JP4203781B2 - ポリエステル系被覆フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキ密着性を有し、印刷性に優れたポリエステル系被覆フィルムに関するものであり、特にラベル用基材として好適である。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル系フィルムは、高度の結晶性、優れた透明性、光沢、力学的性質、及び耐薬品性を有することから、広範囲な用途に使用されている。さらに、印刷性、耐ブロッキング性、帯電防止性などの機能性付与を目的として、ポリエステル系フィルム表面に被覆層を形成することが一般的に行われている。また、フィルムの透明性とハンドリング性(耐ブロッキング性、滑り性、耐摩耗性など)を両立させるために、ポリエステル系フィルムの被覆層中に粒子を含有させ、フィルム表面に凹凸を形成させることも一般的に行われている。
【0003】
しかし、印刷時特にラベル印刷の方法として多用されるシール印刷や、オフセット印刷においては、被印刷面と印刷機のロールとがスリップしたときなどに、フィルムとロールが擦れ、粒子が被覆層から削り取られて、粉となって被覆層表面から落ちるというトラブルが発生するという問題がある。従来は、この様な被覆層からの粒子の脱落には着目されてはおらず、粒子が落ちれば上記特性が失われるだけでなく、落ちた粉がロール汚れを引き起こすことが問題となる。また、インキ抜けが発生し、商品価値の低下をもたらすことも問題点として挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記問題を解決し、ポリエステル系フィルムの少なくとも片面を被覆することで、インキ密着性を従来のものと同様に保ちつつ、インキ抜けを防止して印刷性を高めたポリエステル系被覆フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、被覆層における樹脂成分の厚みと不活性粒子の平均粒径の比を特定の範囲とすることにより、インキ密着性と印刷性を両立したポリエステル系被覆フィルムを得られることを見出した。
【0006】
即ち、本発明の課題は、以下の手段により達成できる。
1) 不透明度が光学濃度0.3以上であり、少なくとも片面に被覆層を有するポリエステル系フィルムにおいて、該被覆層がポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂成分と、少なくとも1種以上の不活性粒子とからなり、且つ、該被覆層の樹脂成分の厚みtが0.01〜1.0μmであり、該被覆層中の不活性粒子の平均粒径dが0.1〜1.0μmであり、該被覆層における樹脂/粒子重量比が35/65以上60/40未満であり、該被覆層における該不活性粒子の平均粒径d(μm)と樹脂成分の厚みt(μm)の比d/tが1.0以上2.5未満であることを特徴とするポリエステル系被覆フィルム。
2) 前記1記載のポリエステル系フィルムが、少なくとも60%以上のポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とするポリエステル系被覆フィルム。
3) ポリエステル系フィルムが、少なくとも一軸に延伸され、かつ厚さが5〜300μmであることを特徴とする前記1又は2記載のポリエステル系被覆フィルム。
4) ポリエステル系フイルムが、該フィルム内部に空洞を含有し、該フィルムの見掛け比重が0.3〜1.3g/cmであることを特徴とする前記1乃至3記載のポリエステル系被覆フィルム。
5) 前記被覆層の樹脂が水不溶性、且つ、水分散性ポリエステル樹脂及び分子内に少なくとも1個のブロックイソシアネートを有する水性ウレタン系プレポリマーからなることを特徴とする前記1乃至4記載のポリエステル系被覆フィルム。
6) 被覆層の表面抵抗値が1×1013Ω/□以下であることを特徴とする前記1乃至5記載のポリエステル系被覆フィルム。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル系フィルムに使用するポリエステル系樹脂とは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸またはそのエステル、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールを重縮合させて得られるポリエステルを主体とするものである。勿論、ポリエステル系樹脂の成分として共重合可能な芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸類や、芳香族、脂肪族、脂環族のグリコール類を含んでいてもよいことは言うまでもない。これらのポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとをエステル化反応後重縮合させる方法、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応後重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる方法などの公知の方法によって製造することができる。かかるポリエステルの代表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2、6−ナフタレート等が挙げられる。このポリエステルはホモポリマーであってもよいし、第三成分を共重合したものであってもよい。いずれにしても本発明においては、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−2、6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。
【0008】
本発明のポリエステル系フィルムは、強度、腰など実用性の点から、二軸配向フィルムであることが特に好ましい。
【0009】
また、本発明のポリエステル系フィルムは、その一部もしくは全部が不透明であることが好ましい。ポリエステル系フィルムの不透明度は、光学濃度0.3以上が必要であり、0.3〜4.0であることが好ましい。特に好ましくは、0.5〜3.0である。光学濃度が0.3未満であると、表面に印刷を施した場合に印刷効果が不鮮明となり好ましくない。また、光学濃度が4.0を超えると、さらなる印刷効果が期待できなくなるうえ、ポリエステル中に含有される無機粒子或いはポリエステルと非相溶の樹脂を多量に添加させる必要があり、コストアップの原因となる。
【0010】
上記範囲内に光学濃度を得る方法は特に限定されないが、ポリエステル中に無機粒子或いはポリエステルと非相溶の樹脂を含有させることにより達成することが出来る。これらの含有量は特に限定されないが、無機粒子の場合は生成ポリエステルに対し5〜35重量%、好ましくは8〜25重量%である。一方、非相溶性の樹脂を含有させる場合は、ポリエステルに対し5〜35体積%、好ましくは8〜28体積%である。
【0011】
使用する無機粒子は特に限定されないが、平均粒径が0.1〜4μm、好ましくは0.3〜1.5μmの無機粒子を挙げられる。具体的には、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレーなど或いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無機粒子例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムその他と併用しても良い。
【0012】
また、ポリエステルと非相溶の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートと混合するケースについて言えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、変成オレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネートなどを挙げることができる。当然のことながら、上記無機粒子と併用することもできる。また必要に応じて、種々の増白剤を添加してもよいことは言うまでもない。
【0013】
さらに、本発明のポリエステル系フィルムは、見掛け比重が0.3〜1.3である微細空洞含有熱可塑性ポリエステル樹脂によって構成されていることが好ましい。また、フィルム中に含有する微細空洞がマトリックスとの界面において光散乱を起こすことにより不透明度が一段と向上し、前記無機粒子の添加を減らすことができるので、特に有用である。更に、微細空洞を含有せしめることにより、該樹脂層自体を軽量化できるため、取扱いが容易になるとともに、原料コストダウンや輸送コストダウンなど経済的効果も大きなものとなる。
【0014】
この様な、微細空洞含有ポリエステル系フィルムを得る方法としては、該熱可塑性ポリエステル樹脂マトリックスに対し、前述の如き非相溶樹脂を添加混練りし微粒子状に分散させたシートを少なくとも一軸方向に延伸することにより、該非相溶樹脂微粒子の周囲に空洞を発生させる方法など、既に開示されている公知の方法を用いることができる。
【0015】
