JP6115207B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
[1]結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記静電荷像現像用トナー中に含有された状態における前記ワックスの融点が55℃以上90℃以下に少なくとも1点存在し、かつ
前記静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)が、下記式(1)を満たす静電荷像現像用トナー。
101≦Dt≦195,449/Vp−1,040 (1)
[上記式中、Dtは前記静電荷像現像用トナーを加熱した際に発生する1分当たりの粉塵放散量(CPM)を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、171.2以下とする。]
[2]前記静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)が、下記式(2)を満たす前記[1]記載の静電荷像現像用トナー。
101≦Dt≦117,262/Vp−1,039 (2)
[上記式中、Dtは前記静電荷像現像用トナーを加熱した際に発生する1分当たりの粉塵放散量(CPM)を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、102.8以下とする。]
[3]前記静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)が、下記式(3)を満たす前記[2]記載の静電荷像現像用トナー。
101≦Dt≦71,653/Vp−1,039 (3)
[上記式中、Dtは前記静電荷像現像用トナーを加熱した際に発生する1分当たりの粉塵放散量(CPM)を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、62.8以下とする。]
[4]前記静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)が、下記式(4)を満たす前記[3]記載の静電荷像現像用トナー。
101≦Dt≦52,104/Vp−1,039 (4)
[上記式中、Dtは前記静電荷像現像用トナーを加熱した際に発生する1分当たりの粉塵放散量(CPM)を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、45.7以下とする。]
[5]前記Vpの値が20以上である前記[1]から[4]のいずれか1に記載の静電荷像現像用トナー。
[6]前記Vpの値が30以上である前記[1]から[5]のいずれか1に記載の静電荷像現像用トナー。
[7]前記静電荷現像用トナー中に含まれた状態における前記ワックスの融点が、55℃以上70℃未満と70℃以上80℃以下とにそれぞれ1点以上存在する前記[1]から[6]のいずれか1に記載の静電荷像現像用トナー。
[8]前記静電荷像現像用トナーが下記(a)から(c)の要件を満たす、前記[1]から[7]のいずれか1に記載の静電荷像現像用トナー。
(a)前記静電荷像現像用トナーが少なくともワックス成分Xとワックス成分Yの2種類のワックスを含有する。
(b)前記ワックス成分Yの粉塵放散量は前記ワックス成分Xの粉塵放散量よりも多い。
(c)前記ワックス成分Xの含有量が前記ワックス成分Yの含有量よりも多い。
[9]前記ワックス成分Yの全ワックス成分中における割合が0.1質量%以上10質量%未満である前記[8]に記載の静電荷像現像用トナー。
[10]前記静電荷像現像用トナーが下記(a)、(b)及び(d)の要件を満たす、前記[1]〜[9]のいずれか1に記載の静電荷像現像用トナー。
(a)前記静電荷像現像用トナーが少なくともワックス成分Xとワックス成分Yの2種類のワックスを含有する。
(b)前記ワックス成分Yの粉塵放散量は前記ワックス成分Xの粉塵放散量よりも多い。
(d)前記ワックス成分Xの粉塵放散量が50,000CPM以下であり、かつ前記ワックス成分Yの粉塵放散量が100,000CPM以上である前記[8]から[10]のいずれか1に記載の静電荷像現像用トナー。
[11]前記静電荷像現像用トナーがワックス成分Xよりもワックス成分Yの存在比率が高い領域を有し、且つ該領域が前記静電荷像現像用トナーの中心側よりも外郭側に多い前記[8]〜[10]のいずれか1に記載の静電荷像現像用トナー。
[12]前記静電荷像現像用トナーがシェルコア構造を有し、該シェルコア構造のシェル材に含まれる前記ワックスが実質的に前記ワックス成分Yのみを含有し、前記シェルコア構造のコア材に含まれる前記ワックスが実質的に前記ワックス成分Xのみを含有する、前記[8]から[11]のいずれか1に記載の静電荷像現像用トナー。
[13]結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記静電荷像現像用トナー中に含有された状態における前記ワックスの融点が55℃以上90℃以下に少なくとも一点存在し、かつ
下記(a)、(b)及び(f)の要件を満たす、静電荷像現像用トナー。
(a)前記静電荷像現像用トナーが少なくともワックス成分Xとワックス成分Yの2種類のワックスを含有する。
(b)前記ワックス成分Yの粉塵放散量は前記ワックス成分Xの粉塵放散量よりも多い。
(f)前記静電荷像現像用トナーがワックス成分Xよりもワックス成分Yの存在比率が高い領域を有し、且つ該領域が前記静電荷像現像用トナーの中心側よりも外郭側に多い。
[14]前記ワックス成分Xの粉塵放散量が50,000CPM以下であり、かつ前記ワックス成分Yの粉塵放散量が100,000CPM以上である前記[13]に記載の静電荷像現像用トナー。
[15]前記静電荷像現像用トナーがシェルコア構造を有し、該シェルコア構造のシェル材に含まれる前記ワックスが実質的に前記ワックス成分Yのみを含有し、前記シェルコア構造のコア材に含まれる前記ワックスが実質的に前記ワックス成分Xのみを含有する、前記[14]に記載の静電荷像現像用トナー。
[16]前記静電荷像現像用トナーがシェルコア構造を有し、該シェルコア構造のシェル材に含まれる前記ワックスが実質的に前記ワックス成分Yのみを含有し、前記シェルコア構造のコア材に含まれる前記ワックスが実質的に前記ワックス成分Xのみを含有する、前記[13]〜[15]のいずれか1に記載の静電荷像現像用トナー。
本発明は、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する静電荷像現像用トナーであって、前記静電荷像現像用トナー中に含有された状態におけるワックスの融点が55℃以上90℃以下に少なくとも1点存在するし、かつ、前記静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)が、下記式(1)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
101≦Dt≦195,449/Vp−1,040 (1)
[上記式中、Dtは前記トナーを静的環境下で加熱した際に発生する粉塵放散量(CPM(1分間の計測値:Counter Per Minute))を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、171.2以下とする。]
また、Vpにおける画像形成装置とはプリンター・複写機・ファクシミリ等を表すものである。
Vpを規格化するためのA4横換算での印刷速度(枚/分)とは、用紙サイズがA4判である紙の短軸方向に印刷した場合に、1分当たりに印刷可能な枚数を表す。なお、A4判とは297mm×210mmなので、A4横とは210mmである。
更に、あまりに融点が低すぎるワックスは、トナーの耐熱性を低下させる原因となり、輸送時のブロッキングなどので問題が発生する恐れがあるために使用する事ができず、融点55℃以上のワックスを含む事が必須となる。
ワックス自体の融点は55℃以上90℃以下である。なお、静電荷像現像用トナー中に含有された状態におけるワックスの融点は、後述する実施例に記載の方法;熱分析装置(DSC)を用い、トナー中の樹脂のガラス転移点に伴うエンタルピー緩和に由来するピーク(熱履歴)を消失させた状態で測定される値である。
式(1)の左辺に示す、ホットオフセットを発生させないトナーの粉塵放散量(Dt)の下限値は、実測したホットオフセットを発生しない値にダスト測定装置の測定精度を乗じた数値である。実測したオフセットを発生しない値とは、後述する実施例に示す粉塵検出測定装置におけるダスト測定装置(SIBATA社製デジタル粉塵計LD−3K2)を使用して、所定の条件で放散された粉塵量を実測した場合のホットオフセットを発生しない値である。また、ダスト測定装置の速度精度は、ダスト測定装置の測定精度を考慮するために乗ずる。
本発明において、トナーの粉塵放散量(Dt)は、例えば日本国特開2010−2338号公報に開示されている粉塵検出測定装置を使用し、粉塵検出測定装置を使用して放散された粉塵量をダスト測定装置(SIBATA社製デジタル粉塵計LD−3K2)を使用して測定することができる。
