以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの具体的内容に限定はされず、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも、芯粒子、それを被覆する殻剤樹脂微粒子及び要すれば外添剤とから構成される。なお以下、「芯粒子の表面に殻剤樹脂微粒子が被覆してなる外添前の粒子」を「トナー母粒子」といい、「実際に画像形成に使用される外添後の粒子」を「静電荷像現像用トナー」(以下、単に「トナー」と略記することがある)という。
本発明のトナーにおいて、上記芯粒子は、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤とを含有する。かかるバインダー樹脂としては、トナー用樹脂として公知の種々のものが使用できるが、本発明では重合法で芯粒子を得るので、重合性二重結合を有する重合性モノマーが重合したものが好ましい。
芯粒子のバインダー樹脂の製造に用いられる原料の重合性モノマーとしては特に限定はないが、具体的には例えば、スチレン;p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド;N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;無水マレイン酸;アクリロニトリル;プロピレン、ブタジエン等のアルケン化合物等が好ましい。ここで、「(メタ)アクリル」等の記載は、「アクリル」及び/又は「メタアクリル」を意味し以下同様である。また以下、スチレン及び/又はスチレン誘導体を、単に「スチレン(誘導体)」と略記する。
このうち、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等が好ましく、アクリル酸n−ブチルが特に好ましい。これら重合性モノマーは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
芯粒子のバインダー樹脂としては、上記重合性モノマーの(共)重合体が好ましいが、スチレン(誘導体)及び(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体、スチレン(誘導体)、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸を含む共重合体等が特に好ましい。これは、(メタ)アクリル酸等のように親水性のカルボキシル基を有するものを共重合成分として含むものを用いることで、樹脂成分と水系媒体との界面での親和性が増し、凝集工程における挙動制御が安定するという点でより好ましい。すなわち、本発明のトナーにおける芯粒子は、スチレン及び/又はその誘導体、(メタ)アクリル酸エステル並びに(メタ)アクリル酸が少なくとも共重合されてなる樹脂を含有するものであることが好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸は、1.5質量%未満の範囲で、芯粒子のバインダー樹脂中に共重合されていることが特に好ましい。より好ましくは0.85質量%以下、更に好ましくは、0.1〜0.5質量%である。(メタ)アクリル酸の共重合量が少なすぎると、トナー母粒子の凝集工程で樹脂微粒子が安定せず、過度の凝集による粗大粒子の発生等が起こる場合があり、一方、多すぎると、高温高湿下での帯電安定性、保存性等に劣る場合がある。
本発明においては、芯粒子の表面は、殻剤樹脂微粒子で被覆されているが、殻剤樹脂微粒子の含有量によっては、芯粒子表面の全てが殻剤樹脂微粒子で被覆され層となり覆われるものになるとは限らない。つまり、殻剤樹脂微粒子によって被覆されなかった芯粒子の表面は、依然として、芯粒子表面が露出した状態で存在するため、かかる非被覆領域の芯粒子の表面の極性基の量の多寡は、帯電特性に表面全体の平均として影響を与え得る。このため、芯粒子自体の(メタ)アクリル酸の含有量についても、殻剤微粒子中の(メタ)アクリル酸の含有量ほど厳しくはなくとも、前述の範囲として構成することが望ましい。
上記のような好ましい具体的成分によって構成された芯用樹脂微粒子の重合性モノマー構成として最も好ましくは、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸の量が、芯用樹脂微粒子のバインダー樹脂に対して、それぞれ、68〜86質量%、11〜30質量%、0.5〜2.5質量%である。
更に、重合性モノマーとして、架橋をさせるために、多官能性モノマーを使用することもできる。多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート等が好ましいものとして挙げられる。また、架橋をさせるための重合性モノマーとしては、反応性基をペンダントに有する重合性モノマー、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチロール(メタ)アクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。これらは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
中でも、芯粒子のバインダー樹脂を良好に架橋させるためには、ラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
本発明のトナーにおいては、芯粒子中の残存重合性モノマーの含有量が、該芯粒子固形分に対して500ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることが特に好ましい。芯粒子中の残存重合性モノマーの含有量が多すぎると、本発明においては後述するように、殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂の共重合成分としての(メタ)アクリル酸の含有量は1.5質量%未満が必須であるので、過剰な凝集又は凝集物同士の再凝集(以下、両者を併せて「過剰な凝集物等」と略記する)等を原因とする「粗大粒子の生成」を抑止できない場合がある。
上記芯粒子は、乳化重合凝集法で得られたものであっても、懸濁重合法で得られたものであってもよい。また、芯粒子中に、上記バインダー樹脂以外に、下記ワックス、着色剤、帯電制御剤等を含んでいる場合には、それらをも含めた芯粒子固形分に対しての、残存重合性モノマーの含有量である。
芯粒子が、後述する乳化重合凝集法に従って、芯用樹脂微粒子を凝集させて得られるものである場合には、芯粒子の製造に用いる芯用樹脂微粒子分散液中の残存重合性モノマー量が、該分散液全体に対して120ppm以下であることが、上記した理由、すなわち、後述する殻剤樹脂微粒子の樹脂中の(メタ)アクリル酸の含有量が1.5質量%未満であるため発生しやすい「過剰な凝集物等による粗大粒子の生成」を抑止するために好ましい。特に好ましくは40ppm以下である。
この場合においては、芯用樹脂微粒子分散液中の芯用樹脂微粒子に見合った量において、芯用樹脂微粒子中の残存重合性モノマー量を調整することが必要である。例えば、芯用樹脂微粒子分散液中の芯用樹脂微粒子が20質量%であれば、芯用樹脂微粒子中の残存重合性モノマーの量は500ppm以下とすることが通常は必要となる。
