧室130の気密性を保ち、加圧室130の内圧を高める役割を果たしてもよい。
【0076】
さらに、シール材103は、加圧室130の内圧が上昇した際に、被転写体110を保護する役割を果たしてもよい。
【0077】
このような観点から、シール材103は、例えば、被転写層210上の被転写体領域上に形成されていてもよい(図5(a)参照)。また、同図(b)に示すように、被転写層210上の被転写体領域102よりも外側に形成されていてもよい。加圧室130に内圧が生じると、加圧室130直下の部分で被転写層210は、切断されることになる。この際、被転写体領域102間の間隔が狭いと、切断時の衝撃により、被転写体領域102までもが破損してしまう虞がある。したがって、同図(b)のように、被転写体領域102間の間隔を確保し、切断時の破損等を防止するためにも、被転写体領域102の外側にシール材103を形成することが好ましい。
【0078】
なお、加圧室130の加圧時における、このような被転写体領域102の破損を防止するために、予め、被転写層210の被転写体領域102間に、エッチング処理、又はレーザ等により、切れ目を入れておいてもよい。また、さらに、同図(c)に示すように、例えばエッチング処理又はレーザ等により、被転写層210から被転写体110を完全に切り出してもよい。
【0079】
また、同図(d)に示すように、被転写体110を加圧室130の加圧時に保護するという観点から、シール材103は、被転写体110の周囲を覆うように形成されていてもよい。
【0080】
以下、具体例を示しつつ、さらに、詳しく本発明の剥離方法(転写方法)について説明する。
(第1の実施形態)
図6、図7は、第1の実施形態に係る剥離方法(転写方法)を説明するための工程図である。また、図8、図9は、剥離層及び剥離時のメカニズムを説明するための概念図である。
【0081】
以下、これらの図に基づいて、本発明の剥離方法(転写方法)の工程を順次説明する。
[第1工程]
まず、図6に示すように、片面に、多数の被転写体領域102が形成された被転写層210(図8(a)参照)を有する積層体101を準備する。
【0082】
積層体101は、第1の基板112と、剥離層111と、被転写層210から主に構成される。なお、ここで、被転写層とは、一又は複数の被転写体110が形成された領域(被転写体領域102)を有する層をいう。
【0083】
第1の基板112は、後の工程で、第1の基板112上に形成された剥離層111に、第1の基板112を透過させて照射光106を照射する必要があることから、照射光106が透過し得る透光性材料から構成されることが好ましい。
【0084】
第1の基板112を透過する照射光106の透過率は、特に限定するものではないが、例えば10%以上、好ましくは、50%以上であることが望ましい。透過率が低いと、照射光106の減衰(ロス)が大きくなるので、剥離層111の剥離を促すのにより大きな光量が必要となる。
【0085】
第1の基板112は、高温プロセスに耐え得るような耐熱性材料から構成されていることが好ましい。後の工程で第1の基板112上に形成する被転写体110(又は被転写層210)や剥離層111は、条件によっては、例えば350〜1000℃程度にまでプロセス温度が上昇することがあり、成膜条件の自由度を上げるためにもこのような高温に耐え得る材料であることが好ましい。被転写体110(又は被転写層210)の形成の際の最高温度をTmax としたとき、歪点がTmax 以上の材料で構成されているものが好ましい。具体的には、基板112の構成材料は、歪点が例えば350℃以上、好ましくは500℃以上のものがより好ましい。このようなものとしては、例えば、石英ガラス、ソーダガラス、コーニング7059、日本電気ガラスOA−2等の耐熱性ガラスが挙げられる。
【0086】
第1の基板112の厚さは、特に限定するものではないが、通常は、例えば0.1〜5.0mm程度、好ましくは0.5〜1.5mm程度であることが望ましい。第1の基板112の厚みが上記範囲にあると、照射光106の減衰と基板強度のバランスに優れる。なお、基板112の照射光106の透過率が高い場合には、その厚さは、前記上限値を超えるものであってもよい。また、光を均一に照射できるように、第1の基板112の厚さは、均一であるのが好ましい。
【0087】
剥離層111は、その層内および/または界面において剥離(以下、「層内剥離」、「界面剥離」とも言う)を生じるような性質を有する。現象論的には、アブレーション等を生ぜしめることにより層内剥離および/または界面剥離に至るものをいう。
【0088】
このような剥離層111としては、照射光106を吸収することにより、剥離層111を構成する物質の原子間または分子間の結合力を消失または減少させ、剥離を生じるものが挙げられる。
【0089】
また、照射光106の照射により、剥離層111から気体が放出され、剥離効果が発現される場合もある。すなわち、剥離層111に含有されていた成分が気体となって放出される場合と、光を吸収して一瞬気体になり、その蒸気が放出され、分離に寄与する場合とがある。
【0090】
このような剥離層111の組成としては、具体的には、下記のようなものが挙げられる。
A.非晶質シリコン(a−Si)
この非晶質シリコン中には、H(水素)が含有されていてもよい。この場合、Hの含有量は、2原子%以上程度であるのが好ましく、2〜20原子%程度であるのがより好ましい。このように、Hが所定量含有されていると、照射光106の照射により、水素が放出され、剥離層111に内圧が発生し、それが上下の薄膜を剥離する力となる。
【0091】
非晶質シリコン中のHの含有量は、成膜条件、例えばCVDにおけるガス組成、ガス圧、ガス雰囲気、ガス流量、温度、基板温度、投入パワー等の条件を適宜設定することにより調整することができる。
