JP4620124B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

この発明は、放電灯点灯装置に関し、特に、自動車等の車両の前照灯として用いられるメタルハライドランプ等の点灯に用いて好適な放電灯点灯装置に関するものである。
故障検出機能を有する従来の放電灯点灯装置として、電源電圧を検出する手段および放電灯の電圧と電流を検出する手段を備え、放電灯電圧、放電灯電流および電源電圧に基づいて複数種類の故障を検出し、その発生回数を記憶して故障の発生回数が一定回数に達した場合、点灯を禁止し、また、記憶した故障の発生回数を表示部により確認するようにし、これにより作業者は容易に故障の有無とその種類を確認することができるものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、放電灯の寿命を検出する従来の放電灯点灯装置として、放電灯の累積点灯時間と点灯回数をカウントする積算部を備え、累積点灯時間が所定CD値を超えた場合、放電灯の寿命と診断し、また、点灯回数の増加に伴い、寿命を判断する累積点灯時間の所定の値を減少させる機能を有するものがある(例えば、特許文献2参照)。
また、放電灯の異常を検出する従来の放電灯点灯装置として、放電灯電圧を一定時間間隔で記憶し、その電圧変化から放電灯の異常を検出するものがある(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−82592号公報 特開2004−234926号公報 特開2004−234924号公報
ところで、上記特許文献1に記載の放電灯点灯装置の場合には、記憶される情報は故障の発生の種類と発生回数のみであり、故障が発生した事実は確認することができるが、故障原因を特定することは難しく、また上記特許文献2に記載の放電灯点灯装置の場合には、放電灯の寿命は精度良く検出できるが、寿命以外の原因による故障の検出は難しく、さらに、上記特許文献3に記載の放電灯点灯装置の場合には、放電灯の異常は検出することができるが、放電灯が異常に至るまでの過程を知ることはできず、よって、上述のような従来の放電灯点灯装置では、いずれも放電灯の初期不良や経時変化に赴因する点灯性悪化などの放電灯の異常による故障の原因特定は難しいという問題点があった。
なお、原因究明が困難な故障として、放電灯の始動失敗、点灯中の立ち消え、点滅があり、これらの故障は、放電灯の寿命による場合と、放電灯の異常(経時変化により放電灯管内の状態が変化)が原因となる場合があり、前述の場合、上記特許文献1のように累積点灯時間や点灯回数から寿命を推測し未然に防ぐことが可能であるが、後述の場合は放電灯の異常を早期に検出するのが難しく、また、ある特定の条件でのみ故障が発生することもあり、故障を再現させ現象を確認することも難しく故障原因の特定をより困難にしており、よって、放電灯の異常による故障の場合、放電灯の点灯時に特性を常時記憶しておき、放電灯の特異性を判断する必要があるという問題点があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、放電灯の異常を診断するための情報を常時記憶し、点灯時の放電灯の情報を集めることで、放電灯の特異性を検知して故障原因の特定を容易にすることができ、また、故障検出時に、故障の種類と故障検出時の動作履歴の内容を故障情報として記憶することで、故障発生時の放電灯の状態を把握することができ、さらに、再現性の低い症状においては、記憶内容を参照することで放電灯の状態を確認することができる放電灯点灯装置を得ることを目的とする。
この発明に係る放電灯点灯装置は、直流電源から放電灯に交流の電力を供給する電力供給手段と、上記電力供給手段に接続され、該電力供給手段の動作を制御する点灯制御手段と、上記放電灯の故障を検出する故障検出手段と、該故障検出手段で検出された故障を記憶する第1の記憶手段と、上記放電灯の始動動作開始から点灯するまでの点灯遅れ時間を検出する点灯遅れ検出手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電圧を再点弧電圧として計測する再点弧電圧計測手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電流を検出し、電流の流れない期間を計測する電流の流れない期間計測手段と、上記放電灯点灯中の立ち消えを検出し、立ち消え回数を計数する立ち消え計数手段と、上記点灯遅れ検出手段、上記再点弧電圧計測手段、上記電流の流れない期間計測手段および上記立ち消え計数手段の各出力を動作履歴として記憶素子に記憶する第2の記憶手段を備えたものである。
