JP4647060B2 - 防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物ならびに船舶外板または水中構造物の防汚方法 - Google Patents

防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物ならびに船舶外板または水中構造物の防汚方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物、船舶外板または水中構造物の塗装方法に関し、さらに詳しくは、加水分解性が長期間持続し、長期防汚性等に優れた防汚塗膜を形成できるような防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物ならびに船舶外板または水中構造物の防汚方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
船舶用防汚塗料には、従来、防汚剤として有機スズ等の有機化合物が従来用いられていたが、近年では生体系への安全性の観点から、このような防汚剤の使用が再検討されている。
これに代わる防汚剤として、最近では亜酸化銅、チオシアン化銅を主成分とし、これに有機錫不含の各種防汚剤すなわち非有機錫系防汚剤を配合することにより、亜酸化銅等を主成分とする防汚剤の防汚性能の向上を図ったものが検討されてきた。
▲1▼ 特開平5-171066号公報には、(a)二重結合を2〜3個有し、かつ金属を含有する重合性単量体2〜30重量%、(b)水酸基および/またはアミノ基を含有するビニル単量体2〜30重量%および(c)共重合可能な他の単量体40〜96重量%からなる加水分解性の共重合体をビヒクル成分とする防汚性塗料組成物が開示され、これに防汚剤として亜酸化銅、亜鉛華、ビス(ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛を配合したものがあげられ、長期間防汚性が持続される旨記載されている。
【0003】
▲2▼特開平8-209005号公報には、Rp−COO−M−OH(式中、Rpは基体樹脂を示し、Mは2価の金属原子を示す。)で表される分子内に金属カルボキシレートを有する樹脂を有効成分とする防汚性樹脂組成物が開示され、Mとしては、2価の金属原子の銅、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄があげられている。この樹脂は、優れた防汚作用を有し、防汚塗料に使用できる旨記載されている。
▲3▼特開平9-286933号公報には、Rp−COOM−OH(式中、Rpは基体樹脂を示し、Mは2価の金属原子を示す。)で表される分子内に金属カルボキシレートを有する樹脂(A)および亜酸化銅等の防汚剤(B)を有効成分とする防汚塗料組成物が開示され、Mとしては、同上の2価の金属原子があげられ、また上記樹脂(A)と併用可能な樹脂成分として、ロジン(c)があげられている。該公報には、この組成物は優れた防汚効果を発揮できる旨記載されている。
【0004】
しかしながら、上記▲1▼〜▲3▼の各公報に記載の防汚塗料組成物からなる防汚塗料および塗膜では、含まれる樹脂(共重合体)は、例えば、銅(メタ)アクリレート系共重合体など、加水分解性の乏しい共重合体に次第に変化してしまい、防汚効果の持続性が低下してしまう。このため例えば従来のような亜酸化銅等を配合した防汚塗料組成物からなるこれら塗膜では、初期防汚性を有していても、経時的に消耗度が低下し、長期防汚性が充分でないとの問題点がある。
【0005】
このため、船舶または水中構造物の進水・浸漬初期(これらをまとめて、単に初期と言う。)から安定した適度な塗膜消耗速度を有し、船底等への付着生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮し得る非錫系防汚塗料組成物の出現が求められていた。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ねたところ、重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)と、銅および/または無機銅化合物(b)と、金属ピリチオン類(c)と、トリフエニルボロン・アミン錯体、テトラフェニルボロン・アンモニウム塩、4,5−ジクロロ−2−n−6−オクチル−4−イソチアジゾリン−3−オン等の特定の有機防汚剤(d)とを含有する非錫系の防汚塗料組成物からなる塗膜が、驚くべきことに適度な加水分解性能、すなわち適度な塗膜溶出速度を長期に継続して有し、船舶等への付着生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮できることなどを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、水中浸漬初期から適度な塗膜消耗速度を有し、加水分解性が長期間持続し、船舶または水中構造物等への付着生物に対して優れた防汚性能を長期間継続的に発揮し得る防汚塗膜を形成しうる、非錫系の防汚塗料組成物を提供することを目的としている。
【0007】
本発明は、この防汚塗料組成物から形成されており環境汚染のおそれが少なく、浸漬初期から適度な塗膜消耗速度を有し、長期間の防汚性に優れた防汚塗膜および該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物ならびに該防汚塗料組成物を用いた船舶外板または水中構造物表面の防汚方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係る防汚塗料組成物は、
(a)重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体と、
(b)銅および/または無機銅化合物と、
(c)金属ピリチオン類と、
(d) トリフェニルボロン・アミン錯体、テトラフェニルボロン・アンモニウム塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン-2-エチレンビスジチオカーバメート、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−6−オクチル−4−イソチアジゾリン−3−オン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルからなる群から選ばれた少なくとも1種の有機防汚剤とを、
含有することを特徴としている。
【0009】
本発明の防汚塗料組成物において、重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)は、
(i)重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体、たとえば(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体であることが好ましく、さらには(メタ)アクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩成分単位含有共重合体または(メタ)アクリル酸ヒドロキシ銅塩成分単位含有共重合体であることが好ましく、
(ii) 金属原子に結合したヒドロキシ基不含の重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位含有共重合体、たとえば金属原子に結合したヒドロキシ基不含の(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体であることが好ましく、さらには亜鉛原子または銅原子に結合したヒドロキシ基不含の(メタ)アクリル酸亜鉛塩成分単位含有共重合体または(メタ)アクリル酸銅塩成分単位含有共重合体、または
(iii)重合性不飽和カルボン酸シリルエステル成分単位含有共重合体、たとえばシリル(メタ)アクリリレート成分単位含有共重合体
であることが好ましい。
【0010】
本発明においては、上記金属ピリチオン類(c)としては、銅ピリチオンまたは亜鉛ピリチオンであることが好ましい。
さらには、本発明においては、上記有機防汚剤 (d)成分として、トリフェニルボロン・アミン錯体、テトラフェニルボロン・アンモニウム塩または4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンであることが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、上記金属ピリチオン類(c)が銅ピリチオンまたは亜鉛ピリチオンであり、かつ上記有機防汚剤 (d)成分がトリフェニルボロン・アミン錯体またはテトラフェニルボロン・アンモニウム塩である組み合わせが好ましい。
そして、本発明においては、上記金属ピリチオン類(c)が銅ピリチオンまたは亜鉛ピリチオンであり、かつ上記有機防汚剤 (d)成分が4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンである組み合わせが好ましい。
【0012】
本発明においては、上記(a)成分と(b)成分との合計((a)+(b))100重量部に対して、(a)成分を1〜80重量部、(b)成分を20〜99重量部の量で含有することが好ましく、また、(c)成分と(d)成分との合計((c)+(d))100重量部に対して、(c)成分を5〜95重量部および(d)成分を95〜5重量部の量で含有することが好ましい。
【0013】
本発明の船舶または水中構造物は、海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面が、上記の何れかに記載の防汚塗料組成物を塗布硬化してなる防汚塗膜にて被覆されていることを特徴としている。
本発明の船舶外板または水中構造物の防汚方法は、海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面に、上記の何れかに記載の防汚塗料組成物を塗布し、防汚塗膜を形成することを特徴としている。
【0014】
本発明の防汚塗料組成物によれば、長期間の貯蔵安定性に優れ、これから形成される塗布硬化塗膜は、水中浸漬直後から適度な塗膜消耗速度を有し、加水分解性が長期間持続し、船舶または水中構造物付着生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮し得る防汚塗膜を形成しうるような、非錫系の防汚塗料組成物が提供される。
