JP4622402B2 - ロータ表面へのマグネット接着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転機のロータコアにマグネットを接着するロータ表面へのマグネット接着装置に関する。
回転機のロータコアにマグネットを接着する接着剤として、加熱硬化性接着剤を用いることは公知である(例えば、特許文献1参照)。
また、硬化時間を短縮するものとして、空気との接触が遮断されると硬化する嫌気性および紫外線によって硬化する光増感剤を加えた紫外線硬化性樹脂のエポキシアクリル系樹脂をロータコアにマグネットを接着する接着剤としているものもある(例えば、特許文献2参照)。
図5において、1はロータコアであり、予め、シャフト2と固着されている。3はマグネットであり、ロータコア1との間に空気との接触が遮断されると硬化する嫌気性および紫外線硬化性樹脂のエポキシアクリル系樹脂から接着剤4が塗布されている。
図5の状態で、紫外線硬化炉の中で約2分間回転させながら、エポキシアクリル系樹脂を硬化させていた。
このように、従来のロータ表面へのマグネット接着装置は、ロータコアとマグネットの間の接着剤として、空気との接触が遮断されると硬化する嫌気性および紫外線硬化性樹脂のエポキシアクリル系樹脂を接着剤として用い、紫外線を照射することにより、ロータコアにマグネットを接着していた。
また、接着時のマグネットの位置決めを行うためにロータコアに突起をつけた例もある(例えば、特許文献3参照)。
図6において、5はマグネット位置決め用の突起である。マグネットをロータコアに接着する際にマグネットをこの突起に合わせることにより、マグネットの位置決めを行うことができる。
特開平07−079537号公報 特開平05−308759号公報 特開平2004−153962号公報
嫌気性および紫外線硬化性樹脂を用いる従来の装置は、マグネットとロータコアの接着部には紫外線が届かないので、マグネットとロータコアの接着は、樹脂の嫌気性にのみに頼ることになり、接着力が不足するという問題があった。
また、嫌気性および紫外線硬化性樹脂のエポキシアクリル系樹脂は、通常の熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)に比較して、価格が高いというような問題もあった。
また、ロータに複数段マグネットを接着し、各段のマグネット接着位置により、スキューを有するロータを製造する場合には、突起を設けたロータコア材を何段にも分けて、積層する必要があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、硬化時間を短縮したまま、通常の熱硬化性樹脂をマグネットとロータコアの接着剤として用いることを可能とするとともにマグネットの位置決めを正確かつ簡単に行え、複数段のマグネットを有するスキュー付きロータを簡単に製造することができるロータ表面へのマグネット接着装置を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の発明は、ロータ表面へのマグネット接着装置に係り、ロータコアに固着されたシャフトを支持するベースと、該シャフトが前記ベースに支持された状態で前記ロータコアの表面に熱硬化性接着剤により仮接着されたマグネットを全周に亘ってロータ中心軸に向けて押圧する可動マグネット押さえと、前記可動マグネット押さえに取り付けられたロッドを可動させる駆動装置と、前記マグネットの全周に亘って近接配置されて前記熱硬化性接着剤を加熱する高周波加熱コイルと、を備えたロータ表面へのマグネット接着装置において、前記高周波加熱コイルは中空円筒状をし、該中空円筒内に前記可動マグネット押さえが配設され、該中空円筒外に前記駆動装置が配設され、前記ロッドが前記駆動装置から前記高周波加熱コイルの上下端を越えて前記可動マグネット押さえを支持していることを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のロータ表面へのマグネット接着装置において、前記可動マグネット押さえが電気絶縁物で構成されたことを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のロータ表面へのマグネット接着装置において、該シャフトを垂直に支持するためのシャフト穴が前記ベースに設けられたことを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のロータ表面へのマグネット接着装置において、前記可動マグネット押さえが、前記可動マグネット押さえが押さえ位置に位置したとき、各可動マグネット押さえの前記マグネットに接する面が前記シャフト中心に対して回転対称を成すように前記ベースに前記駆動装置を介して固定されていることを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のロータ表面へのマグネット接着装置において、前記前記各可動マグネット押さえの前記マグネットに接する面には、前記マグネットの外形に嵌合する切り欠きを設けていることを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項5記載のロータ表面へのマグネット接着装置において、前記ロータに前記マグネットを複数段に設け、各段の前記マグネットの接着位置に前記切り欠きを設け、各段のマグネット位置によりスキューを有するロータを製造することを特徴としている。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載のロータ表面へのマグネット接着装置において、前記可動マグネット押さえは前記ロッドに対して着脱自由であることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によると、ロータとマグネットの間の接着剤として通常の熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)を用いることができ、マグネットおよびロータの表面近傍のみを効率よく加熱することができ、硬化時間を短縮することができ、さらに簡単な構成で最良のマグネット接着装置が実現できる
