JP2015194744A - 静電荷像現像用マゼンタトナー - Google Patents

静電荷像現像用マゼンタトナー Download PDF

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【課題】 特に安定した実写性能を確保することが困難な、マゼンタトナーに関して、その課題は特定粒径以下の微粉の存在割合に起因する画像白地部の汚れ、残像(ゴースト)、カスレ(ベタ追従性)を抑制し、画質を改良でき、高速印刷機を使用した場合においても、長期使用時の汚れ等の問題を改良し、かつ画像安定性に優れたマゼンタトナーを提供することにある。【解決手段】 結着樹脂分散体、離型剤分散体、顔料分散液を水系媒体中で粒子形成させてマゼンタトナー得る際に、使用する顔料分散液のpHを中性からアルカリ性領域にし、粘弾性測定によるトナーの物性について、特定の貯蔵弾性率の関係を満たすようにすることで、上記課題を解決できることを見出した。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電写真法等に用いられる静電荷像現像用マゼンタトナー
に関する。
近年、電子写真複写機等の画像形成装置の用途は拡大しており、画像品質への市場の要望は一段と高い水準を求めるものになってきている。特に、事務用の書類等においても、入力における写像技術、潜像形成技術の発展に加え、出力時においても、文字の象形の種類はより豊富に、より微細化されており、またプレゼンテーションソフトウェアの普及と発達により、印刷画像に欠陥や不鮮明さの少ない、極めて高画質な潜像の再現性が求められている。特に、画像形成装置を構成する潜像担持体上の静電潜像が100μm以下(凡そ300dpi以上)の線画像の場合に用いる現像剤としては、従来の粒径の大きなトナーでは、細線再現性が一般に悪く、線画像の鮮明さが未だに充分とは言えないものとなっている。 中でもマゼンタトナーは、高画質な画像再現性が難しく、色ムラやスジがでや
すいことが問題になっている。
特に、デジタル画像信号を使用している電子写真プリンタの如き画像形成装置では、潜像は一定単位のドット単位が集まって形成されており、ベタ部、ハーフトーン部及びライト部はドット密度を変えることによって表現されている。ところが、ドット単位に忠実にトナーが配置されず、ドット単位の位置と実際に定置されたトナーの位置との不整合が生じると、デジタル潜像の黒部と白部のドット密度の比に対応するトナー画像の階調性が得られないという問題点がある。更に、画質を向上させるために、ドットサイズを小さくして解像度を向上させる場合には、微小ドットから形成される潜像に忠実な現象が更に困難になり、解像度の高い階調性の悪い、シャープネスに欠けた画像になる傾向が否めない。
また、近年は画像品質への市場の要望と供に、高寿命化・高速印刷が求められている。しかし、これら要求特性も従来のトナーでは十分満たされるものではなかった。従来のトナーのように微粉が多いと、連続印字とともに微粉が部材を汚染してトナーへの帯電付与能力等が低下し画像が乱れ、また高速印刷機に導入した場合は、トナー飛散が目立つという課題もあった。
そこで、現像剤の粒度分布を規制して、微小ドットの再現性をよくし画質の向上を意図したものが提案されている。特許文献1では、平均粒径が6〜8μmであるトナーが提案され、粒径を細かくすることで微小ドットの潜像を再現性よく形成しようとすることが試みられた。また、特許文献2では、重量平均粒径4〜8μmのトナーであって、更に5μm以下の粒径を有するトナー母粒子が17〜60個数%含有されるトナー母粒子が開示されている。また、特許文献3には、粒径が5μm以下の粒径を有する磁性トナー母粒子が17〜60個数%含有される磁性トナーが開示されている。特許文献4には、トナーの粒度分布において、2.0〜4.0μmの粒径のトナー母粒子の含有率が15〜40個数%であるトナー母粒子が開示されている。更に、特許文献5には5μm以下の粒子が約15〜65個数%であるトナーが記載されている。更に、特許文献6及び特許文献7にも同様のトナーが開示されている。更に、特許文献8には5μm以下の粒径を有するトナー母粒子が17〜60個数%含有され、8〜12.7μmの粒径を有するトナー母粒子が1〜30個数%含有され、16μm以上の粒径を有するトナー母粒子が2.0体積%以下含有され、体積平均粒径が4〜10μmであり、5μm以下のトナーにおいて特定の粒度分布を有するトナーが記載されている。更に、特許文献9には、50%体積粒径が2〜8μmのトナー粒子において、粒径が「0.7×50%個数粒径」以下のトナー粒子の個数が10
個数%以下であることが記載されている。
しかし、これらのトナーは何れも0.8から3.56μm以下の粒子の個数%が、2.0個数%を越えて多量に含むものであり、その意味するところは、粒径と微粉の相対的な関係において、所定の粒径を有するトナーに対して微粉の割合が比較的多量に残存するトナーであるということである。このようなトナーでは、依然微粉の割合が多いため、特に非磁性一成分現像法のように摩擦の一瞬で帯電するような、帯電立ち上がりの早いトナーが求められる現像方法では、十分に帯電しない粒子が発生するため、現像ローラーからのトナー落ちやトナー吹き出し、現像ローラー2周目以降に1周目の印字履歴を拾って選択的に画像濃度が上下する残像(ゴースト)、ドラムクリーニング不良や、現像ローラー上でのトナーの層形成不良によるプリント画像の汚染が発生する等の課題が残っていた。
特開平2−284158号公報 特開平5−119530号公報 特開平1−221755号公報 特開平6−289648号公報 特開2001−134005号公報 特開平11−174731号公報 特開平2001−175024号公報 特開平2−000877号公報 特開2004−045948号公報 特開2009−98677号公報
さらに微粉の少ないトナーを得るための方法として、たとえば特許文献10では、粒子形成時の系の撹拌速度を調整する方法を提案している。この方法は有効ではあるが、装置のスケール差や形状、また原材料である樹脂成分やワックス、顔料の濃度や粘度、組成比にも大きく影響されるため、それぞれで最適化条件を調整する必要がある。さらに、原材料のロット差などの影響を受けやすく、材料面での調整も不可欠である。また機械的な撹拌は、反応系の中心部と周辺部で箭断速度が異なるため、撹拌の調整により反応系中全体の微粉量を低減することは難しい、などの問題点があった。
また、乳化重合凝集法においては、一般に、凝集工程の温度を低くする、凝集剤として価数の低い電解質を使用する、添加する電解質の量を少なくするなど、凝集速度を遅くし、時間を長くかけることで、微粉の量を減少させる方法がとられることもある。しかし凝集時間が長くなると粒子間の組成のむらが大きくなり、トナー全体として組成の均一性がなくなり、長時間連続実写すると画像に不具合を生じることがある。また粒子成長時の凝集力が弱くしすぎると2次粒子間の結着力が弱くなり、一度粒子凝集体になった後、粒子
凝集体の表面の粒子が凝集体から分離し、微粉がむしろ増加することもあり、この方法でも調整を行なう必要があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、特に安定した実写性能を確保することが困難な、マゼンタトナーに関して、その課題は特定粒径以下の微粉の存在割合に起因する画像白地部の汚れ、残像(ゴースト)、カスレ(ベタ追従性)を抑制し、画質を改良でき、高速印刷機を使用した場合においても、長期使用時の汚れ等の問題を改良し、かつ画像安定性に優れたマゼンタトナーを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、結着樹脂分散体、離型剤分散体、顔料分散液を水系媒体中で粒子形成させてマゼンタトナー得る際に、使用する顔料分散液のpHを中性からアルカリ性領域にし、粘弾性測定によるトナーの物性について、特定の貯蔵弾性率の関係を満たすようにすることで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 少なくとも、結着樹脂分散体、離型剤分散体及び顔料分散液を用いて、水系媒体中で粒子形成させて得られる静電荷像現像用マゼンタトナーであって、
該顔料分散液のpHが7以上10以下であり、
粘弾性測定によるトナーの物性が、
110℃における貯蔵弾性率G'(110℃_ G')の150℃における貯蔵弾性率G'(150℃_ G')に対する比110℃_ G'/150℃_ G'をA、110℃における貯蔵弾性率G'(110℃_ G')の190℃における貯蔵弾性率G'(190℃_ G')に対する比110℃_G'/190℃_G'をBとしたとき、
B/Aの値が3よりも大きいことを特徴する静電荷像現像用マゼンタトナー。
[2] 前記トナーの酸価が、5.5KOHmg/g以上20.0KOHmg/g以下であることを特徴とする前記[1]に記載の静電荷像現像用マゼンタトナー。
[3] 前記結着樹脂分散体中の重合体一次粒子の粘弾性測定による物性が、
120℃における貯蔵弾性率G'(120℃_ G')の150℃における貯蔵弾性率G'(150℃_ G')に対する比120℃_ G'/150℃_ G'をC、120℃における貯蔵弾性率G'(120℃_ G')の190℃における損失弾性率G'(190℃_ G')に対する比120℃_G'/190℃_G'をDとし、
120℃における損失弾性率G”(120℃_ G”)の150℃における損失弾性率G”(150℃_ G”)に対する比120℃_ G”/150℃_ G“をE、120℃における損失弾性率G”(120℃_ G”
)の190℃における損失弾性率G”(190℃_ G”)に対する比120℃_G”/190℃_G”をFとしたとき、D/Cの値が6よりも大きく、F/Eの値が9よりも大きいことを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の静電荷像現像用マゼンタトナー。
本発明によれば、特定粒径以下の微粉の存在割合を抑制し、特定粒径以下の微粉の存在割合に起因する画像白地部の汚れ、残像(ゴースト)、カスレ(ベタ追従性)を抑制し、画質を改良でき、高速印刷機を使用した場合においても、長期使用時の汚れ等の問題を改良し、かつ画像安定性に優れたトナーを提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
