JP4608150B2 - 転写媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写媒体に関するものであり、詳しくは、プリンター、ファクシミリ等の感熱転写装置等に用いられる熱転写記録媒体に関し、帯電防止性、転写層の受容性、受容した転写層の転写性に優れた転写媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙やプラスチックフィルム等の表面に着色剤を含む熱溶融性インキ層や、熱反応型発色反応成分等を設けた熱転写記録媒体は従来知られている。
例えば、熱溶融性インキ層を有する熱転写記録媒体は、受容シートをその上に重ね、下面からサーマルヘッド等で熱印刷することにより、受容シート上に溶融インキを転写させて着色画像を得ることができる。一方、熱反応型発色反応成分含有層を有する熱転写記録媒体は、その上に、受容シートや、その発色反応成分と加熱時に反応して発色させる反応成分を含有する層を有するシートを重ね下面からサーマルヘッド等で熱印刷することにより、受容シート面に発色画像を形成させることができる。
これらの用途に対応した転写媒体に対する要求特性として、転写層の受容性、受容した転写層の転写性という二律背反する特性が望まれている。また、転写層を受容する時に転写媒体が帯電している場合には、転写層がきれいに受容されない場合があるので、帯電防止性も望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、転写層の受容性、受容した転写層の転写性、帯電防止性に優れ、その結果、熱転写等により画像を形成させる受容シート面に、高忠実な画像等を形成させることができる転写媒体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定のフィルムによれば、上記課題が容易に解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、フィルムの少なくとも片面に塗布層を有する積層フィルムからなり、当該塗布層が、単位内に第4級アンモニウム塩を含有するカチオン性単量体単位、疎水性単量体単位およびオルガノシロキサン単位からなるカチオン性重合体を含み、塗布層表面の表面抵抗が1×1011Ω以下、塗布層表面の水滴接触角が70〜90度以下、塗布層表面のアクリル系粘着剤による粘着力が200〜3000mN/cmであることを特徴とする転写媒体に存する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の転写媒体は、感熱転写装置等に用いられる熱転写記録媒体等として使用されるものであり、フィルムの一方の表面に塗布層が設けられた積層フィルムからなる。本発明において、フィルムは特に限定される訳ではないが、二軸配向ポリエステルフィルムが好ましい。
本発明において、フィルムの一例として、二軸配向ポリエステルフィルムの説明を行う。すなわち、二軸配向ポリエステルフィルム(以下フィルムと略記する)とは、いわゆる押出法に従い押出口金から溶融押出しされたシートを延伸して配向させたフィルムである。
【0006】
上記のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるポリエステルを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
上記のポリエステルは、第三成分を含有した共重合体であってもよい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分およびグリコール成分は、二種以上を併用してもよい。
【0007】
本発明においては、その取扱性を考慮した場合、透明性を損なわない条件でフィルムに粒子を含有させることが好ましい。粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン、カオリン、タルク、ゼオライト、フッ化リチウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、特公昭59−5216号公報に記載されているような耐熱性高分子微粉体などが挙げられる。これらの粒子は、2種以上を併用してもよい。粒子の平均粒径は、通常0.02〜2μm、好ましくは0.05〜1.5μm、さらに好ましくは0.05〜1μmである。粒子の含有量は、通常0.01〜2重量%、好ましくは0.02〜1重量%である。
【0008】
フィルムに粒子を含有させる方法としては、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステル製造工程の任意の段階で粒子を添加することができる。特に、エステル化の段階またはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階において、エチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付混練押出機を使用し、エチレングリコールまたは水に粒子を分散させたスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、混練押出機を使用し、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法なども採用し得る。
【0009】
フィルムの製造は、押出法に従い押出口金から溶融押出しされたシートを縦および横方向の二軸方向に延伸して配向させる方法によって行われる。
押出法においては、ポリエステルを押出口金から溶融押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法または液体塗布密着法が好ましく採用される。
フィルムの二軸方向の延伸配向方法については特に限定されるものではないが、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法等が採用される。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜20倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。逐次二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜115℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
【0010】
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、必要に応じて熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
本発明において、フィルム厚さは特に限定されるものではないが、通常5〜50μm、好ましくは5〜25μmである。フィルムの厚さが5μm未満の場合は、転写層形成工程等における取扱性などが悪くなる場合がある。また、フィルムの厚さが50μmを超える場合には、転写層の転写性が低下する場合がある。
【0011】