本発明においては、芯用樹脂微粒子分散液中の芯用樹脂微粒子濃度の如何にかかわらず、芯用樹脂微粒子分散液の状態での芯用樹脂微粒子中の残存重合性モノマー量が、芯粒子固形分に対して500ppm以下であることが好ましい。特に好ましくは、200ppm以下である。この調整を行うことにより、殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂中の(メタ)アクリル酸の共重合割合を1.5質量%未満にしても、過剰な凝集物等を原因とする粗大粒子の生成を抑止できる。
粗大粒子の生成は、芯用樹脂微粒子中の(メタ)アクリル酸量を0.85質量%より多くしたり、又は、殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂中の(メタ)アクリル酸の共重合比率を1.5質量%より多くしたりした場合は、通常、あまり問題にならない。ところが、殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂中の(メタ)アクリル酸量を1.5質量%未満としてトナー母粒子を乳化重合凝集法にて製造しようとした場合、過剰な凝集物等による粗大粒子の発生に阻まれ、トナー母粒子の製造が困難になる場合があるという問題点が判明した。このような現象が起きる理由は定かではないが、(メタ)アクリル酸量を減らすと粒子表面が疎水化し、水系媒体に分散された疎水性の芯用樹脂微粒子や疎水性の殻剤樹脂微粒子の各単位が、凝集工程及びそれに続く殻剤付着工程、更には融着工程の初期段階において、同じく共凝集して界面に存在する残存重合性モノマーにより、より互いに付着しやすくなり、粗大化するのではないかと推察される。
従って、付着を不必要に助長する残存重合性モノマーの量を減少させると、殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂中の(メタ)アクリル酸の共重合割合を1.5質量%未満にすることによって表面疎水化された微粒子であっても、粗大粒子を生成させることなく良好に凝集されたものと推測される。
芯用樹脂微粒子中の残存重合性モノマー量は、芯用樹脂微粒子分散液の状態での芯用樹脂微粒子に対して500ppm以下であることが、殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂中の(メタ)アクリル酸の含有量を1.5質量%未満にしても、過剰な凝集による粗大粒子の生成を抑止するために好ましい。特に好ましくは200ppm以下である。
殻剤樹脂微粒子中の(メタ)アクリル酸の含有量を1.5質量%未満にしても良好なトナー母粒子を得ることのできる方法として、残存重合性モノマーの減量の他にも以下のような種々の方法が考えられる。すなわち、凝集工程における乳化剤の投入量を増やし、凝集剤は減らすこと、撹拌翼の回転数を上げ、凝集槽内の温度を下げること、樹脂微粒子分散液の固形分濃度を下げること等である。しかしながら、上記のように、残存重合性モノマー量を削減する方法が、凝集工程における凝集挙動の安定性が良いという点で好ましい。
芯用樹脂微粒子分散液中の残存重合性モノマーであるスチレン単量体の濃度はガスクロマトグラフィー(以下、「GC」と略記する)により以下の操作により分析した。すなわち、試料の前処理として、得られた芯用樹脂微粒子分散液2.0gに内部標準液としてノルマルオクタンを1.4mg加え、更にテトラヒドロフランを加え全体量を10mLとした。これを遠心分離機(倉敷紡績株式会社製 型式FB−4000)により9000rpmで10分間遠心分離した。この上澄み1.0mLをバイアル瓶に入れ、GCのオートサンプラーにセットした。GC測定方法としては、アジレントテクノロジーズ社製型式HP6890を用い、分析カラムにはGLSciences社製の型式TC−1(30m×0.25mmlD×0.25μm)を用いて、オーブン温度40℃(10min)→(5℃/min)→65℃→(20℃/min)→325℃(10min)とし、注入口と検出器の温度はそれぞれ200℃、325℃にセットし、キャリアガスにはヘリウムを使用し、GCへの注入量は1μLとし、更に検出器にはFIDを用い、測定法はノルマルオクタンを内部標準液として用いた内部標準法(内部液との面積比換算法)とし、シリンジ洗浄溶媒にはテトラヒドロフランを用い測定した。本発明においては、残存重合性モノマー量は、上記のように測定したものと定義される。
また、芯用樹脂微粒子分散液中の芯粒子固形分に対しての残存重合性モノマー量は、該分散液中の残存重合性モノマー量の値を、該分散液の固形分濃度で除することにより求めた。芯用樹脂微粒子分散液の固形分濃度は、ケット科学研究所社製の固形分濃度測定機 INFRARED MOISTURE DETERMINATION BALANCE 型式FD-100を用い、固形分を含んだ試料1.00gを天秤上に精秤し、ヒーター温度300℃、加熱時間90分の条件で測定した。本発明においては、芯粒子固形分に対しての残存重合性モノマー量は、上記のように測定したものと定義される。
残存重合性モノマーを前記範囲内とするためには、各種の方法を用いることができる。例えば、バインダー樹脂重合時においては、重合時間を延長すること、重合温度を上げること、重合開始剤の量を増やすこと等が上げられる。また、凝集融着時においては、硫酸鉄の添加を行うこと、窒素フローを行うこと等が挙げられる。
なお、凝集、融着工程を経た後の乾燥工程における脱気により、残存重合性モノマー量を低減させ臭気を除くことが知られていたとしても、本発明の技術的意義は、それとは全く異なる。すなわち、本発明は、公知の臭気の問題解決のためではなく、前述の通り、(メタ)アクリル酸量を減ずることに伴う、粒子間の凝集による粗粉化を防止するためであって、この点は残存重合性モノマーを減ずるという結果においては同一であるが、発明の効果発現に対して発揮する機能が異なるため、残存重合性モノマーの低減という操作の目的は、両者区別して認識されなければならない。なお、「乾燥工程における脱気」は、既に、凝集、融着工程を経てトナー母粒子ができてしまった後の操作であり、本発明の構成とは全く異なり、本発明の効果を得るために、そもそも使用できないものである。
芯粒子を乳化重合凝集法で得る場合であっても、凝集させる芯用樹脂微粒子中のバインダー樹脂を構成する重合性モノマーとしては、上記一般的重合トナーの原料の箇所で述べた重合性モノマーが好ましく用いられる。すなわち、少なくとも、スチレン(誘導体)、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸を共重合成分として含むものが特に好ましい。このうち、スチレン、アクリル酸n−ブチル及び(メタ)アクリル酸を共重合成分に含むものが更に好ましい。該芯粒子中のバインダー樹脂に対する(メタ)アクリル酸の含有量は0.85〜1.5質量%の範囲に調整することがより好ましい。なお、殻剤樹脂微粒子の重合性モノマー組成に関しては後述するが、スチレン、アクリル酸n−ブチル及び(メタ)アクリル酸を共重合成分に含むものが好ましい。この場合、(メタ)アクリル酸の含有量は、該殻剤樹脂微粒子中のバインダー樹脂に対して1.5質量%未満にすることが好ましく、0.85質量%以下の範囲に調整することが特に好ましく、0.1〜0.5質量%の範囲に調整することが更に好ましい。
