JP4630169B2 - 隠蔽用積層体 - Google Patents
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隠蔽式はがきとしては、例えば、用紙片面の一方の半分の領域に情報記入欄が設けられ、他方の半分の領域上に再剥離性粘着剤を塗布して粘着剤層を形成し、その粘着剤層上に剥離紙を積層するものが提案されている(特許文献1参照、以下、本発明での用語に合わせ、情報記入欄が設けられた用紙の一方の半分の領域を情報記入用シートといい、粘着剤層が形成された他方の半分の領域を隠蔽用シートという。)。
また、特許文献2では、裏面に情報記入欄が設けられた返信用はがきと、再剥離性粘着剤層を有し、返信用はがきの情報記入欄に対向する位置に配置された隠蔽ラベルとを備え、隠蔽ラベル(以下、本発明の用語に合わせ、隠蔽用シートという。)の再剥離性粘着剤層の一部が返信用はがき(以下、本発明の用語に合わせ、情報記入用シートという。)の裏面の情報記入欄外の領域に貼着されていると共に、再剥離性粘着剤層の残部に剥離紙が積層されたものが提案されている。
さらに、特許文献2に記載の隠蔽式はがきでは、情報記入欄を確実に隠蔽する目的で、隠蔽用シートの一部が情報記入用シートの裏面に貼着されているが、隠蔽用シートから剥離紙を剥離する際に、誤って隠蔽用シートを情報記入用シートから剥離してしまうことがあった。隠蔽用シートを情報記入用シートから剥離してしまうと、隠蔽用シートの位置合わせが難しくなり、情報記入用シートの情報記入欄上に隠蔽用シートを確実に再貼着することが困難になった。
[1] 情報を記入する情報記入欄が設けられた情報記入用シートと、情報記入用シートの情報記入欄より面積の大きい隠蔽用シートとを具備し、情報記入用シートの少なくとも情報記入欄上に隠蔽用シートが貼着されている隠蔽用積層体であって、
隠蔽用シートが、隠蔽用基材と該隠蔽用基材における情報記入用シート側に形成された再剥離性粘着剤層とを有し、情報記入用シートから剥離可能および情報記入用シートに再貼着可能になっており、
かつ、隠蔽用シートが、情報記入用シートの少なくとも情報記入欄を隠蔽する情報隠蔽領域と該情報隠蔽領域以外の領域である情報非隠蔽領域とに区画され、前記情報隠蔽領域には、前記情報隠蔽領域と前記情報非隠蔽領域との境界線から、先端が情報記入用シートの情報記入欄側に向いている凸状の切り込みが、2つ以上、互いに接触せずに形成されていることを特徴とする隠蔽用積層体。
[2] 前記境界線上にミシン目が形成されている[1]に記載の隠蔽用積層体。
[3] 前記凸状の切り込みが、前記境界線を底辺とする三角形の底辺以外の二辺を構成するものである[1]または[2]に記載の隠蔽用積層体。
本実施形態の隠蔽用積層体は、一方の面にあて先を記入する欄が設けられ、他方の面に情報を記入する欄が設けられた隠蔽式はがきである。
図1および図2に、本実施形態の隠蔽式はがきを示す。本実施形態の隠蔽式はがき1は、情報を記入する情報記入欄11が設けられた矩形状の情報記入用シート10(図3参照)と、情報記入欄11より面積の大きい略矩形状の隠蔽用シート20とを具備し、情報記入用シート10の情報記入欄11およびその周辺に隠蔽用シート20が貼着されたものである。
情報記入用シート10としては、例えば、紙類、フィルム類等を使用できる。紙類としては、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等が挙げられ、フィルム類としては、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の各種高分子フィルムが挙げられる。また、蒸着紙、合成紙、布、不織布、金属ホイル等も使用できる。さらに、これらが複数積層した積層体などを適宜採用することができる。
情報記入用シート10の情報記入欄11は、本実施形態のように、記入する箇所を明確にするために、枠11aが設けられていることが好ましい。枠11aを設ける方法としては、公知の印刷を適用することができる。
情報記入欄11に記入する情報としては、例えば、氏名、電話番号、住所、カード番号、収入金額、借入金額、略歴、家族構成、問診の回答などが挙げられる。
隠蔽用シート20は、隠蔽用基材21と、隠蔽用基材21上に形成された再剥離性粘着剤層22とを有する。
(隠蔽用基材)
隠蔽用基材21としては、情報記入用シートと同じものを使用できる。ただし、隠蔽用基材21は、情報記入用シート10に記入した情報が隠蔽用シート20を通して視認できないように、高い隠蔽性を有していることが好ましい。隠蔽性を高めるためには、例えば、隠蔽用基材21中に酸化チタンなどの不透明化剤を添加したり、塗布したりする方法、表面及び/又は裏面に印刷インキのベタ印刷や地紋印刷等を施す方法、全体又は一部に銀色、黒色、濃紺色等の濃色系の着色フィルムや濃色系の色付き紙を用いる方法、透明樹脂フィルムにアルミニウム箔を蒸着させたものを用いる方法などの方法を適宜採用できる。
