JP4612132B2 - 非水電解液二次電池用電極板又は該電極板の中間製品、及びその製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池用電極板又は該電極板の中間製品、及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、リチウムイオン二次電池に代表される、非水電解液二次電池用電極板(以下単に「電極板」という)と電極板の中間製品、及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは集電体の少なくとも一端又は一側縁を帯状に露出させて形成した非塗工部を有する電極板を、プレス加工による変形を少なくして製造するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器、通信機器の小型化、軽量化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として用いられる二次電池に対しても同様な要求が強く、高エネルギー密度、高電圧を有するリチウムイオン二次電池を代表とされる非水電解液二次電池が、アルカリ蓄電池に代わり提案されている。
【0003】
二次電池の性能に大きく影響を及ぼす正極及び負極電極板に関しては、充放電サイクル寿命を延長させるため、また、高エネルギー密度化のため、電極板を薄膜することによって電池内に組み込まれる電極板の面積をより大きくすることが提案されている。
例えば、特開昭63−10456号公報、特開平3−285262号公報等には、金属酸化物、硫化物、ハロゲン化物等の正極活物質粉末、導電剤及び結着剤(バインダー)を適当な湿潤剤(溶媒)に分散または溶解させて、ペースト状の活物質塗工液を調製し、金属箔からなる集電体を基体とし、該基体上に上記塗工液を塗工して正極活物質層(また、基体上に負極用の塗工液を塗布したものを負極活物質層といい、正極と負極を特に区別しない場合は、単に活物質層という)を形成して得られる正極電極板が開示されている。この正極電極板においては、結着剤として、例えば、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、又はシリコーン・アクリル共重合体が用いられている。
【0004】
一方、負極電極板は、結着剤を適当な湿潤剤(溶媒)に溶解させたものをカーボン等の負極活物質に加えて、ペースト状の活物質塗工液を調製し、金属箔の集電体上に塗工して得られる。
上記の塗布型電極板において活物質塗工液を調製するための結着剤は、非水電解液に対して化学的に安定であること、電解液中に溶出しないこと、また、何らかの溶媒に溶解または分散して基体上に薄く塗布できるものであることが必要である。
さらに、塗布、乾燥された活物質層は、電池の組み立て工程において、剥離、脱落、ひび割れ等が生じないように、可撓性を備えていること、及び、集電体との密着性に優れていることが要求される。
【0005】
集電体に対する塗工膜の密着性を向上させたり、電極の体積エネルギー密度を向上させるために、通常、プレス処理が施される。
ここで、電極板は通常、電流を取り出すための端子を付ける部分もしくは電池設計上活物質層の存在が好ましくない部分等を有するために、少なからず非塗工部を有しており、その非塗工部のパターンは電池設計に従って任意に決定される。例えば、大型の円筒型電池等では、図1に示すように通常、集電体の少なくとも一端又は一側縁を帯状に露出させた電極を使用する。しかしながら、通常入手可能な集電体の金属箔の幅には制限があるため、電池設計によっては帯状の非塗工部を、集電体の流れ方向に形成する必要がある。
このような非塗工部を形成する方法には、現状では、電極塗工液を集電体上に塗工する際の集電体の周縁部の未塗工部をそのまま利用する方法、コーターヘッドの工夫により、集電体上に活物質層を帯状に直接形成した後スリットする方法(図16参照)や、乾燥後の塗工膜をヘラ等の機械的手段により剥離させて非塗工部を形成する方法が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、原反の周縁部に集電体の露出部が残ったままでプレス加工すると、活物質層が設けられている部分のみがプレスされて、プレスされた部分だけが伸びてしまう。このように塗工部と未塗工部にて伸びの不均一が起きる結果、図17に示すように電極板が変形してしまう。著しい場合にはプレス時に集電体にシワや破れが発生する。
活物質層の塗工材料として柔らかい(プレスで潰れやすい)材質のものを使用すれば、このような電極板の変形を少なくすることができるが、活物質層の材料が限定されてしまう。特に、産業用の中型または大型の電極板はプレス加工により大きく変形するので、活物質層の密度を高めることが困難である。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決することを目的として成し遂げられたものである。すなわち、非塗工部が集電体の流れ方向に帯状に存在し、かつプレス加工による変形が少ない電極板、及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、上記第1の目的を達成しうる製造方法によって製造された、品質の良い電極板及びその電極板の中間製品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明においては、長尺状の集電体上に、活物質と結着剤とからなる活物質層を塗工方法により形成する工程、該活物質層が形成された集電体をプレスする工程、及び流れ方向に帯状に活物質を除去する工程を有し、前記活物質層を集電体上から除去する工程が、活物質層を除去すべき領域の表面に熱可塑性樹脂層を有する剥離用シートを熱圧着させた後冷却する工程、剥離用シートを剥離して熱圧着された活物質層を剥離用シートとともに剥離する工程を有し、かつ集電体上に活物質層を形成する工程に先立ち、予め、活物質層を除去すべき領域の集電体表面に活物質層の除去を補助するポリフッ化ビニリデンからなるプレコート剤を塗工してプレコート層を形成する工程を有し、集電体の少なくとも一端又は一側縁を帯状に露出させて非塗工部を形成した非水電解液二次電池用電極板又は該電極板の中間製品、及びその製造方法を提供する。
