JP4617138B2 - コンバイン - Google Patents

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本発明は、前処理部の未刈り地側に、分草作業姿勢と格納姿勢に変姿可能な分草杆を備えるコンバインに関する。
機体前部に連結される前処理部の未刈り地側に、前処理部の側部から張り出して未刈り茎稈を分草する分草作業姿勢と、前処理部の側部に沿う格納姿勢とに変姿可能な分草杆(分草杆)を備えるコンバインが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2002−335739号公報 特開2002−51628号公報
しかしながら、特許文献1に示される分草杆は、手で掴んで姿勢を切換える必要があるため、姿勢切換に際し、運転席からいちいち降りなければならないという欠点がある。一方、特許文献2に示される分草杆は、運転席で分草杆の姿勢切換操作が可能であるが、電動モータの駆動力で分草杆の姿勢切換を行うため、コスト高になるという欠点がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、機体前部に連結される前処理部の未刈り地側に、前処理部の側部から張り出して未刈り茎稈を分草する分草作業姿勢と、前処理部の側部に沿う格納姿勢とに変姿可能な分草杆を備えるコンバインにおいて、前記前処理部又は機体前部に設けた揺動リンクの基端部を、運転席から操作可能な操作レバーに連繋すると共に、前記揺動リンクの先端部を、融通手段を介して前記分草杆に連結し、前記操作レバーの操作力で前記揺動リンクを揺動させて前記分草杆の姿勢切換えを行うにあたり、揺動リンクは、該揺動リンク基端部のボスが上下方向を向く支軸部に回動自在に外嵌していて操作レバーの操作により左右揺動が許容され、分草杆は、前記揺動リンクの融通手段を介する左右揺動により、平面視したときに前処理部の側部に沿う格納姿勢と前処理部の側部から左右方向外方に張り出して未刈り茎稈を分草する分草作業姿勢とに変姿するように構成したことを特徴とするコンバインである。このようにすれば、分草杆の姿勢切換操作を運転席で行うことができるだけでなく、電動モータなどのアクチュエータを不要にしてコストダウンが図れる。しかも、揺動リンクは、融通手段を介して分草杆に連結されるので、各部材の加工誤差や組立誤差を吸収することができる。
請求項2の発明は、前記操作レバーの操作位置を摩擦保持すると共に、該摩擦保持力で前記分草杆の姿勢を保持し、更に、分草作業姿勢における前記分草杆と前記揺動リンクとのなす角度を平面視したときに鋭角となるように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。このようにすれば、分草作業姿勢の分草杆が障害物などに接触したとき、分草杆を自動的に格納姿勢に退避させ、分草杆などの破損を防止することができる。
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀し、かつ、穀粒を選別する脱穀部3と、選別した穀粒が貯溜される穀粒タンク4と、脱穀済みの排稈を後処理する後処理部5と、運転席6や各種の操作具が配置される操作部7と、クローラ式の走行部8とを備えて構成されている。
前処理部2は、未刈り茎稈を分草しつつ導入するデバイダ9と、導入された茎稈を引き起す引起し装置10と、茎稈の株元を切断する刈刃装置11と、刈り取った茎稈を脱穀部3に向けて搬送する前処理搬送装置(図示せず)と、これらが組み付けられる前処理フレーム12とを備えて構成され、コンバイン1の機体前部に対して昇降自在に連結されている。また、前処理部2は、機体前部のメンテナンスを容易にするために、機体から分離したり、機体の一側方へ退避揺動できるようにしてある。
前処理部2の未刈り地側(左側部)には、未刈り茎稈を分草(倒れ込み規制)する分草杆13が設けられている。分草杆13は、前後を向く棒状の部材で形成されると共に、その前端部が、前処理部2の左側部前端側に左右揺動自在に連結されることにより、図2、3から明らかなように、平面視したときに、前処理部2の側部から張り出して未刈り茎稈を分草する分草作業姿勢と、前処理部2の側部に沿う格納姿勢とに変姿できるようになっている。尚、図面において、14は機体の未刈り地側(左側部)に出没自在に設けられるステップ、15はステップ14と分草杆13の間に介設される補助分草杆であるが、これらの有無は任意である。