さらに、本発明のポリエステル系フィルムは、少なくとも一方の表面が易接着処理されていることが好ましい。易接着処理の方法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線(UV)照射処理,放射線(EB)照射処理などの活性エネルギー線照射による方法、火炎処理、更にPVD,CVDなどのベーパーデポジット法も挙げられる。特に、易接着性の樹脂組成物を含む塗布液を該ポリエステル系フィルム表面に塗布する方法等が、本発明の構成における被覆層や印刷インキ層、その他のコーティング剤との接着性の観点から、最も有効な方法である。この様な塗布層を構成する組成物としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およびこれらの混合物や共重合物などが適用可能である。
【0016】
上記易接着性の樹脂組成物のなかでも、分子中にスルホン基を含有する水不溶性の水性ポリエステル系樹脂と分子内に少なくとも1個のブロックイソシアネートを有する水性ポリウレタン系樹脂を混合使用した易接着層は、基材のポリエステル系フィルムのみならず、UV硬化型の印刷インキとの接着性が大きく改善できることから、特に好ましい。この場合、前記水性ポリエステル系樹脂(A)と水性ポリウレタン系樹脂(B)の配合量は、重量比で(A)/(B)=90/10〜10/90が好ましく、重量比で(A)/(B)=80/20〜20/80が特に好ましい。
【0017】
本発明のポリエステル系被覆フィルムにおいて、被覆層に含有させる不活性粒子の平均粒径d(μm)と被覆層樹脂成分の厚みt(μm)の比d/tは、1.0以上5.0未満であることが必要であり、好ましくは1.2以上4.0未満であり、最も好ましくは1.5以上、2.5未満である。d/tが1.0未満であると、十分なインキ着肉性、印刷給紙性や耐ブロッキング性が得られない傾向がある。逆に、5.0以上であると、印刷時に粒子がフィルムから脱落し粉落ちの原因になる傾向がある。
【0018】
被覆層の樹脂成分の厚みは、0.01〜5.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.1〜1.0μmである。被覆層の樹脂成分の厚みが0.01μm未満であると、フィルムとの密着性が十分得られず、また、粒子を被覆層中に十分に固定できず、被覆層から粒子が脱落する傾向がある。逆に、5.0μmを越えると、粒子が被覆層樹脂の中に埋まってしまい、フィルムのハンドリング性に不可欠な表面凹凸や耐ブロッキング性が得られない傾向がある。
【0019】
本発明においてポリエステル系フィルムの被覆層中に含有させる不活性粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレーなど或いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無機粒子、例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムその他と併用、等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。
【0020】
前記被覆層中の不活性粒子の平均粒径は、0.04〜10.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.06〜2.0μm、特に好ましくは0.1〜1.0μmである。不活性粒子の平均粒径が0.04μm未満であると、フィルム表面への凹凸の形成が不十分となり、インキ密着性が不十分となる傾向がある。逆に、10.0μmを越えると、粒子がフイルムから脱落し粉落ちの原因になる傾向がある。
【0021】
前記粒子の中でも、粒径比(長径/短径)が1.0〜1.5であり、粒子径の標準偏差が1.0以下の不活性粒子が、耐粒子脱落性の点から好ましい。特に好ましくは、粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2であり、粒子径の標準偏差が0.5以下の不活性粒子である。この要件を満足する不活性粒子としては、球状単分散シリカ粒子、架橋球状ポリスチレン粒子、架橋球状アクリル粒子、バテライト構造を有する球状または立方体状炭酸カルシウム粒子などが挙げられる。
【0022】
前記被覆層中の不活性粒子の平均粒径、粒径比及び粒子径の標準偏差は、例えば特開平1−284534号公報の記載に準じて求めることができる。
【0023】
前記被覆層において、樹脂/粒子の重量比は30/70〜70/30が好ましく、さらに好ましくは35/65〜60/40、特に好ましくは40/60〜50/50である。樹脂の重量比が30未満であると、粒子を被覆層中に十分に固定できず、粒子が被覆層から脱落し、粉落ちの原因になる傾向がある。逆に、樹脂の割合が70を越えると、十分なインキ着肉性、給紙性や耐ブロッキング性が得られない傾向がある。
【0024】
