JP2003191655A - 熱転写記録媒体 - Google Patents

熱転写記録媒体

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JP2003191655A
JP2003191655A JP2001393791A JP2001393791A JP2003191655A JP 2003191655 A JP2003191655 A JP 2003191655A JP 2001393791 A JP2001393791 A JP 2001393791A JP 2001393791 A JP2001393791 A JP 2001393791A JP 2003191655 A JP2003191655 A JP 2003191655A
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JP2001393791A
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English (en)
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Masashi Inagaki
昌司 稲垣
Masahiro Kita
雅弘 北
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Mitsubishi Polyester Film Corp
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Mitsubishi Polyester Film Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱転写プリント等におけるサーマルヘッドと
熱転写記録媒体または被印刷物との間で起こる、走行停
止いわゆるスティッキング現象やスティックかすの発生
を防止し、安定して鮮明な印刷ができる熱転写記録媒体
を提供する。 【解決手段】 二軸配向ポリエステルフィルムの一方の
表面にスティッキング防止層が設けられ、当該スティッ
キング防止層面の表面抵抗が1×1011Ω以下、摩擦
係数が0.4以下、水滴接触角が70度以上であること
を特徴とする熱転写記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱転写記録媒体に
関するものであり、詳しくは、熱転写プリント等におけ
るサーマルヘッドと熱転写記録媒体の間で起こる接着、
いわゆるスティッキング現象を防止し、かつ熱転写記録
媒体と熱転写受容体との間で発生する静電気を防止し、
安定した印刷ができる熱転写記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】紙やプラスチックフィルム等の表面に着
色剤を含む熱溶融性インキ層や、熱反応型発色反応成分
等を設けた熱転写記録媒体が従来知られている。熱溶融
性インキ層を有する熱転写記録媒体は、受容シートをそ
の上に重ね、下面からサーマルヘッド等で熱印刷するこ
とにより、受容シート上に溶融インキを転写させて着色
画像を得ることができる。一方、熱反応型発色反応成分
含有層を有する熱転写記録媒体は、その上に、受容シー
トや、その発色反応成分と加熱時に反応して発色させる
反応成分を含有する層を有するシートを重ね下面からサ
ーマルヘッド等で熱印刷することにより、受容シート面
に発色画像を形成させることができる。
【0003】かかる用途に対応した熱転写記録媒体に対
する要求特性の一つとして、スティッキング防止性が挙
げられる。サーマルヘッドの表面温度は、300〜40
0℃以上という高温に達することから、プラスチックフ
ィルムを用いる熱転写記録媒体においては、スティッキ
ングが生じたり、スティックかすが生じたりするという
問題がある。このような問題を防止するため、プラスチ
ックフィルムのサーマルヘッド接触面に対し、下記のよ
うなスティック防止層を設けることが提案されている。
例えば、スティック防止層として、金属層、耐熱性樹脂
層、ベンゾトリアゾール層、ステアリルスルホン酸ナト
リウムを含有するエチルセルロース層、ステアリン酸を
含有するポリエステル樹脂層等を用いることが提案され
ている。しかしながら、これらのスティック防止層は、
十分な防止効果が得られず、スティック防止効果が得ら
れるまで積層量を多くすると、熱容量の増大による熱感
度の低下や、そのスティック防止層によるスティックや
スティックかすの発生が問題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、熱転写プリント
等におけるサーマルヘッドと熱転写記録媒体または被印
刷物との間で起こる、走行停止いわゆるスティッキング
現象やスティックかすの発生を防止し、安定して鮮明な
印刷ができる熱転写記録媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、特定のフィルムによれば、上
記課題が容易に解決されることを見いだし、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、二軸配向
ポリエステルフィルムの一方の表面にスティッキング防
止層が設けられ、当該スティッキング防止層面の表面抵
抗が1×1011Ω以下、摩擦係数が0.4以下、水滴
接触角が70度以上であることを特徴とする熱転写記録
媒体に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱転写記録媒体は、熱溶融性インキ層や熱反応
型発色反応成分等を設けて、使用され、熱印刷すること
により、受容シート上に溶融インキ等を転写させて着色
画像を得ることのできるものであり、二軸配向ポリエス
テルフィルムの一方の表面にスティッキング防止層が設
けられた積層フィルムからなる。そして、本発明の好ま
しい態様においては、他方の表面に離型層が設けられ
る。本発明において、二軸配向ポリエステルフィルム
(以下、フィルムと略記する)とは、いわゆる押出法に
従い押出口金から溶融押出しされたシートを延伸して配
向させたフィルムである。
【0007】上記のフィルムを構成するポリエステルと
は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合
させて得られるポリエステルを指す。芳香族ジカルボン
酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポ
リエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート(PEN)等が例示される。
【0008】上記のポリエステルは、第三成分を含有し
た共重合体であってもよい。共重合ポリエステルのジカ
ルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレ
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキ
シ安息香酸など)が挙げられ、グリコール成分として、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ
る。これらのジカルボン酸成分およびグリコール成分
は、二種以上を併用してもよい。
【0009】本発明においては、その取扱性を考慮した
場合、透明性を損なわない条件でフィルムに粒子を含有
させることが好ましい。粒子としては、例えば、二酸化
ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化チ
タン、カオリン、タルク、ゼオライト、フッ化リチウ
ム、硫酸バリウム、カーボンブラック、特公昭59−5
216号公報に記載されているような、耐熱性高分子微
粉体などが挙げられる。これらの粒子は、2種以上を併
用してもよい。粒子の平均粒径は、通常0.02〜2μ
m、好ましくは0.05〜1.5μm、さらに好ましく
は0.05〜1μmである。粒子の含有量は、通常0.
