JP4643780B2 - 非水電解液二次電池用電極板及びその製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池用電極板及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池用電極板(以下「電極板」ということがある)及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、活物質層と非塗工部の寸法精度と厚み精度に優れる非水電解液二次電池用電極板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器や通信機器の小型化および軽量化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として用いられる二次電池に対しても小型化および軽量化が要求されている。このため、従来のアルカリ蓄電池に代わり、高エネルギー密度で高電圧を有する非水電解液二次電池、代表的にはリチウムイオン二次電池が提案されている。
【0003】
二次電池の性能に大きく影響を及ぼす正極および負極の各電極板に関しては、充放電サイクル寿命を延長させるため、また、高エネルギー密度化のため、電極板を薄膜化することによって電池内に巻き込まれる電極板の面積をより大きくすることが望まれている。
【0004】
例えば、特開昭63−10456号公報や特開平3−285262号公報には、金属酸化物、硫化物またはハロゲン化物等の正極活物質粉末、導電材および結着材(バインダー)を適当な湿潤剤(以下、溶剤という)に分散または溶解させて、ペースト状の活物質塗工液を調製し、金属箔からなる集電体を基体とし、その基体上に前記塗工液を塗工して正極活物質層を形成して得られる正極電極板が開示されている。この正極電極板においては、結着材として、例えばポリフッ化ビニリデンのようなフッ素系樹脂、シリコーン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等が用いられている。
【0005】
一方、負極電極板は、結着材を適当な湿潤剤(溶剤)に溶解させたものをカーボン等の負極活物質に加えて、ペースト状の活物質塗工液を調製し、金属箔の集電体に塗工して得られる。また、集電体に対する塗工膜の密度を向上させたり、塗工膜の密着性を向上させるために、通常、プレス処理が施される。
【0006】
上記の塗布型電極板において活物質塗工液を調製するための結着材は、非水電解液に対して化学的に安定であること、電解液中に溶出しないこと、また、何らかの溶媒に溶解して基体上に薄く塗布できるものであることが必要である。
【0007】
塗布、乾燥された活物質層は、電池の組立工程において剥離、脱落、ひび割れ等が生じないように可とう性を備えていること、および、集電体との密着性に優れていることが要求される。
【0008】
そして、正極電極板と負極電極板それぞれに電流を取り出すための端子を取り付け、両電極板の間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで巻き取り、非水電解液を満たした容器に密封することにより二次電池が組み立てられる。このような二次電池において正極と負極の容量バランスがとれていないと、種々の問題を生ずるおそれがある。例えば、負極の活物質の量が足りなくて、その電池容量が正極の電池容量よりも少ない場合には、充電反応時に正極から電解液中に離脱したリチウムイオンの全てを負極の炭素層間に挿入することができず、過剰になったリチウムイオンがリチウム金属となって負極電極板上にデンドライト(柱状)析出するおそれがある。この析出物が成長すると、正極電極板と負極電極板の間にあるセパレータを突き破り、正極と負極を短絡させ、電池の性能を著しく損なうおそれがある。そのため、負極電極板の活物質量を、正極電極板の活物質量よりも多めに塗工しておくことにより、正極と負極の容量バランスをとっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで電極板は、通常、電流を取り出すための端子を付ける部分や隣接する活物質層相互の境界部などのように、活物質層を設けたくない非塗工部を有している。その非塗工部のパターンは電池設計に従って任意に決定される。非塗工部を作製する方法には、コーターヘッドを機械的に制御しながら電極塗工液を集電体上に塗工して塗工部と非塗工部のパターンを直接形成する方法や、集電体の全面に塗工膜を形成した後でヘラなどの機械的手段により塗工膜を部分的に剥離させて非塗工部を形成する方法がある。
【0010】
前者の方法による場合には、塗工部又は非塗工部のパターンに合わせてコーターヘッド及び/又は集電体を動かしながらコーターヘッドからの活物質塗工液の吐出開始と吐出停止を繰り返したり、或いは、塗工作業が塗工部と非塗工部の境界に到達するたびに、コーターヘッド及び/又は集電体の移動停止とその再開、塗工面に対するコーターヘッドの離脱と再接近、電極塗工液の吐出停止とその再開をそれぞれ同調させて繰り返すなどの作業を行なう。このようなコーターヘッドの機械的制御により間欠塗工を行なって、例えば、所定幅を有する長尺状集電体の表面に長さ600mmの活物質層と、長さ50mmの非塗工部が交互に繰り返し設けられた電極板の原反を作成する。
【0011】
しかしながら、塗工スピードを上げていくとコーターヘッドの機械的制御を塗工スピードに同調させることが難しくなってきて、塗工部と非塗工部が交互に繰り返されたパターンを正確に形成することができなくなる。特に、塗工部の中に比較的狭い面積の非塗工部を間欠的に繰り返し設けたい場合には、速い塗工スピードで非塗工部のパターンを正確に形成することが極めて困難である。また、コーターヘッドの動作が速い塗工スピードについていけなくなる結果、個々の吐出開始位置において局所的塗工量がわずかながら過剰になり、活物質層のエッジ部が盛り上がってしまう。一方、個々の吐出停止位置においては局所的塗工量がわずかに不足する傾向があり、いわゆる尾引き現象が発生し、活物質層のエッジ部が傾斜する。この傾斜部においては活物質層の厚みが非塗工部との境界に向かって減少している。そして塗工スピードが速くなると尾引きが顕著になって、活物質層の傾斜部が長くなってしまう。活物質層の尾引きが顕著になると、活物質層のエッジ部の境界線が波状になるという不都合も生じる。
【0012】
このように、コーターヘッドを機械的に制御する方法では、塗工スピードを上げると、活物質層の周縁部においてエッジ形状及び厚みが不均一になる。正極活物質層の周縁部でのばらつきを見越して正極と負極の容量バランスをとると、負極活物質がより多く必要になって無駄が多くなり、活物質の使用量が大きい割には電池容量が少なくなってしまう。
【0013】
活物質層のエッジ部が盛り上がっていると、電極板のプレス加工時に電極板やプレス機にダメージを与えたり、電極板をきれいに巻き上げることが困難になったり、電池内でセパレータを突き破りやすいなどの問題もある。
【0014】
活物質層のパターニング精度が悪いと、活物質層又は非塗工部の位置を自動センシングするのが困難になるという問題もある。コーターヘッドを機械的に制御する方法により集電体の両面に活物質層を形成する場合には、先ず、片面側に所定パターンの活物質層を形成し、その後、形成した活物質層の位置をセンサーで検出しながら、もう一方の面に活物質層のパターンを形成する。従って、最初に形成した活物質層のパターニング精度が悪いと、もう一方の面に形成する活物質層のパターニング精度も悪くなってしまう。また、電池の組み立て時には非塗工部の位置が自動センシングされるが、活物質層のパターニング精度が悪いと、この時の自動センシングも困難になる。
【0015】
コーターヘッドを機械的に制御する方法でも、比較的遅い塗工スピードであれば上記のような不都合をある程度まで軽減することができる。しかしながら、その改善効果には限界があるし、電極板の生産性を上げることもできない。所望のパターンに塗工を行なうことができる方法としては、コーターヘッドを機械的に制御する、例えば、スロットダイコート、スライドダイコート、コンマリバースコートのような塗工法以外に、コーターヘッドを機械的に制御しない、例えば、グラビアコートやグラビアリバースコート等の塗工法も知られている。しかしながら、コーターヘッドを機械的に制御しない方法は、薄い塗工層を形成する場合には適しているが、活物質層のような比較的厚い塗工層を形成する目的には適していない。このような理由から、従来は、生産性がそれほど良くないにもかかわらず、コーターヘッドを機械的に制御する塗工法により活物質層と非塗工部が形成されていた。
【0016】
一方、後者の方法、すなわち集電体の全面に塗工膜を形成した後でヘラなどの機械的手段により塗工膜を部分的に剥離する方法の場合には、パターニング精度が高くなく、さらには活物質層のエッジを滑らかに整えることが難しいのでエッジからの粉落ちが生じるなどの問題がある。
【0017】
本発明は、上記の実状に鑑みて成し遂げられたものである。本発明の第一の目的は、活物質層の周縁部での厚み精度及び/又は活物質層と非塗工部との境界線の位置精度が高い電極板を提供することにある。また本発明の第二の目的は、そのような活物質層の周縁部での寸法精度又は厚み精度が高い電極板を効率良く製造することができる方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記の第1乃至第4の電極板が提供される。
【0019】
(1)第1の電極板
集電体と、活物質と結着材とを少なくとも含有すると共に前記集電体上に所定のパターン状に設けられた活物質層と、前記活物質層のパターンと相補的なパターン状に前記集電体を露出させた非塗工部とを少なくとも備え、前記非塗工部との境界から20mm内側までの領域における活物質層の周縁部の最大厚みは、活物質層の平均厚みプラス10μm以下であることを特徴とする、非水電解液二次電池用電極板。
