JP4620124B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
また、放電灯の寿命を検出する従来の放電灯点灯装置として、放電灯の累積点灯時間と点灯回数をカウントする積算部を備え、累積点灯時間が所定CD値を超えた場合、放電灯の寿命と診断し、また、点灯回数の増加に伴い、寿命を判断する累積点灯時間の所定の値を減少させる機能を有するものがある(例えば、特許文献2参照)。
また、放電灯の異常を検出する従来の放電灯点灯装置として、放電灯電圧を一定時間間隔で記憶し、その電圧変化から放電灯の異常を検出するものがある(例えば、特許文献3参照)。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置を示す構成図である。
図1において、バッテリー等の直流電源1から供給された電力を調整出力するDCDCコンバータ(電源調整手段)2が設けられ、このDCDCコンバータ2は、1次巻線および2次巻線を有するトランス2a、このトランス2aの一次側に設けられたFET2b、トランス2aの二次側に接続されたダイオード2cとを備える。
なお、DCDCコンバータ2とHブリッジ5は、直流電源1から放電灯6に交流の電力を供給する電力供給手段を構成する。
先ず、放電灯6の点灯遅れの発生頻度について説明する。放電灯6を始動するために、放電灯点灯装置は例えば20kV以上の高圧パルスを放電灯6に印加する。高圧パルスを印加しても放電灯6が始動しない場合、図2に示すように放電灯6が始動するまで高圧パルスを印加し続ける。放電灯6を保護するために高圧パルスを印加する最大期間を設けておき、その期間内で始動しない場合、始動失敗とし動作を停止する。放電灯6の経時変化により始動性が悪化すると、高圧パルスを複数回印加しなければ始動しなくなり、点灯遅れが生じる。そこで、点灯遅れ時間を計測し、点灯遅れの発生頻度を動作履歴として記憶素子10に記憶することで、放電灯6の始動性悪化を早期に検出することができ、完全に始動できなくなる前に放電灯6の異常を通知することができる。
放電灯6を交流で点灯させるため、放電灯点灯装置の出力極性を例えば200〜1kHzの周期で切り換えるが、放電灯6の経時変化により点灯性が悪化すると極性切り換え時に電流が途絶え易くなり、一瞬消えただちに再点灯することによるちらつきが発生する。しかし、交流の1サイクル以内の途絶えと再点灯は視認できない。図3は、放電灯の極性切り換え時の電圧・電流の波形図であり、図3(a)は正常な放電灯の極性切り換え時の波形、図3(b)は異常な放電灯の極性切り換え時の波形である。図3(b)に示すように、極性切り換え時に電流が途絶えた場合、放電灯点灯装置の出力電圧が上昇し、ある電圧(図3(b)のA)を達すると電流が増加し放電状態に戻る。この放電状態に復帰する電圧A(再点弧電圧)は、放電灯6の経時変化により上昇し、再点弧電圧が上昇すると放電を維持しにくくなり、やがて、視認できるちらつきや立ち消えの発生に至る。また、電流が途絶えている期間(図3(b)のB)が長いほど、放電状態に復帰し難いといえる。
上述したように、再点弧電圧と電流の流れない期間を計測し記憶することで、視認出来ない早期の内に放電灯6の異常を検出に検出できる。さらに、放電灯6の点灯中に発生した立ち消えの回数を動作履歴として記憶することで、点灯を維持することが困難な放電灯6と判断でき、利用者に放電灯6の交換を知らせることが可能である。作業者は、記憶された再点弧電圧、電流の流れない期間、立ち消え回数を調べることで、放電灯6の異常による故障が発生しているか判断できる。
一般に、放電灯6の累積点灯時間と累積点灯回数より、放電灯6の寿命を判断することができる。また、放電灯6の点灯遅れ時間や再点弧電圧、電流の流れない期間、立ち消え回数と一緒に累積点灯時間を動作履歴として記憶しておくことで、前記現象の原因が放電灯6の寿命によるものなのか、放電灯6が抱える異常なのかを推測することができる。また、寿命に達していないのに、放電灯6の点灯遅れや立ち消えが頻繁に起こる場合、放電灯6の異常と判断でき早期に利用者に通知することも可能である。
図4は、放電灯の点灯時の電圧変化と安定電圧の推移を示す波形図である。通常、放電灯6の安定電圧は、経時変化により上昇するため、安定電圧より放電灯6の寿命をある程度予測することができる。しかし、個体差により放電灯6毎に差が生じるため、初期の安定電圧からの上昇幅を見る必要がある。そこで、上述の累積点灯時間を用い、放電灯6の累積点灯時間と安定電圧の関係を放電灯電圧の経時変化として動作履歴に記憶することで、図4(b)に示すように、放電灯6の劣化の進行度合いを知ることができる。また、放電灯電圧は放電灯6の動作状態を示しており、放電灯6に異常が発生した場合、放電灯電圧にも変化が現れると考えられる。例えば、放電灯6にクラックが入った場合、図4(b)のCのように、放電灯電圧が急激に低下する。そこで、放電灯6の安定電圧の経時変化を記憶しておくことで、その安定電圧の急激な変化を知ることができる。また、放電灯6の安定電圧の急激な変化を検出した場合、放電灯6の異常だと判断し利用者に対して交換の通知が可能となる。
