JP4622952B2 - 車両用空調システム - Google Patents
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Description
ピラーは、中空の柱状に形成され、車室外側に車室外側の空気を前記中空部分に取り入れるための外気取入れ口及び取り入れた空気を車室外側に排出するための外気排出口を有し、車室内側に車室内側の空気を前記中空部分に取り入れるための内気取入れ口及び取り入れた空気を車室内側に排出するための内気排出口とを有している。そして、ピラーの中空部分に、外気取入れ口から取り入れられ、外気排出口から排出される外気と、内気取入れ口から取り入れられ、内気排出口から排出される内気とを隔てるように、選択分離材が備えられている。
このように構成された車両用空調システムによれば、外気をブロワなどで車室内側へ導入しなくても、選択分離材によって乗員が消費した酸素を取り入れ、排出した二酸化炭素を車室外に排出することができる。以下、この効果について詳細に説明する。
したがって、選択分離材の車室外側の面は一定濃度の酸素や二酸化炭素を含む外気と接触することになる。一方、車室内側の空気は乗員の呼吸などにより、二酸化炭素の濃度が高くなり、酸素濃度は低くなる。また、選択分離材は、二酸化炭素や酸素を濃度の高い方から低い方へ透過させる。
また、請求項7に記載のように外気取入れ口から取り入れられ、外気排出口から排出される外気と内気取入れ口から取り入れられ、内気排出口から排出される内気とを隔てるために、選択分離材のピラーの中空部分に接する部分に密着性のある材料を装着するようにするとよい。
また、請求項8に記載のように、選択分離材は、中空糸状に形成され、中空糸の内部に外気が導入され、中空糸の外部に内気が導入される、若しくは、中空糸の内部に内気が導入され、中空糸の外部に外気が導入されるように構成されていてもよい。
このように構成しても、ピラーの中空部分に配置される選択分離材の表面積を大きくすることができるので、外気と内気との間での酸素や二酸化炭素の交換を効率よく行なうことができる。
また、請求項11に記載のように、選択分離材の炭化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物及び微小固体成分を遮断する機能は、吸着、吸収、分解又は表面反応により発現されるようにするとよい。
さらに、分解では、吸着や吸収した炭化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物を化学的に分解し、無臭化又は無害化することができる。
ここで、分解する手段としては、例えば、電気的に分解する方式及び熱的に分解する方式、薬品等を用いて化学的に分解する方式又は微生物等を用いた生物的に分解する方式等が考えられる。さらにこれらの方式の組み合わせにて能力を向上させる方法も考えられる。
ところで、車両が炎天下に晒されたりして、選択分離材が比較的高い温度に晒されることがある。そこで、請求項13に記載のように、選択分離材を冷却できるようにするとよい。
ここで、「所定の温度」とは、選択分離材の酸素及び二酸化炭素の透過性能及び炭化水素などの遮断性能が必要とされる最低の値以下となる温度のことをいう。
このようにすると、振動により選択分離材の車室内側及び車室外側表面に付着した粉塵をふるい落とすことによって除去することができるので、選択分離材の酸素や二酸化炭素の透過性能を回復させることができる。
(空調システムが組み込まれた車両の構成)
図1は、本実施形態の空調システムが組み込まれた車両10の概略断面図である。車両10は、図1に示すように、空気を通さないアルミやガラスなどの壁面で囲まれ、外気が進入しない車両10と外気が進入することができるトランクやエンジンルームなどの車室19外の空間とからなる。
(車両用空調システムの構造)
次に、車両用空調システムの構成について図2を用いて説明する。図2(a)は、車両10及び車両10に設けられた各ピラー50,52,54の概略構成図であり、図2(b)はセンターピラー52の構造を模式的に示した概略構造図である。
温度センサ60は、選択分離材13の表面温度を計測するためのものであり、熱電対やペルチェ素子など、選択分離材13の表面温度を電気信号に変換して出力するものである。
(選択分離材の構造)
次に、センターピラー52を例として、各ピラー50,52,54の中空部分に配置されている選択分離材13の構造について図3に基づいて説明する。図3は選択分離材13の概略を示す構造図である。図3(a)は、蛇腹状に折った選択分離材13の斜視図であり、図3(b)は、蛇腹状に折った選択分離材13の側面図とセンターピラー52の斜視図である。図3(a)及び図3(b)においては、分かりやすくするため、蛇腹状に折った選択分離材13を両端部13d方向に少し開いて図示している。
選択分離材13は、平板状に形成されており、さらに、その平板状に形成された選択分離材13は、図3に示すように蛇腹状に折られてセンターピラー52の中空部分に配置されている。また、蛇腹状に折られた選択分離材13の稜線13aが柱状のセンターピラー52の中心軸方向と一致するように配置されている。
(車両用空調システムの特徴)
外気は外気取入れ口50a,52a,54aから取り入れられ外気排出口50b,52b,54bから排出され、内気は内気取入れ口50c,52c,54cから取り入れられ内気排出口50d,52d,54dから排出される。
また、蛇腹状に折られた選択分離材13の稜線13aが、ピラー50,52,54の軸方向と一致するように配置されている。したがって、外気取入れ口50a,52a,54aから外気排出口50b,52b,54bへ流れる外気の流れが蛇腹部分で妨げられることがなくズムーズに流れる。つまり、選択分離材13において外気と内気との間での酸素や二酸化炭素の交換を効率よく行うことができる。
吸着では、炭化水素等の濃度が高くなった場合、一度それらを主として物理的に保持し、濃度が低くなった場合、それらを再び外気に放出することにより、選択分離材13の吸着性能を再生することができる。
