JP3440209B2 - インク受像層易接着ポリエステルフイルム - Google Patents

インク受像層易接着ポリエステルフイルム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインク受像層易接着
ポリエステルフイルムに関し、更に詳しくは隠ぺい性に
優れ、かつインクジェットプリンター等の水性インク受
像層に対する接着性に優れた、受像紙用に有用なインク
受像層易接着ポリエステルフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートフイルムに
代表されるポリエステルフイルムは、受像紙用フイルム
のベースフイルムとして従来より広く使用されている。
近年、カラープリンターの需要に伴い、インクジェット
方式等の新しい印字方式が発展してきた。このような印
字方式用の受像紙用フイルムでは、特開昭64―364
79号公報、特開平1―95091号公報で提案されて
いるように、フイルム上にインク受像層の形成が必要と
なる。このインク受像層には多孔質でインクの吸収性が
良好なものが使用されるが、このインク受像層はベース
フイルムとして用いるポリエステルフイルムに対する接
着性が乏しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
ク受像層との接着性に優れ、かつ隠ぺい性を兼備した、
インクジェットプリンター用受像紙などに有用なインク
受像層易接着ポリエステルフイルムを提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
本発明によれば、ポリエステルフイルムの少なくとも片
面に塗膜を積層せしめたフイルムであって、該塗膜が
(A)全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有
するジカルボン酸成分の割合が1〜16モル%であり、
かつ二次転移点が20〜90℃であるコポリエステル5
0〜80重量%、(B)ポリビニルアルコールおよびポ
リビニルピロリドンからなる群から選ばれる水溶性高分
子化合物10〜30重量%ならびに(C)平均粒径が2
0〜80nmの微粒子3〜25重量%からなり、該塗膜
の表面エネルギーが54〜70dyne/cmであるこ
とを特徴とするインク受像層易接着ポリエステルフイル
ムにより達成される。
【0005】[ポリエステルフイルム]本発明における
ポリエステルフイルムを構成するポリエステルとして
は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフ
タリンジカルボン酸、4,4′―ジフェニルジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸成分と、例えばエチレングリ
コール、1,4―ブタンジオール、1,4―シクロヘキ
サンジメタノール、1,6―ヘキサンジオール等のグリ
コール成分とから構成されるポリエステルが好ましく、
特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,
6―ナフタリンジカルボキシレートが好ましい。また、
上記成分等の共重合ポリエステルであっても良い。
【0006】ポリエステルにはフイルムを製造する際の
巻取性や、インク受像層等を塗設する際のフイルムの搬
送性等を良くするため、必要に応じて滑剤としての有機
又は無機の微粒子を含有させることが好ましい。かかる
微粒子としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸
化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、架橋
アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、尿素樹
脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等
が例示される。また、微粒子以外にも着色剤、帯電防止
剤、酸化防止剤、潤滑剤、触媒、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン―プロピレン―ポリマー、オレフィ
ン系アイオノマーのような他の樹脂等も透明性を損なわ
ない範囲で任意に含有させることができる。
【0007】また、本発明におけるポリエステルフイル
ムには、光沢度が60度以上、光線透過率が20%以下
でありかつ白色であるポリエステルフイルム(白色ポリ
エステルフイルム)を用いることが好ましい。この白色
ポリエステルフイルムは、ポリエステルに白色顔料、例
えば酸化チタン及び/または硫酸バリウムを例えば5〜
20重量%含有させることにより得ることができる。ま
た、白色ポリエステルフイルムは、受像紙として用いる
ときの印字物の鮮映性より光沢度が60以上で、印字物
の意匠性から、その光線透過率が20%以下であること
が好ましい。
【0008】本発明におけるポリエステルフイルムは、
150℃で30分間保持したときの熱収縮率が1%以下