本発明において、トナーの帯電特性の改良のため、そしてそれに基づくトナーとしてのかぶりの問題を解決するため、(メタ)アクリル酸の含有量を規制しなければならない理由は定かではないが、次のように推察することができる。すなわち、本発明においては、帯電特性の改良のため、カルボン酸の含有量を、トナー母粒子の表面全体から引き下げる必要がある。(メタ)アクリル酸は極性基を有する官能基であるため吸水性を有しており、水を吸収して帯電性能を悪化させると推定される。
一方、(メタ)アクリル酸は、炭化水素部分が疎水性を示し、カルボン酸基が親水性を示す構造を有しているから、水系媒体中で重合、凝集を行う乳化重合凝集法においては、水系媒体と、樹脂成分との界面での親和性を高める機能を有する成分でもある。ここで、この成分を従来の配合量より低減することにより、水系媒体と樹脂成分の親和性は阻害され、それにより、凝集物は表面積を最小とするように球形な状態へ制御されることになる。このようにして、もともと官能基成分が低減されているからという理由に加え、球形化しやすいことによって表面積が最小となる方向になるため、帯電特性が著しく向上したと推測される。
本発明のトナーの芯粒子のバインダー樹脂について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する)で測定した数平均分子量は特に限定はないが、好ましくは2000以上、より好ましくは2500以上、更に好ましくは3000以上であり、上限は、好ましくは5万以下、より好ましくは4万以下、更に好ましくは3.5万以下であることが望ましい。また、GPCで求めた重量平均分子量は、好ましくは1万以上、より好ましくは3万以上、更に好ましくは5万以上であり、上限は、好ましくは20万以下、より好ましくは12万以下、更に好ましくは8万以下であることが望ましい。スチレン系樹脂の数平均分子量、重量平均分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性等が良好となるため好ましい。
芯粒子のバインダー樹脂のガラス転移点(以下、「Tg」と略記する)は特に限定はないが、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることが特に好ましい。また上限は、80℃以下であることが好ましく、70℃以下が特に好ましい。Tgが低すぎると、トナーの保存安定性が損なわれる場合があり、一方、Tgが高すぎるとトナーの定着性が著しく悪くなる場合がある。
芯粒子のバインダー樹脂の軟化点(以下、「Sp」と略記する)は特に限定はないが、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが特に好ましい。また上限は、160℃以下であることが好ましく、150℃以下が特に好ましい。Spが低すぎると、トナーが定着プロセスで熱ローラ等に融着し、いわゆるオフセットの問題が発生する場合がある。一方、Spが高すぎるとトナーの定着性が著しく悪くなる場合がある。
芯粒子には着色剤を含有させることができる。芯粒子に含有される着色剤としては特に限定はなく、トナーに適した公知の種々のものが使用でき、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック等のカーボンブラック類;ベンジジンイエロー、ベンジジンオレンジ、キノリンイエロー、アシッドグリーン、アルカリブルー、ローダミン、マゼンタ、マカライトグリーン、ヒドロキシアントラキノン、フタロシアニン系染顔料、キナクリドン系染顔料、ジオキサン系染顔料、アニリン黒、アゾ系染顔料、ナフトキノン系染顔料、インジゴ系染顔料、ニグロシン系染顔料、フタロシアニン系染顔料、ポリメチン系染顔料、ジ及びトリアリールメタン系染顔料等の合成染顔料等が挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。
本発明のトナーをフルカラー用トナーとして用いる場合は、イエロー用としてアゾ系顔料(不溶性モノアゾ系、不溶性ジスアゾ系、縮合アゾ系等)、多環式顔料(イソインドリン系、イソインドリノン系、スレン系、キノフタロン系等)等が挙げられ、マゼンタ用としてアゾ系顔料(アゾレーキ系、不溶性モノアゾ系、不溶性ジスアゾ系、縮合アゾ系等)、多環式顔料(キナクリドン顔料、ペリレン顔料等)等が挙げられ、シアン用としてフタロシアニン顔料、スレン系顔料等が挙げられる。着色剤の組合せは色相等を勘案して適宜選べばよいが、中でも、イエロー着色剤としてはC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー155から選ばれる少なくとも1種が、マゼンタ着色剤としてはC.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド122から選ばれる少なくとも1種が、シアン着色剤としてはC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3から選ばれる少なくとも1種が、ブラック着色剤としてはファーネス法カーボンブラックが、それぞれ好適である。前記着色剤は、揮発性不純物を極力含まないものを使用することが好ましい。
芯粒子には、ワックスを含有させることも好ましい。ワックスはトナー用途に通常使用されているものであれば特に限定されず、具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;アルキル基を有するシリコンワックス;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン類;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸より得られるエステル類又は部分エステル類;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が好ましい。本発明に特に好適なワックスとしては、エステル系ワックス、パラフィンワックス、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックスや、アルキル基を有するシリコーンワックスから選択することにより好適に使用できる。また、ワックスは、DSCによる吸熱ピークを50〜100℃に少なくとも1つ有することが定着性の点から好ましい。
更に、帯電量、帯電安定性付与のため、帯電制御剤が含有されていてもよい。帯電制御剤としては、従来公知の化合物が使用され、例えば、正荷電性帯電制御剤としては、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂等、負荷電性帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、Fe、B等の原子を含有するアゾ錯化合物染料やアルキルサリチル酸錯化合物、カリックスアレン化合物等が好ましい。フルカラートナーでは、トナーとしての色調障害を回避するために、帯電制御剤の色調は無色ないしは、淡色のものを選択する必要があり、その用途のためには、上記のうちでも正荷電性帯電制御剤としては、四級アンモニウム塩、イミダゾール系化合物であるのが好ましく、負荷電性帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、Fe、B等の原子を含有するアルキルサリチル酸錯化合物、カリックスアレン化合物が好ましい。また、これらの混合物であってもよい。帯電制御剤の添加量は、バインダー樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部の範囲が好ましい。