【0009】
本発明によれば、集電体上に均一に活物質層が形成されている電極板をプレス加工した後に、非塗工部を形成する、そのため、塗工部と非塗工部が存在する電極板をプレス加工するという従来方法において、プレス加工時に塗工部と非塗工部の境界付近で発生する電極板の歪み、及びその歪みに起因する電極板のシワ、及びそのシワがプレスロールに引っかかることによる電極板の破れ、巻回機での巻き不良等を抑えることが出来る。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
本発明を図を参照して説明する。図1(a)は、本発明の製造方法を用いて製造される電極板の一例を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)で示した電極板の断面図である。電極板は集電体と集電体上に形成された活物質層を備え、活物質層はプレス加工が施されており、さらに電極の一側縁で帯状に集電体が露出している。この集電体の露出部に端子を接触させることにより、集電体から電流を引き出すことが出来る。大型の電池等では、電流の集中を防ぐため、図2のように複数の端子を接続する場合もある。
図3は電極板の両側縁で帯状に集電体が露出しており、電池の設計によっては、このように非塗工部を形成してもよい。
【0011】
次に図1の電極板の製造を例に挙げて、本発明の製造方法について説明する。
まず、長尺の集電体を用意し、その片面ないし両面に活物質塗工液を塗布、乾燥して、図4(a)に示すように活物質層を形成する。片面、両面のいずれの場合でも本発明は適用可能である。活物質層は通常、集電体の幅よりもやや内側に塗工されるため、これをトリミングと呼ばれる工程で未塗工部を切り落とし、図4(b)のような全面に活物質層が形成された原反を作製する。未塗工部の幅が狭く、後で述べるプレス工程でシワが問題にならない場合にはトリミング工程は省略してもよい。
【0012】
図4(b)の原反をプレス工程でプレスした後、図5(a)〜(c)等のように、原反の流れ方向に沿って帯状の非塗工部を形成し、中間製品を作製する。尚、本発明で言う中間製品は、非水電解液二次電池用電極板に完成する前の途中の仕掛品のことを意味する。
非塗工部は通常電極板の両面に形成するが、電池設計によっては片面でもよい。この中間製品をスリットすることにより、図6(a)、(b)のような電極板の側縁部に集電体が帯状に露出した電極を作製できる。また、図5(c)のように直接、電極の周縁部の活物質を除去する場合にはスリット工程を省略してもよい。 次に、集電体上から活物質を除去する工程について説明する。活物質を除去する工程において、ヘラや超音波振動等で機械的にかきおとす方法等も可能であるが、例えば非塗工部を設けたい部分の表面に熱可塑性樹脂層を有する熱可塑性樹脂のシートまたは熱可塑性樹脂の成形体を熱圧着して、非塗工部を設けたい部分の活物質層を引き剥がすことが出来る。この方法によれば、熱可塑性樹脂が活物質層内に含浸して熱可塑性樹脂のシートまたは熱可塑性樹脂の成形体と活物質層とを接着させることができるので、一度または数回の剥離作業によって、剥離すべき活物質層を剥離することができる。
【0013】
上記の熱可塑性樹脂のシートまたは熱可塑性樹脂の成形体(すなわち、剥離シート)で使用する熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂やEVA等の如く従来一般的にヒートシール材として用いられるものが適しており、アルミ箔や銅箔等の金属箔に対しての接着性があまり強すぎないものが好ましく、その軟化温度は好ましくは70℃〜150℃が良く、融点は好ましくは100℃〜160℃程度であり、メルトフローレート(MFR 単位g/10分、190℃〜230℃)は好ましくは0.1〜50程度である。但し、本発明において剥離用シートとして使用可能な熱可塑性樹脂はこの範囲に限定されない。
【0014】
上記熱可塑性樹脂は通常はシート状に成形して用いる。この際、前記のように熱可塑性樹脂シート単体で剥離用シートとして用いてもよく、またポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の基材シートとラミネートしたり、更にワックス層を設けた剥離用シートとして使用してもよい。いずれにしても熱可塑性樹脂シートの厚みについては特に制限はないが、通常は50〜200μmのものが好ましい。又、上記熱可塑性樹脂シート単体で剥離用シートとして使用する場合には、熱ロールが操作中に融着するのを避けるために、ポリエステルフィルムのようなものを間に挟んだり、熱ロールにテフロン加工したりして行うことが望ましい。
【0015】