【0015】
本発明の防汚塗膜およびその塗膜で被覆された船舶は、この防汚塗料組成物から形成されており環境汚染のおそれが少なく、付着生物に対して長期防汚性に優れている。
本発明の船舶外板の防汚方法では、環境汚染のおそれが少ない。
【0016】
【発明の具体的説明】
以下に、本発明に係る防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物ならびに船舶外板または水中構造物の防汚方法について具体的に説明する。
[防汚塗料組成物]
まず、この防汚塗料組成物中に含まれる各成分について、順次説明する。
【0017】
<重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体 (a)
上記重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)としては、
(i) 重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体たとえば(メタ)アクリル酸金属塩成分単位含有共重合体、
(ii) 金属原子に結合したヒドロキシ基不含の重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位含有共重合体たとえば金属原子に結合したヒドロキシ基不含の(メタ)アクリル酸金属塩成分単位含有共重合体、または
(iii) 重合性不飽和カルボン酸シリルエステル成分単位含有共重合体たとえばシリル(メタ)アクリレート成分単位含有共重合体
が用いられる。
【0018】
本発明の重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)を構成する金属原子としては、周期律表のIb、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIb、VIIb、VIII族の金属原子があげられ、具体的にはCu、Zn、Ni、Co、Pb、Al、Mg、Sn、Si、Ge等の2価以上の金属原子があげられ、その中でもCu、Zn、Siがとくに好ましい。
【0019】
上記重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)を構成する金属原子がCu、Zn、Ni、Co、Pb、Al、Mgであるときには、下記重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位は重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位を形成していることが多く、Siであるときには、下記重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位は重合性不飽和カルボン酸金属エステル成分単位を形成していることが多い。
【0020】
本発明の重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)を構成する不飽和カルボン酸として、具体的にはアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などを例示することができるが、アクリル酸、メタクリル酸であることがとくに好ましく、これらをまとめて(メタ)アクリル酸という。
【0021】
重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体(i)
この重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体(i)、たとえば(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩含有共重合体[ヒドロキシ金属(メタ)アクリレート成分単位含有共重合体](i)は、ビヒクル成分として長期微水溶性を有し塗膜に長期防汚性を付与する働きを有し、この(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体としては、特開平8-209005号公報、特開平9-286933号公報に記載されているような、下記一般式[I]: R1−COOM−OH ・・・・・[I]
[式[I]中、R1はCH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、HOOC−CH=C(CH3)−のうちの何れかの式で表される不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは金属塩またはエステルを形成していてもよい。Mは上記金属原子、好ましくは亜鉛原子または銅原子を示す。]
で表される、分子内に重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩単量体から誘導される成分単位を有する共重合体であることが好ましい。
【0022】
このように式[I]で表される分子内に重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩単量体[I]から誘導される成分単位を含有する共重合体として、具体的には(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体、たとえば(メタ)アクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩成分単位含有共重合体または(メタ)アクリル酸ヒドロキシ銅塩成分単位含有共重合体(樹脂)は、分子内にカルボキシル基を有する共重合体に、2価の金属の酸化物または水酸化物、たとえば亜鉛(または銅)の酸化物あるいは水酸化物を少量の水の存在下で反応させることにより得ることができる。
【0023】
この反応の際には、上記金属酸化物または金属水酸化物、たとえば亜鉛(または銅)の酸化物あるいは水酸化物は、上記共重合体(樹脂)中のカルボキシル基1モルに対して0.1〜1モルの量で用いられ、また水はカルボキシル基1モルに対して0.1〜1モルの量で用いられる。
上記重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(i)の具体的な合成法としては、特開平9-286933号公報に記載されているように、分子内にカルボキシル基を有する共重合体に、該共重合体の0.5〜5重量%の量の水と、付加させたい2価の金属である金属酸化物または水酸化物、たとえば亜鉛(または銅)の酸化物あるいは水酸化物とを添加し、さらに必要により極少量の混濁防止用の極性溶媒をも添加し、50〜200℃の温度で1〜20時間反応させればよい。
【0024】
分子内にカルボキシル基を有する共重合体は、好ましくは、(メタ)アクリル酸等、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの重合性不飽和カルボン酸単量体と、これらの重合性不飽和カルボン酸単量体と共重合しうる他の単量体とを共重合させることにより、形成させることができる。
なお、カルボキシル基を含有する限り、これ以外の種々のビニル重合体、ポリエステル、ポリウレタン、天然樹脂なども使用可能である。
【0025】
上記重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩含有単量体または重合性不飽和カルボン酸単量体(イ)と共重合しうる他の単量体(ロ)としては、たとえば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体類としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート等の脂肪族系の単量体;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、等の脂環族系の単量体;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族系単量体、ジエチルマレエート、ジイソプロピルマレエート、ジイソプロピルフマレート、ジブチルイタコネート、エチル−ステアリン酸亜鉛マレエート、イソプロピル−オレイン酸銅マレエート、ヘキシル−バーサチック酸銅マレエート、イソプロピル−ラウリル酸亜鉛フマレート、ブチルアビエチン酸銅フマレート等があげられる。
【0026】
上記重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩含有単量体または重合性不飽和カルボン酸単量体(イ)と共重合しうる他の単量体(ロ)としては、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等水酸基を1個有する不飽和単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2〜3量体;グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基を複数個有する単量体等の水酸基含有不飽和系単量体があげられる。
【0027】
また、上記重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩含有単量体または重合性不飽和カルボン酸単量体(イ)と共重合しうる他の単量体(ロ)として、具体的には、(メタ)アクリルアミド、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基またはアミド基含有単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の、第一〜第三のアミノ基またはアミド基を有する単量体があげられる。
【0028】
また、上記重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩含有単量体または重合性不飽和カルボン酸単量体(イ)と共重合しうる他の単量体(ロ)として、具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等があげられる。
不飽和単量体 (ロ)は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0029】
