JP4628009B2 - ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関し、特に充填剤の分散性が高く、低発熱性、破壊特性及び耐摩耗性に優れたゴム組成物に関するものである。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が強まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。従来、タイヤの転がり抵抗を減少させる手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物としてより発熱性の低いゴム組成物を用いることが、現在最も一般的な手法として行われている。
このような発熱性の低いゴム組成物を得る方法として、カーボンブラックやシリカ等の充填剤の減量、又は大粒径のカーボンブラックの使用等が考えられるが、いずれの方法でも、ゴム組成物の補強性、耐摩耗性及び湿潤路面でのグリップ性の低下が避けられない。
一方、発熱性の低いゴム組成物を得る方法として、ゴム組成物中の充填剤の分散性を高める技術開発も数多くなされてきた。その中でも、特にアルキルリチウムを用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性部位を充填剤と相互作用可能な官能基で修飾する方法が、最も効果的である。
例えば、充填剤としてカーボンブラックを用い、ゴム成分として重合活性部位をスズ化合物で修飾した変性共役ジエン系重合体を用いる方法(特許文献1参照)、充填剤としてカーボンブラックを用い、ゴム成分として重合活性両末端をスズ化合物で修飾した変性共役ジエン系重合体を用いる方法(特許文献2参照)、充填剤としてカーボンブラックを用い、ゴム成分として末端にアミノ基を導入した変性共役ジエン系重合体を用いる方法(例えば、特許文献3〜7参照)等が知られている。
特公平5−87530号公報 特開平6−49279号公報 特開昭62−207342号公報 特開平6−199923号公報 特開平8−231658号公報 特開平8−225604号公報 特開平6−279620号公報
しかしながら、ゴム成分として上記変性共役ジエン系重合体を用いる場合、充填剤及び軟化剤の配合量が少ない低燃費タイヤ用のゴム組成物においては、変性共役ジエン系重合体による充填剤の分散性改良効果が大きいが、充填剤及び軟化剤の配合量が多い汎用タイヤ向けのゴム組成物においては、変性共役ジエン系重合体による充填剤の分散性改良効果が十分に発揮されず、ゴム組成物の低発熱性、破壊特性及び耐摩耗性を十分に改善できないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、充填剤及び軟化剤の配合量が多くても、充填剤の分散性が良好で、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性に優れたゴム組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるゴム組成物を用いた、破壊特性、耐摩耗性及び低燃費性に優れたタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ゴム成分として含窒素官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を用いることで、充填剤及び軟化剤の配合量が多くても、充填剤の分散性が高く、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性に優れたゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のゴム組成物は、分子中に窒素を含む官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を10質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック及び/又はシリカを合計50質量部以上、並びに軟化剤を15質量部以上配合してなり、
前記窒素を含む官能基が、下記式(I):
Figure 0004628009
[式中、R 1 は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である]で表される置換アミノ基、及び下記式(II):
Figure 0004628009
[式中、R 2 は、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基を示す]で表される環状アミノ基からなる群から選択されることを特徴とする。
本発明のゴム組成物の好適例においては、前記変性共役ジエン系重合体は、分子末端に窒素を含む官能基を5つ以上有する。ここで、該変性共役ジエン系重合体は、分子末端に窒素を含む官能基を6つ以上有するのが望ましい。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記変性共役ジエン系重合体は、下記式(III):
3 aZXb ・・・ (III)
[式中、R3は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基からなる群から選択され;Zは、スズ又はケイ素であり;Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素であり;aは0〜3で、bは1〜4で、但し、a+b=4である]、又は下記式(IV):
3 cde ・・・ (IV)
[式中、R3、Z及びXは、上記と同義であり;cは0〜2(d+1)−1で、dは2以上で、eは1〜2(d+1)で、但し、c+e=2(d+1)である]で表されるカップリング剤から誘導される少なくとも一種のスズ−炭素結合又はケイ素−炭素結合を有する。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記変性共役ジエン系重合体が、活性末端を有するジエン系重合体の該末端に、分子中に酸無水物基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させてなり、該分子中に酸無水物基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記式(V):
Figure 0004628009