以上の如き剥離用シートを、その熱可塑性樹脂層を電極活物質層の表面に接触させ、熱圧着すると、軟化或いは融解した熱可塑性樹脂が活物質層の空隙に入り込んだ状態で固化する。熱圧着の条件としては、温度が好ましくは100℃〜150℃、圧力が好ましくは2〜10kgf/cm、圧着時間が好ましくは5秒以下であるが、実際にはこの範囲に限定されない。
又、熱圧着は活物質層側から行ってもよく、剥離用シートから行ってもよい。
又、電極板に作製すべき非塗工部が電極板の裏と表で同じ位置に同じ形状で存在する場合には、電極板の両面に剥離用シートを配置し、両面から同時に熱圧着してもよい。又、2回目以降の熱圧着が必要になる場合は、それぞれの熱圧着操作で異なる種類の剥離用シートを用いてもよい。
【0016】
熱圧着後は剥離用シートの熱可塑性樹脂シートが活物質層に密着した状態になるが、この状態から剥離用シートを剥離させると、活物質層の大部分も一緒に集電体上から剥離用シートとともに剥離する。この際、多くの場合は集電体表面に活物質層の薄い層、もしくは活物質層の粉末が残る場合があるが、これに対して前記と同様の加熱圧着操作を繰り返すことによって、熱可塑性樹脂がこれらの活物質層の薄い層もしくは活物質層の粉末を包み込む形で固化するため、この剥離用シートを電極板上から剥離することで、集電体上の活物質層の痕跡を奇麗に除去することが可能である。
【0017】
剥離用シートの熱可塑性樹脂シートを熱圧着することにより、熱可塑性樹脂が活物質層中の微細な空隙を通り、集電体と活物質層の界面に向かって入り込んでいく。しかしながら、その流動性はワックス類に比べ小さいために、活物質層の性質や厚みにもよるが、多くの場合は集電体と活物質層の界面に達する前に固化する傾向がある。この状態で剥離用シートを剥離させると活物質層の途中で凝集破壊が起こり、活物質層の上部の層のみが剥離し、集電体上には剥離できなかった活物質層の層が残ってしまう。ここで熱圧着操作を繰り返して活物質層を剥離すれば最終的には集電体上から活物質層を除去することが可能であるが、一回の熱圧着操作で剥離する活物質層の部分が厚い方が、剥離作業の繰り返し回数が少なくて済むために作業効率は向上する。
【0018】
一般的には、活物質層の空隙の量が少ない場合には、溶融熱可塑性樹脂が活物質層に浸透しにくいために、一回の熱圧着操作で剥離できる活物質層の厚みは小さくなるし、又、活物質層の強度が強い場合には多くの活物質層が剥離用シートに付随して剥離するため、一回の熱圧着操作で剥離できる活物質層の厚みは大きくなる。例えば、活物質層にプレス処理を施す場合には、活物質層の空隙量は減少するが活物質層の強度は逆に増加するので、全体として一般的にそれほど作業効率には影響しない。
【0019】
しかしながら、活物質層によっては、ある程度以上のプレス処理を行うと、溶融熱可塑性樹脂は浸透しにくくなるにも関わらず、活物質層の強度が十分に強くならないため、一回の操作でごく薄い厚みしか剥離できず、作業効率が著しく低下するものもある。このような場合には、溶融粘度の低いワックスを、目的とする活物質層の部分に予め浸透させることによって良好な効果が得られる。すなわち、この場合には、ワックスはプレスされた活物質層の空隙中に容易に染み込み、固化して活物質層へ強度を付与する働きをすると考えられる。
【0020】
この場合、ワックス含浸後に剥離用シートを熱圧着すると、活物質層の空隙中に先に存在するワックスを押し込む形で溶融熱可塑性樹脂が浸入するか、若しくはワックスと熱可塑性樹脂の接着により、剥離用シートと活物質層が一緒に剥離する。ワックスを活物質層に予め含浸させる方法としては、溶融ワックスをグラビア塗布する方法、ダイコーターを用いる方法、ロータリースクリーンを用いて塗布する方法、製膜性のあるワックスをフイルム化して活物質層に熱圧着してしみ込ませる方法、不織布や紙等に含浸したワックスを熱圧着により活物質層に転写させる方法、予め剥離用シートの熱可塑性樹脂シートの表面にワックスの層を設けておく方法等があるが、実際にはこれらの方法に限定されない。
【0021】
本発明において、上記の如くして形成された活物質層のパターン状の剥離に使用するワックスは、加熱によって容易に溶融する材料であればよく、低分子量のポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、それらの誘導体、各種天然ワックス等が使用可能である。特に非塗工部のパターン形状を正確に形成するためには、金属箔集電体との密着性が低く、かつ固化時に体積変化が小さいものが好ましい。
【0022】
以上の如きワックスは、本発明の目的には、その融点は20〜250℃、好ましくは60〜150℃程度が良い。融点が低すぎる場合には、室温で柔らかくなるために取り扱いが難しく生産性に劣るので好ましくない。又、融点が高過ぎるとエネルギー的に不経済であり、且つ活物質層に含浸させる際に基材である集電体を損う恐れがある。又、その溶融粘度は100〜50,000cps程度、好ましくは400〜6,000cps程度である。溶融粘度が高すぎると、エネルギー的に不経済であり、又、溶融粘度が低すぎると活物質層中に浸透する時に層の横方向に広がり易くなり、正確なパターニングが困難となる。
【0023】
ワックスの好適例である上記のポリエチレン或いはポリプロピレンとしては、非酸化型低密度タイプ、非酸化型中密度タイプ、非酸化型高密度タイプ、酸化型低密度タイプ、酸化型中密度タイプ、酸化型高密度タイプ、非極性タイプ、極性タイプ、微粉末タイプ等があり、いずれも本発明の方法に適している。
【0024】