さらに、分解では、吸着や吸収した炭化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物を化学的に分解し、無臭化又は無害化することができる。
ここで、分解する手段としては、例えば、電気的に分解する方式及び熱的に分解する方式、薬品等を用いて化学的に分解する方式又は微生物等を用いた生物的に分解する方式等が考えられる。さらに、これらの方式の組み合わせにて能力を向上させる方法も考えられる。
[第2実施形態]
次に、車室19内側の酸素濃度が低下したときに外気を導入して車室19内側の酸素濃度を急速に回復させる方法について図4に基づいて説明する。
また、蛇腹状に折られた選択分離材13の両端部13dをセンターピラー52の楕円断面形状を有する円柱側面の劣弧部分内側面に円柱の中心軸方向に接着剤で密着して固定する代りに、図5(a)に示すように選択分離材13の両端部13dにワイパーの断面形状と同様の断面形状のゴムを装着する。そして、図5(b)に示すように、ゴムが装着された両端部13dをセンターピラー52の円柱側面の劣弧部分内側面に円柱の中心軸方向に密着させるようにしてもよい。
次に、選択分離材13の形状を変更した実施形態について、図6〜図8に基づいて説明する。
また、センターピラー52は、図7(b)に示すように、円柱上端部52eが着脱可能になっており、円柱上端部52eを外した状態で、カートリッジ80をセンターピラー52内部に挿入して、選択分離材13をセンターピラー52中空部分(センターピラー52内部)に配置する。
また、図8に示すように、膜状の選択分離材13を2つ折りにし、さらに、その2つ折りにされた稜部を内側に巻き込んだ渦巻き状に形成する。そして、選択分離材13を2つ折りにすることによって形成される内側の空間に外気を導入し、外側の空間に内気を導入するようにしてもよい。
[第5実施形態]
次に、選択分離材13の表面に付着した粉塵を除去する方法について図9に基づいて説明する。図9は、モータ70によって選択分離材13を振動させて、選択分離材13の表面に付着した粉塵を除去する方法を模式的に示した模式図である。
このモータ70に図示しない車載バッテリから電力を供給すると回転軸に装着した円板が回転する。円板が回転すると、円板の外縁に取り付けられた接続棒70bがすりこぎ運動をする。接続棒70bがすりこぎ運動をすると接続棒70bに接続されている選択分離材13が振動する。
なお、車載バッテリから定期的にモータ70へ電力を供給して、定期的に選択分離材13を振動させて粉塵を除去してもよいし、粉塵センサなどで選択透過材表面の粉塵による汚れ度合いを検出し、汚れ度合いが大きくなった場合に、モータ70へ電力を供給して、選択分離材13を振動させて粉塵を除去してもよい。
(1)例えば、上記実施形態では、選択分離材13として、薄膜形状の材料を使用していたが、薄膜形状の材料の代りに細孔径が50ナノメートル以下である多孔質形状の材料を用いてもよい。
(2)また、薄膜形状の材料の代りに、炭化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物及び微小固体成分を遮断する機能を有する繊維形状の材料で選択分離材13を形成すると、酸素及び二酸化炭素の透過性を高めることができる。
具体的な材料としては、ゼオライトや粘土鉱物(モンモリロナイト、カオリナイト、ハロサイトなど)がある。より好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、珪素又はアルミニウムを含んだ物質がよい。また、酸化物では、粘土鉱物のように層間隔をサブナノメートル単位で制御することができる材料を使用してもよい。
(5)また、上記実施形態では、選択分離材13として、有機系高分子を使用していたが、有機系高分子の代りに結晶材料や炭素を含む材料を用いてもよい。結晶材料としては、無機材料や又は酸化物を有する組成を含む材料がある。また、炭素を含む材料としては、グラファイトを含む材料がある。
Claims (16)
- 中空の柱状に形成され、車室外側の空気を前記中空部分に取り入れるための外気取入れ口及び取り入れた空気を車室外側に排出するための外気排出口を車室外側に有し、車室内側の空気を前記中空部分に取り入れるための内気取入れ口及び取り入れた空気を車室内側に排出するための内気排出口とを車室内側に有したピラーの前記中空部分に、
前記外気取入れ口から取り入れられ前記外気排出口から排出される外気と、前記内気取入れ口から取り入れられ前記内気排出口から排出される内気とを隔てるように配置され、
酸素及び二酸化炭素を濃度の高い方から濃度の低い方へ透過させ、炭化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物及び微小固体成分を遮断する機能を有する選択分離材を備えたことを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1に記載の車両用空調システムにおいて、
選択分離材は、平板状に形成されており、さらに、その平板状に形成された選択分離材は、蛇腹状に折られて前記ピラーの中空部分に配置されていることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項2に記載の車両用空調システムにおいて、
前記蛇腹状に折られた選択分離材の稜線が、前記柱状に形成されたピラーの柱の中心軸方向と一致するように配置されたことを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記外気取入れ口は、前記ピラーの上部又は下部の何れかに設けられ、
前記外気排出口は、前記外気取入れ口に対して上下方向の反対側に設けられており、
さらに、前記内気取入れ口は、前記ピラーの上部又は下部の何れかに設けられ、
前記内気排出口は、前記内気取入れ口に対して上下方向の反対側に設けられていることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項4の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記外気取入れ口、前記外気排出口、前記内気取入れ口及び前記内気排出口は、