上記2価金属である亜鉛(または銅)の酸化物あるいは水酸化物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛[Zn(OH)2]、酸化銅、水酸化銅[Cu(OH)2]があげられる。
重合反応に使用される極性溶媒としては、ブタノール等のアルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系のものが用いられる。
【0030】
上記重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体(i)、たとえば(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体は、ビヒクル成分として長期微水溶性を有し塗膜に長期防汚性を付与する働きを有し、この重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体としては、重合性単量体の重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩単量体 (イ)および該重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩含有単量体と共重合可能な「他の単量体」(ロ)を共重合してなるものであり、重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩単量体(イ)由来の成分単位が通常2〜65重量%、該不飽和単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)由来の成分単位が残部量すなわち35〜98重量%(成分単位(イ)+(ロ)の合計を100重量%)で含まれているものがあげられる。
【0031】
本発明において、不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体(i)、たとえば(メタ)アクリル酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体の数平均分子量は、通常1,000〜50,000、好ましくは3,000〜20,000であり、ガラス転移温度Tgは、−10℃〜+60℃、好ましくは+10〜+40℃であり、酸価は、80〜200である。
【0032】
金属原子に結合したヒドロキシ基を含有していない重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位含有共重合体 (ii)
本発明の防汚塗料組成物において、金属原子に結合したヒドロキシ基を含有していない重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位含有共重合体(ii)を構成する重合性不飽和カルボン酸金属塩から誘導される成分単位(イ)は、
一般式[II]:
1−COO−M−Ln ・・・・・[II]
[式[II]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、HOOC−CH=C(CH3)−等の不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは、金属、アルコール等と反応して、金属塩またはエステルを形成していてもよい。
【0033】
Mは上記金属原子、好ましくはZn、Cu、Mg、Siを示し、
Lは炭化水素基(R2)または有機酸残基(−OCOR2)を示し、MがZn、Cu、Mg等の場合には、Lは有機酸残基であることが好ましく、MがSiの場合には、Lは炭化水素基(R2)であることが好ましく、これら式中のR2は、炭素数1〜25、好ましくは1〜20の範囲にあり、鎖状アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アラルキル基の何れかを示し、
nは上記金属Mの原子価数−1の数を示す。]
で表される重合性不飽和カルボン酸金属化合物(重合性不飽和カルボン酸金属塩)から誘導される成分単位を含有する共重合体である。
【0034】
上記Lがカルボン酸残基(−OCOR2)である場合、このような基を誘導し得るカルボン酸(HOCOR2)としては、鎖状、脂環式、芳香環などを有していてもよく、主に1価のカルボン酸であるプロピオン酸、吉草酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、バーサチック酸、アビエチン酸(ロジン中に含有される酸)、ナフテン酸、(メタ)アクリル酸、安息香酸などがあげられる。
【0035】
一般式[II]で表される重合性不飽和カルボン酸金属塩単量体として、たとえば(メタ)アクリル酸金属塩単量体として具体的には、例えば、メタクリル酸亜鉛:[(CH2=C(CH3)−COO−)2Zn]、アクリル酸亜鉛:[(CH2=CH−COO−)2Zn]、メタクリル酸マグネシウム:[(CH2=C(CH3)−COO−)2 Mg]、アクリル酸マグネシウム:[(CH2=CH−COO−)2Mg]、メタクリル酸銅:[(CH2=C(CH3)−COO−)2Cu]、アクリル酸銅:[(CH2=CH−COO−)2 Cu]、バーサチック酸亜鉛メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(( C373C−COO−)Zn]、バーサチック酸亜鉛アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(( C373C−COO−)Zn]、ナフテン酸亜鉛メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(ナフテン酸残基)Zn]、ナフテン酸亜鉛アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(ナフテン酸残基)Zn]、安息香酸亜鉛メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(( C65)COO−)Zn]、安息香酸亜鉛アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(( C65)COO−)Zn]、安息香酸マグネシウムメタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(C65COO−)Mg]、バーサチック酸マグネシウムアクリレート:[(CH2=CH−COO−)(( C373C−COO−)Mg]、バーサチック酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)((C373C−COO−)Cu]、安息香酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(( C65)COO−)Cu]、ナフテン酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(ナフテン酸残基)Cu]、ナフテン酸銅アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(ナフテン酸残基)Cu]、エチル−ステアリン酸亜鉛マレエート、イソプロピル−オレイン酸銅マレエート、ヘキシル−バーサチック酸銅マレエート、イソプロピル−ラウリル酸亜鉛フマレート、ブチルアビエチン酸銅フマレート等を例示することができる。
【0036】
上記重合性不飽和カルボン酸金属塩[II][たとえば(メタ)アクリル酸金属塩単量体(イ)]と共重合可能な「他の単量体」(ロ)としては、脂肪族系、脂環族系、芳香族系不飽和単量体等のいずれであってもよく、たとえば、上記重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩含有共重合体(i)を構成する重合性不飽和カルボン酸と共重合しうる他の単量体として上記例示した不飽和単量体が同様に使用できる。このような不飽和単量体 (ロ)は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0037】
金属原子に結合したヒドロキシ基を含有していない上記重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位含有共重合体(ii)、たとえば(メタ)アクリル酸金属塩成分単位含有共重合体は、ビヒクル成分として長期微水溶性を有し塗膜に長期防汚性を付与する働きを有し、この重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位含有共重合体(ii)としては、重合性不飽和カルボン酸金属塩単量体 (イ)および該重合性不飽和カルボン酸金属塩単量体と共重合可能な「他の単量体」(ロ)を共重合してなるものであり、重合性不飽和カルボン酸金属塩(イ)由来の成分単位が通常2〜65重量%、単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)由来の成分単位が残部量すなわち35〜98重量%(成分単位(イ)+(ロ)の合計を100重量%)で含まれている。
【0038】
不飽和単量体(イ)および(ロ)が共重合されてなる重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位含有共重合体(ii)、具体的には(メタ)アクリル酸金属塩成分単位含有共重合体の数平均分子量は、通常、5,000〜100,000であり、ガラス転移温度Tgは、通常−20℃〜+50℃である。
本発明の防汚塗料組成物において、重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位含有共重合体(ii)、具体的には(メタ)アクリル酸金属塩成分単位含有共重合体を製造する方法としては、次の(1)〜(3)の何れかの方法を採用することが可能である。これらの共重合体は、特公平7−64985号公報、特開平4−80205号公報、特開平4−80269号公報、特開平4−80270号公報、特開昭63−128008号公報、特開昭63−128084号公報、特開平1−16809号公報、特開平5−171066号公報等および特開平10−158547号公報に開示された方法に準じるかまたは参照することにより、容易に製造することができる。たとえば、次の方法を例示することができる。
【0039】
