JP4634602B2 - エレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料およびエレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエレクトロルミネッセンス素子、特にディスプレー装置に使用される交流型のエレクトロルミネッセンス素子を製造するための転写材料およびエレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、自己発色による視認性の高さ、液晶ディスプレーと異なり全固体ディスプレーであること、温度変化の影響をあまり受けない、視野角が大きい等の利点をもっており、近年、ディスプレー装置の画素、および、液晶ディスプレーの背面光源等としての実用化が進んでいる。
【0003】
EL素子は、主に交流型と直流型に分類される。交流型のEL素子では、発光体層と誘電体層を二つの電極間に設置するのが一般的な構造である。この構造では、酸化インジウムスズ(ITO)電極に代表される透明電極を使用し、基材、対電極、誘電体層、発光体層、透明電極、透明基材の順に積層し、対電極と透明電極の間で基材に垂直方向に交流印加するものである。
【0004】
上述の交流型のEL素子は、誘電体層と発光体層を積層した構造を有し、従来、これらの2層の形成には、厚膜の塗工に適したスクリーン印刷が主に使われてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スクリーン印刷を用いたEL素子の形成では、予めスクリーン版に設けられている形状のみパターン形成が可能であるため、多品種少ロットのEL素子製造では、複数のスクリーン版が必要となる。このため、製造コストの増大を来たし、EL素子の設計の自由度と製造コストは相反するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、エレクトロルミネッセンス素子を高い設計自由度で容易に製造するための転写材料と、エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記発光体層との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を、電極を形成した基材の該電極上に、前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から所望のパターン形状で熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を前記電極上に転写し、その後、透明電極を形成した透明基材を該透明電極が前記パターン積層体の発光体層と当接するように固着するような構成とした。
【0010】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法の好ましい他の態様として、支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記発光体層との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を所望のパターン形状に加工し、基材に形成された電極上に、前記加工後の転写材料を前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を前記電極上に転写し、その後、透明電極を形成した透明基材を該透明電極が前記パターン積層体の発光体層と当接するように固着するような構成とした。
【0011】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料は、支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、発光体層、誘電体層、接着層および電極とを備え、前記支持体と前記発光体層との間で剥離可能であるような構成とした。
また、本発明のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料の好ましい態様として、前記発光体層、前記誘電体層は、バインダーとして熱溶融性樹脂、熱軟化性樹脂およびワックスの少なくとも1種を含有するような構成とした。
【0012】
そして、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、基材上に上記のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から所望のパターン形状で熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で電極と接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を前記基材上に転写し、その後、透明電極を形成した透明基材を該透明電極が前記パターン積層体の発光体層と当接するように固着するような構成とした。
【0013】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法の好ましい他の態様として、上記のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を所望のパターン形状に加工し、基材上に前記加工後の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で電極と接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を前記基材上に転写し、その後、透明電極を形成した透明基材を該透明電極が前記パターン積層体の発光体層と当接するように固着するような構成とした。
【0015】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、透明電極、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記透明電極との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を、電極を形成した基材の該電極上に、前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から所望のパターン形状で熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を前記電極上に転写し、その後、透明基材を前記パターン積層体の透明電極と当接するように固着するような構成とした。