更に、トナーの粘着性、凝集性、流動性、帯電性、表面抵抗等の改質のために公知の各種内添剤、例えば、シリコンオイル、シリコンワニス等を含有させることもできる。
本発明のトナーの芯粒子は重合法で得られるものであるが、重合法であれば、芯粒子を製造する方法は特に限定されず、乳化重合凝集法や懸濁重合法等が好ましいものとして挙げられる。中でも、得られるトナーの粒径分布、円形度の制御の容易さの点から、更にはその後、殻剤樹脂微粒子を被覆させることの容易さの点から、乳化重合凝集法により製造することが好ましい。
乳化重合凝集法としては従来公知の方法を使用できる。すなわち、重合開始剤及び乳化剤を含有する水性媒体中に芯用樹脂微粒子を構成する重合性モノマーを乳化させ、攪拌下に重合性モノマーを重合させて、まず芯用樹脂微粒子のエマルジョンを製造し、次いで、得られた芯用樹脂微粒子エマルジョンに着色剤、及び、必要に応じて帯電制御剤等を添加して、芯用樹脂微粒子を凝集させて一次粒子の凝集体となし(以下、「凝集工程」ということがある)、その後、要すれば加熱融着させて(以下、「融着工程」ということがある)、芯粒子とする。
ここで、ワックスを乳化重合時にシードとして添加することによって芯用樹脂微粒子の中に含有させたり、芯用樹脂微粒子の凝集時にワックス微粒子を配合して共凝集させたり、それらを組み合わせて配合させることも好ましい。中でも、ワックスを実質的に全て、乳化重合時にシードとして添加することが特に好ましい。具体的には、まずワックスを重合核となるシードとして水系媒体に分散させ、次いで重合性モノマーを滴下導入して、バインダー樹脂の芯用樹脂微粒子を製造する方法が好適である。この方法においては、ワックスを凝集前の各粒子単位に内包させることが可能となるため、つづく凝集工程、融着工程を経た後のトナー表面からの漏洩、それに伴うトナー樹脂同士の結着、融着等を防止することが可能となり好ましい。また、ワックス乳化重合時にシードとして添加することにより、ワックスがトナー中に微細かつ均一に分散されるため、トナーの帯電性や耐熱性の悪化を抑制することができる。
本発明のトナーの芯粒子を懸濁重合法で製造する場合も、従来公知の方法に従って製造することができる。すなわち、通常は、水系媒体中に後記のバインダー樹脂を構成する重合性モノマー、重合開始剤、着色剤、要すればワックス、帯電制御剤、内添剤等の各成分を、ディスパーザー等の分散機を用いて適当な粒径に懸濁分散させた後、該重合性モノマーを重合させることにより得ることができる。
本発明のトナーは、少なくとも芯粒子と殻剤樹脂微粒子とから調製されるものであり、本発明のトナーにおける外添前のトナー母粒子は、上記重合法で得られた芯粒子の表面に殻剤樹脂微粒子が被覆された構成を有するものである。本発明では、芯粒子を製造し、更に、芯粒子からワックス等の表面への漏洩防止や、芯粒子の機械的強度の不足を補うため、また保存性等の改良等のため、芯粒子の表面に、より強度の高い又はガラス転移点の高い殻となる殻剤樹脂微粒子を付着させ、次いで融着させて殻を生成させ、2層ないし3層構成のトナー母粒子にすることが必要である。3層とする場合は、殻剤樹脂微粒子を2種用意し、順に被覆し融着を行うことが好ましい。融着の操作時期は、第一段目の被覆を行った後、融着し、第二段目の被覆を行ってから再度、融着を行っても、第一段目の被覆を行い、次いで融着させることなく第二段目の被覆を行ってから、両者をまとめて融着させてもよい。
ここで、「殻剤樹脂微粒子が被覆された構成」とは、殻剤樹脂微粒子を被覆させた経緯がある構成を意味し、本発明におけるトナー母粒子の表面は、殻剤樹脂微粒子の形状を保っていてもよいし、融着により殻剤樹脂微粒子の形状を保っていないようになっていてもよい。また、その中間段階でもよい。
殻となる殻剤樹脂微粒子の原料や製造方法は特に限定はないが、上記した芯用樹脂微粒子と同様の原料や製造方法を使用して製造することが好ましい。すなわち、重合開始剤及び乳化剤を含有する水性媒体中に、殻剤樹脂微粒子を構成する重合性モノマーを乳化させ、攪拌下に重合性モノマーを重合させて、殻剤樹脂微粒子を製造し、それを用いることが好ましい。
芯粒子に殻剤樹脂微粒子を被覆する方法は特に限定はないが、重合法で得られた芯粒子を水中に分散させた状態で、殻を構成するための殻剤樹脂微粒子分散液を前記の芯粒子と混合し、芯粒子の表面を殻剤樹脂微粒子で被覆し、更に、加熱することにより、芯粒子に殻が被覆された構成のトナー母粒子を製造することが好ましい。
本発明におけるトナー母粒子の製造方法は、重合法であれば特に限定はないが、好ましくは乳化重合凝集法である。すなわち、水系媒体中で重合性モノマーを重合して芯用樹脂微粒子分散液を生成し、これと着色剤分散液、要すればワックス分散液等とをヘテロ凝集し、芯粒子として形成した後に、殻剤樹脂微粒子を芯粒子の表面へ被覆せしめ、次いで、加温等の温度制御により凝集物を融着してトナー母粒子として構成するものである。
また、別の態様は、同じく乳化重合凝集法を用いて製造するものであるが、まず、水系媒体中で重合性モノマーを重合して芯用樹脂微粒子分散液を生成し、これと着色剤分散液、要すればワックス分散液等とをヘテロ凝集し、ここにおいて、加温等の温度制御により凝集物を融着せしめ、その後に、殻剤樹脂微粒子を融着後の芯粒子の表面へ被覆せしめ、次いで加温等の温度制御により芯粒子と殻剤樹脂微粒子とを融着させてトナー母粒子として構成するものである。
殻剤樹脂微粒子の原料となる重合性モノマーとしては、前記した芯粒子のバインダー樹脂の原料となるものが、同様に好適に用いられる。また、殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂としては、芯粒子のバインダー樹脂として好ましいものが同様に好ましく使用できる。芯用樹脂微粒子と殻剤樹脂微粒子とは、重合性モノマーが異なっていてもよいし、重合性モノマーは共通していて、組成比率において、互いの組成比率の範囲が異なっていてもよい。
本発明のトナーにおいては、殻剤樹脂微粒子中のバインダー樹脂の共重合成分として含まれる(メタ)アクリル酸の量は、該バインダー樹脂に対して、1.5質量%未満であることが必須である。特に好ましくは、0.85質量%以下、更に好ましくは、0.1〜0.5質量%である。(メタ)アクリル酸の共重合量が多すぎると、芯用樹脂微粒子の箇所で記載したのと同様の理由で、高温高湿下での帯電安定性、保存性等に劣る場合がある。一方、少なすぎるとトナー母粒子の凝集工程で樹脂微粒子が安定せず、過度の凝集による粗大粒子の発生等が起こる場合がある。
上記のような好ましい具体的成分によって構成された芯用樹脂微粒子の重合性モノマー構成として最も好ましくは、スチレン、アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸の量が、該バインダー樹脂全体に対して、それぞれ、78〜92質量%、7〜21〜質量%、0.5〜2.5質量%が、上記理由と同様の理由で好ましい。
殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂中の(メタ)アクリル酸量については、シビアな制御が必要であり、本発明者等の知見によれば、1.5質量%未満の範囲に厳密に制御する必要がある。1.5質量%より多い含有量となった場合は、後述の比較例により明らかになる通り、帯電特性が劇的に低下し、かぶりに大いなる悪影響を与える。ここに至っては、各種の悪影響をもたらす大粒径シリカの外添を余儀なくされる領域である。
一方、(メタ)アクリル酸の含有量を1.5質量%未満にすれば、帯電特性が改良され、かぶりの問題も生じないことは実施例より明らかである。しかしながら、(メタ)アクリル酸を比較的多量に含有せしめることは、従来長らく行われてきたことであり、その理由はトナー母粒子の凝集工程における、樹脂成分と水系媒体の親和性の向上による凝集挙動の安定性に存する。
本発明においては、かかる不利益を発現せしめないようにしつつ、(メタ)アクリル酸の含有量をぎりぎりに削るという当業界においては常識に反する検討を行った結果、本発明に達したものである。そして、驚くべきことに、殻剤樹脂微粒子中の(メタ)アクリル酸量を低減した結果、本発明の主たる効果である帯電特性の改良とそれに基づくかぶりの問題の改善がなされたばかりか、(メタ)アクリル酸量の低減により、トナー母粒子を凝集工程や融着工程を通じて、円形度を向上させる等の制御ができるとの知見も得られた。
もっとも、(メタ)アクリル酸量をマージンの許す限り削減するという課題を見出したとしても、その達成にはなお困難な点が残されていることにも留意する必要がある。すなわち、(メタ)アクリル酸は、本発明の如き水系媒体中で凝集を行う場合、樹脂表面の親水性を適当な範囲に保つことにより、粒子の極端な疎水性による凝集粗大化を防止するという役目があるため、単純に(メタ)アクリル酸を削減したのでは、粗大粒子が形成されてしまい、本発明の技術課題を克服することができないからである。
本発明者らは、驚くべきことに、前述のとおり、残存重合性モノマーの量の削減によって、かかる問題を解決し、(メタ)アクリル酸量の少ない芯剤樹脂や殻剤樹脂の使用を可能とした。この機構の詳細は推測の域を出ないものの、(メタ)アクリル酸の減少によって生ずる凝集工程から融着工程における凝集一次粒子同士の回転、配置転換の際に、又は凝集粒子間の接触がおきる際に、一次粒子表面又は凝集二次粒子の表面上の付着性が低下するために、かかる凝集二次粒子間の付着、粗大化が防止されるのではないかと考えられる。
本発明のトナーにおける殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂のGPCで求めた数平均分子量は特に限定はないが、好ましくは2000以上、より好ましくは2500以上、更に好ましくは3000以上であり、好ましくは5万以下、より好ましくは4万以下、更に好ましくは3.5万以下であることが望ましい。また、GPCで求めた重量平均分子量が、好ましくは1万以上、より好ましくは3万以上、更に好ましくは5万以上であり、好ましくは20万以下、より好ましくは12万以下、更に好ましくは8万以下であることが望ましい。数平均分子量、重量平均分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性等が良好となるため好ましい。
更に、本発明における殻剤樹脂微粒子のGPCにおけるピーク分子量のうち少なくとも1つが、好ましくは3000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは3万以上であり、好ましくは10万以下、より好ましくは7万以下、更に好ましくは6万以下に存在することが好ましい。ピーク分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性が良好となる。ここで、前記ピーク分子量とは、ポリスチレン換算した値を用いるものとし、測定に際しては溶媒に不溶の成分を除くものとする。
殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂のガラス転移点(以下、「Tg」と略記する)は、65℃以上であることが好ましく。70℃以上が特に好ましく、75℃以上が更に好ましい。また、上限は、100℃以下が好ましく、90℃以下が特に好ましく、85℃以下が更に好ましい。65℃未満だと、流動性悪化による保存安定性の低下、帯電量の低下に伴うカブリの発生・画像汚染、連続印字におけるトナー追従性不良による画質の低下等を招く場合がある。一方、Tgが高すぎると、低温側の定着温度域が狭まるために、特に高速印刷した場合に定着不良を起こしてしまう場合がある。
樹脂微粒子のバインダー樹脂のTgは、芯粒子のバインダー樹脂のTgよりも、5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上高いことが、耐ブロッキング性、保存安定性、耐久性等の点で好ましい。
樹脂微粒子のバインダー樹脂の軟化点(以下、「Sp」と略記する)は特に限定はないが、芯粒子の場合と同様に、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが特に好ましい。また上限は、160℃以下であることが好ましく、150℃以下が特に好ましい。Spが低すぎると、トナーが定着プロセスで熱ローラ等に融着し、いわゆるオフセットの問題が発生する場合がある。一方、Spが高すぎるとトナーの定着性が著しく悪くなる場合がある。
また、殻剤樹脂微粒子にはワックスを含有させることにより、芯粒子の構成、組成等を調整して低温定着性を向上させても、高温耐オフセット性、耐ブロッキング性等を悪化させないトナーを提供することができるため好ましい。ワックスを含有させる方法は、乳化重合凝集法の芯粒子生成のための芯用樹脂微粒子の製造において記載したものと同様の方法が、同様の理由で好ましい。殻剤樹脂微粒子にワックスを含有させた場合でも、上記Tgは、殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂部分のみのTgを意味する。
殻剤樹脂微粒子にワックスが含有される場合、そのワックスとしては、上記芯粒子に含有されるワックスと同様のものが好ましく用いられる。また、殻剤樹脂微粒子に帯電制御剤を含有させることも好ましい。更に、トナーの粘着性、凝集性、流動性、帯電性、表面抵抗等の改質のために公知の各種内添剤等を含有させることもできる。
殻剤樹脂微粒子の体積平均径(Mv)は特に限定はないが、好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上であり、また上限は、好ましくは400nm以下、特に好ましくは300nm以下、更に好ましくは250nm以下であることが望ましい。粒径が前記範囲未満では、トナーへの樹脂微粒子付着工程で、樹脂微粒子のみの凝集が起こりやすいため、樹脂を均一にトナー表面に付着させることが困難になる場合があり、前記超過範囲では、殻剤樹脂微粒子のTgは高いため、定着性に悪影響が出る場合がある。