(1)その第一の方法として、重合性不飽和カルボン酸金属塩単量体、具体的には(メタ)アクリル酸金属塩単量体(イ)およびこの単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)を有機溶剤と混合し、ターシャリ−ブチルパーオキシオクトエート(t−BPO)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、形成させることができる。
【0040】
(2)その第二の方法として、重合性不飽和カルボン酸単量体、具体的には(メタ)アクリル酸(イ)、この単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)、および「飽和脂肪族カルボン酸金属塩、飽和脂環式カルボン酸金属塩、あるいは芳香族カルボン酸金属塩」(ハ)を有機溶剤と混合し、ターシャリ−ブチルパーオキシオクトエート(t−BPO)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、形成させることができる。
【0041】
(3)その第三の方法として、重合性不飽和カルボン酸単量体、具体的には(メタ)アクリル酸(イ)およびこの単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)を有機溶剤と混合し、ターシャリ−ブチルパーオキシオクトエート(t−BPO)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、重合性不飽和カルボン酸単量体、具体的には(メタ)アクリル酸(イ)およびこの単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)からなる共重合体を形成させ、さらに引き続いて、この共重合体に、「飽和脂肪族カルボン酸金属塩、飽和脂環式カルボン酸金属塩、あるいは芳香族カルボン酸金属塩」 (ハ)を反応させるか、またはこの共重合体に「飽和脂肪族カルボン酸、飽和脂環式カルボン酸または芳香族カルボン酸」(ハ-1)と「上記と同種の金属種を含有する金属塩化合物、その他同種の金属を含有する金属化合物」(ニ)を反応させることにより、形成させることができる。
【0042】
重合性不飽和カルボン酸シリルエステル成分単位含有共重合体 (iii)
本発明の防汚塗料組成物において、重合性不飽和カルボン酸シリルエステル成分単位含有共重合体(iii)、たとえばシリル(メタ)アクリリレート成分単位含有共重合体は、
一般式[III]:
1−COO−SiL123 ・・・・・[III]
[式[III]中、R1はCH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、HOOC−CH=C(CH3)−等の式で表される不飽和結合含有有機基を示し、この−COOHは金属塩またはエステルを形成していてもよい。L1、L2、L3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素原子数が1〜20の範囲にあり、炭化水素基の鎖式アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基およびそれらの置換体を示す。]で表される重合性不飽和カルボン酸シリルエステル単量体(シリル不飽和カルボキシレート単量体とも言う。)およびこれと共重合可能な不飽和単量体を共重合させてなる共重合体である。
【0043】
重合性不飽和カルボン酸シリルエステル単量体[III]の珪素原子に結合したL1、L2、L3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素原子数が1〜20の範囲にあり、鎖状(直鎖または分岐)アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基の何れかを示し、L1、L2、L3のちの少なくとも1個、好ましくは2個、とくに好ましくは3個が分岐アルキル基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基であることが好ましく、とくに分岐アルキル基または脂環式炭化水素基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソフチル基、n−アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基などの芳香族炭化水素基などを例示することができる。
【0044】
前記一般式[III]で表される重合性不飽和カルボン酸シリルエステル単量体として、具体的には下記のシリル(メタ)アクリレート類を例示することができる。
例えば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、トリエチルシリル(メタ)アクリレート、トリn−プロピルシリル(メタ)アクリレート、トリイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、トリn−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリsec−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリtert−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリイソブチルシリル(メタ)アクリレート、トリフェニルシリル(メタ)アクリレート、メチル−ジイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、エチル−ジイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、n−ブチル−ジイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、イソブチル−ジイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、sec−ブチル−ジイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、フェニル−ジイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、フェニル−ジsec−ブチルシリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルフェニル−ジイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、フェニル−ジtret−ブチルシリル(メタ)アクリレート、フェニル−ジイソブチルシリル(メタ)アクリレート、ジエチル−イソプロピルシリル(メタ)アクリレート、ジエチル−イソプロピルシリル(メタ)アクリレート、ジn−ブチル−イソプロピルシリル(メタ)アクリレート、ジイソブチル−イソプロピルシリル(メタ)アクリレート、ジsec−ブチル−イソプロピルシリル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルフェニル−イソプロピルシリル(メタ)アクリレート、ジフェニル−sec−ブチルシリル(メタ)アクリレート、ジフェニル−tret−ブチルシリル(メタ)アクリレート、ジフェニルイソブチルシリル(メタ)アクリレート、ビス(トリイソプロピルシリル)マレエート、ビス(トリイソプロピルシリル)フマレート、エチル−トリイソプロピルシリルマレエート、イソプロピル−トリイソプロピルシリルフマレート、トリイソプロピルシリル−ステアリン酸銅マレエート、トリイソプロピルシリル−オレイン酸亜鉛マレエート、トリイソプロピルシリル−アビエチン酸亜鉛マレエート、トリイソプロピルシリル−バーサチック酸銅フマレート、トリイソプロピルシリル−ナフテン酸酸亜鉛フマレート、トリイソプロピルシリル−アビエチン酸亜鉛フマレートなどを具体的に例示することができる。
【0045】
上記重合性不飽和カルボン酸シリルエステル(たとえばシリル(メタ)アクリレート(イ))と共重合可能な「他の単量体」(ロ)としては、脂肪族系、脂環族系、芳香族系不飽和単量体等のいずれであってもよく、たとえば、上記重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシ金属塩成分単位含有共重合体(i)を構成する重合性不飽和カルボン酸と共重合しうる他の単量体として上記例示した不飽和単量体を同様に使用できる。このような不飽和単量体 (ロ)は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
上記重合性不飽和カルボン酸シリルエステル成分単位含有共重合体(iii)、たとえば(メタ)アクリル酸シリルエステル成分単位含有共重合体は、ビヒクル成分として長期微水溶性を有し塗膜に長期防汚性を付与する働きを有し、この重合性不飽和カルボン酸シリルエステル成分単位含有共重合体(iii)としては、重合性単量体の重合性不飽和カルボン酸シリルエステル単量体 (イ)および該重合性不飽和カルボン酸シリルエステル単量体(イ)と共重合可能な「他の単量体」(ロ)を共重合してなるものであり、重合性不飽和カルボン酸シリルエステル単量体 (イ)由来の成分単位が通常2〜65重量%、単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)由来の成分単位が残部量すなわち35〜98重量%(成分単位(イ)+(ロ)の合計を100重量%)で含まれている。
【0047】
このような不飽和単量体(イ)および(ロ)が共重合されてなる重合性不飽和カルボン酸シリルエステル成分単位含有共重合体(iii)、たとえばシリル(メタ)アクリレート含有共重合体の数平均分子量は、通常、5,000〜100,000であり、ガラス転移温度Tgは、通常−20℃〜+50℃である。
本発明の防汚塗料組成物に使用される重合性不飽和カルボン酸シリルエステル成分単位含有共重合体(iii)を製造する方法としては、重合性不飽和カルボン酸シリルエステル単量体(具体的には、例えば、シリル(メタ)アクリレート塩単量体(イ))およびこの単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)を有機溶剤と混合し、ターシャリ−ブチルパーオキシオクトエート(t−BPO)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、形成させることができる。