以下、「静電荷像現像用マゼンタトナー」を単に「マゼンタトナー」あるいは「トナー」と、略記する場合がある。
本発明のマゼンタトナーは、少なくとも、結着樹脂分散体、離型剤分散体及び顔料分散液を用いて、水系媒体中で粒子形成させて得られ、該顔料分散液のpHが7以上10以下であり、また、得られたマゼンタトナーの粘弾性測定による物性が、110℃における貯蔵弾性
率G'(110℃_ G')の150℃における貯蔵弾性率G'(150℃_ G')に対する比110℃_ G'/150℃_ G'をA、110℃における貯蔵弾性率G'(110℃_ G')の190℃における貯蔵弾性率G'(190℃_ G')に対する比110℃_G'/190℃_G'をBとしたとき、B/Aの値が3よりも大きいことを特徴する。
<顔料分散液>
本発明のマゼンタトナーを得るために用いられる顔料分散液は、pHが7以上10以下であることを必須とする。マゼンタ顔料分散液のpHが7よりも小さい場合、トナーに添加した
顔料が表面に析出する割合が多くなり、トナー表面の帯電安定性に影響を及ぼすため、かぶりなどの印刷特性や、環境安定性が悪化するおそれがある。一方、マゼンタ顔料分散液のpHが10よりも大きい場合、顔料添加部分がアルカリ性になるので結着樹脂の加水分解が進行し、トナーの環境安定性や定着強度が悪化するおそれがある。
顔料分散液に用いるマゼンタ顔料としては、トナーに用い得ることが知られているもののなかから適宜選択して用いればよい。具体的には、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキウ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、17.3、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレット19等が好適に用いられる。
顔料分散液は、水100重量部に対して、マゼンタ顔料を10〜30重量部、乳化剤を1〜15重量部加えて調整される。
マゼンタ顔料分散液のpHの調整は、分散剤の選択によって行なうことができるが、
顔料分散液が弱酸性である場合は、炭酸水素ナトリウムの5%水溶液を添加することでpH調整することができる。
なお、顔料分散液中のマゼンタ顔料の体積平均粒径を分散途中でモニターしながら行い、最終的に顔料分散液中のマゼンタ顔料の体積平均粒径(Mv)を0.01〜3μmとするのがよく、より好適には0.05〜0.5μmの範囲に制御するのがよい。
<マゼンタトナーの粘弾性>
本発明のマゼンタトナーは、粘弾性測定による物性が、110℃における貯蔵弾性率G'(110℃_ G')の150℃における貯蔵弾性率G'(150℃_ G')に対する比110℃_ G'/150℃_ G'をA、110℃における貯蔵弾性率G'(110℃_ G')の190℃における貯蔵弾性率G'(190℃_ G')に対する比110℃_G'/190℃_G'をBとしたときに、B/Aの値が3よりも大きいこと
を必須とする。
このような貯蔵弾性率の関係を満たすマゼンタトナーは、例えば以下の(I)又は(II)方法に従って得ることができる。
(I)本発明のトナーを構成する結着樹脂に用いられるモノマーの一次分子鎖長に応じて、結着樹脂を重合して得る際に架橋成分量を調整する。
不飽和二重結合を有するモノマーをラジカル重合する場合には、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有する重合性モノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等の添加量を増量することにより、本発明で規定する貯蔵弾性率の関係を満たすように調整することができる。多価アルコールと多塩基酸とを縮合重合させる事により得られるポリエステル樹脂の場合には、3価以上の多塩基酸として、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、及びこれらの無水物の添加量を増量することで、本発明で規定する貯蔵弾性率の関係を満たすように調整することができる。。これら架橋剤の添加量を調整する事で架橋成分量を調整し、本発明で規定する貯蔵弾性
率の関係を満たすように調整することができる。
(II)本発明のトナーを構成する結着樹脂に用いられるモノマーの一次分子鎖長を調整する。
不飽和二重結合を有するモノマーをラジカル重合する場合には、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタンなどの連鎖移動剤の添加部数を少なくすることにより、一次分子鎖長を長くでき、同一架橋剤量でも架橋成分を増やすことができるため、tanδ値を下げる事ができる。ポリエステル系樹脂であれば縮合反応過程において一価のアルコール成分量を減らしたり、減圧度や温度を下げることにより、本発明で規定する貯蔵弾性率の関係を満たすように調整することができる。このように一次分子鎖長を調整することにより、本発明で規定する貯蔵弾性率の関係を満たすように調整することができる。
各温度における貯蔵弾性率の測定は、実施例に記載の方法により行われる。
<結着樹脂分散液>
結着樹脂分散液を重合体一次粒子分散液に調製する方法として、いくつかの方法が挙げられる。例えば、後述する<トナーの構成>に記載の従来の乳化重合凝集法によりトナーを製造する場合に行われるように、スチレン系あるいは(メタ)アクリル系単量体を構成要素とする重合体一次粒子は、スチレン系あるいは(メタ)アクリル系単量体と、必要に応じ連鎖移動剤を、乳化剤を用いて乳化重合することによって重合体一次粒子分散液が得られる。
また、別の方法としては、従来の乳化凝集法によりトナーを製造する場合に行われるように、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの方法で樹脂を得た後、水系媒体と混合し、樹脂の融点かガラス転移温度のいずれかの高い温度以上に加熱して樹脂の粘性を下げて、剪断力を与えて乳化することで、重合体一次粒子分散液が得られる。剪断力を与えるための乳化機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
上記結着樹脂分散液中の重合体一次粒子の貯蔵弾性率は、本発明の効果をより顕著に得るためには、以下の関係を満たすことが好ましい。
120℃における貯蔵弾性率G'(120℃_ G')の150℃における貯蔵弾性率G'(150℃_ G')に対する比120℃_ G'/150℃_ G'をC、120℃における貯蔵弾性率G'(120℃_ G')の190
℃における貯蔵弾性率G'(190℃_ G')に対する比120℃_ G'/190℃_ G'をDとしたとき
に、D/Cの値がD/C>6の関係を満たすことが好ましい。
また、120℃における損失弾性率G''(120℃_ G'')の150℃における損失弾性率G''(150℃_ G'')に対する比120℃_ G''/150℃_ G''をE、120℃における損失弾性率G''(120
℃_ G'')の190℃における損失弾性率G''(190℃_ G'')に対する比120℃_ G''/190℃_ G''をFとしたときに、F/Eの値がF/E>9の関係を満たすことがより好ましい。
顔料分散液のpHを本発明で規定する範囲に収め、且つ重合体一次粒子の貯蔵弾性率及び損失弾性率を上記関係に収めることにより、微粉の発生を抑止する効果をより顕著に得ることができる。
上記重合体一次粒子の貯蔵弾性率及び損失弾性率を、上記関係を満たすように調整するためには、上述した<マゼンタトナーの粘弾性>に記載の方法と同様に行えばよい。
<トナーの酸価>
本発明のトナーの酸価は、特に限定されないが、ラテックス樹脂と顔料粒子の凝集性の観点から、5.5KOHmg/g以上20.0KOHmg/g以下であることが好ましい

トナーの酸価を上記の範囲とするためには、重合時に共重合成分である酸性基を有するモノマーの添加量を調整することにより行う。
酸価が5.5KOHmg/gよりも小さい場合は、コアラテックスの凝集速度が顔料凝集速度よりも極端に早くなるため、トナー中の顔料分散状態が悪くなり、トナーの発色性が悪化する。また、ラテックスだけの凝集体が生じるため、微粉量が多くなる。20.0KOHmg/gよりも大きい場合は、コアラテックスの凝集が進行しづらくなるので、十分にトナー母粒子を粒径成長させることができなくなり、微粉量や粗粉量が多くなる。また円形化しづらくなり、適切な形状のトナー母粒子が得られない。
<トナーの構成>
本発明のカラートナーは、結着樹脂、着色剤、ワックス、外添剤等を適宜選択して構成される。
本発明のカラートナーを構成する結着樹脂としては、トナーに用い得ることが知られているもののなかから適宜選択して用いればよい。例えば、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−アクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができる。これらの樹脂は単独で用いることも、いくつかを併用することもできる。
本発明のマゼンタトナーには、離型性付与のためワックスを配合することが好ましい。ワックスとしては、離型性を有するものであればいかなるものも使用可能であり、特に限定はされない。具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、又は部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。
これらのワックスの中で定着性を改善するためには、ワックスの融点は30℃以上が好ましく、40℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、100℃以下が好ましく、90℃以下が更に好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出しべたつきを生じやすく、融点が高すぎると低温での定着性が劣る。また更に、ワックスの化合物種としては、脂肪族カルボン酸と一価若しくは多価アルコールとから得られるエステル系ワックスが好ましく、エステル系ワックスの中でも炭素数が20〜100のものが好ましい。