トナーから粉塵が放散する環境や粉塵検出測定装置によって、式(1)の左辺に示す下限値は異なり、画像形成装置で連続印刷した際に1時間当たりに発生するダスト量(ダスト放散速度:Vd)の設定値によって、式(1)の右辺に示す数値は変化する。トナーから粉塵が放散する環境や粉塵検出測定装置を同条件とした場合には、印刷速度(Vp)の異なる画像形成装置であっても、式(1)の条件を満たす場合には、定着時に発生するダストを抑制しつつ、ホットオフセットの発生を抑制することができる。
図4は、静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)と画像形成装置から発生するダスト放散速度(Vd)との関係を示すグラフである。横軸にトナーを静的環境下で加熱した際に発生する粉塵放散量(Dt)を示し、縦軸に画像形成装置で連続印刷した際に、1時間当たりに発生するダスト量(ダスト放散速度:Vd)を示す。図中の右上がりの実線は1分当たりA4横換算で36枚(Vp=36)の印刷速度で連続印刷した4点の実測値を、最小二乗法を用い一次線形直線で結んだものである。この一次線形式は、Vd=5.53×10 −4×Dt+0.574であり、その相関係数の二乗は0.999となる。そのため、画像形成装置から発生するダスト量(ダスト放散速度:Vd)は、トナーの粉塵放散量(Dt)に一次線形比例している事が解かる。ここでダスト量(ダスト放散速度:Vd)は、ブルーエンジェルマーク認定の測定法(RAL UZ122 2006)に従って捕集した粉塵を、後述する実施例の方法によって測定する。
例えば1分間に1枚印刷される装置と2枚印刷される装置では、後者の方が2倍のトナーを消費するので、画像形成装置から発生する粉塵量も2倍となるという事を意味する。すなわち、印刷速度36枚/分で連続印刷した静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)と、この静電荷像現像用トナーを用いた画像形成装置から発生するダスト量(ダスト放散速度:Vd)との実測値から、印刷速度が増減した際の画像形成装置から発生するダスト量(ダスト放散速度:Vd)を比例計算し、その計算値を最小二乗法により一次線形で結んだものが、図4における点線となる。
点線は、実測した結果から、印刷速度の増減に伴う画像形成装置から発生するダスト量(ダスト放散速度:Vd)を比例計算し、各印刷速度(Vp)におけるトナー粉塵放散量(Dt)と画像形成装置から発生するダスト放散速度(Vd)の関係を表したものである。
図5の○(円形)ドットで示す印刷速度(Vp)とトナー粉塵放散量上限(DtL)の関係を、最小二乗法を用いて逆比例する形で式を与えるとトナー粉塵放散量上限DtL=195,449/Vp−1,040という式が成立する。これが、各印刷速度(Vp)におけるトナー粉塵放散量上限(DtL)となり、式(1)の右辺はそれに対応する形となる。
101≦Dt≦117,262/Vp−1,039 (2)
具体的には、図4において、Vd=1.8の水平線と、トナー粉塵放散量(Dt)と画像形成装置から発生するダスト放散速度(Vd)の関係を最小二乗法を用いて一次線形で結んだ点線との交点座標の横軸値は、ダスト放散速度(Vd)を1.8以下の特定値にした場合のトナー粉塵放散量上限(DtL)を示す。そして、図5に示すように横軸の各印刷速度(Vp)の値と、縦軸の各トナー粉塵放散量上限(DtL)の値とを△(三角形)ドットで示し、この△ドットで示す印刷速度(Vp)とトナー粉塵放散量上限(DtL)を最小二乗法により逆比例する形で式を与えると、トナー粉塵放散量上限DtL=117,262/(Vp−1,039)という式が成立する。これが、式(2)の右辺に対応する各印刷速度(Vp)におけるトナー粉塵放散量上限(DtL)の関係となる。
101≦Dt≦71,653/Vp−1,039 (3)
具体的には、図4において、Vd=1.1の水平線と、トナー粉塵放散量(Dt)と画像形成装置から発生するダスト放散速度(Vd)の関係を最小二乗法を用いて一次線形で結んだ点線との交点座標の横軸値は、ダスト放散速度(Vd)を1.1以下の特定値にした場合のトナー粉塵放散量上限(DtL)を示す。そして、図5に示すように横軸の各印刷速度(Vp)の値と、縦軸の各トナー粉塵放散量上限(DtL)の値とを□(四角形)ドットで示し、この□ドットで示す印刷速度(Vp)とトナー粉塵放散量上限(DtL)を最小二乗法により逆比例する形で式を与えると、トナー粉塵放散量上限DtL=71,653/Vp−1,039という式が成立する。これが、式(3)の右辺に対応する各印刷速度(Vp)におけるトナー粉塵放散量上限(DtL)の関係となる。
101≦Dt≦52,104/Vp−1,039 (4)
また、粉塵放散量Dtが式(3)の範囲を満たすためには、式(2)で選択したワックスよりも粉塵発生量の少ないワックを選択するか、またはワックスの添加量を減らすことが好ましい。
さらに、粉塵放散量Dtが式(4)を満たすためには、式(3)で選択したワックスよりも粉塵発生量の少ないワックス選択するか、またはワックスの添加量を減らすことが好ましい。
(I)結着樹脂、着色剤及び前記静電荷像現像用トナー中に含有された状態における融点が55℃以上90℃以下に少なくとも一点存在するワックスを含有する静電荷像現像用トナーにおいて、下記(a)から(c)を満足するようにする。
(a)前記静電荷像現像用トナーが少なくともワックス成分Xとワックス成分Yの2種類のワックスを含有する。
(b)前記ワックス成分Yの粉塵放散量は前記ワックス成分Xの粉塵放散量よりも多い。
(c)前記ワックス成分Xの含有量が前記ワックス成分Yの含有量よりも多い。
(a)前記静電荷像現像用トナーが少なくともワックス成分Xとワックス成分Yの2種類のワックスを含有する。
(b)前記ワックス成分Yの粉塵放散量は前記ワックス成分Xの粉塵放散量よりも多い。
(e)前記ワックス成分Xと前記ワックス成分Yのワックス粉塵放散量と含有量のバランスを調整する。
ワックス成分Xのワックス粉塵放散量をDwXとし、ワックス成分Yのワックス粉塵放散量をDwYとし、それぞれの静電荷像現像用トナー中の濃度をCwX、CwYとした場合に、以下の式を考える。
DwAll=ΣDwn・Cwn/100=(DwX×CwX+DwY×CwY)/100 (5)
なお、ワックスの粉塵放散量の定義及び測定方法は実施例に記載の通りである。
また、ワックスの静電荷像現像用トナー中の濃度は、その配合処方より計算することができる。
Dt=3.30×10−5×DwAll 2−7.71×10−2×DwAll (R2=1.00) (6)
上記相関係数の2乗が1.00であることより、トナーから発生する粉塵量DtはDwAll、すなわちトナー中に存在させるワックスの粉塵放散量とトナー中に存在させるワックス含有量でほぼ決定されることが分かる。
さらに、図4と同様に、本発明におけるダスト放散速度Vdの臨界点であるVdが3.0、1.8、1.1及び0.8の値に水平線を引くと、該水平線と一次線形線との交点のX座標の値が、それぞれの画像形成装置の印刷速度に応じたワックス起因粉塵放散量DwAllの最大値となる。
図3は図5と同様にDwAllがVpに反比例する関数の形となり、相関係数の二乗も1.00であったことから、非常によい相関を示しているといえる。
すなわち、設計した画像形成装置のプリント速度を決定すると、画像形成装置からの粉塵発生速度Vdの許容値ごとに、ワックス起因粉塵放散量DwAllの上限値を導出することができる。
(A)ワックスの粉塵放散量が多いと、耐ホットオフセット性(HOS)は良くなる一方で、画像形成装置からの粉塵発生速度Vdが増える。
(B)ワックス含有量が多いと、HOSは良くなる一方で、画像形成装置からの粉塵発生速度Vdが増える。
(C)ワックスの粉塵放散量が少なすぎると、HOSは悪くなるが、画像形成装置からの粉塵発生速度Vdは減少する。
(D)ワックス含有量が少なすぎると、HOSは悪くなるが、画像形成装置からの粉塵発生速度Vdは減少する。
(E)プリント速度Vpが遅いと、単位時間当たりに発生するダスト量が減り、Vdが減る。
(F)プリント速度Vpが速いと、単位時間当たりに発生するダスト量が増え、Vdが増える。
(G)Vdのしきい値を下げると、ワックスの粉塵放散量が多いものは選択しづらくなり、さらにワックスのトナー中濃度も上げにくくなるため、プリント速度も上げにくい。
まずは、画像形成装置における印刷速度Vpを任意の値で設定する。これは画像形成装置の設計要件であり、その印刷速度における画像形成装置からの粉塵発生速度Vdが3.0以下に抑えることが必要である。
Vpは図3のX軸の値となるので、Vd=3.0mg/hrの曲線におけるY軸の値も決まる(図3中マル印:○)。Y軸の値が決まると、ワックス起因粉塵放散量(DwAll)について画像形成装置からの粉塵発生速度(Vd)3.0mg/hr以下を達成する為に許される最大量が決まる。
これによりDwとDwAllの値が決まる。上記式(5)の関係式を単純化すると、Cw=DwAll/Dwとなるので、DwAllとDwに実際の値を代入すれば、Cwが求まることになる。
