JP4627378B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動パワーステアリング装置は、特開平11-342856に記載の如く、電動モータをハウジングに固定し、該ハウジングに操舵装置のアシスト軸を支持し、電動モータの回転軸にアシスト軸を接続し、電動モータのトルクを操舵装置に伝えて操舵アシストする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、電動モータの回転軸をモータケースに支持するに際し、回転軸に軸方向のガタがあると、このガタが打音の発生源となってしまう。また回転軸を軸方向に移動させないように両端部に設けた軸受で2点支持して回転時の軸心振れを抑える等、複雑な構成を必要としている。
【0004】
本発明の課題は、電動パワーステアリング装置において、簡素な支持構成により、電動モータの回転軸の軸方向のガタをなくすと同時に回転軸心振れを抑えることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、電動モータをハウジングに固定し、該ハウジングに操舵装置のアシスト軸を支持し、電動モータの回転軸にアシスト軸を接続してなる電動パワーステアリング装置において、電動モータの回転軸の一端部側のみを軸受によりモータケースに軸方向に不動支持するとともに、他端部側をモータケースに不支持にしてアシスト軸と連結したものであり、電動モータの回転軸の他端部を接続体に圧入して固定し、回転軸と同一軸上で、アシスト軸の先端部を接続体にインロー結合するとともに、アシスト軸の先端部の側傍の嵌合軸部を接続体にスプライン結合してなるようにしたものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記軸受がモータケースに固定される外輪と、外輪に対し転動体を介して回転可能に支持される内輪を有してなり、前記回転軸の一端部を内輪に挿入されて支持される小径部とし、小径部の付根の段差部を内輪の一方の端面に当て、小径部の先端に係着した止め具を内輪の他方の端面に当て、小径部の段差部と止め具で内輪を挟持したものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1の発明において更に、前記軸受がモータケースに固定される外輪と、外輪に対し転動体を介して回転可能に支持される内輪を有してなり、前記回転軸の一端部を内輪に挿入されて支持される小径部とし、小径部の付根の段差部を内輪の一方の端面に当て、小径部の先端に螺着したナットを内輪の他方の端面に当て、小径部の段差部とナットで内輪を挟持したものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1の発明において更に、前記軸受がモータケースに固定される外輪と、外輪に対し転動体を介して回転可能に支持される内輪を有してなり、前記回転軸の一端部を内輪に挿入されて支持される小径部とし、小径部の付根の段差部を内輪の一方の端面に当て、小径部の先端を内輪に圧入したものである。
【0010】
【作用】
請求項1の発明によれば下記(a)、(b)の作用がある。
(a)電動モータの回転軸の一端部側のみをモータケースの軸受に対し軸方向の双方向で不動支持したから、軸方向のガタをなくし、打音の発生を防止できる。同時に回転軸の回転振れを最小に抑えることができ、片持ち支持が可能になる。
(b)電動モータの回転軸とアシスト軸を接続体を介してインロー結合することによって同軸化する構造を採用したから、回転軸の一端部のみを軸受で支持し、アシスト軸寄りの端部は不支持とし、回転軸のための使用軸受個数を削減できる。
【0011】
請求項2の発明によれば下記(c)の作用がある。
(c)回転軸の小径部を軸受の内輪に挿入し、小径部の段差部と、小径部の先端に係着した止め具で内輪を挟持することにより、簡易な構成で、回転軸を軸受に対し軸方向の双方向で不動支持できる。
【0012】
請求項3の発明によれば下記(d)の作用がある。
(d)回転軸の小径部を軸受の内輪に挿入し、小径部の段差部と、小径部の先端に螺着したナットで内輪を挟持することにより、簡易な構成で、回転軸を軸受に対し軸方向の双方向で不動支持できる。
【0013】
請求項4の発明によれば下記(e)の作用がある。
