JP4608737B2 - ポリエステル系被覆フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキ密着性を有し、印刷性に優れた積層プラスチックフィルムに関するものであり、特にラベル用基材として好適である。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル系フィルムは、高度の結晶性、優れた透明性、光沢、力学的性質、及び耐薬品性を有することから、広範囲な用途に使用されている。さらに、印刷性、耐ブロッキング性、帯電防止性などの機能性付与を目的として、ポリエステル系フィルム表面に被覆層を形成することが一般的に行われている。また、フィルムの透明性とハンドリング性(耐ブロッキング性、滑り性、耐摩耗性など)を両立させるために、ポリエステル系フィルムの被覆層中に粒子を含有させ、フィルム表面に凹凸を形成させることも一般的に行われている。
【0003】
しかし、表面光沢が大きいフィルムは、フィルム表面がてかって印刷された文字や絵が見えにくくなる欠点がある。
【0004】
表面光沢度の測定は、JISにも記載のように、60度での角度からの光沢度が一般的に使用されてきた。しかしながら、ラベルとして使用する場合、通常の60度のみならず、さらに深い角度(例えば、75度)から見ても表面光沢度が小さいこと、すなわち光沢度の角度依存性が小さいことも要望されるようになってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記問題を解決し、ポリエステル系フィルムの少なくとも片面に易接着層を設けることで、インキ密着性を維持しながら、表面光沢を抑えかつ光沢度の角度依存性を小さくして印刷性を高めたポリエステル系被覆フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、ポリエステル系フィルムの鏡面光沢度を特定の範囲とすることにより、インキ密着性と印刷性、及び低光沢性かつ光沢度の角度依存性に優れたポリエステル系被覆フィルムが得られることを見出した。
【0007】
即ち、本発明の課題は、以下の手段により達成できる。
1)不透明度が光学濃度0.79以上のポリエステル系フィルムの少なくとも片面に易接着層を有するポリエステル系被覆フィルムであって、該フィルムにルチル型酸化チタンが5〜35重量%含有し、前記易接着層が、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂、及び平均粒径の異なる3種の無機粒子を主たる構成成分とする組成物からなり、前記易接着層の樹脂成分厚みtが0.01〜5.0μmであり、前記易接着層中の不活性粒子の平均粒径d(μm)が0.6〜5.0μmであり、不活性粒子の平均粒径d(μm)と易接着層の樹脂成分の厚みt(μm)との比(d/t)が1.0以上5.0未満であり、前記易接着層中の樹脂/粒子の重量比が30/70〜50/50であり、前記易接着層面の60度鏡面光沢度G1と75度鏡面光沢度G2が、下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル系被覆フィルム。
G2<G1≦20 ・・・(1)
【0008】
2)ポリエステル系フィルムが、該フィルム内部に空洞を含有し、かつ見掛け密度が0.3〜1.3g/cm3であることを特徴とする前記1)載のポリエステル系被覆フィルム。
【0010】
4)前記易接着層の樹脂が、水不溶性かつ水分散性のポリエステル樹脂及び分子内に少なくとも1個のブロックイソシアネートを有する水性ウレタン系樹脂からなることを特徴とする前記3)記載のポリエステル系被覆フィルム。
【0011】
5)前記易接着層面の表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であることを特徴とする前記1)、2)、3)、または4)記載のポリエステル系被覆フィルム。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で基材に使用するポリエステル系フィルムの主たる構成成分であるポリエステル樹脂とは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸またはそのエステル、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールを重縮合させて得られるポリエステルを主体とするものである。
【0013】
また、ポリエステル樹脂の成分として、共重合可能な芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸類や、芳香族、脂肪族、脂環族のグリコール類を含んでいてもよい。
【0014】
これらのポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸とグリコールとをエステル化反応後重縮合させる方法、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応後重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる方法などの公知の方法によって製造することができる。
【0015】