この発明に係る放電灯点灯装置は、直流電源から放電灯に交流の電力を供給する電力供給手段と、上記電力供給手段に接続され、該電力供給手段の動作を制御する点灯制御手段と、上記放電灯の始動動作開始から点灯するまでの点灯遅れ時間を検出する点灯遅れ検出手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電圧を再点弧電圧として計測する再点弧電圧計測手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電流を検出し、電流の流れない期間を計測する電流の流れない期間計測手段と、上記放電灯点灯中の立ち消えを検出し、該立ち消え回数を計数する立ち消え計数手段と、上記点灯遅れ検出手段、上記再点弧電圧計測手段、上記電流の流れない期間計測手段および上記立ち消え計数手段の各出力を動作履歴として記憶素子に記憶する第2の記憶手段と、上記放電灯の点灯履歴を記憶する第4の記憶手段と、上記第2の記憶手段および第4の記憶手段の記憶情報に基づいて上記放電灯の状態を判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づいて上記放電灯の状態を運転者に報知する報知手段とを備えたものである。
この発明は、故障が生じた場合に、その故障の発生原因を容易に特定できるという効果がある。また、この発明は、放電灯の点灯状態を判定し、故障に至る前に放電灯の劣化や異常を判断でき、故障が予見される場合は、その旨を運転者に報知することができるという効果がある。
この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における極性切り換え時の電圧・電流を示す波形図である。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置の動作を説明するための始動失敗時の高圧パルスを示す波形図である。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における放電灯の点灯時の電圧変化と安定電圧の推移を示す波形図である。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における放電灯始動処理のフローチャートである。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における放電灯始動処理の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における放電灯点灯中の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における動作履歴内容更新の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における放電灯異常・寿命診断の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における故障検出・原因診断の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における始動失敗の原因診断の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置における放電灯電圧異常の原因診断の動作を説明するためのフローチャートである。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置を示す構成図である。
図1において、バッテリー等の直流電源1から供給された電力を調整出力するDCDCコンバータ(電源調整手段)2が設けられ、このDCDCコンバータ2は、1次巻線および2次巻線を有するトランス2a、このトランス2aの一次側に設けられたFET2b、トランス2aの二次側に接続されたダイオード2cとを備える。
ダイオード2cのアノード側はアース3に接続されると共に放電灯電流ILを検出するための放電灯電流検出用シヤント抵抗4を介して、FET5a〜5dによりH型に構成され、DCDCコンバータ2により訓整された直流電力を交流電力に変換するHブリッジ(放電灯駆動手段)5に接続され、このHブリッジ5により変換された交流電力によりその出力側に設けられた放電灯6が駆動される。
なお、DCDCコンバータ2とHブリッジ5は、直流電源1から放電灯6に交流の電力を供給する電力供給手段を構成する。