の二軸延伸フイルムであることが、ポリエステルフイル
ムを受像紙に用いた際に寸法安定性が良好であり、印字
のずれ等を抑制できるため好ましい。このような熱収縮
率を有する二軸延伸フイルムは、例えば、二軸延伸後に
熱固定やポリエステルのTg以上の温度での熱処理によ
りフイルムの密度を例えば1.390g/cm3以上と
することにより得ることができる。
【0009】[塗膜]本発明においては、ポリエステル
フイルムに(A)コポリエステル、(B)水溶性高分子
及び(C)微粒子からなる塗膜を積層する。
【0010】この塗膜を形成する成分として用いる
(A)コポリエステルは、分子内の全ジカルボン酸成分
に対し、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分の割
合が1〜16モル%であるポリエステルである。
【0011】かかるコポリエステルは、テレフタル酸、
イソフタル酸、2,6―ナフタリンジカルボン酸、ヘキ
サヒドロテレフタル酸、4,4′―ジフェニルジカルボ
ン酸、フェニルインダンジカルボン酸、アジピン酸、セ
バシン酸、5―スルホイソフタル酸、トリメリット酸、
ジメチロールプロピオン酸等のカルボン酸成分及び5―
Naスルホイソフタル酸、5―Kスルホイソフタル酸、
5―Kスルホテレフタル酸等のスルホン酸塩基を有する
ジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、ネオペンチレングコール、1,4―ブタン
ジオール、1,6―ヘキサンジオール、1,4―シクロ
ヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン、ビスフェノール―Aのアルキレンオキシド付加
物等のヒドロキシ化合物成分とから構成されるポリエス
テルであって、水溶液、水分散液又は乳化液として使用
される。
【0012】(A)コポリエステルでは、親水性を付与
するための、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分
が、分子内の全カルボン酸成分に対し、1〜16モル%
である必要があるが、好ましくは1.5〜14モル%で
ある。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が1モ
ル%未満ではコポリエステルの親水性が不足し、一方1
6モル%を超えると塗膜の耐湿性が低下するので好まし
くない。
【0013】また、(A)コポリエステルの二次転移点
(Tg)は20〜90℃である必要がある。Tgが20
℃未満ではフイルムがブロッキングしやすく、一方90
℃を超えるとフイルムの削れ性や接着性が低下するので
好ましくない。
【0014】上記塗膜を形成する成分として用いる
(B)水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコ
ール又はポリビニルピロリドンを好ましく挙げることが
できる。
【0015】(B)ポリビニルアルコールは、ケン化度
が75〜95モル%である必要がある。このケン化度が
75モル%未満では塗膜の耐湿性が低下し、一方95モ
ル%を超えるとインク受像層に対する接着性が低下する
ので好ましくない。更に、ポリビニルアルコールはカチ
オン変性したものが、インク受像層との接着性が良好の
ため好ましい。また、ポリビニルピロリドンは、K価が
26〜100である必要があるK価が26未満では塗膜
の強度弱いので好ましくない。また、K価が100を超
えるとインク受像層に対する接着性が低下するため好ま
しくない。また平均分子量が40000以下ではフイル
ムの塗膜の耐削れ性が低下するので好ましくない。
【0016】さらに、上記塗膜を形成する成分として用
いる(C)微粒子は有機又は無機の微粒子であり、平均
粒径が20〜80nmのものである。かかる微粒子とし
ては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニ
ウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、架橋アクリル樹
脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒
子、架橋シリコーン樹脂粒子等が例示される。該微粒子
の粒径が20nm未満ではフイルムがブロッキングしや
すく、一方80nmを超えると削れ性が低下するので好
ましくない。
【0017】本発明において、(A)コポリエステル、
(B)水溶性高分子及び(C)微粒子の配合割合は、
(A)コポリエステル50〜80重量%、(B)水溶性
高分子10〜30重量%、(C)微粒子3〜5重量%
である。(A)成分の割合が50重量%未満ではポリエ
ステルフイルムとの接着性が不足し、一方80重量%を
超えるとインク受像層との接着性が低下するので好まし
くない。(B)成分の割合が10重量%未満ではインク
受像層との接着性が不足し、一方30重量%を超えると
耐ブロッキング性が低下するので好ましくない。また、
(C)成分の割合が3重量%未満ではフイルムの滑性