かかるポリエステル樹脂の代表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2、6−ナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂が挙げられる。このポリエステルはホモポリマーであってもよいし、異種のポリエステル樹脂を混合しても良いし、第三成分を共重合したものであってもよい。いずれにしても、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−2、6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。なかでも、ポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。
【0016】
本発明のポリエステル系フィルムは、強度、腰など実用性の点から、二軸配向フィルムであることが特に好ましい。
【0017】
また、本発明のポリエステル系フィルムは、単層構造でもよいし、複層構造でもよいが、その一部の層もしくは全部の層が不透明であることが好ましい。ポリエステル系フィルムの不透明度は、光学濃度0.79以上が必要であり、0.79〜4.0であることが好ましい。特に好ましくは、0.79〜3.0である。光学濃度が0.79未満であると、表面に印刷を施した場合に印刷効果が不鮮明となり好ましくない。また、光学濃度が4.0を超えると、さらなる印刷効果が期待できなくなるうえ、ポリエステルフィルム中に無機粒子、またはポリエステル樹脂と非相溶の熱可塑性樹脂を多量に含有させる必要があり、コストアップの原因となる。
【0018】
上記範囲内の光学濃度を得る方法は特に限定されないが、ポリエステル中に無機粒子、あるいはポリエステル樹脂と非相溶の熱可塑性樹脂を含有させることにより達成することが出来る。無機粒子の場合は生成ポリエステルに対し5〜35重量%であり、特に好ましくは8〜25重量%である。一方、非相溶性の熱可塑性樹脂を含有させる場合は、ポリエステルに対し5〜35重量%が好ましく、特に好ましくは8〜28重量%である。また、無機粒子と、ポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を併用する場合には、ポリエステル系フィルムに対して、その合計量が40重量%以下とすることが、フィルム強度、腰、製膜安定性の点から好ましい。
【0019】
平均粒径が0.1〜4.0μmの無機粒子が好ましく、特に好ましくは0.3〜1.5μmの無機粒子である。具体的には、ルチル型酸化チタンである。さらに、フィルム中に一般的に含有されている無機粒子、例えばシリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー、リン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸カルシウムなどを併用しても良い。
【0020】
また、ポリエステル樹脂と非相溶の熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂と混合する場合、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。また、それらの熱可塑性樹脂は混合しても良く、変成したものでも良い。当然のことながら、上記無機粒子と併用することもできる。また必要に応じて、種々の増白剤を添加してもよいことは言うまでもない。
【0021】
さらに、本発明のポリエステル系フィルムは、見掛け密度が0.3〜1.3g/cm3である微細空洞含有ポリエステル系フィルムであることが好ましい。この微細空洞含有ポリエステル系フィルムは、フィルム中に含有する微細空洞がマトリックスであるポリエステルとの界面において光散乱を起こすことにより不透明度が一段と向上し、前記無機粒子の添加を減らすことができるので、特に有用である。さらに、微細空洞を含有せしめることにより、基材フィルム自体を軽量化できるため、取扱いが容易になるとともに、原料コストダウンや輸送コストダウンなど経済的効果も大きなものとなる。
【0022】
この様な、微細空洞含有ポリエステル系フィルムを得る方法としては、マトリックスである熱可塑性ポリエステル樹脂に対し、前述の如きポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を混練りし、ポリエステル樹脂中に非相溶樹脂を微粒子状に分散させたシートを少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記非相溶樹脂微粒子の周囲に空洞を発生させる方法など、既に開示されている公知の方法を用いることができる。
【0023】
また、得られた微細空洞含有ポリエステル系フィルムの厚みは、5〜300μmであることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明のポリエステル系被覆フィルムは、少なくとも片面に易接着層を設けることが必要である。前記易接着層とは、後述のインキ密着性の評価法において、クロスカット法によるインキ残留率が90%以上である機能を有する被覆層を意味する。
【0025】
易接着層を設ける方法としては、接着性改質樹脂組成物を含む塗布液をフィルム表面に塗布する方法、あるいは接着性改質樹脂を共押出し法によりフィルムに積層する方法などが挙げられる。さらにフィルムと易接着層との密着性をさらに向上させるために、予めフィルム表面を表面処理してもよい。表面処理の方法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線(UV)照射処理、放射線(EB)照射処理などの活性エネルギー線照射による方法、火炎処理、更にPVD,CVDなどのベーパーデポジット法が挙げられる。