01〜2重量%、好ましくは0.02〜1重量%であ
る。フィルムに粒子を含有させる方法としては、公知の
方法を採用し得る。例えば、ポリエステル製造工程の任
意の段階で粒子を添加することができる。特に、エステ
ル化の段階またはエステル交換反応終了後重縮合反応開
始前の段階において、エチレングリコール等に分散させ
たスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ま
しい。また、ベント付混練押出機を使用し、エチレング
リコールまたは水に粒子を分散させたスラリーとポリエ
ステル原料とをブレンドする方法、混練押出機を使用
し、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドす
る方法なども採用し得る。
【0010】フィルムの製造は、押出法に従い押出口金
から溶融押出しされたシートを縦および横方向の二軸方
向に延伸して配向させる方法によって行われる。押出法
においては、ポリエステルを押出口金から溶融押出し、
冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場
合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷
却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着
法または液体塗布密着法が好ましく採用される。フィル
ムの二軸方向の延伸配向方法については特に限定される
ものではないが、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法等が
採用される。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シ
ートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃
で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向
に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、
面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに
好ましくは10〜20倍である。そして、引き続き、1
70〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩
下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
【0011】逐次二軸延伸法としては、前記の未延伸シ
ートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機によ
り延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好まし
くは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜
7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目
の延伸方向と直交する方向に延伸を行う。延伸温度は、
通常70〜120℃、好ましくは80〜115℃であ
り、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5
〜6倍である。そして、引き続き、170〜250℃の
温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行
い、延伸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、
一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することも
できる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞ
れ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、必要
に応じて熱処理を行う前または後に再度縦および/また
は横方向に延伸してもよい。
【0012】本発明において、フィルム厚さは特に限定
されるものではないが、通常3〜75μm、好ましくは
5〜50μm、さらに好ましくは5〜25μmである。
フィルムの厚さが3μm未満の場合は、塗布工程等で作
業性や取扱性が低下する恐れがある。また、フィルムの
厚さが75μmを超える場合は、転写性の低下により、
鮮明な画像が得られにくくなる場合がある。本発明に用
いることのできるスティッキング防止層は、例えば、カ
チオン性共重合体を水、メチルアルコール、エチルアル
コール、イソプロピルアルコール等の溶媒に溶解した状
態で二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面に塗工
され、その後、乾燥、硬化したものである。塗工に関し
ては、特に制限は無いが、通常は、エアーナイフコー
ト、ブレードコート、バーコート、グラビアコート、カ
ーテンコート、ロールコート等の塗工機械で行われる。
【0013】スティッキング防止層の厚みは、通常0.
01μm〜3μm、好ましくは0.05μm〜2μmの
範囲である。塗布層の厚みが0.01μm未満の場合
は、スティッキング防止効果が低下する傾向があり、塗
布量が3μmを超える場合には、熱容量の増大による熱
感度の低下を生じたりする場合がある。なお、塗工に際
して、カチオン性共重合体の性能に悪影響を及ぼさない
限り、必要に応じて、他の添加剤、例えば、モノマー、
樹脂、架橋剤、顔料等を適宜混合して用いることができ
る。ここで言うカチオン性共重合体は主成分として、カ
チオン性単量体単位、疎水性単量体単位およびオルガノ
ポリシロキサン単位からなる。本発明に使用できるカチ
オン性単量体単位としては、例えば、その単位内に第4
級アンモニウム塩基を含有するものである。中でも、下
記一般式(a)で表される単量体単位を使用することに
より、より優れた帯電防止性、防汚性を付与することが
できる。
【0014】
【化1】
【0015】(上記式中、AはOまたはNHを表し、R
は水素またはCHを表し、Rは炭素数2〜4のア
ルキレン基または、−CHCH(OH)CH−を表
し、R 、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素
数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を表し、X
はハロゲンまたはアルキル硫酸イオンを表す)
【0016】上記のカチオン性単量体単位は、具体的に
は、例えば(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアン
モニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヒド
ロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、
(メタ)アクリロイルオキシトリエチルアンモニウムク
ロライド、(メタ)アクリロイルオキシジメチルベンジ
ルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキ
シトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリ
ロイルオキシトリメチルアンモニウムメチルサルフェー
ト等の(メタ)アクリル系単量体単位、(メタ)アクリ
ルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、
(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチ
ルベンジルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリ
