JP4628923B2 - 照明式パネル - Google Patents

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本発明は、自動車のエアコン操作部やシフトレバー操作部、キーレスエントリー用キーケース部などの操作部に用いられる照明式パネルに関する。
従来、自動車のエアコン操作部やシフトレバー操作部などの操作部には、操作状態を示すための文字や図形などが表面に表示されたパネルが用いられている。図4は、エアコン操作部のパネルの正面図である。さらに、前記操作部のパネルは、夜間における操作位置の確認を容易とするため、裏側にランプ等の発光装置が配置されて前記文字や図形等の操作表示が発光装置の発光により照明される照明式パネル50で構成されている。符号T1とT2は、エアコンの風量調節と温度調節を行うための操作つまみであり、前記照明式パネル50に取り付けられる。
従来の照明式パネル50は、5−5断面を示す図5(操作つまみT1,T2及び発光装置を省略した図)のように、装飾フィルム材51とパネル本体部材61がフィルムインサート射出成形により積層一体化されたものであって、前記装飾フィルム材51には文字や図形等からなる操作表示(例えば風量や温度等の表示)で構成される透光部52の形成された照明部53が設けられ、一方、前記パネル本体部材61には前記照明部53の裏側位置に投光用開口部63が設けられている。符号65は、操作つまみ挿入孔である。
前記照明式パネル50においては、前記装飾フィルム材51の照明部53は、前記透光部52を除く部分が光の透過し難い濃色などで構成され、一方、前記透光部52が光透過可能な薄い色あるいは明るい色、または透明などで構成されており、前記発光装置による光が前記パネル本体部材61の投光用開口部63を通って照明部53を照らした際に、前記照明部53の透光部52が明るく表示されるようになっている。
前記フィルムインサート射出成形による照明式パネル50の成形は、前記透光部52や前記照明部53及び他の部分が塗装等によって所定の色とされた装飾フィルム材51を射出成形型内にセットし、その後射出成形型内に樹脂を射出して前記パネル本体部材61を成形することにより行われる。その際、前記装飾フィルム材51の照明部53の裏側には型の一部が配置されて前記投光用開口部63がパネル本体部材61に形成される。
しかし、フィルムインサート射出成形された従来の照明式パネル50には、以下の問題がある。
第1に、射出成形時に前記投光用開口部63の内周縁64位置で前記装飾フィルム材51に射出圧及び射出熱が集中するため、前記装飾フィルム材51には、前記投光用開口部64の内周縁の位置で圧力マークと称される色の差を生じ易くなり、前記照明式パネル50の美観が損なわれるおそれがある。
第2に、前記装飾フィルム材51は、前記パネル本体部材61の投光用開口部63と対応する部分、すなわち前記照明部53では前記パネル本体部材61で裏打ちされていないため、フィルムインサート射出成形後の冷却等によって前記照明部53とその周囲との間でフィルムの収縮差を生じて照明部53が撓んだり、その撓みによって前記装飾フィルム材51に投光用開口部63の内周縁でラインが発生したりして、前記照明式パネル50の美観が損なわれるおそれがある。
第3に、前記装飾フィルム材51の透光部52を構成する文字や図形等を大にして操作者に認識し易くするには、前記パネル本体部材61の投光用開口部63を大きくして前記照明部53を大にする必要があるが、前記投光用開口部63及び照明部53を大きくすると、フィルムだけからなる前記照明部53の強度低下が大になって、前記操作つまみによる操作等の際に操作者の指が照明部53と当接して照明部53を破損し易くなったり、通常時にも前記照明部53に撓みを生じて見苦しくなったりするおそれがある。
特開平11−208249号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、装飾フィルム材の照明部に圧力マークが発生することなどによる美観の低下を抑えることができ、しかも文字や図形等からなる透光部を認識し易いように大きくしても、装飾フィルム材の照明部における強度低下や、撓みなどによる美観低下を防ぐことができる照明式パネルの提供を目的とする。