(e)回転軸の小径部を軸受の内輪に挿入し、小径部の段差部を内輪の一方の端面に当て、小径部の先端部を内輪に圧入することにより、簡素な構成で、回転軸を軸受に対し軸方向の双方向で不動支持できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は電動パワーステアリング装置を一部破断して示す正面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図4はマグネットホルダを示す斜視図、図5はブラシホルダを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、図6はグロメットを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図、図7は図3の要部を示す側面図、図8は第1実施形態の回転軸支持構造を示す断面図、図9は第2実施形態の回転軸支持構造を示す断面図、図10は第3実施形態の回転軸支持構造を示す断面図である。
【0016】
電動パワーステアリング装置10は、図1、図2に示す如く、不図示のブラケットにより車体フレーム等に固定されるアルミ合金製のギヤハウジング11(第1〜第3のギヤハウジング11A〜11C)を有する。そして、ステアリングホイールが結合されるステアリング軸12にトーションバー13を介してピニオン軸14を連結し、このピニオン軸14にピニオン15を設け、このピニオン15に噛合うラック16Aを備えたラック軸16を第1ギヤハウジング11Aに左右動可能に支持している。ステアリング軸12とピニオン軸14の間には、操舵トルク検出装置17を設けてある。尚、ステアリング軸12とピニオン軸14は軸受12A、14A、14Bを介してギヤハウジング11に支持される。
【0017】
操舵トルク検出装置17は、図2に示す如く、ステアリング軸12、ピニオン軸14に係合している円筒状のコア17Cを囲む2個の検出コイル17A、17Bを第3ギヤハウジング11Cに設けている。コア17Cは、ピニオン軸14のガイドピン17Dに係合する縦溝17Eを備えて軸方向にのみ移動可能とされるとともに、ステアリング軸12のスライダピン17Fに係合するスパイラル溝17Gを備える。これにより、ステアリングホイールに加えた操舵トルクがステアリング軸12に付与され、トーションバー13の弾性ねじり変形により、ステアリング軸12とピニオン軸14の間に回転方向の相対変位を生ずると、ステアリング軸12とピニオン軸14の回転方向の変位がコア17Cを軸方向に変位させるものとなり、このコア17Cの変位による検出コイル17A、17Bの周辺の磁気的変化に起因する検出コイル17A、17Bのインダクタンスが変化する。即ち、コア17Cがステアリング軸12側へ移動すると、コア17Cが近づく方の検出コイル17Aのインダクタンスが増加し、コア17Cが遠ざかる方の検出コイル17Bのインダクタンスが減少し、このインダクタンスの変化により操舵トルクを検出できる。
【0018】
第1ギヤハウジング11A内でラック軸16の一端を挟んでピニオン15と相対する部分に設けられているシリンダ部18には、図2に示す如く、ラックガイド19が内蔵され、ラックガイド19(ブッシュ19A)はシリンダ部18に被着されるキャップ20により背面支持されるばね21によりラック軸16の側に弾発され、ラック軸16のラック16Aをピニオン15に押し付けるとともに、ラック軸16の一端を摺動自在に支持する。尚、ラック軸16の他端側は軸受22により支持される。また、ラック軸16の中間部には連結ボルト22A、22Bにより左右のタイロッド23A、23Bが連結される。
【0019】
第2ギヤハウジング11Bには、図3に示す如く、電動モータ30のモータケース31が固定され、電動モータ30の回転軸32には接続体80を介してアシスト軸33が結合され、アシスト軸33はボールベアリング等の軸受34、35により第2ギヤハウジング11Bに両端支持されている。軸受34の内輪はストッパリング36Aにより、外輪はロックナット36Bにより保持される。そして、アシスト軸33の中間部にウォームギヤ37を一体に備え、このウォームギヤ37に噛合うウォームホイール38をピニオン軸14の中間部に固定してある。電動モータ30の発生トルクは、ウォームギヤ37とウォームホイール38の噛合い、ピニオン15とラック16Aの噛合いを介してラック軸16に操舵アシスト力となって付与され、運転者がステアリング軸12に付与する操舵力をアシストする。