本発明に用いることのできる塗布層は、例えば、カチオン性共重合体を水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の溶媒に溶解した状態で二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面に塗工され、その後、乾燥したものである。塗工に関しては、特に制限は無いが、通常は、エアーナイフコート、ブレードコート、バーコート、グラビアコート、カーテンコート、ロールコート等の塗工機械で行われる。塗布層の厚みは、0.01μm〜3μm、好ましくは0.05μm〜2μmの範囲である。塗布層の厚みが0.01μm未満の場合は、アクリル系粘着剤との粘着力が上昇する傾向があり、塗布量が3μmを超える場合には、塗布フィルムにカールが強く発生してくる場合がある。なお、塗工に際して、カチオン性共重合体の性能に悪影響を及ぼさない限り、必要に応じて、他の添加剤、例えば、モノマー、樹脂、架橋剤、顔料等を適宜混合して用いることができる。
【0012】
ここで言うカチオン性共重合体は主成分として、カチオン性単量体単位、疎水性単量体単位およびオルガノポリシロキサン単位からなる。
本発明に使用できるカチオン性単量体単位としては、例えば、その単位内に第4級アンモニウム塩基を含有するものである。中でも、下記一般式(a)で表される単量体単位を使用することにより、より優れた帯電防止性、防汚性を付与することができる。
【0013】
【化1】
【0014】
(上記式中、AはOまたはNHを表し、R2は水素またはCH3を表し、R3は炭素数2〜4のアルキレン基、または−CH2CH(OH)CH2−を表し、R4、R5、およびR6は、同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を表し、Xは、ハロゲンもしくはアルキル硫酸イオンを表す)
【0015】
上記のカチオン性単量体単位は、具体的には、例えば(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等の(メタ)アクリル系単量体単位、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリルアミド系カチオン性単量体単位が挙げられる。これらは、その該当する単量体を重合してもよいし、その前駆体である第3級アミノ基を有する単量体、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドをまず重合した後、メチルクロライド等の変性剤でカチオン化してもよい。
【0016】
カチオン性単量体単位は、共重合体中の通常15〜60重量%を占めればよい。15重量%未満の場合は、帯電防止性が不十分となる傾向がある。また、60重量%を超える場合は、ブロッキングが起こりやすくなる傾向がある。
本発明で使用できる疎水性単量体単位は、各種のものを使用することができる。疎水性単量体単位は具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。疎水性単量体単位は、共重合体中の30〜84.9重量%を有する。30重量%未満の場合は、防汚性が不十分となり、84.9重量%を超える場合は、相対的に帯電防止性能が低下する。
【0017】
本発明で使用できるオルガノポリシロキサン単位は、例えば、下記一般式(b)で表されるものである。
【0018】
【化2】
【0019】
(上記式中、R1は、同一でも異なっていてもよい炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表し、nは、5以上の整数を表す)
ここで、nが5未満では、得られる共重合体に十分な滑性を付与することが困難となる傾向がある。また、オルガノポリシロキサン単位のカチオン性共重合体に含まれる割合は、通常0.1〜20重量%である。0.1重量%未満であると、防汚性が不十分となる傾向があり、20重量%を超えても防汚性はこれ以上良くなることが期待できない。
【0020】
カチオン性共重合体中のオルガノポリシロキサン単位は、具体的には下記一般式(イ)、(ロ)または(ハ)で示される前駆体を用いて共重合体中に組み込むのが好適である。下記の一般式において示した前駆体は、反応性基Dを用いて、これらを共重合体中に組み込むことができる。
【0021】
【化3】
【0022】
(上記式中、Dは、ビニル基、アクリロイルオキシアルキル基およびメタクリロイルオキシアルキル基からなる群から選ばれたラジカル重合性基、またはグリシドキシアルキル基等のエポキシ基またはアミノアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)
【0023】
【化4】
【0024】
(上記式中、Dは、ビニル基、アクリロイルオキシアルキル基およびメタクリロイルオキシアルキル基からなる群から選ばれたラジカル重合性基、またはグリシドキシプロピル等のエポキシ基またはアミノアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)
【0025】
【化5】
【0026】
(上記式中、Dは、グリシドキシプロピル等のエポキシ基、アミノアルキル基またはメルカプトアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表し、mは1〜20の整数を表し、nは5以上の整数を表す)
これらの前駆体は反応性シリコーンとして市販されているものを使用することができるが、高分子量になると反応性が低下することから考えて、一般式(イ)、(ロ)の場合にはnとして200以下が好ましく、一般式(ハ)の反応性基が多い場合でも400以下が好ましい。
これら前駆体をカチオン性共重合体成分として組み込む方法としては、反応性基Dが重合性基の場合には他の単量体と同時に重合すればよく、メルカプトアルキル基の場合には、この前駆体存在下において、カチオン性単量体(a)と疎水性単量体(b)とを重合すれば、連鎖移動により効率よく導入できる。
【0027】
さらに、反応性基Dがエポキシ基の場合には、カチオン性単量体(a)と疎水性単量体(b)との共重合を、エポキシ基と反応性のある(メタ)アクリル酸等のカルボン酸基含有単量体またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第3級アミン基含有単量体の塩酸塩等の単量体類とともに行い、次いで前駆体のエポキシ基と反応させればよい。
【0028】
同様に、反応性基Dがアミノアルキル基の場合は、カチオン性単量体(a)と疎水性単量体(b)との共重合を、グリシジル(メタ)アクリレート等のアミノ基と反応する単量体と共に行い、次いで前駆体のアミノ基と反応すればよい。なお、帯電防止性と防汚性に影響の無い限り、必要に応じて、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン等の他の親水性単量体を共重合成分として含んでもよい。