請求項1の発明は、装飾フィルム材とパネル本体部材がフィルムインサート射出成形により積層一体化されたものであって、前記装飾フィルム材には透光部の形成された照明部が設けられ、前記パネル本体部材には前記照明部の裏側位置に投光用開口部が設けられている照明式パネルにおいて、前記装飾フィルム材における前記照明部の裏面に光透過材料からなる光透過補強部材が積層され、前記パネル本体部材は、前記投光用開口部が前記光透過補強部材で塞がれた状態で射出成形されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記光透過補強部材が前記装飾フィルム材の裏面略全体に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、装飾フィルム材における照明部の裏面に光透過材料からなる光透過補強部材が積層されているため、射出成形時にパネル本体部材の投光用開口部の内周縁位置で装飾フィルム材に射出圧が集中するのを防ぐことができ、装飾フィルム材において投光用開口部内縁の位置に圧力マークと称される色の差を生じ難くでき、照明式パネルの美観が損なわれるのを防ぐことができる。
また、本発明によれば、装飾フィルム材における照明部の裏面に光透過材料からなる光透過補強部材が積層されているため、フィルムインサート射出成形後の冷却等によって照明部とその周囲との間でフィルムの収縮差を生じて撓んだり、その撓みによって装飾フィルム材に投光用開口部の内縁でラインが発生したりするのを生じ難くでき、照明式パネルの美観が損なわれるのを防ぐことができる。
さらに、本発明によれば、装飾フィルム材における照明部の裏面に光透過材料からなる光透過補強部材が積層されているため、装飾フィルム材の透光部を構成する文字や図形等を大にして操作者に認識し易くする目的などで、パネル本体部材の投光用開口部を大きくして照明部を大にする場合にも、照明部の強度低下を抑えて破損を防ぐことができると共に、照明部に撓みを生じて見苦しくなったりするのを防ぐことができる。
以下本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る照明式パネルの部分断面図、図2は他の実施形態に係る照明式パネルの斜視図、図3は図2の3−3断面図である。
図1に示す照明式パネル10は、エアコン操作部のパネルとして用いられるものであって、図4に示したエアコン操作部のパネルと同様の外観からなる。なお、図1は、図4の5−5と同位置での断面を示す。
前記照明式パネル10は、装飾フィルム材21とパネル本体部材31と光透過補強部材41とよりなり、公知のフィルムインサート射出成形により積層一体化され、所定位置に筒状部32が前面へ突出形成されたものからなる。前記筒状部32内の底面33の中央には、操作つまみを回動可能に挿入するための孔34が形成されている。また、前記筒状部32の周壁は、外周壁35と内周壁36の二重壁構造からなり、前記外周壁35と内周壁36の前端間の透光用開口部38が前記装飾フィルム材21と前記光透過補強部材41により塞がれた構造からなる。
前記装飾フィルム材21は、適宜の厚み(例えば0.3〜0.5mm程度)のプラスチックフィルムからなり、前記筒状部32における外周壁35及び内周壁36の前端間の透光用開口部38を覆うことのできる環状溝形状からなり、真空成形等により賦形されている。また、前記装飾フィルム材21は、前面及び両側部の前端側部分が照明部22とされ、前記照明部22に透光部23が形成されている。前記照明部22は、前記装飾フィルム材21において前記透光用開口部38を覆う部分に相当する。前記透光部23は、文字や図形等からなる操作表示で構成されると共に、光の透過可能な薄い色あるいは明るい色(例えば白や黄、青など)または透明などで構成されており、前記照明式パネル10の裏側に配置される発光装置による光が透過可能とされている。また、前記照明部22における前記透光部23を除く部分は、光の透過し難い濃色(例えば黒や濃紺)などで構成されている。なお、本実施例の装飾フィルム材21においては、前記透光部23のみが光透過可能とされ、その他の全体については光が透過し難い色とされている。