前処理部2(又は機体前部)の未刈り地側(左側部)には、左右揺動自在な揺動リンク16が設けられている。揺動リンク16の基端部は、運転席6から操作可能な操作レバー17に対して、連繋機構18を介して連繋される一方、揺動リンク16の先端部は、融通手段19を介して分草杆13に連結されている。つまり、操作レバー17を操作すると、その操作力で揺動リンク16が揺動し、分草杆13の姿勢が切換えられる。このようにすれば、分草杆13の姿勢切換操作を運転席6で行うことができるだけでなく、電動モータなどのアクチュエータを不要にしてコストダウンが図れる。しかも、揺動リンク16は、融通手段19を介して分草杆13に連結されるので、各部材の加工誤差や組立誤差を吸収することができる。以下、揺動リンク16、操作レバー17、連繋機構18及び融通手段19の具体的な構成について説明する。
本実施形態の融通手段19は、分草杆13の後端側に並列状に設けられる連結レール13aと、揺動リンク16の先端部に設けられ、連結レール13aに係合する係合フック16aとからなり、分草杆13と揺動リンク16の連結位置をスライド状に融通しつつ、揺動リンク16の揺動に分草杆13を追従させるように構成されている。尚、連結レール13aの後端部は、U字状に曲折して分草杆13の後端部に挿入される一方、連結レール13aの前端部は、分草杆13に溶着された固定プレート13bにボルト13cを介して着脱自在に固定されている。
本実施形態の揺動リンク16は、緩やかなS字状に曲折した棒状の部材からなり、先端部に係合フック16aが設けられる一方、基端部にボス16b及び連結プレート16cが設けられている。揺動リンク16のボス16bは、前処理フレーム12に設けられる揺動リンクブラケット20の支軸部20aに回動自在に外嵌し、揺動リンク16の左右揺動を許容している。前記支軸部20aは、図1〜図3で明らかなように軸心が上下方向を向いている。また、連結プレート16cには、ストッパピン16dが突設されている。このストッパピン16dは、揺動リンクブラケット20に形成される円弧状の長孔20bに係合し、揺動リンク16の揺動範囲を規定している。
本実施形態の連繋機構18は、一対のワイヤ21、22(ボーデンワイヤ)で構成されている。ワイヤ21、22の揺動リンク側端部は、連結プレート16cの両端部に連結されており、ワイヤ21、22の背反的な押し引きに応じて、連結プレート16cがシーソー状に揺動し、揺動リンク16を左右に揺動させる。尚、連繋機構18は、ワイヤ21、22に限定されないことは勿論であり、例えば、リンク機構で構成してもよい。
操作レバー17は、操作レバーブラケット23を介して機体フレーム(図示せず)に取り付けられ、レバーガイド24のガイド溝24aに沿って前後方向に操作される。ワイヤ21、22の操作レバー側端部は、操作レバー17の支軸23a位置を挟むように操作レバー17の基端部に連結されており、操作レバー17の操作に応じて、ワイヤ21、22が背反的に押し引きされる。これにより、揺動リンク16は、操作レバー17の操作力で揺動し、分草杆13の姿勢を切換えることが可能になる。
本実施形態の操作レバー17及び操作レバーブラケット23は、一体的な操作レバーアッシ25を構成し、複数のボルト26を用いて機体フレームに取付けられている。言い換えると、ボルト26を外すだけで、操作レバー17及び操作レバーブラケット23を一体的に機体から分離させることができる。これにより、前処理部2を機体から分離する際に、操作レバー17とワイヤ21、22との切離しを不要にし、前処理部2の着脱作業を簡略化することができる。
本実施形態では、操作レバー17の基端部を挟む一対の摩擦板27によって、操作レバー17の操作位置を摩擦保持すると共に、該摩擦保持力で分草杆13の姿勢を保持し、更には、分草作業姿勢における分草杆13と揺動リンク16とのなす角度θを、図2の平面図から明らかなように平面視したときに鋭角としている。これにより、分草作業姿勢の分草杆13が障害物などに接触したとき、分草杆13、揺動リンク16及び操作レバー17を自動的に格納位置に退避させ、これらの破損を防止することができる。尚、図面において、27aは摩擦板27の回転を規制するピンである。