【0048】
なお、上記共重合体(i)、(ii)、(iii)などの上述してきた共重合体(a)中あるいは、該共重合体(a)を含有する本発明の防汚塗料組成物を塗付硬化してなる防汚塗膜中においては、上記した各共重合性モノマー(単量体)は、その共重合性二重結合部位で開裂して、生じた成分単位(モノマーユニット)がランダムにあるいはブロックに配列した状態で結合しているものと考えられ、このような共重合性二重結合部位が2カ所以上存在するモノマーを含むものを共重合させている場合などには、架橋構造を形成していてもよい。
【0049】
<銅および/または無機銅化合物 (b)
本発明の防汚塗料組成物において、銅および/または無機銅化合物(b)としては、その平均粒子径、粒度分布はとくに制限されないが、例えばとくににその平均粒径が6〜50μmのような銅および/または無機銅化合物(b)であると、加水分解の持続性に優れ、長期間にわたって定常的塗膜消耗度が継続し、長期防汚性に優れた防汚塗膜が得られる傾向がある。
【0050】
無機銅化合物としては、無機系の銅化合物の何れであってもよく、例えば、亜酸化銅、チオシアン化銅(チオシアン酸第一銅、ロダン銅)、塩基性硫酸銅、塩基性酢酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化第二銅、などがあげられ、好ましくは亜酸化銅が用いられる。このような銅化合物は、特に白色塗料以外の着色塗料に好ましく用いられる。 このような銅化合物は、銅に代えて、あるいは銅と共に1種または2種以上組合わせて用いることができる。
【0051】
<金属ピリチオン類 (c)
本発明の防汚塗料組成物において、金属ピリチオン類(c)としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、鉛等の金属ピリチオン類を例示することができる。上記金属ピリチオン類のうちでは、銅ピリチオン、ジンクピリチオンが好ましく、さらには銅ピリチオンが望ましい。
【0052】
<有機防汚剤 (d)
本発明の防汚塗料組成物において、有機防汚剤(d)として、具体的には、例えばトリフェニルボロン・アミン錯体、テトラフェニルボロン・アンモニウム塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン-2-エチレンビスジチオカーバメート、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−s−トリアジ、4,5−ジクロロ-2-n-オクチル-4−イソチアゾリン−3−オン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等をあげることができる。
【0053】
上記有機防汚剤のうちでは、トリフェニルボロン・アミン錯体、テトラフェニルボロン・アンモニウム塩、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−s−トリアジン、4,5−ジクロロ-2-n-6−オクチル-4−イソチアジゾリン−3−オン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルが好ましい。
【0054】
これらのうち、トリフェニルボロン・アミン錯体、テトラフェニルボロン・アンモニウム塩について以下に詳述する。
トリフェニルボロン・アミン錯体
トリフェニルボロン・アミン錯体は、トリフェリルボロンとアミン類とのあいだで形成される錯体である。アミン類としては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、ヘテロ環式アミン等の第一アミン、第二アミンまたは第三アミンのいずれでもよい。具体的には、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、アニリン、トルイジン等の第一アミン;ジn−ブチルアミン、ジn−ヘキシルアミン、ジn−オクチルアミン、ジn−デシルアミン、ジn−ドデシルアミン、ジn−トリデシルアミン、ジn−テトラデシルアミン、ジn−ヘキサデシルアミン、ジn−オクタデシルアミン、ジフェニルアミン等の第二アミン;トリn−プロピルアミン、トリn−ヘキシルアミン、トリn−オクチルアミン、トリn−デシルアミン、トリn−ドデシルアミン、トリn−トリデシルアミン、トリn−テトラデシルアミン、トリn−ヘキサデシルアミン、トリn−オクタデシルアミン、トリフェニルアミン等の第三アミン;ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジンなどのピリジンまたはその核置換体等のピリジン類などを例示することができる。
【0055】
これらのトリフェニルボロン・アミン錯体のうちでは、トリフェニルボロンと第一アミンまたはピリジン類との錯体が防汚性能に優れているので好ましい。
テトラフェニルボロン・アンモニウム塩
本発明においては、テトラフェニルボロン・アンモニウム塩は、テトラフェニルボロンの第一、第二、第三または第四アンモニウム塩であり、後記トリフェニルボロン・アミン錯体で例示する第一アミン、第二アミン、第三アミン、ヘテロ環アミン等に該当するテトラフェニルボロン・アンモニウム塩が例示できる。
【0056】
テトラフェニルボロン・アンモニウム塩は、例えば特公昭54−1571号公報に記載され、好ましくは、下記式(i)〜(vi)で示される。
(i):(Ph)4B・NH4(Ph:フェニル基)、
(ii):(Ph)4B・NRH3
(Ph:フェニル基、R:脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基またはアリール基を示し、それぞれ置換基を有していてもよい。また該脂肪族または脂環式炭化水素基は、その炭素数が3〜25、好ましくは4〜10であり、また該アリール基は、その炭素数が6〜15、好ましくは6〜10である。)、
(iii):(Ph)4B・NR22
(Ph:フェニル基、R:同上の脂肪族炭化水素基またはアリール基を示し、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよい。)、
(iv):(Ph)4B・NR3H(Ph、R:同上)、
(v):(Ph)4B・NR4(Ph、R:同上)、
(vi):(Ph)4B・(NC54)H(Ph:フェニル基、NC54H:ピリジニウム)。
【0057】
上記テトラフェニルボロン・アンモニウム塩(i)〜(vi)として、より具体的には、テトラフェニルボロン・アンモニウム、上記式(ii)で示されるテトラフェニルボロン・第一アンモニウム塩であるテトラフェニルボロン・ブチルアンモニウム[式(ii)中、R=C49]、テトラフェニルボロン・オクチルアンモニウム[式(ii)中、R=C817]、テトラフェニルボロン・デシルアンモニウム[式(ii)中、R=C1021]、テトラフェニルボロン・ドデシルアンモニウム[式(ii)中、R=C1225]、等があげられる。
【0058】
上記式(iii)で示されるテトラフェニルボロン・第二アンモニウム塩としては、例えばテトラフェニルボロン・ジフェニルアンモニウム[式(iii)中、2個のRがフェニル基]、テトラフェニルボロン・ジオクチルアンモニウム[式(iii)中、R=C817]、テトラフェニルボロン・ジデシルアンモニウム[式(iii)中、R=C1021]、テトラフェニルボロン・ジードデシルアンモニウム[式(iii)中、R=C1225]、等があげられる。
【0059】
上記式(iv)で示されるテトラフェニルボロン・第三アンモニウム塩としては、例えばテトラフェニルボロン・トリエチルアンモニウム[式(iv)中、3個のRがエチル基]、テトラフェニルボロン・トリヘキシルアンモニウム[式(iv)中、R=C613]、テトラフェニルボロン・トリオクチルアンモニウム[式(iv)中、R=C817]、テトラフェニルボロン・トリーテトラデシルアンモニウム[式(iv)中、R=C1429]があげられる。
【0060】
上記式(v)で示されるテトラフェニルボロン・第四アンモニウム塩としては、例えばテトラフェニルボロン・テトラエチルアンモニウム[式(v)中、4個のRがエチル基]、テトラフェニルボロン・テトラヘキシルアンモニウム[式(v)中、R=C613]、テトラフェニルボロン・テトラオクチルアンモニウム[式(v)中、R=C817]、テトラフェニルボロン・テトラーテトラデシルアンモニウム[式(v)中、R=C1429]があげられる。
上記式(vi)で示されるテトラフェニルボロン・ヘテロ環アンモニウム塩としては、例えばテトラフェニルボロン・ピリジニウムニウム、テトラフェニルボロン・ピコリニウムなどがあげられる。テトラフェニルボロン・ピリジニウム核置換体塩としては、そのピリジン核に、炭素数1〜5のアルキルが1〜4個程度置換したもの、ハロゲン原子(F、Cl、Brなど)が1〜4個程度置換したもの等があげられる。
【0061】
これらテトラフェニルボロン・アンモニウム塩のうちでは、テトラフェニルボロン・ピリジニウムニウムまたはテトラフェニルボロン・脂肪族第一アンモニウム塩が好ましい。
テトラフェニルボロン・アンモニウム塩は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0062】
本発明の防汚塗料組成物において、とくにこれらの有機防汚剤(d)のうちでは、トリフェニルボロン・アミン錯体、テトラフェニルボロン・アンモニウム塩、4,5−ジクロロ−2−n−6−オクチル−−オクチル-4−イソチアジゾリン−3−オンが好ましい。
本発明の防汚塗料組成物においては、とくに上記金属ピリチオン類(c)のうちの銅ピリチオンまたは亜鉛ピリチオンと、有機防汚剤(d)のうちのトリフェニルボロン・アミン錯体またはテトラフェニルボロン・アンモニウム塩とを、組み合わせて用いることが好ましく、さらには銅ピリチオンまたは亜鉛ピリチオンと4,5−ジクロロ−2−n−6−オクチル−4−イソチアジゾリン−3−オンとを組み合わせて用いると防汚性能が優れるので好ましい。
【0063】
本発明の防汚塗料組成物において、塩素化パラフィン等の可塑剤、酸化亜鉛(亜鉛華)等の顔料、上記以外の従来より公知の防汚剤(f)[すなわち、上記銅および/または無機銅化合物(b)、金属ピリチオン類(c)、有機防汚剤(d)を除く。]、無機脱水剤など、後述するような成分を含有していてもよい。
