JP3269155B2 - 空洞含有ポリエステルフィルム積層体 - Google Patents

空洞含有ポリエステルフィルム積層体

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JP3269155B2
JP3269155B2 JP00081893A JP81893A JP3269155B2 JP 3269155 B2 JP3269155 B2 JP 3269155B2 JP 00081893 A JP00081893 A JP 00081893A JP 81893 A JP81893 A JP 81893A JP 3269155 B2 JP3269155 B2 JP 3269155B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラベル、ポスター、記
録紙、包装材として使用されるポリエステルフィルム積
層体に関し、詳しくは、帯電防止性とインキ、コート剤
との濡れ性および接着性が改良され、フィルム内部に微
細な空洞を多量に含有した描画性を有するポリエステル
フィルム積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂を主原料とした紙代替物である
合成紙は、天然紙に比べて、耐水性、吸湿寸法安定性、
表面平滑性、印刷の光沢性と鮮明性、機械的強度等に優
れており、これらの長所を活用した用途展開が進められ
ている。上記合成紙の主原料としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエステル等が用いられているが、
この中でもポリエチレンテレフタレートを代表とするポ
リエステルは、耐熱性が高い点や、腰が強いという点で
優れており、広範な用途展開が可能である。
【0003】紙と類似した機能を有するポリエステルフ
ィルムを得る方法としては、微細な空洞をフィルム内部
に多量に含有させる方法、通常の平坦なポリエステルフ
ィルムをサンドブラスト処理やケミカルエッチング処
理、あるいはマット化処理(マット剤をバインダーと共
に積層する方法)等によって表面を粗面化する方法が知
られている。
【0004】これらの中で、微細な空洞をフィルム内部
に多量に含有させる方法は、フィルム自体を軽量化でき
るというメリットの他に、適度な柔軟性を付与できるた
め鮮明な印刷や転写が可能になるというメリットを有し
ている。この微細な空洞をフィルム内部に生成させる方
法としては、ポリエステルと相溶しない熱可塑性樹脂を
押出機で溶融混練し、ポリエステル中に熱可塑性樹脂を
微粒子状に分散させたシートを得てさらに該シートを延
伸することによって微粒子の周囲に空洞を発生させる方
法がある。
【0005】空洞発生のための上記ポリエステルに相溶
しない熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂
(例えば特開昭49−134755号公報)やポリスチ
レン系樹脂(例えば特公昭49−2016号公報、特公
昭54−29550号公報)やポリアクリレート樹脂
(例えば特公昭58−28097号公報)等が開示され
ている。
【0006】この空洞含有ポリエステルフィルムを製造
する時に最も大きな問題となっているのが、静電気障害
である。すなわち、ポリエステルフィルムは絶縁体であ
るので静電気が発生・蓄積し易いため、例えば、製膜工
程や印刷、接着、製袋、包装、その他の二次加工工程に
おけるロールへの巻き付き、人体への電気ショック、取
扱いの困難さといった作業能率の低下につながるトラブ
ルを初め、印刷ヒゲの発生、フィルム表面の汚れ等の商
品価値を低下させるトラブル等が多く起こっていた。ま
た、空洞含有ポリエステルフィルムは表面が高度に配向
されているため、各種のインキや接着剤との接着性が劣
るという問題も有していた。
【0007】これらのことから、種々の方法でポリエス
テルフィルムの接着性を向上させたり、帯電防止性を付
与する検討が行なわれている。接着性を向上させる方法
としては、フィルム表面をコロナ放電、紫外線、プラズ
マ等の活性線で処理する方法や、ポリエステル、ポリア
クリル酸エステル、ポリウレタン等の易接着性樹脂を塗
布する方法等がある。また、帯電防止性を付与する方法
としては、帯電防止性を有する界面活性剤、イオン性化
合物等の帯電防止剤や、金属粉や金属酸化物等の導電性
物質をポリエステル中に練込んだり、塗布したりする方
法がある。
【0008】これらの方法の中でも、易接着性樹脂を塗
布する際に帯電防止剤や導電性物質を添加することによ