【0016】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法の好ましい他の態様として、支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、透明電極、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記透明電極との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を所望のパターン形状に加工し、基材に形成された電極上に、前記加工後の転写材料を前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を前記電極上に転写し、その後、透明基材を前記パターン積層体の透明電極と当接するように固着するような構成とした。
【0017】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料は、支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、透明電極、発光体層、誘電体層、接着層および電極とを備え、前記支持体と前記透明電極との間で剥離可能であるような構成とした。
【0018】
そして、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、基材上に上記のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から所望のパターン形状で熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で電極と接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を前記基材上に転写し、その後、透明基材を前記パターン積層体の透明電極と当接するように固着するような構成とした。
【0019】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法の好ましい他の態様として、上記のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を所望のパターン形状に加工し、基材上に前記加工後の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で電極と接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を前記基材上に転写し、その後、透明基材を前記パターン積層体の透明電極と当接するように固着するような構成とした。
【0021】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、透明基材である支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、透明電極、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記透明電極との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を、電極を形成した基材の該電極上に、前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加するような構成とした。
【0022】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写基材の好ましい他の態様として、支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、透明電極、発光体層、誘電体層、接着層および電極とを備え、前記支持体と前記透明電極との間で剥離可能であり、前記支持体が透明基材であるような構成とした。
【0023】
そして、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、基材上に上記のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加するような構成とした。
【0024】
このような本発明では、転写材料による所望のパターン転写が可能なので、種々の設計によるエレクトロルミネッセンス素子の製造が容易である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
【0026】
エレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料
図1は、本発明のエレクトロルミネッセンス(EL)素子製造用の転写材料の一例を示す概略断面図である。図1において、EL素子製造用の転写材料1は、支持体2と、この支持体2上に剥離層3を介して形成された発光体層4、この発光体層4上に積層された誘電体層5、接着層6を備えるものである。
【0027】
また、図2は、EL素子製造用の転写材料の他の例を示す概略断面図である。図2において、EL素子製造用の転写材料11は、支持体12と、この支持体12上に剥離層13を介して形成された発光体層14と、この発光体層14上に順次積層された誘電体層15、接着層16、電極17を備えるものである。
【0028】
また、図3は、EL素子製造用の転写材料の他の例を示す概略断面図である。図3において、EL素子製造用の転写材料21は、支持体22と、この支持体22上に剥離層23を介して形成された透明電極28と、この透明電極28上に順次積層された発光体層24、誘電体層25、接着層26を備えるものである。
【0029】
さらに、図4は、EL素子製造用の転写材料の他の例を示す概略断面図である。図4において、EL素子製造用の転写材料31は、支持体32と、この支持体32上に剥離層33を介して形成された透明電極38と、この透明電極38上に順次積層された発光体層34、誘電体層35、接着36および電極37を備えるものである。
【0030】
上述のような本発明の転写材料1,11,21,31は、被転写体に接着層6,26、あるいは、電極17,37を接着して支持体2,12,22,32を剥離することにより、接着層6と誘電体層5と発光体層4からなる積層体、電極17と接着層16と誘電体層15と発光体層14からなる積層体、接着層26と誘電体層25と発光体層24と透明電極28からなる積層体、あるいは、電極37と接着層36と誘電体層35と発光体層34と透明電極38からなる積層体を転写することができる。例えば、液晶ディスプレーの背面光源としてのEL素子を作製する場合には、所定の形状で転写することができ、文字や記号等のディスプレー装置に使用するEL素子の製造では、対応した文字や記号のパターンで転写することができる。さらに、ディスプレー装置の微細な画素の形成も容易に行うことができる。転写方式は、熱転写、光転写、圧転写等、いずれの転写方式であってもよい。
【0031】
以下に、上述のEL素子製造用の転写材料1,11,21,31の構成部材を説明する。