前記外気取入れ口から取り入れられ、前記外気排出口から排出される外気の流れと、前記内気取入れ口から取り入れられ、前記内気排出口から排出される内気の流れとが反対向きになるように配置されていることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項5の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記選択分離材は筒状に形成され、
さらに、前記選択分離材は、前記筒状に形成された選択分離材の内面に前記外気取入れ口から取り入れられた外気が導入され、外面に前記内気取入れ口から取り入れられた内気が導入される、若しくは、選択分離材の外面に前記外気取入れ口から取り入れられた外気が導入され、内面に前記内気取入れ口から取り入れられた内気が導入されるように前記ピラーの中空部分に配置されていることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項5の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記外気取入れ口から取り入れられ、前記外気排出口から排出される外気と前記内気取入れ口から取り入れられ、前記内気排出口から排出される内気とを隔てるために、前記選択分離材の前記ピラーの中空部分に接する部分に密着性のある材料が装着されていることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項5の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記選択分離材は、中空糸状に形成され、前記中空糸の内部に外気が導入され、前記中空糸の外部に内気が導入される、若しくは、中空糸の内部に内気が導入され、中空糸の外部に外気が導入されるように構成されていることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項5の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記選択分離材は、膜状に形成され、膜状に形成された前記選択分離材が2つ折りに形成され、さらに、その2つ折りにされた前記選択分離材の稜部が内側に巻き込んだ渦巻き状に形成されており、前記選択分離材が2つ折りされることによって形成される内側の空間に外気が導入され、外側の空間に内気が導入される、若しくは、前記選択分離材が2つ折りされることによって形成される内側の空間に内気が導入され、外側の空間に外気が導入されるように構成されていることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項9の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記選択分離材は、多孔質形状、繊維形状又は薄膜形状あるいはそれらの複合形状を有することを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項10の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記選択分離材の炭化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物及び微小固体成分を遮断する機能は、吸着、吸収、分解又は表面反応により発現されることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項11に記載の車両用空調システムにおいて、
前記選択分離材の微小固体成分を遮断する機能は、濾別によっても発現されることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項12の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記選択分離材の表面温度を計測するための温度センサと、
前記外気取入れ口から前記外気排出口に至る外気導入経路、又は、前記内気取入れ口から前記内気排出口に至る内気循環経路に設置され、前記温度センサで計測した前記選択分離材の表面温度が前記選択分離材の所定の温度となった場合に前記選択分離材を冷却する冷却手段と、
を備えていることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項13の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記選択分離材を振動させ、前記選択分離材の表面に付着した粉塵を除去するための振動手段を備えたことを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項14の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記選択分離材は、前記ピラーの中空部分に着脱可能に構成されたカートリッジに収納され、
前記ピラーは前記カートリッジを中空部分に脱着可能に形成されていることを特徴とする車両用空調システム。 - 請求項1〜請求項14の何れかに記載の車両用空調システムにおいて、
前記車室内側のガス濃度を検出するガス濃度検出手段と、
前記車室外側の空気を前記車室内側へ導入又は前記車室内側の空気を前記車室外側へ排出可能な内外気交換手段と、
前記ガス濃度検出手段で検出したガス濃度が所定の値となった場合に前記内外気交換手段を介して前記車室外側の空気を前記車室内側へ導入又は前記車室内側の空気を前記車室外側へ排出させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用空調システム。
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