(式中、A1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基、R4〜R6は、それぞれ独立して炭素数1〜12の一価の炭化水素基、R7は水素原子又は炭素数1〜12の一価の炭化水素基を示し、R6とR7はたがいに結合して環構造を形成していてもよく、nは2又は3であり、各R4Oは互いに同一でも異なっていてもよい)で表される構造を有する。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記共役ジエン系重合体が、1,3-ブタジエンとビニル芳香族化合物との共重合体又は1,3-ブタジエンの単独重合体である。ここで、前記ビニル芳香族化合物としては、スチレンが好ましい。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記変性共役ジエン系重合体は、重量平均分子量(Mw)が5万以上70万未満である。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記変性共役ジエン系重合体は、ガラス転移点(Tg)が0℃以下である。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記共役ジエン系重合体は、有機アルカリ金属化合物又は希土類金属化合物を用いて重合したものである。ここで、前記有機アルカリ金属化合物としては、アルキルリチウムが好ましい。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記カーボンブラックの配合量が前記ゴム成分100質量部に対して50質量部以上である。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記軟化剤の配合量が前記ゴム成分100質量部に対して15質量部以上30質量部未満である。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記ゴム成分は、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを含む。
また、本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、ゴム成分として含窒素官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を用いた、充填剤の分散性が高く、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性に優れたゴム組成物を提供することができる。また、かかるゴム組成物を用いた、破壊特性、耐摩耗性及び低燃費性に優れたタイヤを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のゴム組成物は、分子中に窒素を含む官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を10質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック及び/又はシリカを合計50質量部以上、並びに軟化剤を15質量部以上配合してなり、前記窒素を含む官能基が、上記式(I)で表される置換アミノ基及び上記式(II)で表される環状アミノ基からなる群から選択されることを特徴とする。カーボンブラックやシリカ等の充填剤の配合量を多くすることで、充填剤による補強効果を高め、ゴム組成物の破壊特性及び耐摩耗性を向上させることができるが、混練におけるゴム組成物の作業性が悪化するため、軟化剤を配合する必要がある。また、ゴム成分として官能基を持った変性共役ジエン系重合体を用いることで、ゴム成分と充填剤との親和性が向上し、充填剤の分散性が改善して、ゴム組成物の低発熱性と耐摩耗性とを両立することができる。しかしながら、ゴム成分として変性共役ジエン系重合体を用いつつ、作業性の改善のために軟化剤を配合すると、該軟化剤が、ゴム組成物の混練中に変性共役ジエン系重合体の変性末端のトラップ剤として作用し、変性共役ジエン系重合体の官能基をマスクするため、変性共役ジエン系重合体による充填剤の分散性改良効果が十分に発現されない。また、充填剤の配合量が多い場合、充填剤当りの変性末端数が減少するため、かかる現象は、特に顕著である。これに対して、本発明のゴム組成物においては、ゴム成分として分子中に含窒素官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を用いるため、軟化剤によってマスクされていない変性末端の数が増加し、充填剤の分散性が改善して、ゴム組成物の低発熱性と耐摩耗性とを両立することができる。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分として用いる変性共役ジエン系重合体は、分子中に窒素を含む官能基を5つ以上有し、該窒素を含む官能基が、上記式(I)で表される置換アミノ基及び上記式(II)で表される環状アミノ基からなる群から選択される限り特に制限はなく、窒素を含む官能基を6つ以上有するのが好ましい。窒素を含む官能基の数が5つ以上の場合、充填剤の分散性を改良する効果が大きく、ゴム組成物の破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を大きく向上させることができる窒素を含む官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体は、例えば、有機アルカリ金属化合物と二級アミンとから生成させたアルカリ金属アミド化合物を重合開始剤として用いてアニオン重合を行い、重合開始末端に窒素含有官能基を有し、他方の末端が重合活性部位(活性末端)である共役ジエン系重合体を製造し、次に、重合活性部位をカップリング剤でカップリングするか、変性剤として含窒素化合物を用いて重合活性部位を変性することで得られる。ここで、有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。なお、重合開始剤としての有機アルカリ金属化合物の使用量は、単量体100g当り0.2〜20 mmolの範囲が好ましい。また、二級アミンは、有機アルカリ金属化合物と当量用いるのが好ましい。また、アルカリ金属アミド化合物は、有機アルカリ金属化合物と二級アミンから予備調製して重合反応に用いてもよいが、重合系中で生成させてもよい。
上記有機リチウム化合物と二級アミンとから、式:Li−AM[式中、AMは、上記式(I)で表される置換アミノ基又は式(II)で表される環状アミノ基である]で表されるリチウムアミド化合物を生成させ、該リチウムアミド化合物を重合開始剤として用いることで、式(I)で表される置換アミノ基及び式(II)で表される環状アミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の窒素を含む官能基が重合開始末端に導入された変性共役ジエン系重合体が得られる。
