JP4634933B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電解質を一対の電極間に配設した電解質・電極構造体とセパレータとを積層し、前記電解質・電極構造体と前記セパレータとの間に、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路が形成されるとともに、積層方向に貫通し前記反応ガス流路に連通する反応ガス連通孔を備える内部マニホールド型燃料電池に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極およびカソード側電極を配設した電解質(電解質膜)・電極構造体を、セパレータによって挟持している。この種の燃料電池は、通常、電解質・電極構造体およびセパレータを所定の数だけ積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
この燃料電池において、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
上記の燃料電池には、セパレータの面内に、アノード側電極に対向して燃料ガス(反応ガス)を流すための燃料ガス流路(反応ガス流路)と、カソード側電極に対向して酸化剤ガス(反応ガス)を流すための酸化剤ガス流路(反応ガス流路)とが設けられている。さらに、セパレータの周縁部には、該セパレータの積層方向に貫通して、燃料ガス流路に連通する反応ガス連通孔である燃料ガス供給連通孔および燃料ガス排出連通孔と、酸化剤ガス流路に連通する反応ガス連通孔である酸化剤ガス供給連通孔および酸化剤ガス排出連通孔とが形成されている。
この場合、反応ガス流路と反応ガス連通孔とは、反応ガスを円滑かつ均等に流すために平行溝部等を有する連結流路を介して連通している。ところが、セパレータと電解質・電極構造体とを、シール部材を介装して締め付け固定する際に、このシール部材が連結流路内に進入してしまい、所望のシール性を維持することができず、しかも反応ガスが良好に流れない。
そこで、特開2001−266911号公報に開示されている固体高分子型燃料電池スタックでは、図13に示すように、セパレータ1の面内に蛇行する反応ガス、例えば、酸化剤ガス流路2が形成されている。この酸化剤ガス流路2は、セパレータ1の周縁部に積層方向に貫通した酸化剤ガス供給用貫通孔3と酸化剤ガス排出用貫通孔4とに連通している。セパレータ1にはパッキン5が配置されており、このセパレータ1の面内で貫通孔3、4と酸化剤ガス流路2とを連通するとともに、他の貫通孔をこれらからシールしている。
貫通孔3、4と酸化剤ガス流路2とを連通する連結流路6a、6bには、この連結流路6a、6bを覆ってシール部材であるSUS板7が配置されている。SUS板7は長方形状に構成されており、それぞれ2箇所に耳部7a、7bが設けられるとともに、各耳部7a、7bは、セパレータ1に形成された段差部8に嵌合している。
このように、特開2001−266911号公報では、SUS板7が連結流路6a、6bを覆っているために、高分子膜(図示せず)およびパッキン5が酸化剤ガス流路2に落ち込むことがなく、所望のシール性を確保して、反応ガスの圧力損失の増大を防止することができる、としている。
しかしながら、上記の特開2001−266911号公報では、セパレータ1の連結流路6a、6bにそれぞれSUS板7が装着されており、前記SUS板7の装着作業が煩雑である。特に、数十〜数百の燃料電池が積層される場合には、SUS板7の装着工程が相当に煩雑でかつ時間がかかり、コストが大幅に高騰する。
しかも、連結流路6a、6bを覆ってSUS板7が装着されるために、この連結流路6a、6bの寸法を、前記SUS板7の幅寸法より小さく設定することができない。従って、燃料電池全体の小型化および軽量化を図ることが困難である。
特開2001−266911号公報
本発明はこの種の問題を解決するものであり、燃料電池の組立工程が有効に簡素化されるとともに、経済的かつ簡単な構成で、所望のシール機能を確保することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明では、電解質を一対の電極間に配設した電解質・電極構造体とセパレータとを積層し、前記電解質・電極構造体と前記セパレータとの間に、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路が形成されるとともに、積層方向に貫通して前記反応ガス流路に連通する反応ガス連通孔を備える。そして、セパレータには、反応ガス連通孔と反応ガス流路とを連通する連結流路が設けられるとともに、電解質・電極構造体の少なくとも一方のガス拡散層には、前記連結流路に重ね合わされて前記セパレータに圧着することにより、該連結流路をシールするための重合部が設けられる。
従って、ガス拡散層自体が連結流路を覆うため、専用の金属板(例えば、SUS板)等が不要になる。これにより、金属板等の装着工程が削減されて燃料電池の組立工程が大幅に簡素化されるとともに、経済的かつ簡単な構成で、所望のシール機能を確保することが可能になる。さらに、連結流路の寸法を可及的に小さくすることができ、燃料電池の小型化および軽量化を容易に図ることが可能になる。
[図1]図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視説明図である。