放電灯6の始動失敗や立ち消えなどの不灯・消灯といった故障が発生した場合、故障を検出し点灯動作を停止すると共に、検出した故障の種類や故障発生時の動作履歴、点灯経過時間、放電灯電圧などを故障情報として記憶することで、故障発生時の放電灯6の劣化度合いや点灯状態を把握することができ、故障の原因を短期間で特定することができる。また、故障情報より故障が発生した時の放電灯の状態や発生条件(点灯始動時、点灯初期、安定点灯時)を知ることができ、ある特定の条件でのみ発生する再現性の低い故障に対しても、故障原因の特定に有効である。
まず、放電灯6の点灯遅れ時間に関しては、点灯遅れの記憶を放電灯6の点灯後に行ない、点灯遅れ検出手段9c−3にて起動パルスの発生から点灯に至るまでの時間を測定し、その時間を記憶素子10に書き込む。また、再点弧電圧に関しては、再点弧電圧の検出を、放電灯6の点灯中に行ない、印加電圧の極性をHブリッジ5が切り換えた直後の電圧VLを検出し、記憶素子10に記憶する。また、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電流の流れない期間に関しては、その電流の流れない期間の測定を放電灯6の点灯中に行ない、印加電圧の極性をHブリッジ5が切り換えた直後から電流の流れない期間の計測を開始し、放電灯電圧VLが所定の閾値以上になるまでの時間を計測し、その計測した電流の流れない期間の値を記憶素子10に記憶する。
図5および図6は、放電灯の始動時における動作履歴の記憶処理を示すフローチャートである。
図5において、まず、放電灯6の累積点灯回数、点灯遅れ時間の記憶を行なう後述のサブルーチン2(図6)の始動処理に入り(ステップST1)、次いで、I/F8より直流電源1のオンで放電灯6が点灯中か否かを判別し(ステップST2)、放電灯6が点灯中であれば、その点灯時間、累積点灯時間、再点弧電圧、電流の流れない時間を記憶する後述の点灯中のサブルーチン3(図7)へ進み(ステップST4)、放電灯6が点灯中でなければ、電源電圧異常、放電灯電圧異常、始動失敗、出力ショート(短絡・地絡・天絡)の故障検出/原因診断を行なう後述のサブルーチン6(図10)へ進む(ステップST3)。
図において、まず、放電灯6の点灯時間、累積点灯時間、再点弧電圧、電流の流れない時間の動作履歴内容更新を行なう後述のサブルーチン4(図8)を実行し(ステップST10)、次いで、放電灯異常・寿命診断、即ち動作履歴から放電灯6の異常・寿命の診断を行なう後述のサブルーチン5(図9)を実行し(ステップST11)、次いで、故障検出/原因診断、即ち各種故障の検出とその故障を検出した場合の診断を行なう後述のサブルーチン6(図10)を実行し(ステップST12)、上記診断結果を利用者に通知し(ステップST13)、その診断結果が故障か否かを判別し(ステップST14)、故障でなければ、ステップST10に戻って、上述の動作を繰り返し、故障であれば、安全上のため放電灯6の点灯を中止し(ステップST15)、点灯中の初期状態に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。
図において、まず、放電灯6の点灯経過時間を計測し、第3および第4記憶手段に記憶されている累積点灯時間の更新を行ない(ステップST16)、放電灯6の電圧の検出、放電灯6の電圧の経時変化の更新を行ない(ステップST17)、放電灯6は交流で点灯させるので、その放電灯6に印加する電圧の極性を切り換えるタイミングか否かを判別し(ステップST18)、その切り換えタイミングであれば、Hブリッジ5を制御し放電灯6に印加する電圧の極性を切り換える(ステップST19)。
図において、まず、放電灯6の累積点灯時間(累積点灯回数)より、その累積点灯時間等は放電灯6の寿命に達しているか判断し(ステップST22)、寿命に達している場合は、放電灯6の寿命として判定する(ステップST23)。つまり、ステップST22、ステップST23は、実質的に放電灯6が寿命かどうかの判断を行なう工程である。そして、放電灯6が寿命に達していない場合は、放電灯6の再点弧電圧が既定値より高いか否かを判別し(ステップST24)、その再点弧電圧が既定値より高ければ、放電灯6の電流の流れない期間が既定値より長いか否かを判別し(ステップST25)、その電流の流れない期間が長くなければ、放電灯異常は電流の途絶えは無いので、現時点で問題ないとして放電灯異常レベル1(軽度の異常)の判定をする(ステップST26)。
図において、まず、故障検出処理に入り(ステップST36)、故障検出手段9bを用いて放電灯点灯装置の故障検出があるか否か、つまり、上記4つのパターンのどれに該当するかを判別し(ステップST37)、故障検出があると、その故障は、放電灯6に関する故障か否かを判別し(ステップST38)、その故障が放電灯6に関する故障であれば、その故障はある一定期間内に放電灯6が点灯できなかった始動失敗か、あるいは放電灯電圧が規格範囲内、例えば50〜100Vのしきい値内にない放電灯電圧異常か、検出した故障の種類を特定する(ステップST39)。その故障が始動失敗であれば、始動失敗の原因診断を行なう後述のサブルーチン7(図11)に進み(ステップST40)、放電灯電圧異常であれば、放電灯電圧異常の原因診断を行なう後述のサブルーチン8(図12)へ進む(ステップST41)。