上記ワックスは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。また、トナーを定着する定着温度により、ワックス化合物の融点を適宜選択することができる。ワックスの使用量はトナー100重量部に対して、好ましくは4〜20重量部、特に好ましくは6〜18重量部、更に好ましくは8〜15重量部である。また、トナーの体積中位径(Dv50)が7μm以下の場合、即ち、トナーが小粒径である場合には、ワックスの使用量の増加に伴いワックスのトナー表面への露出が極端に激しくなりトナーの保存安定性が悪くなる。本
発明のトナーは、上記範囲のようにワックスの使用量が多い場合であっても、従来のトナーと比較して上記トナー特性の悪化を招くことがない粒度分布がシャープな小粒径のトナーである。
本発明のマゼンタトナーは、流動性や現像性を制御する為にトナー母粒子表面に公知の外添剤が配合されたものであってもよい。外添剤としては、アルミナ、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、タルク、ハイドロタルサイト等の金属酸化物や水酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸金属塩、窒化チタン、窒化珪素等の窒化物、炭化チタン、炭化珪素等の炭化物、アクリル系樹脂やメラミン樹脂等の有機粒子等が挙げられ、複数組み合わせることが可能である。中でも、シリカ、チタニア、アルミナが好ましく、また、例えばシランカップリング剤やシリコーンオイル等で表面処理されたものがより好ましい。その平均一次粒子径は1〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは5〜100nmの範囲がよい。また、前記粒径範囲において小粒径のものと大粒径のものとを併用することも好ましい。外添剤の配合量の総量は、トナー母粒子100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
乳化重合凝集法に用いられる重合体一次粒子を構成するバインダー樹脂は乳化重合法により重合可能な1種又は2種以上の重合性モノマーを適宜用いればよい。
この際、各重合性モノマーは別々に加えても、予め複数の重合性モノマーを混合しておいて同時に添加してもよい。更に、重合性モノマー添加途中で重合性モノマー組成を変化させることも可能である。また、重合性モノマーはそのまま添加してもよいし、予め水や乳化剤等と混合、調製した乳化液として添加することもできる。
重合性モノマー中には、酸性基を有するモノマー、とくに(メタ)アクリル酸があるのがよい。重合体一次粒子としてのバインダー樹脂を構成する全重合性モノマー100質量%中に占める酸性基を有するモノマーの合計量の割合は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下であることが望ましい。
上記範囲である場合、得られる重合体一次粒子の分散安定性が向上し、凝集工程において粒子形状や粒子径の調整を行いやすくなる。
その他のモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミド等が挙げられる。重合性モノマーは、単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上述した重合性モノマー等を組み合わせて用いる中でも、好ましい実施態様として酸性モノマーとその他のモノマーを組み合わせて用いるのがよい。より好適には、酸性モノマーとして(メタ)アクリル酸を用い、その他のモノマーとしてスチレン類、(メタ)アクリル酸エステル類の中から選択される重合性モノマーを用いるのがよく、更に好適には酸性モノマーとして(メタ)アクリル酸を用い、その他のモノマーとしてスチレンと(メタ)アクリル酸エステル類との組み合わせを用いるのがよく、特に好適
には酸性モノマーとして(メタ)アクリル酸を用い、その他のモノマーとしてスチレンとアクリル酸n−ブチルとの組み合わせで用いるのがよい。
更に、重合体一次粒子を構成するバインダー樹脂として架橋樹脂を用いることも好ましい。その場合、上述の重合性モノマーと共用される架橋剤としてラジカル重合性を有する多官能性モノマーが用いられる。多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、架橋剤として反応性基をペンダントグループに有する重合性モノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の2官能性モノマーが好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。
これら多官能性モノマー等の架橋剤は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。重合体一次粒子を構成するバインダー樹脂として架橋樹脂を用いる場合は、樹脂を構成する全重合性モノマー中に占める多官能性モノマー等の架橋剤の配合率は、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であることが望ましい。
乳化重合に用いる乳化剤としては公知のものが使用できるが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる1種又は2種以上の乳化剤を併用して用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
乳化剤の使用量は、通常、重合性単量体100重量部に対して1〜10重量部とされ、また、これらの乳化剤に、例えば、部分又は完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の1種又は2種以上を保護コロイドとして併用することができる。
重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の有機過酸化物類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物類;レドックス系開始剤等が用いられる。それらは1種又は2種以上が、通常、重合性単量体100重量部に対して0.1〜3重量部程度の量で用いられる。中でも、開始剤としては少なくとも一部又は全部が過酸化水素又は有機過酸化物類であるのが好ましい。
前記重合開始剤は、何れも重合性モノマー添加前、添加と同時、添加後の何れの時期に
重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
乳化重合に際しては、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することもできるが、その様な連鎖移動剤の具体的な例としては、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等が挙げられる。連鎖移動剤は単独又は2種類以上の併用でもよく、全重合性モノマーに対して通常5質量%以下の範囲で用いられる。また、反応系には、更に、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜配合することができる。
乳化重合は、上記の重合性モノマーを重合開始剤の存在下で重合するが、重合温度は、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃、更に好ましくは70〜90℃である。
乳化重合により得られた重合体一次粒子の体積平均径(Mv)は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下であることが望ましい。粒径が前記範囲未満では、凝集速度の制御が困難となる場合があり、前記範囲超過では、凝集して得られるトナーの粒径が大きくなりやすく、目的とする粒径のトナーを得ることが困難となる場合がある。
本発明においては、乳化重合により得た重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、帯電制御剤、ワックス等の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて芯粒子とし、樹脂微粒子等を固着又は付着させた後に融着させて得られた粒子を洗浄、乾燥することによりトナー母粒子が得ることが好ましい。
樹脂微粒子は、上記重合体一次粒子と同様の方法で製造してもよく、その構成は特に限定されないが、樹脂微粒子としてのバインダー樹脂を構成する全重合性モノマー100質量%中に占める極性モノマーの合計量の割合は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上である。上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下であることが望ましい。上記範囲である場合、得られる樹脂微粒子の分散安定性が向上し、凝集工程において粒子形状や粒子径の調整を行いやすくなる。
また、樹脂微粒子としてのバインダー樹脂を構成する全重合性モノマー100質量%中に占める極性モノマーの合計量の割合が、重合体一次粒子としてのバインダー樹脂を構成する全重合性モノマー100質量%中に占める極性モノマーの合計量の割合よりも小さい方が、凝集工程において粒子形状や粒子径の調整を行いやすくなり、微粉の発生が抑制でき、帯電特性に優れたものとなる点で好ましい。
また、樹脂微粒子としてのバインダー樹脂のTgが、重合体一次粒子としてのバインダー樹脂のTgよりも高い方が、保存安定性等の点から好ましい。
着色剤としては、通常用いられる着色剤であればよく、特に限定はされない。例えば、前述した顔料が挙げられる。前記着色剤の含有割合は、得られるトナーが現像により可視像を形成するのに十分な量であればよく、例えば、トナー中に1〜25重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜15重量部、特に好ましくは3〜12重量部である。