って、塗布層に接着性と帯電防止性を同時に付与する方
法が容易である。ただし導電性物質を添加する方法は、
低湿度の環境下で帯電防止性が低下するといった界面活
性剤やイオン性化合物等の帯電防止剤が有する問題は起
きないが、塗布層中に大量の導電性物質を添加しなけれ
ば帯電防止性効果が発現しないため、接着性の付与効果
が低減したり透明性が低下してしまうという問題があっ
た。また、導電性物質は高価であるためコストが上がる
という問題も持っていた。これらのことから、帯電防止
剤を用いる方法がどちらかというと一般的である。
【0009】一方、帯電防止性と易接着性を付与するた
めの塗布層を有する二軸延伸ポリエステルフィルムの製
造方法として、塗布液を塗布後フィルムを延伸、熱処理
する塗布延伸法(インラインコート法)といわれるもの
がある。この方法は、二軸延伸後のポリエステルフィル
ムに塗布液を塗布して塗布層を形成する方法と比較する
と、フィルムの製膜と塗布を同時に実施するため幅広の
製品が比較的安価に得られるだけでなく、塗布層と基材
のポリエステルフィルムの密着性が良いものが得られる
等の特徴を有しており有用な方法である。
【0010】しかしながら、インラインコート法により
帯電防止性ポリエステルフィルムを製造する場合には、
一般に帯電防止剤が熱的に不安定なため延伸等の熱処理
工程で揮散あるいは熱分解が生じて期待された帯電防止
効果が発揮されない場合が多い。従って、従来は熱安定
性の良好なアニオン型やノニオン型の化合物をバインダ
ー樹脂と混ぜて塗布する方法が採用されてきた。しか
し、アニオン型やノニオン型の帯電防止剤は高湿度下で
は実用的な帯電防止性を発現するが、帯電防止性に対す
る環境の湿度の影響が大きく、低湿度下では帯電防止性
が低下するという問題があった。
【0011】また、帯電防止剤の添加のために接着性が
低下したり、塗布層の耐水性や耐溶剤性が低下するとい
う問題も発生しており、合成紙用として良好な接着性と
帯電防止性を合わせ持つポリエステルフィルムは得られ
ていないのが現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点を考慮して、静電気の発生、蓄積に
よる静電気障害を防ぐため帯電防止性を付与すること
と、インキやコーティング剤との濡れ性不良や接着性を
改善することによって、印刷や印字、複写等が鮮明でし
かも耐久性のあるラベル、ポスター、記録紙用空洞含有
ポリエステルフィルム積層体を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決すること
ができた本発明の空洞含有ポリエステルフィルム積層体
は、ポリエステルに対して不溶性である熱可塑性樹脂を
含有する未配向または一軸配向のポリエステルフィルム
の少なくとも片面に、側鎖にカチオン型の第4級アンモ
ニウム塩基を有し、かつ末端に重合性の二重結合を有す
る単官能ビニル単量体(X)、水酸基を有する単官能ビ
ニル単量体(Y)、およびこれらの単量体と共重合可能
な他の重合性ビニル単量体(Z)を共重合して得られる
水溶性イオン導電性樹脂(A)および熱架橋性単量体
(B)を主成分とする塗膜形成用樹脂組成物を塗布した
後さらに延伸を施すことによって得られるものであると
ころに要旨を有する。すなわち本発明は、上記樹脂組成
物をポリエステルフィルムに塗布することによって、帯
電防止性付与と接着性改善を同時に達成することに成功
したものである。
【0014】
【作用】本発明におけるポリエステルとは、テレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族
ジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール等のグリコールとを重縮合させて製
造されるポリエステルである。これらのポリエステルは
芳香族ジカルボン酸とグリコールを直接反応させる方法
や、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコー
ルをエステル交換反応させた後重縮合させる方法や、あ
るいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重
縮合させる方法等によって製造される。このようなポリ
エステルの代表例としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン
-2,6−ナフタレート等が挙げられる。これらのポリエス
テルはホモポリマーであっても、また第三成分を共重合