前記装飾フィルム材21における前記照明部22の裏面には、光透過材料からなる光透過補強部材41が積層一体化されている。前記光透過材料は、光が透過可能な透明(無色透明あるいは着色透明)プラスチックとされる。前記光透過補強部材41は前記透光用開口部38を塞ぐことができるように、前記照明部22の裏面全体に形成されている。前記光透過補強部材41の厚みは、適宜とされるが、例として数mm厚を挙げる。
前記パネル本体部材31は、前記照明式パネル10の基材となるものであって、剛性を有するプラスチックからなり、前記外周壁35と内周壁36の二重壁構造かなる筒状部32を備える。前記筒状部32内には前記底面33が形成され、さらに前記底面33に操作つまみ挿入用の前記孔34が形成されている。前記筒状部32の外周壁35と内周壁36間は光透過通路37とされると共に、前記光透過通路37の前端、すなわち前記外周壁35と内周壁36の前端間が前記透光用開口部38として開口している。前記透光用開口部38は前記光透過補強部材41で塞がれ、さらに前記光透過補強部材41の表面が前記装飾フィルム材21によって覆われている。
前記照明式パネル10のインサートフィルム射出成形は、予め賦形した前記装飾フィルム材21を射出成形型にセットし、前記装飾フィルム材21の照明部22の裏面に前記光透過補強部材41を射出成形し、その後に前記パネル本体部材31を射出成形することにより行うことができる。
前記照明式パネル10は、裏側に配置される発光装置からの光が前記筒状部32の光透過通路37を通り、前記透光用開口部38の光透過補強部材41を経て前記装飾フィルム材21の前記照明部22裏面を照射することにより、前記照明部22における透光部23が明るく照明される。
なお、前記実施形態の照明式パネル10では、前記光透過補強部材41を前記装飾フィルム材21の照明部22裏面のみに設けることにより、光透過補強部材41の量を少なくし、前記照明式パネル10の軽量化及び低コストを実現しているが、前記光透過補強部材41を前記装飾フィルム材21の裏面全体に設けてもよい。
図2及び図3に、他の実施形態に係る照明式パネル10Aを示す。前記照明式パネル10Aは、光透過補強部材41Aを装飾フィルム材21Aの裏面略全体に設けたものであって、自動車のシフトレバー操作部に用いられるものである。前記照明式パネル10Aは、フィルムインサート射出成形により形成される。符号22Aは照明部、23Aは透光部、31Aはパネル本体部材、38Aは透光用開口部、39Aはシフトレバー移動用開口部である。
なお、本発明の照明式パネルは、前記のようなエアコンの操作部のパネルやシフトレバー操作部のパネルに限定されず、その他の操作部パネルにも適用可能である。
本発明の一実施形態に係る照明式パネルの部分断面図である。 本発明における他の実施形態に係る照明式パネルの斜視図である。 図2の3−3断面図である。 従来におけるエアコン操作部のパネルの斜視図である。 図4の5−5断面図である。
符号の説明
10 照明式パネル
21 装飾フィルム材
22 照明部
23 透光部
31 パネル本体部材
38 透光用開口部
41 光透過補強部材

Claims (2)

  1. 装飾フィルム材(21)とパネル本体部材(31)がフィルムインサート射出成形により積層一体化されたものであって、前記装飾フィルム材(21)には透光部(23)の形成された照明部(22)が設けられ、前記パネル本体部材(31)には前記照明部(22)の裏側位置に投光用開口部38)が設けられている照明式パネルにおいて、
    前記装飾フィルム材(21)における前記照明部(22)の裏面に光透過材料からなる光透過補強部材(41)が積層され
    前記パネル本体部材(31)は、前記投光用開口部(38)が前記光透過補強部材(41)で塞がれた状態で射出成形されていることを特徴とする照明式パネル。
  2. 前記光透過補強部材が前記装飾フィルム材の裏面略全体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明式パネル。
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