ルアミド系カチオン性単量体単位が挙げられる。これら
は、その該当する単量体を重合してもよいし、その前駆
体である第3級アミノ基を有する単量体、例えばジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミ
ノプロピルアクリルアミドをまず重合した後、メチルク
ロライド等の変性剤でカチオン化してもよい。
【0017】カチオン性単量体単位は、共重合体中の1
5〜60重量%を有する。15重量%未満の場合は、帯
電防止性が不十分となる傾向がある。また、60重量%
を超える場合は、ブロッキングが起こりやすくなる傾向
がある。本発明で使用できる疎水性単量体単位は、各種
のものを使用することができる。疎水性単量体単位は具
体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブ
チル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシルアクリ
レート、ステアリル(メタ)アクリレート、等のアルキ
ル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル等のビ
ニルエステル等が挙げられる。疎水性単量体単位は、共
重合体中の30〜84.9重量%を有する。30重量%
未満の場合は、防汚性が不十分となり、84.9重量%
を超える場合は、相対的に帯電防止性能が低下する。本
発明で使用できるオルガノポリシロキサン単位は、下記
一般式(b)で表されるものが好ましい。
【0018】
【化2】
【0019】(上記式中、RおよびR1‘は、それぞ
れ独立して、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニ
ル基を表し、nは、5以上の整数を表す)
【0020】ここで、nが5未満では、得られる共重合
体に十分な滑性を付与することが困難となる場合があ
る。また、オルガノポリシロキサン単位のカチオン性共
重合体に含まれる割合は、通常0.1〜20重量%であ
る。0.1重量%未満であると、防汚性が不十分となる
傾向があり、20重量%を超えても防汚性はこれ以上良
くならず、不経済である。カチオン性共重合体中のオル
ガノポリシロキサン単位は、具体的には、下記一般式
(c)、(d)または(e)で示される前駆体を用いて
共重合体中に組み込むのが好適である。下記の一般式に
おいて示した前駆体は、反応性基Dを用いて、これらを
共重合体中に組み込むことができる。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】(上記一般式(c)〜(e)中、Dは、ビ
ニル基、アクリロイルオキシアルキル基およびメタクリ
ロイルオキシアルキル基からなる群から選ばれたラジカ
ル重合性基、グリシドキシアルキル基等のエポキシ基、
アミノアルキル基またはメルカプトアルキル基を表し、
Rは、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を
表し、mは1〜20の整数を表し、nは5以上の整数を
表す)
【0025】これらの前駆体は反応性シリコーンとして
市販されているものを使用することができるが、高分子
量になると反応性が低下することから考えて、一般式
(c)、(d)の場合にはnとして200以下が好まし
く、一般式(e)の反応性基が多い場合でも400以下
が好ましい。これら前駆体をカチオン性共重合体成分と
して組み込む方法としては、反応性基Dが重合性基の場
合には他の単量体と同時に重合すればよく、メルカプト
アルキル基の場合には、この前駆体存在下において、カ
チオン性単量体(a)と疎水性単量体(b)とを重合す
れば、連鎖移動により効率よく導入できる。
【0026】さらに、反応性基Dがエポキシ基の場合に
は、カチオン性単量体(a)と疎水性単量体(b)との
共重合を、エポキシ基と反応性のある(メタ)アクリル
酸等のカルボン酸基含有単量体またはジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート等の第3級アミン基含有単量
体の塩酸塩等の単量体類とともに行い、次いで前駆体の
エポキシ基と反応させればよい。同様に、反応性基Dが
アミノアルキル基の場合は、カチオン性単量体(a)と
疎水性単量体(b)との共重合を、グリシジル(メタ)
アクリレート等のアミノ基と反応する単量体と共に行
い、次いで前駆体のアミノ基と反応すればよい。なお、
帯電防止性と防汚性に影響の無い限り、必要に応じて、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリ
ドン等の他の親水性単量体を共重合成分として含んでも
よい。
【0027】重合法としては、塊状重合、溶液重合、乳
化重合等の公知のラジカル重合法が実施できる。好まし
い重合法は、溶液重合法であり、各単量体を溶媒に溶解
し、重合開始剤を添加し、窒素気流下において、加熱撹
拌することにより実施される。溶媒は、水、メチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等
のアルコール類が好ましく、またこれらの溶媒は混合使
用してもよい。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸
化ラウロイル等の過酸化物、アゾビスブチロニトリル、
アゾビスバレロニトリル等のアゾ化合物が好適に用いら
れる。単量体濃度は、通常10〜60重量%であり、重
合開始剤は通常単量体に対し、通常0.1〜10重量%
である。
【0028】カチオン性共重合体の分子量は、重合温
度、重合開始剤の種類および量、溶剤使用量、連鎖移動
等の重合条件、オルガノポリシロキサン前駆体の種類お
よび反応性基の含有量等により任意のレベルとすること
ができる。一般には、得られるカチオン性共重合体の分
子量は5000〜50万の範囲が好ましい。上記のよう
に調整した塗料を使用し、二軸配向ポリエステルフィル
ム上に作成された塗布層は、スティッキング防止性等に
優れる。本発明に用いることのできる他のカチオン性共
重合体は、例えばオルガノポリシロキサン単位および4
級アンモニウム塩単位を有する重合体と、分子内に3個
以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートを含
有する活性エネルギー線硬化樹脂を主成分とするもので
ある。オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニ
ウム塩単位を有する重合体は、必要に応じて、側鎖に
(メタ)アクリロイル基を有するものであってもよい。
【0029】このオルガノポリシロキサン単位および4
級アンモニウム塩単位を有する重合体は、1分子中に1
個のラジカル重合性基または1分子中に2個のメルカプ
ト基を有するオルガノポリシロキサン化合物と1分子中
に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物と
を重合して得た3級アミン重合体化合物を4級化剤で4
級アンモニウム塩とすることにより得られる。オルガノ
ポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル性基
を有する3級アミン化合物を共重合する際、これらの単
量体に加えて、他の(メタ)アクリル酸エステルを共重
合させることもできる。また、このオルガノポリシロキ
サン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体
は、1分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中
に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン
化合物と、1分子中に1個のラジカル重合性基を有する
4級アンモニウム塩とを重合することにより得られる。
オルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジ
カル重合性基を有する4級アンモニウム塩を共重合する
際、これらの単量体に加えて他の(メタ)アクリル酸エ
ステルを共重合することもできる。
【0030】1分子中に1個のラジカル重合性基を有す
るオルガノポリシロキサン化合物は、アクリル、メタク
リル、スチリル、ケイ皮酸エステル、ビニル、アリル等
のラジカル重合性基を1分子中に1個有するものである
限り特に制限されないが、1分子中に1個のラジカル重
合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物とラジカ
ル重合性基を有する3級アミン化合物またはラジカル重
合性基を有する4級アンモニウム塩との共重合の容易さ
を考慮すると、アクリル、メタクリル、スチリルのラジ
カル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物で
あることが好ましい。また、ラジカル重合性基を有する
3級アミン化合物またはラジカル重合性基を有する4級
アンモニウム塩が重合する際、連鎖移動によりスルフィ
ド結合を介して、重合体中に導入される1分子中に2個
のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物
も好適に用いることができる。このオルガノポリシロキ
サン化合物に含まれるオルガノポリシロキサン単位は下
記一般式(f)で表される。
【0031】
【化6】
【0032】(上記式中、RとR7‘は、それぞれ独
立して、メチル基もしくはフェニル基であり、nは、5
以上の整数を表す。)
【0033】1分子中に1個のラジカル重合性基を有す
るオルガノポリシロキサン化合物の数平均分子量は40
0〜60000、好ましくは1000〜30000であ
る。ラジカル重合性基を有する3級アミン化合物の1分
子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミン化合
物は、下記一般式(g)で表される。
【0034】
【化7】
【0035】(上記式RはHまたはCH、Rおよ
びR8‘はそれぞれ独立して、Hまたは置換基を含んで
いてもよい炭素数が1〜9のアルキル基、kは1〜6の
整数を表す)
【0036】かかるラジカル重合性基を有する3級アミ
ン化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプ
ロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル
メタクリレート、N,N−ジヒドロキシエチルアミノエ
チルメタクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル
メタクリレート、N,N−ジブチルアミノエチルメタク
リレート等が挙げられる。また、ラジカル重合性基を有
する4級アンモニウム塩の1分子中に1個のラジカル重
合性基を有する4級アンモニウム塩としては、上記式
(d)で表される3級アミン化合物を、例えばメチルク
ロライド、ブチルクロライド等のアルキルクロライド、
メチルブロマイド、メチルベンジルクロライド、ベンジ
ルクロライド等のハロゲン化物、ジメチル硫酸、ジエチ
ル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p−トル
エンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等の
スルホン酸エステル類等の4級化剤により4級化したも
のが挙げられる。
【0037】1分子中に1個のラジカル重合性基または
1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシ
ロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を
有する3級アミン化合物または4級アンモニウム塩とを
共重合する際、これら単量体に加えて(メタ)アクリル
酸エステルを用いることができる。かかる(メタ)アク
リル酸エステルとしては、1分子中に1個のラジカル重
合性基を有する、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)
アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、2
−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペン
テニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキ
シエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メ
タ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリ
レート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノ
エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が
挙げられる。
【0038】1分子中に1個のラジカル重合性基または
1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシ
ロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を
有する3級アミン化合物または4級アンモニウム塩とを
共重合する際、1分子中に1個のラジカル重合性基また
は1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリ
シロキサン化合物の使用量は、共重合性単量体100重
量%中、1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%で
ある。1重量%未満では、ビニル重合体を塗布層表面に
引き出す(ブリードアウト)能力に欠け、塗布層に十分
な帯電防止性が得られないことがある。また、40重量
%を超えると1分子中に1個のラジカル重合性基を有す
る3級アミン化合物または4級アンモニウム塩の使用割
合が低下し、十分な帯電防止性が得られないことがあ
る。
【0039】他方の、1分子中に1個のラジカル重合性
基を有する3級アミン化合物または、4級アンモニウム
塩の使用量は、共重合性単量体100重量%中、60〜
99重量%、好ましくは60〜95重量%である。60
重量%未満では、塗布層に十分な帯電防止性が得られな
いことがある。また99重量%を超えると、オルガノポ
リシロキサン化合物の使用割合が低下し塗布層に十分な
帯電防止性が得られないことがある。上記、オルガノポ
リシロキサン化合物単量体、ラジカル重合性基を有する
3級アミン化合物単量体、(メタ)アクリル酸エステル
単量体およびラジカル重合性基を有する4級アンモニウ
ム塩単量体の共重合は、溶剤中で通常のラジカル重合開
始剤を用いて行われる。溶剤としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、is
o−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のア
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸
エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、2−メトキシ
エタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエ
タノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル等のエーテル類、2−メトキシエト
ルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−ブ