[図2]図2は、燃料電池スタックの、図1中、II−II線断面説明図である。
[図3]図3は、前記燃料電池スタックの、図1中、III−III線断面説明図である。
[図4]図4は、前記燃料電池を構成する第1金属セパレータの正面説明図である。
[図5]図5は、前記燃料電池を構成する第2金属セパレータの正面説明図である。
[図6]図6は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視説明図である。
[図7]図7は、燃料電池スタックの図6中、VII−VII線断面図である。
[図8]図8は、前記燃料電池を構成する第1金属セパレータの正面説明図である。
[図9]図9は、前記燃料電池を構成する第2金属セパレータの正面説明図である。
[図10]図10は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視説明図である。
[図11]図11は、前記燃料電池を構成する第2金属セパレータの正面説明図である。
[図12]図12は、燃料電池スタックの一部断面説明図である。
[図13]図13は、従来技術に係る燃料電池スタックを構成するセパレータの正面視説明図である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10の要部分解斜視説明図であり、図2は、複数の前記燃料電池10を矢印A方向に積層する燃料電池スタック12の、図1中、II−II線断面説明図であり、図3は、前記燃料電池スタック12の、図1中、III−III線断面説明図である。
図1に示すように、燃料電池10は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)14が、第1および第2金属セパレータ16、18に挟持される。第1および第2金属セパレータ16、18は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、あるいはめっき処理鋼板等により構成される。なお、第1および第2金属セパレータ16、18に代替して、例えば、カーボン製セパレータを使用してもよい。
燃料電池10の矢印B方向(図1中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔20a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔22b、および燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔24bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
燃料電池10の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔24a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔22a、および酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔20bが、矢印C方向に配列して設けられる。
図1および図4に示すように、第1金属セパレータ16の電解質膜・電極構造体14側の面16aには、例えば、矢印B方向に1往復半だけ折り返す蛇行流路である酸化剤ガス流路(反応ガス流路)26が設けられる。酸化剤ガス流路26は、第1金属セパレータ16を波形状に成形することにより設けられる複数の溝部を備えており、前記酸化剤ガス流路26と酸化剤ガス入口連通孔20aおよび酸化剤ガス出口連通孔20bとは、連結流路28a、28bを介して連通する。連結流路28a、28bは、酸化剤ガス流路26から延在する複数の凸部30a、30bにより分割された複数の平行な流路溝を有する。
第1金属セパレータ16の面16a、16bには、この第1金属セパレータ16の外周端部を周回して、第1シール部材32が焼き付けや射出成形等により一体化される。第1シール部材32は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、またはアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。
第1シール部材32は、第1金属セパレータ16の面16aに一体化される第1平面部34と、前記第1金属セパレータ16の面16bに一体化される第2平面部36とを備える。図4に示すように、第1平面部34は、酸化剤ガス入口連通孔20aおよび酸化剤ガス出口連通孔20bを酸化剤ガス流路26に連通するようにこれらの周囲を囲繞して形成される一方、第2平面部36は、冷却媒体入口連通孔22aと冷却媒体出口連通孔22bとを連通して形成される。
第1平面部34には、酸化剤ガス入口連通孔20aおよび酸化剤ガス出口連通孔20bに近接して、それぞれ2つの短尺突起37a、37bが形成され、燃料ガス入口連通孔24aおよび燃料ガス出口連通孔24bに近接して、それぞれ2つの短尺突起38a、38bが形成される。
図1および図5に示すように、第2金属セパレータ18の電解質膜・電極構造体14側の面18aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとに連通し、矢印B方向に1往復半だけ折り返す蛇行流路を構成する燃料ガス流路(反応ガス流路)40が形成される。