B.酸化ケイ素またはケイ酸化合物、酸化チタンまたはチタン酸化合物、酸化ジルコニウムまたはジルコン酸化合物、酸化ランタンまたはランタン酸化合物等の各種酸化物セラミックス、誘電体(強誘電体)あるいは半導体
酸化ケイ素としては、SiO、SiO 、Si が挙げられ、ケイ酸化合物としては、例えばK SiO 、Li SiO 、CaSiO 、ZrSiO 、Na SiO が挙げられる。
【0092】
酸化チタンとしては、TiO、Ti 、TiO が挙げられ、チタン酸化合物としては、例えば、BaTiO 、BaTiO 、Ba Ti20、BaTi11、CaTiO 、SrTiO 、PbTiO 、MgTiO 、ZrTiO 、SnTiO 、Al TiO 、FeTiO が挙げられる。
【0093】
酸化ジルコニウムとしては、ZrO が挙げられ、ジルコン酸化合物としては、例えばBaZrO 、ZrSiO 、PbZrO 、MgZrO 、K ZrO が挙げられる。
C.PZT、PLZT、PLLZT、PBZT等のセラミックスあるいは誘電体(強誘電体)
D.窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化物セラミックス
E.有機高分子材料有機高分子材料としては、−CH−、−CH −、−CO−(ケトン)、−CONH−(アミド)、−NH−(イミド)、−COO−(エステル)、−N=N−(アゾ)、−CH=N−(シフ)等の結合(照射光106の照射によりこれらの結合が切断される)を有するもの、特にこれらの結合を多く有するものであればいかなるものでもよい。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
F.金属
金属としては、例えば、Al、Li、Ti、Mn、In、Sn、Y、La、Ce、Nd、Pr、Sm、Gd、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金が挙げられる。
【0094】
水素吸蔵合金具体例としては、LaNi のような希土類遷移金属化合物の水素吸蔵合金またはTi系、Ca系の水素吸蔵合金に水素を吸蔵させたものが挙げられる。
【0095】
窒素吸蔵合金具体例としては、Sm−Fe系、Nd−Co系のような希土類鉄、希土類コバルト、希土類ニッケルや、希土類マンガン化合物に窒素を吸蔵させたものが挙げられる。
【0096】
剥離層111の厚さは、組成、形成方法等の諸条件により異なるが、通常は、1nm〜20μm程度、好ましくは10nm〜2μm程度、さらに好ましくは、40nm〜1μm程度であることが望ましい。
【0097】
剥離層111の膜厚が薄いと、成膜の均一性が損なわれ、剥離にムラが生じることがあり、また、膜厚が厚いと、良好な剥離性を確保するために、照射光106の光量を大きくする必要があり、また、後に除去する際にその作業に時間がかかる。
【0098】
剥離層111の形成方法は、特に限定されず、膜組成や膜厚等の諸条件に応じて適宜選択される。例えば、CVD(MOCVD、低圧CVD、ECR−CVDを含む)、蒸着、分子線蒸着(MB)、スパッタリング、イオンプレーティング、PVD等の各種気相成膜法、電気メッキ、浸漬メッキ(ディッピング)、無電解メッキ等の各種メッキ法、ラングミュア・ブロジェット(LB)法、スピンコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布法、各種印刷法、転写法、インクジェット法、粉末ジェット法等が挙げられ、これらのうちの2以上を組み合わせて形成することもできる。
【0099】
例えば、剥離層111が非晶質シリコン(a−Si)から構成される場合には、CVD、特に低圧CVDやプラズマCVDにより成膜するのが好ましい。
【0100】
また、剥離層111をゾル−ゲル法によるセラミックスで構成する場合や、有機高分子材料で構成する場合には、塗布法、特に、スピンコートにより成膜するのが好ましい。
【0101】
本実施形態においては、剥離層111と被転写体110(又は被転写層210)との間に、さらに、遮光層として、照射光106を反射する反射層(図示せず)が含まれていてもよい。この反射層は、照射光106を、例えば10%以上、好ましくは30%以上の反射率で反射し得るものであればよい。
【0102】
このような反射層としては、単層または複数の層よりなる金属薄膜、屈折率の異なる複数の薄膜の積層体よりなる光学薄膜等が挙げられるが、形成が容易である等の理由から、主に金属薄膜で構成されているのが好ましい。
【0103】
反射層を構成する構成金属としては、例えば、Ta、W、Mo、Cr、Ni、Co、Ti、Pt、Pd、Ag、Au、Al等、あるいはこれらのうちの少なくとも1種を基本成分とする合金が挙げられる。
【0104】
また、このような反射層(遮光層)の厚さは、特に限定されないが、通常、10nm〜10μm 程度、好ましくは50nm〜5μm 程度が望ましい。この厚さが厚過ぎると、反射層の形成に時間がかかり、また、後に行われる反射層の除去にも時間がかかる。また、この厚さが薄過ぎると、膜組成によっては遮光効果が不十分となる場合がある。
【0105】
さらに、剥離層111と被転写層210の間に、中間層を含んでもよい。この中間層としては、例えば、製造時または使用時において後述する被転写層210を物理的または化学的に保護する保護層、絶縁層、導電層、照射光106の遮光層、被転写層210へのまたは被転写層210からの成分の移行(マイグレーション)を阻止するバリア層、反射層としての機能の内の少なくとも1つを発揮するものが挙げられる。
【0106】
