JPH04109179U - メールフオーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブロッキングを起こすことなく、開封を禁止
された密着面を剥離できないようにする。あるいは、故
意に剥離しようとした場合に密着面の双方または一方が
材料破壊して実質的にその面が使用できないようにす
る。 【構成】 開封を禁止された密着面に切込みを形成し、
その密着面を剥離したときに、その切込みを切っ掛けに
して、密着面が材料破壊を起こすようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、シークレット葉書用等として使用するメールフォームに関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

従来、金融機関や官庁からの通知等で親展性のあるものには、封書が使用され ていた。このような封筒には、メールフォーム自体を折りたたんで、周囲を封緘 し封筒にして送る３つ折りメールフォームが現在主流となっている。この３つ折 りメールフォームは、預金残高や借入金額などの秘密情報を印字して、そのまま 封筒の形態にしてしまうために、封入封緘作業が不要であるうえ、送付先と秘密 情報のマッチングが確実に図れる。また、送付先と秘密情報が同一面に印字でき るので、ノンインパクトプリンタ（ＮＩＰ）等の高速プリンタで一度に印字でき 、効率的な処理ができる。

【０００３】 しかし、３つ折りメールフォームは、周縁部のみ感圧接着剤でシールするため 、郵便法での扱いは「封筒」であり、「葉書」に比べて郵便料金が高い。また、 感圧接着剤をパターン状にして周縁部に塗布するために、フレキソ印刷などの比 較的低速の塗布方法を採用することになり、製造コストを上昇させる一因になっ ていた。さらに、接着剤の塗布部分と非塗布部分の厚さが違ったり、接着剤の塗 布裏面が隆起することにより、結果としてＮＩＰなどによる印字不良が発生する 可能性があった。さらにまた、開封時に開封しろなどがゴミとして発生するとい う問題もあった。一方、年金の支払い通知や税金の未払い金の督促状等は、葉書 で通知される場合が多く、プライバシーを守れないという苦情が多かった。

【０００４】 この問題を解決するために、実開平１−１６６５６１号では、「１対の透明な フィルムを互いに剥離可能に圧着したフィルム積層体と、そのフィルム積層体を 対向する被シール面間に接着挟持する折り畳み可能なカード基材とからなるシー ル付葉書」が提案されている。このとき、カード基材は、往復葉書のように２つ 折りする場合と、Ｚ状に３つ折りする場合がある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、前述したシール付葉書は、２つ折りする場合には、外側に宛名情報を 印字し、内側に秘密情報を印字しなければならないので、印字を２度行う必要が あり、処理速度が約半分に低下するとともに、宛名情報と秘密情報がミスマッチ して、秘密情報が他の宛名に送られる可能性がある。また、３つ折りする場合に は、カード基材やフィルム積層体等が葉書１枚分だけ余分に必要となるという問 題があった。

【０００６】 前記いずれの場合でも、フィルム積層体を挟み込んで全面接着させるため、そ の作業に手間がかかるうえ、前述した現在主流となっている封筒用の３つ折りメ ールフォームと異なる処理機や処理工程が含まれるので、設備の大幅な変更が必 要となってしまう。

【０００７】 本件出願人は、前述の問題を解決するために、「基材の密着予定面のほぼ全面 に加圧により粘着する弱粘着剤層を形成し、前記弱粘着剤層の表面に印字層を形 成し、前記基材を折り返しまたは積層して、対向する面の前記弱粘着剤層同士を 密着し、前記印字層を隠ぺいしたのちに、前記弱粘着剤層間から剥離するメール フォーム」をすでに提案している。

【０００８】 ところが、３つ折りメールフォームは、郵便法上、図８に示すように、宛名情 報記載欄Ｘと同じ側の秘密情報記載欄Ｙに秘密情報を記載して再剥離する場合に は、図９にハッチングで示した裏面（開封を禁止され面）Ｚは、秘密情報である か否かを問わず、一切記載してはならず、この部分に記載すると封筒扱いになっ てしまう。

【０００９】 このため、通常は、粘着剤の種類や塗布量を変えて、この部分の密着力を高め て、再剥離不能にすることが考えられる。しかし、圧着時に完全接着した密着面 を剥離させると材料破壊を起こすほど接着力を高めると、印字前に積み重ねてお いた場合に自重で密着して、いわゆるブロッキングを起こすという別の問題が発 生する。