前記の活物質層を剥離する工程は、図7のように断続的に剥離してもよく、また図8のように熱ロール等を用いて連続的に剥離してもよい。一回の剥離操作で活物質の除去が完了しない場合には、数回の剥離操作を繰り返すが、このとき図9のように剥離操作を流れ方向に順次組み合わせることで工程のスピードアップが期待できる。
両面に非塗工部を形成する場合には、図10(a)のように両面同時に剥離してもよく、図10(b)のように並列に逐次に剥離してもよい。
複数列の非塗工部を形成する場合は、1列の非塗工部を形成する操作を複数回繰り返してもよく、また剥離部を図11のように原反の幅方向に並べてもよい。
また、活物質の集電体からの剥離を容易にするプレコート層を、予め集電体上の剥離すべき部位に形成しておけば、前記剥離工程はより容易になる。このとき、プレコート層の効果に応じて、熱可塑性樹脂の代わりに一般的な粘着テープ等を活物質層の剥離に用いてもよい。
また、流れ方向の帯状の剥離と、幅方向の剥離を組み合わせることにより、電池設計によっては図12のような、4辺に非塗工部が存在する電極も、プレスによるダメージを少なくして作製可能である。
【0025】
プレコート層を構成するプレコート剤は、活物質層内に移行・浸透し、活物質層の凝集力を高める材料であることが必要である。プレコート剤を活物質層内に移行・浸透させるために、プレコート層をなすプレコート剤を、適当な溶媒に可溶な材料とすることによって、プレコート剤を活物質層内に含浸させることができ、さらに、その溶媒を除去することによって、プレコート剤を活物質層内で固化させることができる。
プレコート剤としては、活物質層用塗工液を調製するための溶剤に可溶であるような材料を好ましく用いることができる。このようなプレコート剤を用いた場合には、活物質層用塗工液を塗工して活物質層を形成する際にプレコート層を溶解することができるので、活物質層の形成工程と、プレコート剤を活物質層内に移行・浸透させる工程とを同時に行うことができる。また、プレコート剤は、活物質層の凝集力を高める材料であるので、少なくとも適度な結着性を有するものであり、かつ、アルミニウムや銅箔等の金属箔よりなる集電体に対して、接着性が強すぎないものが好ましい。接着性が強すぎると、剥離工程時に集電体を引っ張ってダメージを与えることがあり、剥離作業を円滑に行えない場合がある。
【0026】
具体的なプレコート剤としては、活物質層用塗工液の溶剤に可溶である樹脂の中から適当なものを選んで使用することができ、スチレン−アクリロニトリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリジイソプロピルフマレート、及びそれらの誘導体等が使用できる。また、プレコート剤の樹脂にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリスチレン、セルロース繊維等の粒子径0.1〜1μm程度の粉体を加えることも可能である。その粉体の配合割合は、樹脂100重量部に対し、粉体1〜80重量部である。樹脂が少なすぎると、高分子塗膜が形成しにくく、逆に粉体が少ないとプレコート層どうしが接着し、ブロッキングが発生する場合がある。
尚、本発明で使用できるプレコート剤は上記の範囲に限定されない。
【0027】
このようなプレコート剤を適切な溶剤に溶解または分散して、プレコート層用塗工液を調製する。プレコート層用塗工液を調製するための溶剤としては、活物質層用塗工液の溶剤と同じものを用いてもよいし、違うものを用いてもよい。プレコート剤として、PMMAを使用する場合には、トルエン/メチルエチルケトン=1/1(重量比)の溶剤を用い、またポリフッ化ビニリデンを使用する場合には、N−メチル−2−ピロリドンを用いて溶解するのが好ましい。そして、プレコート層用塗工液を集電体の表面の非塗工部を設けたい領域に選択的に塗布、乾燥してプレコート層を形成する。
【0028】
プレコート層の塗工量は、プレコート剤が移行・浸透した後の活物質層の凝集力と、その活物質層と集電体の間の接着力とのバランスを考慮して、適宜設定されるが、通常は0.2〜10g/m2 程度が好ましい。プレコート剤として、特にスチレン−アクリロニトリル樹脂を用いた場合には、0.5〜2g/m2 程度とすることが好ましい。この範囲の塗工量でスチレン−アクリロニトリル樹脂を塗工すると、一度の剥離作業によって、剥離すべき活物質層を容易に剥離することができる。
塗工量が0.2g/m2 未満の場合には、活物質層内に浸透するプレコート剤の量が少なく、活物質層の凝集力を充分に高めることができない。そして、その後の剥離工程において、活物質層が凝集破壊する恐れがあり、一度の剥離作業によっても剥離すべき活物質層を剥離することができない。その結果、剥離工程の効率が低下して、電極板の全体の製造効率が低下することがある。塗工量が10.0g/m2 を越える場合には、電極塗工時にひび割れることがある。もしくは、塗工時に剥がれ落ちることがある。また、電極板が厚くなることで、プレス時にダメージが生じやすい。
【0029】
プレコート層用塗工液は、コーターヘッドを機械的に制御しない塗工法、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ダイコーターを用いる方法、ロータリースクリーンを用いる方法、凸版を用いる方法等何れの方法によっても塗工することができるので、速い塗工スピードで正確に所望のパターン状に塗工を行うことができる。なお、プレコート剤を塗工する際に、プレコート剤が集電体の表面ではじかれてしまうような場合には、集電体の表面にコロナ放電や脱脂処理等の前処理を行うことによって、好ましく塗工することができる。