剥離層111に非晶質シリコンを用い、被転写層210に含まれる被転写体110として薄膜トランジスタを用いた場合、中間層の組成としては、例えば、SiO 等の酸化ケイ素が挙げられる。また、被転写体110(又は被転写層210)としてPZTを用いた場合には、中間層の組成としては、Pt、Au、W、Ta、Mo、Al、Cr、Ti又はこれらを主とする合金等の金属が挙げられる。
【0107】
このような中間層の厚さは、その形成目的や発揮し得る機能の程度に応じて適宜決定されるが、通常は、10nm〜5μm 程度、好ましくは40nm〜1μm 程度であるのが望ましい。
【0108】
被転写層210は、第2の基板(転写先基板)104へ転写される層であって、前記剥離層111で挙げた形成方法と同様の方法により形成することができる。なお、被転写体110は、各被転写体110ごとに、第1の基板112上に形成してもよいが、被転写層210として形成した後、被転写体110となる領域が島状に残るように、エッチング又はレーザ等により処理して形成してもよい。
【0109】
被転写層210に含まれる被転写体110は、特に限定するものではないが、転写の目的又は有用性の観点から、薄膜、特に薄膜デバイス(機能性薄膜、薄膜素子ともいう)であることが好ましい。
【0110】
薄膜デバイスとしては、例えば、薄膜トランジスタ、薄膜ダイオード、その他の薄膜半導体デバイス、電極(例:ITO、メサ膜のような透明電極)、太陽電池やイメージセンサ等に用いられる光電変換素子、スイッチング素子、メモリー、圧電素子等のアクチュエータ、マイクロミラー(ピエゾ薄膜セラミックス)、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体等の記録媒体、磁気記録薄膜ヘッド、コイル、インダクター、薄膜高透磁材料およびそれらを組み合わせたマイクロ磁気デバイス、フィルター、反射膜、ダイクロイックミラー、偏光素子等の光学薄膜、半導体薄膜、超伝導薄膜(例:YBCO薄膜)、磁性薄膜、金属多層薄膜、金属セラミック多層薄膜、金属半導体多層薄膜、セラミック半導体多層薄膜、有機薄膜と他の物質の多層薄膜等が挙げられる。
【0111】
このような薄膜デバイスは、その形成方法との関係で、通常、比較的高いプロセス温度を経て形成される。従って、この場合、前述したように、基板112としては、そのプロセス温度に耐え得る信頼性の高いものが必要となる。
【0112】
なお、被転写層210は、単層でも、複数の層の積層体でもよい。さらには、前記薄膜トランジスタ等のように、所定のパターンニングが施されたものであってもよい。被転写層210の形成(積層)、パターンニングは、それに応じた所定の方法により行われる。このような被転写層210は、通常、複数の工程を経て形成される。
【0113】
被転写層210(又は被転写体110)としての薄膜トランジスタの形成方法としては、例えば、特公平2−50630号公報や、文献:H. Ohshima et al : International Symposium Digest of Technical Papers SID 1983 ”B/W and Color LC Video Display Addressed by PolySi TFTs”に記載された方法に従って行うことができる。
【0114】
また、被転写層210の厚さは、特に限定されず、その形成目的、機能、組成、特性等の諸条件に応じて適宜設定される。被転写層210が薄膜トランジスタの場合、その合計厚さは、0.5〜200μm 程度、好ましくは1.0〜10μm 程度であることが望ましい。また、その他の薄膜の場合、例えば50nm〜1000μm 程度とすることができる。
[第2工程]
次に、積層体101上に加圧室130を設ける(図6(b))。加圧室130は、後の工程において、その内部に流体を存在させ、内圧を高めることにより、第1の基板112と第2の基板104の剥離を促進させる役割を担う。
【0115】
加圧室130は、例えば、積層体を構成する被転写層110上に、シール材103で隔壁を形成することにより形成し得る。また、このシール材103により形成される隔壁は、後の工程で接着層120を形成するための接着層形成領域140を構成していてもよい。なお、前述のように、シール材103によらず、第1の基板上に、層を形成する工程で同時に形成し得る空間を加圧室130とすることも可能である(図4(a)〜(f))。
【0116】
後の剥離工程において、第1の基板112及び第2の基板104全体に内部から一律に圧力を付与し得るという観点からは、加圧室130は、第1の基板112及び第2の基板104間に縦横に張り巡らされた流路であることが好ましい。このような流路は、例えば、縦横に所定の間隔で配置されるよう形成された被転写体110(又は被転写体領域102)の外周の少なくとも一部、好ましくは全部を囲むよう形成されていることが望ましく、具体的には、格子状又は網目状であってもよい。
【0117】
本実施形態においては、シール材103で形成する隔壁を、後の工程で形成する接着層120を形成するための接着層形成領域140を構成する隔壁としても利用するため、第2の基板104に接着する被転写体領域102の上部に接着層形成領域140が設けられるように、被転写体領域102を取り囲むように、シール材103のパターンが形成される。具体的には、接着層形成領域140は、各領域140が通路140aにより連通させ、積層体101の一辺に、後の工程で、接着層120を形成するために充填する接着剤の注入口140bが設けられるように、パターン形成する。このようなパターンを形成することで、後の工程で、一方向から接着剤を充填することが可能となる。
【0118】