また、請求項2に記載の発明によると、可動マグネット押さえを電気絶縁物で構成したので、前記可動マグネット押さえに高周波が吸収されず、効率的にマグネットを加熱することができる。
また、請求項3に記載の発明によると、シャフトを垂直に支持するためのシャフト穴をベースに設けられたことで、ベースへのシャフトの固定が簡単になる。
また、請求項4に記載の発明によると、ロータコアに対して、均等にマグネットを押さえることができるため、ロータのバランスを損なうことなくマグネット接着を行うことができる。
また、請求項5に記載の発明によると、接着する際にマグネットは可動マグネット押さえの切り欠き部によって保持されるため、正確な位置に接着され、マグネット位置決めの突起を設ける必要がなくなる。
また、請求項6に記載の発明によると、各段のマグネット位置を正確に決めることができるため、スキューを有したロータを正確かつ簡単に製造することができる。
また、請求項7に記載の発明によると、前記可動マグネットを簡単に交換できるので、ポール数、マグネット段数等によって、可動マグネット押さえを替え、多品種のロータ表面へのマグネット接着に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
実施例1では、8ポール、マグネット2段、スキュー角度22.5度のロータを製造するマグネット押さえを4分割したロータ表面へのマグネット接着装置について説明する。 しかしながら、これはここに挙げた数値は代表例であり、それらの値は設計事項であり、本発明はこれに限定されるものではない。
図1および図2は本発明に係るマグネット接着装置の平面図であり、図1は可動マグネット押さえがマグネットを押さえている状態を示し、図2は可動マグネット押さえが開いている状態を示す。また、図3は図2の側断面図である。
図において、6は絶縁物(例えばセラミックス、高耐熱性樹脂)からなる可動マグネット押さえであり、概4分の1円弧の形状をなすもの4つ設けられて成る。それぞれの可動マグネット押さえ6は、ロッド8、駆動装置9、必要に応じて支持棒12を介し、ベース13に固定されている。なお、前記可動マグネット押さえ6とロッド8は着脱自由に構成されている。
また前記ベース13には、前記シャフト2と嵌合するように形成されたシャフト支持穴14が設けられている。前記可動マグネット押さえ6、ロッド8、駆動装置9は、シャフト支持穴14に対し、前記可動マグネット押さえ6が回転対称となるように設けられている。
前記ロッド8と駆動装置9は、それらの組み合わせによりシリンダの働きをなし、前記可動マグネット押さえ6が、前記シャフト穴14に差し込まれたシャフト2に予め固着されたロータコア1の半径方向に可動であるようになっている。なお、図1および図2においてベース11は図を見易くするため図示省略している。
また、図3では、前記ロッド8と駆動装置9は前記可動マグネット押さえ6各々につき、上下に1組ずつあわせて2組設けられているが、1組以上設ければよい。
また、前記駆動装置9を持たず、ロッド8および摺動部を組み合わせたものを併設してもよい。
また、ロッド8は、高周波コイル10の隙間に設けてもよい。
また、図4に示すように、前記可動マグネット押さえ6の内面には、前記マグネット3の配置に合わせ、マグネット3の外形と嵌合する切り欠き7が形成されている。また、シャフト支持穴14と概同心円状に、かつ前記可動マグネット押さえ6の可動範囲より外側に銅パイプ等からなる高周波コイル10が設けられており、高周波電源11から供給される電流により、高周波電磁界を発生するようになっている。
なお、前記ロッド8も絶縁物であることが好ましく、前記駆動装置9は、前記マグネット3および、前記ロータコア1表層部にかかる電磁界を乱さない程度に高周波コイル10から離れていることが好ましい。
本発明が特許文献1と異なる部分は、接着剤硬化手段として高周波加熱を用い、高周波コイルと内面にマグネットと嵌合する切り欠きを持つ絶縁物で構成された可動式の可動マグネット押さえを備えた部分である。
次に、この装置を用いてマグネットの接着を行う手順を説明する。
まず、他の装置あるいは人手により、予めシャフト2に固着されたロータコア1に、熱硬化性の樹脂からなる接着剤4を塗布し、その上から、マグネット3を仮止めする。この仮止めは、接着剤4の粘着性によって行う。またマグネット3の位置決めはそれほど精度を要求しない。したがって、従来のロータコアに設けられていたマグネット位置決め用の突起5を廃止することができる。
その後、上記マグネット3を仮止めしたロータコア1を本発明の製造装置にセットする。その動作は、図2に示したように、可動マグネット押さえ6が開いた状態の本発明の発明装置に、前記マグネット3が仮止めされたロータコア1をそれに予め固着されているシャフト2をベース13に設けられたシャフト支持穴14に差し込むことでセットする。