式(I)において、R1は、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、3-フェニル-1-プロピル基及びイソブチル基等が好適に挙げられる。なお、R1は、それぞれ同じでも異なってもよい。
また、式(II)において、R2は、3〜16個のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基である。ここで、置換アルキレン基には、一置換から八置換のアルキレン基が含まれ、置換基としては、炭素数1〜12の鎖状若しくは分枝状アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。また、R2として、具体的には、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オキシジエチレン基、N-アルキルアザジエチレン基、ドデカメチレン基及びヘキサデカメチレン基等が好ましい。
上記有機リチウム化合物としては、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチル-フェニルリチウム、4-フェニル-ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられ、これらの中でも、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム等のアルキルリチウムが好ましく、n-ブチルリチウムが特に好ましい。
一方、二級アミンとしては、式(I)の置換アミノ基を重合開始末端に導入する場合は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジアリルアミン、ブチルイソプロピルアミン、ジベンジルアミン、メチルベンジルアミン、メチルヘキシルアミン、エチルヘキシルアミン等を用いるのが好ましく、式(II)の環状アミノ基を重合開始末端に導入する場合は、アザシクロヘプタン(即ち、ヘキサメチレンイミン)、2-(2-エチルヘキシル)ピロリジン、3-(2-プロピル)ピロリジン、3,5-ビス(2-エチルヘキシル)ピペリジン、4-フェニルピペリジン、7-デシル-1-アザシクロトリデカン、3,3-ジメチル-1-アザシクロテトラデカン、4-ドデシル-1-アザシクロオクタン、4-(2-フェニルブチル)-1-アザシクロオクタン、3-エチル-5-シクロヘキシル-1-アザシクロヘプタン、4-ヘキシル-1-アザシクロヘプタン、9-イソアミル-1-アザシクロヘプタデカン、2-メチル-1-アザシクロヘプタデセ-9-エン、3-イソブチル-1-アザシクロドデカン、2-メチル-7-t-ブチル-1-アザシクロドデカン、5-ノニル-1-アザシクロドデカン、8-(4'-メチルフェニル)-5-ペンチル-3-アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン、1-ブチル-6-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、8-エチル-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1-プロピル-3-アザビシクロ[3.2.2]ノナン、3-(t-ブチル)-7-アザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,5,5-トリメチル-3-アザビシクロ[4.4.0]デカン等の環状アミンを用いるのが好ましい。
上記有機リチウム化合物と二級アミンとから生成させるリチウムアミド化合物として、具体的には、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチムジ-2-エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム-N-メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられ、これらの中でも、リチウムヘキサメチレンイミドが好ましい。
また、窒素を含む官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体において、共役ジエン系重合体としては、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体、及び共役ジエン化合物の単独重合体が好ましく、1,3-ブタジエンとビニル芳香族化合物との共重合体、及び1,3-ブタジエンの単独重合体が特に好ましい。
単量体としての上記共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3-ブタジエンが特に好ましい。これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。一方、単量体としての上記ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン及び2,4,6-トリメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でもスチレンが好ましい。これらビニル芳香族化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機アルカリ金属化合物及び二級アミンを用いて、アニオン重合により共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、重合反応に不活性な炭化水素溶媒中で、共役ジエン化合物単独で、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との混合物を重合させることで共役ジエン系重合体を製造することができる。ここで、重合反応に不活性な炭化水素溶媒としては、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1-ブテン、イソブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
上記アニオン重合は、ランダマイザーの存在下で実施してもよい。該ランダマイザーは、共役ジエン化合物のミクロ構造を制御することができ、例えば、単量体としてブタジエンを用いた重合体のブタジエン単位の1,2-結合含量を制御したり、単量体としてスチレンとブタジエンを用いた共重合体のブタジエン単位とスチレン単位とをランダム化する等の作用を有する。上記ランダマイザーとしては、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、カリウム-t-アミレート、カリウム-t-ブトキシド、ナトリウム-t-アミレート等が挙げられる。これらランダマイザーの使用量は、重合開始剤の有機アルカリ金属化合物1モル当り0.01〜100モル当量の範囲が好ましい。