本発明のEL素子製造用の転写材料1,11,21,31を構成する支持体2,12,22,32としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチック、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等が挙げられ、また、これらを複合した複合フィルムを使用することもできる。支持体2,12,22,32の厚みは、その強度、熱伝導性が適切となるように材料に応じて適宜設定することができ、例えば、3〜50μmの範囲で設定することができる。
【0032】
また、本発明のEL素子製造用の転写材料21,31を構成する支持体22,32として、透明基材を使用してもよい。これにより、支持体22,32を剥離することなく、そのままEL素子の透明基材として用いることができる。使用する透明基材としては、光透過性を有するガラス材料、樹脂材料、これらの複合材料により形成することができる。
尚、転写においてサーマルヘッドを用いた熱転写を行う場合、支持体2,12,22,32に耐熱材料を混入させる、あるいは、支持体2,12,22,32の裏面に耐熱材料層を形成してもよい。
【0033】
本発明の転写材料1,11,21,31の剥離層3,13,23,33は、低分子量の樹脂、もしくはワックス等の材料を単独で、あるいは、2種以上の組み合わせで使用して形成することができ、具体的な材料としては、カルナバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリオレフィン、ポリ塩化オレフィン等を挙げることができる。この剥離層3,13,23,33の厚みは、例えば、0.05〜3μmの範囲で設定することができる。このような剥離層3,13,23,33は、転写条件、使用する材料によって、支持体から剥離して転写される場合、剥離層内で層間剥離を生じ一部が転写される場合、転写されずに支持体側に残る場合とがある。
【0034】
本発明の転写材料1,11,21,31の発光体層4,14,24,34は、正孔と電子の再結合で得られるエネルギーにより発光する材料であれば、その種類は限定されないが、一般的には金属化合物を使用することができる。具体的には、金属化合物として、Zn1-xMgxS:Mn、SrS:Ce、SrS:Ce,Mn、SrS:Ce,Mn,Ag、ZnS:Mn/SrS:Ce、ZnGa2O3:Mn、Ga2O3:Mn、Ga2O3:Eu、Ga2O3:Sn、ZnS:Cu等が挙げられ、これらを単独で、あるいは、2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0035】
また、発光体層4,14,24,34は、上述のような発光体材料をバインダーで保持したものであってもよい。バインダーとしては、熱溶融性あるいは熱軟化性の樹脂、もしくはワックス等を用いることができ、例えばマイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等の樹脂が挙げられ、これらを単独で、あるいは、2種以上の組み合わせで使用することができる。
このような発光体層4,14,24,34の厚みは、例えば、5〜40μmの範囲で設定することができる。
【0036】
本発明の転写材料1,11,21,31の誘電体層5,15,25,35は、エネルギーの印加により誘電分極する材料、成膜性があり転写に適するものを用いて形成することができる。このような材料としては、一般的に金属酸化物が用いられ、具体的には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、チタン酸鉛、ジルコニウム酸チタン酸鉛、スズ酸カルシウム等が挙げられ、これらを単独で、あるいは、2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0037】
また、誘電体層5,15,25,35は、上述のような材料をバインダーで保持したものであってもよい。バインダーとしては、上述のようなバインダーが挙げられる。
誘電体層5,15,25,35の厚みは、例えば、5〜40μmの範囲で設定することができる。
【0038】
本発明の転写材料1,11,21,31の接着層6,16,26,36は、転写材料1,21において誘電体層5,25以下の層を、あるいは、転写材料11,31において電着層17,37と誘電体層15,35以下の層を、被転写体に確実に転写するためのものである。この接着層6,16,26,36は、上述の発光体層の発光体材料のバインダーとして挙げられた熱溶融性樹脂、熱軟化性樹脂およびワックス等の材料を単独で、あるいは、2種以上の組み合わせで使用して形成することができ、厚みは、例えば、0.5〜3μmの範囲で設定することができる。
【0039】
本発明の転写材料11,31の電極17,37は、一般には、金属材料が用いられるが、有機バインダー中に金属材料を混入した導電性インキを用いてもよい。金属材料としては、金、銀、銅、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、金属カルシウム等を挙げることができる。
【0040】
電極17,37は、蒸着、スパッタリング等の真空成膜法、めっき法、導電性インキを用いた印刷法等、いずれの方法でも形成することができるが、湿気排除の点から、真空成膜法が好ましい。また、電極15,35の厚みは、真空成膜法により形成した場合、20〜200nm、塗布方法により形成した場合、2〜40μm程度の範囲で設定することができる。
【0041】
本発明の転写材料21,31の透明電極28,38は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化第二スズ等の導電材料を用いて、蒸着、スパッタリング等の真空成膜法により形成したものである。この透明電極28,38の厚みは、20〜200nm程度の範囲で設定することができる。
【0042】
エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
次に、本発明のエレクトロルミネッセンス(EL)素子の製造方法について説明する。
図5は、本発明のEL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、電極55を備えた基材52上に、本発明のEL素子製造用の転写材料1を接着層6が当接するように重ね合わせ、転写材料1側から所望のパターンで熱を印加する(図5(A))。基材52は、樹脂材料、ガラス材料、金属材料、セラミックス材料、これらの複合材料等からなる。また、電極55は、一般には、金属材料が用いられ、有機バインダー中に金属材料を混入した導電性インキを用いてもよい。金属材料としては、金、銀、銅、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、金属カルシウム等を挙げることができる。電極55の形成は、蒸着、スパッタリング等の真空成膜法、めっき法、導電性インキを用いた印刷法等により行うことができ、図示例では全ベタの電極であるが、所望のパターンをもつ電極であってもよい。