したものであってもよいが、エチレンテレフタレート単
位、ブチレンテレフタレート単位あるいはエチレン-2,6
- ナフタレート単位が70モル%以上、このましくは8
0モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である
ポリエステルが用いられる。本発明では、ポリエステル
フィルム中に多数の空洞を作るために、ポリエステルに
不溶性の熱可塑性樹脂が用いられる。
【0015】ポリエステルに不溶性の熱可塑性樹脂(以
下、空洞発現剤と言う)としては、上記ポリエステルに
不溶性のものであれば制限なく用いることができるが、
300℃以下で溶解するものであり、かつ押出し温度に
おいて安定性の良好なものが好ましい。具体的には、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の
ポリオレフィン系樹脂;アイオノマー樹脂、EPラバー
等の共重合ポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン
−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂;
ポリアリレート樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアク
リロニトリル系樹脂等を挙げることができる。これらの
中で、ポリオレフィン系樹脂およびポリスチレン系樹脂
が特に好適である。
【0016】本発明の空洞含有ポリエステルフィルム
は、まず上記空洞発現剤と前記ポリエステルを混合して
フィルム状に固化することによって得られる。例えば、
空洞発現剤およびポリエステルのチップを混合し押出機
内で溶融混練した後、押出しして固化したり、予め混練
機によって両者を混練したものをさらに押出機から溶融
押出しして固化する方法や、ポリエステルの重合工程に
おいてポリエステルに空洞発現剤を添加し撹拌分散し
て、得られたチップを溶融押出しして固化する方法等を
採用することができる。このポリエステルフィルムには
上記製膜工程で、用途に応じて顔料、着色剤、耐光剤、
蛍光剤、帯電防止剤等を添加することも可能である。
【0017】固化して得られたフィルムは通常、無配向
もしくは弱い配向状態のものとなる。このポリエステル
フィルム中には空洞発現剤であるポリエステルに不溶性
の熱可塑性樹脂が、球状もしくは楕円球状、もしくは糸
状等様々な形状で分散した形態をとっている。その分散
径は、球状のもので直径0.1〜30μmである。
【0018】こうして得られたフィルムは、後述の塗膜
形成用樹脂組成物を塗布する前または後に、速度差をも
ったロール間での延伸(ロール延伸)やクリップに把持
して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)や空気
圧によって拡げることによる延伸(インフレーション延
伸)等によって少なくとも1軸に配向処理される。この
ときに、フィルム中に分散している空洞発現剤とポリエ
ステルとの界面で剥離が起こってフィルムに空洞が多数
発生する。
【0019】従って、ポリエステルに混合させる空洞発
現剤の量は、目的とする空洞の量によって異なってくる
が、フィルムに対して1〜35重量%が好ましい。1重
量%未満では、空洞の生成量を多くすることに限界があ
り、合成紙として使用する場合の柔軟性や軽量性や描画
性が得られない。逆に、35重量%より多いと、ポリエ
ステルフィルムの持つ耐熱性や強度が著しく損なわれ
る。
【0020】ポリエステルフィルムを配向処理する条件
も空洞の生成と密接に関連がある。例えば最も一般的に
行なわれている逐次2軸延伸工程では、成形後のポリエ
ステルフィルムを長手方向にロール延伸した後に幅方向
にテンター延伸する逐次2軸延伸法の場合、ロール延伸
の温度は50〜140℃、倍率は1.2〜5倍が、テン
ター延伸の温度は60〜150℃、倍率は1.2〜5倍
が好ましい。さらに延伸配向処理した空洞含有フィルム
は、130℃以上好ましくは180℃以上で熱固定処理
を行なうと高温での寸法安定性を向上させることができ
る。
【0021】本発明は、配向処理によって空洞を発生さ
せた空洞含有ポリエステルフィルムに関するものである
ので、少なくとも1軸に配向させることが必要である。
なお、1軸方向にのみ配向させた空洞含有フィルムは、
収縮性フィルムや易引裂き性フィルム等に有用である。
【0022】本発明では、未延伸または一軸配向のポリ
エステルフィルムの少なくとも片面に、側鎖にカチオン
型の第4級アンモニウム塩基を有し、かつ末端に重合性