【0020】
(2)第2の電極板
集電体と、活物質と結着材とを少なくとも含有すると共に前記集電体上に所定のパターン状に設けられた活物質層と、前記活物質層のパターンと相補的なパターン状に前記集電体を露出させた非塗工部とを少なくとも備え、活物質層の周縁部のうち非塗工部との境界から内側に向かって厚みが増加している傾斜部分において、活物質層の厚みが1μm以上で且つ当該活物質層の平均厚み未満である領域の幅が1mm以下であることを特徴とする、非水電解液二次電池用電極板。
【0021】
(3)第3の電極板
集電体と、活物質と結着材とを少なくとも含有すると共に所定のパターン状に前記集電体上に設けられた活物質層と、前記活物質層のパターンと相補的なパターン状に前記集電体を露出させた非塗工部とを少なくとも備え、前記所定パターンの真の境界線に対する実際に形成された活物質層と非塗工部との境界線のずれの絶対値が1mm以下であることを特徴とする、非水電解液二次電池用電極板。
【0022】
(4)第4の電極板
集電体と、活物質と結着材とを少なくとも含有すると共に前記集電体の両面にそれぞれ所定のパターン状に設けられた活物質層と、前記活物質層のパターンと相補的なパターン状に前記集電体の両面をそれぞれ露出させた非塗工部とを少なくとも備え、集電体の表側と裏側の両活物質層は集電体を挟んで面対照に形成されていると共に、集電体の表側に実際に形成された活物質層と非塗工部の境界線と、集電体の裏側に実際に形成された活物質層と非塗工部の境界線との位置ずれの絶対値が1mm以下であることを特徴とする、非水電解液二次電池用電極板。
【0023】
本発明に係る電極板は、少なくとも上記いずれか1つの条件を満たしており、好ましくは全ての条件を満たしている。従って、活物質層のパターンと非塗工部のパターンの位置精度及び寸法精度が非常に高い。
【0024】
このような本発明に係る電極板を作成するための好適な方法は、集電体の表面の非塗工部を設けたい領域に、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリジイソプロピルフマレート、及びそれらの誘導体よりなる群から選ばれる高分子樹脂からなる高分子樹脂層を形成する工程と、
前記高分子樹脂層を形成した側の集電体表面に、活物質と結着材とを少なくとも含有する活物質層用塗工液を塗工して活物質層を形成する工程と、
前記活物質層表面の非塗工部を設けたい領域に、押圧面が非塗工部を形成した領域パターンと同じ形状に成形されている熱板を熱可塑性樹脂のシートの背面から押し当てて、又は押圧面が非塗工部を形成したい領域のパターンに成形された熱可塑性樹脂の成形体を押し当てて熱可塑性樹脂のシート又は成形体を選択的に熱圧着し、軟化又は溶融させた熱可塑性樹脂のシート又は成形体を非塗工部を形成したい領域の活物質層内の空隙に含浸させ、非塗工部を形成したい領域の活物質層の表面に熱可塑性樹脂のシート又は成形体を固着させる工程と、
前記活物質層の表面に熱可塑性樹脂のシート又は成形体を固着させた後、前記熱可塑性樹脂のシート又は成形体を集電体から引き剥がすことにより、非塗工部を設けたい領域の活物質層を高分子樹脂層ごと剥離して、集電体表面が露出した非塗工部と、当該非塗工部のパターンと相補的なパターンを有する活物質層を形成する工程を備えることを特徴としている。
【0025】
本発明の方法においては、集電体表面の非塗工部を設けたい領域に上記したような材料からなる高分子樹脂層を設けてから活物質層用塗工液を塗工する。塗工後しばらくの間は、活物質層用塗工液の塗工層は未乾燥であり、高分子樹脂層が塗工層内へ徐々に溶解し、移行する。そのため塗工層が乾燥して活物質層になった時には、非塗工部を形成したい領域の活物質層のみに高分子樹脂が含浸・再固化しており、この領域の活物質層の凝集力が周囲と比べて高くなっている。また、高分子樹脂層は、通常、完全には活物質層に吸収されずに残って、非塗工部を形成したい領域において集電体と乾燥した活物質層の間になお介在し続けている。このため、非塗工部を形成したい領域の活物質層は、密着力の弱い高分子樹脂層を介して集電体上に付着している。
【0026】
さらに、非塗工部を形成したい領域の活物質層に熱可塑性樹脂のシート又は成形体を熱圧着すると、この領域の活物質層に熱可塑性樹脂のシート又は成形体が固着し、また、この領域の活物質層に熱可塑性樹脂が含浸、固化して凝集力がさらに高くなる。
【0027】
この状態で熱可塑性樹脂のシート又は成形体を引き剥がして除去すると、非塗工部を形成したい領域の活物質層と高分子樹脂層が熱可塑性樹脂のシート又は成形体に付着して一緒に除去され、集電体表面が露出した非塗工部と、当該非塗工部のパターンと相補的なパターンを有する活物質層が正確に形成される。
【0028】
また、本発明の方法においては、集電体上にベタパターンの活物質層を形成してから、所定パターンに合わせて活物質層を剥離することにより非塗工部を形成する。従って、活物質層のエッジ部に盛り上がりや長い傾斜部を生じさせない。
【0029】
また、高分子樹脂の塗工液は、少量の塗工量でも要求された機能を十分に発揮できるので、コーターヘッドを機械的に制御することを必要としない手法、例えばグラビアコートやグラビアリバースコートなどの手法によって集電体表面に塗布することが可能である。従って、高分子樹脂層用塗工液を所定のパターンに塗工する場合には、活物質層用塗工液を所定のパターンに塗工するよりも速いスピードで、しかも正確に塗工することができ、生産性に優れている。さらに、本発明の方法により活物質層を剥離する場合には、活物質層のエッジ部を滑らかに形成することができるので、ヘラ等を用いる場合とは異なりエッジ部からの粉落ちがほとんど発生しない。
【0030】
高分子樹脂層中には、粉体を分散させてもよい。高分子樹脂層を集電体の両面に形成して重ね合わせると、ブロッキングが発生しやすい。これに対して、高分子樹脂層中に粉体を分散させると、ブロッキング防止及び滑性付与の役割を果たす。さらに、粉体の添加によって、集電体と活物質層の密着性をさらに低減させる効果も期待できる。
【0031】
本発明にかかる電極板の製造方法の一態様においては、活物質層用塗工液を塗工する前に、集電体表面の活物質層のパターンを設けたい領域に、接着剤を選択的に塗工して接着剤層を形成してもよい。集電体表面の非塗工部を設けたい領域に高分子樹脂層を設け、さらに活物質層のパターンを設けたい領域に接着剤層を形成してから活物質層を形成する場合には、非塗工部を形成したい領域に形成した活物質層の剥離性または密着性と、活物質層を残したい領域に形成した活物質層のそれとの差を、さらに大きくとることができる。従って、活物質層の選択的な剥離を、さらに容易に行うことができる。
【0032】
本発明にかかる電極板の製造方法の別の一態様においては、前記集電体の両面それぞれに、非塗工部を設けたい領域を集電体を挟んで面対称に設定し、当該各領域に前記の高分子樹脂層を形成し、前記高分子樹脂層を形成した集電体の両面それぞれに前記の活物質層を形成し、当該活物質層を形成した集電体の両面それぞれの非塗工部を設けたい領域に、押圧面が非塗工部を形成した領域パターンと同じ形状に成形されている熱板を熱可塑性樹脂のシートの背面から押し当てて、又は押圧面が非塗工部を形成したい領域のパターンに成形された熱可塑性樹脂の成形体を押し当てて熱可塑性樹脂のシート又は成形体を同時に熱圧着し、軟化又は溶融させた熱可塑性樹脂のシート又は成形体を非塗工部を形成したい領域の活物質層内の空隙に含浸させ、非塗工部を形成したい領域の活物質層の表面に熱可塑性樹脂のシート又は成形体を固着させ、固着後に前記熱可塑性樹脂のシート又は成形体を集電体から引き剥がすことにより、前記集電体の両面それぞれに、集電体を挟んで面対称で、且つ、位置ずれの非常に少ない活物質層のパターンを形成することができる。
【0033】
この態様においては、集電体の両面それぞれに活物質層を形成した後で、非塗工部を設けたい領域を一対の熱可塑性樹脂シート又は熱可塑性樹脂成形体を用いて挟み込むことによって、両面を同時に位置合わせできるので、位置合わせの効率がよいし、両面の各パターンの位置ずれが生じ難くなる。この態様によれば、例えば、集電体の表側に実際に形成された活物質層と非塗工部の境界線と、集電体の裏側に実際に形成された活物質層と非塗工部の境界線との位置ずれの絶対値が1mm以下である活物質層のパターンを形成することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に、好ましい実施の態様を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。図1は、本発明にかかる電極板の好ましい一例(101)を示した平面図である。図1の電極板101は、長尺状の集電体1の一面に、一定寸法を有する長方形が一定の間隔を空けて繰り返されたパターンの活物質層2が形成されている。活物質層2は、当該活物質層2の配列方向dに面したエッジ部4x、4xと配列方向dに平行なエッジ部4y、4yとにより画成されている。電極板の活物質層が形成されていない領域は、集電体の表面が露出した非塗工部3となっている。従って、活物質層2のパターンと非塗工部3のパターンとは互いに相補的な形状を有している。
【0035】
図2は、図1の電極板101のA−A断面図である。電極板101のもう一方の面にも、反対側の面と同様のパターンを有する活物質層2aが形成されている。電極板101の表側に設けられた活物質層2のパターンと、裏側に設けられた活物質層2aのパターンは、集電体1を挟んで面対称に配置されている。表側の活物質層のエッジ部4xと裏側の活物質層のエッジ部4axの位置も同じである。電極板101の表側の非塗工部3と裏側の非塗工部3aも、やはり集電体1を挟んで面対称のパターンに形成されている。