また、プレコート層を形成する工程は、その後の、活物質層を形成する工程と共にインラインで行うこともできる。
【0030】
次に、具体的なプレコート層を用いた活物質層の除去について説明する。
プレコート層を形成した側の集電体表面に、活物質層用塗工液を全面的に塗布する。活物質層用塗工液の塗工層の中には、乾燥が完了するまでの間、溶剤が存在している。一方、プレコート層を構成しているプレコート剤は、かかる溶剤に可溶である。このため、集電体表面に、活物質層用塗工液を塗布・乾燥している間に、プレコート層のプレコート剤が徐々に溶解し、活物質層用塗工液の塗工層へ移行する。活物質層用塗工液の塗工層へ移行したプレコート剤は、活物質塗工層の上方に向かって浸透していく。これは、前記の溶剤が、塗工層の表面から空気中へ蒸発する結果、プレコート剤が活物質塗工層の上方に引っ張られるためであると考えられる。このようにして、非塗工部を形成したい領域の活物質層のみにプレコート剤が浸透する。一方、プレコート層は、その全てまたは大部分が溶出して、その活物質層内に含浸し、完全にまたはほとんど消失する。
【0031】
活物質層の塗布・乾燥工程とプレコート層の移行・浸透工程が並行して進行し、完了すると、非塗工部を形成したい領域の活物質層のみにプレコート剤が含浸・固化する。この領域の活物質層は、周囲と比べて凝集力が高くなっている。または、プレコート層の材料によっては、集電体との密着性も低下する。そして、プレコート剤が含浸・固化した領域の活物質層と、剥離用のシートまたは成形体とを圧着し、その後、剥離用のシートまたは成形体を剥がすことによって、当該シートまたは成形体に圧着された活物質層が一体として剥離される。その結果、集電体が帯状に露出し、非塗工部が形成される。
【0032】
この製造方法によれば、活物質層の凝集力を高めることができるプレコート層を、非塗工部を設けたい部分に形成し、そのプレコート層をなすプレコート剤を活物質層内に移行・浸透させるので、かかる活物質層の凝集力は、プレコート剤が浸透していない活物質層の凝集力に比べて大きくなる。その結果、プレコート層が形成された部分に設けられた活物質層だけを、凝集破壊を起こさずに、集電体表面からきれいに剥離することができる。また、凝集力が高められた活物質層だけを剥離することができるので、それ以外の活物質層との境界面がシャープになり、非塗工部の位置精度の高い電極板を得ることができる。そのため、一度または数回の剥離作業によって、非塗工部を設けたい部分の活物質層を剥離することができるので、活物質層を所定のパターンに効率よく形成することができる。
【0033】
上述のプレコート層を形成する工程において、着色したプレコート剤を塗工することによって、着色されたプレコート層(着色プレコート層)を形成することができる。着色プレコート層は、その色を検知または認識することができる程度に着色されている必要があり、着色染料や顔料の適当量の着色剤が添加される。着色プレコート層は、その後の工程、例えば着色プレコート層が形成された集電体の裏面の同じ位置または所定の位置にプレコート層をさらに形成する工程や、着色されたプレコート層上に必要に応じて所定のパターンの他の層をさらに形成する工程等で好ましく使用される。特に、透明、半透明または白色等のプレコート剤を塗工して形成したプレコート層が、位置検出装置を用いても位置検出が困難な場合や、トンボ等の検知マークを別工程で形成することを製造上、避けたい場合に、好ましく設けられる。
【0034】
以下、本発明の非水電解液二次電池用電極板を構成する各材料について説明する。
非水電解液二次電池とは、リチウム系二次電池で代表されるもので、電解液に非水有機溶媒を用いることを特徴とし、例えば、金属箔からなる集電体基体上に電極活物質を含有する塗工膜(活物質層)が形成されているものを電極板とし、電解液に非水有機溶媒を用い、正極及び負極の電極間をリチウムイオンが移動する際の電子のやり取りによって充放電が可能となるものである。
【0035】
本発明の非水電解液二次電池用電極板を構成する活物質を含有する塗工膜は、少なくとも活物質と結着剤とからなる電極塗工液から形成される。本発明で用いられる正極活物質としては、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMn2 4 等のリチウム酸化物、TiS2 、MnO2 、MoO3 、V2 5 等のカルコゲン化合物のうちの一種、或いは複数種が組み合わせて用いられる。一方、負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、或いはグラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料が好んで用いられる。特に、LiCoO2 を正極活物質、炭素質材料を負極活物質として用いることにより、4V程度の高い放電電圧のリチウム系二次電池が得られる。
【0036】
これらの活物質は形成される塗工膜中に均一に分散されるのが好ましい。このため、本発明においては、活物質として1〜100μmの範囲の粒径を有する平均粒径が約10μm程度の粉体を用いるのが好ましい。
また、上記活物質を含む塗工液の調製に用いられるバインダー(結着剤)としては、例えば、熱可塑性樹脂、即ち、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、フッ素系樹脂及びポリイミド樹脂等から任意に選択して使用することができる。この際に反応性官能基を導入した化合物(アクリレートモノマー又はオリゴマー)を同時に混入させることも可能である。又、アクリレートオリゴマー単独であっても、オリゴマーとモノマーとの混合系等であっても利用することができる。