再剥離性粘着剤層22は再剥離性粘着剤からなる。再剥離性粘着剤としては再剥離性を有するものであれば特に限定されず、例えば、粘着剤が架橋剤で架橋された再剥離性粘着剤などが挙げられる。粘着剤が架橋剤で架橋された再剥離性粘着剤としては、粘着性と再剥離性のバランスに優れることから、粘着剤である粘着性微粒子と、バインダと、タッキファイヤと、カルボジイミド基を有する架橋剤とを含有する再剥離性粘着剤(A)が好ましい。以下、再剥離性粘着剤(A)について詳述する。
粘着性微粒子はそれ自体が粘着性を有する微粒子であれば特に制限されないが、物性のバランスから、アクリル系共重合体からなることが好ましい。
アクリル系共重合体からなる粘着性微粒子としては、例えば、特開2000−281988号公報による方法で得られる粘着性微粒子が挙げられる。すなわち、(a)一般式 CH2=CHCOOR1(但し、R1 は炭素数4〜10の直鎖または分岐アルキル基を表す)で示されるアクリル酸エステル系単量体60〜100質量%、(b)カルボキシル基を有する不飽和単量体0〜10質量%、(c)前記単量体(a)および(b)と共重合可能なその他の不飽和単量体0〜40質量%、を共重合して得たアクリル系共重合体微粒子が挙げられる。
このようなアクリル酸エステルの具体例としては、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、i−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレートなどを例示できる。これらのうち、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、i−ノニルアクリレート等の使用が好ましい。
ゲル分率が80%未満では、粘着性微粒子の強度が弱く、外圧により扁平化し、品質低下が発生し、製品保存安定性が低下する。また、95%を超えると、粘着微粒子の強度が強すぎて、粘着性が低くなる傾向にある。
粘着性微粒子の平均粒子径が10μm以上であれば、再剥離性粘着剤層22表面に凹凸が形成されて再剥離性が向上し、50μm以下であれば優れた接着性を維持できる。
ここで、平均粒子径は、数平均粒子径であり、例えば、粘着性微粒子の電子顕微鏡写真からランダムに100個程度の微粒子を選び、粒子径を測ってその平均値を求めることができる。粒子が真球でない場合は、長径と短径を求め、その平均値をその粒子の粒子径と仮定すればよい。
バインダとしては、例えば、天然ゴムや合成ゴムをベースにしたゴム系、またアクリル系、SBR系、シリコーン系等の合成樹脂をベースにしたものが挙げられる。形態としてはエマルジョン型、溶剤型、無溶剤型などがあり、いずれのタイプでもよいが、中でも粘着性、耐久性および価格面から水性エマルジョン型のアクリル系粘着剤で、Tgが−30〜−10℃のものが粘着性の面から好ましい。Tgを−30℃以上とすることで糊残りを防止でき、−10℃以下とすることで再剥離性粘着剤層22の柔軟性を確保することができる。
バインダの量は粘着性微粒子100質量部に対して、5〜40質量部であることが好ましく、5〜35質量部であることがより好ましく、5〜30質量部であることが特に好ましい。バインダの量が粘着性微粒子100質量部に対して40質量部以下であれば、粘着性を向上させることができる。
タッキファイヤは、再剥離性粘着剤(A)の初期接着性を向上させるために使用される。
タッキファイヤとしては、例えば、石油樹脂、天然樹脂またはそれらの誘導体などが挙げられる。石油樹脂、天然樹脂またはそれらの誘導体とは、例えば、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体等のテルペン系樹脂;例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族系石油樹脂等の石油系樹脂;例えば、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル等のロジン系樹脂;その他、フェノール樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂等を例示することができる。これらの中でも、石油系樹脂、ロジン系樹脂またはテルペン系樹脂が好ましい。
タッキファイヤの軟化点は、70〜180℃であることが好ましく、100〜160℃であることがより好ましく、120〜150℃であることが特に好ましい。また、タッキファイヤの質量平均分子量(Mw)が、5000以下であることが好ましく、2000〜4000であることがより好ましい。
また、タッキファイヤは、水系媒体中において安定に分散されるものが好ましく、水系媒体中の体積平均粒子径が0.4μm以下になるものが好ましく、0.05〜0.35μmになるものがより好ましい。
架橋剤は、カルボジイミド基を1つ以上有するものである。ここで、カルボジイミド基とはカルボジイミド(NH=C=NH)から水素が1つ又は2つ引き抜かれた基(NH=C=N−、−N=C=N−)を示す。なお、カルボジイミドはシアナミド(NCNH2)と互変異性の関係にあるため、シアナミド基(NCNH−)もカルボジイミド基に含まれるものとする。
このようなカルボジイミド基を有する架橋剤の具体例としては、ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、ウレア変性カルボジイミド等を挙げることができる。