また、DCDCコンバータ2の出力の陰極側から放電灯電圧VLを入力するとともに、シヤント抵抗4のHブリッジ5側から放電灯電流ILを入力する放電灯電圧・電流入力用I/F7と、直流電源1の電源電圧Vを入力する電源電圧入力用I/F8と、I/F7を介して逐次検出される放電灯電圧VLおよび放電灯電流ILに基づいて放電灯6に供給される電力が所定値になるようにDCDCコンバータの2のFET2bを制御すると共に、Hブリッジ5のFET5a〜5dのオン・オフを制御する判定手段としてのマイクロコンピュータ9が設けられ、このマイクロコンピュータ9は、I/F7から入力される放電灯電圧VL、放電灯電流IL、およびI/F8から入力される電源電圧Vに基づいて、複数種の故障状態を検出する機能を有する。
なお、マイクロコンピュータ9は、放電灯6の点灯を制御する点灯制御手段9aと、放電灯6の故障を検出する故障検出手段9bと、I/F7から入力される放電灯電圧VL、放電灯電流ILを基に放電灯6の動作履歴を常時検出し、記憶素子10にその動作履歴を記憶する履歴記憶手段9cと、故障検出時には、利用者に故障の有無を報知する報知手段9dを備える。この報知手段9dは、放電灯6の異常レベルが高いほど、運転者に対して注意を促すレベルを高くするように働く。また、履歴記憶手段9cは、放電灯6の点灯時間を測定する点灯時間測定手段9c−1、放電灯6の点灯回数を計数する点灯回数計数手段9c−2、放電灯6の点灯遅れを検出する点灯遅れ検出手段9c−3、放電灯6の立ち消えを検出する立ち消え検出手段9c−4、再点弧電圧計測手段9c−5、電流の流れない時間計測手段9c−6を有する。また、履歴記憶手段9cと動作履歴や故障情報を授受する記憶素子10が設けられ、この記憶素子10は、故障検出手段9bで検出された故障を記憶する第1の記憶手段を有する。
また、履歴記憶手段9cは、点灯遅れ検出手段9c−3、立ち消え計数手段9c−4、再点弧電圧計測手段9c−5、および電流の流れない期間計測手段9c−6の各出力を動作履歴として記憶素子10に記憶する第2の記憶手段と、第1の記憶手段で記憶した故障の発生時点とこの故障発生時点における点灯条件(累積点灯時間、累積点灯回数、電源電圧等)とを記憶する第3の記憶手段と、放電灯6の点灯履歴を記憶する第4の記憶手段を有する。この第4の記憶手段に記憶される点灯履歴としては、累積点灯時間、累積点灯回数、立ち消え回数、点灯遅れ時間、経時変化による管電圧の推移、過去の始動失敗回数等がある。なお、第3の記憶手段と第4の記憶手段は、同一のメモリで構成してもよい。そして、記憶素子10に記憶された動作履歴と故障情報は、報知手段9dを介して外部装置11にて確認することができるようになされている。
なお、第3の記憶手段を備えることで、複数種類の故障が過去に何回かあったとしても、その発生時点と、そのときの点灯条件およびそのときの点灯遅れ検出手段9c−3、再点弧電圧計測手段9c−5、電流の流れない期間計測手段9c−6および立ち消え計数手段9c−4の各出力に基づいて今回の故障原因を特定することができる。また、図示せずも、第1の記憶手段、第2の記憶手段または第3の記憶手段の記憶内容を出力する出力手段が設けられ、この出力手段としては、出力用のコネクタでもよく、このコネクタを介して各種情報を読み出し、状況把握に役立てることができる。
ここで、各動作履歴とその内容について説明する。
先ず、放電灯6の点灯遅れの発生頻度について説明する。放電灯6を始動するために、放電灯点灯装置は例えば20kV以上の高圧パルスを放電灯6に印加する。高圧パルスを印加しても放電灯6が始動しない場合、図2に示すように放電灯6が始動するまで高圧パルスを印加し続ける。放電灯6を保護するために高圧パルスを印加する最大期間を設けておき、その期間内で始動しない場合、始動失敗とし動作を停止する。放電灯6の経時変化により始動性が悪化すると、高圧パルスを複数回印加しなければ始動しなくなり、点灯遅れが生じる。そこで、点灯遅れ時間を計測し、点灯遅れの発生頻度を動作履歴として記憶素子10に記憶することで、放電灯6の始動性悪化を早期に検出することができ、完全に始動できなくなる前に放電灯6の異常を通知することができる。
次に、放電灯6の再点弧電圧、電流の流れない期間について、説明する。