また、図6では、シール剤103が第1の基板上に形成される工程について記載されているが、シール剤103は第2の基板上に形成しても同様の効果を得ることができる。
【0119】
シール材103としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂といった硬化性樹脂を用いることができる。
【0120】
シール材103の塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷方式、ディスペンス法、液滴吐出法(インクジェット法)、フレキソ印刷法等が挙げられる。このような中でも、所望のパターンを形成し易く、設計の自由度が広がるという観点からは、スクリーン印刷方式が好ましい。
【0121】
また、積層体101と第2の基板104間に形成される加圧室130の空間を十分に確保するために、積層体101と第2の基板104との間に、ギャップ剤が配置されていることが好ましい。このようなギャップ剤としては、例えば、シリカ微粒子、ガラスファイバ等が用いられる。ギャップ剤の直径は、特に限定するものではないが、加圧室に十分な内圧を付与しうるという観点からは、例えば、1〜100μm、好ましくは5〜50μmであることが望ましい。また、後の工程で形成する接着層120をシール材で囲まれた隔壁内に注入することにより形成する場合には、接着層120の厚みを決定するので、被転写層210と第2の基板との接合状態を強固にするという観点からは、例えば1〜100μm、好ましくは5〜30μmであることが望ましい。
【0122】
ギャップ剤の配置方法としては、例えば、(被転写体領域をマスク等で覆い、マスクした以外の箇所に、静電気力の利用、又はスプレー等により散布する散布方式が挙げられる。また、ギャップ剤をシール材に混合したものを、スクリーン印刷法、ディスペンス法、液滴吐出法(インクジェット法)、フレキソ印刷法等を用いて印刷することで、ギャップ剤の配置と同時にシール材の塗布も可能となり、好ましい。
[第3工程]
次に、上記のようにシール材103を形成した積層体101と第2の基板104を接合し、シール材103を硬化させる(図6(c)参照)。
【0123】
具体的には、まず、シール材103が塗布された積層体101と第2の基板104を張り合わせる。なお、積層体101と第2の基板の位置合わせは、予め設けておいた位置合わせパターン等を用いて行ってもよい。
【0124】
その後、張り合わせた基板に、使用したシール材103の種類に応じて、熱や光線(例:紫外線)を照射して、シール材103を硬化させる。なお、この際、張り合わせた基板間の密閉度を高めるために、張り合わせた基板を加圧することが好ましい。また、シール材103は、後の工程で注入する接着剤を硬化する際、同時に硬化してもよい。
【0125】
第2の基板104としては、特に限定されないが、光硬化型接着剤を用いる場合には、光照射により接着剤を硬化させる必要があることから、透明基板を用いることが好ましい。
【0126】
なお、被転写層210は、第1の基板112上で形成された後、第2の基板104に転写されるため、高温下に晒されないため、第1の基板112に比べ、耐熱性、耐食性等の特性が劣るものであってもよい。
【0127】
従って、被転写層210の形成の際の最高温度をTmax としたとき、第2の基板104の構成材料は、ガラス転移点(Tg)または軟化点がTmax 以下のもの、例えば800℃以下、好ましくは500℃以下、さらに好ましくは320℃以下の材料で構成することができる。
【0128】
また、第2の基板104の機械的特性としては、ある程度の剛性(強度)を有するものが好ましいが、可撓性、弾性を有するものであってもよい。
【0129】
このような第2の基板104の構成材料としては、各種合成樹脂または各種ガラス材が挙げられ、特に、各種合成樹脂や通常の(低融点の)安価なガラス材を用いることができる。
【0130】
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
【0131】
ガラス材としては、例えば、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。このうち、ケイ酸ガラス以外のものは、ケイ酸ガラスに比べて融点が低く、また、成形、加工も比較的容易であり、しかも安価であり、好ましい。
【0132】
第2の基板104として合成樹脂で構成されたものを用いる場合には、大型の基板を一体的に成形することができるとともに、湾曲面や凹凸を有するもの等の複雑な形状であっても容易に製造することができ、また、材料コスト、製造コストも安価であるという種々の利点が享受できる。従って、大型で安価なデバイス(例えば、液晶ディスプレイ)を容易に製造することができるようになる。
【0133】
なお、第2の基板104は、例えば、液晶セルのように、それ自体独立したデバイスを構成するものや、例えばカラーフィルター、電極層、誘電体層、絶縁層、半導体素子のように、デバイスの一部を構成するものであってもよい。
【0134】
さらに、第2の基板104は、金属、セラミックス、石材、木材、紙等の物質であってもよいし、ある品物を構成する任意の面上(時計の面上、エアコンの表面上、プリント基板の上等)、さらには壁、柱、梁、天井、窓ガラス等の構造物の表面上であってもよい。
[第4工程]
次に、シール材103により形成された接着層形成領域140内に、接着剤を充填する(図6(d))。
【0135】
接着剤の充填方法としては、例えば、真空方式による注入法が用いられる。具体的には、積層体101と第2の基板104を接合した接合体100を真空チャンバーに入れ、接着層形成領域140内を真空状態とした後、注入口140bを接着剤溜中に浸し、再び真空チャンバーを大気圧に戻すことにより充填する方法が挙げられる。このような方法によれば、気泡等を生じさせることなく、接着剤を均一に充填し得るので、精度の良い製品を提供し得る。なお、接着剤を注入するまでの組立工程を全て、真空チャンバー内で行ってもよく、これにより、作業時間を短縮することが可能となる。