上記アニオン重合は、溶液重合、気相重合、バルク重合のいずれで実施してもよいが、溶液重合の場合、溶液中の上記単量体の濃度は、5〜50質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲が更に好ましい。なお、単量体として、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を併用する場合、単量体混合物中のビニル芳香族化合物の含有率は、3〜50質量%の範囲が好ましく、4〜45質量%の範囲が更に好ましい。また、重合形式は特に限定されず、回分式でも連続式でもよい。
上記アニオン重合の重合温度は、0〜150℃の範囲が好ましく、20〜130℃の範囲が更に好ましい。また、該重合は、発生圧力下で実施できるが、通常は、使用する単量体を実質的に液相に保つのに十分な圧力下で行うのが好ましい。ここで、重合反応を発生圧力より高い圧力下で実施する場合、反応系を不活性ガスで加圧するのが好ましい。また、重合に使用する単量体、重合開始剤、溶媒等の原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を予め除去したものを用いるのが好ましい。
また、本発明で用いる変性共役ジエン系重合体は、希土類金属化合物を用いて配位重合で製造してもよい。ここで、重合開始剤としては、下記(A)成分、(B)成分、(C)成分を組み合わせて用いるのが好ましい。
上記配位重合に用いる(A)成分は、希土類金属化合物、及び希土類金属化合物とルイス塩基との錯化合物等から選択される。ここで、希土類金属化合物としては、希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β-ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩等が挙げられ、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコール等が挙げられる。上記希土類金属化合物の希土類元素としては、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウムが好ましく、これらの中でも、ネオジムが特に好ましい。また、(A)成分として、具体的には、ネオジムトリ-2-エチルヘキサノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリネオデカノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリn-ブトキシド等が挙げられる。これら(A)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
上記配位重合に用いる(B)成分は、有機アルミニウム化合物から選択される。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、式:R3Alで表されるトリヒドロカルビルアルミニウム化合物、式:R2AlH又はRAlH2で表されるヒドロカルビルアルミニウム水素化物(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基である)、炭素数1〜30の炭化水素基をもつヒドロカルビルアルミノキサン化合物等が挙げられる。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、トリアルキルアルミニウム,ジアルキルアルミニウムヒドリド,アルキルアルミニウムジヒドリド,アルキルアルミノキサン等が挙げられる。これらの化合物は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。なお、(B)成分としては、アルミノキサンと他の有機アルミニウム化合物とを併用するのが好ましい。
上記配位重合に用いる(C)成分は、加水分解可能なハロゲンを有する化合物又はこれらとルイス塩基の錯化合物;三級アルキルハライド、ベンジルハライド又はアリルハライドを有する有機ハロゲン化物;非配位性アニオン及び対カチオンからなるイオン性化合物等から選択される。かかる(C)成分として、具体的には、アルキルアルミニウム二塩化物、ジアルキルアルミニウム塩化物、四塩化ケイ素、四塩化スズ、塩化亜鉛とアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化マグネシウムとアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化ベンジル,塩化t-ブチル,臭化ベンジル,臭化t-ブチル、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。これら(C)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
上記重合開始剤は、上記の(A),(B),(C)成分以外に、必要に応じて、重合用単量体と同じ共役ジエン化合物及び/又は非共役ジエン化合物を用いて予備的に調製してもよい。また、(A)成分又は(C)成分の一部又は全部を不活性な固体上に担持して用いてもよい。上記各成分の使用量は、適宜設定することができるが、通常、(A)成分は単量体100g当たり0.001〜0.5mmolである。また、モル比で(B)成分/(A)成分は5〜1000、(C)成分/(A)成分は0.5〜10が好ましい。
上記希土類金属化合物を用いた配位重合における重合温度は、-80〜150℃の範囲が好ましく、-20〜120℃の範囲が更に好ましい。また、使用する重合溶媒としては、上述のアニオン重合で例示した反応に不活性な炭化水素溶媒を用いることができ、反応溶液中の単量体の濃度もアニオン重合の場合と同様である。更に、配位重合における反応圧力もアニオン重合の場合と同様であり、反応に使用する原材料も、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を実質的に除去したものが望ましい。
上記重合活性部位(活性末端)を有する共役ジエン系重合体をカップリングするのに用いるカップリング剤としては、上記式(III)又は上記式(IV)で表されるカップリング剤が好ましい。式(III)又は式(IV)のカップリング剤で変性した共役ジエン系重合体は、少なくとも一種のスズ−炭素結合又はケイ素−炭素結合を有する。式(III)及び式(IV)において、R3は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、該R3として、具体的には、メチル基、エチル基、n-ブチル基、ネオフィル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。また、Zは、スズ又はケイ素であり、Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素である。
