JP4623866B2 - 合成樹脂製パレット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の物品を運搬および保管する際などに使用される合成樹脂製パレットに関する。
【0002】
【従来の技術】
物品を運搬および保管する際には、従来、木材製のパレットが使用されていたが、最近では、木材よりも軽く、劣化しにくく、木材特有の毛羽立ちがない利点から、合成樹脂製パレットも普及しつつある。特に、上下両面を一体に射出成形した一体成形型パレットは、生産効率が高いことから、広汎な分野で木材製パレットに代わって使用されている。
【0003】
この種の合成樹脂製パレットは、例えば図23に示すように、矩形状の上面板状部200および下面板状部202と、上面板状部200および下面板状部202を連結する複数の桁部204とを有し、これら桁部204の間に一対のフォーク挿入口206が互いに平行に形成されている。図23の例では、2つの側面にのみフォーク挿入口206が形成されているが、4つの側面全てに一対のフォーク挿入口が形成されたものもある。
【0004】
上面板状部200はデッキボードと呼ばれ、図24に示すように、水平に延びる多数の桟部208を有し、下面板状部202も同様に、水平に延びる多数の桟部212を有する。上面板状部200を形成する桟部208と、下面板状部202を形成する桟部212とが交互にずれて配置されているため、その間に多数の穴が開いた状態となっている。桟部208,212は、一般に断面がU字状またはT字状に形成され、上面板状部200および下面板状部202の強度を高めるように工夫されている。
【0005】
桁部204は、多数の垂直壁210を縦横に組み合わせて形成されたものであり、桟部208,212を連結している。垂直壁210の曲がりを防ぐために、垂直壁210に沿って所々に補強リブ214が形成され、桟部208,212同士を連結している。
【0006】
図25は、このような一体成形型パレットの成型方法の一例として、特公昭49−582号公報に記載された方法を示している。この図に示すように、桟部208,212同士は水平方向にずれているため、複雑なスライドコアを多用しなくても、上型216と下型218の間で比較的単純に成形できる。また、上下部を分割して成形し、両者を接合してパレットを形成する場合に比べ、手間のかかる接合工程が不要である。このため、一体成形型パレットの生産効率は高い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パレットの両端を支持した状態でパレットに荷重がかかった場合、上記合成樹脂製パレットでは、フォーク挿入口206の四隅には特に大きい曲げ応力がかかるため、フォーク挿入口206が平行四辺形に変形しやすく、木製パレットに比べてパレット全体が撓みやすいという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、特にフォーク挿入口の周囲の剛性を高めることにより、パレット全体の強度を高めることができ、しかも生産効率が高い合成樹脂製パレットを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の合成樹脂製パレットは、互いに平行に配置された上面板状部および下面板状部と、前記上面板状部および下面板状部を連結する複数の桁部とを有し、桁部の間にフォーク挿入口が形成された合成樹脂製パレットであって、前記フォーク挿入口に対応して、前記フォーク挿入口のフォーク挿入方向と直交する断面を囲む補強枠が形成され、この補強枠の少なくとも一部の内部には中空部が形成されており、前記補強枠は、前記上面板状部に沿って形成された上部水平桟と、前記下面板状部に沿って形成された下部水平桟と、これら上部水平桟および下部水平桟を連結する一対の垂直桟とを有し、前記上部水平桟、前記下部水平桟、および前記一対の垂直桟のうち少なくとも3つが相互に連通する中空部を有している。
【0010】
本発明によれば、すくなくともその一部が中空構造にされた補強枠でフォーク挿入口を囲んだことにより、荷重がかかった際にフォーク挿入口の断面形状が歪むことを抑制でき、これにより合成樹脂製パレットの剛性を高めることができる。
【0011】