以上より、任意のVpを設定した際の粉塵発生速度(Vd)3.0mg/hr以下を達成する為に許されるワックスのトナー中に占める最大許容濃度(最大許容ワックス量)を導き出す事ができる。
(a−1)Vpを任意の値で設定する。
(a−2)図3のDwAll=3.70×104/Vp+1.61×103の数式に上記(a−1)で設定したVpを代入して、DwAllを求める。
(a−3)使用したいワックスの粉塵放散量(Dw)を実施例記載の方法にて測定する。
(a−4)Cw=DwAll/Dwの関係式に、上記(a−2)で求めたDwAllと上記(a−3)で測定したDwを代入して、Cwを求める。
以上のようにして、任意のVpや任意のワックスを選択した際、トナー中に含有させる事ができる最大許容ワックス濃度を求める事ができる。
後述する実施例や比較例で検討した結果、本発明に係るトナーからの粉塵発生量Dtが101を下回り、定着ローラーに十分な離形性を付与できなくなるとHOSが悪くなる。そのため、Dtは101以上に設計する事が必須となる。
DwAllが算出された事により、選択したワックスの粉塵放散量Dwを実施例記載の方法にて測定することにより、Cw=DwAll/Dwの関係式におけるDwAll/Dwの値を出すことができ、Cwを得ることができる。ここで得られたCwが任意のワックスを選択した際の最小ワックス含有量となる。
(b−1)式(6)のDtに101を代入し、DwAllを求める。(DwAll=3,272となる。)
(b−2)使用したワックスの粉塵放散量Dwを実施例記載の方法にて測定する。
(b−3)Cw=DwAll/Dwの関係式に上記(b−1)で求めたDwAllと上記(b−2)で求めたDwの値を代入してCwを求める。
以上のようにして、HOSを悪くしないための最小ワックス含有量を求めることができる。
方法(II)においては、後述する重合体一次粒子にワックスを含有させて外添し、静電荷像現像用トナーとする前のトナー母粒子全体にワックス成分X及びワックス成分Yを分散させた状態とすることで得られる。ワックス成分X及びワックス成分Yの粉塵放散量及びトナー中の含有量は上述した関係をそれぞれ満たすことが必要となる。
また、前記方法(I)及び(II)で得られた本発明の現像用トナーは、前記トナー中に含まれた状態におけるワックス融点の測定方法によれば、トナー中に含まれた状態におけるワックスの融点が、少なくとも、55℃以上70℃未満に1点存在し、且つ70℃以上80℃以下に1点存在するトナーであることが好ましい。
本発明のトナーを構成する結着樹脂としては、トナーに用い得ることが知られているものの中から適宜選択して用いればよい。例えば、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−アクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができる。これらの樹脂は単独で用いることも、いくつかを併用することもできる。
不純物量の定量的な評価として、以下の方法で測定されるカーボンブラックのトルエン抽出物の紫外線吸光度が0.05以下であることが好ましく、0.03以下であることが一層好ましい。一般に、チャンネル法のカーボンブラックは不純物が多い傾向を示すので、本発明におけるカーボンブラックとしては、ファーネス法で製造されたものが好ましい。
まずカーボンブラック3gをトルエン30mlに充分に分散、混合させ、続いてこの混合液をNo.5C濾紙を使用して濾過する。その後、濾液を吸光部が1cm角の石英セルに入れて市販の紫外線分光光度計により、波長336nmの吸光度(λs)を測定する。そして同じ方法でリファレンスとしてトルエンのみの吸光度(λo)を測定し、紫外線吸光度λc=λs−λoにより求めることができる。市販の分光光度計としては、例えば島津製作所製紫外可視分光光度計(UV−3100PC)等を用いることができる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、173、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、C.I.ピグメントバイオレット19等が好適に用いられる。中でもC.I.ピグメントレッド122、202、207、209、C.I.ピグメントバイオレット19で示されるキナクリドン系顔料が特に好ましい。キナクリドン系顔料の中でも、C.I.ピグメントレッド122で示される化合物が、特に好ましい。
湿式法トナーについて説明する。
水系媒体中でトナーを得る湿式法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法等の水系媒体中でラジカル重合を行う方法(以下、「重合法」と略記し、得られたトナーを「重合法トナー」と略記する。)や化学粉砕法等が好適に利用されている。例えば、従来の重合法トナーの製造工程において、懸濁重合法の場合は、重合性モノマー滴を生成する工程で高いせん断力を与えたり、分散安定剤等を増量させたりする方法等が挙げられる。
これに対して、乳化重合凝集法は、比較的粒子径分布がシャープで、かつ、トナー母粒子径より小さなサイズから、大きな粒子へ調製するため、分級工程等の工程を介さずに、整った粒子径分布をもつトナーが得られる。以上の理由により、乳化重合凝集法により本発明のトナーを製造することが特に好ましい。
「塩基性モノマー」としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
(a)前記現像用トナーは少なくともワックス成分Xとワックス成分Yの2種類のワックスを含有する。
(b)前記ワックス成分Yの粉塵放散量は前記ワックス成分Xの粉塵放散量よりも多い。
(c)前記ワックス成分Xの含有量が前記ワックス成分Yの含有量よりも多い。
ここでワックス成分Xとワックス成分Yとは、現像用トナーが含む2種のワックスを表すのであって、それぞれ「ワックスX」、「ワックスY」と同義である。
中でも、ワックス成分Xの含有量がワックス成分Yの含有量よりも多いことが好ましい。
また、ワックス成分Yの全ワックス成分中における割合が0.1質量%以上10質量%未満であることが好ましい。
(f)前記静電荷像現像用トナーがワックス成分Xよりもワックス成分Yの存在比率が高い領域を有し、且つ該領域が前記静電荷像現像用トナーの中心側よりも外郭側に多い。
すなわち、現像用トナーの中心側に粉塵放散量の小さいワックスを用い、トナーの外郭側に粉塵放散量の大きいワックスを用いた時の方が、双方のワックスをトナー内に略均一に分散させた場合よりも、耐ホットオフセット性がさらに良化する。
これは、ワックスは定着ローラーからの現像用トナーの離形性を付与する目的で添加されているが、現像用トナー内でもその外郭側に高離形性を有する昇華性の高いワックスを選択的に集中的に存在させた方が、定着時に現像用トナー内からワックスが拡散する速度が速くなるため、より高い離形性を付与できると考えられる。
すなわち、トナー母粒子内に存在するコア成分のすべてが、それぞれ周囲の50%以上をシェル成分で覆われている状態を、前記(f)の状態とする。
図10において、白部分がコア成分、白点線がコア成分の周囲を表し、グレー部分がシェル成分、黒実線がシェル成分の周囲を表す。なお、(f)の状態とは、これらに限定されるものではない。
その方法としては、例えば以下に記載する方法が挙げられる。
1.コア成分よりも小さな粒子をシェル成分として配合する。
2.シェル成分をコア成分よりも後に添加する。
3.水を含む溶媒中でトナーを製造する場合には、シェル成分の方がコア成分に比べて極性の高い成分を用いる。
上記3.において極性の高い成分とは、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基又はアルコキシ基等を含む成分が挙げられる。
上記1.〜3.のうち一つの方法を用いても、複数の方法を併せて用いてもよい。
実質的にワックス成分Y(又はX)のみを含有するとは、その他に微量の不可避不純物が混入してもよいことを示す。ここでの不可避不純物とはワックス成分Y(又はX)以外のワックスのことを表す。
なお、上記ワックス成分Xまたはワックス成分Yの粉塵放散量Dwは、トナーの粉塵放散量と同様に、実施例に記載の方法により測定することができる。ここで静的環境下とは実施例に記載の条件下のことをいい、加熱条件は実施例に記載のとおりである。
また、粉塵放散量が大きなワックス成分Yとしては炭化水素系ワックスが挙げられ、中でも離形性付与の点から直鎖状分子の多いパラフィンワックスが好ましく用いられる。
このシェルコア構造をとるのは、ワックスはより外側に配置させた方が離形能力の面から有利である一方で、現像用トナーの最表面にワックスが存在すると感光体などの部材を汚染し満足いく画質を得る事ができない場合がある為である。
更に、あまりに融点が低すぎるワックスは、トナーの耐熱性を低下させる原因となり、輸送時のブロッキングなどので問題が発生する恐れがあるために使用する事ができず、融点55℃以上のワックスを含む事が必須となる。