【００１０】 本考案の目的は、封筒用の３つ折りメールフォームの処理機や処理工程はその ままで使用でき、製造コストが安く処理速度を大幅に向上できるとともに、ブロ ッキングを起こすことなく、開封を禁止された密着面を剥離できないような、あ るいは、故意に剥離しようとした場合に密着面の双方または一方が材料破壊して 実質的にその面が使用できないようなメールフォームを提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案によるメールフォームは、基材の密着予定面のほぼ全面に加圧により粘 着する弱粘着剤層を形成し、前記弱粘着剤層の表面に印字層を形成し、前記基材 を３つ折りして対向する面の前記弱粘着剤層同士を密着し、前記印字層を隠ぺい したのちに、前記弱粘着剤層間から剥離するメールフォームであって、前記基材 の開封を禁止された密着面に切込みを形成し、その密着面を剥離したときに、そ の切込みを切っ掛けにして、前記密着面が材料破壊を起こすようにした構成とし てある。

【００１２】

【作用】

本考案によれば、開封を禁止された密着面を剥離しようとすると、切込みが切 っ掛けとなって、密着面が材料破壊してしまう。

【００１３】

【実施例】

以下、図面等を参照して、実施例につき、本考案を詳細に説明する。図１〜図 ７は、本考案によるメールフォームの実施例を示した図であって、図１は平面図 、図２は底面図、図３は図１のＡ−Ａ断面図、図４は密着した状態を示した断面 図、図５は剥離した状態を示した断面図、図６は剥離した状態を示した平面図、 図７は剥離した状態を示した斜視図である。

【００１４】 メールフォーム１は、図１に示すように、通常葉書（定形葉書）のほぼ３倍の 大きさの用紙であり、破線で示した折曲予定線ｐ，ｑから３つ折りして使用され る。このとき、第１用紙の表面Ｆ１は、宛名情報等を記入する公開情報記入領域 Ｘとなる。第２用紙の表面Ｆ２と第３用紙の表面Ｆ３は、秘密情報等を記入する 秘密情報記入領域Ｙとなり、折り返して再剥離可能に密着される。

【００１５】 また、図２に示すように、第１用紙の裏面Ｒ１と第２用紙の裏面Ｒ２は、開封 を禁止された面Ｚであり、記載領域とすることができない。第３用紙の裏面Ｒ３ は、３つ折りしたときに葉書の裏面となり、秘密を要しない事項等を印刷してお くことができる。

【００１６】 第１用紙の表面Ｆ１の左端部（第１用紙の裏面Ｒ１の右端部）には、複数の切 込み１３が略楔状に形成されている。この切込み１３は、開封を禁止されている 面Ｚの主に周縁部に形成することが望ましく、密着面を剥離しようとした場合に 材料破壊の切っ掛けとなれば、形状，位置や個数は限定されない。

【００１７】 図３は、メールフォーム１を図１のＡ−Ａ線で破断して示したものであり、基 材１１の両側の密着予定面に、弱粘着剤層１２が形成されている。このメールフ ォーム１は、公開情報記入領域Ｘと、秘密情報記入領域ＹにＮＩＰ等で片面印字 し印字層１４を形成し、秘密情報記入領域Ｙを内側にして３つ折りし全面密着さ せて使用する（図４）。

【００１８】 次に、メールフォーム１の具体的な層構造について、更に詳しく説明する。基 材１１は、通常は、白色の上質紙が用いられるが、コロナ処理やマット処理など により表面をザラザラにしておけば、ＰＥＴ，ＰＥ，ＰＰ，塩化ビニル等の合成 樹脂フィルム等を使用することもできる。

【００１９】 弱粘着剤層１２は、樹脂分としてＳＢＲ（スチレン・ブタジエン・ゴム）、揮 発分として水、顔料分としてマイクロシリカ等を主成分とする粘着剤を使用する ことができる。なお、粘着剤同士の密着性を向上させるために、微量のＮＲ（天 然ゴム）や、ＰＭＭＡ（ポリメチルメタクリレート）などを添加してもよい。ま た、樹脂分よりも紫外線の吸収がよいアンモニアなどのアルカリ成分を添加して 、紫外線による劣化を防止することができる。さらに、微量の酢酸ビニルを加え てもよい。印字適性を向上させるための添加物は、マイクロシリカの他に、各種 のディスパージョンや非金属粉等を使用してもよい。

【００２０】 この実施例では、前記各成分を次のような割合で混合して使用した。 ＳＢＲ ２０〜２５部 水 ６５〜７０部 マイクロシリカ １０部 ＮＲ 微 量 ＰＭＭＡ 微 量

【００２１】 弱粘着剤層１２を形成するときの粘着剤の塗布方式としては、比較的高速化が 可能なコータによるコーティング等が使用できる。従来のフレキソ方式では、バ ット内の接着剤は経時ごとに廃棄していたので、本考案のように全面に塗布して 、粘着剤の塗布量が増加しても、従来の３つ折りメールフォームと比較してサイ ズが小さいこともあり、使用量は大きく変化せず、結果的にコストダウンが図れ る。