(搬送性)が不足し、一方25重量%をこえると削れ性
が低下するので好ましくない。
【0018】また、本発明における塗膜は、その表面エ
ネルギーが54〜70dyne/cmであることが必要
であり、特に60〜65dyne/cmであることが好
ましい。この表面エネルギーが54dyne/cm未満
であると、水性インク受像層の塗工性及び接着性が不良
となり、70dyne/cmを超えると基体であるポリ
エステルフイルムとの密着性が不足したり、塗膜の耐湿
性が不足することがあるため好ましくない。
【0019】表面エネルギーが54〜70dyne/c
mの塗膜は、(A)コポリエステル、(B)水溶性高分
子及び(C)微粒子が本発明の範囲である塗膜を、例え
ば0.02〜1μmの厚さで積層することにより得るこ
とができる。
【0020】尚、本発明のインク受像層易接着ポリエス
テルフイルムは、塗膜表面の中心線平均粗さ(Ra)が
10nm〜250nmの範囲にあることが、塗膜とポリ
エステルフイルムとの接着性、塗膜とインク受像層との
接着性、塗膜の耐削れ性、積層フイルムの耐ブロッキン
グ性や搬送性が良好となるため好ましい。このようなR
aを有する塗膜は、例えば塗膜成分として前記微粒子を
前記の割合で用いることにより得ることができる。
【0021】本発明においては塗膜を形成する成分とし
て、上記の成分以外にメラミン樹脂等の他の樹脂、帯電
防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤等を使用す
ることができる。
【0022】[塗膜の積層]本発明においては、ポリエ
ステルフイルムの少なくとも片面に前記成分からなる塗
膜を積層するが、例えば延伸可能なポリエステルフイル
ムに塗膜を形成する成分を含む水性液を塗布した後、乾
燥、延伸し、必要に応じて熱処理することにより積層す
ることができる。この水性液の固形分濃度は、通常30
重量%以下であり、10重量%以下がさらに好ましい。
【0023】上記の延伸可能なポリエステルフイルムと
は、未延伸ポリエステルフイルム、一軸延伸ポリエステ
ルフイルム又は二軸延伸ポリエステルフイルムである。
このうちフイルムの押出し方向(縦方向)に一軸延伸し
た縦延伸ポリエステルフイルムが特に好ましい。
【0024】ポリエステルフイルムへ水性液を塗布する
場合は、通常の塗工工程、即ち二軸延伸熱固定したポリ
エステルフイルムに該フイルムの製造工程と切り離した
工程で行うと、芥、塵埃等を巻き込み易く好ましくな
い。かかる観点よりクリーンな雰囲気での塗布、即ちフ
イルム製造工程での塗布が好ましい。そして、この塗布
によれば、塗膜のポリエステルフイルムへの密着性がさ
らに向上する。
【0025】塗布方法としては、公知の任意の塗布法が
適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート
法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナ
イフコート法、含浸法及びカーテンコート法などを単独
または組み合わせて用いることができる。塗布量は走行
しているフイルム1m2 当り0.5〜20g、更に1〜
10gが好ましい。水性液は水分散液又は乳化液として
用いるのが好ましい。
【0026】水性液を塗布した延伸可能なポリエステル
フイルムは、乾燥、延伸処理工程に導かれるが、かかる
処理は、従来から当業界に蓄積された条件で行うことが
できる。好ましい条件としては、例えば乾燥条件は90
〜130℃×2〜10秒であり、延伸温度は90〜13
0℃、延伸倍率は縦方向3〜5倍、横方向3〜5倍、必
要ならば再縦方向1〜3倍であり、熱固定する場合は1
80〜240℃×2〜20秒である。
【0027】かかる処理後のポリエステルフイルムの厚
さは50〜150μmであること、また塗膜の厚さは
0.02〜1μmであることが好ましい。
【0028】
【実施例】以下実施例により、本発明を更に説明する。
なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0029】1.接着性 ポリエステルフイルムの塗膜面に、球状シリカ(平均粒
径18μ、平均細孔径200オングストローム、平均細
孔容積1.5cc/g)70重量%、ポリビニルアルコ
ール(クラレ製PVA117)30重量%を混合した水
性スラリーを乾燥厚さで20μm塗設し、その上に幅1
2.7mm、長さ150mmのスコッチテープ(スリー
エム社製・No.600)を気泡が入らないよう粘着
し、この上をJIS・C2701(1975)記載の手
動式荷重ロールでならして密着させた後、テープ幅に切
り出す。このようにして作成したサンプルからスコッチ
テープを剥離する際の、インク受像層のポリエステルフ
イルムからの剥離状態を観察して接着性を下記の通り評
価した。 A:剥離が全く認められず、密着性良好 B:異物部分で僅かに剥離が認められる C:剥離が顕著に認められる
【0030】2.摩擦係数 ASTM・D1894―63に準じ、東洋テスター社製
のスリッパ―測定器を使用し、フイルムの表面と裏面を
合わせ、荷重1kgを加えて静摩擦係数を測定した。摩