乳化重合凝集法におけるマゼンタ顔料の配合方法としては、通常、重合体一次粒子分散液とマゼンタ顔料分散液とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とする。マゼンタ顔料は、乳化剤の存在下で水中にサンドミル、ビーズミル等の機械的手段により乳化させた状態で用いるのが好ましい。乳化凝集時における着色剤分散液の配合は、凝集後のでき上がりのトナー母粒子中に2〜10質量%となるように計算して用いられる。
ワックスは重合体一次粒子に含有させても、樹脂微粒子に含有させてもよい。ただし、
通常はワックスの使用量の増加に伴い凝集制御が悪化して粒子径分布がブロードになる傾向にある。
そのため、乳化重合凝集法におけるワックスの配合方法としては、予め水中に体積平均径(Mv)0.01〜2.0μm、より好ましくは0.01〜0.5μmに乳化分散したワックス分散液を乳化重合時に添加するか、又は凝集工程で添加することが好ましい。トナー中に好適な分散粒径でワックスを分散させるためには、乳化重合時にワックスをシードとして添加することが好ましい。シードとして添加することにより、ワックスが内包された重合体一次粒子が得られるので、ワックスがトナー表面に多量に存在することがなく、トナーの帯電性や耐熱性の悪化を抑制することができる。重合体一次粒子に占めるワックス含有量は、好ましくは4〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは7〜15質量%となるよう計算して用いられる。
本発明のカラートナーには、帯電量、帯電安定性付与のため、帯電制御剤を配合してもよい。帯電制御剤としては、従来公知の化合物が使用される。例えば、ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ナフトール系化合物、ナフトール系化合物の金属化合物、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩及びこれらの混合物が挙げられる。帯電制御剤の配合量は樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
乳化重合凝集法においてトナー中に帯電制御剤を含有させる場合は、乳化重合時に重合性モノマー等とともに帯電制御剤を配合するか、重合体一次粒子及び着色剤等とともに凝集工程で配合するか、重合体一次粒子及び着色剤等を凝集させてほぼトナーとして適当な粒径となった後に配合する等の方法によって配合することができる。これらのうち、帯電制御剤を、乳化剤を用いて水中で乳化分散させ、体積平均径(Mv)0.01μm〜3μmの乳化分散液として使用することが好ましい。乳化凝集時における帯電制御剤分散液配合は、凝集後のでき上がりのトナー母粒子中に0.1〜5質量%となるように計算して用いられる。
前記の分散液中の重合体一次粒子、着色剤分散粒子、ワックス分散粒子、帯電制御剤分散粒子等の体積平均径(Mv)は、実施例に記載の方法でナノトラックを用いて測定し、その測定値として定義される。
乳化重合凝集法における凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて帯電制御剤、ワックス等の配合成分は、同時にあるいは逐次に混合するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、帯電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておく。
前記の凝集処理は通常、攪拌槽内で、加熱する方法、電解質を加える方法、これらを組み合わせる方法等がある。一次粒子を攪拌下に凝集してほぼトナーの大きさに近い粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と攪拌による剪断力とのバランスから粒子凝集体の粒径が制御されるが、加熱するか又は電解質を加えることによって凝集力を大きくすることができる。
電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機塩、無機塩の何れでも良いが、具体的には、NaCl、KCl、LiCl、NaSO、KSO、LiSO、MgCl、CaCl、MgSO、CaSO、ZnSO、Al(SO、Fe(SO、CHCOONa、CSONa等が挙げられる。これらのうち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
前記電解質の配合量は、電解質の種類、目的とする粒径等によって異なるが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、通常0.05〜25質量部、好ましくは0.1〜15質量部、更に好ましくは0.1〜10質量部である。配合量が前記範囲未満の場合は、
凝集反応の進行が遅くなり、凝集反応後も1μm以下の微粉が残る場合や、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しない等の場合がある。また、前記範囲の上限を超えた場合は、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた凝集粒子中に粗粉や不定形のものが含まれる等の問題を生じる場合がある。
ここで、特定範囲の粒径に制御する方法として、電解質の配合量を抑える方法を採用してもよい。一般に、電解質の配合量を抑えると粒子の成長速度が遅くなり、生産効率の点で工業的に好ましくない。しかしながら、工業的見地に反して、敢えて電解質の配合量を抑えることによっても特定範囲の粒径に制御できる。
また、電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、20〜70℃が好ましく、30〜60℃が更に好ましい。ここで、凝集工程前の温度を制御することも特定範囲の粒径に制御する方法の一つである。凝集工程に加える着色剤の中には、前記電解質の性質も有するものがあり、電解質を加えずとも凝集することがある。そこで、着色剤分散液の混合時に予め、重合体1次粒子分散液の温度を冷やしておくことで、前記凝集を防ぐことができる。この凝集が微粉を発生させ易く、かつ、粒度分布にムラを生じさせる原因となる。本発明では、重合体1次粒子を予め、好ましくは0〜15℃、より好ましくは0〜12℃、より更に好ましくは2〜10℃の範囲に冷やしておくのがよい。
電解質を用いずに加熱のみによって凝集を行う場合の凝集温度は、通常、重合体一次粒子のガラス転移温度Tgに対して(Tg−20℃)〜Tgの温度範囲であり、(Tg−10℃)〜(Tg−5℃)の範囲であることが好ましい。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナー母粒子の粒径を目的とする粒径に到達するためには、前記範囲内の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが望ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
本発明においては、上述の凝集処理後の粒子凝集体に、必要に応じて重合体一次粒子分散液を添加(付着又は固着)してコアシェル構造のトナー母粒子を形成することができる。本発明の製造方法は、コア層とシェル層を有するコアシェル構造のトナー母粒子を形成する場合に、コア層を形成する場合に適用することが好ましい。具体的には、凝集工程が前記コア層を形成する第1凝集工程と前記コア層上にシェル層を形成する第2凝集工程を有しており、前記第1凝集工程におけるマゼンタ顔料の濃度上昇速度を0.140%/時以上0.640%/時以下とすることが好ましい。
前記の帯電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に帯電制御剤を加えた後に樹脂微粒子を加えることが好ましい。
乳化重合凝集法においては、凝集で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、分散安定剤として乳化剤やpH調整剤を添加して粒子同士の凝集力を低下させ、トナー母粒子の成長を止めた後に、凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加えることが好ましい。
ここで、本発明のトナーは、粒度分布がシャープであることが好ましく、特定範囲の粒径に制御する方法として、乳化剤やpH調整剤を添加する工程の前に攪拌回転数を低下させる、即ち、攪拌によるせん断力を下げる方法が挙げられる。
熟成工程では、加熱により結着樹脂の粘度を下げ円形化させるが、そのまま加熱するとトナー母粒子径の成長が停止しないため、加熱による粒子径の成長を停止させる目的で、通常、分散安定剤として、乳化剤やpH調整剤を添加したり、攪拌回転数を上げたりしてせん断力をかける事ができる。
また、分散安定剤を添加する工程の前でなくとも、攪拌回転数を下げて凝集粒子へのせん断力を低減させても特定の粒度分布のトナーを得ることができる。ただし、分散安定剤
の配合量を調整できる点を考慮すると、分散安定剤を添加する工程の前に行うことの方が好ましい。
熟成工程の温度は、好ましくは一次粒子を構成するバインダー樹脂のTg以上、より好ましくは前記Tgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくは前記Tgより80℃高い温度以下、より好ましくは前記Tgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、一次粒子を構成する重合体のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持することが望ましい。
なお、乳化重合凝集法においては、前記凝集工程以降、好ましくは熟成工程以前又は熟成工程中の段階で、乳化剤を添加するか、凝集液のpH値を上げることが好ましい。ここで用いられる乳化剤としては、前記の重合体一次粒子を製造する際に用いることのできる乳化剤から1種以上を選択して用いることができるが、特に重合体一次粒子を製造した際に用いた乳化剤と同じものを用いることが好ましい。