【0036】
図3は、図1の電極板101のA−A断面を拡大した図であり、特に、活物質層2の配列方向に面したエッジ部4x付近を模式的に示している。本発明の電極板101の活物質層2の周縁部(非塗工部3と活物質層2の境界であるエッジ部4x又は4yから20mm内側までの領域)での最大厚み(Tmax)は、平均厚み(Ta)プラス10μm以下である。すなわち、電極板101の活物質層2は下記式1の条件を満たしており、周縁部で盛り上がっていない。なお、活物質層を集電体の両面に設ける場合には、両面についてそれぞれ式1の条件を満たしているのが好ましい。
【0037】
【数1】
Tmax≦Ta+10μm …式1
【0038】
この時、厚みを測定する際の横方向の分解能が高すぎる場合には活物質層表面の粒子形状を拾ってしまうため厚みの振幅が大きくなり、最大厚み及び平均厚みの識別が難しくなる。したがって横方向の分解能は0.1mm〜1mm程度に押さえるのがよく、通常は接触式の厚み計(例えばユニオンツール(株)製ミクロファイン)等を用いて0.5mm程度の間隔で測定した値を用いる。また、活物質層の平均厚みは、できれば活物質層の周縁部を避けたところで算出するのが好ましい。
【0039】
図4は、図1の電極板101のA−A断面を拡大した図であり、特に、図3とは違う位置のエッジ部4x付近を模式的に示している。電極板101の活物質層2の周縁部に、エッジ部4x又は4yから活物質層の内側に向かって厚みが増加していく傾斜部分がある場合には、活物質層の厚みが1μm以上で且つ当該活物質層の平均厚み(Ta)未満である領域(すなわちT1からT2までの領域)の幅W(T1,T2)は、1mm以下である。すなわち、電極板101の活物質層2は下記式2の条件を満たしており、周縁部の立ち上がりが鋭い。活物質層のエッジ部の厚みが1μm未満の部分5は非塗工部と明確に区別することができないので、この部分を除外して傾斜部の幅を評価することができる。なお、活物質層を集電体の両面に設ける場合には、両面についてそれぞれ式2の条件を満たしているのが好ましい。
【0040】
【数2】
W(T1,T2)≦1mm …式2
【0041】
図5は、図1の電極板101を拡大した平面図であり、特に、活物質層2の配列方向dに面したエッジ部4x付近を拡大したものである。電極板101の上に実際に形成された活物質層2と非塗工部3との境界線であるエッジ部4x又は4yは、わずかに波打っているが、当初予定していたパターンの真の境界線6からの「ずれ」の絶対値|p|は1mm以下である。すなわち、下記式3の条件を満たしている。なお、活物質層を集電体の両面に設ける場合には、両面についてそれぞれ式3の条件を満たしているのが好ましい。
【0042】
【数3】
|p|≦1mm …式3
【0043】
図6は、図1の電極板101を拡大した平面図であり、特に、活物質層2の配列方向dに面したエッジ部4x付近を上から透視したものである。電極板101の表側に実際に形成された活物質層2と非塗工部3との境界線であるエッジ部4x又は4yと、電極板101の裏側に実際に形成された活物質層2aと非塗工部3aとの境界線であるエッジ部4ax又は4ayとの間には位置ずれが生じているが、その位置ずれの絶対値|q|は1mm以下である。すなわち、次式4の条件を満たしている。
【0044】
【数4】
|q|≦1mm …式4
【0045】
コーターヘッドを機械的に制御する従来の方法で活物質層を形成する場合には、活物質層用塗工液の吐出開始位置において塗工量が局所的に過剰になるので、活物質層の配列方向に面したエッジ部に盛り上がりが生じてしまい、上記式1の条件を満たすことができなかった。また、コーターヘッドを機械的に制御する従来の方法で活物質層を形成する場合には、活物質層用塗工液の吐出停止位置において塗工量が局所的に不足するので、活物質層の配列方向に面したエッジ部に長い傾斜が形成されてしまい、上記式2の条件を満たすことができなかった。従って、コーターヘッドを機械的に制御する方法では、図1の電極板101のように、活物質層2の配列方向に面したエッジ部2x付近における当該活物質層の厚み精度を優れたものにすることはできなかった。
【0046】
さらに、コーターヘッドを機械的に制御する従来の方法で活物質層を形成する場合には、活物質層用塗工液の吐出停止位置において活物質層の尾引き現象が発生するので、活物質層の配列方向に面したエッジ部が波打ってしまい、上記式3、式4いずれの条件を満たすこともできなかった。従って、コーターヘッドを機械的に制御する方法では、図1の電極板101のように、活物質層2及び2aの配列方向に面したエッジ部2x及び2axの位置精度を優れたものにすることはできなかった。
【0047】
これに対して本発明に係る電極板は、少なくとも式1乃至式4のうちのいずれか1つの条件を満たしており、好ましくは全ての条件を満たしている。このような本発明に係る電極板は、次のような方法により製造することができる。
【0048】
図7から図11は、本発明の電極板を作成し得る方法の好適な一例(第一態様)について主要な工程を示したものである。この第一態様の方法においては、先ず、図7に示すように、集電体1の表面の非塗工部を設けたい領域に、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリジイソプロピルフマレート、及びそれらの誘導体よりなる群から選ばれる高分子樹脂からなる高分子樹脂層7を形成する。
【0049】
基体である集電体1としては、通常は金属箔が用いられ、正極電極板としてはアルミニウム箔、負極電極板としては銅箔が好ましく用いられる。これら金属箔の厚さは、通常、5〜30μm程度である。
【0050】
スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリジイソプロピルフマレート、及びそれらの誘導体よりなる群から選ばれる高分子樹脂は、後述する活物質層用塗工液の溶剤に可溶であり、且つ、集電体との密着性が弱い材料である。このような高分子樹脂の層を集電体表面の非塗工部を設けたい領域に予め形成しておいてから同じ集電体表面に活物質層をベタ塗工すると、非塗工部領域の活物質層を選択的に剥離することができる。スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリジイソプロピルフマレートの誘導体としては、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート又はポリジイソプロピルフマレートの主鎖中に他のモノマーや重合体が含まれた共重合体、或いは、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリジイソプロピルフマレート又はこれらの主鎖中に他のモノマーや重合体が含まれた共重合体にさらに側鎖として置換基を導入したものであって、活物質層の選択的剥離を容易にする機能を失っていないものを用いることができる。
【0051】
上記の高分子樹脂を適切な溶剤に溶解又は分散させて塗工液を調製し、当該塗工液を集電体の表面に所定のパターン状に塗布することにより、高分子樹脂層を形成することができる。高分子樹脂層用塗工液を調製するための溶剤としては、活物質層用塗工液の溶剤と同じものを用いてもよいし、違うものを用いてもよい。具体的には、トルエン、または、トルエンとメチルエチルケトンの1対1(重量比)混合溶媒などを用いて高分子樹脂を溶解又は分散させることができる。また、上記の高分子樹脂を加熱溶融して集電体の表面に所定のパターン状に塗布してもよい。
【0052】
高分子樹脂を塗布する際には、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、マイヤーバーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアーナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、ノズル塗工、ディスペンサー、ダイヘッド等の一般的な塗工装置が使用可能である。また例えば、所定のタイミングで塗工液を滴下することができる滴下装置をX−Yプロッタに取り付け、X−Yプロッタを文字や図形等を描く場合と同様に動作させることにより、X−Yプロッタの動きに合わせて任意のパターンに高分子樹脂塗工液を滴下し、これを乾燥させてもよい。
【0053】
ここで、コーターヘッドを機械的に制御することを必要としない手法、例えばグラビアコートやグラビアリバースコートなどの手法は、所望のパターンを正確に且つ高速で連続的に形成できるが、比較的薄い塗工膜しか形成できないという制約がある。しかしながら、高分子樹脂層は0.2〜3.0g/m2程度の少量の塗工量で求められる機能を十分に発揮できるので、高分子樹脂の塗工液を、グラビアコートなどの手法によって集電体表面に塗布することが可能であり、生産性に優れている。従って、高分子樹脂層用塗工液を所定のパターンに塗工する場合には、活物質層用塗工液を所定のパターンに塗工するよりも速いスピードで、しかも正確に塗工することができる。
【0054】
高分子樹脂層7中には、粉体を分散させてもよい。高分子樹脂層を集電体の両面に形成し、ロール状に一旦巻き取った後で、活物質層用塗工液を塗布するために再び繰り出そうとしても、高分子樹脂層同士がくっついて集電体が繰り出せなくなる場合や、高分子樹脂層同士がくっついて集電体から剥がれてしまう場合がある。すなわち、ブロッキングが発生しやすい。高分子樹脂層中に粉体を分散させると、ブロッキング防止及び滑性付与の役割を果たす。さらに、粉体の添加によって、集電体と活物質層の密着性をさらに低減させる効果も期待できる。
【0055】