重合法としては、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知のラジカル重合法が実施できる。好ましい重合法は、溶液重合法であり、各単量体を溶媒に溶解し、重合開始剤を添加し、窒素気流下において、加熱撹拌することにより実施される。溶媒は、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が好ましく、またこれらの溶媒は混合使用してもよい。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、アゾビスブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ化合物が好適に用いられる。単量体濃度は、通常10〜60重量%であり、重合開始剤は通常単量体に対し、0.1〜10重量%である。
【0029】
カチオン性共重合体の分子量は、重合温度、重合開始剤の種類および量、溶剤使用量、連鎖移動等の重合条件、オルガノポリシロキサン前駆体の種類および反応性基の含有量等により任意のレベルとすることができる。一般には、得られるカチオン性共重合体の分子量は5000〜50万の範囲が好ましい。上記のように調整した塗料を使用し、二軸配向ポリエステルフィルム上に作成された塗布層は、帯電防止性、防汚性等に優れる。
本発明に用いることのできる他のカチオン性共重合体としては、オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体と、分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化樹脂を主成分とするものを挙げることができる。
【0030】
オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体は、必要に応じて、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するものであってもよい。
このオルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体は、1分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物とを重合して得た3級アミン重合体化合物を4級化剤で4級アンモニウム塩とすることにより得られる。オルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル性基を有する3級アミン化合物を共重合する際、これらの単量体に加えて、他の(メタ)アクリル酸エステルを共重合させることもできる。また、このオルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体は、1分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、1分子中に1個のラジカル重合性基を有する4級アンモニウム塩とを重合することにより得られる。オルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する4級アンモニウム塩を共重合する際、これらの単量体に加えて他の(メタ)アクリル酸エステルを共重合することもできる。
【0031】
1分子中に1個のラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物は、アクリル、メタクリル、スチリル、ケイ皮酸エステル、ビニル、アリル等のラジカル重合性基を1分子中に1個有するものである限り特に制限されないが、1分子中に1個のラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物とラジカル重合性基を有する3級アミン化合物またはラジカル重合性基を有する4級アンモニウム塩との共重合の容易さを考慮すると、アクリル、メタクリル、スチリルのラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物であることが好ましい。
また、ラジカル重合性基を有する3級アミン化合物またはラジカル重合性基を有する4級アンモニウム塩が重合する際、連鎖移動によりスルフィド結合を介して、重合体中に導入される1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物も好適に用いることができる。このオルガノポリシロキサン化合物に含まれるオルガノポリシロキサン単位は下記一般式(c)で表される。
【0032】
【化6】
【0033】
(上記式中、R1とR2は、同一でも異なっていてもよく、メチル基またはフェニル基であり、nは、5以上の整数を表す)
1分子中に1個のラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の数平均分子量は400〜60000、好ましくは1000〜30000である。
ラジカル重合性基を有する3級アミン化合物の1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物は、下記式(d)で表される。
【0034】
【化7】
【0035】
(上記式中、R3はHまたはCH3を、R4とR5はHまたは置換基を含んでいてもよい炭素数が1〜9のアルキル基を、kは1〜6の整数を表す)
かかるラジカル重合性基を有する3級アミン化合物としては、例えば、N, N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N, N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N, N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N, N−ジメチルアミノブチルメタクリレート、N, N−ジヒドロキシエチルアミノエチルメタクリレート、N, N−ジプロピルアミノエチルメタクリレート、N, N−ジブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0036】
また、ラジカル重合性基を有する4級アンモニウム塩の1分子中に1個のラジカル重合性基を有する4級アンモニウム塩としては、上記式(d)で表される3級アミン化合物を、例えばメチルクロライド、ブチルクロライド等のアルキルクロライド、メチルブロマイド、メチルベンジルクロライド、ベンジルクロライド等のハロゲン化物、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル類等の4級化剤により4級化したものが挙げられる。
1分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物または4級アンモニウム塩とを共重合する際、これら単量体に加えて(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、1分子中に1個のラジカル重合性基を有する、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