また、前記塗布層組成物中にさらに帯電防止剤が含まれている場合が、得られたフィルムをラベル化するための種々の工程、例えば粘着剤のコート、印刷、断裁、打ち抜きなどにおける静電気トラブルの発生を防止できるため特に好ましい。帯電防止剤としては、塗布型の帯電防止剤として一般的に用いられているものが任意に用いられる。
【0025】
また、該塗布層を設ける手段としては、グラビアコート、リバースコート、キスコートなどのロールコート方式、バーコート方式、エアナイフ方式、ブレードコート方式やコンマコート方式、カーテンコート方式、スプレイ方式、ディップ方式など通常用いられている方法を適用することができる。
【0026】
塗布する段階としては、未延伸ポリエステル系フィルム表面にあらかじめ塗布する方法、1軸方向に配向させたフィルム表面に塗布し、それを更に直角方向に配向させる方法、2軸配向処理後のフイルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能であるが、特に1軸配向したフイルム表面に塗布した後直角方向に延伸配向し、結晶化を完了させる方法が、接着性、経済性、クリーン度等の点で、最も好ましい方法である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではない。なお、下記実施例で採用した各種物性、性能の測定・評価法は次の通りである。
【0028】
(1)印刷性
ポリエステル系被覆フィルムの被覆層側の面に、UV硬化インキで印刷後、照射エネルギー500mJ/cm2で紫外線照射処理を行い印刷サンプルを得た。得られたサンプルを目視により以下のように判定した。
○:印刷部が鮮明で判りやすい
△:印刷部がやや不均一
×:印刷部が不均一
【0029】
(2)インキ密着性
酸化重合(あるいは溶剤)型インキの場合は、ポリエステル系フィルムの表面被覆層上にスクリーン(250メッシュ)によって印刷した後に、1日風乾させる。また、UV硬化型インキの場合には、ポリエステル系フィルムの表面被覆層上にスクリーン(300メッシュ)によって印刷した後に、UV露光装置により500mJ/cm2のUV露光を与え、UVインキを硬化させる。次に、各々のインキ面にカッターで2mm目100マスのクロスカット面を入れ、その上にセロテープ(25mm幅)を気泡が入らないように貼り付け、更にその上を擦って十分に密着させる。その後、上記インキ面のセロテープが密着されていない前後の両端部を手で押さえ、セロテープの上の方向(角度90度方向)にクロスカット面を急速に剥離し、剥離後のインキ残留率を以下の4段階の基準で評価し、密着性を評価した。
◎:残留率100%(全く剥離しない)
○:残留率90%以上100%未満(実用上問題なく使用できる)
△:残留率70%以上90%未満(密着性が若干弱く、実用上問題が発生する可能性有り)
×:残留率50%以上70%未満(密着性に問題有り)
【0030】
(3)耐粉落ち性
学振式摩擦試験器で荷重ヘッド部とフィルムの接触部に黒紙を用い、ヘッド部の荷重を200g、フィルムを10往復させて荷重ヘッド部と擦った後の黒紙の状態を目視により次のように判定した。
○:黒紙上に全く粉が付いていない
△:黒紙上に、0.5mm以下の粉が10ヶ所以下付いている
×:黒紙上に、0.5mm以下の粉が10ヶ所以上、または0.5mmより大きい粉が付いている
【0031】
(4)帯電防止性
ポリエステル系フィルムを23℃、65%RHの環境下で24時間シーズニングした後、高抵抗率計によりフィルム被覆層表面の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
【0032】
(5)不活性粒子の平均粒径
特開平1−284534号公報の記載に準じ、走査型電子顕微鏡と画像処理装置を用いて少なくとも100個以上の粒子を測定し、平均粒径(μm)を求めた。
【0033】
(6)被覆層の樹脂成分の厚み
走査型電子顕微鏡でフィルムの断面写真を撮り、その写真上で樹脂成分の厚みを計測する。同様の計測を場所を変えて100回行い、その計測値の平均を樹脂成分の厚み(μm)とした。
【0034】
(7)ポリエステル系樹脂フィルムの不透明度
マクベス濃度計TR−927型を使用し、Gフィルター下での透過光による光学濃度を測定した。光学濃度は、光線透過率(範囲:0〜100%)の対数(Log10)として表わされる。
【0035】
(8)ポリエステル系樹脂フィルムの見掛け比重
フィルムを10(cm)×10(cm)の正方形に正確に切り出し、その厚みを50点測定して平均厚みt(μm)を求める。次にサンプルの重量を0.1mgまで測定しW(g)とし、次式により算出した値を見掛け比重とした。
見掛け比重(g/cm3)=(W/t)×100
【0036】
実施例1