擦係数が0.6を超えるとフイルム搬送性に支障をきた
す。
【0031】3.ブロッキング性 50mm幅に切断したフイルムを2枚重ね、50kg/
cm2 の荷重下40℃×50%RH×17時間処理した
後、引張り試験機にて荷重を加えた箇所の剥離強度(g
/50mm)を測定した。剥離強度の値により下記の通
り評価した。 剥離強度≦10g/50mm…ブロッキング性良好 10g/50mm<剥離強度≦30g/50mm…ブロッキング性やや良好 30g/50mm<剥離強度 …ブロッキング性不良
【0032】4.表面エネルギー W. A. Zisman:“Contact Augle, Wettability and Adh
esion ”,Am. Chem.Soc., (1964)に従い、測定
した臨界表面張力γcをもって、表面エネルギーとし
た。
【0033】5.二次転移点 デュポン製 Thermal Analyst 2000型 示差熱量計
にて、20℃/分の昇温速度にて測定した。
【0034】6.固有粘度 オルソクロロフェノール溶媒による溶液の粘度を35℃
にて測定し求めた。
【0035】7.水分散性 塗布剤を水で希釈して0.2重量%の水分散体とし、石
英製セルを用いて、日立製作所製 ダブルビーム分光光
度計(228A型機)にて光線透過率を測定した。測定
結果より下記の通り評価した。 光線透過率≧50% ……水分散性良好 50%>光線透過率≧30% ……水分散性やや良好 30%>光線透過率 ……水分散性不良
【0036】8.耐湿性 前記ブロッキング性の評価において、処理条件を60℃
×70%RH×17時間としたほかは同様の方法で剥離
強度(g/50mm)を測定した。測定結果より下記の
通り評価した。 剥離強度≦10g/50mm …耐湿性良好 10g/50mm<剥離強度≦30g/50mm …耐湿性やや良好 30g/50mm≦剥離強度 …耐湿性不良
【0037】9.光沢度Gs(60°) (株)村上色彩技術研究所製光沢計GM−3D型を使用
し、JIS Z 8741−1962に準じて測定する。
測定角は60°とし、測定数はn=5とし、その平均値
を光沢度Gs(60°)の値とする。
【0038】10.光線透過率 村上色彩技術研究所製 HR―100型 ヘーズメータ
ーにより、ASTM・D1003に準じて測定した。
【0039】11.熱収縮率 ポリエステルフイルムを150℃×30分熱処理した後
の収縮率を標点間距離30cmで測定した。
【0040】12.中心線平均粗さ(Ra) JIS B0601に準じて、(株)小坂研究所製の高
精度表面粗さ計SE―3FATを使用して、針の半径2
μm、荷重30mgで拡大倍率5万倍、カットオフ0.
08mmの条件下に、チロートを描かせ表面粗さ曲線か
らその中心線方向に測定長さLの部分を抜きとり、この
抜きとり部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし
て、粗さ曲線をY=f(x)で表した時、次式で与えら
れた値をnm単位で表わした。
【0041】
【数1】
【0042】この測定は基準長を1.25mmとして、
4個測定し、平均値で表わした。
【0043】13.鮮映性 インク受像層を塗布したポリエステルフイルムについ
て、インクジェットプリンター(EPSON製 PM−
750C)でデジタルカメラ等で撮影した画像をパソコ
ンに取り込み、印刷し、印刷物の鮮明性を目視で観察
し、下記の通り評価した。 A:印刷が極めて鮮明性で良好 ・・・・鮮映性が極めて良好 B:印刷が鮮明性で良好 ・・・・鮮映性が極めて良好 C:印刷が不鮮明で鮮明性が不良・・・・鮮映性が不良
【0044】[実施例1]テレフタル酸成分及びエチレ
ングリコール成分からなるポリエステル(固有粘度が
0.62)を20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融
押し出しして未延伸フイルムとし、次に該未延伸フイル
ムを機械軸方向に3.6倍延伸した後、酸成分がテレフ
タル酸[60モル%]、イソフタル酸[36モル%]お
よび5―Naスルホイソフタル酸[4モル%]、グリコ
ール成分がエチレングリコール[60モル%]およびネ
オペンチルグリコール[40モル%]よりなる共重合ポ
リエステル(Tg=30℃、以下、単に[E]という)
65重量%、ケン化度86〜89モル%のポリビニルア
ルコール16重量%、平均粒径40nmの架橋アクリル
樹脂粒子10重量%並びにポリオキシエチレンラウリル
エーテル9重量%からなる組成の、固形分濃度4重量%
の水性液をロールコーターにて塗布した。
【0045】次いで、水性液を塗布した縦延伸フイルム
を乾燥しつつ横方向に4倍延伸し、更に230℃で熱固
定して厚さ100μmの二軸延伸フイルムを得た。
【0046】このフイルムでの塗膜厚さは0.03μ
m、中心線平均表面粗さは15nm、表面エネルギーは
60dyne/cm、熱収縮率は縦方向で0.9%、横
方向で0.2%であった。このフイルムの特性を表1に
示す。
【0047】[比較例1]水性液を塗布しない以外は、
実施例1と同様にして得た二軸延伸ポリエステルフイル