放電灯6を交流で点灯させるため、放電灯点灯装置の出力極性を例えば200〜1kHzの周期で切り換えるが、放電灯6の経時変化により点灯性が悪化すると極性切り換え時に電流が途絶え易くなり、一瞬消えただちに再点灯することによるちらつきが発生する。しかし、交流の1サイクル以内の途絶えと再点灯は視認できない。図3は、放電灯の極性切り換え時の電圧・電流の波形図であり、図3(a)は正常な放電灯の極性切り換え時の波形、図3(b)は異常な放電灯の極性切り換え時の波形である。図3(b)に示すように、極性切り換え時に電流が途絶えた場合、放電灯点灯装置の出力電圧が上昇し、ある電圧(図3(b)のA)を達すると電流が増加し放電状態に戻る。この放電状態に復帰する電圧A(再点弧電圧)は、放電灯6の経時変化により上昇し、再点弧電圧が上昇すると放電を維持しにくくなり、やがて、視認できるちらつきや立ち消えの発生に至る。また、電流が途絶えている期間(図3(b)のB)が長いほど、放電状態に復帰し難いといえる。
そこで、放電灯6の点灯中に再点弧電圧と電流の流れない期間を計測し、動作履歴として記憶することで、視認出来ない早期の内に放電灯6の異常を検出することができ、放電灯6の立ち消えやちらつきが発生する前に放電灯6の異常を通知することができる。また、放電灯6の立ち消えが発生した場合においても、動作履歴より再点弧電圧や電流の流れない期間を調べることで放電灯6の異常が原因か否か特定できる。
次に、点灯中の放電灯6の立ち消え回数について、説明する。
上述したように、再点弧電圧と電流の流れない期間を計測し記憶することで、視認出来ない早期の内に放電灯6の異常を検出に検出できる。さらに、放電灯6の点灯中に発生した立ち消えの回数を動作履歴として記憶することで、点灯を維持することが困難な放電灯6と判断でき、利用者に放電灯6の交換を知らせることが可能である。作業者は、記憶された再点弧電圧、電流の流れない期間、立ち消え回数を調べることで、放電灯6の異常による故障が発生しているか判断できる。
次に、放電灯6の累積点灯時間、累積点灯回数について、説明する。
一般に、放電灯6の累積点灯時間と累積点灯回数より、放電灯6の寿命を判断することができる。また、放電灯6の点灯遅れ時間や再点弧電圧、電流の流れない期間、立ち消え回数と一緒に累積点灯時間を動作履歴として記憶しておくことで、前記現象の原因が放電灯6の寿命によるものなのか、放電灯6が抱える異常なのかを推測することができる。また、寿命に達していないのに、放電灯6の点灯遅れや立ち消えが頻繁に起こる場合、放電灯6の異常と判断でき早期に利用者に通知することも可能である。
次に、放電灯6の放電灯電圧の経時変化について、説明する。
図4は、放電灯の点灯時の電圧変化と安定電圧の推移を示す波形図である。通常、放電灯6の安定電圧は、経時変化により上昇するため、安定電圧より放電灯6の寿命をある程度予測することができる。しかし、個体差により放電灯6毎に差が生じるため、初期の安定電圧からの上昇幅を見る必要がある。そこで、上述の累積点灯時間を用い、放電灯6の累積点灯時間と安定電圧の関係を放電灯電圧の経時変化として動作履歴に記憶することで、図4(b)に示すように、放電灯6の劣化の進行度合いを知ることができる。また、放電灯電圧は放電灯6の動作状態を示しており、放電灯6に異常が発生した場合、放電灯電圧にも変化が現れると考えられる。例えば、放電灯6にクラックが入った場合、図4(b)のCのように、放電灯電圧が急激に低下する。そこで、放電灯6の安定電圧の経時変化を記憶しておくことで、その安定電圧の急激な変化を知ることができる。また、放電灯6の安定電圧の急激な変化を検出した場合、放電灯6の異常だと判断し利用者に対して交換の通知が可能となる。
次に、放電灯6の故障情報の記憶について、説明する。
放電灯6の始動失敗や立ち消えなどの不灯・消灯といった故障が発生した場合、故障を検出し点灯動作を停止すると共に、検出した故障の種類や故障発生時の動作履歴、点灯経過時間、放電灯電圧などを故障情報として記憶することで、故障発生時の放電灯6の劣化度合いや点灯状態を把握することができ、故障の原因を短期間で特定することができる。また、故障情報より故障が発生した時の放電灯の状態や発生条件(点灯始動時、点灯初期、安定点灯時)を知ることができ、ある特定の条件でのみ発生する再現性の低い故障に対しても、故障原因の特定に有効である。
次に、マイクロコンピュータ9による放電灯6の動作履歴の検出方法を説明する。
まず、放電灯6の点灯遅れ時間に関しては、点灯遅れの記憶を放電灯6の点灯後に行ない、点灯遅れ検出手段9c−3にて起動パルスの発生から点灯に至るまでの時間を測定し、その時間を記憶素子10に書き込む。また、再点弧電圧に関しては、再点弧電圧の検出を、放電灯6の点灯中に行ない、印加電圧の極性をHブリッジ5が切り換えた直後の電圧VLを検出し、記憶素子10に記憶する。また、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電流の流れない期間に関しては、その電流の流れない期間の測定を放電灯6の点灯中に行ない、印加電圧の極性をHブリッジ5が切り換えた直後から電流の流れない期間の計測を開始し、放電灯電圧VLが所定の閾値以上になるまでの時間を計測し、その計測した電流の流れない期間の値を記憶素子10に記憶する。