ところで、分草杆13の分草作業姿勢を摩擦力で保持すると、分草杆13に大きな負荷が作用する作業(例えば、倒伏材や濡れ材の刈取作業)に際し、分草杆13が意に反して格納される可能性がある。本実施形態では、このような問題を解消するため、レバーガイド24にストッパ28を備える。ストッパ28は、レバーガイド24に回動自在に設けられるフック状のプレートであり、操作レバー17の操作経路から退避する姿勢と、操作レバー17を分草作業位置に係止する姿勢とに切換操作できるようにしてある。
叙述の如く構成された本実施形態のコンバイン1は、機体前部に連結される前処理部2の未刈り地側において、平面視したときに前処理部2の側部から張り出して未刈り茎稈を分草する分草作業姿勢と、前処理部2の側部に沿う格納姿勢とに変姿可能な分草杆13を備えるものであって、前処理部2に設けた揺動リンク16の基端部を、運転席6から操作可能な操作レバー17に連繋すると共に、揺動リンク16の先端部を、融通手段19を介して分草杆13に連結し、操作レバー17の操作力で揺動リンク16を揺動させて分草杆13の姿勢切換えを行うので、分草杆13の姿勢切換操作を運転席6で行うことができるだけでなく、電動モータなどのアクチュエータを不要にしてコストダウンが図れる。しかも、揺動リンク16は、融通手段19を介して分草杆13に連結されるので、各部材の加工誤差や組立誤差を吸収することができる。
また、操作レバー17の操作位置を摩擦保持すると共に、該摩擦保持力で分草杆13の姿勢を保持し、更に、分草作業姿勢における分草杆13と揺動リンク16とのなす角度θを鋭角としたので、分草作業姿勢の分草杆13が障害物などに接触したとき、分草杆13を自動的に格納姿勢に退避させ、分草杆13などの破損を防止することができる。
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば、揺動リンクは、図6及び図7に示す第二実施形態のように、前処理部側に設けることなく、機体側に設けるようにしてもよい。
コンバインの側面図である。 コンバインの分草杆格納状態を示す平面図である。 コンバインの分草杆張り出し状態を示す平面図である。 分草杆の切換操作系を示す説明図である。 操作レバー及びレバーガイドの斜視図である。 第二実施形態に係るコンバインの分草杆格納状態を示す平面図である。 第二実施形態に係るコンバインの分草杆張り出し姿勢を示す平面図である。
符号の説明
1 コンバイン
2 前処理部
6 運転席
13 分草杆
16 揺動リンク
17 操作レバー
18 連繋機構
19 融通手段
21 ワイヤ
22 ワイヤ
24 レバーガイド
27 摩擦板

Claims (2)

  1. 機体前部に連結される前処理部の未刈り地側に、前処理部の側部から張り出して未刈り茎稈を分草する分草作業姿勢と、前処理部の側部に沿う格納姿勢とに変姿可能な分草杆を備えるコンバインにおいて、前記前処理部又は機体前部に設けた揺動リンクの基端部を、運転席から操作可能な操作レバーに連繋すると共に、前記揺動リンクの先端部を、融通手段を介して前記分草杆に連結し、前記操作レバーの操作力で前記揺動リンクを揺動させて前記分草杆の姿勢切換えを行うにあたり、揺動リンクは、該揺動リンク基端部のボスが上下方向を向く支軸部に回動自在に外嵌していて操作レバーの操作により左右揺動が許容され、分草杆は、前記揺動リンクの融通手段を介する左右揺動により、平面視したときに前処理部の側部に沿う格納姿勢と前処理部の側部から左右方向外方に張り出して未刈り茎稈を分草する分草作業姿勢とに変姿するように構成したことを特徴とするコンバイン。
  2. 前記操作レバーの操作位置を摩擦保持すると共に、該摩擦保持力で前記分草杆の姿勢を保持し、更に、分草作業姿勢における前記分草杆と前記揺動リンクとのなす角度を平面視したときに鋭角となるように構成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
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