ムの特性を表1に示す。
【0048】[実施例2〜12]塗布剤の種類と比率を
表1に示すように変える以外は、実施例1と同様にして
二軸延伸ポリエステルフイルムを得た。このフイルムの
特性を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】表1に示す結果から明らかなように、本発
明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは接着性
に優れる。
【0051】尚、表1においてコポリエステルの種類E
およびF(注1)は、下記の共重合体であることを示
す。 E:テレフタル酸[60モル%]・イソフタル酸[36
モル%]・5―Naスルホイソフタル酸[4モル%]/
エチレングリコール[60モル%]・ネオペンチルグリ
コール[40モル%]の共重合体(Tg=30℃) F:2,6―ナフタリンジカルボン酸[20モル%]・
イソフタル酸[76モル%]・5―Kスルホテレフタル
酸[4モル%]/エチレングリコール[50モル%]・
ネオペンチルグリコール[50モル%]共重合体(Tg
=42℃)
【0052】また、表1において水溶性高分子化合物の
種類P、Q、R、T、U、WおよびX(注2)は、下記
の化合物であることを示す。 P:ケン化度86〜89mol%のポリビニルアルコー
ル Q:ケン化度76〜82mol%のポリビニルアルコー
ル R:ケン化度91〜94mol%のポリビニルアルコー
ル T:K価26〜23、平均分子量40000のポリビニ
ルピロリドン U:K価90〜100、平均分子量1200000のポ
リビニルピロリドン W:ケン化度74〜80mol%のカチオン変性ポリビ
ニルアルコール X:ケン化度86〜91mol%のカチオン変性ポリビ
ニルアルコール
【0053】表1において微粒子の種類MおよびN(注
3)は、下記の化合物であることを示す。 M:平均粒径 40nmの架橋アクリル粒子 N:平均粒径 80nmのコロイダルシリカ粒子
【0054】[実施例13〜16及び比較例2、3]
(A)コポリエステルの種類を表2および表3に示すよ
うに変えて、Tgの異なるコポリエステルを用いた外は
実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフイルムを
得た。得られたフイルムの特性を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】表2に示す結果から明らかなように、本発
明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは耐ブロ
ッキング性及び接着性に優れる。
【0058】[実施例17〜21及び比較例4、5]
(A)コポリエステルのスルホン酸塩基を含有するジカ
ルボン酸成分の割合を表4に示すように変えた外は実施
例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフイルムを得
た。得られたフイルムの特性を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】表4に示す結果から明らかなように、本発
明における塗布剤は水分散性に優れ、本発明のインク受
像層易接着ポリエステルフイルムは耐湿性に優れる。
【0061】[実施例22〜24及び比較例6〜9]
(A)コポリエステル、(B)水溶性高分子及び(C)
微粒子の比率を表5に示すように変えた外は実施例1と
同様にして二軸延伸ポリエステルフイルムを得た。得ら
れたフイルムの特性を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】表5に示す結果から明らかなように、本発
明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは接着
性、搬送性に優れる。
【0064】[実施例25、26及び比較例10、1
1](C)微粒子の粒径を表6に示すように変えた外は
実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフイルムを
得た。得られたフイルムの特性を表7に示す。
【0065】
【表6】
【0066】表6に示す結果から明らかなように、本発
明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは耐ブロ
ッキング性に優れる。
【0067】[実施例27、28及び比較例12、1
3](A)コポリエステル、(B)水溶性高分子及び
(C)微粒子の比率を表8に示すように変えた外は実施
例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフイルムを得
た。得られたフイルムの特性を表7に示す。
【0068】
【表7】
【0069】表7に示す結果から明らかなように、本発
明のインク受像層易接着ポリエステルフイルムは接着性
及び搬送性に優れる。
【0070】[実施例29]テレフタル酸成分及びエチ
レングリコール成分からなるポリエステル(固有粘度が