1分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物または4級アンモニウム塩とを共重合する際、1分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物の使用量は、共重合性単量体100重量%中、通常1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%である。1重量%未満では、ビニル重合体を塗布層表面に引き出す(ブリードアウト)能力に欠け、塗布層に十分な帯電防止性が得られない場合がある。また、40重量%を超えると、1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物または4級アンモニウム塩の使用割合が低下し、十分な帯電防止性が得られないことがある。
【0038】
他方の、1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物または、4級アンモニウム塩の使用量は、共重合性単量体100重量%中、通常60〜99重量%、好ましくは60〜95重量%である。60重量%未満では、塗布層に十分な帯電防止性が得られない場合がある。また、99重量%を超えると、オルガノポリシロキサン化合物の使用割合が低下し、塗布層に十分な帯電防止性が得られないおそれがある。
上記、オルガノポリシロキサン化合物単量体、ラジカル重合性基を有する3級アミン化合物単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体およびラジカル重合性基を有する4級アンモニウム塩単量体の共重合は、溶剤中で通常のラジカル重合開始剤を用いて行われる。溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、2−メトキシエトルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、等のエーテルエステル類および水が挙げられ、またこれらを混合使用することもできる。
【0039】
重合反応に使用するラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、2, 2’−アゾビスイソブチロニトリル、2, 2’−アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)、2, 2’−アゾビス(4−メトキシ−2, 4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好適に用いられる。重合液中の単量体濃度は、通常10〜60重量%であり、重合開始剤は通常単量体混合物に対し、0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%の量使用される。
オルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物および必要に応じ(メタ)アクリル酸エステルを共重合した場合は、共重合して得た3級アミン重合体化合物を4級化剤を用いて4級アンモニウム塩とする。4級化剤としては、例えば、メチルクロライド、ブチルクロライド、等のアルキルクロライド、メチルブロマイド、メチルベンジルクロライド、ベンジルクロライド等のハロゲン化物、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル類等が挙げられる。
【0040】
これらの方法で得られるオルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体の中でも、1分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物、および必要に応じ(メタ)アクリル酸エステルを共重合して得た3級アミン重合体化合物をアルキルクロライドで4級アンモニウム塩とすることにより、得られる重合体が、分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートとの相溶性に優れ、透明性のよい塗布層が得られる点から特に望ましい。
オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体として、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体を用いると、活性エネルギー線照射時にこの重合体と多官能アクリレートとの間に結合が形成され、帯電防止性能の耐久性の向上をはかることができる。
【0041】
オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合体は、例えば、オルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物または4級アンモニウム塩を共重合する際、これら単量体に加えてグリシジル(メタ)アクリレートを共重合した後、(メタ)アクリル酸を付加(3級アミン化合物を用いた場合は、さらに得られた3級アミン重合体化合物を4級化剤で4級アンモニウム塩にする)することにより得られる。
また、オルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物または4級アンモニウム塩を共重合する際、これら単量体に加えてヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを共重合した後、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートとトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物のモル比1対1の付加体や、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等を付加(3級アミン化合物を用いた場合は、さらに、得られた3級アミン重合体化合物を4級化剤で4級アンモニウム塩にする)することにより得られる。
【0042】
これらの方法で得られるオルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合体の中でも、1分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物および官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルを共重合し、次いでこの重合体に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加した後、3級アミン化合物をアルキルクロライドで4級アンモニウム塩とすることにより得られる重合体が、分子中に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートとの相溶性に優れ、透明性の良い塗布層が得られる点から特に望ましい。
【0043】