二重結合を有する単官能ビニル単量体(X)と、水酸基
を有する単官能ビニル単量体(Y)と、XおよびYとの
共重合可能な他の重合性ビニル単量体(Z)を共重合し
て得られる水溶性イオン導電性樹脂(A)および熱架橋
性単量体(B)を主成分とする塗膜形成用樹脂組成物が
塗布されていることが必須要件である。この塗膜形成用
樹脂組成物をポリエステルフィルム表面に塗布すること
により、接着性と帯電防止性を同時に付与することが可
能である。
【0023】上記イオン導電性樹脂(A)中の、側鎖に
カチオン型の第4級アンモニウム塩基および末端に重合
性の二重結合を有する単官能ビニル単量体(X)として
は、例えばジメチルアミノエチルアクリレート4級化
物、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物、ジ
エチルアミノエチルアクリレート4級化物、ジエチルア
ミノエチルメタクリレート4級化物、メチルエチルアミ
ノエチルアクリレート4級化物、メチルエチルアミノエ
チルメタクリレート4級化物、ジメチルアミノスチレン
4級化物、メチルエチルアミノスチレン4級化物等が挙
げられ、これらの1種または2種以上を使用することが
できる。
【0024】また、水酸基を有する単官能ビニル単量体
(Y)としては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げら
れ、上記(X)および(Y)と共重合可能な他の重合性
ビニル単量体(Z)としては、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸ア
ルキルエステル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニ
ル等のビニル単量体が挙げられる。
【0025】上記単官能ビニル単量体(X)と、単官能
ビニル単量体(Y)と、他の重合性ビニル単量体(Z)
を従来公知のラジカル重合で共重合することによりイオ
ン導電性樹脂(A)が得られるが、これらの共重合割合
は、(Y+Z)/Xの重合比率として5/1〜2/1の
範囲が好ましい。この重合比が5/1を超えるとイオン
導電性樹脂(A)の水溶性が低下したり、イオン導電性
樹脂(A)中にカチオン型の第4級アンモニウム塩基を
導入するための単官能ビニル単量体(X)の比率が結果
的に少なくなるため、帯電防止性に優れた塗膜が得られ
ない。一方、上記共重合比率が2/1未満の場合には塗
膜の耐水性が低下する傾向となり、得られた塗膜のべた
つきやブロッキング性が増加する。
【0026】また、(X+Z)/Yの重合比率は、10
/1〜15/1の範囲が好ましく、この重合比率が15
/1を超えると、水酸基を有する単官能ビニル単量体
(Y)が少なくなって後述の熱架橋性単量体(B)との
架橋点となる水酸基が少なくなり結果的に架橋性が不足
するため、塗膜の耐水性および耐溶剤性が低下する。一
方、重合比率が10/1未満の場合には、水酸基が多く
なり過ぎて、やはり塗膜の耐水性および耐溶剤性が低下
する。
【0027】イオン導電性樹脂(A)と共に塗膜形成用
樹脂組成物を構成する熱架橋性単量体(B)は、上記単
量体(Y)中の水酸基との反応性を有する単量体であれ
ば特に限定されないが、2〜4個のグリシジル基を有す
るエポキシ化合物が好ましく用いられる。このようなエ
ポキシ化合物の具体例としては、例えばエチレングリコ
ールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジル
エーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエー
テル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、
グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロール
プロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリ
グリシジルエーテル等が挙げられ、これらの1種または
2種以上を使用することができる。
【0028】本発明の塗膜形成用樹脂組成物中の、イオ
ン導電性樹脂(A)と熱架橋性単量体(B)との配合比
率は、重量比でA/Bが70/30〜97/3の範囲が
好ましい。配合比率が70/30未満の場合、熱架橋性
単量体(B)が過剰になるため得られる塗膜の耐水・耐
溶剤性は向上するが、帯電防止性が悪化したり、塗膜の
延展性が低下する。配合比率が97/3を超えると、熱