ワックス自体の融点は55℃以上90℃以下である。なお、静電荷像現像用トナー中に含有された状態におけるワックスの融点は、後述する実施例に記載の方法;熱分析装置(DSC)を用い、トナー中の樹脂のガラス転移点に伴うエンタルピー緩和に由来するピーク(熱履歴)を消失させた状態で測定される値である。
中でも好ましくは炭化水素系(フィッシャートロフィッシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)ワックスやエステル系(長鎖脂肪酸と長鎖アルコールのエステル化物や長鎖脂肪酸と多価アルコールのエステル化物)ワックスが好適に用いられる。
中でもコア材、シェル材及びシェルコア構造を形成しないトナー母材のいずれもが、結着樹脂100質量部に対して、ワックスを好ましくは4〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部、さらに好ましくは7〜15質量部を配合する事ができる。ワックスの使用量が、前記範囲より少ないと離形力不足により、満足いく耐ホットオフセットを獲得する事が困難となりやすく、前記範囲より多いと、ダストを抑制する事が困難となる可能性が出てくる。
しかし、本明細書に記載の融点範囲のワックスを用いて本明細書に記載の粉塵放散量Dt(CPM)となる様に静電荷像現像用トナーを製造すれば、特にワックスの使用量については、なんら限定されるものではない。
また、トナーがワックス成分Xとワックス成分Yの2種類のワックスを含有する場合には、該ワックス成分Xよりもワックス成分Yの粉塵放散量が多いものを選択すれば、先に例示したワックスを任意に用いることができる。
トナー中に好適な分散粒径でワックスを分散させるためには、乳化重合時にワックスをシードとして添加することが好ましい。シードとして添加することにより、ワックスが内包された重合体一次粒子が得られるので、ワックスがトナー表面に多量に存在することがなく、トナーの帯電性や耐熱性の悪化を抑制することができる。重合体一次粒子中のワックスの存在量は、好ましくは4〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは7〜15質量%となるように計算して用いられる。
シェル材であるワックスを内包した重合体一次粒子の体積平均径(Mv)が、前記範囲内であると、効率良くシェルをコアに付着させる事ができ、トナーの外郭側に粉塵放散量の大きいワックスの存在比率が高い領域を形成させる場合に、より高い離形性を付与できるとともに、画像形成装置から1時間当たり発生するダスト量(ダスト放散速度:Vd)をより低い値に制御しやすくなり、より高い耐ホットオフセット性を獲得することができる。
粉砕法トナーを製造する方法としては、本願記載の粉塵放散量(CPM)であれば、特に限定はされないが、例えば、以下の様な製法等が挙げられる。
Spは主として樹脂の分子量で調節でき、樹脂のテトラヒドロフラン可溶分をGPC法により測定した場合に数平均分子量として好ましくは2000〜20000、より好ましくは3000〜12000とするのがよい。また、Tgは主として樹脂を構成するモノマー成分を選択することによって調節でき、具体的には酸成分として芳香族の多塩基酸を主成分とすることによりTgを高めることができる。すなわち、前述した多塩基酸のうち、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸等及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等を主成分として用いるのが望ましい。
式(i) Sp=4×Tg−110
式(ii) Sp=4×Tg−170
式(iii) Sp=90
式(iv) Sp=135
使用量としては、樹脂100質量部に対し0.1〜25質量部がよく、より好ましくは1〜15質量部がよい。この場合、帯電制御剤は樹脂中に配合してもよく、またトナー母粒子表面に付着させた形で用いてもよい。
1.樹脂、帯電制御物質、着色剤及び必要に応じて加えられる添加剤をヘンシェルミキサー等で均一に分散する。
2.分散物をニーダー、エクストルーダー、ロールミル等で溶融混練する。
3.混練物をハンマーミル、カッターミル等で粗粉砕した後、ジェットミル、I式ミル等で微粉砕する。
4.微粉砕物を分散式分級機、ジグザグ分級機等で分級する。
5.場合により、分級物中にシリカ等をヘンシェルミキサー等で分散する。
静電荷像現像用トナーの体積中位径(以下単に、「Dv50」と略記する場合がある)は、ベックマンコールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、分散質濃度0.03質量%になるように分散させて測定する。測定粒子径範囲は2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値をもとに算出したものを体積中位径(Dv50)と定義する。また、個数基準での統計値をもとに算出したものを個数中位径(Dn50)と定義する。
その平均一次粒子径は1〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは5〜100nmの範囲がよい。また、前記粒径範囲において小粒径のものと大粒径のものとを併用することも好ましい。外添剤の配合量の総量は、トナー母粒子100質量部に対して0.05〜10質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
<静電荷現像用トナー中に含まれた状態におけるワックス融点の測定方法と定義>
ワックスの融点の測定はDSC測定にて実施した。
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社(旧セイコーインスツルメンツ株式会社)製の熱分析装置(DSC220U/SSC5200システム)を使用した。
測定は窒素雰囲気下で実施し、標準パンには酸化アルミを7mg入れ、サンプルパンには静電荷現像用トナーを10mg入れた。次に10℃から121℃まで10℃/分の速度で昇温し、121℃で10分間温度保持した。ついで121℃から10℃まで10℃/分の速度で降温し、10℃で5分間温度保持した。更に10℃から120℃まで10℃/分の速度で昇温し、この2回目の昇温時の吸熱ピークまたはショルダー温度を静電荷現像用トナー中のワックスの融点とした。つまり2回目の昇温時のピークを見る事で、トナー中の樹脂のガラス転移点に伴うエンタルピー緩和に由来するピークは消失し、ワックスの融点が明瞭に観察できる事から、2回目の昇温時のデータをワックスの融点として採用した。
また、ワックス単体の融点も試料重量を3.5mgとする事以外は上記方法と同様に測定した。
静電荷現像用トナー中に含まれた状態におけるワックスの融点とワックス単体またはワックス混合物の融点は、ワックスと樹脂またはワックスと異なるワックスが相溶した場合など、異なる融点及びDSC測定での温度に対しての吸熱プロファイルを示す事が多いため為、ワックス単体の融点と静電荷現像用トナー中に含まれた場合のワックスの融点を別々に測定した。
顔料分散液と重合体一次粒子分散液、又はワックス分散液の体積平均径(Mv)及び個数平均径(Mn)は、日機装社製、型式:Microtrac Nanotrac 150(以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、ナノトラックの取り扱い説明書に従い、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.−019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を分散媒として、それぞれ、下記の条件で又は下記の条件を入力し、取り扱い説明書に記載された方法で測定した。
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :透過
・形状 :真球形
・密度 :1.04
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :吸収
・形状 :非球形
・密度 :1.00
外添工程を経て、最終的に得られたトナーの測定前処理として次の様にした。
内径47mm、高さ51mmの円筒形のポリエチレン(PE)製ビーカーに、スパチュラーを用いてトナーを0.100g、スポイトを用いて20質量%DBS水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS−20A)を0.15g添加した。この際、ビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にビーカーの底部にのみトナー及び20%DBS水溶液を入れた。次に、スパチュラーを用いてトナーと20%DBS水溶液がペースト状になるまで3分間攪拌した。この際もビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にした。
なお、トナー母粒子の製造工程中の粒径の測定については、凝集中のスラリーを63μmのメッシュで濾過したろ液を「スラリー液」とした。