固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂80重量%と、メルトフローインデックス5.5g/10分のポリスチレン15重量%および平均粒径0.3μmのルチル型酸化チタン5重量%を含有する樹脂組成物を285℃で溶融し、表面温度40℃のドラム上に押し出しし、次いで得られた未延伸シートを90℃で3.5倍縦方向に延伸し一軸延伸フィルムを得た。
【0037】
共重合ポリエステル樹脂として「バイロナール」(東洋紡績(株)製)を固形分で3.15重量%、末端イソシアネート基を親水性基でブロックした水溶性ウレタン樹脂として「エラストロン」(第一工業製薬(株)製)を固形分で5.85重量%、帯電防止剤として第4級アンモニウム塩系帯電防止剤を、前記樹脂成分に対し6.2重量%、平均粒径0.45μmのシリカ粒子を樹脂/粒子重量比が42/58となるように、塗布液を調製した。
【0038】
この塗布液を、リバースキスコート法により延伸後の樹脂固形分厚みが0.3μmとなる様に塗布し、引き続き乾燥しつつ120℃で3.5倍横方向に延伸した後、230℃で4%緩和させながら熱処理し、厚さ50μmの内部に約25体積%の微細空洞を含有する表面処理ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1〜表2に示す。
【0039】
実施例2
被覆層に含有させる不活性粒子の平均粒径を0.3μm、樹脂/粒子重量比を45/55とした以外は、実施例1と全く同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1〜表2に示す。
【0040】
比較例1
被覆層に含有する不活性粒子の平均粒径を2.0μm、樹脂/粒子重量比を50/50、樹脂厚みを0.27μmとした以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。本比較例1は被覆層における不活性粒子の平均粒径dと樹脂層の厚みtの比(d/t)が7.41であり、本発明の請求項の上限範囲外である。得られたフィルムの特性と評価結果を表1〜表2に示す。
【0041】
比較例2
樹脂/粒子重量比を90/10とし、さらに樹脂厚みを0.49μmとした以外は、実施例1と全く同様にして、フィルムを得た。本比較例2は被覆層における不活性粒子の平均粒径dと樹脂層の厚みtの比(d/t)が、本発明の下限範囲外である。得られたフィルムの特性と評価結果を表1〜表2に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004203781
【0043】
【表2】
Figure 0004203781
【0044】
【発明の効果】
本発明のポリエステル系被覆フィルムは、インキ密着性を維持しながら、粉落ちを防止して印刷性を高めることができるので、特にラベル用基材として有用である。

Claims (6)

  1. 不透明度が光学濃度0.3以上であり、少なくとも片面に被覆層を有するポリエステル系フィルムにおいて、該被覆層がポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂成分と、少なくとも1種以上の不活性粒子とからなり、且つ、該被覆層の樹脂成分の厚みtが0.01〜1.0μmであり、該被覆層中の不活性粒子の平均粒径dが0.1〜1.0μmであり、該被覆層における樹脂/粒子重量比が35/65以上60/40未満であり、該被覆層における該不活性粒子の平均粒径d(μm)と樹脂成分の厚みt(μm)の比d/tが1.0以上2.5未満であることを特徴とするポリエステル系被覆フィルム。
  2. 請求項1記載のポリエステル系フィルムが、少なくとも60%以上のポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とするポリエステル系被覆フィルム。
  3. ポリエステル系フィルムが、少なくとも一軸に延伸され、かつ厚さが5〜300μmであることを特徴とする請求項1又は2記載のポリエステル系被覆フィルム。
  4. ポリエステル系フイルムが、該フィルム内部に空洞を含有し、該フィルムの見掛け比重が0.3〜1.3g/cmであることを特徴とする請求項1乃至3記載のポリエステル系被覆フィルム。
  5. 前記被覆層の樹脂が水不溶性、且つ、水分散性ポリエステル樹脂及び分子内に少なくとも1個のブロックイソシアネートを有する水性ウレタン系プレポリマーからなることを特徴とする請求項1乃至記載のポリエステル系被覆フィルム。
  6. 被覆層の表面抵抗値が1×1013Ω/□以下であることを特徴とする請求項1乃至記載のポリエステル系被覆フィルム。
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