【0136】
このような注入法に用いられる接着剤としては、例えば、液状の接着剤が用いられ、毛細管現象を利用した接着剤の充填が可能なように、例えば、粘度が100cps以下、好ましくは、1〜10cpsのものが望ましい。このような、液状接着剤としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリレート系樹脂、フェノール系樹脂等、種々の接着剤を用いることができる。
[第5工程]
液状接着剤は、その接着剤の種類に応じて、熱や光線(例:紫外線)を照射することにより硬化させる(図6(e)参照)。なお、この際、張り合わせた基板間の密閉度を高めるために、張り合わせた基板を加圧することが好ましい。また、接着剤の硬化時に、上記シール材103を同時に硬化してもよい。
[第6工程]
積層体101と第2の基板104の接合体の外周を、後の工程で流体を挿入する挿入口(開口部)150となる部位を残して、封止材105で封止する(図7(a))。
【0137】
封止材105としては、積層体101と第2の基板104の接合体の外周を封じ得るものであればよく、例えば、エポキシ系樹脂、アクリレート系樹脂、フェノール系樹脂等の硬化性樹脂、粘着性のテープ等を用いることができる。なお、外周を溶着することにより接着させてもよい。
【0138】
硬化性樹脂による封止は、例えば、塗布法、ディスペンス法等により樹脂を付着させた後、各々の硬化特性に応じた硬化方法により硬化させることで行われる。
【0139】
なお、同図中、挿入口150は、一つであるが、複数であってもよい。
[第7工程]
第1の基板112の裏面側から照射光106を照射する(図7(b))。
【0140】
照射光106は、基板112を介して剥離層111に照射される。これにより、剥離層111に層内剥離および/または界面剥離が生じて、結合力が減少または消滅する。
【0141】
剥離層111の層内剥離および/または界面剥離が生じる原理としては、剥離層111の構成材料にアブレーションが生じること、また、剥離層111内に内蔵しているガスの放出、さらには照射直後に生じる溶融、蒸散等の相変化によるものであると推定される。
【0142】
ここで、アブレーションとは、照射光106を吸収した固体材料(光吸収層の構成材料)が光化学的または熱的に励起され、その表面や内部の原子または分子の結合が切断されて放出することを言い、主に、剥離層111の構成材料の全部または一部が溶融、蒸散(気化)等の相変化を生じる現象として現れる。また、前記相変化によって微小な発泡状態となり、結合力が低下することもある。
【0143】
剥離層111が層内剥離を生じるか、界面剥離を生じるか、またはその両方であるかは、剥離層111の組成や膜厚、その他種々の要因に左右され、その要因の1つとして、照射光106の種類、波長、強度、到達深さ等の条件が挙げられる。
【0144】
照射光106としては、剥離層111に層内剥離および/または界面剥離を起こさせるものであればいかなるものでもよく、例えば、X線、紫外線、可視光、赤外線(熱線)、レーザ光、ミリ波、マイクロ波、電子線、放射線(α線、β線、γ線)等が挙げられるが、そのなかでも、分離層2の剥離(アブレーション)を生じさせ易いという点で、レーザ光が好ましい。
【0145】
このレーザ光を発生させるレーザ装置としては、各種気体レーザ、固体レーザ(半導体レーザ)等が挙げられるが、エキシマレーザ、Nd−YAGレーザ、Arレーザ、CO レーザ、COレーザ、He−Neレーザ等が好適に用いられ、その中でもエキシマレーザが特に好ましい。
【0146】
エキシマレーザは、短波長域で高エネルギーを出力するため、極めて短時間で剥離層111にアブレーションを生じさせることができ、よって、隣接するまたは近傍の反射層、中間層、被転写層、第1の基板112等に温度上昇をほとんど生じさせることなく、すなわち劣化、損傷を生じさせることなく剥離層111を剥離することができる。
【0147】
また、剥離層111にアブレーションを生じさせるに際しての照射光106に波長依存性がある場合、照射されるレーザ光の波長は、100〜350nm程度であるのが好ましい。
【0148】
また、剥離層111に、例えばガス放出、気化、昇華等の相変化を起こさせて分離特性を与える場合、照射されるレーザ光の波長は、350〜1200nm程度であるのが好ましい。
【0149】
また、照射されるレーザ光のエネルギー密度、特に、エキシマレーザの場合のエネルギー密度は、10〜5000mJ/cm程度とするのが好ましく、100〜500mJ/cm程度とするのがより好ましい。また、照射時間は、1〜1000nsec程度とするのが好ましく、10〜100nsec程度とするのがより好ましい。エネルギー密度が低いかまたは照射時間が短いと、十分なアブレーションが生じず、また、エネルギー密度が高いかまたは照射時間が長いと、剥離層111を過剰に破壊するおそれがある。
【0150】
このようなレーザ光に代表される照射光106は、その強度が均一となるように照射されるのが好ましい。
【0151】
照射光106の照射方向は、剥離層111に対し垂直な方向に限らず、剥離層111に対し所定角度傾斜した方向であってもよい。
【0152】
また、剥離層111の面積が照射光の1回の照射面積より大きい場合には、剥離層111の全領域に対し、複数回に分けて照射光を照射することもできる。また、同一箇所に2回以上照射してもよい。
【0153】