【0020】
ここで、電動モータ30は以下の如くに構成される。
即ち、電動モータ30は、鉄等の磁性材料により形成される筒状のヨーク52と、ヨーク52の内周の周方向複数位置にマグネット収容区画53Bを形成する絶縁性樹脂材料により形成された筒状体53Aからなるマグネットホルダ53(図4)と、マグネットホルダ53のマグネット収容区画53Bに収容されて位置決め保持されるマグネット54と、マグネットホルダ53に位置決め保持されたマグネット54の内側に圧入される非磁性材料の極薄板により成形されたマグネットカバー55(不図示)とからなる固定子51を有する。
【0021】
また、電動モータ30は、固定子51の内側に挿入されて回転軸32に固定される回転子56を有する。回転子56は、回転軸32の外周に設けられるアマチュアコア57とコンミテータ58とからなる。
【0022】
また、電動モータ30は、回転子56のコンミテータ58に接触せしめられるブラシ61(図5)と、ブラシ61を位置決め保持するブラシ保持部62Bを形成する絶縁性樹脂材料により形成された短円筒体62Aからなるブラシホルダ62(図5)を有する。また、電動モータ30は、ブラシホルダ62に位置決め保持されたブラシ61にピグテールを介して接続端子63Aを接続し、この接続端子63Aを内蔵する絶縁性樹脂材料によりブラシホルダ62と一体形成された給電コネクタ63を有する。
【0023】
電動モータ30は、ブラシ61から回転子56のコンミテータ58を経てアマチュアコア57に給電されると、アマチュアコア57の磁力線が固定子51のマグネット54で発生している磁界を切ることにより、回転子56が回転する。
【0024】
しかるに、電動モータ30は以下の如くの特徴的構成を具備する。
(1)電動モータ30は、ヨーク52を一端開口他端閉塞の円筒体とし、このヨーク52をモータケース31としている。ヨーク52は、図3に示す如く、ハウジング11Bに固定される一端フランジ部52Aと他端被閉塞部52Bを有し、他端被閉塞部52BにOリング52Cを介して被着する閉塞キャップ52Dを備える。
【0025】
(2)マグネットホルダ53は、図4に示す如く、マグネット収容区画53Bを有する筒状体53Aをなし、筒状体53Aの外周をヨーク52にインロー結合するとともに、ブラシホルダ62の係合部62Cに係合する係合部53Cを筒状体53Aの外周に連続させてその周方向特定位置に凸状形成し、この係合部53Cの外周をハウジング11Bにインロー結合可能としている。
【0026】
(3)ブラシホルダ62は、図5に示す如く、ブラシ保持部62Bを有する短円筒体62Aをなし、短円筒体62Aの内周の周方向複数位置にブラシ保持部62Bを形成し、このブラシ保持部62Bにばね64、ブラシ61を納め、ばね64のばね力によりブラシ61を回転子56のコンミテータ58に押接する。ブラシホルダ62は、短円筒体62Aの外周の一端側をモータケース31を構成するヨーク52にインロー結合するとともに、短円筒体62Aの外周の他端側をハウジング11Bにインロー結合可能としている。
【0027】
尚、ブラシホルダ62は、一端側の周方向特定位置に係合部62Cを凹状形成するとともに、他端側の周方向特定位置に係止部62Dを凸状形成している。マグネットホルダ53の係合部53Cをブラシホルダ62の係合部62Cに係合させることにより、マグネットホルダ53が位置決めする固定子51のマグネット54に対する、ブラシホルダ62が保持するブラシ61の位相ずれをなくし、電動モータ30の回転性能が正転方向と逆転方向で異なるものになることを回避し、性能の低下を回避する。また、ブラシホルダ62の係止部62Dをハウジング11Bのインロー結合部65の奥側の周方向特定位置に凹状形成してある係止部65Aに係止することにより、ブラシホルダ62の周方向取付位置を簡易確実に位置決め可能とする。
【0028】
(4)ブラシホルダ62にはグロメット66が被着されて組付けられる。グロメット66は、ハウジング11Bとモータケース31(ヨーク52)の接続部で、ハウジング11Bのフランジ部67に切欠形成されるコネクタ挿着部68に装填されるコネクタシール部66Aと、ハウジング11Bのフランジ部67に形成されるリング溝部69に装填されるOリング66Bとを一体に備える。ブラシホルダ62は、給電コネクタ63にグロメット66のコネクタシール部66Aを、ブラシホルダ62の短円筒体62Aにグロメット66のOリング66Bを被着されて、ハウジング11Bとモータケース31(ヨーク52)の接続部に液密に組付けられる。