[必須成分の配合組成]
本発明の防汚塗料組成物において、前記重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)成分は、重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)成分と前記銅および/または無機銅化合物(b)成分との合計((a)+(b))100重量部に対して、通常1〜80重量部、好ましくは2〜65重量部、さらに好ましくは15〜40重量部の量で含有され、前記銅および/または無機銅化合物(b)成分は通常99〜20重量部、好ましくは98〜35重量部、さらに好ましくは85〜60重量部の量で含有されている。前記重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)成分および前記銅および/または無機銅化合物(b)成分がこの範囲で含まれていると、塗膜表面の長期消耗性および防汚性が優れる傾向にある。
本発明の防汚塗料組成物中に含まれる樹脂固形分100重量部に対して、該銅および/または銅化合物(b)は、合計で通常25〜10000重量部、好ましくは50〜5000重量部の量で含まれている。
【0064】
また、本発明の防汚塗料組成物中の重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)と、銅および/または無機銅化合物(b)と、下記金属ピリチオン類(c)と、下記有機防汚剤(d)との合計((a)+(b)+(c)+(d))100重量部に対して、重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a) 成分は、通常1〜78重量部、好ましくは2〜64重量部の量で含まれている。この重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)成分が、合計で防汚塗料組成物中にこの範囲で含まれていると、塗膜表面の長期消耗性および防汚性が優れるようになる傾向にある。
【0065】
さらに、本発明の防汚塗料組成物において、(a)成分+(b)成分+(c)成分+(d)成分の合計100重量部に対して、(b)成分は、15〜97重量部、好ましくは28〜96重量部の量で含まれている。この銅および/または銅化合物(b)が、この範囲にあると、防汚性が優れるようになる傾向がある。
本発明の防汚塗料組成物において、金属ピリチオン類(c)は、防汚塗料組成物中の上記(a)成分と(b)成分と(c)成分と(d)成分との合計((a)+(b)+(c)+(d))100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部の量で含まれる。
【0066】
また、本発明の防汚塗料組成物中において、(c)成分と(d)成分との合計((c)+(d))100重量部に対して、金属ピリチオン類(c)は、通常5〜95重量部、好ましくは50〜90重量部の量で防汚塗料組成物中に含まれている。
本発明の防汚塗料組成物において、上記有機防汚剤(d)は、該防汚塗料組成物中の(a)成分と(b)成分と(c)成分と(d)成分との合計((a)+(b)+(c)+(d))100重量部に対して、この有機防汚剤(d)は通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部の量で含まれている。このような量で有機防汚剤(d)が塗料組成物中に含まれていると、船舶または水中構造物への付着生物に対していっそう優れた防汚性能を長期継続的に発揮できる傾向がある。
【0067】
防汚塗料組成物の製造
本発明の防汚塗料組成物は、従来より公知の方法を適宜利用することにより製造することができ、例えば、上記(a)重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)と、(b)上記銅および/または無機銅化合物と、(c)金属ピリチオン類と、有機防汚剤(d)との他に、必要により、従来より公知の各種有機防汚剤、可塑剤、無機脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤、着色顔料、その他の塗膜形成成分、溶剤(例:キシレン)などを所定の割合で一度にあるいは任意の順序で加えて撹拌・混合し、溶媒に溶解・分散等することにより製造できる。
【0068】
<任意成分>
上記のように本発明に係る防汚塗料組成物には、上記(a)、(b)、(c)、(d)の各成分に加えて、必要によりその他の有機防汚剤成分、さらには以下に述べるような可塑剤、無機脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤、着色顔料、重合性不飽和カルボン酸銅塩系(または亜鉛塩系)共重合体(a)以外の塗膜形成成分、溶剤などの各種成分が含まれていてもよい。
【0069】
<可塑剤(塩素化パラフィン)>
可塑剤としては、TCP(トリクレジルフォスフェート)、塩素化パラフィン、ポリビニルエチルエーテル等があげられる。これらの可塑剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。可塑剤は、この防汚塗料組成物中に、例えば、0.1〜10重量%の量で配合される。
【0070】
可塑剤は、得られる防汚塗料組成物からなる塗膜の耐クラック性の向上に寄与するが、これら可塑剤のうちで、塩素化パラフィン(塩化パラフィン)が好ましく用いられる。塩素化パラフィンとしては、東ソー(株)製の「トヨパラックス150」、「トヨパラックスA-70」などがあげられる。塩素化パラフィンは、上記の重合性不飽和カルボン酸金属化合物含有共重合体(固形分)(a)100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは10〜40重量部の量で含まれる。
【0071】
<無機脱水剤(安定剤)>
無機脱水剤(安定剤)は、防汚塗料組成物の貯蔵安定性を一層向上させることができ、無機脱水剤としては、無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系吸着剤(商品名:モレキュラーシーブ等)、シリケート類等があげられ、無水石膏、モレキュラーシーブが好ましく用いられる。このような無機脱水剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。無機脱水剤は、本発明の非錫系防汚塗料組成物中に、通常、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%程度の量で含まれていてもよい。
【0072】
<カルボン酸の金属塩>
なお、本発明に係る防汚塗料組成物には、さらに、カルボン酸の金属塩が含まれていてもよい。カルボン酸の金属塩としては、その分子量が通常50〜1000、好ましくは100〜600のものが用いられる。カルボン酸の金属塩を構成するカルボン酸としては、脂環構造を有する酸(例:ナフテン酸)、芳香環構造を有するカルボン酸(例:α-(2-カルボキシフェノキシ)ステアリン酸)、ロジン系樹脂酸、脂肪酸等があげられ、ナフテン酸、ロジン系樹脂酸、脂肪酸が好ましい。
【0073】
ロジン系樹脂酸は、ロジン中に含まれる樹脂酸であって、このロジン系樹脂酸としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビンエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、レボピマル酸等があげられる。
脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の何れであってもよく、飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸など、炭素数1〜18程度のものがあげられ、不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、オレイン酸など、同上の炭素数のものがあげられる。
【0074】
また、該カルボン酸金属塩を構成する金属としては、多価金属のアルミニウム、マンガン、コバルト、鉛、カルシウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、亜鉛、ニッケル等があげられ、亜鉛、銅が好ましい。
<タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)>
タレ止め・沈降防止剤としては、有機粘度系Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等があげられ、好ましくは、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス、有機粘度系が用いられる。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の「ディスパロン305」、「ディスパロン4200-20」等の他、「ディスパロンA630-20X」等の商品名で上市されているものがあげられる。タレ止め・沈降防止剤は、この防汚塗料組成物中に、例えば、0.1〜10重量%の量で配合される。
【0075】
<顔料>
有機系顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、紺青等があげられる。無機系顔料としては、例えば、チタン白、ベンガラ、バライト粉、シリカ、タンカル、タルク、白亜、酸化鉄粉等のように中性で非反応性のもの;亜鉛華(ZnO、酸化亜鉛)、鉛白、鉛丹、亜鉛末、亜酸化鉛粉等のように塩基性で塗料中の酸性物質と反応性のもの(活性顔料)等があげられる。なお、染料等の各種着色剤も含まれていてもよい。このような各種顔料は、防汚塗料組成物中に、例えば、合計で0.5〜45重量%程度の量で配合される。
【0076】
<その他の塗膜形成成分>