また、異なる種類、異なる波長(波長域)の照射光(レーザ光)を同一領域または異なる領域に2回以上照射してもよい。
【0154】
なお、剥離層111の基板1と反対側に隣接して反射層を設けた場合には、照射光106をロスなく有効に剥離層111へ照射することができるとともに、反射層(遮光層)の遮光機能により、照射光106が被転写層110等に照射されるのを防止し、被転写層110の変質、劣化等の悪影響を防止することができるという利点を有する。
【0155】
特に、照射光106をロスなく有効に剥離層111へ照射することができるということは、その分、照射光106のエネルギー密度を小さくできるということ、すなわち、1回の照射面積をより大きくできるということであり、よって、剥離層111の一定の面積をより少ない照射回数で剥離することができ、製造上有利である。
[第8工程]
加圧室130に挿入口150から、流体107を注入する(図7(c))。
【0156】
流体107としては、上述したものが利用し得る。流体107が、注入されることによる内圧の上昇により、接合体100の面と垂直方向に上下に力が加わり、第1の基板112が分離される(図7(d))。
【0157】
流体107の注入量、注入速度、流体の圧力等を適宜調整することによって、加圧室130内に加わる力を調整する。
【0158】
なお、上記剥離層111に照射光106を照射する工程(第7工程)と、加圧室130に流体107を注入する工程は、同時に行ってもよい。
【0159】
図8に、加圧室130に内圧が加わることにより、第1の基板112が分離される機構を説明するための説明図を示す。
【0160】
図8(a)に示すように、加圧室130に流体107が注入され、第2の基板及び被転写層210に垂直方向に外側に向く力が生じ、第1の基板112及び第2の基板が上下に分離される。この際、被転写層210の加圧室130の直下に対応する部位に直接力が加わり、亀裂が生じ、被転写層210は、被転写体領域102ごとに分断されることになる(図8(b))。
【0161】
なお、剥離層111における第1の基板112と第2の基板104の分離を促進するためには、第1の基板112に、より直接的に圧力を付与することが好ましい。したがって、図9(a)に示すように、予め、被転写層210の被転写体領域102以外の部位を、エッチング又はレーザ等により除去して、各々独立に存在する多数の被転写体110を形成しておくことにより、剥離層111を介して第1の基板により直接的に力が付与し得るようにすることが好ましい。なお、剥離層111の対応する部位も同様に除去しておいてもよい。このように、予め、独立した被転写体110を形成しておくことで、被転写層210の分割時の亀裂等による被転写体領域102の破損の虞がなくなり、歩留まりよく製品を製造し得る。
【0162】
また好ましくは、基板周辺の封止部は、本工程で実施される流体の注入を行っても破壊または剥離しない程度の接着強度を有する。これにより、加圧室の圧力を十分に高め、被転写体の剥離を容易にすることができる。なお、被転写体の剥離が完了した後には、周辺封止部を切断したり、封止材を有機溶剤等で溶解することで、第1の基板と第2の基板を分離する工程を実施することができる。
【0163】
図8(b)及び図9(b)では、剥離層111は、第2の基板104に付着しているが、被転写層210側に付着していることもある。
【0164】
このような剥離層111は、例えば洗浄、エッチング、アッシング、研磨等の方法またはこれらを組み合わせた方法により除去することができる。
【0165】
以上のような各工程を経て、被転写層210(又は被転写体110)の第2の基板104への転写が完了する。その後、被転写層210に隣接する剥離層111の除去や、他の任意の層の形成等を行うこともできる。
【0166】
第1の実施形態によれば、基板間に設けられた加圧室130内に内圧を生じさせることで、内部より両基板を離隔させる力を働かせるため、両基板を一端から引き離す場合に比べ、短時間で効率よく、剥離することが可能となる。
【0167】
また、基板の周囲を、挿入口150以外を封止材105により封止しているので、加圧室130全体に効率よく流体107を注入することが可能となり、また、密閉性を高めることができる。また、流路が相互に繋がっている場合には、一の挿入口150から流体の挿入が可能となり、内圧を付与する際の効率がよい。
【0168】
また、流体107の注入により加圧室130内に圧力を付与しているため、流体107の注入量及び注入速度を調整することで、加圧室130に付与する圧力の微調整が可能となる。
【0169】
また、シール材103で、加圧室130を形成することにより、加圧室130の密閉性をより高めることが可能となる。また、シール材103により、同時に、接着層形成領域140を形成することも可能であり、効率がよい。
【0170】
また、基板間全体に圧力を付与し得るので、大量生産の際にも効率よく、被転写体と転写元基板との剥離を促進し得る。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、加圧室の内圧と外圧を利用することで、内圧を高め第1の基板と第2の基板との離隔を促進する以外は、第1の実施形態と同様の方法により行われる。
【0171】
まず、図10に示すような、封止材105で外周を完全に封止した接合体100を準備する。
【0172】
同図に示した接合体100は、シール材の配置パターンを図10のように、被転写体領域102の周囲を囲む形状とし、加圧室130としての流路を格子状として、接着層120をインクジェット方式により形成し、接合体100の全体を封止材で被覆する。
【0173】