乳化剤を配合する場合の配合量は限定されないが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に乳化剤を添加するか、凝集液のpH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後のトナー中に粗大粒子が生じることを抑制できる。
このような加熱処理により、凝集体における一次粒子同士の融着一体化がなされ、凝集体としてのトナー母粒子形状も球形に近いものとなる。熟成工程前の粒子凝集体は、一次粒子の静電的あるいは物理的凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、トナー母粒子の形状も球状に近いものとすることが可能となる。この様な熟成工程によれば、熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
前記の各工程を経ることにより得た粒子凝集体は、公知の方法に従って固/液分離し、粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー母粒子を得ることができる。
また、前記の乳化重合凝集法により得られた粒子の表面に、例えば、スプレードライ法、in−situ法、或いは液中粒子被覆法等の方法によって、更に、重合体を主成分とする外層を、好ましくは0.01〜0.5μmの厚みで形成させることによって、カプセル化されたトナー母粒子とすることもできる。
また、乳化重合凝集法トナーにおいては、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(マルバーン社製)を用いて測定した平均円形度が好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、更に好ましくは0.95以上である。球形に近いほど粒子内での帯電量の局在化が起こりにくく、現像性が均一になる傾向にあるが、完全な球状トナーを作ることは製造上困難であるので、前記平均円形度は、好ましくは0.995以下、より好ましくは0.990以下である。
また、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す場合がある。)におけるピーク分子量のうち少なくとも1つが、好ましくは1万以上、より好ましくは1.5万以上、更に好ましくは2万以
上であり、好ましくは10万以下、より好ましくは8万以下、更に好ましくは5万以下であることが望ましい。ピーク分子量が何れも前記範囲より低い場合は、非磁性一成分現像方式における機械的耐久性が悪化する場合があり、ピーク分子量が何れも前記範囲より高い場合は、低温定着性や定着強度が悪化する場合がある。
トナーのTHF不溶分は、セライト濾過による質量法で測定した場合、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であるのがよい。前記範囲にない場合は、機械的耐久性と低温定着性の両立が困難となる場合がある。
乳化重合凝集法トナーの帯電性は、正帯電であっても負帯電であってもよく、トナーの帯電性の制御は、帯電制御剤の選択及び含有量、外添剤の選択及び配合量等によって調整することができる。
こうして得られたトナー母粒子には、流動性や現像性を制御する為に、トナー母粒子表面に公知の外添剤が配合されてトナーとなっていても良い。外添剤としては、アルミナ、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、タルク、ハイドロタルサイト等の金属酸化物や水酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸金属塩、窒化チタン、窒化珪素等の窒化物、炭化チタン、炭化珪素等の炭化物、アクリル系樹脂やメラミン樹脂等の有機粒子等が挙げられ、複数組み合わせることが可能である。中でも、シリカ、チタニア、アルミナが好ましく、また、例えばシランカップリング剤やシリコーンオイル等で表面処理されたものがより好ましい。
その平均一次粒子径は1〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは5〜100nmの範囲がよい。また、前記粒径範囲において小粒径のものと大粒径のものとを併用することも好ましい。外添剤の配合量の総量は、トナー母粒子100質量部に対して0.05〜10質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナーを磁力により静電潜像部に搬送するためのキャリアを共存させた磁性二成分現像剤用、又は、磁性粉をトナー中に含有させた磁性一成分現像剤用、或いは、現像剤に磁性粉を用いない非磁性一成分現像剤用の何れに用いてもよい。本発明の効果を顕著に発現するためには、特に非磁性一成分現像方式用の現像剤として用いるのが好ましい。
前記磁性二成分現像剤として用いる場合には、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質又は、それらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いることができる。キャリアの被覆樹脂としては、一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定されるものではない。キャリアの平均粒径は、特に制限はないが10〜200μmの平均粒径を有するものが好ましい。これらのキャリアは、トナー1質量部に対して5〜100質量部使用する事が好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「質量部」を意味する。
<メジアン径(D50)の測定方法と定義>
粒子のメジアン径(D50)は、日機装株式会社製、型式:Microtrac Nanotrac 150(
以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、ナノトラックの取り扱い説明書に従い測定した。そののち、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.-019EE
を用いて解析を行なった。測定には、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を分散媒に用い、それぞれ、下記の条件で又は下記の条件を入力し、取り扱い説明書に記載された方法で測定した。
ワックス分散液及び重合体一次粒子分散液については、
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒 ・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :透過
・形状 :真球形
・密度 :1.04
顔料分散液については、
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :吸収
・形状 :非球形
・密度 :1.00
<体積中位径(Dv50)の測定方法と定義>
外添工程を経て、最終的に得られたトナーの測定前処理として次の様にした。内径47mm、高さ51mmの円筒形のポリエチレン(PE)製ビーカーに、スパチュラーを用いてトナーを0.100g、スポイトを用いて20質量%DBS水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS−20A)を0.15g添加した。この際、ビーカーの縁等にトナーが飛び(散らない様にビーカーの底部にのみトナー及び20%DBS水溶液を入れた。次に、ス
パチュラーを用いてトナーと20%DBS水溶液がペースト状になるまで3分間攪拌した。この際もビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にした。
続いて、分散媒アイソトンIIを30g添加し、スパチュラーを用いて2分間攪拌し全体を目視で均一な溶液とした。次に、長さ31mm直径6mmのフッ素樹脂コート回転子をビーカーの中に入れて、スターラーを用いて400rpmで20分間分散させた。この際、3分間に1回の割合でスパチュラーを用いて気液界面とビーカーの縁に目視で観察される巨視的な粒をビーカー内部に落とし込み均一な分散液となるようにした。続いて、これを目開き63μmのメッシュで濾過し、得られたろ液を「トナー分散液」とした。
なお、トナー母粒子の製造工程中の粒径の測定については、凝集中のスラリーを63μmのメッシュで濾過したろ液を「スラリー液」とした。
粒子の体積中位径(Dv50)はベックマンコールター社製マルチサイザーIII(アパ
ーチャー径100μm)(以下、「マルチサイザー」と略記する)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、上述の「トナー分散液」又は「スラリー液」を、分散質濃度0.03質量%になるように希釈して、マルチサイザーIII解析ソフト(ver.3.51)で
、KD値は118.5として測定した。測定粒子径範囲は2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値をもとに算出したものを体積中位径(Dv50)とした。
<平均円形度の測定方法と定義>
本発明における「平均円形度」は、以下のように測定し、以下のように定義する。すなわち、トナー母粒子を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720
〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(マルバーン社(旧シスメックス社)製、FPIA3000)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
また微粉量の判定として、個数平均粒径0.8μmから3.0μmの粒子の全体中の個数%データを採用した。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:5000〜9500個
以下は、上記装置で測定され、上記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]