本発明においては、1μm未満の体積平均径(Mv)を有す粒子の体積平均径(Mv)は、日機装株式会社製、型式Microtrac Nanotarc150(以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.-019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を溶媒に用い、溶媒屈折率:1.333、測定時間:100秒、測定回数:1回で、ワックス分散液及び重合体一次粒子分散液については、粒子屈折率:1.59、透過性:透過、形状:真球形、密度:1.04の条件で、着色剤分散液については、透過性:吸収、形状:非球形、密度:1.0の条件で取り扱い説明書に記載された方法で測定し、そのように測定されたものとして定義される。
芯用樹脂微粒子と殻剤樹脂微粒子との配合量の質量比率は、99:1〜60:40の範囲が好ましく、更に好ましくは95:5〜90:10である。殻剤樹脂微粒子の配合量が相対的に増加するに伴って、殻剤樹脂微粒子中の(メタ)アクリル酸の低減効果が顕著に発現する傾向にある。
芯粒子と殻剤樹脂微粒子を融着させて安定化させるために、加熱を行うことが好ましい(以下、この工程を「融着工程」と略記する)。融着工程の温度は、芯粒子のバインダー樹脂のTgと殻剤樹脂微粒子のバインダー樹脂のTgのうち高い方のTg以上が好ましく、高い方のTgより5℃以上高い温度が特に好ましい。また上限は、該Tgより80℃高い温度以下の温度が好ましく、50℃高い温度以下の温度が特に好ましい。加熱時間は特に限定はないが、1〜6時間とするのが好ましい。
このような加熱処理により融着一体化がなされ、芯粒子に殻剤樹脂微粒子層が被覆されたトナー母粒子が得られ、粒子形状も球形に近いものとなる。芯粒子を乳化重合凝集法で得た場合には、芯粒子製造の段階で芯用樹脂微粒子を融着させるために加熱を行ってもよいが、芯粒子に殻剤樹脂微粒子を付着させた後に、凝集体における芯用樹脂微粒子やその他の一次粒子同士の融着一体化も同時に行いながら、芯粒子に殻剤樹脂微粒子層を被覆させることも好ましい。
芯粒子に、殻剤樹脂微粒子を被覆させる前に、予め芯粒子を融着させておくこともできる。この場合も、芯粒子に殻剤樹脂微粒子を被覆した後に、再度融着工程を経ることが好ましい。予め芯粒子を融着させておくと、芯粒子の円形度が高まるため、殻剤樹脂微粒子を芯粒子に均一に被覆することができるため、耐ブロッキング性、定着性等が良好になるので好ましい。
こうして得られたトナー母粒子の体積中位径(Dv50)は特に限定はないが、3〜15μmが好ましく、4〜10μmの範囲であることが特に好ましく、5〜9μmの範囲であることが更に好ましい。
本発明におけるトナー母粒子の体積中位径(Dv50)は、ベックマン・コールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm)(以下、「マルチサイザー」と略記する)を用い、分散媒には同社アイソトンIIを用い、分散質濃度0.03質量%になるように分散させて測定し、測定粒子径範囲は2.00から64.00μmまでとし、本範囲を対数で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値を元に算出し、そのように測定・算出されたものとして定義される。
本発明におけるトナー母粒子の平均円形度は特に限定はないが、好ましくは0.9以上、特に好ましくは0.92以上、より好ましくは0.94以上であり、上限は、好ましくは0.99以下、特に好ましくは0.98以下、より好ましくは0.97以下である。乳化重合凝集法においては、トナー粒子の平均円形度は、前記の融着工程における温度及び加熱時間により制御することができる。
ここで、本発明のおける平均円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社(旧東亜医用電子社)製)を用いて測定され、以下のように定義される。すなわち、「円形度」は、下記式で定義し、
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]
そして、3000個測定したこの個々の粒子の円形度の算術平均を「平均円形度」と定義する。
トナー粒子が完全な球形の場合1となり、表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さくなる。平均円形度が前記範囲未満では、転写効率が悪くドット再現性が低下する場合がある。一方、前記範囲超過では、PCドラム上に残った未転写トナーがブレードで完全に掻き取られずに画像欠陥を発生させる場合がある。
本発明のトナーは、上記のようにして製造したトナー母粒子の表面に、更に、シリカ微粒子等の外添剤を付着させてトナーとすることが好ましい。本発明のトナーの外添剤としては特に限定はないが、流動性、帯電性等の観点から、適当と判断されるものを適宜使用すればよい。また、本発明においては、トナー母粒子100重量部に対し、外添剤を0.05〜5重量部の範囲で付着させてなることが好ましく、0.1〜2重量部が特に好ましいく、0.2〜1.5重量部が更に好ましい。
本発明において、トナー粒子の表面に、前記シリカ微粒子を配合、付着する方法は特に限定はなく、一般にトナーの製造に用いられる混合機を使用することができる。具体的には、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、レディゲミキサー、Q−ミキサー等の混合機により均一に攪拌、混合することによりなされる。
本発明のトナーは、黒色トナー、カラートナー、フルカラートナーの何れに用いることもできるが、カラートナー又はフルカラートナーとして用いると本発明の効果をより顕著に発現することができる。
また、本発明のトナーは、二成分系現像方式又は非磁性一成分系現像方式等の何れの方式にも用いられる。二成分系現像方式に用いる場合、キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉等の磁性物質又はそれらの表面に樹脂コーティングを施したものを用いることができる。
本発明のトナーは、上記したように、長期間使用したときのトナーの劣化が激しい非磁性一成分系現像方式用に用いられることが好ましい。この場合、帯電ブレード等の帯電部材としては、SUS等公知のものが使用できる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、「部」とあるのは、特に断りのない限り「重量部」を意味し、「%」とあるのは、特に断りのない限り「質量%」を意味する。
実施例1
<シリコーンワックス分散液A2の調製>
アルキル変性シリコーンワックス(mp.77℃)27部、65.8%アニオン性界面活性剤水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)0.46部、脱塩水72.54部を90℃に加熱してディスパーザーで10分攪拌した。次いでこの分散液を100℃に加熱し、ホモジナイザー(ゴーリン社製、15−M−8PA型)を用いて、約15MPaの加圧条件で乳化を開始し、ナノトラックで測定しながら、体積平均径(Mv)が200nmになるまで分散して、シリコーンワックス分散液A2を作製した。固形分濃度は27.4%であった。