図において、まず、累積点灯時間・累積点灯回数等から、放電灯6の寿命を判定し、寿命間近か否かを判別し(ステップST43)、寿命間近であれば、放電灯寿命による故障の可能性大とする(ステップST44)。一方、ステップST43で寿命間近でなければ、放電灯異常判定か否かを判別し(ステップST45)、放電灯異常判定であれば、累積点灯時間・累積点灯回数等から、放電灯6は新品か否かを判別し(ステップST46)、新品であれば、放電灯6は初期不良の可能性ありとし(ステップST47)、新品でなければ、放電灯6の異常性によるものとし(ステップST48)、いずれも故障情報の記憶処理を行なうステップST49に進む。また、ステップST45で放電灯異常判定でなければ、動作履歴からは故障原因は判定できないので、この場合も、ステップST49に進む。そして、ステップST49では、放電灯6の始動失敗を故障情報として記憶する処理を行なった後、始動失敗の原因診断の初期状態に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。
図において、まず、累積点灯時間・累積点灯回数等から、放電灯6の寿命を判定し、寿命間近か否かを判別し(ステップST50)、寿命間近であれば、放電灯寿命による故障の可能性大とし(ステップST51)、一方、ステップST50で寿命間近でなければ、急激な電圧変化があるか否かを判別し(ステップST52)、急激な電圧変化があれば、放電灯6の故障(例えば、クラック、電極異常)と判断する(ステップST53)。
また、放電灯6の累積点灯時間、累積点灯回数、放電灯電圧の経時変化も合わせて動作履歴として記憶することで、放電灯6の寿命と異常を区別することができ、より精度良く異常検出が可能となる。
Claims (8)
- 直流電源から放電灯に交流の電力を供給する電力供給手段と、上記電力供給手段に接続され、該電力供給手段の動作を制御する点灯制御手段と、上記放電灯の故障を検出する故障検出手段と、該故障検出手段で検出された故障を記憶する第1の記憶手段と、上記放電灯の始動動作開始から点灯するまでの点灯遅れ時間を検出する点灯遅れ検出手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電圧を再点弧電圧として計測する再点弧電圧計測手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電流を検出し、電流の流れない期間を計測する電流の流れない期間計測手段と、上記放電灯点灯中の立ち消えを検出し、立ち消え回数を計数する立ち消え計数手段と、上記点灯遅れ検出手段、上記再点弧電圧計測手段、上記電流の流れない期間計測手段および上記立ち消え計数手段の各出力を動作履歴として記憶素子に記憶する第2の記憶手段を備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
- 上記第1の記憶手段で記憶した故障の発生時点と該故障発生時点における点灯条件とを記憶する第3の記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- 上記第1の記憶手段、上記第2の記憶手段または上記第3の記憶手段の記憶内容を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
- 直流電源から放電灯に交流の電力を供給する電力供給手段と、上記電力供給手段に接続され、該電力供給手段の動作を制御する点灯制御手段と、上記放電灯の始動動作開始から点灯するまでの点灯遅れ時間を検出する点灯遅れ検出手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電圧を再点弧電圧として計測する再点弧電圧計測手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電流を検出し、電流の流れない期間を計測する電流の流れない期間計測手段と、上記放電灯点灯中の立ち消えを検出し、該立ち消え回数を計数する立ち消え計数手段と、上記点灯遅れ検出手段、上記再点弧電圧計測手段、上記電流の流れない期間計測手段および上記立ち消え計数手段の各出力を動作履歴として記憶素子に記憶する第2の記憶手段と、上記放電灯の点灯履歴を記憶する第4の記憶手段と、上記第2の記憶手段および第4の記憶手段の記憶情報に基づいて上記放電灯の状態を判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づいて上記放電灯の状態を運転者に報知する報知手段とを備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
- 上記判定手段は、所定の条件に基づいて上記放電灯の放電状態の異常レベルを区分けして判定することを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
- 上記判定手段は、上記再点弧電圧が既定値より高いか否か、上記電流の流れない期間が既定値より長いか否か、および上記放電灯点灯中の立ち消えが発生したか否かに基づいて上記放電灯の点灯時の放電状態を判定する請求項4記載の放電灯点灯装置。
- 上記判定手段は、上記放電灯の点灯遅れが発生したか否か、該点灯遅れが発生した場合その発生は単発的なものか否か、および上記放電灯の始動に失敗したことがあるか否かに基づいて上記放電灯の始動時の放電状態を判定する請求項4記載の放電灯点灯装置。
- 上記報知手段は、上記放電灯の異常レベルに応じてその報知レベルを変更することを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
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