0.62)90重量%と酸化チタン10重量%からなる
組成物を20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押し
出しして未延伸フイルムとし、次に該未延伸フイルムを
機械軸方向に3.6倍延伸した後、酸成分がテレフタル
酸[60モル%]、イソフタル酸[36モル%]および
5―Naスルホイソフタル酸[4モル%]、グリコール
成分がエチレングリコール[60モル%]およびネオペ
ンチルグリコール[40モル%]よりなる共重合ポリエ
ステル(Tg=30℃、以下、単に[E]という)65
重量%、ケン化度86〜89モル%のポリビニルアルコ
ール16重量%、平均粒径40nmの架橋アクリル樹脂
粒子10重量%並びにポリオキシエチレンラウリルエー
テル9重量%からなる組成の、固形分濃度4重量%の水
性液をロールコーターにて塗布した。
【0071】次いで、水性液を塗布した縦延伸フイルム
を乾燥しつつ横方向に4倍延伸し、更に230℃で熱固
定して厚さ100μmの二軸延伸フイルムを得た。この
フイルムでの塗膜厚さは0.03μm、中心線平均表面
粗さは59nm、光沢度が65、光線透過率は3%、熱
収縮率は縦方向で0.9%、横方向で0.2%、鮮映
性、接着性は良好であった。
【0072】[比較例14]実施例29のコポリエステ
ルをLに変更する以外は実施例29と同様にして二軸延
伸ポリエステルフイルムを得た。このフイルムでの塗膜
厚さは0.03μm、平均表面粗さは120nm、光沢
度が41、光線透過率は3%、熱収縮率は縦方向で0.
9%、横方向で0.2%、鮮映性は不良で接着性が不足
だった。
【0073】
【発明の効果】本発明のインク受像層易接着ポリエステ
ルフイルムは、隠ぺい性に優れ、かつインクジェットプ
リンター等の水性インク受像層に対する接着性に優れた
ものであり、受像紙用として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−309188(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08L 67/00 - 67/02 C09D 167/00 - 167/02

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフイルムの少なくとも片面
    に塗膜を積層せしめたフイルムであって、該塗膜が、
    (A)全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有
    するジカルボン酸成分の割合が1〜16モル%であり、
    かつ二次転移点が20〜90℃であるコポリエステル5
    0〜80重量%、(B)ポリビニルアルコールおよびポ
    リビニルピロリドンからなる群から選ばれる水溶性高分
    子化合物10〜30重量%ならびに(C)平均粒径が2
    0〜80nmの微粒子3〜25重量%からなり、該塗膜
    の表面エネルギーが54〜70dyne/cmであるこ
    とを特徴とするインク受像層易接着ポリエステルフイル
    ム。
  2. 【請求項2】 水溶性高分子化合物が、ケン化度75〜
    95モル%のポリビニルアルコールである請求項1に記
    載のインク受像層易接着ポリエステルフイルム。
  3. 【請求項3】 水溶性高分子化合物が、ケン化度74〜
    91モル%のカチオン変性されたポリビニルアルコール
    である請求項1に記載のインク受像層易接着ポリエステ
    ルフイルム。
  4. 【請求項4】 水溶性高分子化合物が、K価が26〜1
    00で、かつ平均分子量が40000以上のポリビニル
    ピロリドンである請求項1に記載のインク受像層易接着
    ポリエステルフイルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフイルムの光沢度が60度
    以上、光線透過率が20%以下でありかつ白色であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のインク受像層易接着ポリ
    エステルフイルム。
  6. 【請求項6】 ポリエステルフイルムが、150℃で3
    0分間保持したときの熱収縮率が1%以下の二軸延伸フ
    イルムである請求項1記載のインク受像層易接着ポリエ
    ステルフイルム。
  7. 【請求項7】 塗膜表面の中心線平均粗さRaが、10
    nm〜250nmの範囲にある請求項記載のインク受
    像層易接着ポリエステルフイルム。
  8. 【請求項8】 ポリエステルフイルムの光線透過率が2
    0%以下、かつ白色であり、塗膜の上に更に水性インク
    受像層を設けて用なる請求項記載のインク受像層易接
    着ポリエステルフイルム。
  9. 【請求項9】 インクジェットプリンター用受像紙に用
    いる請求項記載のインク受像層易接着ポリエステルフ
    イルム。
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