また、放電灯6の点灯中の立ち消えに関しては、立ち消えの記憶を放電灯6の点灯中に行ない、一定期間放電灯の電圧VLが所定の閾値以上、かつ放電灯6の電流ILが所定の閾値以下の場合、立ち消えと判断し、記憶素子10に立ち消え回数を書き込む。また、放電灯6の累積点灯時間に関しては、その累積点灯時間の記憶を放電灯6の点灯中に行ない、記憶素子10から前回の累積点灯時間を読み出し、前回の記憶からの経過時間を加算し、記憶素子10に新たな累積点灯時間を書き込む。また、放電灯6の累積点灯回数に関しては、その累積点灯回数の記憶を放電灯6の始動後に行ない、記憶素子10から前回の累積点灯回数を読み出し、その累積点灯回数を計数し、記憶素子10に新たな累積点灯回数を書き込む。さらに、放電灯6の放電灯電圧の経時変化に関しては、放電灯電圧の経時変化の記憶を放電灯6の点灯中に行ない、規定の累積点灯時間に達したときの放電灯6の放電灯電圧VLを、記憶素子10に書き込む。
次に、動作について、図5〜図12のタイミングチャートを参照して説明する。
図5および図6は、放電灯の始動時における動作履歴の記憶処理を示すフローチャートである。
図5において、まず、放電灯6の累積点灯回数、点灯遅れ時間の記憶を行なう後述のサブルーチン2(図6)の始動処理に入り(ステップST1)、次いで、I/F8より直流電源1のオンで放電灯6が点灯中か否かを判別し(ステップST2)、放電灯6が点灯中であれば、その点灯時間、累積点灯時間、再点弧電圧、電流の流れない時間を記憶する後述の点灯中のサブルーチン3(図7)へ進み(ステップST4)、放電灯6が点灯中でなければ、電源電圧異常、放電灯電圧異常、始動失敗、出力ショート(短絡・地絡・天絡)の故障検出/原因診断を行なう後述のサブルーチン6(図10)へ進む(ステップST3)。
図6では、放電灯6の始動を開始し(ステップST5)、放電灯6の点灯までの遅れ時間を計測し(ステップST6)、放電灯6の点灯を判別し(ステップST7)、放電灯6が点灯した場合、累積点灯回数を記憶素子10へ記憶し(ステップST8)、始動時に点灯遅れが発生した場合、その点灯遅れ時間を記憶素子10に記憶する(ステップST9)。つまり、放電灯6の始動時には累積点灯回数と点灯遅れ時間を記憶され、始動処理の初期状態に戻り、また、ステップST7で放電灯6が点灯してない場合も始動処理の初期状態に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。
図7は、図5のステップST3のサブルーチン3である放電灯の点灯時における動作履歴の記憶処理を示すフローチャートである。
図において、まず、放電灯6の点灯時間、累積点灯時間、再点弧電圧、電流の流れない時間の動作履歴内容更新を行なう後述のサブルーチン4(図8)を実行し(ステップST10)、次いで、放電灯異常・寿命診断、即ち動作履歴から放電灯6の異常・寿命の診断を行なう後述のサブルーチン5(図9)を実行し(ステップST11)、次いで、故障検出/原因診断、即ち各種故障の検出とその故障を検出した場合の診断を行なう後述のサブルーチン6(図10)を実行し(ステップST12)、上記診断結果を利用者に通知し(ステップST13)、その診断結果が故障か否かを判別し(ステップST14)、故障でなければ、ステップST10に戻って、上述の動作を繰り返し、故障であれば、安全上のため放電灯6の点灯を中止し(ステップST15)、点灯中の初期状態に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。
図8は、図7のステップST10のサブルーチン4である動作履歴内容更新の処理を示すフローチャートである。
図において、まず、放電灯6の点灯経過時間を計測し、第3および第4記憶手段に記憶されている累積点灯時間の更新を行ない(ステップST16)、放電灯6の電圧の検出、放電灯6の電圧の経時変化の更新を行ない(ステップST17)、放電灯6は交流で点灯させるので、その放電灯6に印加する電圧の極性を切り換えるタイミングか否かを判別し(ステップST18)、その切り換えタイミングであれば、Hブリッジ5を制御し放電灯6に印加する電圧の極性を切り換える(ステップST19)。