架橋性単量体(B)の量が減少して架橋反応性が低下す
ることにより塗膜の耐水・耐溶剤性が悪化したり、やは
り塗膜の延展性が低下し帯電防止性が悪化するため好ま
しくない。
【0029】なお本発明では、上記塗膜形成用樹脂組成
物を使用して塗膜を形成する場合、熱架橋性単量体
(B)を構成しているエポキシ化合物の架橋反応を促進
させるために、架橋促進剤として有機もしくは無機の水
溶性アルカリ化合物、例えば、アミン、ポリアミン、ア
ミドアミン、ポリアミドアミン、イミダゾール、アルカ
リ金属炭酸塩、およびこれらの誘導体を少量使用するこ
とが望ましい。
【0030】本発明では、イオン導電性樹脂(A)が水
溶性であるので、塗膜形成用樹脂組成物を水溶液で用い
ることが好ましいが、ポリエステルとの濡れ性を改良す
る等の目的でアルコール等の有機溶剤を併用しても良
い。また、塗膜形成用樹脂組成物中には、必要に応じて
他の架橋剤、触媒、濡れ剤等や本発明の目的を阻害しな
い範囲で紫外線吸収剤、顔料、有機フィラー、無機フィ
ラー、潤滑剤、ブロッキング防止剤等を添加してもよ
い。また他のバインダー樹脂を併用し、接着性やブロッ
キング性等の特性の改良を行なうこともできる。
【0031】本発明の空洞含有ポリエステルフィルム積
層体は、上記塗膜形成用樹脂組成物の溶液を、前記した
空洞発現剤を含有した未配向のポリエステルまたは既に
一軸配向された空洞含有ポリエステルの少なくとも片面
に塗布することにより製造される。塗布層を設ける方法
としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディ
ップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、
エアーナイフコート方式、プレードコート方式、リバー
スロールコート方式等通常用いられている方法が適用で
きる。塗布する段階としては、配向処理を行なう前のフ
ィルム表面に予め塗布する方法、1軸方向に配向したフ
ィルム表面に塗布し、それをさらに直角方向に配向させ
る方法(インラインコート法)が採用できる。二軸延伸
フィルムは広幅であり、フィルムの走行速度が速くなっ
ていて均一に塗布しにくいためと、配向させる時に行な
う熱固定で塗膜の熱架橋を行なうため好ましくない。
【0032】本発明に係る塗膜形成用樹脂組成物は、ポ
リエステルフィルムの片面に塗布しただけで塗布面のみ
でなく非塗布面にも帯電防止性が発現するため、ポリエ
ステルフィルムの片面に塗布されれば該フィルムの帯電
防止性能は充分優れたものとなるが、両面に塗布すれば
両面共に接着性が向上する。また、片面に上記塗膜形成
用樹脂組成物を塗布し、この塗布面の反対側の面に接着
性を向上させる特性を有した他のバインダー樹脂層を塗
布する方法を採用してもかまわない。
【0033】ポリエステルフィルムに塗布される塗膜形
成用樹脂組成物の溶液の塗布量は、二軸延伸後のフィル
ム上に存在する固形分量として0.01〜5g/m2
好ましい。塗布量が0.01g/m2 未満の場合は、充
分な帯電防止性が得られず、5g/m2 以上塗布すると
ブロッキングが問題となる。本発明に用いられるポリエ
ステルフィルム自体の厚さは、磁気カードの用途に応じ
て決定されるが一般的には100〜500μmのものが
好ましく用いられる。
【0034】上記塗膜形成用樹脂組成物の溶液を塗布す
る前に、例えばフィルムにコロナ放電処理を施す等、溶
液の塗布性を改良したりフィルムと塗膜との間の接着性
を改善しても構わない。また塗布層にさらにコロナ放電
処理、窒素雰囲気下でのコロナ放電処理、紫外線照射処
理等を施すことによってフィルム表面の濡れ性や接着性
を向上させることもできる。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で
変更・実施することは本発明に含まれる。なお、実施例
で行なった測定方法および評価方法は次の通りである。
【0036】(1) ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをフェノール(6重量部)とテトラクロロ
エタン(4重量部)の混合溶媒に溶解し、30℃で測定
した。 (2) ポリスチレン系樹脂(空洞発現剤)のメルトフロー
インデックス JIS K-7210に準じて200℃、荷重5kgで測定した。 (3) 結晶性ポリプロピレン樹脂(空洞発現剤)のメルト
フローインデックス JIS K-6758に準じて230℃、荷重2.16kgで測定
した。 (4) フィルムの見掛け比重 フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確