燃料ガス流路40は、複数の溝部を備えるとともに、前記燃料ガス流路40と燃料ガス入口連通孔24aおよび燃料ガス出口連通孔24bとは、連結流路42a、42bを介して連通する。連結流路42a、42bは、燃料ガス流路40から延在する複数の凸部44a、44bにより分割された複数の平行な流路溝を有する。
図1に示すように、第2金属セパレータ18の面18aとは反対の面18bには、冷却媒体入口連通孔22aと冷却媒体出口連通孔22bとに連通する冷却媒体流路46が形成される。
第2金属セパレータ18の面18a、18bには、この第2金属セパレータ18の外周端部を周回して、第2シール部材48が一体化される。この第2シール部材48は、上記の第1シール部材32と同一の材料で構成される。図5に示すように、第2金属セパレータ18の面18aには、第2シール部材48を構成する突起50が形成される。この突起50は、燃料ガス流路40を囲繞するとともに、前記燃料ガス流路40と燃料ガス入口連通孔24aおよび燃料ガス出口連通孔24bとを連通する。
面18aには、燃料ガス入口連通孔24aおよび燃料ガス出口連通孔24bの近傍に位置して、それぞれ2つの短尺突起52a、52bが形成されるとともに、酸化剤ガス入口連通孔20aおよび酸化剤ガス出口連通孔20bの近傍に位置して、それぞれ2つの短尺突起54a、54bが形成される。第1および第2金属セパレータ16、18が積層された際、短尺突起37a、37bと短尺突起54a、54bとが密着する一方(図2参照)、短尺突起38a、38bと短尺突起52a、52bとが密着する。
図1に示すように、面18bには、第2シール部材48を構成する突起56が形成される。この突起56は、冷却媒体流路46を囲繞するとともに、前記冷却媒体流路46と冷却媒体入口連通孔22aおよび冷却媒体出口連通孔22bとを連通する。
電解質膜・電極構造体14は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜60と、前記固体高分子電解質膜60を挟持するアノード側電極62およびカソード側電極64とを備える。固体高分子電解質膜60の外周縁部は、アノード側電極62およびカソード側電極64の外周端部よりも外方に突出している。
アノード側電極62およびカソード側電極64は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布された電極触媒層とを有する。電極触媒層は、前記固体高分子電解質膜60の両面に接合されている。
図1、図4および図5に示すように、電解質膜・電極構造体14は、第1金属セパレータ16の連結流路28a、28bに重ね合わされて前記連結流路28a、28bをシールするための第1重合部66a、66bと、第2金属セパレータ18の連結流路42a、42bに重ね合わされて前記連結流路42a、42bをシールするための第2重合部68a、68bとを設ける。
図1および図2に示すように、第1重合部66aは、カソード側電極64の端部から面方向に沿って連結流路28a側(矢印B方向外方)に突出する突出端部64aを備える。この突出端部64aは、固体高分子電解質膜60を介装して第2金属セパレータ18に設けられる第2シール部材48の突起50に保持される。
同様に、第1重合部66bは、カソード側電極64の端部から面方向に沿って連結流路28b側に突出する突出端部64bを有する。この突出端部64bは、固体高分子電解質膜60を介装して第2シール部材48の突起50に保持される。突出端部64a、64bは、カソード側電極64を構成するガス拡散層の対称位置に設けられる。
それぞれの突出端部64a、64bは、第1金属セパレータ16の凸部30a、30bに密着し、複数の流路溝からなる連結流路28a、28bをシールするとともに、前記連結流路28a、28bを介して、酸化剤ガス入口連通孔20aおよび酸化剤ガス出口連通孔20bと酸化剤ガス流路26とが連通する。
第2重合部68a、68bは、アノード側電極62の端部から面方向に沿って第2金属セパレータ18の連結流路42a、42bに突出する突出端部62a、62bを有する。突出端部62a、62bは、第2金属セパレータの凸部44a、44bに密着する。突出端部62a、62bは、アノード側電極62を構成するガス拡散層の対称位置に設けられる。
この突出端部62a、62bは、連結流路42a、42bをシールするとともに、前記連結流路42a、42bを介して、燃料ガス入口連通孔24aおよび燃料ガス出口連通孔24bと燃料ガス流路40とが連通する。
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
まず、図1に示すように、燃料ガス入口連通孔24aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス入口連通孔20aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔22aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、燃料ガスは、図5に示すように、燃料ガス入口連通孔24aから第2金属セパレータ18の燃料ガス流路40に導入され、矢印B方向に往復移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するアノード側電極62に供給される。一方、酸化剤ガスは、図1および図4に示すように、酸化剤ガス入口連通孔20aから第1金属セパレータ16の酸化剤ガス流路26に導入され、矢印B方向に往復移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するカソード側電極64に供給される。