分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエルスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラカルボン酸二無水物と分子内に水酸基および3個以上のアクリロイル基を有する水酸基含有多官能アクリレートを反応して得られるカルボキシル基含有多官能アクリレート、およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0044】
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビフタル酸無水物、4,4’−オキソジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0045】
また、分子内に水酸基および3個以上のアクリロイル基を有する水酸基含有多官能アクリレートの具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、およびこれらの混合物等が挙げられる。これら分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートの中でも、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、テトラカルボン酸二無水物と分子内に水酸基および3個以上のアクリロイル基を有する水酸基含有多官能アクリレートを反応して得られるカルボキシル基含有多官能アクリレート、およびこれらの混合物が耐摩耗性の優れた塗布層を与える点から特に望ましい。
【0046】
オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体および分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートのほか、他の重合単量体、例えば分子内に1個または2個のアクリロイル基を有するアクリレートを用いることを妨げるものではない。具体的には、アクリロイル基を2個有するウレタンアクリレートやエポキシアクリレートを、耐摩耗性および帯電防止性の低下しない範囲(塗布層成分中の例えば20重量%以下)で用いることができる。
また、塗布組成物の硬化に活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、上記オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体と、分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートに加えて光重合開始剤が用いられる。
【0047】
光重合開始剤としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、フェニルジスルフィド、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種類または2種類以上を併用して使用することができる。
【0048】
光重合開始助剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン、β−チオジグリコール等のチオエーテル等が挙げられる。
改質剤としては、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、有機高分子、染料、顔料、安定剤などが挙げられる。これらは、活性エネルギー線による反応を阻害しない範囲で使用され、活性エネルギー線硬化樹脂層の特性を用途に応じて改良することができる。活性エネルギー線硬化樹脂層の組成物には、粘度調整、塗工時の作業性向上、塗工厚さのコントロールのため、共重合体作成の際に用いた溶剤を配合することができる。
【0049】
本発明の活性エネルギー線硬化塗布組成物には、塗布層特性を改良する目的で紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤)、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミン系紫外線安定剤)、酸化防止剤(例えば、フェノール系、硫黄系、リン系酸化防止剤)、ブロッキング防止剤、スリップ剤、レベリング剤等の添加剤を配合することができる。
本発明において、活性エネルギー線硬化塗布組成物中のオルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体の配合量は、固形分100重量%中、通常1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%である。配合量が1重量%未満の場合は、十分な帯電防止性を有する塗布層が得られない場合がある。また、40重量%を超える場合は、塗布層の耐摩耗性が低下する傾向がある。
【0050】
本発明において、活性エネルギー線硬化塗布組成物中の3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートの配合量は、固形分100重量%中、通常60〜99重量%、好ましくは75〜95重量%である。60重量%未満の場合には、十分な耐摩耗性を有する塗布層が得られない場合があり、99重量%を超える場合には、十分な帯電防止性を有する塗布層が得られないことがある。
本発明において、活性エネルギー線硬化塗布組成物の固形分濃度は特に限定される訳ではないが、通常0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%に調整され用いられる。
【0051】
本発明において、活性エネルギー線硬化塗布組成物中の光重合開始剤配合量は、固形分100重量%中、通常0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。
本発明において、塗布層の形成は、フィルムの一方の表面に塗布組成物を塗布して硬化させる方法により行われる。塗布方法としては、リバースロールコート法、グラビアロールコート法、ロッドコート法、エアーナイフコート法などを採用し得る。塗布された塗布組成物の硬化は、例えば、活性エネルギー線や熱により行われる。活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線、α線、β線、γ線などが使用される。熱源としては、赤外線ヒーター、熱オーブン等が使用される。活性エネルギー線の照射は、通常、塗布層側から行うが、フィルムとの密着を高めるため、塗布層の反対面側から行ってもよい。必要に応じ、活性エネルギー線を反射し得る反射板を利用してもよい。活性エネルギー線により硬化された皮膜は、特に耐擦傷性が良好である。
【0052】
本発明において、塗布層は表面抵抗が1×1011Ω以下でなければならない。塗布層の表面抵抗が上記の値を超える場合は静電気が発生しやすくなり、転写層を受容する際に転写層がきれいに受容されない場合があるので好ましくない。塗布層の表面抵抗は、好ましくは5×1010Ω以下、さらに好ましくは1×1010Ω未満である。
本発明において、塗布層が設けられた表面の水滴接触角は、100度以下、好ましくは70〜90度である。接触角の値が、100度を超える場合は、転写層の受容性が悪くなるので好ましくない。塗布層の特性上、水滴接触角の下限値は、60度程度と考えられる。