に切り出して、厚みを50点測定し平均厚みt(μm)
とし、重さを0.1mgまで測定しW(g)とし、下式
によって計算した。 見掛け比重(−)=W/(5×5×t×10000)
【0037】(5) フィルムの空洞含有率 下式によって計算した。 空洞含有率(体積%)=100×(1−真比容積/見掛
け比容積) ただし、 真比容積= x1/d1+x2/d2+x3/d3+ … +x1/d1+ … 見掛け比容積=1/フィルムの見掛け比重 上式におけるx1 はi成分の重量分率、d1 はi成分の
真比重を表わす。
【0038】実施例中の計算において用いた真比重の値
は、ポリエチレンテレフタレート1.40、アナターゼ型二
酸化チタン3.90、一般用ポリスチレン樹脂1.05、結晶性
ポリプロピレン樹脂0.91である。
【0039】(6) 空洞含有フィルムの隠蔽性 JIS K6714 に準じ、ポイック積分球式 H.T.R. メーター
(日本精密光学製)を用いてフィルムの光線透過率を測
定した。この値が小さい程隠蔽性が高い。通常用いられ
ている静電複写用パルプ紙は27%である。 (7) 鉛筆による描画性 ユニ 0.5−100HB のシャープペン替芯(三菱鉛筆製)を
用いたシャープペンで空洞含有フィルムの手書き描画の
可否を判定した。 (8) 表面固有抵抗 タケダ理研社製固有抵抗測定器で印加電圧500V、2
3℃、50%RHの条件下で測定した。
【0040】(9) 耐水性、耐溶剤性の評価 各溶剤にフィルムを浸漬し、室温(26℃)で16時間
放置後の表面抵抗を測定した。 (10)水性インキとの接着性 水性インキとしてアクアカラー39藍(東洋インキ製造
社製)をグラビアコーターで乾燥後の厚さが3μmにな
るように試料フィルム上に塗布し、乾燥後インキとフィ
ルムの接着性をセロハンテープ剥離テストによって調べ
た。印刷面にセロハンテープを貼付した後、フィルムを
平面に保ちセロハンテープを約150°の方向に剥離
し、試料フィルムの印刷面におけるインキの残存面積を
画像処理装置ルーゼックスIID(ニレコ社製)で測定
し、%で表示した。残存面積が多いほど接着性が良好で
ある。
【0041】実施例1 (1-1) 塗膜形成用樹脂組成物の製造 常法によりメチルメタクリレート(MMA)/エチルア
クリレート(EA)/2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート(HEMA)/ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト4級化物(DM)を、重量組成比として47/21/
7/25の割合で共重合して水溶性イオン導電性樹脂の
水溶液を得た。この水溶液に、エポキシ化合物としてグ
リセロールポリグリシジルエーテル(GPGE)をイオ
ン導電性樹脂固形分に対して4重量%添加し、さらに架
橋促進剤として2−メチルイミダゾールを前記グリセロ
ールポリグリシジルエーテルに対して2.5重量%添加
混合して固形分7重量%の塗膜形成用樹脂組成物の水溶
液を得た。
【0042】(1-2) 空洞含有ポリエステルフィルム積層
体の調製 原料として固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレ
ート樹脂82重量%と、アナターゼ型二酸化チタン8重
量%、およびメルトフローインデックス3.0g/10
分でn−ヘキサン抽出分の量が4.5重量%である一般
用ポリスチレン10重量%を、2軸スクリュー押出機で
T−ダイスより285℃で溶融押出し、静電気的に冷却
回転ロールに密着固化し、引続きロール延伸機で80℃
で3.0倍縦延伸を行なった。この延伸フィルム表面に
コロナ放電処理を施し、該コロナ放電処理面に(1−
1)で調製した塗膜形成用樹脂組成物溶液をエアーナイ
フ方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥した。次いでテン
ターで130℃で3.2倍横延伸を行ない220℃で熱
固定して、厚さ57μm(樹脂組成物層0.20μm)
の白色ポリエステルフィルム積層体を得た。得られたポ
リエステルフィルムの特性を表2に示す。
【0043】実施例2〜5 実施例1の塗膜形成用樹脂組成物の組成を表1に記載し
たように変更する以外は同様にしてポリエステルフィル
ム積層体を得た。特性評価結果を表2に併記した。
【0044】実施例6 実施例1において、ポリスチレンに替えてメルトフロー
インデックス2.5g/10分の結晶性ポリプロピレン