粉体は、高分子樹脂を含有する塗工液を調製する溶剤に分散し、塗工後に形成された高分子樹脂層中に粒子のまま存在する。好ましい粉体としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレン、セルロース繊維等の材料からなる粒子を例示することができ、そのなかでもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子が特に好ましい。粒子径は0.1〜1μm程度が好ましい。高分子樹脂100重量部に対して、粉体を1〜80重量部の割合で配合するのが好ましい。高分子樹脂が少なすぎると塗膜を形成しにくくなり、逆に粉体が少なすぎると塗膜のブロッキングが発生しやすくなる。
【0056】
次に、図8に示すように、高分子樹脂層を形成した側の集電体表面に、活物質と結着材とを少なくとも含有する活物質層用塗工液を全面的に塗布して、塗工層2rawを形成する。この塗工層2rawを乾燥させると、図9に示すように、活物質層2となる。
【0057】
活物質層は、活物質と結着材とを少なくとも含有する。活物質には、正極用活物質と負極用活物質がある。正極用活物質としては、例えばLiCoO、LiNiOもしくはLiMn等のリチウム酸化物、またはTiS、MnO、MoOもしくはV等のカルコゲン化合物を例示することができる。これらの正極用活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。負極用活物質としては、例えば、金属リチウムまたはリチウム合金等のようなリチウム含有金属、グラファイト、カーボンブラックまたはアセチレンブラックのような炭素質材料が好んで用いられる。特に、LiCoO2を正極用活物質として用い、炭素質材料を負極用活物質として用いることにより、4ボルト程度の高い放電電圧を有するリチウム系2次電池が得られる。
【0058】
前記正極活物質および前記負極活物質は、これらの活物質を塗工層中に均一に分散させるために、1〜100μmの範囲の粒径を有し、且つ平均粒径が約10μmの粉体であるのが好ましい。
【0059】
結着材(バインダー)としては、例えば、熱可塑性樹脂、より具体的にはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、フッ素系樹脂またはポリイミド樹脂等を使用することができる。この際、反応性官能基を導入したアクリレートモノマーまたはオリゴマーを結着材中に混入させることも可能である。そのほかにも、ゴム系の樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー或いはそれらの混合物からなる電離放射線硬化性樹脂、上記各種の樹脂の混合物を使用することもできる。フッ素系樹脂は結着材として好ましく用いられ、その中でもポリフッ化ビニリデンは特に好ましい。
【0060】
活物質層、結着剤、及び必要に応じてその他の成分を混合して活物質層用塗工液を調製する。例えば、適宜選択した活物質と結着剤とを、トルエン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン或いはこれらの混合物のような有機溶剤の中に投入し、さらに必要に応じて導電剤を加え、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミルまたはロールミル等の分散機により溶解又は分散して、塗工液を調製する。この時の配合割合は、塗工液全体を100重量部とした時に活物質と結着剤の合計量が約40〜80重量部となるようにするのが好ましい。また、活物質と結着剤との配合割合は従来と同様でよく、例えば、正極の場合は活物質:結着剤=5:5〜9:1(重量比)程度とするのが好ましく、負極板の場合は活物質:結着剤=8:2〜9:1(重量比)程度とするのが好ましい。また導電剤としては、例えば、グラファイト、カーボンブラックまたはアセチレンブラック等の炭素質材料が必要に応じて用いられる。
【0061】
このようにして調製された塗工液を、集電体上に塗布・乾燥して、活物質層を形成する。活物質層用塗工液の塗工方法は、特に限定されないが、例えばスロットダイコート、スライドダイコート、コンマリバースコート等のように、厚い塗工層を形成できる方法が適している。ただし、活物質層に求められる厚さが比較的薄い場合には、グラビアコートやグラビアリバースコート等により塗工してもよい。本発明においては、活物質塗工液を所定のパターン状に塗工する必要がないので、スロットダイコート、スライドダイコート、コンマリバースコート等により塗工する場合であっても、コーターヘッドを機械的に制御する必要がない。
【0062】
乾燥工程における熱源としては、熱風、赤外線、マイクロ波、高周波、或いはそれらを組み合わせて利用できる。乾燥工程において集電体をサポート又はプレスする金属ローラーや金属シートを加熱して放出させた熱によって乾燥してもよい。また、乾燥後、電子線または放射線を照射することにより、結着材を架橋反応させて活物質層を得ることもできる。塗布と乾燥は、複数回繰り返してもよい。活物質層の厚さは、乾燥時で通常10〜200μm、好ましくは50〜170μmの範囲にする。さらに、得られた活物質層を真空オーブン等でエージングして、活物質層中の水分を除去することが好ましい。
【0063】
得られた活物質層をプレス加工することにより、均質性を向上させることができる。プレス加工は、例えば、金属ロール、弾性ロール、加熱ロールまたはシートプレス機等を用いて行なう。プレス圧力は、通常4903〜73550N/cm2(500〜7500kgf/cm2)、好ましくは29420〜49033N/cm2(3000〜5000kgf/cm2)である。4903N/cm2(500kgf/cm2)よりプレス圧力が小さいと活物質層の均質性が得られにくく、73550N/cm2(7500kgf/cm2)よりプレス圧力が大きいと集電体を含めて電極板自体が破損してしまう場合がある。活物質層は、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上させる目的で数回に分けてプレスしてもよい。
【0064】
ロールプレスの圧力を線圧で管理する場合、加圧ロールの直径に応じて調節するが、通常は線圧を4.9〜9807N/cm(0.5kgf/cm〜1tf/cm)とする。プレス後の電極板の厚さを考慮して、数回に分けてプレスしてもよい。
【0065】
また、活物質層の乾燥途中で、その表面にポリエチレンテレフタレートフィルム等の表面平滑なフィルムを軽く圧着して再び剥離することによって、活物質層の表面を平滑化してもよい。
【0066】
集電体上に塗布されてからしばらくは、活物質層用塗工液の塗工層2rawは未乾燥であり溶剤を含有している。一方、上述したように、高分子樹脂層7は活物質層用塗工液の溶剤に可溶である。このため、塗工層2rawの乾燥が進行している間に、図8に示すように、高分子樹脂層7を形成している高分子樹脂が徐々に溶解し、塗工層2rawへ移行し、塗工層2raw内で再固化する。塗工層2rawへ移行した高分子樹脂は、塗工層2rawの上方に向かって浸透していく。これは、塗工層2rawの表面から溶剤が空気中へ蒸発する結果、高分子樹脂が塗工層2rawの上方に引っ張られるためであると推測される。このようにして、非塗工部を形成したい領域の活物質層のみに高分子樹脂が含浸する。
【0067】
活物質を含有する塗工層2rawの乾燥と高分子樹脂層の溶解・移行・含浸工程とが平行して進行し、完了すると、図9に示すように、電極板の原反201(すなわち電極板の中間製品)が得られる。原反201においては、非塗工部を形成したい領域の活物質層2sのみに高分子樹脂が含浸・固化している。この領域の活物質層2sは、活物質層用塗工液に元々含有されていた結着剤と高分子樹脂によって結着しているので、結着剤のみによって結着している周囲の活物質層よりも凝集力が高くなっていて、集電体から剥離しやすくなっている。
【0068】
また、図9に示すように、高分子樹脂層7は、通常、完全には活物質層に吸収されずに残って、非塗工部を形成したい領域の集電体1と乾燥した活物質層2sの間になお介在し続ける。このため、密着力の弱い高分子樹脂層7の介在によって、集電体1からの活物質層2sの剥離性が向上する。
【0069】
次に、図10に示すように、電極板の原反201を支持台13の上に乗せ、非塗工部を形成したい領域、すなわち高分子樹脂層7が介在している領域の活物質層表面に、熱可塑性樹脂のシート8又は熱可塑性樹脂の成形体(図示せず)を選択的に熱圧着する。熱可塑性樹脂シート8を圧着する場合には、押圧面12aが非塗工部を形成したい領域パターンと同じ形状に成形されている熱板12を位置決めして、当該シートの背面側から押し当てる。図13は、熱板12の一例を示す斜視図である。熱板12は、基部12cの一面側に凸部12bを設け、凸部12bにより押圧面12aを形成した構造をとっている。熱板は、加熱温度が適切で且つ均一になるように温度センサーとヒーターを備えているが、この例では、押圧面の直下に一定間隔で設けた穴12dに温度センサーとヒーターが埋め込まれている。基部12cの形状・寸法が同じで、押圧面12aの形状・寸法が異なる熱板をいくつか用意しておけば、同じプレス機への熱板の取り付け、交換が容易であり、求められる非塗工部の形状・寸法に合わせてプレス機の調整を即座に完了させることができる。
【0070】
また、熱可塑性樹脂の成形体を熱圧着する場合には、成形体の押圧面を、非塗工部を形成したい領域のパターンに成形しておき、その成形体を活物質層に押付ける。
【0071】
熱板12及び成形体の押圧面を、非塗工部を形成したい領域と同じ寸法ないし全方向について0.5mm程度狭い寸法とすることにより、精度の高いパターンを形成でき、好ましい。例えば、図13に示した熱板の場合には、押圧面の長手寸法9e及び短手寸法9fをいずれも、非塗工部を形成したい領域と同じ寸法ないし0.5mm程度短い寸法とするのが好ましい。