【0026】
特に、易接着層を設ける方法として、易接着性の樹脂組成物を含む塗布液を該ポリエステル系フィルム表面に塗布する方法が、本発明の構成における被覆層や印刷インキ層、その他のコーティング剤との接着性の観点から、最も有効な方法である。
【0027】
この様な塗布層を構成する樹脂組成物としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂、及び1種以上の不活性粒子を主たる構成成分とする組成物であることが好ましい。
【0028】
上記易接着性樹脂のなかでも、分子中にスルホン基を含有する水不溶性の水性ポリエステル系樹脂と分子内に少なくとも1個のブロックイソシアネートを有する水性ポリウレタン系樹脂を混合した易接着性樹脂からなる易接着層は、基材のポリエステル系フィルムのみならず、汎用の紫外線(UV)硬化型インキ及び酸化重合インキとの印刷インキとの接着性が大きく改善できることから、特に好ましい。
【0029】
この場合、前記水性ポリエステル系樹脂(A)と水性ポリウレタン系樹脂(B)の含有量は、重量比で(A)/(B)=90/10〜10/90であることが好ましく、重量比で(A)/(B)=80/20〜20/80が特に好ましい。
【0030】
本発明のポリエステル系被覆フィルムは、易接着層面の60度鏡面光沢度G1及び75度鏡面光沢度G2が、下記式(1)を満足することが必要である。
G2<G1≦20 ・・・(1)
【0031】
易接着層面の60度鏡面光沢度G1は20以下であることが必要であり、好ましくは18以下、特に好ましくは15以下である。さらに、易接着面の75度鏡面光沢度G2は60度鏡面光沢度G1より小さいことが必要である。
【0032】
易接着層面の60度鏡面光沢度G1が20を超えると、表面光沢が大きく印刷した文字や絵がはっきりと見えにくくなる。また、易接着層面の75度鏡面光沢度G2が60度鏡面光沢度G1よりも大きくなると、深い角度から印刷物を見た場合に印刷した文字や絵がはっきりと見えにくくなる。
【0033】
易接着層面の60度鏡面光沢度G1及び75度鏡面光沢度G2が、前記式(1)を満足するためには、ある程度易接着層表面を粗面化することが必要であり、易接着層に含有させる不活性粒子の平均粒径、粒子径の標準偏差、形態(長径/短径)、粒子含有量、易接着層の樹脂成分の厚みなどを適宜調整することが好ましい。
【0034】
具体的には、易接着層に含有させる不活性粒子の平均粒径d(μm)と易接着層の樹脂成分の厚みt(μm)との比(d/t)は、1.0以上5.0未満であることが好ましく、より好ましくは1.2以上4.0未満であり、最も好ましくは1.5以上、2.5未満である。d/tが1.0未満であると、表面光沢度が大きくなるだけでなく、十分なインキ着肉性、印刷給紙性や耐ブロッキング性が得られにくい傾向がある。逆に、5.0以上であると、印刷時に粒子がフィルムから脱落し、インク抜けの原因になりやすい。前記d及びtは電子顕微鏡で観察した写真から求めることができる。
【0035】
易接着層の樹脂成分の厚みtは、0.01〜5.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.1〜1.0μmである。易接着層の樹脂成分の厚みが0.01μm未満であると、フィルムとの密着性が十分得られなく傾向がある。逆に、5.0μmを越えると、粒子が易接着層樹脂の中に埋まってしまい、表面光沢度が大きくなるだけでなく、フィルムのハンドリング性に不可欠な表面凹凸や耐ブロッキング性が悪化する傾向がある。
【0036】
易接着層中に含有させる不活性粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー、リン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムなどの無機粒子や、ポリスチレン系、ポリアクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン樹脂系などの有機ポリマー系粒子等が挙げられる。これらは3種以上併用する。
【0037】
前記易接着層中の不活性粒子の平均粒径dは、0.6〜5.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.7〜4.0μm、特に好ましくは0.8〜3.0μmである。不活性粒子の平均粒径が0.6μm未満であると、フィルム表面への凹凸の形成が不十分となり、75度での鏡面光沢度が大きくなる傾向がある。逆に、5.0μmを越えると、粒子がフイルムから脱落しインキ密着性が悪化する傾向がある。
【0038】
前記易接着層において、樹脂/粒子の重量比は30/70〜50/50が好ましく、さらに好ましくは35/65〜50/50、特に好ましくは40/60〜50/50である。樹脂の重量比が30未満であると、粒子を易接着層中に十分に固定できず、粒子が易接着層から脱落し、インキ抜けの原因になる傾向がある。逆に、樹脂の割合が50を越えると、十分なインキ着肉性、給紙性や耐ブロッキング性が得られにくくなる。
【0039】