前記上部水平桟、前記下部水平桟、および前記一対の垂直桟のうち、内部に中空部を有していない部分は、内部に中空部を有している部分に比べて厚さが小さくされていてもよい。具体的には、内部に中空部を有していない部分の幅は、内部に中空部を有している部分の幅の10〜50%であることが好ましい。
【0012】
前記上部水平桟、前記下部水平桟、および前記一対の垂直桟は全て、相互に連通する中空部を有していてもよい。
【0013】
前記補強枠の外面には前記中空部に連通するガス導入口が形成されており、前記上面板状部または前記下面板状部には、このガス導入口を塞ぐ滑り止め部材が取り付けられていてもよい。この場合、ガス導入口からの雨水の浸入などを防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る合成樹脂製パレットの好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の各実施形態に限定されるものではなく、例えばこれら実施形態の構成要素同士を適宜組み合わせてもよい。
【0015】
[第1実施形態]
図1〜図6は本発明の合成樹脂製パレットの第1実施形態を示し、図1は平面図、図2は底面図、図3は正面図、図4は側面図、図5は図1中の線A−Aに沿った断面図、図6は線B−Bに沿った断面図である。
【0016】
この実施形態の合成樹脂製パレットは、全体として箱形をなし、互いに平行に配置された正方形状の上面板状部1および下面板状部2と、上面板状部1および下面板状部2を連結する桁部3,4,5とを有する。桁部3は上面板状部1および下面板状部2の四隅に形成され、桁部4はパレットの四辺の中央部に形成され、桁部5はパレットの中央部に形成されている。桁部はいずれも多数の垂直壁により構成されている。
【0017】
パレットの四方の側面には、それぞれ一対の矩形状をなすフォーク挿入口6が桁部3、4の間に形成され、さらに桁部4,5の間を通ってパレット全体を水平方向に貫通している。これにより、この実施形態のパレットには、四辺のいずれの方向からも2本のフォークを挿入できる。ただし、本発明の合成樹脂製パレットはこの構成に限定されず、対向する2辺のみにフォーク挿入口6が形成されていてもよいし(図18参照)、桁部およびフォーク挿入口の位置および数も、適宜変更してよい。
【0018】
本発明の特徴は、図6に示すように、4つのフォーク挿入口6のそれぞれに対し、フォーク挿入口6のフォーク挿入方向と直交する断面を囲む矩形状の補強枠70が複数形成され、これら補強枠70の内部には、補強枠70の全周に亘って中空部70'が形成されていることにある。
【0019】
この実施形態では、各フォーク挿入口6の両端開口部の近傍、すなわち、四隅の桁部3と辺中央部の桁部4との間に、それぞれ2つの補強枠70が形成されている。このようにフォーク挿入口6の両端近傍に補強枠70を形成した場合には、フォーク挿入口6にフォークを挿入した際に、特に力の掛かるフォークの先端部と根本部からの荷重を補強枠70で支えることができるので、フォーク挿入口6の中央部のみに補強枠70を形成する構成よりも好ましい。ただし、本発明はこの構成に限定されない。補強枠70の形成位置は必要に応じて任意に変更してよい。1つのフォーク挿入口6あたりの補強枠70の個数も特に制限されないが、フォーク挿入口6の全長に応じて、例えば1〜6個設ければよい。
【0020】
この実施形態の補強枠70は、上面板状部1に形成された上部水平桟71と、下面板状部2に形成された下部水平桟72と、四隅の桁部3に沿って垂直に延びる垂直桟73と、辺中央部の桁部4に沿って垂直に延びる垂直桟74とにより形成されている。そして、上部水平桟71、下部水平桟72、垂直桟73、74の内部に形成された中空部70'は、互いに連通している。
【0021】
中空部70'は、合成樹脂製パレットを射出成形した直後に、例えば上部水平桟71の中央部から高圧ガスを吹き込むことにより、桟71〜74の内部で樹脂が固化していく過程で生じる体積減少に相当する空洞を形成したものである。これによりヒケによる表面の荒れや成形精度の低下も防ぐことができるし、固化しにくい断面中央部を中空にすることにより、桟71〜74の固化時間を短縮する効果も得られる。
【0022】