【0053】
本発明において、塗布層が設けられた表面のアクリル系粘着剤に対する粘着力が、200〜3000mN/cm、好ましくは700〜2700mN/cm、さらに好ましくは1500〜2500mN/cmである。粘着力が200mN/cm未満の場合は、転写層の受容性が悪くなり、受容した転写層が簡単に剥がれてしまう等、使用上問題となる。該粘着力が3000mN/cmを越える場合は、受容された転写層の転写性が悪くなるので好ましくない。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で使用した測定法および評価基準は次のとおりである。
【0055】
(1)塗布層の表面抵抗(Ω)
三菱油化社製「Hiresta MODEL HT−210」を使用し、23℃/50%RHの雰囲気下で試料を設置し、500Vの電圧を印加し、1分間充電後(電圧印加時間1分)の表面抵抗(Ω)を測定した。ここで使用した電極の型は、主電極の外径16mm、対電極の内径40mmの同心円電極である。
【0056】
(2)水滴接触角
温度23℃ 湿度50%RHで試料フィルムと、蒸留水との接触角を、協和界面化学(株)社製接触角計CA−DT−A型を用いて測定した。接触角は、水滴の左右2点、試料数3で計6点測定し、平均値を求め接触角とした。尚、水滴の直径は2mmで、滴下後1分後の数値を読み取った。
【0057】
(3)塗布層のアクリル系粘着剤に対する剥離力
塗布層上に両面粘着テープ(日東電工社製「No.502」)を貼り、ゴムローラーを使用し450g/cmの線圧で圧着し、50mm幅に切り出し剥離力測定用試料とした。圧着してから1時間放置後インストロン型引張試験機を用いて、180度方向に引張速度300mm/分で剥し、その応力の平均値をその試料の剥離力とした。この試験を10回繰り返し行い、10回の相加平均をもって剥離力とした。なお、この試験を行った雰囲気は、23℃、50%RHの標準状態である。
【0058】
(4)転写層の受容性
東洋紡社製バイロン200をトルエン50、メチルエチルケトン50の混合溶媒で希釈し、試料フィルム上に乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるようにグラビアロールで塗布した。このときの塗布面状および密着性の状態を下記ランクに分け評価した。
・転写層の塗布面状
○:塗布斑が認められず良好
×:塗布斑が認められる
・転写層の密着性
○:塗布した層が手で簡単に剥がれない
×:塗布した層が手で簡単に剥がれる
【0059】
(5)転写層の転写性
東洋紡社製バイロン200をトルエン50、メチルエチルケトン50の混合溶媒で希釈し、試料フィルム上に乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるようにグラビアロールで塗布した。この塗布したフィルムの塗布面と上質紙とを重ねあわせ、100℃で0.2MPaの圧力下3秒間加圧して貼り合わせ、その直後23℃−50%RHの室内で、引張試験機を用いて、180度方向に300mm/分の速度で剥離し、その剥離面の状態を観察し、下記ランクに分けた。
○:塗布したフィルム面に塗布層が残らない
×:塗布したフィルム面に塗布層が残る
【0060】
製造例1(ポリエステルA)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、平均粒径1.54μmのシリカ粒子を0.1部含有するエチレングリコールスラリーを反応系に添加し、さらに、エチルアシッドフォスフェート0.04部、酸化ゲルマニウム0.01部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じて最終的に0.3mmHgとした。4時間後に系内を常圧に戻しポリエステルAを得た。ポリエステルAのシリカ粒子の含有量は0.1重量%であった。
【0061】
製造例2(ポリエステルフィルムA1)
ポリエステルAを180℃で4時間不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融押出し、静電印加密着法を使用し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られたシートを85℃で3.5倍縦方向に延伸した後、100℃で3.7倍横方向に延伸し、さらに、230℃にて熱固定し、厚さ12μmのポリエステルフィルムA1を得た。
【0062】
実施例1
疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート55部、カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液50部、オルガノポリシロキサン単位として、分子量約5000の片末端メタクリルオキシ変性オルガノポリシロキサン(チッソ社製FM0721)5部、およびエチルアルコール140部と重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、窒素気流下80℃で6時間重合反応を行いカチオン性共重合体の40%エチルアルコール溶液を得た。このカチオン性共重合体をエチルアルコール/イソプロピルアルコール=50/50の混合溶媒で希釈しポリエステルフィルムA1の片面に乾燥後の塗布厚さが0.2μmとなるようにバーコーターを用いて塗布、乾燥して塗布層を形成した。
【0063】
実施例2
疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート55部、カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液40部、オルガノポリシロキサン単位として、分子量約7000のメルカプト変性オルガノポリシロキサン(信越化学社製、X−22−980)5部、およびイソプロピルアルコール150部と重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、窒素気流下80℃で5時間重合反応を行いカチオン性共重合体の40%イソプロピルアルコール溶液を得た。このカチオン性共重合体をイソプロピルアルコールで希釈しポリエステルフィルムA1の片面に乾燥後の塗布厚さが0.15μmとなるようにバーコーターを用いて塗布、乾燥して塗布層を形成した。
【0064】
実施例3
疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート51部、カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液50部、メタクリル酸4部およびエチルアルコール140部と重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、窒素気流下80℃で6時間重合反応を行いその後、オルガノポリシロキサン単位として、分子量約1000の両末端エポキシ変性オルガノポリシロキサン(チッソ社製FM5511)5部添加し、80℃で10時間反応して、カチオン性共重合体の40%エチルアルコール溶液を得た。このカチオン性共重合体をエチルアルコールで希釈しポリエステルフィルムA1の片面に乾燥後の塗布厚さが0.2μmとなるようにバーコーターを用いて塗布、乾燥して塗布層を形成した。