そして、HPF検出個数である5000〜9500個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
<電気伝導度の測定方法>
電気伝導度の測定は、導電率計(横河電機社製のパーソナルSCメータモデルSC72と検出器SC72SN−11)を用いて、取扱説明書通り常法に従って行った。
<固形分濃度の測定方法>
ケット科学研究所社製 固形分濃度測定機INFRARED MOISTURE DETERMINATION BALANCE 型式FD−100を用い、固形分を含んだ試料1.00gを天秤上に精秤し、ヒーター温度300℃、加熱時間90分の条件で固形分濃度を測定した。
<pHの測定方法>
pHは横河電機のpH71を使用し、取扱説明書通り常法に従って測定した。
<粘弾性測定>
トナーの貯蔵弾性率の測定は、TA Insturuments社のARESを使用して、以下の条件で行
なった。
25φ パラレルプレート使用 歪み0.1% 40℃から205℃まで、4℃/minで昇温し、温度依存性測定した。
重合一次粒子の貯蔵弾性率並びに損失弾性率は、ThermoScientific社のMarsIIIを使用
して、以下の条件で測定を行なった。
重合体一次粒子分散体を凍結乾燥して得られた紛体を0.8mmの厚さに成型し、 8φのパラレルプレート使用 歪み0.1% 70℃から210℃まで、4℃/minで昇温し、温度依存性測定を行なった。
<酸価の測定>
トナー酸価の測定は以下のように行なった。
トナー10gをTHF100gに溶解し、0.1NのNaOH水溶液で滴定した。滴定には、三菱化学アナリテック社の自動的定装置GT-200を用いた。
<実写評価の方法>
トナー100gを市販の非磁性1成分フルカラーレーザープリンター(負帯電トナー反
転現像方式、ステンレス製ドクターブレード押圧で現像ローラにトナー層形成、導電性ゴム現像ローラ接触現像、負帯電有機感光体)を用いて、7000枚までランニングテストを実施した。
[実施例1]
<ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1の調製>
パラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9、表面張力23.5mN/m、熱特性:融点ピーク温度82℃、融解熱量220J/g、融解ピーク半値幅8.2℃、結晶化温度66℃、結晶化ピーク半値幅13.0℃)27部(540g)、ステアリルアクリレート(東京化成社製)2.8部、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20A)(以下、「20%DBS水溶液」と略記する)1.9部、脱塩水68.3部を90℃に加熱して、ホモミキサー(特殊機化工業社製 マー
クII fモデル)を用い10分間攪拌した。
次いでこの分散液を90℃に加熱し、ホモジナイザー(ゴーリン社製、15−M−8PA型)を用いて25MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定しメジアン径(D50)が250nmになるまで分散して、ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1(エマルション固形分濃度=30.2質量%)を作製した。
<重合体一次粒子分散液B1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(内容積21L、内径250mm、高さ420mm)に、上記ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1 35.6部(712.12g)、脱塩水259部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、上記液の攪拌を続けたまま、そこへ下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を5時間かけて添加した。この混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、下記の「開始剤水溶液」を重合開始30分後から4.5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から、下記の「追加開始剤水溶液」を2時間かけて添加し、更に攪拌を続けたまま内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.1部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B1を得た。ナノトラックを用いて測定したメジアン径(D50)は271nmであり、固形分濃度は21.1質量%であった。
<重合体一次粒子分散液B2の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反
応器(内容積21L、内径250mm、高さ420mm)に、20質量%DBS水溶液1.7部、脱塩水312部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、攪拌しながら8質量%過酸化水素水溶液3.2部、8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液3.2部を一括添加した。これらを一括添加した時から5分後の時点を「重合開始」とする。
下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を、重合開始から5時間かけて、また、下記の「開始剤水溶液」を重合開始から6時間かけて添加し、その後、更に攪拌しながら内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 100.0部 (1850.0g)
アクリル酸 0.5部
トリクロロブロモメタン 0.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 66.0部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B2を得た。ナノトラックを用いて測定したメジアン径(D50)は158nmであり、固形分濃度は19.0質量%であった。
<重合体一次粒子分散液B3の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(内容積21L、内径250mm、高さ420mm)に、上記ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1 35.8部(712.8g)、脱塩水256部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、上記液の攪拌を続けたまま、そこへ下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を5時間かけて添加した。この混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、下記の「開始剤水溶液」を重合開始30分後から4.5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から、下記の「追加開始剤水溶液」を2時間かけて添加し、更に攪拌を続けたまま内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 76.8部 (1535.0g)
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 0.85部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.70部
トリクロロブロモメタン 0.64部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 0.8部
脱塩水 66.9部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B3を得た。ナノトラックを用いて測定したメジアン径(D50)は248nmであり、固形分濃度は22.7質量%であった。
<マゼンタ顔料分散液C1の調製>
攪拌機(プロペラ翼)を備えた内容積300Lの容器に、P.R.238 N-(5-クロロ-2-メトキシフェニル)-3-ヒドロキシ-4-[[2-メトキシ-5-[(フェニルアミノ)カルボニル]フェニル]アゾ]ナフタレン-2-カルボキシアミド を20部(40kg)、HLB14.5の
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル4部、および電気伝導度が1.5μS/cm以下のイオン交換水75部を加えて予備分散して顔料プレミックス液を得た。
上記顔料プレミックス液を原料スラリーとして湿式ビーズミルに供給し、循環分散を行った。なお、ステータの内径はφ75mm、セパレータの径がφ60mm、セパレータとディスク間の間隔は15mmとし、分散用のメディアとして直径が50μmのジルコニアビーズ(真密度6.0g/cm3)を用いた。ステータの有効内容積は0.5Lであり、メデイアの充填容積は0.35Lとしたので、メディア充填率は70質量%である。ロータの回転速度を一定(ロータ先端の周速が11m/秒)として、供給口より前記顔料プレミックス液を無脈動定量ポンプにより供給速度50L/hrで連続的に供給し、排出口より連続的に排出させ、これを繰り返し循環させる事により所定の粒径に達した時点でマゼンタ顔料分散体を得た。このマゼンタ顔料分散体をナノトラックで測定したメジアン径(D50)は125nmであり、pHは8.2、固形分濃度は24.3質量%であった。
<マゼンタ顔料(P.R.238)分散液C2の調製>
攪拌機(プロペラ翼)を備えた内容積300Lの容器に、P.R.238 N-(5-クロロ-2-メトキシフェニル)-3-ヒドロキシ-4-[[2-メトキシ-5-[(フェニルアミノ)カルボニル]フェニル]アゾ]ナフタレン-2-カルボキシアミド を20部(40kg)、20%のドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5部、HLB15.3のポリオキシエチレンラウリルエーテル4.5部、および電気伝導度が1.5μS/cm以下のイオン交換水75部を加えて予備分散して顔料プレミックス液を得た。