また、前記易接着層組成物中に、さらに帯電防止剤が含まれている場合が、得られたフィルムをラベル化するための種々の工程、例えば粘着剤のコート、印刷、断裁、打ち抜きなどにおける静電気トラブルの発生を防止できるため、特に好ましい。帯電防止剤としては、塗布型の帯電防止剤として一般的に用いられているもの、粒子状のカーボンブラック、ニッケル、銅などの金属紛、酸化スズ、酸化亜鉛などの金属酸化物、繊維状の黄銅、ステンレス、アルミニウム等の金属コートファイバー、鱗片上黒鉛、アルミニウムフレーク、銅フレーク等の導電性フィラー、スルホン化ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性ポリマーが、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意に使用することができる。
【0040】
また、前記易接着層をフィルムに塗布して設ける手段としては、グラビアコート、リバースコート、キスコートなどのロールコート方式、バーコート方式、エアナイフ方式、ブレードコート方式やコンマコート方式、カーテンコート方式、スプレイ方式、ディップ方式など通常用いられている方法を適用することができる。
【0041】
塗布する段階としては、未延伸ポリエステル系フィルム表面にあらかじめ塗布する方法、一軸方向に配向させたフィルム表面に塗布し、それを更に直角方向に配向させる方法、二軸配向処理後のフイルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能であるが、特に一軸配向したフイルム表面に塗布した後直角方向に延伸配向し、結晶化を完了させる方法が、接着性、経済性、クリーン度等の点で、最も好ましい方法である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではない。なお、下記実施例で採用した各種物性、性能の測定・評価法は次の通りである。
【0043】
(1)印刷品位
ポリエステル系被覆フィルムの被覆層側の面に、UV硬化型インキ(株式会社セイコーアドバンス製、UVA710 ブラック)をテトロン・スクリーン(#300メッシュ)によって印刷した後に、500mJ/cm2で紫外線照射処理を行い印刷サンプルを得た。得られたサンプルの垂直方向から60度及び75度の位置から目視で印刷物を観察し、以下のように判定した。なお、前記角度により評価が異なるときは、どちらか見えにくい方の角度での判定結果を用いた。
○:表面に印刷した文字や絵がはっきり見える
△:表面に印刷した文字や絵が見えにくい
×:表面に印刷した文字や絵が見えない
【0044】
(2)インキ密着性
酸化重合(あるいは溶剤)型インキの場合は、ポリエステル系フィルムの表面被覆層上にテトロン・スクリーン(250メッシュ)によって印刷した後に、1日風乾させる。また、UV硬化型インキの場合には、ポリエステル系フィルムの表面被覆層上にテトロン・スクリーン(300メッシュ)によって印刷した後に、UV露光装置により500mJ/cm2のUV露光を与え、UVインキを硬化させる。
【0045】
使用した酸化重合型インキは、酸化重合型インキ(十条化工株式会社製、黒)を希釈溶剤(十条加工株式会社製、テトロン)で体積比が4:1となるよう希釈したものを使用した。また、UV硬化型インキは株式会社セイコーアドバンス製インキ(UVA710、ブラック)を使用した。
【0046】
硬化したインキ層に対し、カッターナイフにより2mm角100マスのクロスカット面を入れ、その上にセロテープ(ニチバン株式会社製、CT−24、25mm幅)を気泡が入らないように貼りつけ、さらにその上をこすって十分に密着させる。その後、上記インキ面のセロテープが密着されていない前後の両端部を手で押さえ、セロテープの上の方向(角度90度方向)にクロスカット面を急速に剥離した。
【0047】
剥離後のインキ面を観察し、100個のマス目におけるインキ残留率(マス目の一部分でも剥がれたものも剥がれた個数として扱う)を以下の4段階の基準でインキ密着性を評価し、◎及び○を合格とした。
◎:残留率100%(全く剥離しない)
○:残留率90%以上100%未満(実用上問題なく使用できる)
△:残留率70%以上90%未満(密着性が若干弱く、実用上問題が発生する可能性有り)
×:残留率50%以上70%未満(密着性に問題有り)
【0048】
(3)帯電防止性
ポリエステル系フィルムをを23℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置後、その雰囲気下で高抵抗率計(三菱油化(株)製、ハイレスタ−IP)を用い印加電圧500Vにてフィルム被覆層表面の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。
【0049】
(4)不活性粒子の平均粒径
特開平1−284534号公報の記載に準じ、走査型電子顕微鏡と画像処理装置を用いて少なくとも100個以上の粒子を測定し、平均粒径(μm)を求めた。
【0050】
(5)被覆層の樹脂成分の厚み
走査型電子顕微鏡でフィルムの断面写真を撮り、その写真上で樹脂成分の厚みを計測する。同様の計測を、場所を変えて100回行い、その計測値の平均を樹脂成分の厚み(μm)とした。
【0051】
(6)ポリエステル系樹脂フィルムの不透明度
マクベス濃度計TR−927型を使用し、Gフィルター下での透過光による光学濃度を測定した。
【0052】
(7)ポリエステル系樹脂フィルムの見掛け密度
フィルムを10cm×10cmの正方形に正確に切り出し、その厚みを50点測定して平均厚みt(μm)を求める。次に、サンプルの重量を0.1mgまで測定しW(g)とし、次式により算出した値を見掛け密度とした。
見掛け密度(g/cm3)=(W/t)×100
【0053】
(8)フィルムの鏡面光沢度