<芯用樹脂微粒子分散液B1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、冷却管及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1を34.3重量部、脱塩水を257部仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。その後、温度を90℃に保持し攪拌を続けたまま、(1)下記の[重合性モノマー等]と下記の[乳化剤水溶液]を混合し、ホモミキサーで乳化分散して得た重合性モノマーの乳化溶液と、(2)下記の[開始剤水溶液]とを、重合開始から5時間かけて添加した。更に、重合開始5時間後から、下記の[追加開始剤水溶液]を、温度を90℃に保持し攪拌を続けたまま、2時間かけて添加し、添加終了後、更に1時間、90℃で攪拌保持した。
[重合性モノマー等]
スチレン 76.8部
アクリル酸n−ブチル 23.2部
アクリル酸 0.85部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.70部
トリクロロブロモメタン 0.65部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 66.7部
(ここで、「20%DBS水溶液」とは、65.8%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液である第一工業製薬社製のネオゲンSCを、脱塩水で、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム自体が水溶液全体に対して20%になるように希釈したものである。以下、同様である。)
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.52部
8%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.52部
[追加開始剤水溶液]
8%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.21部
重合反応終了後冷却し、乳白色の芯用樹脂微粒子分散液B1を得た。ナノトラックで測定した体積平均径(Mv)は235nm、GPC測定によるピークトップのポリスチレン換算分子量Mpは40036であり、重量平均分子量は、97949であり、数平均分子量は、16465であった。
芯用樹脂微粒子分散液B1中の残存重合性モノマー量は、109ppmであった。また、芯用樹脂微粒子分散液B1中の芯粒子固形分に対しての残存重合性モノマー量は、492ppmであった。
<殻剤樹脂微粒子分散液C1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、冷却管及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、シリコーンワックス分散液A2を11.5部、20%DBS水溶液を1.0部、脱塩水を315部仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%L(+)−アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
その後、90℃に維持しつつ、下記の[重合性モノマー等]と[乳化剤水溶液]の混合物を、芯用樹脂微粒子分散液B1の場合と同様にホモミキサーで乳化分散して得た重合性モノマーの乳化溶液を、重合開始から5時間かけて添加、同時に、下記の開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、全て添加終了後、更に、90℃に維持しつつ、攪拌下に1時間保持した。
[重合性モノマー等]
スチレン 85.8部
アクリル酸n−ブチル 14.2部
アクリル酸 0.2部
トリクロロブロモメタン 0.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.4部
脱塩水 65.4部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 18.88部
8%L(+)−アスコルビン酸水溶液 18.88部
重合反応終了後冷却し、乳白色の殻剤樹脂微粒子分散液C1を得た。ナノトラックで測定した体積平均径(Mv)は238nm、GPC測定によるピークトップのポリスチレン換算分子量Mpは57507であった。
<着色剤分散液Dの調製>
カーボンブラック(Cabot社製、Regal 330R)20部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)1部、非イオン界面活性剤(花王社製、エマルゲン150)5部、水80部を、サンドグラインダーミルで分散して着色剤分散液Dを得た。ナノトラックにて計測した粒子の体積平均径(Mv)は152nmであった。
<トナー母粒子E1の製造>
芯用樹脂微粒子分散液B1 90部 (固形分として)
殻剤樹脂微粒子分散液C1 10部 (固形分として)
着色剤微粒子分散液D 6部 (固形分として)
20%DBS水溶液 0.2部 (固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナー母粒子E1を製造した。すなわち、反応器(容積2L、バッフル付きダブルヘリカル翼)に、芯用樹脂微粒子分散液B1と20%DBS水溶液を仕込み、12℃で均一に混合してから着色剤微粒子分散液Dを添加し、12℃で均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら、硫酸第一鉄の5%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.55部添加し、12℃で5分混合後、更に、0.5%硫酸アルミニウム水溶液を、硫酸アルミニウムとして0.15部滴下した。その後、攪拌しながら40分かけて54℃に昇温して、その後、150分かけて56.8℃まで昇温した。ここで、マルチサイザーにて体積中位径(Dv50)を測定したところ、6.68μmであった。
その後、殻剤樹脂微粒子分散液C1を5分かけて添加した後、56.8℃のまま60分保持した後、20%DBS水溶液(固形分として6部)を添加した。20%DBS水溶液を添加してから、40分かけて92℃に昇温して、92℃で55分保持した。
その後冷却して得られたトナー母粒子分散液を、通気度80cc/minのポリプロピレン製フィルターを用い、0.2MPaの圧力を加えて加圧濾過し、トナー母粒子分散液100部に対して33部の濾液を排出させた。その後、0.2MPa下で洗浄水を連続的に1時間加えて洗浄した。得られた濾過上のものを再分散したものに対して、上記洗浄操作を3回繰り返した。これにより得られた濾過上のものを乾燥することによりトナー母粒子E1を得た。
得られたトナー母粒子E1の体積中位径(Dv50)は6.84μm、平均円形度は0.948であった。
実施例2