【0029】
(5)上述(2)〜(4)により、電動モータ30はハウジング11Bに以下の如くに固定される。
【0030】
▲1▼ブラシホルダ62にグロメット66を被着する。
▲2▼電動モータ30のモータケース31(ヨーク52)にマグネットホルダ53の筒状体53Aをインロー結合する。続いて、モータケース31(ヨーク52)にブラシホルダ62の短円筒体62Aの一端側をインロー結合する。このとき、ブラシホルダ62の係合部62Cはマグネットホルダ53の係合部53Cに係合せしめられる。
【0031】
▲3▼マグネットホルダ53の係合部53Cをハウジング11Bのインロー結合部65にインロー結合する(図3)。同時に、ブラシホルダ62の短円筒体62Aの他端側をハウジング11Bのインロー結合部65にインロー結合する。このとき、ブラシホルダ62の係止部62Dがハウジング11Bの係止部65Aに係止せしめられる。
【0032】
▲4▼上述▲3▼と同時に、グロメット66のコネクタシール部66Aはハウジング11Bのフランジ部67に切欠形成されているコネクタ挿着部68に封着され、グロメット66のOリング66Bはハウジング11Bのフランジ部67に設けたリング溝部69に装填されて該フランジ部67とヨーク52のフランジ部52Aとの間に封着される。
【0033】
▲5▼電動モータ30のモータケース31(ヨーク52)は、上述▲2▼、▲3▼のマグネットホルダ53を利用したモータケース31(ヨーク52)とハウジング11Bとのインロー結合、ブラシホルダ62を利用したモータケース31(ヨーク52)とハウジング11Bとのインロー結合により、ハウジング11Bに芯出しされた状態で、ボルト70によりヨーク52のフランジ部52Aをハウジング11Bのフランジ部67に締結されて固定される。
【0034】
次に、電動モータ30の回転軸32はモータケース31に以下の如くに支持される。
【0035】
(1)電動モータ30の回転軸32とアシスト軸33を筒状接続体80にインロー結合して接続し、回転軸32の一端部のみをモータケース31(ヨーク52)の他端被閉塞部52Bの中心部に設けたボールベアリング等の軸受71に支持し、回転軸32の他端部を不支持構造とした。
【0036】
具体的には、図7に示す如く、電動モータ30の回転軸32の先端部に設けた嵌合軸部(又は嵌合孔部)32Aを接続体80の孔81に圧入して固定し、がたなく一体回転可能に結合する。また、回転軸32と同一軸上で、アシスト軸33の先端部に設けた嵌合軸部(又は嵌合孔部)33Aを接続体80の孔81にインロー結合するとともに、アシスト軸33の嵌合軸部33Aの側傍の嵌合軸部(又は嵌合孔部)33Bを接続体80の孔82にスプライン(セレーション)結合した。
【0037】
従って、電動モータ30の回転軸32とアシスト軸33は接続体80の同一の孔81にインロー結合されることにて同軸結合され、結果として、回転軸32において接続体80が結合される側の端部はモータケース31に対し軸受を介さない不支持構造とし、アシスト軸33の両端部を前述の如く軸受34、35を介してハウジング11Bに2点支持し、回転軸32の一端部だけを上述の如く軸受71を介してモータケース31に1点支持するものとした。
【0038】
(2)電動モータ30の回転軸32の基端部(一端部)をモータケース31に設けた軸受71によりモータケース31(ヨーク52)に支持するに際し、回転軸32を軸受71に対し軸方向の双方向で不動支持した。
【0039】
具体的には、図8に示す如く、軸受71はモータケース31(ヨーク52)にかしめ固定(又は圧入固定)される外輪71Aと、外輪71Aに対しボール等の転動体71Cを介して回転可能に支持される内輪71Bを有するものとする。そして、回転軸32の一端部を内輪71Bに挿入されて支持される小径部91とし、小径部91の付根の段差部91Aを内輪71Bの一方の端面に当て、小径部91の先端に設けた止め溝91Bに係着したサークリップ又はテーパサークリップ等の止め具92を内輪71Bの他方の端面に当て、小径部91の段差部91Aと止め具92で内輪71Bを挟持するものとした。