【0037】
本発明の非水電解液二次電池用電極板を構成する活物質を含有する塗工膜は、以下のような方法で作成される。まず、集電体上に塗工する塗工液を、上記に記載した材料を用いて作製する。すなわち、上記の材料から適宜に選択された結着剤と粉末状の活物質とを適当な分散媒を用いて、混練或いは分散溶解して、電極塗工液を作製する。次に、得られた塗工液を用いて、集電基体上に塗布する。塗布する方法としては、グラビア、グラビアリバース、ダイコート及びスライドコート等の方式を用いる。その後、塗布した塗工液を乾燥させる乾燥工程を経て所望の膜厚の塗工膜を形成する。
本発明の非水電解液二次電池用電極板に用いられる集電体としては、例えば、アルミニウム、銅等の金属箔が好ましく用いられる。金属箔の厚さとしては、10〜30μm程度のものを用いる。
本発明では、集電体上に正極活物質層または負極活物質層を形成する。集電体と正極活物質層または負極活物質層との密着性を向上させるために、集電体の表面にカップリング剤層を形成してもよい。カップリング剤層の形成に使用するカップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系等のカップリング剤があり、これらの中から金属箔集電体及び活物質層との密着性に優れたカップリング剤を選択して使用する。
【0038】
以下、本発明で使用する活物質が含有された電極塗工液の具体的な調製方法について説明する。まず、上記に挙げたような材料から適宜に選択された粒子状バインダーと粉末状の活物質を、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン等の有機溶媒からなる分散媒体中に入れ、更に必要に応じて導電剤を混合させた組成物を、従来公知のホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル等の分散機を用いて混合分散することによって調製する。この際、バインダーと活物質との混合割合は、従来行われているのと同様でよく、例えば、負極の場合にはバインダー:活物質=2:8〜1:9(重量比)程度とするのが好ましい。また、必要に応じて添加する導電剤としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料が用いられる。負極については、塗工膜と集電体との密着を向上させるためにシュウ酸等の添加剤を加えても良い。
【0039】
上記のようにして調製された活物質が含有された電極塗工液は、アルミニウム、銅等の金属箔からなる集電体上に、グラビアコーター、またはグラビアリバース、ダイコーター等を用いて塗工、乾燥処理して、乾燥膜厚が10〜200μm、好ましくは50〜170μmとなるような範囲で塗布する。この際、塗工膜と集電体との密着を向上させるために、集電体を前もって、シラン系、チタネート系、アルミニウム系等のカップリング剤で処理しても良い。
更に、上記のようにして塗工及び乾燥処理して形成された活物質層の均質性をより向上させるために、該活物質層に金属ロール、加熱ロール、シートプレス機等を用いてプレス処理を施し、本発明の電極板を形成するのも好ましい。この際のプレス条件としては、500kgf/cm2 〜7,500kgf/cm2 、更に好ましくは3,000〜5,000kgf/cm2 の範囲とするのが良い。500kgf/cm2 よりもプレスする力が小さいと活物質層の均一性の向上が得られにくく、又、7,500kgf/cm2 よりもプレスする力が大きいと、集電体基体を含めて電極板自体が破損してしまうために好ましくない。
【0040】
更に、上記のようにして作製した本発明の電極板を用いて二次電池を作製する場合に、電池の組立工程に移る前に、電極板の活物質が含有されている塗工膜中の水分を除去するために、更に加熱処理、減圧処理等を行うことが好ましい。
また、以上のようにして作製した本発明の正極及び負極の非水電解液二次電池用電極板を用いて、例えば、リチウム系二次電池を作製する場合には、電解液として、溶質のリチウム塩を有機溶媒に溶かした非水電解液が用いられる。この際に使用される有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類等があり、環状エステル類としては、例えば、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0041】
鎖状エステル類としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0042】
また、環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等が挙げられる。鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。
【0043】
また、上記の有機溶媒と共に非水電解液を形成する溶質のリチウム塩としては、例えばLiClO4 、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、及びLiB(C6 5 4 、LiN(SO2 CF3 2 、LiC(SO2 CF3 3 、LiOSO2 CF3 、LiOSO2 2 5 、LiOSO2 3 7 、LiOSO2 4 9 、LiOSO2 5 11、LiOSO2 6 13、LiOSO2 7 15等の有機リチウム塩等が用いられる。