上記顔料プレミックス液を原料スラリーとして湿式ビーズミルに供給し、循環分散を行った。なお、ステータの内径はφ75mm、セパレータの径がφ60mm、セパレータとディスク間の間隔は15mmとし、分散用のメディアとして直径が50μmのジルコニアビーズ(真密度6.0g/cm3)を用いた。ステータの有効内容積は0.5Lであり、メデイアの充填容積は0.35Lとしたので、メディア充填率は70質量%である。ロータの回転速度を一定(ロータ先端の周速が11m/秒)として、供給口より前記顔料プレミックス液を無脈動定量ポンプにより供給速度50L/hrで連続的に供給し、排出口より連続的に排出させ、これを繰り返し循環させる事により所定の粒径に達した時点でマゼンタ顔料分散体を得た。マゼンタ顔料分散体をナノトラックで測定したメジアン径(D50)は153nmであり、pHは5.8、固形分濃度は25.5質量%であった。
<トナー母粒子D1の製造>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子D1を製造した。
重合体一次粒子分散液B1 固形分として90部
重合体一次粒子分散液B2 固形分として10部
マゼンタ顔料分散液 C1 着色剤固形分として5部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として0.1部
20%DBS水溶液 円形化工程では、固形分として6部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて内温7℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.52部を5分かけて添加し、その後、マゼンタ顔料分散液C1を5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.20部)。その後、回転数250rpmのまま内温を55.5℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.05μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温55.5℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液B2を10分かけて添加してそのまま30分保持した。
○円形化工程
続いて回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後55分かけて99.5℃に昇温して、平均円形度が0.978になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
○洗浄工程
得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No5C)のろ紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。ろ紙上に残ったケーキを、攪拌機(プロペラ翼)を備えた内容積10Lのステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgを加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種C(東洋濾紙株式会社製 No5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をし、再度ろ紙上に残った固形物を、攪拌機(プロペラ翼)を備え電気伝導度が1μS/cm以下のイオン交換水8kgの入った内容積10Lの容器に移し、50rpmで攪拌する事により均一に分散させ30分間攪拌したままとした。この工程を5回繰り返したところ、ろ液の電気伝導度は1.9μS/cmとなった。
○乾燥工程
ここで得られた固形物をステンレス製バットに高さ20mmとなる様に敷き詰め、40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥することにより、トナー母粒子D1を得た。
<トナーE1の製造>
○外添工程
得られたトナー母粒子D1をFMミキサー(三井鉱山(株)製)で外添した。
得られたトナー母粒子D1に、外添剤としてTG308F(キャボット製)を0.2部添加し1650rpmで35℃になるまで撹拌、さらにTG308Fを1.2部添加し1
600rpmで10分撹拌、さらにアルカマイザーP93(共和化学製)を0.05部、MZ−2(日本油脂製)を0.05部、JMT150AO(テイカ製)を0.4部を混ぜて、1600rpmで5分間混合し、150メッシュで篩別してトナーE1を得た。
○分析工程
ここで得られたトナーE1のマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は6.24μmであり、平均円形度は0.978であり、0.8から3.0μmの小粒子
の個数%は0.98%であった。
7000枚までの実写テストで、白すじやベタ画像のかすれは生じず、プリンタ内部の汚れも発生しなかった。
[実施例2]
<トナー母粒子D2の製造>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子D2を製造した。
重合体一次粒子分散液B1 固形分として92.5部
重合体一次粒子分散液B2 固形分として 7.5部
マゼンタ顔料分散液 C1 着色剤固形分として5部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として0.1部
20%DBS水溶液 円形化工程では、固形分として3部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて内温7℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.54部を5分かけて添加し、その後、マゼンタ顔料分散液C1を5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.20部)。その後、回転数250rpmのまま内温を55.5℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.85μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温55.5℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液B2を8分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として3部)を10分かけて添加し、その後50分かけて100℃に昇温して、平均円形度が0.967になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
○洗浄工程、乾燥工程は、D1と同様の方法で行ない、トナー母粒子D2を得た。
<トナーE2の製造>
得られたトナー母粒子D2を、トナーE1と同様の方法で外添して、トナーE2を得た。
○分析工程
ここで得られたトナーE2のマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)
は7.04μmであり、平均円形度は0.968であり、0.8から3.0μmの小粒子
の個数%は0.90%であった。
7000枚までの実写テストで、白すじやベタ画像のかすれは生じず、プリンタ内部の汚れも発生しなかった。
[実施例3]
<トナー母粒子D3の製造>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子D3を製造した。
重合体一次粒子分散液B1 固形分として90.0部
重合体一次粒子分散液B1 固形分として10.0部
マゼンタ顔料分散液 C1 着色剤固形分として5部
20%DBS水溶液 円形化工程で、固形分として3部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B1を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて内温7℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.52部を5分かけて添加し、その後、マゼンタ顔料分散液C1を5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後、
回転数250rpmのまま内温を53.5℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し5.85μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温53.5℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液B1を10分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後45分かけて96℃に昇温して、平均円形度が0.957になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
○洗浄工程、乾燥工程は、D1と同様の方法で行ない、トナー母粒子D3を得た。
<トナーE3の製造>
得られたトナー母粒子D3を、トナーE1と同様の方法で外添して、トナーE3を得た。
○分析工程
ここで得られたトナーMのマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は6.17μmであり、平均円形度は0.959であり、0.8から3.0μmの小粒子の
個数%は0.89%
であった。
7000枚までの実写テストで、白すじやベタ画像のかすれは生じず、プリンタ内部の汚れも発生しなかった。
[比較例1]
<トナー母粒子D4の製造>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子D4を製造した。