式(III)において、aは0〜3の整数で、bは1〜4の整数であり、但し、a+b=4である。式(III)のカップリング剤として、具体的には、四塩化スズ、R3SnCl3、R3 2SnCl2、R3 3SnCl、四塩化ケイ素、R3SiCl3、R3 2SiCl2、R3 3SiCl等が好ましく、四塩化スズ及び四塩化ケイ素が特に好ましい。一方、式(IV)において、cは0〜2(d+1)−1の整数で、dは2以上の整数で、eは1〜2(d+1)の整数で、但し、c+e=2(d+1)である。式(IV)のカップリング剤として、具体的には、Si2Cl6、Si3Cl8、R3Si2Cl5、R3 2Si2Cl4、R3 3Si2Cl3等が挙げられ、Si2Cl6が特に好ましい。
上記式(III)又は式(IV)のカップリング剤を用いることで、該カップリング剤中のXの数(即ち、b又はe)と同数の活性末端を有する共役ジエン系重合体をカップリングすることができる。従って、分子中に窒素を含む官能基5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を製造するためには、式(IV)で表され、eが5以上のカップリング剤を用いるのが好ましい。
一方、重合開始末端に窒素含有官能基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体を変性剤で変性して、窒素含有官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を得るにあたって、該変性剤としては、N,N'-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン、4-ジメチルアミノベンジリデンアニリン等の窒素含有化合物を用いることができる。また、変性剤として、窒素を含む官能基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いることもでき、具体的には、イミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、イミン(アミジン)基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、イソシアネート基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物等が挙げられる。
上記イミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(シクロヘキシリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物,メチルジエトキシシリル化合物,エチルジエトキシシリル化合物,メチルジメトキシシリル化合物,エチルジメトキシシリル化合物等を挙げることができ、これらの中でも、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンが特に好ましい。
また、上記イミン(アミジン)基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾール,1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾール,N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール,N-(3-イソプロポキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール,N-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール等が挙げられ、これらの中でも、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールが好ましい。
更に、上記イソシアネート基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
また、重合開始末端に窒素含有官能基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体を変性剤で変性して、窒素含有官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を得るにあたって、該変性剤として、分子中に酸無水物基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いることもでき、具体的には、上記式(V)で表される構造を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いることができる。この場合、ヒドロカルビルオキシシラン化合物の残基がカップリングすることで、窒素含有官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体が得られる。
式(V)において、A1で示される炭素数1〜20の二価の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基等が挙げられ、これらの中でも、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれでもよいが、直鎖状のものが特に好ましい。該直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。
また、R4〜R6で示される炭素数1〜12の一価の炭化水素基及びR7のうちの炭素数1〜12の一価の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基等が挙げられる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。また、上記アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。R4〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、また、R6とR7は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。即ち、酸無水物基は、非環状酸無水物基及び環状酸無水物基のいずれでもよい。また更に、nは2又は3であり、即ち、式(V)の化合物は、ヒドロカルビルオキシ基を2個又は3個有することになる。