具体的には、積層体101上に、インクジェット方式により、接着層120(図9参照)を形成する場合には、例えば、図10に示すように、被転写体領域102の周囲を囲むようなパターンにシール材103を配置し、接着層形成領域140を形成する。このように、形成した接着層形成領域140に、インクジェットヘッドを用いて、液状の接着剤を吐出することで、接着層120を形成し得る。その後、第2の基板を重ね合わせ、使用した接着剤及びシール材の特性に応じて、各々を同時に又は別々に、熱又は光を照射させることで、接合体100を形成することができる。なお、上記のようなパターンによれば、加圧室130としての流路を格子状に相互に繋がった状態に形成し得るので、流体を効率よく挿入し得るので好ましい。
【0174】
それ以外は、第1の実施形態に記載したのと同様の工程で製造することができる。なお、シール材103により形成する加圧室130のパターンは、第1の実施形態で例示したのと同様のパターンであってもよい。また、第2の実施形態で例示したパターンを第1の実施形態に適用してもよい。
【0175】
この接合体100を、例えば、真空チャンバーのような、圧力を調整し得る装置内に入れ、減圧する。すると、接合体100の加圧室130内に含まれている空気が、外圧が減少することによって膨張し、この膨張による圧力により、第1の基板112と第2の基板104を離隔し得る。
【0176】
これにより、被転写体領域102(被転写体110)を第2の基板に転写し得る。
【0177】
第2の実施形態によれば、加圧室の内圧と外部の圧力の差を利用することで、容易に第1の基板112と第2の基板104を離隔し得る。また、真空チャンバー等の装置を利用することに、外圧を調整することができるので、第1の基板112と第2の基板104の離隔(剥離)の際の圧力を容易に調整し得る。
【0178】
また、基板間に縦横に張り巡らされた流路内に均一に含まれる空気を膨張させるので、圧力の偏りがなく、均一に基板間に剥離のための力を付与し得るので、一部にのみ力が集中することがなく、基板の破損等の虞を防止し得る。したがって、歩留まりよく製品を製造し得る。
【0179】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0180】
このような転写方法は、転写体としての回路基板等の製造方法に応用することができる。すなわち、本発明の回路基板の製造方法は、第1の実施形態及び第2の実施形態で記載したような転写方法を用いて、転写する工程を含むものである。
【0181】
本発明の回路基板は、第1の実施形態及び第2の実施形態で記載したような転写方法を用いて、種々の最終基板上にそれぞれ離間して転写した複数の薄膜デバイス(薄膜素子)を、導体からなる配線によって電気的に接続することにより製造し得る。
【0182】
図11に、本発明の転写方法によって製造される電気光学装置(回路基板を含む)の一例を示す。
【0183】
ここで、電気光学装置とは、電気的作用によって発光あるいは外部からの光の状態を変化させる電気光学素子を備えた装置一般をいい、自ら光を発するものと外部からの光の通過を制御するもの双方を含む。例えば、電気光学素子としては、液晶素子、電気泳動粒子が分散した分散媒体を有する電気泳動素子、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、電界の印加により発生した電子を発光板に当てて発光させる電子放出素子が挙げられ、これを備えた表示装置等を電気光学装置という。
【0184】
当該例の電気光学装置は、有機EL素子を用いた表示回路である。当該表示回路は、転写先基板であるガラス基板に形成されるものであり、図11に示す回路のうち、画素回路P、選択線駆動回路502、信号線駆動回路503が本発明の被転写体としてガラス基板に転写されている。選択線Vsel、信号線Vsig、電源線Vddは、転写前に予めガラス基板に形成されていたものである。
【0185】
本発明の回路基板の製造方法によれば、本発明の転写方法によって製造された回路基板等を使用するので、安価な電子機器を提供し得る。
【0186】
図12は、本発明の転写方法を利用して製造した電子機器の例を説明する説明図である。
【0187】
本発明の回路基板を使用した装置としては、例えば、電気光学装置、駆動装置、制御装置等が該当する。
【0188】
図12(a)は携帯電話への適用例であり、携帯電話510は、アンテナ部511、音声出力部512、音声入力部513、操作部514、及び薄膜デバイスを備えた電気光学装置(回路基板)51を備えている。このように本発明の回路基板は、携帯電話510の表示部として利用可能である。
【0189】
図12(b)はビデオカメラへの適用例であり、ビデオカメラ520は、受像部521、操作部522、音声入力部523、及び薄膜デバイスを備えた電気光学装置(回路基板)51を備えている。このように本発明の回路基板は、ファインダーや表示部として利用可能である。
【0190】
図12(c)は携帯型パーソナルコンピュータへの適用例であり、コンピュータ530は、カメラ部531、操作部532、及び薄膜デバイスを備えた電気光学装置(回路基板)51を備えている。このように本発明の回路基板は、表示部として利用可能である。
【0191】
図12(d)はヘッドマウントディスプレイへの適用例であり、ヘッドマウントディスプレイ540は、バンド541、光学系収納部542及び薄膜デバイスを備えた電気光学装置(回路基板)51を備えている。このように本発明の回路基板は画像表示器として利用可能である。
【0192】
図12(e)はリア型プロジェクターへの適用例であり、プロジェクタ550は、筐体551に、光源552、合成光学系553、ミラー554、ミラー555、スクリーン556、及び薄膜デバイスを備えた電気光学装置(回路基板)51を備えている。このように本発明の回路基板は画像表示器として利用可能である。