従って、電解質膜・電極構造体14では、カソード側電極64に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極62に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、アノード側電極62に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔24bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、カソード側電極64に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔20bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔22aに供給された冷却媒体は、第1および第2金属セパレータ16、18間の冷却媒体流路46に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体14を冷却した後、冷却媒体出口連通孔22bから排出される。
この場合、第1の実施形態では、電解質膜・電極構造体14の少なくとも一部には、第1金属セパレータ16の連結流路28a、28bに重ね合わされて前記連結流路28a、28bをシールするための第1重合部66a、66bと、第2金属セパレータ18の連結流路42a、42bに重ね合わされて前記連結流路42a、42bをシールするための第2重合部68a、68bとが設けられる。
そこで、図2に示すように、第1重合部66aは、固体高分子電解質膜60が第2シール部材48の突起50に密着するとともに、実質的にガス拡散層である突出端部64aが第1金属セパレータ16の凸部30aに密着している。このため、酸化剤ガス入口連通孔20aに供給される酸化剤ガスは、互いに密着する短尺突起37a、54aに沿って連結流路28aに送られ、さらに複数の凸部30a間を通って酸化剤ガス流路26に円滑に流れ、この酸化剤ガスが漏れることを有効に阻止することができる。
これにより、連結流路28aを覆うために、従来のSUS板等の専用の金属板を用いる必要がなく、前記金属板の装着工程が削減される。従って、燃料電池10の組立工程が大幅に簡素化されるとともに、経済的かつ簡単な構成で、所望のシール機能を確保することが可能になる。
さらに、連結流路28aの寸法を可及的に小さくすることができ、燃料電池10全体の小型化および軽量化を容易に図ることが可能になる。なお、連結流路28b、42aおよび42bにおいても、上記の連結流路28aと同様の効果が得られる。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池80の要部分解斜視説明図であり、図7は、複数の前記燃料電池80を矢印A方向に積層する燃料電池スタック82の、図6中、VII−VII線断面図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
燃料電池80は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)84が第1および第2金属セパレータ86、88に挟持される。図6および図8に示すように、酸化剤ガス流路26と酸化剤ガス入口連通孔20aおよび酸化剤ガス出口連通孔20bとは、連結流路90a、90bを介して連通する。連結流路90a、90bは、酸化剤ガス流路26から延在する凸部30a、30bとは個別に設けられた複数の凸部92a、92bにより分割された複数の平行な流路溝を有する。
図9に示すように、第2金属セパレータ88において、燃料ガス流路40と燃料ガス入口連通孔24aおよび燃料ガス出口連通孔24bとは、連結流路94a、94bを介して連通する。連結流路94a、94bは、燃料ガス流路40から延在する凸部44a、44bとは個別に設けられた複数の凸部96a、96bにより分割された複数の平行な流路溝を有する。
図6に示すように、突出端部62a、62b、64aおよび64bには、接着剤、例えば、フッ素系接着剤が含浸された硬化部位98が設けられる。突出端部62a、62b、64aおよび64bに硬化部位98が設けられることにより、電解質膜・電極接合体84が第1および第2セパレータ86、88により挟持される際、前記突出端部62a、62b、64aおよび64bがへたることがない。
このため、第2の実施形態では、連結流路90a、90bおよび94aおよび94bにガス拡散層が進入することがなく、所望のシール性を維持することが可能になる。さらに、この第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図10は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池120の要部分解斜視説明図であり、図11は、前記燃料電池120を構成する第2金属セパレータ122の正面説明図である。