本発明における「平均円形度」は、以下のように測定し、以下のように定義する。すなわち、トナー母粒子を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、FPIA3000)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:8,000〜10,000個
以下は、前記装置で測定され、前記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]そして、HPF検出個数である8,000〜10,000個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
本実施例で用いた粉塵検出測定装置について説明する。
図6は、本実施例で用いた粉塵検出測定装置の概略構成を示す図である。図6に示すように、本実施例で用いた粉塵検出測定装置は、ドラフト1に、外気や不活性ガスを導入する吸気口9と、これらのガスを排出する排出口7を有する排気ファン8とを備え、ドラフト1内に試料カップ(アルミカップ)3に入れたサンプル4を加熱して粉塵放散量を測定するために加熱する加熱装置(ホットプレート)2を備えている。加熱装置2の上部には、試料カップ3に入れたサンプル4を加熱装置2で加熱した際に発生する粉塵を捕集するための漏斗状のコーン捕集機10が配置されている。コーン捕集機10は、吸引ダクト5を介して、ダスト測定装置6と接続されている。
なお、図6において試料カップ3は円筒状であるが、実際にはすり鉢状のものを用いた。ただし、試料カップの形状は開口上部が狭くなるような形状でない限り、特に限定されない。
図6〜9に示す粉塵検出測定装置を用いて、温度22〜28℃、湿度50〜60%に調整された前記ドラフト1の中で、以下の条件及び手順でサンプルから放散する粉塵量を測定した。
(I)排気ファン8を稼動させ、加熱装置(ホットプレート)2を200℃まで昇温させてからすぐに100℃まで温度を下げて、100℃に保持した。200℃まで上げる意味は、ダスト測定最高温度でサンプル以外から発生する粉塵値をバックグラウンド(BG)値に含ませる目的で実施した。
(II)加熱装置2が100℃の状態で、ダスト測定装置6のバックグラウンド(BG)測定(1分間)及びダスト校正値測定を行った。更に(III)の実測定後にも同様に1分間のバックグラウンド測定を実施し、(III)の実測定前と後の2回のバックグラウンド値の平均値をバックグラウンド値として採用した。
(III)加熱装置2が100℃の状態で、直径6cmの試料カップ(アルミカップ)3にサンプル4を1.0〜1.1gを秤量し、加熱装置2の中央に載置した。試料カップ3内に、図9に示す窒素導入口3aから流速100ml/分で窒素ガスを内径2mmの導管を通して流入させ、サンプルを不活性雰囲気下とした。なお、図6〜9には示していないが、ドラフト1の外から試料カップ3の近くまで管が引かれており、窒素ガスが該管の内部を通って窒素導入口3aから排出されることにより、サンプルを不活性雰囲気にすることができる。また、図9には試料カップ3の近くだけ前記管を記載し、窒素導入口3aを明確に表したものである。
この窒素ガス導入の意味は、高温時にサンプルが酸化反応等により発火などの危険な状態とならない様に、不活性ガス雰囲気下で加熱する事を目的として実施した。よって、窒素ガス流入によりダストがコーン捕集機10に集塵されるのを阻害しない様に非常に低い流速(100ml/分)で流入させた。ここで、サンプルとは静電荷像現像用トナーまたはワックス単体である。
(IV)加熱装置2が100℃の状態から、プログラム昇温で200℃までを60分間で昇温し、その後200℃で5分間維持した。この65分間の間に発生したダストを1分間隔でダスト測定装置を用いて測定し65回測定分の総和を持ってバックグラウンドを考慮する前のダスト値を求めた。その後(II)で予め測定しておいたバックグラウンド(BG)値を引く事により、静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)、またはワックスの粉塵放散量(Dw)とした。
例えば、試料を(III)記載の昇温プロファイルで1分間隔で65回測定したバックグラウンド考慮前の総和が345CPMであり、1分間測定したバックグラウンド測定値(試料測定前)が3CPM、バックグラウンド測定値(試料測定後)が4CPMであった場合、345−((3+4)/2))×65=118となるので、118を試料の正式な粉塵放散量として表2に示した。
単位は、ダスト測定装置SHIBATA社製デジタル粉塵計「ダストメイト LD−3K2型」に表示される「CPM」とした。
カラーページプリンターML9600PS(沖データ社製)を用い、現像バイアスと供給バイアスを調整し、エクセレントホワイトA4紙(沖データ社製)に感光体上の画像濃度1.0〜2.0の範囲において画像濃度0.2きざみで201mm×287mmのベタ画像を実写する事により試験を行なった。定着器の温度を安定させる為、各々の画像濃度で30枚の印刷を行い、最後の1枚で判定を行った。最後の1枚が画像濃度1.6以下でホットオフセットに起因するブリスター(光沢のムラ)が発生するものに×、画像濃度1.6を超え1.8以下でブリスターが発生するものを○、画像濃度が1.8を超えてもブリスターが発生しないものを◎とし、耐ホットオフセット性の判定を行った。マシンのプロセススピードはA4横換算36枚/分で実施した。
後述する方法により調製した現像用トナーをカラーページプリンターML9600PS(沖データ社製)のカートリッジに4本ともに入れ、上質紙PA4(富士ゼロックス社製)を用い、ブルーエンジェルマーク認定の測定法(RAL_UZ122_2006)に従って粉塵を捕集し、フィルター上に捕集された物質の質量測定からダストの放散速度を求めた。
具体的には、予め放散試験チャンバー(VOC−010/容積1000L/エスペック社製)をベーキング処理をしてブランク測定した後、前述のプリンターとダスト測定用フィルターを設置して、60分間以上槽内の温度湿度が規定値(23±2℃/50±5%)に収まる様に待機した。遠隔操作でプリンターを作動させると同時にフィルターからの吸引を開始し、規定枚数印刷して2時間後まで吸引捕集を行った。尚、印刷パターンはVE110−7,Version2006−06−01(RAL_UZ122/RALC00.PDF)を用いた。
(1)温湿度補正後のダスト質量mSt=(mMFbrutto−mMFtara)+(mRF1−mRF2)
mMFtara:ダスト試料採取前の質量が安定した測定フィルターの質量(mg)
mMFbrutto:ダスト試料採取後の質量が安定した測定フィルターの質量(mg)
mRF1:試験前の基準フィルターの質量(mg)
mRF2:試験後の基準フィルターの質量(mg)
(2)Vd=(mSt×n×V×to)/(VS×tp)
Vd:ダスト放散速度(mg/hr)
n :換気回数(h−1)
to:総サンプリング時間(min)
tp:印刷時間(min)
V:チャンバー容積(m3)
VS:フィルターを通過して吸引された空気の体積(m3)
Vdが0.7以下のものを◎、0.7を超え3.0以下のものを○、Vdが3.0を超えるものを×と判定した。
BET比表面積はマウンテック社製Macsorb model−1201を使用し、液体窒素を用いる1点法によって測定した。具体的には以下の通りである。
まずガラス製の専用セルに測定サンプルを1.0g程度充填した(以下、サンプル充填量をA(g)とする)。次いで、セルを測定器本体にセットし、窒素雰囲気下で200℃、20分の乾燥脱気を行った後、セルを室温まで冷却した。その後、セルを液体窒素で冷却しつつ、セル内に測定ガス(第一級の窒素30%・ヘリウム70%混合ガス)を流量25mL/minで流し、測定ガスのサンプルへの吸着量V(cm3)を測定した。サンプルの総表面積をS(m2)とすると、求めるBET比表面積(m2/g)は以下の計算式によって算出できる。
(BET比表面積)=S/A={K×(1−P/P0)×V}/A
K:ガス定数(本測定においては、4.29)
P/P0:吸着ガスの相対圧力であり、混合比の97%(本測定においては、0.29)である。
<着色剤分散液の調整>
プロペラ翼を備えた攪拌機の容器に、トルエン抽出液の紫外線吸光度が0.02であり、真密度が1.8g/cm3のファーネス法で製造されたカーボンブラック(三菱化学社製、三菱カーボンブラックMA100S)20部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンS−20D)1部、非イオン性界面活性剤(花王社製、エマルゲン120)4部、導電率が1μS/cmのイオン交換水75部を加え、予備分散して顔料プレミックス液を得た。プレミックス後の分散液中カーボンブラックの体積中位径Dv50は約90μmであった。
前記プレミックス液を原料スラリーとして湿式ビーズミルに供給し、ワンパス分散を行った。なお、ステータの内径は120mmφ、セパレータの径が60mmφ、分散用のメディアとして直径が50μmのジルコニアビーズ(真密度6.0g/cm3)を用いた。ステータの有効内容積は約2リットルであり、メデイアの充填容積は1.4リットルとしたので、メディア充填率は70%である。