【0072】
熱板12及び成形体の押圧面を、活物質層上の非塗工部を形成したい領域に位置合わせするために、剥離工程前の電極板に何らかの位置合わせ用検知マークを設けてもよい。この目的のために高分子樹脂層に着色用色素を添加することによって、高分子樹脂層そのものを位置合わせ用検知マークとして利用することができる。着色した高分子樹脂層は、活物質層を通して透視することが可能であり、さらには、着色した高分子樹脂層の上に活物質層用塗工液を塗布すると、未乾燥の活物質含有塗工層に高分子樹脂と共に着色剤も溶解、浸透して活物質層が着色されるので、高分子樹脂層を形成した部分、すなわち非塗工部を形成したい領域を活物質層の上から検知することができる。
【0073】
着色剤は、高分子樹脂を溶解または分散させる溶剤に可溶であると共に、活物質層用塗工液にも可溶であることが好ましい。銅箔集電体は赤色に近い色を有しているので、赤色の着色剤を用いると目立たず、検知困難となる可能性がある。そこで、集電体が銅箔の場合には、青や黒の着色剤を使用するのが好ましい。同じ理由により、正極集電体および負極集電体に対して同じ高分子樹脂溶液を用いる場合には、負極集電体が銅箔であっても問題ないように、高分子樹脂溶液に青または黒の着色剤を添加するのが好ましい。
【0074】
熱可塑性樹脂シート8は、活物質層に含浸し得る熱可塑性樹脂の層9を必須とし、熱可塑性樹脂の単層フィルムであってもよい。図示の熱可塑性樹脂シート8は3層構造をとっており、熱可塑性樹脂層9の押圧面には、剥離を効果的に行なうためのワックス層10がコーティングされている。一方、熱可塑性樹脂シート8の背面側には、熱板との融着を防止するための耐熱層11が形成されている。ただし、活物質層を剥離したい領域に、先ず溶融したワックスを選択的に含浸させ、その後、同じ領域に熱可塑性樹脂の単層フィルムを選択的に熱圧着してもよい。また、熱可塑性樹脂の単層フィルムと熱板の間に耐熱性シートを介在させてもよい。
【0075】
熱可塑性樹脂シート8の熱可塑性樹脂層9を形成する材料としては、ポリオレフィン系樹脂やEVA等のように、従来からヒートシール材として用いられている熱可塑性樹脂が適しており、アルミニウム箔や銅箔からなる集電体1に対する接着力があまり強すぎないものが好ましい。また、その軟化温度は70〜150℃が好ましく、融点は100〜160℃程度が好ましく、メルトフローレート(MFR 単位 g/10分、190℃〜230℃)は0.1〜50程度が好ましい。
【0076】
熱可塑性樹脂シート8の熱可塑性樹脂層9の厚みについては特に制限ないが、通常は10〜200μm、より好ましくは25〜100μmとする。熱可塑性樹脂層が薄過ぎる場合には非塗工部とすべき領域の活物質層2sを十分に除去できなくなり、また厚過ぎる場合には活物質層2sをシャープな形状にパターニングすることができなくなる。
【0077】
ワックス成分は熱可塑性樹脂よりも流動性が大きいので、活物質層2sの深いところに到達しやすい。そのため、予め非塗工部とすべき領域の活物質層2sにワックスを含浸させておき、その後に熱可塑性樹脂のシート又は成形体の熱圧着を行うようにすると、活物質層2sの空隙中に先に存在していたワックスを押し込むような形で熱可塑性樹脂が含侵するか、もしくは活物質層の深いところに分布しているワックスが熱可塑性樹脂と接着して、含浸部の活物質層2sを根こそぎ剥離できるようになる。このため、ワックスの併用によって少ない作業回数によって効率的に活物質層を剥離することができる。特に、活物質層がすでにプレス処理されていて熱可塑性樹脂が含浸しにくい場合には、ワックスを併用するのが効果的である。
【0078】
ワックスを剥離したい領域の活物質層2sの部分に選択的に含浸させる方法としては、溶融ワックスをグラビア塗布する方法、ダイコーターを用いる方法、ロータリースクリーンを用いて塗布する方法、成膜性のあるワックスをフィルム化して活物質層2sに熱圧着して染み込ませる方法、不織布や紙等に含浸したワックスを熱圧着により活物質層2sに転写させる方法等がある。
【0079】
また、図10に示すように、熱可塑性樹脂シート8として、予め熱可塑性樹脂層9とワックス層10とを積層した複合シートを用い、熱圧着する際にワックス層10のワックスを浸透させるようにしてもよい。
【0080】
本発明において使用するワックスは加熱によって容易に溶融する材料であればよく、低分子量のポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、あるいはそれらの誘導体、および各種天然ワックス等を用いることができる。活物質層の正確なパターニングのためには、集電体1との密着性が低く、かつ固化時に体積変化の少ないものが好ましい。
【0081】
ワックスは、その融点が通常は20〜250℃、好ましくは60〜150℃程度のものを用いる。融点が低すぎる場合には室温で柔らかくなりすぎるため取り扱いが難しく、生産性が劣るので好ましくない。また融点が高すぎるとエネルギー的に不経済であり、かつ活物質層に含浸させる際に基材である集電体1を損なうおそれがある。ワックスの溶融粘度は100〜50,000cps程度、好ましくは400〜6,000cps程度である。溶融粘度が高すぎるとエネルギー的に不経済であり、溶融粘度が低すぎると活物質層中に浸透する際に横方向にワックスが広がり易くなり、正確なパターニングが困難となる。
【0082】
ワックスの好適例である上記のポリエチレンワックスあるいはポリプロピレンワックスとしては、非酸化型低密度タイプ、非酸化型中密度タイプ、非酸化型高密度タイプ、酸化型低密度タイプ、酸化型中密度タイプ、酸化型高密度タイプ、非極性タイプ、極性タイプ、粉末タイプ等があり、本発明の方法に適している。
【0083】
熱可塑性樹脂シート8の背面側に設ける耐熱層11又は熱可塑性樹脂シートとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の耐熱性樹脂を主体としている。また、別体の耐熱性シートを用いる場合、その厚みは、シャープな形状にパターニングできるという理由から、10〜100μm程度が好ましく、12〜50μm程度がより好ましい。
【0084】
熱圧着の条件としては、温度が好ましくは100〜150℃、圧力が好ましくは19.6〜98.1N/cm2(2〜10kgf/cm2)、圧着時間が好ましくは5秒以下であるが、本方法はこの条件の範囲に限定されるものではない。
【0085】
このような熱圧着を行なうと、図11に示すように、熱圧着された部分の熱可塑性樹脂シート8のワックス層10と熱可塑性樹脂層9が軟化或いは溶融して、非塗工部を形成したい領域の活物質層2s内の空隙に含浸する。この時、熱可塑性樹脂が浸透する領域よりも深い領域までワックスが浸透する。
【0086】
次に、熱板12を取り去り、原反201を放冷あるいは強制冷却して、活物質層2sに含浸されたワックスと樹脂を固化させると、非塗工部を形成したい領域の活物質層2sの表面に熱可塑性樹脂のシート8又は成形体が固着する。この時、非塗工部を形成したい領域の活物質層2sには、高分子樹脂層7から移行してきた高分子樹脂と、熱可塑性樹脂のシート8又は成形体から移行してきた熱可塑性樹脂が含浸しており、好ましくはワックスがさらに含浸している。このため、この部分の活物質層2sは、周囲と比べて非常に凝集力が高くなっている。また、活物質層2sと集電体1との間には、密着性の弱い高分子樹脂層7が介在している。そのため、図12に示すように、熱可塑性樹脂のシート8又は成形体(図示せず)を引き剥がして除去すると、非塗工部を形成したい領域の活物質層2sと高分子樹脂層7が熱可塑性樹脂シート8に付着して一緒に除去され、周囲の活物質層は集電体上にそのまま残留する。このようにして、集電体表面が露出した非塗工部3と、当該非塗工部3のパターンと相補的なパターンを有する活物質層2を形成し、電極板101を得る。
【0087】
熱可塑性樹脂が活物質層2sの十分に深いところまで到達していないと、一回の作業で剥離を完了できない場合がある。このような場合には、熱圧着から冷却、剥離までの工程を複数回繰り返すことにより不必要な部分の活物質層2sを完全に除去することができる。また、この場合に熱可塑性樹脂シートの種類を変えるようにしてもよい。
【0088】
上述した方法によれば、集電体上にベタパターンの活物質層を形成してから、所定パターンに合わせて活物質層を選択的に剥離することにより非塗工部を形成するので、コーターヘッドを機械的に制御してパターンを形成する場合とは異なり、活物質層のエッジ部に盛り上がりや長い傾斜部を生じさせない。また、コーターヘッドを機械的に制御する方法と比べて、活物質層のエッジ部の位置精度が高い。さらに、本発明の方法により活物質層を剥離する場合には、従来のヘラ等を用いる場合とは異なり、活物質層のエッジ部を滑らかに形成することができ、エッジ部からの粉落ちがほとんど発生しない。また、本発明の方法において、全面プレスを行った後にパターニングすることによって、プレスの高速化、歩留まりの向上、プレスによってパターンエッジ部が被るダメージの回避が期待できる。
【0089】
上述した本発明の方法を集電体の表裏両面に適用して、集電体の両面に活物質層と非塗工部のパターンを形成することができる。その場合、集電体の表側に塗工される高分子樹脂層と、集電体の裏側に塗工される高分子樹脂層とは互いに異なる材料で形成されてもよい。また、集電体の表側と裏側には活物質層と非塗工部を所望により同じパターンまたは異なるパターンで形成する。特に本発明によれば、集電体の両面に、当該集電体を挟んで面対称になったパターンを有する活物質層を容易に形成することができる。図14は、そのような面対称に活物質層のパターンを形成する方法の好適な一例(第二態様)の手順を示したものである。この第二態様の方法において使用する材料や塗工の手法、或いは、その他の条件などは、基本的には第一態様の方法と同じである。図14を参酌して第二態様に特有の点を中心に説明すると、先ず、集電体1の両面それぞれに、非塗工部を設けたい領域を面対称に設定し、当該各領域にスチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリジイソプロピルフマレート、及びそれらの誘導体よりなる群から選ばれる高分子樹脂からなる高分子樹脂層7、7aを形成する。