【００２２】 次に、このメールフォーム１の使用方法を説明する。メールフォーム１は、Ｎ ＩＰなどのプリンタを用いて、公開情報記入領域Ｘに住所，氏名などの宛名その 他の公開情報を、秘密情報記入領域Ｙに金融商品の満期通知等の秘密情報を、一 度に片面印字する。公開情報と秘密情報を片面に一度で印字できるので、印字速 度が速いとともに、両情報をマッチングさせることが容易かつ確実である。

【００２３】 こののち、メールフォーム１を折曲予定線ｐ，ｑから折り曲げて、３つ折りに して（図４）、全面密着させる。この状態でメールフォーム１を郵送すれば、郵 便料金が葉書扱いとなる。

【００２４】 受取人は、図５に示すように、第２用紙の表面Ｆ２と第３用紙の表面Ｆ３の弱 粘着剤層１２間を剥離することにより、秘密情報を毀損することなく開くことが でき、その秘密情報を読むことができる。

【００２５】 また、第１用紙の裏面Ｒ１と第２用紙の裏面Ｒ２の弱粘着剤層１２間を剥離し ようとすると、図５〜図７に示すように、切込み１３が切っ掛けとなり、亀裂１ ３ａが発生し、第１用紙が材料破壊を起こす。従って、開封を禁止された面Ｚは 、きれいに剥離することができず、情報を記載することができないので、郵便法 上葉書として扱われる。

【００２６】 以上説明した実施例に限定されず、種々の変形や変更ができ、それらも本考案 の範囲内である。このメールフォームでは、情報を印字するときの形態は、連続 用紙でも、単票用紙でもよいし、プリンタもＮＩＰに限らずドットインパクトプ リンタなどを使用してもよい。また、メールフォームには、秘密を要しない情報 などを適宜印刷しておくことができる。さらにまた、むやみに開封されないよう に、周縁部の全部または一部に、印字予定部分にかからないようにして、強粘着 剤層（ＮＲベース等）を設けたり、弱粘着剤層を厚くてもよい。

【００２７】 切込みを形成する位置は、折曲予定線ｑに近い側のような他の位置であっても よいし、また、切込みの形状は、楔形状に限らず、Ｖ字形，Ｕ字形，Ｗ字形，Ｙ 字形，Ｌ字形，半円形，コの字形もしくは十字形等でもよいし、単にミシン目等 を形成しておくだけでもよい。

【００２８】

【考案の効果】

以上詳しく説明したように、本考案によれば、現在広く使用されている封筒用 の３つ折りメールフォームの処理機や処理工程はそのままで使用でき、また、基 材の全面に弱粘着剤層を形成するので、高速の塗布装置を使用して製造でき、１ 枚当たりのコストダウンが可能となるとともに、表面に粘着剤による大きな凹凸 がないので、平面性がよく印字不良が起こりにくい。

【００２９】 また、開封を禁止された面に、切込みを設けてあるので、剥離しようとした場 合に、その切込みが切っ掛けとなって、材料破壊を起こして、開封することがで きない。従って、密着力を高める必要がないので、ブロッキングを起こす心配も ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案によるメールフォームの実施例
を示した平面図である。

【図２】図２は、本考案によるメールフォームの実施例
を示した底面図である。

【図３】図３は、図１のＡ−Ａ断面図である。

【図４】図４は、実施例のメールフォームの密着した状
態を示した断面図である。

【図５】図５は、実施例のメールフォームの剥離した状
態を示した断面図である。

【図６】図６は、実施例のメールフォームの剥離した状
態を示した平面図である。

【図７】図７は、実施例のメールフォームの剥離した状
態を示した斜視図である。

【図８】図８は、３つ折りメールフォームを説明するた
めの図である。

【図９】図９は、３つ折りメールフォームを説明するた
めの図である。

【符号の説明】

１ メールフォーム １１ 基材 １２ 弱粘着剤層 １３ 切込み １４ 印字層 Ｘ 公開情報記入領域 Ｙ 秘密情報記入領域 Ｚ 開封を禁止された面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材の密着予定面のほぼ全面に加圧によ
   り粘着する弱粘着剤層を形成し、前記弱粘着剤層の表面
   に印字層を形成し、前記基材を３つ折りして対向する面
   の前記弱粘着剤層同士を密着し、前記印字層を隠ぺいし
   たのちに、前記弱粘着剤層間から剥離するメールフォー
   ムであって、前記基材の開封を禁止された密着面に切込
   みを形成し、その密着面を剥離したときに、その切込み
   を切っ掛けにして、前記密着面が材料破壊を起こすよう
   にしたことを特徴とするメールフォーム。