なお、複数の各R4Oは、互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物において、非環状酸無水物基を有するものとしては、3-トリエトキシシリルプロピル無水酢酸、3-トリフェノキシシリルプロピル無水酢酸、3-トリメトキシシリルプロピル無水酢酸、3-ジエトキシ(メチル)シリルプロピル無水酢酸、3-ジメトキシ(メチル)シリルプロピル無水酢酸等が挙げられ、一方、環状酸無水物基を有するものとしては、3-トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸、3-トリフェノキシシリルプロピル無水コハク酸、3-トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸、3-ジエトキシ(メチル)シリルプロピル無水コハク酸、3-ジメトキシ(メチル)シリルプロピル無水コハク酸等が挙げられる。これらの中でも、環状酸無水物基を有するものが好ましく、環状酸無水物基を有するものの中でも、充填剤の分散効果及び補強効果等の観点から、3-トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸が好適である。なお、変性剤の使用量は、重合開始剤の有機アルカリ金属化合物1molに対し、通常0.1〜3.0molの範囲であり、0.3〜1.5molの範囲が好ましい。
上記変性剤による変性反応は、溶液反応で行うのが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。更に、変性反応の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、重合反応の反応温度をそのまま採用してもよい。
上記変性共役ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が5万以上70万未満であるのが好ましい。変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量が5万未満では、耐破壊特性及び耐摩耗性に劣り、70万以上では、加工性が著しく悪化する。
また、上記変性共役ジエン系重合体は、示差走査熱量分析計(DSC)で測定したガラス転移点(Tg)が0℃以下であるのが好ましい。変性共役ジエン系重合体のガラス転移点が0℃を超えると、低温でのゴム特性が著しく悪化する。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として上述の変性共役ジエン系重合体を含む。ここで、ゴム成分中の該変性共役ジエン系重合体の含有率は、10質量%以上である。ゴム成分中の変性共役ジエン系重合体の含有率が10質量%未満では、充填剤の分散性を改良する効果が小さく、ゴム組成物の低発熱性、破壊特性及び耐摩耗性を改善する効果が小さい。なお、本発明のゴム組成物において、上記変性共役ジエン系重合体以外のゴム成分としては、天然ゴム(NR)の他、未変性のスチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体等を用いることができ、これらの中でも、天然ゴム及びポリイソプレンゴムが好ましい。これらゴム成分は、1種単独でも、2種以上のブレンドとして用いてもよい。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラック及び/又はシリカを上記ゴム成分100質量部に対して合計で50質量部以上含有する。カーボンブラック及びシリカの合計配合量がゴム成分100質量部に対して50質量部未満では、ゴム組成物の破壊特性及び耐摩耗性が低下してしまう。また、本発明のゴム組成物においては、カーボンブラックの配合量が上記ゴム成分100質量部に対して50質量部以上であるのが好ましい。カーボンブラックの配合量をゴム成分100質量部に対して50質量部とすることで、ゴム組成物の破壊特性及び耐摩耗性を十分に確保することができる。上記カーボンブラックとしては、FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのものが好ましく、HAF,ISAF,SAFグレードのものが更に好ましい。一方、シリカとしては、湿式シリカが好ましい。なお、本発明のゴム組成物には、上記カーボンブラック及びシリカ以外の充填剤として、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク等を更に配合してもよい。
本発明のゴム組成物は、軟化剤を上記ゴム成分100質量部に対して15質量部以上含有し、15質量部以上30質量部未満含有するのが好ましい。軟化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して15質量部未満では、ゴム組成物の混練における作業性が悪化する。なお、窒素を含む官能基を1つ有する変性共役ジエン系重合体を用いた場合、軟化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して15質量部以上では、窒素を含む官能基が軟化剤でマスクされ、変性共役ジエン系重合体による充填剤の分散性改良効果が十分に発現されないが、本発明のゴム組成物においては、窒素を含む官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を用いるため、軟化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して15質量部以上でも、変性共役ジエン系重合体による充填剤の分散性改良効果が十分に発揮され、ゴム組成物の破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を改善することができる。なお、軟化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して30質量部以上では、十分な低発熱性が得られない。ここで、本発明のゴム組成物に用いる軟化剤としては、特に制限はなく、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系等の各種プロセスオイルを用いることができる。