JIS−Z8741に記載の方法2(75度鏡面光沢)、方法3(60度鏡面光沢)に準じて測定した。
【0054】
(9)ポリエステル樹脂の固有粘度
フェノール60重量%と1,1,2,2−テトラクロロエタン40重量%の混合溶媒にポリエステル原料を溶解し、固形分をガラスフィルターで濾過した後、30℃にて測定した。
【0055】
参考例1
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂80重量%と、メルトフローインデックス5.5g/10分のポリスチレン15重量%および平均粒径0.3μmのルチル型酸化チタン5重量%を含有する樹脂組成物を285℃で溶融し、表面温度40℃のドラム上に押し出しし、次いで得られた未延伸シートを90℃で3.5倍縦方向に延伸し一軸延伸フィルムを得た。
【0056】
共重合ポリエステル樹脂として「バイロナール」(東洋紡績(株)製)を固形分で3.15重量%、末端イソシアネート基を親水性基でブロックした水溶性ウレタン樹脂として「エラストロン」(第一工業製薬(株)製)を固形分で5.85重量%、帯電防止剤として第4級アンモニウム塩系帯電防止剤を、前記樹脂成分に対し6.20重量%、平均粒径2.0μmのベンゾグアナミンホルムアルデヒド縮合物粒子を9.0重量%含有するように、塗布液を調製した。
【0057】
この塗布液を、リバースキスコート法により延伸前の樹脂固形分厚みが0.9μmとなる様に塗布し、引き続き乾燥しつつ120℃で3.5倍横方向に延伸した後、230℃で4%緩和させながら熱処理し、厚さ50μmの内部に約25体積%の微細空洞を含有する表面処理ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1及び表2に示す。
【0058】
実施例2
被覆層に含有させる共重合ポリエステル樹脂を9.1重量%、水溶性ウレタン樹脂を3.9重量%、不活性粒子を、平均粒径5.5μmのシリカ粒子2.9重量%、平均粒径2.7μmのシリカ粒子2.9重量%、平均粒径0.15μmのシリカ粒子7.3重量%、延伸前の樹脂固形分厚みを1.8μmとした以外は、参考例1と全く同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1及び表2に示す。
【0059】
比較例1
被覆層に含有する不活性粒子を、平均粒径0.45μmのシリカ粒子12.4重量%とした以外は、参考例1と全く同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1及び表2に示す。
【0060】
比較例2
被覆層に含有させる共重合ポリエステル樹脂を2.5重量%、水溶性ウレタン樹脂を4.6重量%、不活性粒子を、平均粒径を0.45μmのシリカ粒子を6.0重量%、平均粒径0.8μmの炭酸カルシウム粒子を2.0重量%とした以外は、参考例1と全く同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1及び表2に示す。
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
本発明の積層プラスチックフィルムは、インキ密着性を維持しながら表面の光沢を低く抑えているため印刷性が良く、さらに光沢度の角度依存性が小さいためどの方向から印刷物を見ても文字や絵が見えやすいという特長があるので、特にラベル用基材として有用である。
Claims (5)
- 不透明度が光学濃度0.79以上のポリエステル系フィルムの少なくとも片面に易接着層を有するポリエステル系被覆フィルムであって、
該フィルムにルチル型酸化チタンが5〜35重量%含有し、
前記易接着層が、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂、及び平均粒径の異なる3種の無機粒子を主たる構成成分とする組成物からなり、
前記易接着層の樹脂成分厚みtが0.01〜5.0μmであり、前記易接着層中の不活性粒子の平均粒径d(μm)が0.6〜5.0μmであり、不活性粒子の平均粒径d(μm)と易接着層の樹脂成分の厚みt(μm)との比(d/t)が1.0以上5.0未満であり、
前記易接着層中の樹脂/粒子の重量比が30/70〜50/50であり、
前記易接着層面の60度鏡面光沢度G1と75度鏡面光沢度G2が、下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル系被覆フィルム。
G2<G1<7.3 ・・・(1) - ポリエステル系フィルムが、該フィルム内部に空洞を含有し、かつ見掛け密度が0.3〜1.3g/cm3であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系被覆フィルム。
- 前記易接着層の樹脂が、水不溶性かつ水分散性のポリエステル樹脂及び分子内に少なくとも1個のブロックイソシアネートを有する水性ウレタン系樹脂からなることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系被覆フィルム。
- 前記易接着層面の表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であることを特徴とする請求項1、2、または3記載のポリエステル系被覆フィルム。
- 請求項1、2、3または4記載のポリエステル系被覆フィルムからなるラベル用基材。
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