この状態で図示しない信号伝達手段、および動力源により、駆動装置9を作動させ、可動マグネット押さえ6を内側に移動させる。可動マグネット押さえ6が内側に移動するに従い、マグネット3の外周が可動マグネット押さえ6の内面に設けられた切り欠き7に倣う。図1に示したように前記可動マグネット押さえ6が押さえ位置に達した時、前記マグネット3は、所定の位置に移動し、ロータコア1と接着剤4を挟んだ状態で密着する。また、この状態で、前記熱硬化性接着剤4は均一に拡がる。
そして、可動マグネット押さえ6を上記位置に固定したまま、図示しない信号伝達手段により、高周波電源11を作動させる。これにより、高周波コイル10に高周波電流が流れ、高周波電磁界を発生させる。この電磁界により、磁性体であるマグネット3およびロータコア1に渦電流が流れ、発熱が起こる。この時、電磁界は高周波領域であるため、ロータコア1の深部にまで達さず、マグネット3近傍のみ発熱する。この熱により熱硬化性接着剤4が完全に硬化し、マグネット3のロータコア1への接着が完了する。
この後、図示しない信号伝達手段、および動力源により、駆動装置9を作動させ、図2に示したように可動マグネット押さえ6を外側へ移動し、マグネット3が接着されたロータコア1および予めそれに固着されたシャフト2を取り出す。
高周波加熱では、マグネット3およびロータコア1そのものが発熱するので、短時間で熱硬化性接着剤4が硬化し、かつ、ロータコア1の大部分やシャフト2の温度はほとんど上昇しないので、冷却に要する時間を短縮できるので、作業時間が短くてすむ。
また、接着材として、嫌気性および紫外線硬化性樹脂のエポキシアクリル系樹脂を使用した場合と比較して、マグネットとロータコア間の接着強度が強いという利点がある。
さらに、可動マグネット押さえを採用することにより、マグネットの位置決めを正確に行うことができ、また接着剤の拡がりを均一化できるため、ロータの磁気的および機械的アンバランスを低減することができる。
また、可動マグネット押さえ6を着脱自由としているため、ポール数、マグネット段数等によって、可動マグネット押さえを替え、多品種のロータ表面へのマグネット接着に用いることができる。
なお、上記で触れた信号伝達手段に信号を送る手段として、計算機を用いることも可能である。
加熱手段として高周波加熱を利用し、可動式の絶縁物からなる可動マグネット押さえを具備することによって、既存の熱硬化性樹脂を接着剤とし、短時間にかつ正確にマグネットをロータコアに接着することができるので、各種モータのロータ表面へのマグネット接着という用途に適用できる。
本発明の第1実施例を示すロータ表面へのマグネット接着装置の平面図で、可動マグネット押さえが閉じた状態を示している。 本発明の第1実施例を示すロータ表面へのマグネット接着装置の平面図で、可動マグネット押さえが開いた状態を示している。 図2のマグネット接着装置の側断面図である。 可動マグネット押さえを内面側(マグネット側)から見た正面図である。 ロータの側断面図である。 従来のロータコアの形状を示すロータコア平面図である。
符号の説明
1 ロータコア
2 シャフト
3 マグネット
4 接着剤
5 突起
6 可動マグネット押さえ
7 切り欠き
8 ロッド
9 駆動装置
10 高周波コイル
11 高周波電源
12 支持棒
13 ベース
14 シャフト支持穴

Claims (7)

  1. ロータコアに固着されたシャフトを支持するベースと、該シャフトが前記ベースに支持された状態で前記ロータコアの表面に熱硬化性接着剤により仮接着されたマグネットを全周に亘ってロータ中心軸に向けて押圧する可動マグネット押さえと、前記可動マグネット押さえに取り付けられたロッドを可動させる駆動装置と、前記マグネットの全周に亘って近接配置されて前記熱硬化性接着剤を加熱する高周波加熱コイルと、を備えたロータ表面へのマグネット接着装置において、
    前記高周波加熱コイルは中空円筒状をし、該中空円筒内に前記可動マグネット押さえが配設され、該中空円筒外に前記駆動装置が配設され、前記ロッドが前記駆動装置から前記高周波加熱コイルの上下端を越えて前記可動マグネット押さえを支持していることを特徴とするロータ表面へのマグネット接着装置。
  2. 前記可動マグネット押さえは電気絶縁物で構成されたことを特徴とする請求項1記載のロータ表面へのマグネット接着装置。
  3. 該シャフトを垂直に支持するためのシャフト穴が前記ベースに設けられたことを特徴とする請求項1または2記載のロータ表面へのマグネット接着装置。
  4. 前記可動マグネット押さえは、前記可動マグネット押さえが押さえ位置に位置したとき、各可動マグネット押さえの前記マグネットに接する面が前記シャフト中心に対して回転対称を成すように前記ベースに前記駆動装置を介して固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のロータ表面へのマグネット接着装置。
  5. 前記各可動マグネット押さえの前記マグネットに接する面には、前記マグネットの外形に嵌合する切り欠きを設けていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のロータ表面へのマグネット接着装置。
  6. 前記ロータに前記マグネットを複数段に設け、各段の前記マグネットの接着位置に前記切り欠きを設け、各段のマグネット位置によりスキューを有するロータを製造することを特徴とする請求項5記載のロータ表面へのマグネット接着装置。
  7. 前記可動マグネット押さえは前記ロッドに対して着脱自由であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のロータ表面へのマグネット接着装置。
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