トキシエチルアセタート、等のエーテルエステル類およ
び水が挙げられ、またこれらを混合使用することもでき
る。
【0040】重合反応に使用するラジカル重合開始剤と
しては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機
過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好適に用いら
れる。重合液中の単量体濃度は、通常10〜60重量%
であり、重合開始剤は通常単量体混合物に対し、0.1
〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%の量使用さ
れる。オルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個
のラジカル重合性基を有する3級アミン化合物および必
要に応じ(メタ)アクリル酸エステルを共重合した場合
は、共重合して得た3級アミン重合体化合物を4級化剤
を用いて4級アンモニウム塩とする。4級化剤として
は、例えば、メチルクロライド、ブチルクロライド、等
のアルキルクロライド、メチルブロマイド、メチルベン
ジルクロライド、ベンジルクロライド等のハロゲン化
物、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等の
アルキル硫酸類、p−トルエンスルホン酸メチル、ベン
ゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル類等が挙
げられる。
【0041】これらの方法で得られるオルガノポリシロ
キサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合
体の中でも、1分子中に1個のラジカル重合性基または
1分子中に2個のメルカプト基を有するオルガノポリシ
ロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を
有する3級アミン化合物、および必要に応じ(メタ)ア
クリル酸エステルを共重合して得た3級アミン重合体化
合物をアルキルクロライドで4級アンモニウム塩とする
ことにより、有られる重合体が、分子内に3個以上のア
クリロイル基を有する多官能アクリレートとの相溶性に
優れ、透明性のよい塗布層が得られる点から特に望まし
い。オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウ
ム塩単位を有する重合体として、側鎖に(メタ)アクリ
ロイル基を有するオルガノポリシロキサン単位および4
級アンモニウム塩単位を有する重合体を用いると、活性
エネルギー線照射時にこの重合体と多官能アクリレート
との間に結合が形成され、帯電防止性能の耐久性の向上
をはかることができる。
【0042】オルガノポリシロキサン単位および4級ア
ンモニウム塩単位を有する重合体側鎖に(メタ)アクリ
ロイル基を有する重合体は、例えば、オルガノポリシロ
キサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有
する3級アミン化合物または4級アンモニウム塩を共重
合する際、これら単量体に加えてグリシジル(メタ)ア
クリレートを共重合した後、(メタ)アクリル酸を付加
(3級アミン化合物を用いた場合は、さらに得られた3
級アミン重合体化合物を4級化剤で4級アンモニウム塩
にする)することにより得られる。また、オルガノポリ
シロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基
を有する3級アミン化合物または4級アンモニウム塩を
共重合する際、これら単量体に加えてヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の水酸基
を有する(メタ)アクリレートを共重合した後、ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アク
リレートとトリレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイ
ソシアネート化合物のモル比1対1の付加体や、メタク
リロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエ
チルイソシアネート等を付加(3級アミン化合物を用い
た場合は、さらに、得られた3級アミン重合体化合物を
4級化剤で4級アンモニウム塩にする)することにより
得られる。
【0043】これらの方法で得られるオルガノポリシロ
キサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する側鎖
に(メタ)アクリロイル基を有する重合体の中でも、1
分子中に1個のラジカル重合性基または1分子中に2個
のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物
と1分子中に1個のラジカル重合性基を有する3級アミ
ン化合物および官能基を有する(メタ)アクリル酸エス
テルを共重合し、次いでこの重合体に(メタ)アクリロ
イル基を有する化合物を付加した後、3級アミン化合物
をアルキルクロライドで4級アンモニウム塩とすること
により得られる重合体が、分子中に3個以上のアクリロ
イル基を有する多官能アクリレートとの相溶性に優れ、
透明性の良い塗布層が得られる点から特に望ましい。
【0044】分子内に3個以上のアクリロイル基を有す
る多官能アクリレートとしては、例えば、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性ト
リメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオ
キシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプ
ロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシア
ヌレート、ペンタエルスリトールトリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリ
スリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールト
リアクリレート、アルキル変性じぺんたエリスリトール
テトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリト
ールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート、テトラカルボン酸
二無水物と分子内に水酸基および3個以上のアクリロイ
ル基を有する水酸基含有多官能アクリレートを反応して
得られるカルボキシル基含有多官能アクリレート、およ
びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0045】テトラカルボン酸二無水物の具体例として
は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビ
フタル酸無水物、4,4’−オキソジフタル酸無水物、
4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタ
ル酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカ
ルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒド
ロフル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒ
ドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカル
ボン酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカル
ボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エ
ン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙
げられる。
【0046】また、分子内に水酸基および3個以上のア
クリロイル基を有する水酸基含有多官能アクリレートの
具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールペンタアクリレート、およびこれら
の混合物等が挙げられる。これら分子内に3個以上のア
クリロイル基を有する多官能アクリレートの中でも、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエ
リスリトールペンタアクリレート、テトラカルボン酸二
無水物と分子内に水酸基および3個以上のアクリロイル
基を有する水酸基含有多官能アクリレートを反応して得
られるカルボキシル基含有多官能アクリレート、および
これらの混合物が耐摩耗性の優れた塗布層を与える点か
ら特に望ましい。オルガノポリシロキサン単位および4
級アンモニウム塩単位を有する重合体および分子内に3
個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートの
他に、他の重合単量体、例えば分子内に1個または2個
のアクリロイル基を有するアクリレートを用いることを
さまたげるものではない、具体的には、アクリロイル基
を2個有するウレタンアクリレートやエポキシアクリレ
ートを、耐摩耗性および帯電防止性の低下しない範囲
(塗布層成分中の20重量%以下)で用いることができ
る。
【0047】また、塗布組成物の硬化に活性エネルギー
線として、紫外線を用いる場合、上記オルガノポリシロ
キサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合
体と、分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官
能アクリレートに加えて光重合開始剤が用いられる。光
重合開始剤としては、例えば、2,2−エトキシアセト
フェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエー
テル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロ
ピルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキ
シベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、
2−クロロチオキサントン、アントラキノン、フェニル
ジスルフィド、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェ
ニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ヒ
ドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−
オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル
−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの光
重合開始剤は、1種類または2種類以上を併用して使用
することができる。
【0048】光重合開始助剤としては、トリエチルアミ
ン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノ
ール等の3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアル
キルホスフィン、β−チオジグリコール等のチオエーテ
ル等が挙げられる。改質剤としては、塗布性改良剤、消
泡剤、増粘剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、有機
高分子、染料、顔料、安定剤などが挙げられる。これら
は、活性エネルギー線による反応を阻害しない範囲で使
用され、活性エネルギー線硬化樹脂層の特性を用途に応
じて改良することができる。活性エネルギー線硬化樹脂
層の組成物には、粘度調整、塗工時の作業性向上、塗工
厚さのコントロールのため、共重合体作成の際に用いた
溶剤を配合することができる。本発明の活性エネルギー
線硬化塗布組成物には、塗布層特性を改良する目的で紫
外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフ
ェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等の紫
外線吸収剤)、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミ
ン系紫外線安定剤)、酸化防止剤(例えば、フェノール
系、硫黄系、リン系酸化防止剤)、ブロッキング防止
剤、スリップ剤、レベリング剤等の添加剤を配合するこ
とができる。
【0049】本発明において、活性エネルギー線硬化塗
布組成物中のオルガノポリシロキサン単位および4級ア
ンモニウム塩単位を有する重合体の配合量は、固形分1
00重量%中、通常1〜40重量%、好ましくは5〜2
5重量%である。該配合量が1重量%未満の場合は、十
分な帯電防止性を有する塗布層が得られないことがあ
る。また、40重量%を超える場合は、塗布層の耐摩耗
性が低下する傾向がある。本発明において、活性エネル
ギー線硬化塗布組成物中の3個以上のアクリロイル基を
有する多官能アクリレートの配合量は、固形分100重
量%中、通常60〜99重量%、好ましくは75〜95
重量%である。60重量%未満の場合には、十分な耐摩
耗性を有する塗布層が得られない場合があり、99重量
%を超える場合には、十分な帯電防止性を有する塗布層
が得られないおそれがある。
【0050】本発明において、活性エネルギー線硬化塗
布組成物の固形分濃度は特に限定される訳ではないが、
通常0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、
さらに好ましくは1〜5重量%に調整され用いられる。
本発明において、活性エネルギー線硬化塗布組成物中の
光重合開始剤配合量は、硬化すればよく、特に限定され
ないが、固形分100重量%中、通常0.5〜20重量
%、好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは1〜
5重量%である。本発明において、塗布層の形成は、フ
ィルムの一方の表面に塗布組成物を塗布して硬化させる
方法により行われる。塗布方法としては、リバースロー
ルコート法、グラビアロールコート法、ロッドコート
法、エアーナイフコート法などを採用し得る。塗布され
た塗布組成物の硬化は、例えば、活性エネルギー線や熱
により行われる。活性エネルギー線としては、紫外線、
可視光線、電子線、X線、α線、β線、γ線などが使用
される。熱源としては、赤外線ヒーター、熱オーブン等
が使用される。活性エネルギー線の照射は、通常、塗布
層側から行うが、フィルムとの密着を高めるため、塗布
層の反対面側から行ってもよい。必要に応じ、活性エネ
ルギー線を反射し得る反射板を利用してもよい。活性エ
ネルギー線により硬化された皮膜は、特にスティッキン
グ防止性が良好である。
【0051】本発明において、塗布層は表面抵抗が1×
1011Ω以下でなければならない。塗布層の表面抵抗
が上記の値を超える場合は静電気が発生しやすくなり、
被印刷物と、貼り付きやすくなり鮮明な印刷が阻害され
るので好ましくない。塗布層の表面抵抗は、好ましくは
5×1010Ω以下、さらに好ましくは1×1010Ω
以下である。本発明において、スティッキング防止層面
の摩擦係数は0.4以下、好ましくは、0.35以下、
さらに好ましくは、0.3以下である。摩擦係数が0.