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分、カーボンブラック及びシリカ等の充填剤、軟化剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、シランカップリング剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤は、市販品を好適に使用することができる。本発明のゴム組成物は、含窒素官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分に、カーボンブラック及びシリカの少なくとも一方と、軟化剤と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とし、上記ゴム組成物をトレッドに用いるのが好ましい。上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、低燃費性、破壊特性及び耐摩耗性に優れる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をタイヤのいずれかのゴム部材として用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(重合体Aの製造法)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン 300g、1,3-ブタジエン 40g、スチレン 10g、ジテトラヒドロフリルプロパン 0.2mmolを加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)0.4mmolを加えた後、50℃で1.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体Aを得た。
(重合体Bの製造法)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン 300g、1,3-ブタジエン 40g、スチレン 10g、ジテトラヒドロフリルプロパン 0.24mmol、ヘキサメチレンイミン(HMI)0.48mmolを加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)0.48mmolを加えた後、50℃で1.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体Bを得た。
(重合体C、E〜J、L、N、Pの製造法)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン 300g、1,3-ブタジエン 40g、スチレン 10gと共に、ジテトラヒドロフリルプロパンを表1又は表2に示す量加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)を表1又は表2に示す量加えた後、50℃で1.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。次に、重合反応系に、変性剤として表1又は表2に示す変性剤を表1又は表2に示す量速やかに加え、更に50℃で30分間変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体C、E〜J、L、N、Pを得た。
(重合体D、K、M、O、Qの製造法)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン 300g、1,3-ブタジエン 40g、スチレン 10gと共に、ジテトラヒドロフリルプロパン及びヘキサメチレンイミン(HMI)を表1又は表2に示す量加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)を表1又は表2に示す量加えた後、50℃で1.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。次に、重合反応系に、変性剤として表1又は表2に示す変性剤を表1又は表2に示す量速やかに加え、更に50℃で30分間変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体D、K、M、O、Qを得た。
上記のようにして製造した重合体A〜Qの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ミクロ構造、結合スチレン含有量、ガラス転移点を下記の方法で測定した。結果を表1及び表2に示す。
(1)数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、各重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。なお、表1及び表2には、各重合体の変性反応前の数平均分子量と、変性反応後の重量平均分子量を示す。
(2)ミクロ構造及び結合スチレン含有量
重合体のミクロ構造を赤外法(モレロ法)で求め、重合体の結合スチレン含有量を1H-NMRスペクトルの積分比より求めた。
(3)ガラス転移点
パーキンエルマー社製の示差熱分析機(DSC)7型装置を用い、各重合体を-100℃まで冷却した後に10℃/minの昇温速度で昇温して、各重合体のガラス転移点を測定した。
Figure 0004628009
Figure 0004628009
*1 四塩化スズ.
*2 N,N'-ジエチルアミノベンゾフェノン.
*3 ジメチルイミダゾリジノン.
*4 N-メチルピロリドン.
*5 N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン.
*6 N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール.
*7 テトラエトキシシラン.
*8 ジメチルジクロロシラン.
*9 1,2-ビス(トリクロロシリル)エタン.
次に、上記重合体A〜Qを用いて、表3に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物のtanδ、耐摩耗性、ムーニー粘度を測定した。結果を表4及び表5に示す。
(4)tanδ
レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を用いて、温度50℃、周波数15Hz、歪5%でtanδを測定し、比較例1のゴム組成物のtanδを100として指数表示した。tanδが小さい程、低発熱性に優れることを示す。
(5)耐摩耗性
ランボーン式摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定し、比較例1のゴム組成物の摩耗量を100として指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
(6)ムーニー粘度
JIS K6300−1994に準拠し、130℃にてムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定した。
Figure 0004628009
*10 上記で製造した重合体A〜Q, 使用した重合体の種類を表4〜表5に示す.
*11 ISAF, 窒素吸着比表面積(N2SA)=111m2/g.