桟71〜74を、内部に中空部70'を有する角筒状に形成したことにより、従来の断面U字状または断面T字状の桟に比して、生産効率を低下させることなく、かつ、パレットの重量をそれほど増大させることもなく、フォーク挿入口6の周囲の強度を大幅に高めることができる。よって、パレットに大荷重がかかった場合にも、フォーク挿入口6が平行四辺形状に変形しにくく、パレットの撓みを抑制することが可能となる。
【0023】
この実施形態の上部水平桟71および下部水平桟72は断面が矩形状であり、寸法は限定されないが、一般的には、水平方向の幅が15〜50mm、鉛直方向の厚さが15〜40mmとすることが好ましい。
【0024】
垂直桟73および垂直桟74も、断面が角型であり、フォーク挿入方向の幅は上部水平桟71および下部水平桟72の幅と等しく、フォーク挿入方向と直交する方向の厚さを10〜30mmとすることが好ましい。
【0025】
図1に示すように、上面板状部1には、四隅の桁部3および辺中央部の桁部4の間に、上部水平桟71と平行に延びる桟11が形成されるとともに、フォーク挿入方向に延びる桟12が形成され、上部水平桟71および桟11と、桟12とが格子状に交差している。各格子の間には多数の開口部が形成されている。
【0026】
図5に示すように、下面板状部2には、四隅の桁部3および辺中央部の桁部4の間に、下部水平桟72の上端に沿って、フォークおよびパレットトラックの挿入が円滑に行えるように、水平板状部21が形成されている。さらに、水平板状部21の両側縁には、下方に傾斜した傾斜面22と、下段板状部23上に設けられたリブ24によって下方に傾斜した傾斜辺24'とが形成されている。下面板状部2にこのような水平板状部21、傾斜面22、傾斜辺24'を形成することにより、パレットトラックのフォークをフォーク挿入口6に出し入れさせる際の操作性を向上させることができる。
【0027】
水平板状部21の裏面には、図5に示すように、下部水平桟72と平行に延びた桟25が形成されるとともに、フォーク挿入方向に延びた桟26が形成され、下部水平桟72および桟25と桟26とは格子状に交差している。
【0028】
四隅の桁部3の内部には、図6に示すように、上面板状部1に上部水平桟71と連続した桟31が形成され、下面板状部2には、桟31と上下に重なり合わない位置で、桟31と同方向に延びる桟32が形成されている。
【0029】
辺中央部の桁部4の内部において、上面板状部1には、図1に示すように、上部水平桟71と連続した桟41が形成されている。図2に示すように、下面板状部2には、桟41と上下に重なり合わない位置で、桟41と同方向に延びた桟42が形成されている。
【0030】
パレット中央の桁部5の内部には、上面板状部1に対向する桁壁の間で桟51aが形成されるとともに、下面板状部2に桟51aと上下に重なり合わない位置で桟51aと同方向に延びた桟52aが形成されている。また、桁壁と仕切壁53との間で桟51bが形成されるとともに、下面板状部2に桟51bと上下に重なり合わない位置で桟51bと同方向に延びた桟52bが形成されている。
辺中央部の桁部4とパレット中央の桁部5との間には、上面板状部1に辺中央部の桁部4とパレット中央の桁部5とを連結する桟17が形成され、かつ下面板状部2には、桟17と上下に重なり合わない位置で、辺中央部の桁部4とパレット中央の桁部5とを連結する桟27が形成されている。
【0031】
なお、辺中央部の桁部4とパレット中央の桁部5とを連結する左右両端の桟27にリブ28を設け、このリブ28によって傾斜辺28'を形成することにより、ハンドリフターのフォークをフォーク挿入口6に出し入れする際の操作性を向上させることができる。
【0032】
上面板状部において辺中央部の桁部4とパレット中央の桁部5とを連結する桟17は、パレット中央の桁部5内に形成された桟51aまたは51bと連続している。また、下面板状部2において辺中央部の桁部4とパレット中央の桁部5とを連結する桟27は、パレット中央の桁部5内に形成された桟52aまたは52bと連続している。
【0033】
フォーク挿入口6が交差する部分において、上面板状部1には、前記交差する部分の周辺を囲んだ角型周辺部18が形成され、この角型周辺部18の内側には、縦横に交差した多数の桟からなる格子状桟19が形成されている。下面板状部2には、格子状桟19と対向する位置に、格子状桟19とほぼ同寸法の矩形状の開口部がそれぞれ形成されている。