【0044】
次に実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中「部」又は「%」とあるのは重量基準である。
【実施例】
参考例1)先ず、本参考例で用いた正極活物質を含む正極塗工液を以下の方法により作製した。正極塗工液の材料としては、1〜100μmの粒径を持つ平均粒径10μmのLiCoO2粉末を89部、導電材としてグラファイト粉末を8部及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン樹脂のワニス(呉羽化学工業(株)製KF#1100、12%N−メチル−2−ピロリドン溶液)を33部の配合比で用いた。ワニスに他の粉末材料を入れた後、プラネタリーミキサー((株)小平製作所製)にて30分間撹拌混合することにより、スラリー状の正極活物質を含む正極塗工液を得た。
【0045】
上記で得られた正極塗工液を用い、厚さ20μm及び幅300mmのアルミ箔からなる集電体を基体として、該基体上にダイコーターにて、280mm幅に正極活物質塗工液の塗工を行った。その後、長さ8mの乾燥オーブン(80℃−100℃−130℃−140℃)中を4m/minの速度で通すことにより乾燥処理してアルミ箔基体上に乾燥膜厚が90μmの正極活物質を含む活物質層を形成した。更に、上記で得られた正極活物質を含む活物質層を80℃の真空オーブン中で、48時間エージングして水分を除去し、参考例1の正極用の電極板を作製した。
【0046】
次に、本実施例で用いた負極活物質を含む負極塗工液を以下の方法により作製した。負極塗工液の材料として、グラファイト粉末を85部、ポリフッ化ビニリデン樹脂のワニス(呉羽化学工業(株)製、KF#1100、12%N−メチル−2−ピロリドン溶液)を125部及び分散媒体としてN−メチル−2−ピロリドンを115部の配合比で用い、正極塗工液を作製した場合と同様の分散機及び分散方法を用いて粉体を分散させ、スラリー状の負極塗工液を得た。
【0047】
上記で得られた負極塗工液を用い、厚さ14μm及び幅300mmの圧延銅箔を集電体基体とし、該基体上にダイコーターを用いて280mm幅に負極塗工液の塗工を行った。その後、長さ8mの乾燥オーブン(80℃−100℃−130℃−140℃)中を2m/minの速度で通すことにより乾燥処理して、銅箔上に乾燥膜厚が135μmの負極活物質を含む活物質層を形成した。更に、正極電極板の形成の場合と同様の方法で水分を除去し、参考例1の負極用の電極板を作製した。
【0048】
上述のようにして得られた正極板及び負極板を260mm幅にトリミングして未塗工部を切り落とし、ロールプレスにて線圧150kgf/cmでプレスした後、幅60mm、厚さ112μmのポリエチレンヒートシール材(出光石油(株)モアテック0238N 100μmとポリエチレンテレフタレートフイルム(厚み12μm)をドライラミネートしたフイルムを剥離用シートとして使用し、ポリエチレンヒートシール材が電極板に向かい合うようにして重ね、直径100mm、幅30mmの熱ロールを用い、線圧10kgf/cm、送りスピード2m/minで連続的に加熱圧着を行った(図13(a)参照)。加熱圧着されたヒートシール材は連続的に剥がすことができ、剥がすときれいな帯状の集電体面が得られた(図13(b)参照)。この操作を裏面に対しても同様に行った後、電極板をスリットし、塗工部幅が90mm、非塗工部幅が10mmの電極板を得た(図13(c)参照)。得られた電極板の非塗工部にシワや破れ等の不良は認められなかった。
【0049】
(実施例)まず、プレコート層を塗工した集電体を以下の方法により作成した。プレコート剤の溶液としてはポリフッ化ビニリデン樹脂のワニス(呉羽化学工業(株)製KF#1100、12%N−メチル−2−ピロリドン溶液)を用い、厚さ20μm及び幅300mmのアルミ箔を正極の集電体として、また厚さ14μm、幅300mmの圧延銅箔を負極の集電体として、各集電体上にグラビアコーターを用いてプレコート溶液を幅30mmの帯状に塗布した。その後、長さ2mの乾燥オーブン(100℃)中を6m/minで通すことにより乾燥処理して、集電体上に1g/m2の塗工量でポリフッ化ビニリデンの皮膜を形成した。同じ操作を集電体の裏面に対しても行い、図14のような集電体を得た。
【0050】
次に、上記で得られたプレコート層塗工済み集電体を用い、参考例1と同様の電極塗工液、乾燥条件にて電極を作製した。上述のようにして得られた正極板及び負極板を260mm幅にトリミングして未塗工部を切り落とし、ロールプレスにて線圧150kgf/cmでプレスした後、幅60mm、厚さ112μmのポリエチレンヒートシール材(出光石油(株)モアテック0238N 100μm)とポリエチレンテレフタレートフイルム(厚み12μm)をドライラミネートしたフイルムを剥離用シートとして使用し、ポリエチレンヒートシール材が電極板に向かい合うようにして重ね、直径100mm、幅30mmに熱ロールを用い、線圧10kgf/cm、送りスピード2m/minでプレコート層が存在する部位に対し、連続的に加熱圧着を行った。加熱圧着されたヒートシール材は連続的に剥がすことができ、剥がすときれいな帯状の集電体面が得られた。この操作を裏面に対しても同様に行った後、電極板をスリットし、塗工部幅が90mm、非塗工部幅が10mmの電極板を得た。得られた電極板の非塗工部にシワや破れ等の不良は認められなかった。
【0051】