【0065】
実施例4
片末端にスチレン基を有する数平均分子量11300のオルガノポリシロキサン化合物(信越化学社製X−22−2440)30部、N, N−ジメチルアミノエチルメタクリレート70部、およびイソプロピルアルコール150部の混合物を加熱して80℃に昇温した時、および同昇温時より2時間後に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部づつ添加し、80℃で8時間反応して、固形分40%の共重合体溶液を得た。次に、得られた共重合体溶液に、イソプロピルアルコール83.3部を添加した後、塩化メチルを反応系に導入し、50℃で6時間反応し、オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する固形分濃度34%の重合体溶液(4A)を得た。
次に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを67モル%含有するジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬社製カヤラッドDPHA)163部とピロメリット酸二無水物21.8部、メチルエチルケトン100部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部およびN, N−ジメチルベンジルアミン1部を加え、80℃で8時間反応し、固形分濃度65%のカルボキシル基含有多官能アクリレート溶液(4B)を得た。
上記で得られた(4A)を17部、(4B)を83部、および光重合開始剤として、チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア907を3部、イソプロピルアルコールを897部の割合で均一に混合して、活性エネルギー線硬化塗布組成物を調整した。次いで、ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが0.15μm になるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて15秒間照射し塗布層を形成した。
【0066】
実施例5
両末端にメルカプト基を有する数平均分子量が約3340のオルガノポリシロキサン化合物(信越化学社製X−22−167B)10部、N, N−ジメチルアミノエチルメタクリレート80部、メチルメタクリレート10部およびイソプロピルアルコール150部の混合物を加熱して80℃に昇温した時、および同昇温時より2時間後に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部づつ添加し、80℃で8時間反応して、固形分40%の共重合体溶液を得た。次に、得られた共重合体溶液に、イソプロピルアルコール83.3部を添加した後、塩化メチルを反応系に導入し、50℃で6時間反応し、オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する固形分濃度35%の重合体溶液(5A)を得た。
上記で得られた(5A)を17部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを53部、および光重合開始剤として、チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア907を3部、イソプロピルアルコールを927部の割合で均一に混合して、活性エネルギー線硬化塗布組成物を調整した。次いで、ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが0.15μm になるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて15秒間照射し塗布層を形成した。
【0067】
実施例6
片末端にメタクリロイル基を有する数平均分子量が約10000のオルガノポリシロキサン化合物(チッソ社製FM0725)15部、N, N−ジメチルアミノエチルメタクリレート75部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部およびメチルエチルケトン150部の混合物を加熱して80℃に昇温した時、および同昇温時より2時間後に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部づつ添加し、80℃で8時間反応して、固形分40%の共重合体溶液を得た。このものに、メタクリロイルイソシアネート8部を添加し、80℃で6時間反応し、側鎖にメタアクリロイル基を有する固形分42%の共重合体溶液を得た。次に、得られた共重合体溶液に、イソプロピルアルコール300部を添加した後、塩化メチルを反応系に導入し、50℃で6時間反応し、オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有し、メタアクリロイル基を有する固形分濃度22%の重合体溶液(6A)を得た。
上記で得られた(6A)を26部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを53部、および光重合開始剤として、チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア907を3部、イソプロピルアルコールを918部の割合で均一に混合して、活性エネルギー線硬化塗布組成物を調整した。次いで、ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが0.15μm になるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて15秒間照射し塗布層を形成した。
【0068】
実施例7
片末端にスチレン基を有する数平均分子量11300のオルガノポリシロキサン化合物(信越化学社製X−22−2440)10部、N, N−ジメチルアミノエチルメタクリレート80部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部およびメチルエチルケトン150部の混合物を加熱して80℃に昇温した時、および同昇温時より2時間後に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部づつ添加し、80℃で8時間反応して、固形分40%の共重合体溶液を得た。このものに、イソホロンジイソシアネート28部と2−ヒドロキシエチルアクリレート22部を反応して得られる化合物50部を添加し、80℃で6時間反応し、固形分50%の側鎖にアクリロイル基を有する共重合体溶液を得た。次に、ここで得られた共重合体溶液に、イソプロピルアルコール300部を添加した後、塩化メチルを反応系に導入し、50℃で6時間反応し、オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有し、側鎖にアクリロイル基を有する固形分濃度28%の重合体溶液(7A)を得た。