【0090】
次に、集電体1の両面それぞれに活物質層用塗工液を塗布することにより活物質層2を全面的に形成して電極板の原反202を作成する。原反202においては、非塗工部を形成したい領域の活物質層2s、2saには高分子樹脂層から移行してきた高分子樹脂が含浸・固化している。また、この領域の活物質層2s、2saは、密着力の弱い高分子樹脂層7、7aを介して集電体1に形成されている。
【0091】
次に、2枚の熱可塑性樹脂シート8、8aと、押圧面が対称形状とされた一対の熱板12、12aとを用意し、電極板の原反202の両面にそれぞれ熱可塑性樹脂シート8、8aを積層し、その後、一対の熱板12、12aで当該原反を挟み込むことにより熱可塑性樹脂シートを両面同時に熱圧着する。また熱板の代わりに、押圧面が対称形状とされた一対の熱可塑性樹脂の成形体を用いて同様の熱圧着を行なってもよい。このように、原反を一対の熱可塑性樹脂シート又は熱可塑性樹脂成形体で挟み込んで押圧すると、両面を同時に位置合わせできるので効率がよいし、両面の各パターンの位置ずれが生じ難くなる。
【0092】
熱圧着後、電極板の原反202を冷却して、活物質層2s、2saの部分に熱可塑性樹脂シート8、8a又は熱可塑性樹脂の成形体を固着させる。そして、固着した熱可塑性樹脂シート8、8a又は熱可塑性樹脂の成形体を原反202から引き剥がすことにより、原反の表裏両面に面対称の非塗工部が形成される。この方法によれば、集電体の表側に形成された活物質層と非塗工部の境界線と、集電体の裏側に実際に形成された活物質層と非塗工部の境界線との位置ずれを非常に少なくすることができる。従って、この方法によれば、前記式4の条件を満たすことができる。
【0093】
上述した本発明の方法において、集電体表面の活物質層のパターンを設けたい領域に予め接着剤層を選択的に形成してから活物質層を塗工してもよい。図15から図19は、そのような接着剤層を利用する方法の好適な一例(第三態様)について主要な工程を示したものである。この第三態様の方法においても、使用する材料や塗工の手法、或いは、その他の条件などは、基本的には第一態様の方法と同じである。
【0094】
この第三態様の方法によれば、先ず、図15に示すように、集電体の非塗工部を設けたい領域に、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリジイソプロピルフマレート、及びそれらの誘導体よりなる群から選ばれる高分子樹脂からなる高分子樹脂層7を形成する。
【0095】
次に、図16に示すように、集電体1の表面の活物質層を設けたい領域に、接着剤を選択的に塗工して接着剤層15を形成する。なお、集電体表面の活物質層を設けたい領域に接着剤層15を形成した後で、集電体の非塗工部を設けたい領域に高分子樹脂層7を形成してもよい。また、図21Aに示すように、集電体1の表面の非塗工部を設けたい領域に高分子樹脂層7を形成した後で、接着剤層15を集電体の表面全体に形成して高分子樹脂層7を覆い尽くしてもよい。さらに、図21Bに示すように、集電体1の表面全体に接着剤層15を形成した後で、集電体表面の非塗工部を設けたい領域に接着剤層15を介して高分子樹脂層7を形成してもよい。
【0096】
接着剤層15は、集電体の表面の活物質層を設けたい領域において活物質層の密着性を高めるために形成される。接着剤層を形成するための接着剤としては、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系等の各種カップリング剤を使用することができる。
【0097】
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等が挙げられる。
【0098】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0099】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
【0100】
集電体1として銅箔を用いる場合には、上記したような各種のカップリング剤のほかに、カルボン酸又はスルホン酸も接着剤として有効である。カルボン酸及びスルホン酸は、側鎖として及び/又は主鎖の一部としてカルボキシル基又はスルホン基と共にそれ以外の官能基又は置換基を有していてもよい。またカルボン酸及びスルホン酸は高分子であってもよい。銅箔集電体の密着性を高めるのに好ましい接着剤は、末端基としてアミノ基、メルカプト基、或いはビニルベンジルアミノエチル基を有するシランカップリング剤、及び、シュウ酸である。その中でも特に好ましいのは、末端基としてアミノ基を有するシランカップリング剤、及びシュウ酸である。
【0101】
このような接着剤を水、有機溶剤、又は、水/有機溶剤混合液に溶解させた溶液を、集電体の表面の活物質層を設けたい領域に選択的に塗布し、乾燥することにより接着剤層を形成することができる。接着剤層の塗工量は、乾燥時で0.001〜5g/m2程度が好ましい。
【0102】
接着剤としてカップリング剤を使用する時には、通常は、カップリング剤を有機溶剤、又は、水/有機溶剤混合液に溶解して塗工液とする。カップリング剤の加水分解を促進させるために塗工液のpHを3〜5に調節してもよい。また、カップリング剤の加水分解用触媒として、例えば、塩酸、酢酸等を添加してもよい。更には、カップリング剤と集電体表面との脱水反応を促進させるために、集電体上にカップリング剤を塗工後、120〜130℃の温度で加熱してもよい。カップリング剤を溶解させる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、ベンゼン、アセトン、テトラヒドラフラン、セルソルブメチル等が挙げられる。
【0103】
接着剤としてカルボン酸又はスルホン酸を使用する時には、通常は、カルボン酸又はスルホン酸を有機溶媒に溶解して塗工液とする。塗工液の乾燥を早めるために、塗工後、塗工層を120〜130℃の温度で加熱してもよい。カルボン酸又はスルホン酸を溶解させる有機溶媒としては、例えば、メタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、ベンゼン、アセトン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0104】
接着剤を所望のパターンに塗工する方法としては、コーターヘッドの機械的制御を行わない方法、例えば、グラビアコートやグラビアリバースコート、及び、コーターヘッドの機械的制御を行う方法、例えば、スロットダイコート、スライドダイコート、コンマリバースコートのどちらを適用してもよい。接着剤層用の塗工液は活物質層用の塗工液よりも塗工しやすい性状を有しており、また、接着剤層は活物質層の厚さよりもはるかに薄いので、コーターヘッドの機械的制御を行なう必要のない塗工法によっても所望のパターンに塗工できる。従って、接着剤を所定のパターンに塗工する場合には、活物質層そのものを所定のパターン状に塗工するよりも速いスピードで、しかも正確に塗工することができる。
【0105】
次に、図17に示すように、高分子樹脂層7及び接着剤層15を形成した側の集電体表面に、活物質と結着材とを少なくとも含有する活物質層用塗工液を塗工して塗工層2rawを全面的に形成する。この塗工膜の乾燥が進行する間には、第一態様の方法の場合と同様に、高分子樹脂層7の一部が徐々に溶解し、当該塗工層2rawの上方に向かって浸透していく。
【0106】
そして、当該塗工層2rawの乾燥が完了して活物質層2が形成されると、図18に示すように、電極板の原反203が得られる。この電極板の原反203においては、非塗工部を形成したい領域の活物質層2sのみに高分子樹脂が含浸・固化している。また、この領域の活物質層2sの直下には通常、高分子樹脂層7が完全には吸収されずに残っている。
【0107】
次に、図19に示すように、電極板の原反203の非塗工部を形成したい領域の活物質層2sの表面に、熱可塑性樹脂のシート(図示せず)又は熱可塑性樹脂の成形体14を選択的に熱圧着し、当該領域の活物質層2sに溶融した熱可塑性樹脂を含浸させる。熱可塑性樹脂の成形体を用いる場合には、電極板の原反203の活物質層表面に熱可塑性樹脂の成形体14を押付けると共に、当該原反の反対側の面から加熱することによって、熱圧着を行うことができる。
【0108】
熱圧着後、活物質層2に熱可塑性樹脂の成形体14を付着させたまま冷却する。この時、第一態様の方法の場合と同様に、非塗工部を形成したい領域の活物質層2sには、高分子樹脂層7から移行してきた高分子樹脂と、熱可塑性樹脂の成形体14から移行してきた熱可塑性樹脂が含浸・固化しており、この部分は周囲と比べて非常に凝集力が高くなっている。また、当該領域の活物質層2sと集電体1の間には密着性の弱い高分子樹脂層7が介在している。従って、非塗工部を形成したい領域の活物質層2sは、周囲と比べて剥離性が高くなっている。さらに、この第三態様の方法においては、活物質層を形成したい領域において、活物質層2は接着剤層15を介して集電体1に形成されており、密着性が高くなっている。従って、第三態様の方法によれば、集電体に対する非塗工部を形成したい領域の活物質層2sの剥離性又は密着性と、活物質層を形成したい領域の活物質層のそれとの差は、第一態様の方法におけるよりも大きくなる。そのため、図20に示すように、熱可塑性樹脂の成形体を電極板の原反から引き剥がして除去すると、非塗工部を形成したい領域の活物質層2sが熱可塑性樹脂の成形体に付着して一緒に除去され、周囲の活物質層は集電体上にそのまま残留する。このようにして、集電体表面が露出した非塗工部と、当該非塗工部3のパターンと相補的なパターンを有する活物質層2を形成し、電極板102を得る。