【0043】
図示例では、所望の熱印加パターンを領域Aで示してあり、このようなパターン形状の熱印加は、サーマルヘッド、レーザー光照射、ヒートプレス等により行うことができる。このような熱印加により、領域Aにおいて、接着層6が電極55に接着する。
【0044】
次に、支持体2を剥離することにより、上記のパターン形状で接着層6と誘電体層5と発光体層4からなるパターン積層体P1が電極55上に転写される(図5(B))。
【0045】
次いで、透明電極56を備える透明基材57を、上記のパターン積層体P1上に固着することにより、EL素子51が得られる(図5(C))。透明基材57は、光透過性を有するガラス材料、樹脂材料、これらの複合材料により形成することができる。また、透明電極56は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化第二スズ等の導電材料を用いて、蒸着、スパッタリング等の真空成膜法により形成した透明電極である。この透明電極56は、ベタ電極、所望のパターン電極等、EL素子の使用目的に応じて形成することができる。
このような本発明のEL素子製造方法では、本発明の転写材料を用いて誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を所望のパターンで転写することができる。
【0046】
また、本発明のEL素子の製造方法では、本発明の転写材料1を予め所望のパターン形状に加工し、次に、加工した転写材料1を、基材52に設けた電極55上に、電極55と接着層6とが当接するように重ね合わせ、転写材料1側から全面加熱を行い、その後、支持体2を剥離することにより、パターン形状で接着層6と誘電体層5と発光体層4からなるパターン積層体P1を電極55上に転写してもよい。転写材料1の上記の加工は、カッティングプロッター、金型切断、カッターやハサミによる切断等により行うことができる。また、全面加熱は、熱板、熱ローラー等によるヒートプレス等により行うことができる。
【0047】
図6は、本発明のEL素子の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、基材62上に、電極17が当接するように本発明のEL素子製造用の転写材料11を重ね合わせ、転写材料11側から所望のパターンで熱を印加する(図6(A))。基材62は、樹脂材料、ガラス材料、金属材料、セラミックス材料、これらの複合材料等からなる。
【0048】
図示例では、所望の熱印加パターンを領域Aで示してあり、パターン形状の熱印加は、サーマルヘッド、レーザー光照射、ヒートプレス等により行うことができる。このような熱印加により、領域Aにおいて、電極17が基材62に接着する。
【0049】
次に、支持体12を剥離することにより、上記のパターン形状で電極17、接着層16、誘電体層15、発光体層14からなるパターン積層体P2が基材62に転写される(図6(B))。
次いで、透明電極66を備える透明基材67を、上記のパターン積層体P2上に固着することにより、EL素子61が得られる(図6(C))。透明電極66、透明基材67は、上述の透明電極56や透明基材57と同様である。
【0050】
このような本発明のEL素子製造方法では、本発明の転写材料を用いて電極と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を所望のパターンで転写することができる。
【0051】
また、上記態様のEL素子の製造方法においても、本発明の転写材料11を予め所望のパターン形状に加工し、次に、加工した転写材料11を、基材62上に電極17が当接するように重ね合わせ、転写材料11側から全面加熱を行い、その後、支持体12を剥離することにより、パターン形状で電極17と接着層16と誘電体層15と発光体層14からなるパターン積層体P2を基材62上に転写することができる。
【0052】
図7は、本発明のEL素子の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、電極75を備えた基材72上に、本発明のEL素子製造用の転写材料21を接着層26が当接するように重ね合わせ、転写材料21側から所望のパターンで熱を印加する(図7(A))。基材72と電極75は、上述の基材52、電極55と同様である。図示例では、所望の熱印加パターンを領域Aで示してあり、このようなパターン形状の熱印加は、サーマルヘッド、レーザー光照射、ヒートプレス等により行うことができる。このような熱印加により、領域Aにおいて、接着層26が電極75に接着する。
【0053】
次に、支持体22を剥離することにより、上記のパターン形状で接着層26と誘電体層25と発光体層24と透明電極28からなるパターン積層体P3が電極75上に転写される(図7(B))。
次いで、透明基材77を上記のパターン積層体P3上に固着することにより、EL素子71が得られる(図7(C))。透明基材77は、上述の透明基板57と同様である。
【0054】
このような本発明のEL素子製造方法では、本発明の転写材料を用いて誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を所望のパターンで転写することができる。
また、上記の実施形態においても、本発明の転写材料21を予め所望のパターン形状に加工し、次に、加工した転写材料21を、基材72に設けた電極75上に、電極75と接着層26とが当接するように重ね合わせ、転写材料21側から全面加熱を行い、その後、支持体22を剥離することにより、パターン形状で接着層26と誘電体層25と発光体層24と透明電極28からなるパターン積層体P3を電極75上に転写することができる。
尚、本発明のEL素子製造用の転写材料21を構成する支持体22として、透明基材を使用している場合、支持体22を剥離することなく、そのままEL素子の透明基材77として用いることができる。
【0055】
図8は、本発明のEL素子の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、基材82上に、電極37が当接するように本発明のEL素子製造用の転写材料31を重ね合わせ、転写材料31側から所望のパターンで熱を印加する(図8(A))。基材82は、上述の基材62と同様である。図示例では、所望の熱印加パターンを領域Aで示してあり、パターン形状の熱印加は、サーマルヘッド、レーザー光照射、ヒートプレス等により行うことができる。このような熱印加により、領域Aにおいて、電極37が基材82に接着する。