上記で得られた(7A)を20部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを53部、および光重合開始剤として、チバ・スペシャリティケミカルズ社製ダロキュア1173を6部、イソプロピルアルコールを921部の割合で均一に混合して、活性エネルギー線硬化塗布組成物を調整した。次いで、ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが0.15μm になるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて15秒間照射し塗布層を形成した。
【0069】
実施例8
実施例4で得られた重合体溶液(4A)を17部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを53部、および光重合開始剤として、チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア184を6部、イソプロピルアルコールを924部の割合で均一に混合して、活性エネルギー線硬化塗布組成物を調整した。次いで、ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが0.15μm になるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて15秒間照射し塗布層を形成した。
【0070】
比較例1
p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩(40部)、ビニルスルホン酸ナトリウム塩(40部)、N,N’−ジメチルアミノメタクリレート(20部)を蒸留水中に溶解させ、60℃で加熱撹拌しながら重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩を添加して重合を行い、帯電防止性樹脂を得た。次いで、上記の帯電防止性樹脂30部に、ポリウレタン樹脂(イソシアネート成分:イソホロンジイソシアネート、ポリオール成分:テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールより構成されるポリエステルポリオール、鎖延長剤:2,2−ジメチロールプロピオン酸)50部、アクリル樹脂(構成単位:メチルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート)10部、3官能水溶性エポキシ化合物5部、平均粒径0.1μmのコロイダルシリカを5部を配合して水分散体塗布液を調製した。
製造例2において、縦方向に延伸した後、上記水分散体塗布液を延伸乾燥後の塗布厚さが0.1μmになるように塗布した以外は製造例2と同様にして、ポリエステルフィルムA2を得た。
【0071】
比較例2
疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート60部、カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液50部およびエチルアルコール140部と重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、窒素気流下80℃で6時間重合反応を行いカチオン性共重合体の40%エチルアルコール溶液を得た。このカチオン性共重合体をエチルアルコール/イソプロピルアルコール=50/50の混合溶媒で希釈しポリエステルフィルムA1の片面に乾燥後の塗布厚さが0.2μmとなるようにバーコーターを用いて塗布、乾燥して塗布層を形成した。
【0072】
比較例3
ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが0.1μm になるように硬化性シリコーン樹脂(信越化学工業社製KS−723A)100部、(信越化学工業社製KS−723B)25部、硬化剤(信越化学工業社製CAT PS−3)5部、メチルエチルケトン/トルエン=50/50の混合溶媒2200部からなる塗布液を塗布し、乾燥、熱硬化させて塗布層を形成した。
【0073】
比較例4
片末端にスチレン基を有する数平均分子量約11300のオルガノポリシロキサン化合物(信越化学社製X−22−2440)30部、メチルメタクリレート70部、およびイソプロピルアルコール150部の混合物を加熱して80℃に昇温した時、および同昇温時より2時間後に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部づつ添加し、80℃で8時間反応して、オルガノポリシロキサン単位を有する固形分40%の共重合体溶液(9A)を得た。
上記で得られた(9A)を15部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを53部、および光重合開始剤として、チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア907を3部、イソプロピルアルコールを929部の割合で均一に混合して、活性エネルギー線硬化塗布組成物を調整した。次いで、ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが0.15μm になるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて15秒間照射し塗布層を形成した。
以上、得られた実施例1〜8、比較例1〜4のフィルムの特性を下記表1〜2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、転写層の受容性、受容した転写層の転写性、帯電防止性に優れ、その結果、熱転写等により画像を形成させる受容シート面に、高忠実な画像等を形成させることができる転写媒体を提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
Claims (4)
- フィルムの少なくとも片面に塗布層を有する積層フィルムからなり、当該塗布層が、単位内に第4級アンモニウム塩を含有するカチオン性単量体単位、疎水性単量体単位およびオルガノシロキサン単位からなるカチオン性重合体を含み、塗布層表面の表面抵抗が1×1011Ω以下、塗布層表面の水滴接触角が70〜90度以下、塗布層表面のアクリル系粘着剤による粘着力が200〜3000mN/cmであることを特徴とする転写媒体。
- 塗布層中に帯電防止剤を含有することを特徴とする請求項1記載の転写媒体。
- 塗布層中にシリコーン系化合物を含有することを特徴とする請求項1または2記載の転写媒体。
- フィルムが二軸配向ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の転写媒体。
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