【0109】
この第三態様の方法によれば、非塗工部を形成したい領域に形成した活物質層の剥離性または密着性と、活物質層を残したい領域に形成した活物質層のそれとの差を、第一態様の方法による場合と比べてさらに大きくとることができるので、活物質層の選択的な剥離を、さらに容易に行うことができる。なお、図21Aに示したように、集電体1の表面の非塗工部を設けたい領域に高分子樹脂層7を形成した後で、接着剤層15を集電体の表面全体に形成して高分子樹脂層7を覆い尽くす場合でも、非塗工部を設けたい領域の活物質層を問題なく選択的に剥離することができる。また図21Bに示したように、集電体1の表面全体に接着剤層15を形成した後で、集電体表面の非塗工部を設けたい領域に接着剤層15を介して高分子樹脂層7を形成する場合には、接着剤層15と高分子樹脂層7との界面で剥離が起こるので、集電体表面の非塗工部を設けたい領域に接着剤層15が残るが、非塗工部のパターンを問題なく形成することができる。本発明において「集電体表面が露出した非塗工部」には、非塗工部に求められる性能を満たす限り、このような接着剤層が残存していても差し支えない。ただし、非塗工部を端子取り付け部として利用する場合には、電極板の通電性能に悪影響を及ぼさないように接着剤の塗工量を0.1g/m2以下に調節するのが好ましい。
【0110】
上記したような方法により作製された電極板を用いて二次電池を作製する際には、電池の組立工程に移る前に活物質層中の水分を除去するために、加熱処理や減圧処理等をあらかじめ行うことが好ましい。
【0111】
この電極板を用いて、例えばリチウム系二次電池を作製する場合には、溶質であるリチウム塩を有機溶媒に溶かした非水電解液が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、または、LiB(C654、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、LiOSO2CF3、LiOSO225、LiOSO237、LiOSO249、LiOSO2511、LiOSO2613、LiOSO2715等の有機リチウム塩等が用いられる。
【0112】
リチウム塩を溶解するための有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類等を例示できる。より具体的には、環状エステル類としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を例示できる。
【0113】
鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。
【0114】
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等を例示できる。
【0115】
鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル等を例示することができる。
【0116】
【実施例】
[実施例1]
(1)正極板の作成
トルエンとメチルエチルケトン(重量比1:1)の混合溶媒に高分子樹脂としてスチレン−アクリロニトリル共重合体を溶解し、高分子樹脂溶液(固形分20重量%)を調製した。
【0117】
調製した高分子樹脂液を、幅330mm、厚さ20μmの連続シート状のアルミ箔集電体に塗布、乾燥して、塗工量が0.5g/m2(乾燥時)で、アルミ箔の短手方向に280mm、アルミ箔の長手方向に30mmの寸法を有する矩形パターンが、アルミ箔の長手方向に沿って800mmピッチで繰り返される高分子樹脂層を形成した。
【0118】
次に、ポリフッ化ビニリデンのワニスに他の成分を加えた後、プラネタリーミキサー((株)小平製作所製)を用いて30分間攪拌・混合して、スラリー状の正極活物質層用塗工液を調製した。塗工液の組成は次の通りである。
【0119】
<正極活物質層用塗工液>
・正極活物質 粒径1〜100μmのLiCoCO2粉末:89重量部
・導電材 グラファイト粉末:8重量部
・結着材 ポリフッ化ビニリデンのワニス(固形分12%のN−メチル−2−ピロリドン溶液、KF#1120、呉羽化学工業(株)製):33重量部
【0120】
調製した正極用塗工液を、高分子樹脂層が形成された側の集電体表面にダイコーターを用いて全面塗布した後、長さ8mで乾燥温度が2mごとに順次上昇する乾燥オーブン(80℃−100℃−130℃−140℃)中に4m/minの速度で通過させることにより乾燥させ、乾燥時塗工量が200g/m2の塗工層を形成した。その後さらに、集電体を80℃の真空オーブン中に入れて48時間エージングを行なうことにより、塗工層中の水分を除去した。エージング後、さらに集電体の塗工層をロールプレス機を用い線圧4903N/cm(0.5ton/cm)でプレスを行って正極板を得た。
【0121】
(2)負極板の作成
幅330mm、厚さ14μmの連続シート状の銅箔に、正極板の作成に用いたのと同じ高分子樹脂溶液を用い、同じ方法により、同じ塗工量で同じパターン状の高分子樹脂層を形成した。
【0122】
次に、ポリフッ化ビニリデンのワニスに他の成分を加え、正極用塗工液と同様にして負極活物質層用塗工液を調製した。塗工液の組成は次の通りである。
【0123】
<負極活物質層用塗工液>
・負極活物質 グラファイト粉末:85重量部
・結着材 ポリフッ化ビニリデンのワニス(固形分12%のN−メチル−2−ピロリドン溶液、KF#1120、呉羽化学工業(株)製):125重量部
・分散媒 N−メチル−2−ピロリドン:115重量部
【0124】
得られた負極用塗工液を、高分子樹脂層が形成された側の集電体表面に、正極板を作成したのと同じ方法で塗布し、乾燥し、乾燥時塗工量が100g/m2の塗工層を形成した。その後さらに、正極板を作成したのと同じ方法でエージングを行ない、プレスを行って負極板を得た。
【0125】
(3) 活物質層の剥離
得られた正極板と負極板の各活物質層上に、熱可塑性樹脂シートとして厚さ112μmのポリエチレンヒートシール材(厚さ100μmのポリエチレンフィルムと厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのラミネートシート、ポリエチレンは出光石油(株)のモアテック0238N)を重ね、その上に寸法が280mm×30mmの熱板、すなわちFig.13において12eに対応する寸法が280mmであり12fに対応する寸法が30mmである熱板、を高分子樹脂層のパターンに合わせて押し当てて、150℃、196N/cm2(20kgf/cm2)で2秒間、熱圧着を行った。その後、冷却することはせずに直ちに熱可塑性樹脂シートを引き剥がして剥離を行った。剥離は一回で容易に完了し、剥離工程を繰り返さなくてもきれいな集電体面が現れた。剥離部分(非塗工部)のパターンの広がりや崩れ、活物質層のエッジ部からの粉落ちなどは確認されなかった。また、プレスを施す前の正極板および負極板でも問題なく良好に剥離可能であることを確認した。
【0126】
剥離工程の後の正極板と負極板について、活物質層と非塗工部の境界付近を表面粗さ計(SURFCOM、東京精密製)を用いて測定した。また、接触式厚み計(ミクロファイン、ユニオンツール(株)製)を用いて活物質層周縁部から内側の領域に向かって約100mmの領域を0.5mm間隔で厚みを測定した。活物質層の周縁部を除く平均厚みは、正極では70μm、負極では90μmであり、活物質層のエッジ部から20mm内側までの領域における最大厚みは平均厚みと同じだった。したがって、活物質層の平均厚みと最大厚みの差はなく、エッジ部での盛り上がりは認められなかった。エッジ部付近における厚みの傾斜部分の幅は約100μmだった。また、当初予定していたパターンと実際に形成されたパターンのずれは0.2mm以下であった。
【0127】
[実施例2]
(1)正極板の作成
トルエンとメチルエチルケトン(重量比1:1)の混合溶媒に高分子樹脂としてスチレン−アクリロニトリル共重合体を溶解した液(固形分20重量%)100重量部と、粉体成分として6重量%の割合でポリテトラフルオロエチレン粒子を含有する商品名モールドウイズ F−57NC(アクセルプラスチックスリサーチラボラトリー社製)50重量部を混合して、粉体を分散させた高分子樹脂溶液を調製した。
【0128】
調製した高分子樹脂液を、幅330mm、厚さ20μmの連続シート状のアルミ箔集電体の一面に、実施例1で行ったのと同じ方法で塗布し、乾燥して、同じ塗工量、同じパターンの高分子樹脂層を形成した。さらに、集電体の他面側に同じ高分子樹脂液を同じ方法で塗布し、乾燥して、対抗面の高分子樹脂層と同じ塗工量で、且つ、同じパターンの高分子樹脂層を面対称に形成した。
【0129】
次に、アルミ箔集電体の一面に、実施例1と同じ正極活物質塗工液を、実施例1と同じ方法で全面塗布し、乾燥し、プレスを行って、乾燥時塗工量が200g/m2の正極活物質層を形成した。
【0130】
さらに、集電体の他面側にも同じようにして正極活物質層を形成し、両面に活物質層を有する正極板を得た。
【0131】
(2)負極板の作成
幅330mm、厚さ14μmの連続シート状の銅箔の両面に、粉体を分散させた上記の高分子樹脂溶液を上記と同じ方法で塗布、乾燥し、同じ塗工量で同じパターンの高分子樹脂層を、面対称に形成した。次に、銅箔集電体の両面に、実施例1と同じ負極活物質塗工液を、実施例1と同じ方法で全面塗布し、乾燥し、プレスを行って、乾燥時塗工量が100g/m2の負極活物質層を形成した。