*12 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.
*13 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド.
*14 ジフェニルグアニジン.
*15 N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド.
Figure 0004628009
Figure 0004628009
表4及び表5から、HMIを用いて、重合開始末端に含窒素官能基を導入し、カップリング剤で複数の共役ジエン系重合体の重合活性部位をカップリングして製造した、分子内に含窒素官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を用いた実施例4のゴム組成物は、比較例1のゴム組成物に対する低発熱性の向上幅が大きいことが分かるまた、実施例のゴム組成物は、重合体Aを用いたゴム組成物に比べ耐摩耗性が改善されており、更にムーニー粘度の上昇も抑制されており、十分な作業性を有していた。
一方、HMIを用いて、重合開始末端に含窒素官能基を導入しただけの変性共役ジエン系重合体を用いた比較例2のゴム組成物、HMIを用いず、含窒素化合物で重合活性部位を変性しただけの変性共役ジエン系重合体を用いた比較例4〜8のゴム組成物、HMIを用いず、カップリング剤で複数の共役ジエン系重合体の重合活性部位をカップリングして製造した変性共役ジエン系重合体を用いた比較例3、10〜12のゴム組成物、HMIを用いず、含ケイ素化合物で重合活性部位を変性した変性共役ジエン系重合体を用いた比較例9のゴム組成物は、比較例1のゴム組成物よりも低発熱性が劣っていたり、改善していても改善幅が非常に小さかった。

Claims (14)

  1. 分子中に窒素を含む官能基を5つ以上有する変性共役ジエン系重合体を10質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック及び/又はシリカを合計50質量部以上、並びに軟化剤を15質量部以上配合してなり、
    前記窒素を含む官能基が、下記式(I):
    Figure 0004628009
    [式中、R 1 は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である]で表される置換アミノ基、及び下記式(II):
    Figure 0004628009
    [式中、R 2 は、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基を示す]で表される環状アミノ基からなる群から選択されることを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記変性共役ジエン系重合体が分子末端に窒素を含む官能基を5つ以上有することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記変性共役ジエン系重合体が、下記式(III):
    3 aZXb ・・・ (III)
    [式中、R3は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基からなる群から選択され;Zは、スズ又はケイ素であり;Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素であり;aは0〜3で、bは1〜4で、但し、a+b=4である]、又は下記式(IV):
    3 cde ・・・ (IV)
    [式中、R3、Z及びXは、上記と同義であり;cは0〜2(d+1)−1で、dは2以上で、eは1〜2(d+1)で、但し、c+e=2(d+1)である]で表されるカップリング剤から誘導される少なくとも一種のスズ−炭素結合又はケイ素−炭素結合を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記変性共役ジエン系重合体が、活性末端を有するジエン系重合体の該末端に、分子中に酸無水物基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させてなり、該分子中に酸無水物基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記式(V):
    Figure 0004628009
    (式中、A1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基、R4〜R6は、それぞれ独立して炭素数1〜12の一価の炭化水素基、R7は水素原子又は炭素数1〜12の一価の炭化水素基を示し、R6とR7はたがいに結合して環構造を形成していてもよく、nは2又は3であり、各R4Oは互いに同一でも異なっていてもよい)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  5. 前記共役ジエン系重合体が、1,3-ブタジエンとビニル芳香族化合物との共重合体又は1,3-ブタジエンの単独重合体であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  6. 前記ビニル芳香族化合物がスチレンであることを特徴とする請求項5に記載のゴム組成物。
  7. 前記変性共役ジエン系重合体は、重量平均分子量(Mw)が5万以上70万未満であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  8. 前記変性共役ジエン系重合体は、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  9. 前記共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物又は希土類金属化合物を用いて重合したものであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  10. 前記有機アルカリ金属化合物がアルキルリチウムであることを特徴とする請求項9に記載のゴム組成物。
  11. 前記カーボンブラックの配合量が前記ゴム成分100質量部に対して50質量部以上であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  12. 前記軟化剤の配合量が前記ゴム成分100質量部に対して15質量部以上30質量部未満であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  13. 前記ゴム成分が、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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