【0034】
合成樹脂製パレットの上面板状部1において、上部水平桟71の上には、合成樹脂製の滑止テープ81が貼られている。このような滑止テープ81を設けることにより、合成樹脂製パレット上に物品を載せて運搬する際に、物品が合成樹脂製パレット上で滑り難くすることができる。上部水平桟71と、桟31および桟41との上にそれぞれ滑止テープ81を設けてもよい。
【0035】
図8は、滑止テープ81の取り付け構造の一例を示している。上部水平桟71の上には、滑止テープ81の幅よりもわずかに大きい幅の浅い凹部81aが形成され、この凹部81aの中に滑止テープ81が接着されている。接着方法としては、接着面を加熱溶融させて互いに圧着させる方法が好適である。
【0036】
凹部81aの深さは滑止テープ81の厚さ(例えば2mm)よりも小さく(例えば1mm程度)とされており、滑止テープ81のずれを防ぎつつ、滑止テープ81による滑り止め効果が得られるようになっている。また、滑止テープ81は中空部70'のガス吹き込み孔70aを塞ぐ効果も果たしている。ガス吹き込み孔70aが開口したままでは、雨水等が中空部70'に侵入するおそれがある。
【0037】
滑止テープ81と同様に、合成樹脂製パレットの下面板状部2の下面には、下部水平桟72の下面に滑止テープ82が貼られている。これにより、合成樹脂製パレット上に物品を載せて積み重ねた場合に、下段の物品上に載せた上段の合成樹脂製パレットが下段の物品上で滑ることが抑制できる。
【0038】
滑止テープ81、82の材質としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン系エラストマー等を挙げることができる。
【0039】
本発明の合成樹脂製パレットは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂によって形成することができ、合成樹脂中に着色剤、充填剤等の添加剤を適宜に添加してもよい。本発明の特徴である補強枠も、合成樹脂製パレット本体と同じ材質で形成されている。勿論、パレット材質として、ポリエチレンやポリプロピレンより強度の高い合成樹脂を用いてもよい。
【0040】
本発明の合成樹脂製パレットは、金型内に溶融合成樹脂を射出する射出成形法により成形することができる。金型内に溶融合成樹脂を射出する際に、金型内に射出した溶融合成樹脂中にガスを注入することにより、上部および下部の水平桟71、72、および垂直桟73、74の内部に中空部70'を形成することができる。これによって、肉厚が大きいにも拘わらず、ヒケによる成形歪みが小さく、しかもその表面が平滑な上部および下部の水平桟71,72、および垂直桟73、74を成形できる。
【0041】
なお、補強枠70の全周に亘って中空部70'を形成するために、図7に示すように、射出成形金型の内部に、ガス吹き込み孔70aの反対側に樹脂溜まり72aを形成し、この樹脂溜まり72aへ樹脂が捨てタブ72bとして流れ出るようにしてもよい。こうすることにより、補強枠70の全周に亘って中空部70'を形成することが容易になる。
【0042】
この実施形態の合成樹脂製パレットは、ハンドリフターで運搬できるように、フォーク挿入口6が交差する部分の下方において、下面板状部2に大きな開口部が設けられ、上面板状部1にのみ物品を載せることができる片面使用型とされているが、本発明は、上面板状部1および下面板状部2の何れにも物品を載せることができる両面使用型合成樹脂製パレットに適用することもできる。また、この実施形態はフォークを四方から差し込む四方差し型とされているが、本発明はフォークを二方から差し込む二方差し型の合成樹脂製パレットにも適用できる。
【0043】
補強枠70は、フォーク挿入口と対応する形状を有していればよく、その形状は特に限定されない。しかし、断面を矩形状としたほうが製造の容易さや補強効果の程度の点では好ましい。
【0044】
以上説明したように、上記実施形態の合成樹脂製パレットは、フォーク挿入口6を取り囲む中空の補強枠70を形成したことにより、合成樹脂製パレットの自重を大きくすることなく、フォーク挿入口6付近の強度を大きくすることができる。
【0045】