【0132】
(3) 活物質層の剥離
得られた正極板と負極板の両面に、実施例1で用いたのと同じ熱可塑性樹脂シートとして厚さ112μmのポリエチレンヒートシール材(厚さ100μmのポリエチレンフィルムと厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのラミネートシート、ポリエチレンは出光石油(株)のモアテック0238N)を重ね、その上から寸法が280mm×30mmの熱板を高分子樹脂層のパターンに合わせて押し当てて電極板を挟み込み、150℃、196N/cm2(20kgf/cm2)で2秒間、熱圧着を行った。その後、冷却することはせずに直ちに熱可塑性樹脂シートを引き剥がして剥離を行った。剥離は一回で容易に完了し、剥離工程を繰り返さなくてもきれいな集電体面が現れた。剥離部分(非塗工部)のパターンの広がりや崩れ、活物質層のエッジ部からの粉落ちなどは確認されなかった。本実施例においては、正極板および負極板の両面に、実施例1と同様に精度のよい活物質層が面対称に形成された。また、表裏のパターンのずれの絶対値は0.5mm以下だった。
【0133】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、活物質層の周縁部での厚み精度及び/又は活物質層と非塗工部との境界線の位置精度が高い電極板が提供される。従って、正極と負極の容量バランスを安全域に保つために必要な負極活物質の増量分を節約することが可能となる。
【0134】
また、活物質層のエッジ部の盛り上がりがないので、プレス加工時において電極板やプレス機がダメージを受けない。電極板の巻き上げもきれいになる。また、電池内においてセパレータを破損する恐れもなくなる。
【0135】
さらに、パターニングの位置精度が高く、エッジ部の境界線が波打たないので、活物質層の位置を正確に自動センシングすることができ、集電体の裏面側を塗工する時や、電池を組み立てる時の効率がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極板の一例を示す平面図である。
【図2】図1の電極板のA−A断面図である。
【図3】図1の電極板のA−A断面の部分的拡大図である。
【図4】図1の電極板のA−A断面の部分的拡大図である。
【図5】図1の電極板の活物質層と非塗工部の境界部付近を拡大した平面図である。
【図6】図1の電極板の活物質層と非塗工部の境界部付近を透視した平面図である。
【図7】電極板を製造するための第1態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図8】電極板を製造するための第1態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図9】電極板を製造するための第1態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図10】電極板を製造するための第1態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図11】電極板を製造するための第1態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図12】電極板を製造するための第1態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図13】本発明の方法で使用される熱板の一例を示す斜視図である。
【図14】電極板を製造するための第2態様の方法を説明する図である。
【図15】電極板を製造するための第3態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図16】電極板を製造するための第3態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図17】電極板を製造するための第3態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図18】電極板を製造するための第3態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図19】電極板を製造するための第3態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図20】電極板を製造するための第3態様の方法について一工程を示す説明図である。
【図21】21A、21Bはそれぞれ、集電体に接着剤層を形成する方法の変形例を説明する図である。
【符号の説明】
1:集電体
2:活物質層
2raw:未乾燥の活物質塗工層
3:非塗工部
4(4x、4y):エッジ部
5:厚みが1μm未満の部分
6:真の境界線
7:高分子樹脂層
8:熱可塑性樹脂シート
9:熱可塑性樹脂層
10:ワックス層
11:耐熱層
12:熱板
13:支持台
14:熱可塑性樹脂の成形体
15:接着剤層
101、102:電極板
201、202、203:電極板の原反

Claims (7)

  1. 集電体の表面の非塗工部を設けたい領域に、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリジイソプロピルフマレート、及びそれらの誘導体よりなる群から選ばれる高分子樹脂からなる高分子樹脂層を形成する工程と、
    前記高分子樹脂層を形成した側の集電体表面に、活物質と結着材とを少なくとも含有する活物質層用塗工液を塗工して活物質層を形成する工程と、
    前記活物質層表面の非塗工部を設けたい領域に、押圧面が非塗工部を形成した領域パターンと同じ形状に成形されている熱板を熱可塑性樹脂のシートの背面から押し当てて、又は押圧面が非塗工部を形成したい領域のパターンに成形された熱可塑性樹脂の成形体を押し当てて熱可塑性樹脂のシート又は成形体を選択的に熱圧着し、軟化又は溶融させた熱可塑性樹脂のシート又は成形体を非塗工部を形成したい領域の活物質層内の空隙に含浸させ、非塗工部を形成したい領域の活物質層の表面に熱可塑性樹脂のシート又は成形体を固着させる工程と、
    前記活物質層の表面に熱可塑性樹脂のシート又は成形体を固着させた後、前記熱可塑性樹脂のシート又は成形体を集電体から引き剥がすことにより、非塗工部を設けたい領域の活物質層を高分子樹脂層ごと剥離して、集電体表面が露出した非塗工部と、当該非塗工部のパターンと相補的なパターンを有する活物質層を形成する工程を備えることを特徴とする、非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  2. 前記の高分子樹脂層が、さらに粉体を含有しており、
    前記粉体が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン、セルロース繊維のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  3. 前記の活物質層用塗工液を塗工する前に、集電体表面の活物質層のパターンを設けたい領域に、接着剤を選択的に塗工して接着剤層を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  4. 前記非塗工部との境界から20mm内側までの領域における活物質層の周縁部の最大厚みが、活物質層の平均厚みプラス10μm以下である活物質層のパターンを形成することを特徴とする、請求項1乃至3いずれかにに記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  5. 前記活物質層の周縁部のうち非塗工部との境界から内側に向かって厚みが増加している傾斜部分において、活物質層の厚みが1μm以上で且つ当該活物質層の平均厚み未満である領域の幅が1mm以下である活物質層のパターンを形成することを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  6. 前記活物質層と前記非塗工部との当初予定していた境界線に対する実際に形成された境界線のずれの絶対値が1mm以下である活物質層のパターンを形成することを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  7. 前記集電体の両面それぞれに、非塗工部を設けたい領域を集電体を挟んで面対称に設定し、当該各領域に前記の高分子樹脂層を形成し、前記高分子樹脂層を形成した集電体の両面それぞれに前記の活物質層を形成し、当該活物質層を形成した集電体の両面それぞれの非塗工部を設けたい領域に、押圧面が非塗工部を形成した領域パターンと同じ形状に成形されている熱板を熱可塑性樹脂のシートの背面から押し当てて、又は押圧面が非塗工部を形成したい領域のパターンに成形された熱可塑性樹脂の成形体を押し当てて熱可塑性樹脂のシート又は成形体を同時に熱圧着し、軟化又は溶融させた熱可塑性樹脂のシート又は成形体を非塗工部を形成したい領域の活物質層内の空隙に含浸させ、非塗工部を形成したい領域の活物質層の表面に熱可塑性樹脂のシート又は成形体を固着させ、固着後に前記熱可塑性樹脂のシート又は成形体を集電体から引き剥がすことにより、前記集電体の両面それぞれに、集電体を挟んで面対称で、且つ、前記集電体の表側に実際に形成された活物質層と非塗工部の境界線と、集電体の裏側に実際に形成された活物質層と非塗工部の境界線との位置ずれの絶対値が1mm以下である活物質層のパターンを形成することを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
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