を用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィ
ルム積層体を得た。特性評価結果を表2に示す。
【0045】実施例7 実施例1においてアナターゼ型二酸化チタンの配合を止
め、その分ポリエチレンテレフタレート樹脂の配合を増
し、かつ、実施例4の方法で用いた塗膜形成用樹脂組成
物を用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフ
ィルム積層体を得た。特性評価結果を表2に示す。
【0046】比較例1〜3 実施例1の塗膜形成用樹脂組成物の組成を表1に記載し
たように変更する以外は同様にしてポリエステルフィル
ム積層体を得た。特性評価結果を表2に併記した。比較例4 表1の比較例2の樹脂(A)とスルホン酸ナトリウム塩
よりなる市販のアニオン系帯電防止剤を8/2の割合で
混合した溶液を塗布液とする以外は実施例1と同様にし
てポリエステルフィルム積層体を得た。特性評価結果を
表2に併記した。
【0047】比較例5 実施例1の塗膜形成用樹脂組成物の水溶液を塗布しない
以外は同様にしてポリエステルフィルム積層体を得た。
特性評価結果を表2に併記した。比較例6 実施例1において空洞発現剤であるポリスチレンの配合
を取りやめ、その分ポリエチレンテレフタレートの配合
量を増す以外は同様にしてポリエステルフィルム積層体
を得た。特性評価結果を表2に示した。
【0048】
【表1】
【0049】MMA :メチルメタクリレート EA :エチルアクリレート HEMA :2−ヒドロキシエチルメタクリレート DM :ジメチルアミノエチルメタクリレート4級
化物 GPGE :グリセロールポリグリシジルエーテル DGPGE:ジグリセロールポリグリシジルエーテル
【0050】
【表2】
【0051】本実施例1〜7で得られた空洞含有ポリエ
ステルフィルム積層体はいずれも紙のような外観を有
し、鉛筆での描画が可能であった。また水性インクとの
接着性や、耐水性や耐溶剤性に優れており、かつ、表面
抵抗が小さく帯電防止性に優れた高品質なものであっ
た。一方、比較例1では塗膜の延展性が乏しく不均一な
塗布となった。比較例2の試料フィルムは帯電防止性は
良好であるが、耐水・耐溶剤性が劣っており、比較例3
の試料フィルムは帯電防止性が劣っていた。市販の帯電
防止剤を混合して用いた比較例4の試料フィルムは、帯
電防止性、耐水性、耐溶剤性、接着性のいずれもが劣っ
ていた。非コーティングの比較例5は帯電防止性、接着
性が劣っていた。比較例6は空洞含有率が1%と低いた
め、鉛筆で描画することができなかった。
【0052】
【発明の効果】本発明の空洞含有ポリエステルフィルム
積層体は、従来のポリスチレンやポリプロピレンを空洞
発現剤として用いて得られる空洞含有ポリエステルフィ
ルムと同様に、通常の空洞を含まないポリエステルフィ
ルムにない、軽量性、柔軟性、隠蔽性、艶消し性、描画
性等を有していると共に、従来の空洞含有ポリエステル
フィルムに比べ、優れた帯電防止性と接着性を有してい
る。従って本発明の空洞含有ポリエステルフィルム積層
体は、静電気障害を起こさずに製造加工でき、しかも印
刷や印字が鮮明でかつ耐久性に優れた高品質のラベル、
ポスター、記録紙、包装材料、印画紙、磁気記録カード
等を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−248745(JP,A) 特開 平5−1164(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 - 7/06 B32B 27/00 - 27/42

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルに対して不溶性である熱可
    塑性樹脂を含有する未配向または一軸配向のポリエステ
    ルフィルムの少なくとも片面に、側鎖にカチオン型の第
    4級アンモニウム塩基を有し、かつ末端に重合性の二重
    結合を有する単官能ビニル単量体(X)、水酸基を有す
    る単官能ビニル単量体(Y)、およびこれらの単量体と
    共重合可能な他の重合性ビニル単量体(Z)を共重合し
    て得られる水溶性イオン導電性樹脂(A)および熱架橋
    性単量体(B)を主成分とする塗膜形成用樹脂組成物を
    塗布した後さらに延伸を施すことによって得られること
    を特徴とする空洞含有ポリエステルフィルム積層体。
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