ロータの回転速度を一定(ロータ先端の周速が約11m/sec)として、供給口より前記プレミックススラリを無脈動定量ポンプにより供給速度約40リットル/hrで供給し、所定粒度に達した時点で排出口より製品を取得した。なお、運転時にはジャケットから約10℃の冷却水を循環させながら行い、体積平均径(Mv)160nm、個数平均径(Mn)104nmの着色剤分散液を得た。
加圧循環ライン付きのホモジナイザー(ゴーリン社製、LAB60−10TBS型)のジャケット付きポットにHiMic−1090(日本精蝋社製:融点82℃(カタログ値は89℃))26.7部(1068g)、ペンタエリスリトールテトラステアレート(酸価3.0、水酸基価1.0、融点77℃と67℃)3.0部、デカグリセリンデカベヘネート(水酸基価27、融点70℃)0.3部を添加し、95℃で30分間攪拌しながら加熱した。その後、20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20D、以下20%DBS水溶液と略す)2.8部、脱塩水67.2部を予め95℃に加熱した混合物を加えて100℃に加熱し、10MPaの加圧条件で1次循環乳化を行った。
体積中位径を10分おきに測定し、メジアン径が500nm前後まで下がったら更に圧力条件を25MPaに上げて引き続き2次循環乳化を行った。体積中位径が230nmになるまで分散した後、速やかに冷却しワックス分散液A1(エマルジョン固形分濃度=30.3%)を作製した。
加圧循環ライン付きのホモジナイザー(ゴーリン社製、LAB60−10TBS型)のジャケット付きポットに、パラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9、融点76℃)27部(1080g)、ステアリルアクリレート(東京化成社製)2.8部を添加し、90℃で30分間攪拌しながら加熱した。その後、20%DBS1.9部、脱塩水68.3部を予め90℃に加熱した混合物を加えて90℃に加熱し、10MPaの加圧条件で1次循環乳化を行った。体積中位径を10分おきに測定し、メジアン径が500nm前後まで下がったら更に圧力条件を20MPaに上げて引き続き2次循環乳化を行った。体積中位径が230nmになるまで分散した後、速やかに冷却しワックス・分散液A2(エマルジョン固形分濃度=29.4%)を作製した。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、前記ワックス分散液A1 35.0部(700.1g)、脱塩水259部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。その後、前記液の攪拌を続けたまま、そこへ下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を5時間かけて添加した。この混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、下記の「開始剤水溶液」を重合開始30分後から4.5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から、下記の「追加開始剤水溶液」を2時間かけて添加し、更に攪拌を続けたまま内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 75.9部
アクリル酸ブチル 24.1部
アクリル酸 1.2部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.73部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.0部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、前記ワックス分散液A2 36.1部(722.2g)、脱塩水259部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。その後、前記液の攪拌を続けたまま、そこへ下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を5時間かけて添加した。この混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、下記の「開始剤水溶液」を重合開始30分後から4.5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から、下記の「追加開始剤水溶液」を2時間かけて添加し、更に攪拌を続けたまま内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.70部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.1部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B2を得た。ナノトラックを用いて測定した体積平均径(Mv)は232nmであり、固形分濃度は22.6質量%であった。重合体一次粒子分散液B2の結着樹脂・ワックス比と使用したワックスのDwを表1に示す。
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程、円形化工程を実施することによりトナー母粒子C1を製造した。現像用トナー母粒子の成分となる固形分は以下の通りである。
コア材として、
重合体一次粒子分散液B1:固形分として90部(重合体一次粒子分散液B1:4011g)
着色剤微粒子分散液:着色剤固形分として6.0部
シェル材として、
重合体一次粒子分散液B2:固形分として10部(重合体一次粒子分散液B2:448g)
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12リットル、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B1(4011g)と20%DBS水溶液(2.53g)を仕込み、内温10℃で5分間均一に混合した。続いて脱塩水(541.5g)を添加し、内温10℃、250rpmで攪拌を続けながら第一硫酸鉄(FeSO4・7H2O)の5%水溶液(113.2g)を5分かけて添加してから着色剤微粒子分散液(303.5g)を5分かけて添加し、内温10℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5%硫酸アルミニウム水溶液(101.2g)を添加し、続いて脱塩水(101.2g)を添加した。その後、54℃まで昇温し、回転数250rpmのまま内温を54.0℃から段階的に56.0℃まで160分かけて昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.81μmまで成長させた。
その後、重合体一次粒子分散液B2(447.6g)を8分かけて添加して、そのまま30分間保持した。
続いて回転数を150rpmに落としてから20%DBS水溶液(303.5g)を8分かけて添加し、更に脱塩水(232.5g)を添加した。その後77分かけて90℃に昇温して平均円形度が0.967になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却し、スラリー液を得た。
得られたスラリーを全量、目開き24μmの篩を装着した湿式電磁篩振盪機(AS200/レッチェ社製)を用いて、粗大粒子の除去を目的に濾過処理を行い、攪拌装置付きのタンクにて一旦蓄えた。その後、このスラリーを濾布(ポリエステル TR815C、中尾フィルター工業/厚み0.3mm/通気度48(cc/cm2/min)が装着された横型遠心分離機(HZ40Si型/三菱化工機社製)へ、加速度800G条件で遠心脱水洗浄を行った。
電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を、リムから溢れない速度でスラリー固形分の約50倍量加えると、濾液の電気伝導度が2μS/cmとなった。最後に十分水を振り切り、掻き取り装置でケーキを回収した。ここで得られたケーキをステンレス製バットに高さ20mmとなる様に敷き詰め、40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥することにより、トナー母粒子C1を得た。
<現像用トナーD1の調製>
(外添工程)
得られたトナー母粒子C1(100部:250g)を、外添機(協立理工社製SK−M2000型)に投入し、ついで外添剤としてシリコーンオイルで疎水化処理された体積平均一次粒径8nm、BET比表面積の150m2/gのシリカ微粒子0.5部とシリコーンオイルで疎水化処理された体積平均一次粒径40nm、BET比表面積の42m2/gのシリカ微粒子0.3部、さらにヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された体積平均一次粒径110nm、BET比表面積の26m2/gのシリカ微粒子1.5部を添加し、6000rpmで1分間混合する操作を5回繰り返した後、150メッシュで篩別して現像用トナーD1を得た。