その他の塗膜形成成分としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ウレタン樹脂(ゴム)、ポリアミド樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、塩化ゴム(樹脂)、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、クマロン樹脂、トリアルキルシリルアクリレート(共)重合体(シリル系樹脂)、石油樹脂等の難あるいは非水溶性樹脂(以下、難水溶性または非水溶性樹脂ともいう)があげられる。本発明においては、これらの樹脂あるいはゴムを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0077】
本発明においては、上記難水溶性または非水溶性樹脂と、下記のような水溶性樹脂とを組合わせて用いることができる。
水溶性樹脂としては、ロジン(例:商品名「ロジンWW」)、モノカルボン酸が挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、炭素数9〜19程度の脂肪酸、ナフテン酸があげられる。ロジンには、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどがあるが、本発明ではいずれをも使用することができる。これらの水溶性樹脂は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0078】
<溶剤>
本発明の防汚塗料では、上記のような各種成分は、溶剤に溶解もしくは分散している。ここで使用される溶剤としては、例えば、脂肪族系、芳香族系、ケトン系、エステル系、エーテル系、アルコール系など、通常、防汚塗料に配合されるような各種溶剤が用いられる。上記芳香族系溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等があげられ、ケトン系溶剤としては、例えば、MIBK等が挙げられ、エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAC)等があげられる。
【0079】
上記のような防汚塗料組成物を、たとえば船舶、漁業資材(例:ロープ、漁網、浮き子、ブイ)火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路等のような各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜などの各種基材の表面に、常法に従って1回〜複数回塗布すれば防汚性に優れ、防汚剤成分が長期間にわたって徐放可能であり、厚塗りしても適度の可撓性を有し耐クラック性に優れた防汚塗膜被覆された船舶または水中構造物となる。
【0080】
すなわち、このような本発明の防汚塗料組成物を各種基材表面に塗布硬化してなる防汚塗膜は、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水棲生物の付着を長期間継続的に防止できるなど防汚性に優れている。とくに、本発明の防汚塗料組成物は、船舶等の基材が、FRP、鋼鉄、木、アルミニウム合金などである場合にも、これらの基材表面に良好に付着する。また、本発明の防汚塗料組成物は、既存の防汚塗膜表面に上塗してもよい。
【0081】
また、本発明の防汚塗料組成物を海中構造物の表面に塗布すれば、海中生物の付着防止を図ることができ、該構造物の機能を長期間維持でき、漁網または漁具に塗布すれば、漁網または漁具の汚損を防止でき、しかも環境汚染のおそれが少ない。
本発明の防汚塗膜またはこの防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物の接水部表面の塗膜は環境汚染のおそれが少なく、船舶または水中構造物への付着生物に対して長期間の防汚性に優れている。
【0082】
【発明の効果】
本発明の防汚塗料組成物は、非錫系防汚塗料組成物であって、上記重合性不飽和カルボン酸金属化合物成分単位含有共重合体(a)、銅および/または無機銅化合物(b)、金属ピリチオン類(c)、および有機防汚剤(d)を含有しているため、従来の防汚塗料、例えば、(メタ)アクリル酸銅成分単位含有共重合体および亜酸化銅配合系の防汚塗料などに比べて、内海等の高汚損環境下の長期静置防汚性を有しまた水中浸漬初期から適度な塗膜消耗速度を有し、加水分解性が長期間持続し、船舶または水中構造物等に付着しようとする水棲生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮し得る塗膜を形成できる。
【0083】
本発明の防汚塗膜および船舶または水中構造物表面の防汚塗膜は、この防汚塗料組成物から形成されており環境汚染のおそれが少なく船舶付着生物に対して長期間の防汚性に優れている。本発明の船舶外板の防汚方法では、環境汚染のおそれが少ない。
【0084】
【実施例】
以下、本発明について実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何等限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例、参考例で使用した各配合成分およびその組成、物性、製造販売元等は、下記のとおりである。なお、共重合体A、Bについては、表1に示し、共重合体C、D、Eについては表2に示し、共重合体f、GおよびHについては、表3に示す。
(1)(メタ)アクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩成分単位含有共重合体(A):
メタクリル酸(MAA)8重量部、メタクリル酸メチル(MMA)4重量部、アクリル酸エチル(EA)28重量部からなるモノマー混合物(これら共重合性モノマー合計40重量部)を、溶剤(酢酸ブチル40重量部、n-ブタノール20重量部)に溶解(合計100重量部)し、重合開始剤AIBNの存在下に100℃で6時間に亘って共重合反応させて、分子量(MW)が約8000の共重合体(a)含有物(固形分40重量%)を得た。
【0085】
この共重合体(a)調製時のモノマー組成、得られた共重合体(a)の物性等を表1に示す。
この(分子量が約8000の)共重合体(a)含有物100重量部に、亜鉛華 4重量部、水1重量部を加え、120℃で10時間反応を行い、無色透明な液体であるメタクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩成分単位含有共重合体(A)含有液を得た。
【0086】
得られた無色透明液体に、n-ブタノールを追加して、固形分濃度NV40%に調整した。
このように固形分濃度調整された(メタ)アクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩成分単位含有共重合体(A)含有液を以下の参考例、比較例で用いた。
(2)(メタ)アクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩成分単位含有共重合体(B):
メタクリル酸(MAA)10重量部、メタクリル酸メチル(MMA)0重量部、アクリル酸エチル(EA)30重量部からなるモノマー混合物(これら共重合性モノマー合計40重量部)を、溶剤(酢酸ブチル40重量部、n-ブタノール20重量部)に溶解(合計100重量部)し、重合開始剤AIBNの存在下に100℃で6時間に亘って共重合反応させて、分子量(MW)が約8000の共重合体(b)含有物(固形分40重量%)を得た。
【0087】
この共重合体(b)調製時のモノマー組成、共重合体(b)の物性等を表1に示す。
この(分子量が約8000の)共重合体(b)含有物100重量部に、亜鉛華5 重量部、水1重量部を加え、120℃で10時間反応を行い、無色透明な液体であるメタクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩系共重合体(B)含有液を得た。
得られた無色透明液体に、n-ブタノールを追加して、固形分濃度NV40% に調整した。
【0088】
このように固形分濃度調整された(メタ)アクリル酸ヒドロキシ亜鉛塩成分単位含有共重合体(B)含有液を以下の参考例、比較例で用いた。
(3)亜鉛原子に結合したヒドロキシ基不含の(メタ)アクリル酸亜鉛塩成分単位含有共重合体(C):
メタクリル酸亜鉛(Zn(MAA)2、浅田化学社製)8重量部、メタクリル酸メチル(MMA)4重量部、アクリル酸エチル(EA)28重量部(これら共重合性モノマー合計40重量部)を溶剤(酢酸ブチル40重量部、n-ブタノール20重量部)に溶解(合計100重量部)し、重合開始剤t-BPOの存在下に100℃で7時間に亘って共重合反応させることにより、分子量(MW)が約1万の共重合体(C)の含有液(固形分(NV):40重量%)を得た。
(4)亜鉛原子に結合したヒドロキシ基不含の(メタ)アクリル酸亜鉛塩成分単位含有共重合体(D):
メタクリル酸亜鉛(Zn(MAA)2、浅田化学社製)10重量部、メタクリル酸メチル(MMA)0重量部、アクリル酸エチル(EA)30重量部(これら共重合性モノマー合計40重量部)を溶剤(酢酸ブチル40重量部、n-ブタノール20重量部)に溶解(合計100重量部)し、重合開始剤t-BPOの存在下に100℃で7時間に亘って共重合反応させることにより、分子量(MW)が約1万の共重合体(D)の含有液(固形分(NV):40重量%)を得た。
(5)(メタ)アクリル酸亜鉛塩成分単位含有共重合体(E):
バーサチック酸亜鉛メタクリレート[(CH2=C(CH3)−COO−)((C373C−COO−)Zn]10重量部、アクリル酸エチル(EA)30重量部(これらの共重合モノマー合計40重量部)を溶剤(酢酸ブチル40重量部、n−ブタノール20重量部)に溶解(合計100重量部)し、100℃で7時間にわたって共重合反応させることにより、分子量(MW)が約1万の共重合体(E)の含有液(固形分(NV):約40重量%)を得た。
【0089】
これらの共重合体(C)、(D)、(E)の物性等のデーターを表2に示した。
(6)アクリル酸銅成分単位含有共重合体(F):
キシロール30重量部およびn−ブタノール30重量部の混合溶液を90℃に保ち、この溶液中にアクリル酸エチル(EA)27.3重量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)6重量部、アクリル酸(AAc)6.7重量部、重合開始剤(AIBN)1重量部の混合溶液を3時間にわたり滴加し、滴加後2時間保温して、分子量(MW)が約8000の共重合体(f)含有溶液(固形分40%)を得た。
【0090】