架橋剤量は粘着性微粒子100質量部に対して0.2〜5質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。
また、隠蔽用シート20は、情報記入用シート10の少なくとも情報記入欄11を隠蔽する情報隠蔽領域23と情報隠蔽領域23以外の領域である情報非隠蔽領域24とに区画されている。本実施形態では、具体的には、隠蔽用シート20の一辺20a(図示例では隠蔽用シート20の左辺)側の端部の領域を情報非隠蔽領域24とし、情報非隠蔽領域24より情報記入欄11側(図示例では右側)の領域、すなわち情報記入欄11に接触する領域およびその周辺の領域を情報隠蔽領域23として区画されている。
隠蔽用シート20における境界線25上には、情報隠蔽領域23を切り取ることが可能なミシン目が形成されている。
本実施形態における隠蔽用シート20では、隠蔽用シート20を剥離する際に摘む部分を指示する表示27が設けられて摘み部28が、情報隠蔽領域23の端部(図示例では隠蔽用シート20の右下の角)に設定されている。
これは、隠蔽用シート20を剥離した際に、凸状の切り込み26の内側部分が、外側部分から分離して情報記入用シート10に貼着されたままになり、境界線25まで剥離したときにも隠蔽用シート20の情報記入用シート10への貼着力を保持し続け、さらに剥離するためにはより強い剥離力が必要になるためであると考えられる。また、隠蔽用シート20の情報非隠蔽領域24を剥離しようとすると、境界線25にて隠蔽用シート20が破けてしまうが、通常、利用者は破けないようにする注意を払うため、情報非隠蔽領域24の剥離を抑制することができる。
なお、隠蔽用シート20を情報非隠蔽領域24側から剥離する場合には、凸状の切り込み26の内側部分と外側部分とが同時に剥離するため、内側部分が貼着されたままにならず、境界線25にて剥離が停止することはない。
さらに、境界線25上にミシン目が形成されている場合には、再貼着した隠蔽用シート20を境界線25まで剥離した後に、ミシン目にて隠蔽用シートの情報隠蔽領域23を切り取ることができる。
また、上記隠蔽式はがき1は、剥離紙を用いないため、情報を記入する利用者側でのゴミの発生を防止できる。
上記隠蔽式はがき1の使用方法の一例について説明する。隠蔽式はがき1の使用方法では、まず、企業が顧客(利用者)に隠蔽式はがき1を送付する。隠蔽式はがき1を受け取った顧客は、隠蔽用シート20の摘み部28を摘んで引っ張り、隠蔽用シート20の情報隠蔽領域23を情報記入用シート10から境界線25まで剥離して、情報記入用シート10の情報記入欄11を露出させる(図4参照)。次いで、情報記入欄11に個人情報等の情報を記入した後、剥離した隠蔽用シート20の情報隠蔽領域23を、情報記入用シート10の情報記入欄11上に再貼着し、企業に返送する。
他の使用方法としては、顧客から返送された隠蔽式はがき1を受け取った企業では、まず、隠蔽用シート20を摘み部28側から境界線25まで再剥離する。次いで、境界線25上のミシン目にて、隠蔽用シート20の情報隠蔽領域23を切り取って、情報記入用シート10の情報記入欄11を露出させる。そして、情報記入欄11に記入された情報を光学読み取り装置あるいは目視により読み取る。
なお、隠蔽式はがき1の使用方法は上記の方法に限定されるものではない。
ただし、凸状の切り込み26は、隠蔽用シート20を剥離した際に切り込みの内側部分と外側部分とが容易に分離することから、図1,5,6の例のように、情報記入欄11側に向けて幅が狭くなっていることが好ましい。
また、上述した実施形態では、隠蔽用積層体が、あて先を記入する欄が設けられた隠蔽式はがき1であったが、あて先を記入する欄が設けられていない積層シートであっても構わない。
10 情報記入用シート
11 情報記入欄
20 隠蔽用シート
21 隠蔽用基材
22 再剥離性粘着剤層
23 情報隠蔽領域
24 情報非隠蔽領域
25 境界線
26,31,32,33 凸状の切り込み
28 摘み部
Claims (3)
- 情報を記入する情報記入欄が設けられた情報記入用シートと、情報記入用シートの情報記入欄より面積の大きい隠蔽用シートとを具備し、情報記入用シートの少なくとも情報記入欄上に隠蔽用シートが貼着されている隠蔽用積層体であって、
隠蔽用シートが、隠蔽用基材と該隠蔽用基材における情報記入用シート側に形成された再剥離性粘着剤層とを有し、情報記入用シートから剥離可能および情報記入用シートに再貼着可能になっており、
かつ、隠蔽用シートが、情報記入用シートの少なくとも情報記入欄を隠蔽する情報隠蔽領域と該情報隠蔽領域以外の領域である情報非隠蔽領域とに区画され、前記情報隠蔽領域には、前記情報隠蔽領域と前記情報非隠蔽領域との境界線から、先端が情報記入用シートの情報記入欄側に向いている凸状の切り込みが、2つ以上、互いに接触せずに形成されていることを特徴とする隠蔽用積層体。 - 前記境界線上にミシン目が形成されている請求項1に記載の隠蔽用積層体。
- 前記凸状の切り込みが、前記境界線を底辺とする三角形の底辺以外の二辺を構成するものである請求項1または2に記載の隠蔽用積層体。
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