4を超える場合には、サーマルヘッドとの滑り性が悪く
なり、スティック現象が発生するので好ましくない。
【0052】本発明において、スティッキング防止層面
の水滴接触角は、70度以上、好ましくは、70〜10
0度、さらに好ましくは75〜95度である。水滴接触
角の値が70度未満の場合には、スティック現象が発生
しやすくなるので好ましくない。本発明において、好ま
しい態様としては、二軸配向ポリエステルフィルムの一
方の表面に塗布層が設けられたフィルムのもう一方の面
に離型層が積層されてなる構成の熱転写記録媒体であ
る。ここで設けられた、もう一方の面の離型層上には、
熱転写を行う際の転写体が設けられる。該離型層は特に
限定される訳ではないが、転写体を受容し、熱転写時に
は、受容体へ転着する特性の離型層であればよい。上記
のように構成された本発明の熱転写記録媒体は、熱転写
プリント等におけるサーマルヘッドと熱転写記録媒体お
よび/または被印刷物との間で起こる、走行停止いわゆ
るスティッキング現象やスティックかすの発生を防止
し、安定して鮮明な印刷ができる熱転写記録媒体を提供
することができる。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、実施例および比
較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発
明で使用した測定法および評価基準は次のとおりであ
る。
【0054】(1)塗布層の表面抵抗(Ω) (株)ダイアインスツルメンツ社製「Hiresta−
UP MCP−HT450」を使用し、23℃/50%
RHの雰囲気下で試料を設置し、500Vの電圧を印加
し、1分間充電後(電圧印加時間1分)の表面抵抗
(Ω)を測定した。ここで使用した電極の型は、主電極
の外径16mm、対電極の内径40mmの同心円電極で
ある。
【0055】(2)摩擦係数 固定した硬質クロムメッキ金属ロール(直径6mm)に
フィルムのを巻きつけ角135°(θ)で接触させ、5
3g(T2)の荷重を一端にかけて、1m/分の速度で
これを走行させ他端の抵抗力(T1(g))を測定し、
次式により走行中の摩擦係数(μd)を求めた。 μd=(1/θ)・ln(T1/T2)=0.424・
ln(T1/53)
【0056】(3)水滴接触角 温度23℃ 湿度50%RHで試料フィルムと、蒸留水
との接触角を、協和界面化学(株)社製接触角計CA−
DT−A型を用いて測定した。接触角は、水滴の左右2
点、試料数3で計6点測定し、平均値を求め接触角とし
た。なお、水滴の直径は2mmで、滴下後1分後の数値
を読み取った。 (4)スティッキング 温度23℃ 湿度50%RHで大阪シーリング印刷株式
会社製OSPラベルプリンターTP−80により試料フ
ィルムのプリンター走行印字テストを行った。300m
走行後の状態を下記ランクに分け評価した。 ○:走行停止せずかつサーマルヘッドへの白粉の付着が
見られない。 ×:走行停止および/またはサーマルヘッドへの白粉の
付着が認められる。
【0057】製造例1(ポリエステルA) ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール
60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反
応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去
し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要
して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終
了した。次いで、平均粒径1.54μmのシリカ粒子を
0.1部含有するエチレングリコールスラリーを反応系
に添加し、さらに、エチルアシッドフォスフェート0.
04部、酸化ゲルマニウム0.01部を添加した後、1
00分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せし
め、以後も徐々に圧力を減じて最終的に0.3mmHg
とした。4時間後に系内を常圧に戻しポリエステルAを
得た。ポリエステルAのシリカ粒子の含有量は0.1重
量%であった。
【0058】製造例2(ポリエステルフィルムA1) ポリエステルAを180℃で4時間、不活性ガス雰囲気
中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融押出し、
静電印加密着法を使用し、表面温度を40℃に設定した
冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得ら
れたシートを85℃で3.5倍縦方向に延伸した後、1
00℃で3.7倍横方向に延伸し、さらに、230℃に
て熱固定し、厚さ12μmのポリエステルフィルムA1
を得た。
【0059】実施例1 疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート55
部、カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエ
チルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液5
0部、オルガノポリシロキサン単位として、分子量約5
000の片末端メタクリルオキシ変性オルガノポリシロ
キサン(チッソ社製FM0721)5部、およびエチル
アルコール140部と重合開始剤としてアゾビスイソブ
チロニトリル1部を添加し、窒素気流下80℃で6時間
重合反応を行い、カチオン性共重合体の40%エチルア
ルコール溶液を得た。このカチオン性共重合体をエチル
アルコール/イソプロピルアルコール=50/50の混
合溶媒で希釈しポリエステルフィルムA1の片面に乾燥
後の塗布厚さが0.2μmとなる様にバーコーターを用
いて塗布、乾燥して塗布層を形成した。
【0060】実施例2 疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート55
部、カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエ
チルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液4
0部、オルガノポリシロキサン単位として、分子量約7
000のメルカプト変性オルガノポリシロキサン(信越
化学社製、X−22−980)5部、およびイソプロピ
ルアルコール150部と重合開始剤としてアゾビスイソ
ブチロニトリル1部を添加し、窒素気流下80℃で5時
間重合反応を行いカチオン性共重合体の40%イソプロ
ピルアルコール溶液を得た。このカチオン性共重合体を
イソプロピルアルコールで希釈し、ポリエステルフィル
ムA1の片面に乾燥後の塗布厚さが0.15μmとなる
ようにバーコーターを用いて塗布、乾燥して塗布層を形
成した。
【0061】実施例3 疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート51
部、カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエ
チルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液5