(比較例1)厚さ20μm及び幅150mmのアルミ箔を正極の集電体として、また厚さ14μm、幅150mmの圧延銅箔を負極の集電体として、各集電体上にダイコーターにて参考例1と同じ電極塗工液を幅10mmで塗工し、参考例1と同じ乾燥条件にて図15(a)のような電極板を作製した。上述のようにして得られた正極板及び負極板を100mm幅にトリミングして塗工部幅が90mm、非塗工部幅が10mmの図15(b)に示す電極板を得た。この電極板をロールプレスにて、線圧150kgf/cmでプレスしたところ、プレスロールのところで電極板の塗工部と非塗工部の境界付近にシワが入り、さらには電極板が切れてしまった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、長尺状の集電体上に、活物質と結着剤とからなる活物質層を塗工方法により形成する工程、該活物質層が形成された集電体をプレスする工程、及び流れ方向に帯状に活物質を除去する工程を有し、前記活物質層を集電体上から除去する工程が、活物質層を除去すべき領域の表面に熱可塑性樹脂層を有する剥離用シートを熱ロールにより、連続的に熱圧着させた後冷却する工程、剥離用シートを剥離して熱圧着された活物質層を剥離用シートとともに剥離する工程を有し、かつ集電体上に活物質層を形成する工程に先立ち、予め、活物質層を除去すべき領域の集電体表面に活物質層の除去を補助するポリフッ化ビニリデンからなるプレコート剤を塗工してプレコート層を形成する工程を有するもので、集電体上に均一に活物質層が形成されている電極板をプレス加工した後に、非塗工部を形成する、そのために、塗工部と非塗工部が存在する電極板をプレス加工するという従来方法において、プレス加工時に塗工部と非塗工部の境界付近で発生する電極板の歪み及びその歪みに起因する電極板のシワ、及びそのシワがプレスロールに引っかかることによる電極板の破れ等を抑えることが出来る。
この製造方法によれば、活物質層の凝集力を高めることができるプレコート層を、非塗工部を設けたい部分に形成し、そのプレコート層をなすプレコート剤を活物質層内に移行・浸透させるので、かかる活物質層の凝集力は、プレコート剤が浸透していない活物質層の凝集力に比べて大きくなる。その結果、プレコート層が形成された部分に設けられた活物質層だけを、凝集破壊を起こさずに、集電体表面からきれいに剥離することができる。また、凝集力が高められた活物質層だけを剥離することができるので、それ以外の活物質層との境界面がシャープになり、非塗工部の位置精度の高い電極板を得ることができる。そのため、一度または数回の剥離作業によって、非塗工部を設けたい部分の活物質層を剥離することができるので、活物質層を所定のパターンに効率よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極板を図解的に説明する図である。
【図2】本発明の電極板を図解的に説明する図である。
【図3】本発明の電極板を図解的に説明する図である。
【図4】本発明の電極板の製造方法の工程を説明する図である。
【図5】本発明の電極板の中間製品を図解的に説明する図である。
【図6】本発明の電極板の中間製品を流れ方向にスリットすることを図解的に説明する図である。
【図7】本発明の電極板の活物質層を剥離する工程を図解的に説明する図である。
【図8】本発明の電極板の活物質層を剥離する工程を図解的に説明する図である。
【図9】本発明の電極板の活物質層を剥離する工程で、剥離操作を流れ方向に順次組み合わせた例を示す図である。
【図10】本発明の電極板の活物質層を集電体上から除去する工程で集電体の両面で、同時、または並列して行う例を示す図である。
【図11】本発明の電極板で、複数列の非塗工部を形成する工程を図解的に説明する図である。
【図12】本発明の電極板で、4辺に非塗工部が存在する例を示す図である。
【図13】本発明の電極板の製造方法の工程を説明する図である。
【図14】集電体表面に活物質層の除去を補助するプレコート層が形成された例を示す図である。
【図15】比較例の電極板の製造方法の工程を説明する図である。
【図16】従来例のコーターヘッドの工夫により、集電体上に活物質層を帯状に直接形成した後スリットする方法を図解的に説明する図である。
【図17】原反の周縁部に集電体の露出部が残ったままでプレス加工して、プレスされた部分だけが流れ方向に伸びてしまい、電極板が変形する例を示す図である。

Claims (2)

  1. 長尺状の集電体上に、活物質と結着剤とからなる活物質層を塗工方法により形成する工程、該活物質層が形成された集電体をプレスする工程、及び流れ方向に帯状に活物質を除去する工程を有し、前記活物質層を集電体上から除去する工程が、活物質層を除去すべき領域の表面に熱可塑性樹脂層を有する剥離用シートを熱圧着させた後冷却する工程、剥離用シートを剥離して熱圧着された活物質層を剥離用シートとともに剥離する工程を有し、かつ集電体上に活物質層を形成する工程に先立ち、予め、活物質層を除去すべき領域の集電体表面に活物質層の除去を補助するポリフッ化ビニリデンからなるプレコート剤を塗工してプレコート層を形成する工程を有し、集電体の少なくとも一端又は一側縁を帯状に露出させて非塗工部を形成することを特徴とする非水電解液二次電池用電極板又は該電極板の中間製品の製造方法。
  2. 請求項1に記載する製造方法で形成されたことを特徴とする非水電解液二次電池用電極板又は該電極板の中間製品。
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