<トナー母粒子C2の調製>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程、円形化工程を実施することによりトナー母粒子C2を製造した。現像用トナー母粒子の成分となる固形分は以下の通りである。
コア材として、
重合体一次粒子分散液B1:固形分として80部(重合体一次粒子分散液B1:3607g)
着色剤微粒子分散液:着色剤固形分として6.0部
シェル材として、
重合体一次粒子分散液B2:固形分として20部(重合体一次粒子分散液B2:906g)
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12リットル、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B1(3607g)と20%DBS水溶液(2.56g)を仕込み、内温10℃で5分間均一に混合した。続いて脱塩水(487.0g)を添加し、内温10℃、250rpmで攪拌を続けながら第一硫酸鉄(FeSO4・7H2O)の5%水溶液(113.2g)を5分かけて添加してから着色剤微粒子分散液(307.1g)を5分かけて添加し、内温10℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5%硫酸アルミニウム水溶液(102.4g)を添加し、続いて脱塩水(102.4g)を添加した。その後、54℃まで昇温し、回転数250rpmのまま内温を54.0℃から段階的に56.0℃まで200分かけて昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.82μmまで成長させた。
その後、重合体一次粒子分散液B2(905.8g)を8分かけて添加してそのまま30分間保持した。
続いて回転数を150rpmに落としてから20%DBS水溶液(307.1g)を8分かけて添加し、更に脱塩水(232.9g)を添加した。その後74分かけて90℃に昇温して平均円形度が0.965になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却し、スラリー液を得た。
ここで得られたスラリーを用い実施例1と同じ方法で洗浄乾燥を実施し、トナー母粒子C2を得た。
トナー母粒子C2を用い、実施例1と同様の方法で外添を実施し現像用トナーD2を得た。得られた現像用トナーD2の体積中位径(Dv)は7.25μm、個数中位径(Dn)は6.65μm、平均円形度は0.966であった。また本現像用トナー中に含有された状態でのワックスの融点は、吸熱ピークの深い順に76℃、66℃であった。現像用トナーD2の粉塵放散量(Dt)とこの現像用トナーD2を用いた画像形成装置のダスト放散速度(Vd)を測定した結果を表2に示す。
<トナー母粒子C3の調製>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程、円形化工程を実施することによりトナー母粒子C3を製造した。現像用トナー母粒子の成分となる固形分は以下の通りである。
コア材として、
重合体一次粒子分散液B1:固形分として90部(重合体一次粒子分散液B1:4011g)
重合体一次粒子分散液B2:固形分として10部(重合体一次粒子分散液B2:448g)
着色剤微粒子分散液:着色剤固形分として6.0部
シェル材はなし。
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12リットル、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B1(4010.9g)と重合体一次粒子分散液B2(447.6g)と20%DBS水溶液(2.53g)を仕込み、内温10℃で5分間均一に混合した。続いて脱塩水(541.5g)を添加し、内温10℃、250rpmで攪拌を続けながら第一硫酸鉄(FeSO4・7H2O)の5%水溶液(113.2g)を5分かけて添加してから着色剤微粒子分散液(303.5g)を5分かけて添加し、内温10℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5%硫酸アルミニウム水溶液(202.3g)を添加した。その後、54℃まで昇温し、回転数250rpmのまま内温を54.0℃から段階的に56.0℃まで200分かけて昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し7.27μmまで成長させた。
続いて回転数を150rpmに落としてから20%DBS水溶液(303.5g)を8分かけて添加し、更に脱塩水(232.5g)を添加した。その後72分かけて90℃に昇温して平均円形度が0.967になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却し、スラリー液を得た。
上記工程により得られたスラリーを用い実施例1と同じ方法で洗浄乾燥を実施し、トナー母粒子C3を得た。
トナー母粒子C3を用い、実施例1と同様の方法で外添を実施し現像用トナーD3を得た。得られた現像用トナーD3の体積中位径(Dv)は7.14μm、個数中位径(Dn)は6.51μm、平均円形度は0.968であった。また本現像用トナー中に含有された状態でのワックスの融点は、吸熱ピークの深い順に78℃、66℃であった。現像用トナーD3の粉塵放散量(Dt)とこの現像用トナーを用いた画像形成装置から発生するダスト放散速度(Vd)を測定した結果を表2に示す。
<トナー母粒子C4の調製>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程、円形化工程を実施することによりトナー母粒子C4を製造した。現像用トナー母粒子の成分となる固形分は以下の通りである。
コア材として、
重合体一次粒子分散液B1:固形分として90部(重合体一次粒子分散液B1:4013g)
着色剤微粒子分散液:着色剤固形分として6.0部
シェル材として、
重合体一次粒子分散液B1:固形分として10部(重合体一次粒子分散液B1:446g)
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12リットル、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B1(4012.5g)と20%DBS水溶液(2.53g)を仕込み、内温10℃で5分間均一に混合した。続いて脱塩水(541.7g)を添加し、内温10℃、250rpmで攪拌を続けながら第一硫酸鉄(FeSO4・7H2O)の5%水溶液(113.2g)を5分かけて添加してから着色剤微粒子分散液(303.6g)を5分かけて添加し、内温10℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5%硫酸アルミニウム水溶液(101.2g)を添加し、続いて脱塩水(101.2g)を添加した。その後、54℃まで昇温し、回転数250rpmのまま内温を54.0℃から段階的に56.0℃まで165分かけて昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.85μmまで成長させた。
その後、重合体一次粒子分散液B1(445.8g)を8分かけて添加してそのまま30分間保持した。
続いて回転数を150rpmに落としてから20%DBS水溶液(303.6g)を8分かけて添加し、更に脱塩水(232.5g)を添加した。その後75分かけて90℃に昇温して平均円形度が0.969になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却し、スラリー液を得た。
上記工程により得られたスラリーを用い実施例1と同じ方法で洗浄乾燥を実施し、トナー母粒子C4を得た。
トナー母粒子C4を用い、実施例1と同様の方法で外添を実施し現像用トナーD4を得た。得られた現像用トナーD4の体積中位径(Dv50)は7.03μm、個数中位径(Dn50)は6.42μm、平均円形度は0.968であった。また本現像用トナー中に含有された状態でのワックスの融点は、吸熱ピークの深い順に82℃、66℃であった。現像用トナーD4の粉塵放散量(Dt)この現像用トナーを用いた画像形成装置から発生するダスト放散速度(Vd)を測定した結果を表2に示す。
<トナー母粒子C5の調製>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程、円形化工程を実施することによりトナー母粒子C5を製造した。現像用トナー母粒子の成分となる固形分は以下の通りである。
コア材として、
重合体一次粒子分散液B2:固形分として90部(重合体一次粒子分散液B2:4011g)
着色剤微粒子分散液:着色剤固形分として6.0部
シェル材として、
重合体一次粒子分散液B2:固形分として10部(重合体一次粒子分散液B2:447g)