【0040】
電動モータ30にあっては、モータケース31(ヨーク52)の他端被閉塞部52Bに設けた軸受71の内輪71Bに回転軸32の小径部91を挿入し、内輪71Bから突出した小径部91の先端の止め溝91Bに止め具92を係着した後、他端被閉塞部52BにOリング52Cを介して閉塞キャップ52Dを封着するものとなる。
【0041】
従って、本実施形態によれば以下の作用がある。
▲1▼電動モータ30の回転軸32の基端部(一端部)側のみをモータケース31の軸受71に対し軸方向の双方向で不動支持したから、軸方向のガタをなくし、打音の発生を防止できる。同時に回転軸32の回転振れを最小に抑えることができ、片持ち支持が可能となる。
【0042】
▲2▼回転軸32の小径部91を軸受71の内輪71Bに挿入し、小径部91の段差部91Aと、小径部91の先端に係着した止め具92で内輪71Bを挟持することにより、簡易な構成で、回転軸32を軸受71に対し軸方向の双方向で不動支持できる。
【0043】
▲3▼電動モータ30の回転軸32とアシスト軸33をインロー結合することによって同軸化する構造を採用したから、回転軸32の一端部のみを軸受71で支持し、アシスト軸33寄りの端部は不支持とし、回転軸32のための使用軸受個数を削減できる。
【0044】
(第2実施形態)(図9)
第2実施形態も、電動モータ30の回転軸32の基端部(一端部)をモータケース31に設けた軸受71によりモータケース31(ヨーク52)に支持するに際し、回転軸32を軸受71に対し軸方向の双方向で不動支持した。
【0045】
具体的には、図9に示す如く、軸受71はモータケース31(ヨーク52)にかしめ固定(又は圧入固定)される外輪71Aと、外輪71Aに対しボール等の転動体71Cを介して回転可能に支持される内輪71Bを有するものとする。そして、回転軸32の一端部を内輪71Bに挿入されて支持される小径部101とし、小径部101の付根の段差部101Aを内輪71Bの一方の端面に当て、小径部101の先端に螺着したナット102を内輪71Bの他方の端面に当て、小径部101の段差部101Aとナット102で内輪71Bを挟持するものとした。
【0046】
電動モータ30にあっては、モータケース31(ヨーク52)の他端被閉塞部52Bに設けた軸受71の内輪71Bに回転軸32の小径部101を挿入し、内輪71Bから突出した小径部101の先端にナット102を螺着した後、他端被閉塞部52BにOリング52Cを介して閉塞キャップ52Dを封着するものになる。
【0047】
本実施形態によれば、回転軸32の小径部101を軸受71の内輪71Bに挿入し、小径部101の段差部101Aと、小径部101の先端に螺着したナット102で内輪71Bを挟持することにより、簡易な構成で、回転軸32を軸受71に対し軸方向の双方向で不動支持できる。
【0048】
(第3実施形態)(図10)
第3実施形態も、電動モータ30の回転軸32の基端部(一端部)をモータケース31に設けた軸受71によりモータケース31(ヨーク52)に支持するに際し、回転軸32を軸受71に対し軸方向の双方向で不動支持した。
【0049】
具体的には、図10に示す如く、軸受71はモータケース31(ヨーク52)にかしめ固定(又は圧入固定)される外輪71Aと、外輪71Aに対しボール等の転動体71Cを介して回転可能に支持される内輪71Bを有するものとする。そして、回転軸32の一端部を内輪71Bに挿入されて支持される小径部111とし、小径部111の付根の段差部111Aを内輪71Bの一方の端面に当て、小径部111の先端を内輪71Bに圧入した。
【0050】
本実施形態によれば、回転軸32の小径部111を軸受の内輪71Bに挿入し、小径部111の段差部111Aを内輪71Bの一方の端面に当て、小径部111の先端部を内輪71Bに圧入することにより、簡素な構成で、回転軸32を軸受に対し軸方向の双方向で不動支持できる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、電動パワーステアリング装置10の反転駆動時やタイヤの縁石乗り上げ時等に、アシスト軸33が備えるウォームギア37の歯面に生ずる衝撃力を緩和して歯面同士の叩き音を低減し、又はアシスト軸33の慣性推力によるトルク伝達経路の損傷を回避するため、アシスト軸33をそれらの軸受34、