また、本実施形態の合成樹脂製パレットは、荷重に対して変形し難く、大きな強度を有する補強枠70の上部および下部の水平桟71、72上に滑止テープ81、82が設けられているから、合成樹脂製パレット上に物品を載せて運搬したり、合成樹脂製パレット上に物品を載せて多段に積み重ねる場合に、優れた滑止効果を発揮する。
【0046】
さらに、本実施形態の合成樹脂製パレットにおいては、上部および下部の水平桟71、72の内部に中空部70'を形成することにより、肉厚であるにも拘わらず成形歪みを小さくして上部および下部の水平桟71、72の表面を平滑にすることができ、これによって上部および下部の水平桟71、72の上に設けた滑止テープ81、82の表面が平滑となり、滑止効果を一層良好にすることができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、図9〜図12は本発明の第2実施形態を示し、第1実施形態の各部と対応する箇所には同一符号を付して説明を省略する。
第1実施形態では、図6に示すように補強枠70の全周に亘って中空部70'が形成されていたが、この実施形態では、図11に示すように補強枠70の一部にのみ中空部70'が形成されていることが主な相違点である。
【0048】
第2実施形態の補強枠70は、図10および図11に示すように、フォーク挿入口6の四方を取り囲む上部水平桟71、垂直桟73,74、および下部水平桟72cを有する。この実施形態では、下部水平桟72cの両端部のみが中空となっており、垂直桟73,74の各中空部とつながっている。これにより、補強枠70の4つの角部は全て強度の高い中空構造となっている。
【0049】
一方、下部水平桟72cの両端を除く部分は中実構造とされ、さらに上部水平桟71および垂直桟73,74に比べて、図10および図12に示すように、フォーク挿入方向における幅が小さくされている。この実施形態では、図12に示すように下部水平桟72cは補強枠70の幅方向の片側に沿って形成されているが、この構成に限定されず、図13に示すように下部水平桟72cを補強枠70の中心線に沿って形成してもよい。
【0050】
また、図12および図13に示す例では、下部水平桟72cの垂直桟73,74と交差する両端部は厚肉にされているが、図14に示すように、下部水平桟72cの両端部を薄肉にしてもよい。
【0051】
下部水平桟72cの中央部の幅W2と、上部水平桟71の幅W1との比率W2/W1は、0.3〜0.8であることが好ましく、より好ましくは0.4〜0.6である。この範囲であれば、強度と成型のしやすさのバランスが良好である。
【0052】
この第2実施形態によれば、補強枠70の全周に亘って中空部70'を形成する必要が無くなるので、高いガス圧を用いたり、図7に示すような湯溜まりを使用することなく、容易に補強枠70を射出成形することができる。
また、補強枠70の4つの角部は剛性の高い中空構造にされているので、下部水平桟72cの中央部が中実構造であっても強度上の遜色はない。
さらに、幅広の上部水平桟71は物品載置面となっているので、滑止テープ81、82を貼りやすい上、中空構造の強度を有効に生かすことができる。
【0053】
なお、第2実施形態では、上部水平桟71および垂直桟73,74が中空構造であったが、下部水平桟72cと垂直桟73,74を中空構造として、上部水平桟71の幅を小さくしてもよいし、さらに、ガス吹き込み孔を垂直桟73,74のいずれかに設けることにより、上部水平桟71と、垂直桟73,74のいずれか一方と、下部水平桟72cとを中空構造にしてもよい。
【0054】
また、第2実施形態では、下部水平桟72cの両端部まで中空部70'が達していたが、中空部70'は垂直桟73,74の中間までとしてもよい。その場合、中空部の形成されていない中実構造部分は、前述したように幅を小さくすることが好ましい。
【0055】
[第3実施形態]
次に、図15は本発明の第3実施形態を示し、第1実施形態および第2実施形態の各部と対応する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