【0056】
次に、支持体32を剥離することにより、上記のパターン形状で電極37、接着層36、誘電体層35、発光体層34、透明電極38からなるパターン積層体P4が基材82に転写される(図8(B))。
次いで、透明基材87を上記のパターン積層体P4上に固着することにより、EL素子81が得られる(図8(C))。透明基材87は、上述の透明基材57と同様である。
【0057】
このような本発明のEL素子製造方法では、本発明の転写材料を用いて電極と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を所望のパターンで転写することができる。
また、上記実施形態のEL素子の製造方法においても、本発明の転写材料31を予め所望のパターン形状に加工し、次に、加工した転写材料31を、基材82上に電極37が当接するように重ね合わせ、転写材料31側から全面加熱を行い、その後、支持体32を剥離することにより、パターン形状で電極37と接着層36と誘電体層35と発光体層34と透明電極38からなるパターン積層体P4を基材82上に転写することができる。
尚、本発明のEL素子製造用の転写材料31を構成する支持体32として、透明基材を使用している場合、支持体32を剥離することなく、そのままEL素子の透明基材87として用いることができる。
【0058】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
転写材料の作製
まず、支持体として、裏面にサーマルヘッドによる熱転写時の熱融着防止、滑り性向上のための耐熱活性層を備えたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製F−57(厚み6μm))を準備した。このPETフィルムの表面に下記組成の剥離層用組成物をバーコーターにより塗布(塗布厚0.1g/m2)し、乾燥して剥離層を形成した。
(剥離層用組成物)
・カルナバワックス … 10重量部
・水/イソプロピルアルコール(重量比1/1) … 90重量部
【0059】
次に、上記の剥離層上に下記組成の緑色発光体組成物をバーコーターにより塗布(塗布厚10μm)し、乾燥して緑色発光の発光体層を形成した。
(発光体組成物)
・緑色発光材料 … 50重量部
(オスラム・シルバニア社製ANE430)
・バインダー(東洋紡(株)製バイロンV700) … 15重量部
・トルエン … 35重量部
【0060】
次に、上記の発光体層上に、下記の誘電体組成物をバーコーターにより塗布(塗布厚10μm)し、乾燥して誘電体層を形成した。さらに、誘電体層上に下記組成の接着層用組成物をバーコーターにより塗布(塗布厚10μm)し、乾燥して接着層を形成した。これにより、転写材料を得た。
(誘電体組成物)
・誘電材料(共立窯業原料(株)製BT−SA) … 50重量部
・バインダー(東洋紡(株)製バイロンV700) … 15重量部
・トルエン … 35重量部
(接着層用組成物)
・レゼムEU−2(中京油脂(株)製) … 50重量部
・水/イソプロピルアルコール(重量比1/1) … 50重量部
【0061】
EL素子の作製
基材として、厚み6μmのPETフィルム(東レ(株)製F−57)を準備し、この基材上に真空蒸着法によりアルミニウムからなる電極(膜厚30nm)を形成した。次いで、この電極上に、上記の転写材料を、接着層が電極と当接するように重ね合わせ、サーマルヘッドによりパターン形状に熱印加(20mJ/mm2)を行った。その後、支持体を剥離して、接着層と誘電体層と緑色発光体層とからなるパターン積層体を電極上に転写した。
【0062】
次に、厚み150μmのPETフィルム(東レ(株)製ルミラーT60)を透明基材とし、この透明基材上に真空蒸着法により膜厚30nmの酸化インジウムスズ(ITO)電極を形成した。次いで、この透明基材を、ITO電極が上記のパターン積層体を覆うように固着してEL素子を作製した。
【0063】
EL素子の評価
外部交流電源から、240V、1kHzの条件でエネルギー印加を行ったところ、EL素子の発光効率は8ルーメン/Wとなった。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば転写材料を用いて接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体、あるいは、電極と接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体、あるいは、接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体、あるいは、電極と接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を所望のパターンで転写することができるので、従来のスクリーン印刷法に比べて多品種少ロットの対応性が大幅に向上し、種々の設計によるエレクトロルミネッセンス素子を簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【図6】本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法の他の実施形態を示す工程図である。
【図7】本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法の他の実施形態を示す工程図である。
【図8】本発明のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法の他の実施形態を示す工程図である。
【符号の説明】
1,11,21,31…エレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料
2,12,22,32…支持体
3,13,23,33…剥離層
4,14,24,34…発光体層
5,15,25,35…誘電体層
6,16,26,36…接着層
17,37…電極
28,38…透明電極
51,61,71,81…エレクトロルミネッセンス素子
52,62,72,82…基材
55,75…電極
56,66…透明電極
57,67,77,87…透明基材
P1,P2,P3,P4…パターン積層体
Claims (14)
- 支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、発光体層、誘電体層、接着層および電極とを備え、前記支持体と前記発光体層との間で剥離可能であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料。
- 前記発光体層、前記誘電体層は、バインダーとして熱溶融性樹脂、熱軟化性樹脂およびワックスの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料。