35に軸方向移動可能に弾性変形具等を介して弾性支持する場合にも、回転軸32の一端部を軸受71に対し軸方向の双方向で図8〜図10に示した如くに不動支持することにより、軸方向のガタをなくす本発明の回転軸支持構造を採用できる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電動パワーステアリング装置において、簡素な支持構成により、電動モータの回転軸の軸方向のガタをなくすと同時に回転軸心振れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は電動パワーステアリング装置を一部破断して示す正面図である。
【図2】 図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】 図3は図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】 図4はマグネットホルダを示す斜視図である。
【図5】 図5はブラシホルダを示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図6】 図6はグロメットを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
【図7】 図7は図3の要部を示す側面図である。
【図8】 図8は第1実施形態の回転軸支持構造を示す断面図である。
【図9】 図9は第2実施形態の回転軸支持構造を示す断面図である。
【図10】 図10は第3実施形態の回転軸支持構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10 電動パワーステアリング装置
11B ハウジング
30 電動モータ
31 モータケース
32 回転軸
32A 嵌合軸部(又は嵌合孔部)
33 アシスト軸
33A 嵌合軸部(又は嵌合孔部)
33B 嵌合軸部(又は嵌合孔部)
71 軸受
71A 外輪
71B 内輪
71C 転動体
80 接続体
91、101、111 小径部
91A、101A、111A 段差部
92 止め具
102ナット
Claims (4)
- 電動モータをハウジングに固定し、該ハウジングに操舵装置のアシスト軸を支持し、電動モータの回転軸にアシスト軸を接続してなる電動パワーステアリング装置において、
電動モータの回転軸の一端部側のみを軸受によりモータケースに軸方向に不動支持するとともに、他端部側をモータケースに不支持にしてアシスト軸と連結したものであり、
電動モータの回転軸の他端部を接続体に圧入して固定し、回転軸と同一軸上で、アシスト軸の先端部を接続体にインロー結合するとともに、アシスト軸の先端部の側傍の嵌合軸部を接続体にスプライン結合してなることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記軸受がモータケースに固定される外輪と、外輪に対し転動体を介して回転可能に支持される内輪を有してなり、
前記回転軸の一端部を内輪に挿入されて支持される小径部とし、小径部の付根の段差部を内輪の一方の端面に当て、小径部の先端に係着した止め具を内輪の他方の端面に当て、小径部の段差部と止め具で内輪を挟持した請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記軸受がモータケースに固定される外輪と、外輪に対し転動体を介して回転可能に支持される内輪を有してなり、
前記回転軸の一端部を内輪に挿入されて支持される小径部とし、小径部の付根の段差部を内輪の一方の端面に当て、小径部の先端に螺着したナットを内輪の他方の端面に当て、小径部の段差部とナットで内輪を挟持した請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記軸受がモータケースに固定される外輪と、外輪に対し転動体を介して回転可能に支持される内輪を有してなり、
前記回転軸の一端部を内輪に挿入されて支持される小径部とし、小径部の付根の段差部を内輪の一方の端面に当て、小径部の先端を内輪に圧入した請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
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