次いで、その極性切り換えによる再点弧電圧をI/F7より計測し、第2の記憶手段に記憶されている再点弧電圧の更新を行ない(ステップST20)、電流の流れない期間の計測し、第2の記憶手段に記憶されている電流の流れない期間の更新を行ない(ステップST21)、つまり、計測した電流の流れない期間と再点弧電圧を動作履歴として記憶素子10に記憶して動作履歴内容更新の初期状態に戻る。また、ステップST18で放電灯6に印加する電圧の極性を切り換えるタイミングでなければ、動作履歴内容更新の初期状態に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。
図9は、図7のステップST11のサブルーチン5である放電灯異常・寿命診断の処理を示すフローチャートである。ここでは、放電灯6の累積点灯時間/累積点灯回数から診断を行なうもので、例えば、放電灯6の累積点灯時間が既定値より大きいか、またはその累積点灯回数が既定値より大きいかを見る。
図において、まず、放電灯6の累積点灯時間(累積点灯回数)より、その累積点灯時間等は放電灯6の寿命に達しているか判断し(ステップST22)、寿命に達している場合は、放電灯6の寿命として判定する(ステップST23)。つまり、ステップST22、ステップST23は、実質的に放電灯6が寿命かどうかの判断を行なう工程である。そして、放電灯6が寿命に達していない場合は、放電灯6の再点弧電圧が既定値より高いか否かを判別し(ステップST24)、その再点弧電圧が既定値より高ければ、放電灯6の電流の流れない期間が既定値より長いか否かを判別し(ステップST25)、その電流の流れない期間が長くなければ、放電灯異常は電流の途絶えは無いので、現時点で問題ないとして放電灯異常レベル1(軽度の異常)の判定をする(ステップST26)。
また、ステップST25で電流の流れない期間が既定値より長ければ、放電灯6の立ち消え回数が既定値より多いか否かを判別し(ステップST27)、放電灯6の立ち消え回数が既定値より多くなければ、放電灯異常の可能性があり、ちらつきが発生する可能性があるため、利用者に警告を必要とする放電灯異常レベル2(今の時点では良いが、その内に異常発生のおそれのある中度の異常)の判定をする(ステップST28)。また、放電灯6の立ち消え回数が既定値より多ければ、放電灯6のちらつき、点滅が発生しており、点灯維持が困難で、不灯に至る前に交換する必要があるとする放電灯異常レベル3(クレームの来る重度の異常)の判定をする(ステップST29)。つまり、ステップST24〜ステップST29は、実質的に放電灯6の点灯時の異常を、その異常レベルを分けることで、判断する工程である。
一方、放電灯6の点灯遅れ時間が既定値より長いか否かを判別し(ステップST30)、その点灯遅れ時間が既定値より長ければ、その点灯遅れの発生頻度が既定値より高いか低いかを判別し、つまり放電灯6の点灯遅れが突発的に起きたのか、あるいは継続的に起きたのかを判別し(ステップST31)、低ければ、放電灯6の点灯遅れが発生しているが、その頻度が低いため現時点で問題ないとして放電灯異常レベル1(軽度の異常)の判定をする(ステップST32)。また、ステップST31で放電灯6の点灯遅れの発生頻度が既定値より高ければ、過去に始動失敗(第1の記憶手段に記憶されるが、その回数は第4の記憶手段に記憶されている)があったか否かを判別し(ステップST33)、過去に放電灯6の始動失敗がなければ、点灯遅れが多発しており、故障(始動失敗)に至る可能性が高く、利用者に警告を必要とする放電灯異常レベル2(中度の異常)の判定をする(ステップST34)。
また、ステップST33で過去に放電灯6の始動失敗があれば、始動性が著しく悪い放電灯であり、完全に始動ができなくなる前に交換する必要があるとする放電灯異常レベル3(重度の異常)の判定をする(ステップST35)。つまり、ステップST30〜ステップST35は、実質的に放電灯6の始動時の異常を、その異常レベルを分けることで、判断する工程である。そして、ステップST32、ST34およびST35における判定処理が終わると、いずれも放電灯異常・寿命診断の初期状態に戻り、また、ステップST30で放電灯6の点灯遅れ時間が既定値より長くない場合も同様に放電灯異常・寿命診断の初期状態に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。
図10は、図5のステップST4のサブルーチン6である故障検出/原因診断の処理を示すフローチャートである。ここで、放電灯点灯装置の故障の系統を判断するには、電源電圧異常、放電灯電圧異常、始動失敗、出力ショート(短絡・地絡・天絡)の4つのパターンが考えられる。