重合体一次粒子分散液B3 固形分として90.0部
重合体一次粒子分散液B2 固形分として10.0部
マゼンタ顔料分散液 C1 着色剤固形分として5部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として0.12部
20%DBS水溶液 円形化工程では、固形分として4部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B3と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて内温7℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.54部を5分かけて添加し、その後、マゼンタ顔料分散液C1を5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を12分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.25部)。その後、回転数250rpmのまま内温を54.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.80μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温54.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液B2を8分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として4部)を10分かけて添加し、その後50分かけて100℃に昇温して、平均円形度が0.972になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
○洗浄工程、乾燥工程は、D1と同様の方法で行ない、トナー母粒子D4を得た。
<トナーE4の製造>
得られたトナー母粒子D4を、トナーE1と同様の方法で外添して、トナーE4を得た。
○分析工程
ここで得られたトナーE4のマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は6.94μmであり、平均円形度は0.973であり、0.8から3.0μmの小粒子
の個数%は2.70%であった。
7000枚までの実写テストで、ドクターブレードへのトナー付着が原因による、白すじが7本発生した。
[比較例2]
<トナー母粒子D5の製造>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子D5を製造した。
重合体一次粒子分散液B1 固形分として90.0部
重合体一次粒子分散液B2 固形分として10.0部
マゼンタ顔料分散液 C2 着色剤固形分として5部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として0.05部
20%DBS水溶液 円形化工程では、固形分として4部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液B1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて内温7℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.54部を5分かけて添加し、その後、マゼンタ顔料分散液C2を5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を12分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.4部)。その後、回転数250rpmのまま内温を54.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.05μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温54.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液B2を8分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として4部)を10分かけて添加し、その後50分かけて100℃に昇温して、平均円形度が0.977になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
○洗浄工程、乾燥工程は、D1と同様の方法で行ない、トナー母粒子D5を得た。
<トナーE5の製造>
得られたトナー母粒子D5を、トナーE1と同様の方法で外添して、トナーE5を得た。
○分析工程
ここで得られたトナーE4のマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は6.39μmであり、平均円形度は0.979であり、0.8から3.0μmの小粒子
の個数%は2.68%であった。
7000枚までの実写テストで、途中4000枚から、ベタ画像の濃度ムラがみられ、ドクターブレードへのトナー付着が原因による、白すじが5本発生した。
[比較例3]
<トナー母粒子D6の製造>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子D6を製造した。
重合体一次粒子分散液B1 固形分として92.5部
重合体一次粒子分散液B2 固形分として 7.5部
マゼンタ顔料分散液 C2 着色剤固形分として5部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として0部
20%DBS水溶液 円形化工程では、固形分として3部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分
散液B1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて内温7℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.54部を5分かけて添加し、その後、マゼンタ顔料分散液C2を5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.25部)。その後、回転数250rpmのまま内温を55.5℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.85μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温55.5℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液B2を8分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として3部)を10分かけて添加し、その後50分かけて100℃に昇温して、平均円形度が0.969になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
○洗浄工程、乾燥工程は、D1と同様の方法で行ない、トナー母粒子D6を得た。
<トナーE6の製造>
得られたトナー母粒子D5を、トナーE1と同様の方法で外添して、トナーE5を得た。
○分析工程
ここで得られたトナーE6のマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は6.97μmであり、平均円形度は0.972であり、0.8から3.0μmの小粒子
の個数%は3.37%であった。
7000枚までの実写テストで、途中3000枚あたりから、ベタ画像の濃度ムラがみられ、ドクターブレードへのトナー付着が原因による、白すじが8本発生した。
上記実施例1乃至3及び比較例1乃至3で得られたトナー及び重合体一次粒子の物性及び評価結果について、以下表−1及び表−2に示す。
Figure 2015194744
Figure 2015194744

Claims (3)

  1. 少なくとも、結着樹脂分散体、離型剤分散体及び顔料分散液を用いて、水系媒体中で粒子形成させて得られる静電荷像現像用マゼンタトナーであって、
    該顔料分散液のpHが7以上10以下であり、
    粘弾性測定によるトナーの物性が、
    110℃における貯蔵弾性率G'(110℃_ G')の150℃における貯蔵弾性率G'(150℃_ G')に対する比110℃_ G'/150℃_ G'をA、110℃における貯蔵弾性率G'(110℃_ G')の190℃における貯蔵弾性率G'(190℃_ G')に対する比110℃_G'/190℃_G'をBとしたとき、
    B/Aの値が3よりも大きいことを特徴する静電荷像現像用マゼンタトナー。
  2. 前記トナーの酸価が、5.5KOHmg/g以上20.0KOHmg/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用マゼンタトナー。
  3. 前記結着樹脂分散体中の重合体一次粒子の粘弾性測定による物性が、
    120℃における貯蔵弾性率G'(120℃_ G')の150℃における貯蔵弾性率G'(150℃_ G')に対する比120℃_ G'/150℃_ G'をC、120℃における貯蔵弾性率G'(120℃_ G')の190℃における損失弾性率G'(190℃_ G')に対する比120℃_G'/190℃_G'をDとし、
    120℃における損失弾性率G”(120℃_ G”)の150℃における損失弾性率G”(150℃_ G”)に対する比120℃_ G”/150℃_ G“をE、120℃における損失弾性率G”(120℃_ G”)
    の190℃における損失弾性率G”(190℃_ G”)に対する比120℃_G”/190℃_G”をFとしたとき、D/Cの値が6よりも大きく、F/Eの値が9よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用マゼンタトナー。
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