第1実施形態および第2実施形態では、四隅の桁部3と、辺中央部の桁部4との間のみに補強枠70が形成されていたが、この第3実施形態では、辺中央部の桁部4とパレット中央の桁部5との間にもそれぞれ、補強枠70が形成されていることを特徴としている。これら追加された補強枠70の構造は、第1実施形態の補強枠70、または第2実施形態の補強枠70のいずれかと同様の構造を有している。一部の補強枠70は第1実施形態と同じ構造で、他の補強枠70は第2実施形態と同じ構造であってもよい。
【0056】
第1実施形態および第2実施形態では、図16に示すように補強枠70が配置されていたのに対し、第3実施形態では、図17に示すように補強枠70の個数が2倍となるので、その分、フォーク挿入口6の周辺部分の変形を防止し、合成樹脂製パレットの強度を高めることが可能である。
【0057】
図16および図17は四方差し型のパレットであったが、二方差し型のパレットであれば、図18および図19に示すように補強枠70を配置すればよい。
【0058】
[第4実施形態]
図20は、本発明の第4実施形態の補強枠70を示す一部破断した斜視図である。第1実施形態および第2実施形態では、補強枠70が同一平面上に揃った上部水平桟71、垂直桟73,74および下部水平桟72(または72c)とから構成されていたが、そのような構成であると、射出成形する際にスライドコアを用いる必要が生じる。
【0059】
そこで、この第4実施形態では、上部水平桟71と下部水平桟72cを鉛直方向に見て互い違いに配置することにより、スライドコアを使用しなくても補強枠70が成形可能とされている。これにより、成形効率をさらに上げることができる。すなわち、上部水平桟71の中央部から吹き込まれたガスは、垂直壁の一部である垂直桟73,74を通って、上部水平桟71と鉛直方向に互い違いに配置された下部水平桟72(または72c)へ流れて、下部水平桟72(または72c)の少なくとも両端部が中空構造にされる。
【0060】
図20の例では、垂直桟73,74の厚さが垂直壁と同じであるが、図21および図22(図21中のC−C線視斜視図)に示すように、垂直壁よりも厚肉にすることも可能である。このように肉厚を大きくすれば、補強枠70内に中空部70'を形成することが容易になり、垂直桟73,74の強度も大きくなる。
【0061】
図20〜図22のような構造は、特に、第3実施形態において、辺中央部の桁部4とパレット中央の桁部5との間に補強枠70を形成する際に有益である。フォーク挿入口6の開口端から遠い位置ほど、スライドコア等を使用しにくくなるからである。
【0062】
【実施例】
[実験1]
図26〜図31に示す断面形状の棒材をポリプロピレンで成形し、断面2次モーメントを測定して曲げ強度を比較した。その結果を表1に示す。
表1の結果から、図27に示すように中空構造とした場合、中空でない図26の場合に比較して殆ど強度が低下せず、図28および図29に示すような従来構造に比して強度が大幅に向上できることがわかった。
【0063】
【表1】
【0064】
[実験2]
実際に、補強枠70を有する合成樹脂製パレットを成型し、中空の上部水平桟71から長さ200mmの試験片1を2本切り出した。一方、補強枠70の代わりに断面U字状の桟を有し、他は同一寸法である従来の合成樹脂製パレットから、前記断面U字状の桟を2本切り出し、試験片2とした。試験片1の寸法は、長さ200mm、左右幅36.0mm、上下幅35.0mm、肉厚4.0mmであった。試験片2の寸法も、長さ200mm、左右幅36.0mm、上下幅35.0mm、肉厚4.0mmであった。
【0065】
両試験片1,2の両端を支持し、中央部に200kgfの荷重をかけた場合の撓み量(mm)と、中央部を5mm変位させるのに要した負荷(kgf)を測定した。結果を表2に示す。上段は1本目、下段は2本目の結果である。
【0066】
【表2】
【0067】
表2に示すように、試験片1では試験片2に比べて、曲げ強度が35〜40%向上していた。したがって、パレット全体としても大幅な強度向上が見込まれる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明は、物品の運搬や保管に使用される合成樹脂製パレットにおいて、フォーク挿入口を取り囲むように少なくとも一部が中空構造の補強枠を形成したものであるから、特にフォーク挿入口の周囲の剛性を高めることができ、パレット全体の強度を高めることが可能である。しかも、補強枠の少なくとも一部を中空構造としたことにより、強度の向上率に比してパレットの重量を増すことが少なく、生産効率も高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の合成樹脂製パレットを示す平面図である。