図において、まず、故障検出処理に入り(ステップST36)、故障検出手段9bを用いて放電灯点灯装置の故障検出があるか否か、つまり、上記4つのパターンのどれに該当するかを判別し(ステップST37)、故障検出があると、その故障は、放電灯6に関する故障か否かを判別し(ステップST38)、その故障が放電灯6に関する故障であれば、その故障はある一定期間内に放電灯6が点灯できなかった始動失敗か、あるいは放電灯電圧が規格範囲内、例えば50〜100Vのしきい値内にない放電灯電圧異常か、検出した故障の種類を特定する(ステップST39)。その故障が始動失敗であれば、始動失敗の原因診断を行なう後述のサブルーチン7(図11)に進み(ステップST40)、放電灯電圧異常であれば、放電灯電圧異常の原因診断を行なう後述のサブルーチン8(図12)へ進む(ステップST41)。
一方、ステップST38で、放電灯6に関する故障でなければ、電源電圧異常および出力ショート(短絡・地絡・天絡)を故障情報として記憶する処理を行なう(ステップST42)。そして、ステップST40およびST41における原因診断処理、ステップST42における記憶処理が終わると、いずれも故障検出/原因診断の初期状態に戻り、また、ステップST37で故障検出がない場合も同様に故障検出/原因診断の初期状態に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。
図11は、図10のステップST40のサブルーチン7である始動失敗の原因診断の処理を示すフローチャートである。
図において、まず、累積点灯時間・累積点灯回数等から、放電灯6の寿命を判定し、寿命間近か否かを判別し(ステップST43)、寿命間近であれば、放電灯寿命による故障の可能性大とする(ステップST44)。一方、ステップST43で寿命間近でなければ、放電灯異常判定か否かを判別し(ステップST45)、放電灯異常判定であれば、累積点灯時間・累積点灯回数等から、放電灯6は新品か否かを判別し(ステップST46)、新品であれば、放電灯6は初期不良の可能性ありとし(ステップST47)、新品でなければ、放電灯6の異常性によるものとし(ステップST48)、いずれも故障情報の記憶処理を行なうステップST49に進む。また、ステップST45で放電灯異常判定でなければ、動作履歴からは故障原因は判定できないので、この場合も、ステップST49に進む。そして、ステップST49では、放電灯6の始動失敗を故障情報として記憶する処理を行なった後、始動失敗の原因診断の初期状態に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。
図12は、図10のステップST41のサブルーチン8である放電灯電圧異常の原因診断の処理を示すフローチャートである。
図において、まず、累積点灯時間・累積点灯回数等から、放電灯6の寿命を判定し、寿命間近か否かを判別し(ステップST50)、寿命間近であれば、放電灯寿命による故障の可能性大とし(ステップST51)、一方、ステップST50で寿命間近でなければ、急激な電圧変化があるか否かを判別し(ステップST52)、急激な電圧変化があれば、放電灯6の故障(例えば、クラック、電極異常)と判断する(ステップST53)。
また、ステップST52で急激な電圧変化がなければ、累積点灯時間・累積点灯回数等から、放電灯6は新品か否かを判別し(ステップST54)、新品であれば、放電灯6は初期不良と判断し(ステップST55)、いずれも故障情報の記憶処理を行なうステップST56に進む。また、ステップST54で放電灯6が新品でなければ、動作履歴からは故障原因は判定できないので、この場合も、ステップST56に進む。そして、ステップST56では、放電灯6の電圧異常を故障情報として記憶する処理を行なった後、放電灯電圧異常の原因診断の初期状態に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。
上述の如く、本実施の形態によれば、放電灯6の点灯遅れ時間、再点弧電圧、電流の流れない期間、立ち消え回数といった放電灯6の点灯時の情報を動作履歴として記憶素子10に常時記憶することで、放電灯6の特異性を早期に検出し、不灯やちらつきといった故障が発生する前に利用者に通知することができる。
また、放電灯6の累積点灯時間、累積点灯回数、放電灯電圧の経時変化も合わせて動作履歴として記憶することで、放電灯6の寿命と異常を区別することができ、より精度良く異常検出が可能となる。