燃料電池120を構成する電解質膜・電極構造体124は、固体高分子電解質膜60と、前記固体高分子電解質膜60を挟持するアノード側電極126およびカソード側電極64とを備える。アノード側電極126は、カソード側電極64よりも小さな寸法に設定されている。
第2金属セパレータ122は、連結流路を設けておらず、冷却媒体流路46が設けられた面122bには、それぞれ燃料ガス入口連通孔24aおよび燃料ガス出口連通孔24bに連通する複数の通路128a、128bが形成される。各通路128a、128bは、複数の孔部130a、130bに連通するとともに、前記孔部130a、130bは、面122aに設けられた燃料ガス流路40に連通する。
第2金属セパレータ122の面122a、122bには、第2シール部材132が一体化される。図11に示すように、第2シール部材132は、第2金属セパレータ122の外周端部に近接して面122aに設けられる外側シール134を備え、この外側シール134から内方に所定の距離だけ離間して内側シール136が設けられる。この内側シール136は、燃料ガス流路40を閉塞している。
第2シール部材132は、第2金属セパレータ122の面122bに設けられる外側シール138と、この外側シール138の内方に離間して冷却媒体流路46を囲繞して設けられる内側シール140とを備える(図10および図12参照)。
このように構成される第3の実施形態では、第1金属セパレータ16の連結流路28a、28bが、電解質膜・電極構造体124を構成するカソード側電極64(実質的には、ガス拡散層)の2つの角部によってシールされており、上記の第1および第2の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明に係る燃料電池では、電解質・電極構造体を構成するガス拡散層自体が連結流路を覆うため、専用の金属板等が不要になる。これにより、金属板等の装着工程が削減されて、燃料電池の組立工程が大幅に簡素化されるとともに、経済的かつ簡単な構成で、所望のシール機能を確保することが可能になる。さらに、連結流路の寸法を可及的に小さくすることができ、燃料電池の小型化および軽量化を容易に図ることが可能になる。

Claims (11)

  1. 電解質(60)を一対の電極(62、64)間に配設した電解質・電極構造体(14)とセパレータ(16)とを積層し、前記電解質・電極構造体(14)と前記セパレータ(16)との間に、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路(26)が形成されるとともに、積層方向に貫通して前記反応ガス流路(26)に連通する反応ガス連通孔(20a)を備える内部マニホールド型燃料電池であって、
    前記セパレータ(16)には、前記反応ガス連通孔(20a)と前記反応ガス流路(26)とを連通する連結流路(28a)が設けられるとともに、
    前記電解質・電極構造体(14)の少なくとも一方のガス拡散層には、前記連結流路(28a)に重ね合わされて前記セパレータ(16)に圧着することにより、該連結流路(28a)をシールするための重合部(66a)が設けられることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、前記重合部(66a)は、前記ガス拡散層の端部から面方向に突出する突出端部(64a)を備えることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項2記載の燃料電池において、前記突出端部(64a)は、前記連結流路(28a)に重ね合わされる面とは反対の面に、前記電解質である電解質膜(60)を介装してシール部材(50)が積層されることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項2又は3記載の燃料電池において、前記突出端部(64a、64b)は、前記ガス拡散層の対称位置に設けられることを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1記載の燃料電池において、前記電解質・電極構造体(124)は、前記一方のガス拡散層の表面積が他方のガス拡散層の表面積よりも大きく設定されることを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項5記載の燃料電池において、前記一方のガス拡散層は、前記電解質である電解質膜(60)の全面を覆って設けられることを特徴とする燃料電池。
  7. 請求項6記載の燃料電池において、前記電解質膜(60)には、前記他方のガス拡散層の周囲に位置してシール部材(50)が積層されることを特徴とする燃料電池。
  8. 請求項1記載の燃料電池において、前記連結流路(28a)は、複数本の平行な流路溝により構成されることを特徴とする燃料電池。
  9. 請求項1記載の燃料電池において、前記セパレータ(16)は、金属製プレートで構成されることを特徴とする燃料電池。
  10. 請求項9記載の燃料電池において、前記金属製プレートを波形状にプレス成形することにより前記連結流路(28a)が構成されることを特徴とする燃料電池。
  11. 請求項1記載の燃料電池において、前記ガス拡散層には、前記連結流路(90a)に重ね合わされる前記重合部(66a)に接着剤による硬化部位(98)が設けられることを特徴とする燃料電池。
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