【図2】 第1実施形態の合成樹脂製パレットの底面図である。
【図3】 第1実施形態の合成樹脂製パレットの正面図である。
【図4】 第1実施形態の合成樹脂製パレットの側面図である。
【図5】 図1中の線A−Aに沿った断面図である。
【図6】 図1中の線B−Bに沿った断面図である。
【図7】 第1実施形態の合成樹脂製パレットの製造方法の一例を示す断面図である。
【図8】 第1実施形態の合成樹脂製パレットにおける滑り止めシールの固定構造を示す断面図である。
【図9】 本発明の第2実施形態の合成樹脂製パレットを示す平面図である。
【図10】 第2実施形態の合成樹脂製パレットをフォーク挿入口に対し平行に切った断面図である。
【図11】 第2実施形態の合成樹脂製パレットにおける補強枠の断面図である。
【図12】 第2実施形態の合成樹脂製パレットにおける補強枠の底面図である。
【図13】 変形例の補強枠の底面図である。
【図14】 変形例の補強枠の底面図である。
【図15】 本発明の第3実施形態の合成樹脂製パレットを示す平面図である。
【図16】 本発明の第2実施形態における補強枠の配置を示す斜視図である。
【図17】 本発明の第3実施形態における補強枠の配置を示す斜視図である。
【図18】 本発明の変形例を示す斜視図である。
【図19】 本発明の変形例を示す斜視図である。
【図20】 補強枠の他の実施形態を示す斜視図である。
【図21】 補強枠の他の実施形態を示す斜視図である。
【図22】 補強枠の他の実施形態を示す斜視図である。
【図23】 従来の合成樹脂製パレットの外観を示す斜視図である。
【図24】 図23中D−D線視斜視図である。
【図25】 従来の合成樹脂製パレットの製造方法を示す断面図である。
【図26】 強度試験に用いた試験片の断面図である。
【図27】 強度試験に用いた試験片の断面図である。
【図28】 強度試験に用いた試験片の断面図である。
【図29】 強度試験に用いた試験片の断面図である。
【図30】 強度試験に用いた試験片の断面図である。
【図31】 強度試験に用いた試験片の断面図である。
【符号の説明】
1 上面板状部
2 下面板状部
3,4,5 桁部
6 フォーク挿入口
70 補強枠
70' 中空部
70a ガス吹き込み孔(ガス導入口)
71 上部水平桟
72 下部水平桟
73、74 垂直桟
81、82 滑止テープ(滑り止め部材)
81a 凹部
Claims (4)
- 互いに平行に配置された上面板状部および下面板状部と、前記上面板状部および下面板状部を連結する複数の桁部とを有し、これら桁部の間にフォーク挿入口が形成された合成樹脂製パレットであって、前記フォーク挿入口に対応して、前記フォーク挿入口のフォーク挿入方向と直交する断面を囲む補強枠が形成され、この補強枠の少なくとも一部の内部には中空部が形成されており、前記補強枠は、前記上面板状部に沿って形成された上部水平桟と、前記下面板状部に沿って形成された下部水平桟と、これら上部水平桟および下部水平桟を連結する一対の垂直桟とを有し、前記上部水平桟、前記下部水平桟、および前記一対の垂直桟のうち少なくとも3つが相互に連通する中空部を有することを特徴とする合成樹脂製パレット。
- 前記上部水平桟、前記下部水平桟、および前記一対の垂直桟のうち、内部に中空部を有していない部分は、内部に中空部を有している部分に比べて幅が小さいことを特徴とする請求項1の合成樹脂製パレット。
- 前記上部水平桟、前記下部水平桟、および前記一対の垂直桟は全て、相互に連通する中空部を有していることを特徴とする請求項1の合成樹脂製パレット。
- 前記補強枠の外面には前記中空部に連通するガス導入口が形成されており、前記上面板状部または前記下面板状部には、このガス導入口を塞ぐ滑り止め部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1の合成樹脂製パレット。
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