- 支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、透明電極、発光体層、誘電体層、接着層および電極とを備え、前記支持体と前記透明電極との間で剥離可能であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料。
- 前記支持体が透明基材であることを特徴とする請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料。
- 支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記発光体層との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を、電極を形成した基材の該電極上に、前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から所望のパターン形状で熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を前記電極上に転写し、その後、透明電極を形成した透明基材を該透明電極が前記パターン積層体の発光体層と当接するように固着することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記発光体層との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を所望のパターン形状に加工し、基材に形成された電極上に、前記加工後の転写材料を前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を前記電極上に転写し、その後、透明電極を形成した透明基材を該透明電極が前記パターン積層体の発光体層と当接するように固着することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 基材上に請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から所望のパターン形状で熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で電極と接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を前記基材上に転写し、その後、透明電極を形成した透明基材を該透明電極が前記パターン積層体の発光体層と当接するように固着することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を所望のパターン形状に加工し、基材上に前記加工後の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で電極と接着層と誘電体層と発光体層からなるパターン積層体を前記基材上に転写し、その後、透明電極を形成した透明基材を該透明電極が前記パターン積層体の発光体層と当接するように固着することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、透明電極、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記透明電極との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を、電極を形成した基材の該電極上に、前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から所望のパターン形状で熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を前記電極上に転写し、その後、透明基材を前記パターン積層体の透明電極と当接するように固着することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、透明電極、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記透明電極との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を所望のパターン形状に加工し、基材に形成された電極上に、前記加工後の転写材料を前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を前記電極上に転写し、その後、透明基材を前記パターン積層体の透明電極と当接するように固着することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 基材上に請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から所望のパターン形状で熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で電極と接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を前記基材上に転写し、その後、透明基材を前記パターン積層体の透明電極と当接するように固着することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を所望のパターン形状に加工し、基材上に前記加工後の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加し、その後、前記支持体を剥離することにより前記パターン形状で電極と接着層と誘電体層と発光体層と透明電極からなるパターン積層体を前記基材上に転写し、その後、透明基材を前記パターン積層体の透明電極と当接するように固着することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 透明基材である支持体と、該支持体上に順次積層された剥離層、透明電極、発光体層、誘電体層および接着層とを備え、前記支持体と前記透明電極との間で剥離可能であるエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を、電極を形成した基材の該電極上に、前記接着層が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 基材上に請求項4に記載のエレクトロルミネッセンス素子製造用の転写材料を前記電極が当接するように重ね合わせ、前記転写材料の支持体側から熱を印加することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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