さらに、放電灯点灯装置に故障が発生した場合、故障の種類、故障発生時の動作履歴、故障検出までの点灯経過時間、放電灯電圧を故障情報として記憶することで、放電灯6の特異性と故障発生時の放電灯の状態、発生条件(放電灯6の点灯経過時間や放電灯電圧より、点灯始動時、点灯初期、安定点灯時が判断でき、また、点灯直後の放電灯電圧より短期間の消灯時間を推測でき、短期点滅などを判断できる)が分かるため、特定の条件でのみ発生するような再現性の低い故障についてもその原因特定に有効である。また、動作履歴や故障情報は外部装置11に表示することで、作業者はその動作履歴や故障情報を閲覧することができるため、作業を容易にすることができる。
以上のように、この発明に係る放電灯点灯装置は、車両等に設置され、故障原因の特定に優れ、また故障を予見し報知することができる放電灯点灯装置を得るのに適している。

Claims (8)

  1. 直流電源から放電灯に交流の電力を供給する電力供給手段と、上記電力供給手段に接続され、該電力供給手段の動作を制御する点灯制御手段と、上記放電灯の故障を検出する故障検出手段と、該故障検出手段で検出された故障を記憶する第1の記憶手段と、上記放電灯の始動動作開始から点灯するまでの点灯遅れ時間を検出する点灯遅れ検出手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電圧を再点弧電圧として計測する再点弧電圧計測手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電流を検出し、電流の流れない期間を計測する電流の流れない期間計測手段と、上記放電灯点灯中の立ち消えを検出し、立ち消え回数を計数する立ち消え計数手段と、上記点灯遅れ検出手段、上記再点弧電圧計測手段、上記電流の流れない期間計測手段および上記立ち消え計数手段の各出力を動作履歴として記憶素子に記憶する第2の記憶手段を備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. 上記第1の記憶手段で記憶した故障の発生時点と該故障発生時点における点灯条件とを記憶する第3の記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  3. 上記第1の記憶手段、上記第2の記憶手段または上記第3の記憶手段の記憶内容を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
  4. 直流電源から放電灯に交流の電力を供給する電力供給手段と、上記電力供給手段に接続され、該電力供給手段の動作を制御する点灯制御手段と、上記放電灯の始動動作開始から点灯するまでの点灯遅れ時間を検出する点灯遅れ検出手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電圧を再点弧電圧として計測する再点弧電圧計測手段と、交流点灯による放電灯印加極性の切り換え直後の放電灯電流を検出し、電流の流れない期間を計測する電流の流れない期間計測手段と、上記放電灯点灯中の立ち消えを検出し、該立ち消え回数を計数する立ち消え計数手段と、上記点灯遅れ検出手段、上記再点弧電圧計測手段、上記電流の流れない期間計測手段および上記立ち消え計数手段の各出力を動作履歴として記憶素子に記憶する第2の記憶手段と、上記放電灯の点灯履歴を記憶する第4の記憶手段と、上記第2の記憶手段および第4の記憶手段の記憶情報に基づいて上記放電灯の状態を判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づいて上記放電灯の状態を運転者に報知する報知手段とを備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
  5. 上記判定手段は、所定の条件に基づいて上記放電灯の放電状態の異常レベルを区分けして判定することを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
  6. 上記判定手段は、上記再点弧電圧が既定値より高いか否か、上記電流の流れない期間が既定値より長いか否か、および上記放電灯点灯中の立ち消えが発生したか否かに基づいて上記放電灯の点灯時の放電状態を判定する請求項4記載の放電灯点灯装置。
  7. 上記判定手段は、上記放電灯の点灯遅れが発生したか否か、該点灯遅れが発生した場合その発生は単発的なものか否か、および上記放電灯の始動に失敗したことがあるか否かに基づいて上記放電灯の始動時の放電状態を判定する請求項4記載の放電灯点灯装置。
  8. 上記報知手段は、上記放電灯の異常レベルに応じてその報知レベルを変更することを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
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