分子量(MW)が約8000の共重合体(f)100重量部に、酢酸銅24重量部、ナフテン酸33重量部、キシロール100重量部を加えて130℃に加熱し、溶剤とともに酢酸を除去し、青色透明な液体であるアクリル酸銅塩共重合体(F)含有溶液を得た。得られた青色透明溶液にキシロールを追加して固形分濃度NV40重量%に調整した。
【0091】
この共重合体(f)調製時のモノマー組成、共重合体(f)の物性等を表3に示した。
(7)アクリル酸銅塩成分単位含有共重合体(G):
アクリル酸銅[Cu(AAc)2]7重量部、バーサチック酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)((C373C−COO−)Cu]10重量部、アクリル酸エチル23重量部(これらの共重合性モノマー合計40重量部)を溶剤(酢酸ブチル40重量部およびn−ブタノール20重量部の混合溶媒)に溶解(合計100重量部)し、重合開始剤t−BPOの存在下に100℃で7時間にわたって共重合反応させることにより、分子量(MW)が約1万の共重合体(G)の含有液(固形分(NV)40重量%)を得た。この共重合体(G)の物性等を表3に示した。
(8)アクリル酸銅塩成分単位含有共重合体(H):
攪拌機付きフラスコにキシロール70重量部を仕込み、90℃に保ち、攪拌下にトリイソプロピルシリルアクリレート60重量部、2−メトキシエチルアクリレート5重量部、メチルメタクリレート35重量部および重合開始剤AIBN1重量部の混合溶液を1時間にわたり滴下し、滴下終了後、同温度で6時間保持した。その後AIBN1重量部とキシレン10重量部の混合物を20分かけて滴下し、さらに同温度(90℃)で2時間攪拌を続けで共重合反応を完結させ、分子量(MW)が約7500のアクリル酸シリル系共重合体(H)含有液を得た。
【0092】
この反応液にキシレンを加えて固形分濃度NV50重量%に調整した。この固形分濃度の調整されたシリルアクリレート含有共重合体(H)溶液を以下の参考例および比較例で用いた。
(9)塩素化パラフィン:
商品名「トヨパラックス150」(平均炭素数:14.5、塩素含有率(量)50%、粘度:12ポイズ/25℃、比重:1.25/25℃、東ソー(株)製)
(10)酸化亜鉛:
商品名「亜鉛華3号」(九州白水(株)製)
(11)可溶性無水石膏:
商品名「CaSO4 D−1」(ノリタケ(株)製)
(12)チタン白:
商品名「チタン白 R−5N」(堺化学工業(株)製)
(13)4,5−ジクロロ-2-n-オクチル-4−イソチアゾリン−3−オン:
商品名「シーナイン211」、(ロームアンドハース社製、固形分30重量%)
(14)2-ピリジンチオール-1-オキシド銅塩:
商品名「銅ピリチオン」(オーリン(株)製)
(15)N'−(3,4−ジクロロフェニル)−N,Nジメチル尿素:
商品名「プリベントール A6」(バイエル(株)製)
(16)2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル:
商品名「マリンサイドC」(サンノプコ(株)製)
(17)N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド:
商品名「IT−354」(イハラケミカル(株)製)
(18)2−メチルチオ−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−s−トリアジン:
商品名「イルガロール1051」(日本チバガイキー(株)製)
(19)亜酸化銅:
平均粒径3μm、商品名「NC303」(日進ケムコ(株)製)
〈注〉上記各亜酸化銅の平均粒径はレーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製)を用い測定し、その平均値とした。
(20)2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩:
商品名「ジンクオマージン」(オーリン社製)
(21)酸化ポリエチレンワックス:
商品名「ディスパロン4200-20」(楠本化成(株)製、沈降防止剤、固形分20重量%のキシレンペースト)
(22)脂肪酸アマイドワックス:
商品名「ディスパロン630-20X」(楠本化成(株)製、沈降防止剤、固形分20重量%)
(23)プロピレングリコールモノメチルエーテル:
商品名「クラレ PGM」(クラレ(株)製、溶剤)
(24)ピリジン・トリフェニルボロン:
商品名「PKボロン」(北興化学工業(株)製)
<海中生物の付着面積評価基準(防汚性評価基準)>
評価基準は、以下の通り。
【0093】
5点・・・・海中生物の付着面積が0%。
4点・・・・海中生物の付着面積が0%を超え5%以下。
3点・・・・海中生物の付着面積が5%を超え10%以下。
2点・・・・・・海中生物の付着面積が10%を超え25%以下。
1点・・・・・・海中生物の付着面積が25%を超え50%以下。
【0094】
0点・・・・・・海中生物の付着面積が50%を超える。
<防汚塗料と防汚塗膜の評価方法>
静置防汚試験方法
防汚塗料を3mm×100mm×100mmの大きさの塩化ビニル板にその乾燥膜厚が100〜150μmとなるように塗布し、室温(約20℃)にて7日間放置乾燥した後、長崎湾の水深1.0mの位置に浸漬し、海中生物による汚損状況を12ヶ月にわたり観察した。
【0095】
なお、以下の実施例、比較例、参考例等において、とくにその趣旨に反しない限り、「部」は重量部の意味である。
【0096】
【表1】
Figure 0004647060
【0097】
【表2】
Figure 0004647060
【0098】
【表3】
Figure 0004647060
【0099】
[実施例5〜8,14〜15、参考例1〜4,9〜13,16〜17、比較例1〜8]
上記製造例で得られた共重合体(樹脂)含有液A〜Hを用いて、表4〜6に示した配合組成の防汚塗料組成物を常法により調製した。
この表4〜6に示した配合組成の防汚塗料組成物を、上記試験方法に従い塩化ビニル板に塗付、乾燥させ所定試験海域に浸漬し、海中生物による汚損状況を12ヶ月間にわたり観察した。
【0100】
その結果を表4〜6に示す。
【0101】
【表4】
Figure 0004647060
【0102】
【表5】
Figure 0004647060
【0103】
【表6】
Figure 0004647060

Claims (12)

  1. (a)一般式[II]で表される重合性不飽和カルボン酸金属化合物から誘導される成分単位を含有する共重合体(ii)、
    (b)銅および/または無機銅化合物、
    (c)金属ピリチオン類、ならびに
    (d)4,5−ジクロロ−2−n−6−オクチル−4−イソチアジゾリン−3−オンを含む有機防汚剤
    を含有することを特徴とする防汚塗料組成物。
    一般式[II]:R1−COO−M−Ln・・・・・[II]
    [式[II]中、R1は、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−、HOOC−CH=CH−、HOOC−CH=C(CH3)−のうちの何れかの式で表される不飽和結合含有有機基を示し、−COOHは金属塩またはエステルを形成していてもよい。MはCu、Zn、Ni、Co、Pb、Al、Mg、SnおよびGeから選択される金属原子を示す。Lは(メタ)アクリル酸の残基を示す。nは金属Mの原子価数−1の数を示す。]
  2. 上記(a)成分と(b)成分の合計((a)+(b))100重量部に対して、(a)成分を1〜80重量部および(b)成分を20〜99重量部の量で含有する請求項1に記載の防汚塗料組成物。
  3. 上記(c)成分と(d)成分の合計((c)+(d))100重量部に対して、(c)成分を5〜95重量部、(d)成分を5〜95重量部の量で含有する請求項1または2に記載の防汚塗料組成物。
  4. 上記(b)成分中の銅化合物が、亜酸化銅である請求項1〜3の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  5. 上記金属ピリチオン類(c)が、銅ピリチオンまたは亜鉛ピリチオンである請求項1〜4の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  6. 上記一般式[II]中、MがZn、CuまたはMgを示す請求項1〜5の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  7. 上記一般式[II]中のR1がCH2=C(CH3)−、CH2=CH−のうちの何れかの式で表される不飽和結合含有有機基を示す請求項1〜の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  8. 上記一般式[II]中のR1がCH2=C(CH3)−、CH2=CH−のうちの何れかの式で表される不飽和結合含有有機基を示し、MがZnまたはCuを示す請求項1〜の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  9. 上記共重合体(ii)が、(メタ)アクリル酸亜鉛塩または銅塩単量体(イ)、この単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)を共重合してなり、上記(メタ)アクリル酸亜鉛塩または銅塩単量体(イ)から誘導される成分単位を2〜65重量%、共重合可能な他の単量体(ロ)から誘導される成分単位を35〜98重量%((イ)+(ロ)=100重量%)で含んでいる重合性不飽和カルボン酸金属塩成分単位含有共重合体である請求項1〜の何れかに記載の防汚塗料組成物。
  10. 請求項1〜の何れかに記載の防汚塗料組成物から形成されたことを特徴とする防汚塗膜。
  11. 海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面が、請求項1〜の何れかに記載の防汚塗料組成物を塗布硬化してなる防汚塗膜にて被覆されていることを特徴とする船舶または水中構造物。
  12. 海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面に、請求項1〜の何れかに記載の防汚塗料組成物を塗布し、防汚塗膜を形成することを特徴とする船舶外板または水中構造物の防汚方法。
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