<殻剤樹脂微粒子分散液C2の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、冷却管及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、シリコーンワックス分散液A2を11.5部、20%DBS水溶液を1.0部、脱塩水316部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液を3.2部、8%L(+)−アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
その後、90℃に維持しつつ、下記の[重合性モノマー等]と[乳化剤水溶液]の混合物を、芯用樹脂微粒子分散液B1の場合と同様にホモミキサーで乳化分散して得た重合性モノマーの乳化溶液を、重合開始から5時間かけて添加、同時に下記の開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、全てを添加終了後、90℃で1時間保持した。
[重合性モノマー等]
スチレン 85.8部
アクリル酸n−ブチル 14.2部
アクリル酸 0.5部
トリクロロブロモメタン 0.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.4部
脱塩水 65.6部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 18.88部
8%L(+)−アスコルビン酸水溶液 18.88部
重合反応終了後冷却し、乳白色の殻剤樹脂微粒子分散液C2を得た。ナノトラックで測定した体積平均径(Mv)は242nmであった。また、GPC測定によるピークトップのポリスチレン換算分子量Mpは、59663、重量平均分子量は、83776、数平均分子量は、19773であった。
<トナー母粒子E2の製造>
芯用樹脂微粒子分散液B1 90部 (固形分として)
殻剤樹脂微粒子分散液C2 10部 (固形分として)
着色剤微粒子分散液D 6部 (固形分として)
20%DBS水溶液 0.25部 (固形分として)
上記の各成分を用いて、重合一次粒子分散液C1のかわりに殻剤樹脂微粒子分散液C2を用いたこと以外は「実施例1」と同様にしてトナー母粒子E2を製造した。
得られたトナー母粒子E2の体積中位径(Dv50)は7.01μm、平均円形度は0.951であった。
比較例1
<殻剤樹脂微粒子分散液C3の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、冷却管及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、シリコーンワックス分散液A2を11.5部、20%DBS水溶液を1.0部、脱塩水320部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%L(+)−アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
その後、90℃に維持しつつ、下記の[重合性モノマー等]と[乳化剤水溶液]の混合物を、芯用樹脂微粒子分散液B1の場合と同様にホモミキサーで乳化分散して得た重合性モノマーの乳化溶液を、重合開始から5時間かけて添加、同時に下記の開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、全てを添加終了後、90℃で1時間保持した。
[重合性モノマー等]
スチレン 85.8部
アクリル酸n−ブチル 14.2部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 0.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.4部
脱塩水 66.3部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 18.88部
8%L(+)−アスコルビン酸水溶液 18.88部
重合反応終了後冷却し、乳白色の殻剤樹脂微粒子分散液C3を得た。ナノトラックで測定した体積平均径(Mv)は249nmであった。また、GPC測定によるピークトップのポリスチレン換算分子量Mpは、58334、重量平均分子量は、68687、数平均分子量は、19271であった。
<トナー母粒子E3の製造>
芯用樹脂微粒子分散液B1 90部 (固形分として)
殻剤樹脂微粒子分散液C3 10部 (固形分として)
着色剤微粒子分散液D 6部 (固形分として)
20%DBS水溶液 0.25部 (固形分として)
上記の各成分を用いて、重合一次粒子分散液C1のかわりに殻剤樹脂微粒子分散液C3を用いたこと以外は「実施例1」と同様にしてトナー母粒子E3を製造した。
得られたトナー母粒子E3の体積中位径(Dv50)は6.95μm、平均円形度は0.953であった。
以上のトナーそれぞれ100部に、外添剤としてシリカ(ヘキサメチルジシラザン処理;クラリアントジャパン社製)、PMMAビーズ(綜研化学)、リン酸カルシウム(丸尾カルシウム社製)、ステアリン酸亜鉛(Synthetic Products社製)を以下の部数用い、9Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて混合し、実写評価用トナー粒子を得た。
シリカ 1.5部
PMMAビーズ 0.3部
リン酸カルシウム 0.2部
ステアリン酸亜鉛 0.1部
以上のようにして得たトナーを、印刷速度100mm/s、非磁性一成分、保証枚数6000枚(5%印字時)で現像ゴムローラー、金属ブレード、帯電ローラー(PCR)で帯電する有機感光体、ベルト転写、熱定着方式を用いたベルト定着機を搭載したフルカラープリンタにて印字を行い、トナー性能として下の4項目を評価した。また、トナーの高温高湿環境に対する耐性を検討するため、温度45℃湿度85%に設定した恒温恒湿槽内にトナーを48時間放置し、その後温度25℃湿度50%環境下に1時間馴染ませてから、再び同様の印字を行った。
<かぶり>
印字前および印字後それぞれの標準紙(FCドリーム;紀州製紙社製)における白地部分の色差をX−Rite(X−Rite社製)にて測定し、かぶり(ΔE)とし、以下の基準で判定した。
○: ΔE<0.8
△:0.8≦ΔE≦1.6
×:1.6<ΔE
<PCかぶり>
紙への転写工程前の感光体ドラムにおける白地部分に付着したトナーをメンディングテープにて写し取り、FCドリーム上に貼り付けた。さらに比較用としてメンディングテープをそのままFCドリーム上に貼り付けた。上記2サンプルの色差をX−Riteにて測定し、PCかぶり(ΔE)とし、以下の基準で判定した。
○: ΔE<1.5
△:1.5≦ΔE≦3
×: 3<ΔE
<スリーブ上帯電>
現像槽内のスリーブ上に付着したトナーを、Trek帯電測定装置(トレックジャパン社製)にて吸引法で電荷量を測定した。吸引されたトナー重量とから単位重量あたりの帯電量を求め、スリーブ上帯電とし、以下の基準で判定した。
○:16(−μC/g)<帯電量
△:15(−μC/g)≦帯電量≦16
×:帯電量<15(−μC/g)
表1から分かるように、殻剤樹脂中のアクリル酸量が1.5%未満のトナーは高温高湿雰囲気下に放置した後であっても帯電が高く、かぶりのない良好な印字が可能であった。
一方、殻剤樹脂中のアクリル酸量が1.5%以上のトナーは、高温高湿雰囲気下に放置すると著しく帯電が低下し、かぶりが発生した。