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12リットル、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B2(4010.9g)と20%DBS水溶液(2.53g)を仕込み、内温10℃で5分間均一に混合した。続いて脱塩水(541.5g)を添加し、内温10℃、250rpmで攪拌を続けながら第一硫酸鉄(FeSO4・7H2O)の5%水溶液(113.2g)を5分かけて添加してから着色剤微粒子分散液(303.5g)を5分かけて添加し、内温10℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5%硫酸アルミニウム水溶液(404.7g)を添加し、続いて脱塩水(202.3g)を添加した。その後、54℃まで昇温し、回転数250rpmのまま内温を54.0℃から段階的に56.0℃まで150分かけて昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.69μmまで成長させた。
その後、重合体一次粒子分散液B2(447.6g)を8分かけて添加してそのまま30分間保持した。
続いて回転数を150rpmに落としてから20%DBS水溶液(303.5g)を8分かけて添加し、更に脱塩水(248.7g)を添加した。その後76分かけて90℃に昇温して平均円形度が0.967になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却し、スラリー液を得た。
ここで得られたスラリーを用い実施例1と同じ方法で洗浄乾燥を実施し、トナー母粒子C5を得た。
トナー母粒子C5を用い、実施例1と同様の方法で外添を実施し現像用トナーD5を得た。得られた現像用トナーD5の体積中位径(Dv)は7.02μm、個数中位径(Dn)は6.51μm、平均円形度は0.967であった。また本現像用トナー中に含有された状態でのワックスの融点は、吸熱ピークの深い順に76℃、73℃であった。現像用トナーD5の粉塵放散量(Dt)とこの現像用トナーを用いた画像形成装置から発生するダスト放散速度(Vd)を測定した結果を表2に示す。
表1に示す実施例1〜3及び比較例2の各測定値(Dt、Vd)を◆(菱形)ドットでポイントし、最小二乗法を用いて各測定結果を一次線形で結び、実線で表した。なお、図4において、比較例1はダスト放散速度が検出限界以下であったので、ポイントしていない。図4の◆(菱形)ドットでポイントした実線に示すように、この実線の一次線形式はVd=5.534−4×Dt+0.574であり、その相関係数の二乗は0.999であるため、画像形成装置から発生するダスト放散速度(Vd)は、現像用トナーの粉塵放散量(Dt)に一次線形比例している。
図5に示すように、印刷速度が速くなると単位時間当たりに消費される静電荷像現像用トナーも多くなるので、粉塵放散量を特定値(規定値)以下にするためには、単位質量当たりの静電荷像現像用トナーから放散される粉塵量の上限値も少なくしなければならない。図5に示す印刷速度(Vp)とトナー粉塵放散量上限(DtL)との関係を最小二乗法により逆比例する形で式を与えると各ダスト放散速度の特定値(規制値)におけるトナー粉塵放散量の上限値を算出する式を導き出すことができる。
101≦Dt≦195,449/Vp−1,040 (1)
[上記式中、Dtはトナーを静的環境下で加熱した際に発生する粉塵放散量(CPM)を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、171.2以下とする。]
101≦Dt≦117,262/Vp−1,039 (2)
[式中、Dt及びVpは式(1)のDt及びVpと同義である。]
101≦Dt≦71,653/Vp−1,039 (3)
[式中、Dt及びVpは式(1)のDt及びVpと同義である。]
101≦Dt≦52,104/Vp−1,039 (4)
[式中、Dt及びVpは式(1)のDt及びVpと同義である。]
本出願は2012年3月30日出願の日本特許出願(特願2012−082217)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1a ドラフト用の空気導入口
1b ドラフト用の排気口
2 加熱装置(ホットプレート)
2a 温度計
3 試料カップ(アルミカップ)
3a 窒素導入口
4 サンプル
4a サンプル温度計
5 吸引ダクト
6 ダスト測定装置
7 排出口
8 排気ファン
9 吸気口
10 コーン捕集機
Claims (10)
- 結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する静電荷像現像用トナーを含む画像形成装置を用いる画像形成方法であって、
前記静電荷像現像用トナーが下記(a)から(c)の要件を満たし、ワックス成分Xよりもワックス成分Yの存在比率が高い領域を有し、且つ該領域が前記静電荷像現像用トナーの中心側よりも外郭側に多く、前記静電荷像現像用トナー中に含有された状態における前記ワックスの融点が55℃以上90℃以下に少なくとも1点存在し、かつ
前記静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)が、下記式(1)を満たす画像形成方法。
(a)前記静電荷像現像用トナーが少なくともワックス成分Xとワックス成分Yの2種類のワックスを含有する。
(b)前記ワックス成分Yの粉塵放散量は前記ワックス成分Xの粉塵放散量よりも多い。
(c)前記ワックス成分Xの含有量が前記ワックス成分Yの含有量よりも多い。
101≦Dt≦195,449/Vp−1,040 (1)
[上記式中、Dtは前記静電荷像現像用トナーを加熱した際に発生する1分当たりの粉塵放散量(CPM)を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、171.2以下とする。] - 前記静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)が、下記式(2)を満たす請求項1記載の画像形成方法。
101≦Dt≦117,262/Vp−1,039 (2)
[上記式中、Dtは前記静電荷像現像用トナーを加熱した際に発生する1分当たりの粉塵放散量(CPM)を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、102.8以下とする。] - 前記静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)が、下記式(3)を満たす請求項2記載の画像形成方法。
101≦Dt≦71,653/Vp−1,039 (3)
[上記式中、Dtは前記静電荷像現像用トナーを加熱した際に発生する1分当たりの粉塵放散量(CPM)を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、62.8以下とする。] - 前記静電荷像現像用トナーの粉塵放散量(Dt)が、下記式(4)を満たす請求項3記載の画像形成方法。
101≦Dt≦52,104/Vp−1,039 (4)
[上記式中、Dtは前記静電荷像現像用トナーを加熱した際に発生する1分当たりの粉塵放散量(CPM)を表し、Vpは画像形成装置におけるA4横換算での印刷速度(枚/分)を表す。但しVpは、45.7以下とする。] - 前記Vpの値が20以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記Vpの値が30以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記静電荷現像用トナー中に含まれた状態における前記ワックスの融点が、55℃以上70℃未満と70℃以上80℃以下とにそれぞれ1点以上存在する請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記ワックス成分Yの全ワックス成分中における割合が0.1質量%以上10質量%未満である請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記静電荷像現像用トナーが下記(a)、(b)及び(d)の要件を満たす、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
(a)前記静電荷像現像用トナーが少なくともワックス成分Xとワックス成分Yの2種類のワックスを含有する。
(b)前記ワックス成分Yの粉塵放散量は前記ワックス成分Xの粉塵放散量よりも多い。
(d)前記ワックス成分Xの粉塵放散量が50,000CPM以下であり、かつ前記ワックス成分Yの粉塵放散量が100,000CPM以上である。 - 前記静電荷像現像用トナーがシェルコア構造を有し、該シェルコア構造のシェル材に含まれる前記ワックスが実質的に前記ワックス成分Yのみを含有し、前記シェルコア構造のコア材に含まれる前記ワックスが実質的に前記ワックス成分Xのみを含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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