【0193】
図12(f)はフロント型プロジェクタへの適用例であり、プロジェクタ560は、筐体562に光学系561及び薄膜デバイスを備えた電気光学装置(回路基板)51を備え、画像をスクリーン563に表示可能になっている。このように本発明の回路基板は画像表示器として利用可能である。
【0194】
上記例に限らず本発明の回路基板は、種々の電子機器に適用可能である。例えば、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイなどにも活用することができる。
【0195】
以上のように、本発明の回路基板の製造方法は、本発明の転写方法を利用しているので、効率よく回路基板を製造することが可能である。
【0196】
また、本発明の回路基板、及び電子機器は、このような製造方法を利用しているので、安価な回路基板及び電子機器を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の剥離方法の剥離機構を説明するための概念図である。
【図2】図2は、第1の基板及び第2の基板間に設けられた加圧室に、内圧を生じさせる方法を説明するための説明図を示す。
【図3】図3は、開口部の隙間に、流体を注入する方法を説明するための説明図である。
【図4】図4は、第1の基板と第2の基板の接合体の構成及び加圧室の配置を説明するための接合体の断面図である。
【図5】図5は、シール材103の形成配置を説明するため断面図である。
【図6】図6は、本発明の転写方法の工程を示す工程図である。
【図7】図7は、本発明の転写方法の工程を示す工程図である。
【図8】図8は、本発明の剥離機構を説明するための概念図である。
【図9】図9は、本発明の剥離機構を説明するための概念図である。
【図10】図10は、本発明の他の態様に係る転写方法の工程を示す工程図である。
【図11】図11は、薄膜デバイスの回路の一例を示す平面図である。
【図12】図12は、電子機器の例を説明する説明図である。
【符号の説明】
100・・・接合体、101・・・積層体、102・・・被転写体領域、103・・・シール材、104・・・第2の基板、105・・・封止材、106・・・照射光、107・・・流体、110・・・被転写体、111・・・剥離層、112・・・第1の基板、113・・・反射層、114・・・中間層、115・・・薄刃、120・・・接着層、130・・・加圧室、130a・・・各開放端、140・・・接着層形成領域、150・・・挿入口、210・・・被転写層

Claims (13)

  1. 第1の基板上に設けられた一又は複数の被転写体を第2の基板に転写する方法であって、
    前記被転写体と前記第2の基板とを接合した場合に流体が介在する加圧室を設ける工程と、
    前記被転写体と前記第2の基板を接合する工程と、
    前記加圧室の内圧を外部の圧力より相対的に高めることで、前記第1の基板と前記被転写体とを離隔する工程と、
    を含むことを特徴とする、被転写体の転写方法。
  2. 前記第2の基板と前記被転写体が、接着層を介して接合されている、請求項1に記載の転写方法。
  3. 前記加圧室が、前記被転写体が前記第2の基板に接合された領域以外の領域に設けられている、請求項1又は請求項2に記載の転写方法。
  4. 前記加圧室が、前記第1の基板と前記第2の基板との間に、格子状又は網目状に形成されている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の転写方法。
  5. 前記加圧室が、前記被転写体の外周の少なくとも一部又は全部に設けられた流路である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の転写方法。
  6. 前記離隔する工程が、前記加圧室内の流体により前記加圧室内の内圧を高めることで、前記第1の基板と前記被転写体とを離隔する工程である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の転写方法。
  7. 前記流体により加圧室内の内圧を高める方法が、前記加圧室内に流体を注入することによる、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の転写方法。
  8. 前記流体により加圧室の内圧を高める方法が、前記加圧室の内圧を外部の圧力より相対的に高くすることで、前記加圧室内の流体を膨張させることによる、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の転写方法。
  9. 前記離隔する工程において、前記第1の基板及び第2の基板の周囲の一部又は全部を封止材で封じる段階を含む、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の転写方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の転写方法を用いて転写体を形成する、転写体の製造方法。
  11. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の転写方法を用いて回路基板を形成する、回路基板の製造方法。
  12. 請求項10に記載の転写体の製造方法を用いて製造された転写体を有する、電気光学装置。
  13. 請求項12に記載の電気光学装置を有する、電子機器。
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