0部、メタクリル酸4部およびエチルアルコール140
部と重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1部
を添加し、窒素気流下80℃で6時間重合反応を行いそ
の後、オルガノポリシロキサン単位として、分子量約1
000の両末端エポキシ変性オルガノポリシロキサン
(チッソ社製FM5511)5部添加し、80℃で10
時間反応して、カチオン性共重合体の40%エチルアル
コール溶液を得た。このカチオン性共重合体をエチルア
ルコールで希釈しポリエステルフィルムA1の両面に乾
燥後の塗布厚さが0.2μmとなるようにバーコーター
を用いて塗布、乾燥して塗布層を形成した。
【0062】実施例4 片末端にスチレン基を有する数平均分子量11300の
オルガノポリシロキサン化合物(信越化学社製X−22
−2440)30部、N,N−ジメチルアミノエチルメ
タクリレート70部、およびイソプロピルアルコール1
50部の混合物を加熱して80℃に昇温した時、および
同昇温時より2時間後に、それぞれアゾビスイソブチロ
ニトリルを0.3部ずつ添加し、80℃で8時間反応し
て、固形分40%の共重合体溶液を得た。次に、得られ
た共重合体溶液に、イソプロピルアルコール83.3部
を添加した後、塩化メチルを反応系に導入し、50℃で
6時間反応し、オルガノポリシロキサン単位および4級
アンモニウム塩単位を有する固形分濃度34%の重合体
溶液(4A)を得た。次に、ジペンタエリスリトールペ
ンタアクリレートを67モル%含有するジペンタエリス
リトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリト
ールペンタアクリレートの混合物(日本化薬社製カヤラ
ッドDPHA)163部とピロメリット酸二無水物2
1.8部、メチルエチルケトン100部、ハイドロキノ
ンモノメチルエーテル0.1部およびN,N−ジメチル
ベンジルアミン1部を加え、80℃で8時間反応し、固
形分濃度65%のカルボキシル基含有多官能アクリレー
ト溶液(4B)を得た。上記で得られた(4A)を17
部、(4B)を83部、および光重合開始剤として、チ
バ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア907
を3部、イソプロピルアルコールを897部の割合で均
一に混合して、活性エネルギー線硬化塗布組成物を調整
した。次いで、ポリエステルフィルムA1の一方の表面
に、硬化後の厚さが0.15μmになるように塗布し、
120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照
射距離100mmにて15秒間照射し塗布層を形成し
た。
【0063】実施例5 両末端にメルカプト基を有する数平均分子量が約334
0のオルガノポリシロキサン化合物(信越化学社製X−
22−167B)10部、N,N−ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート80部、メチルメタクリレート10部
およびイソプロピルアルコール150部の混合物を加熱
して80℃に昇温した時、および同昇温時より2時間後
に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部づ
つ添加し、80℃で8時間反応して、固形分40%の共
重合体溶液を得た。次に、得られた共重合体溶液に、イ
ソプロピルアルコール83.3部を添加した後、塩化メ
チルを反応系に導入し、50℃で6時間反応し、オルガ
ノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を
有する固形分濃度35%の重合体溶液(5A)を得た。
上記で得られた(5A)を17部、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレートを53部、および光重合開始剤
として、チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキ
ュア907を3部、イソプロピルアルコールを927部
の割合で均一に混合して、活性エネルギー線硬化塗布組
成物を調整した。次いで、ポリエステルフィルムA1の
一方の表面に、硬化後の厚さが0.15μm になるよ
うに塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯
を使用し、照射距離100mmにて15秒間照射し塗布
層を形成した。
【0064】実施例6 片末端にメタクリロイル基を有する数平均分子量が約1
0000のオルガノポリシロキサン化合物(チッソ社製
FM0725)15部、N,N−ジメチルアミノエチル
メタクリレート75部、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート10部およびメチルエチルケトン150部の混合
物を加熱して80℃に昇温した時、および同昇温時より
2時間後に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを
0.3部づつ添加し、80℃で8時間反応して、固形分
40%の共重合体溶液を得た。このものに、メタクリロ
イルイソシアネート8部を添加し、80℃で6時間反応
し、側鎖にメタアクリロイル基を有する固形分42%の
共重合体溶液を得た。次に、得られた共重合体溶液に、
イソプロピルアルコール300部を添加した後、塩化メ
チルを反応系に導入し、50℃で6時間反応し、オルガ
ノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を
有し、メタアクリロイル基を有する固形分濃度22%の
重合体溶液(6A)を得た。上記で得られた(6A)を
26部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを
53部、および光重合開始剤として、チバ・スペシャリ
ティケミカルズ社製イルガキュア907を3部、イソプ
ロピルアルコールを918部の割合で均一に混合して、
活性エネルギー線硬化塗布組成物を調整した。次いで、
ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚
さが0.15μmになるように塗布し、120W/cm
のエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100m
mにて15秒間照射し塗布層を形成した。
【0065】実施例7 片末端にスチレン基を有する数平均分子量11300の
オルガノポリシロキサン化合物(信越化学社製X−22
−2440)10部、N,N−ジメチルアミノエチルメ
タクリレート80部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート10部およびメチルエチルケトン150部の混合物
を加熱して80℃に昇温した時、および同昇温時より2
時間後に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.
3部づつ添加し、80℃で8時間反応して、固形分40
%の共重合体溶液を得た。このものに、イソホロンジイ
ソシアネート28部と2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト22部を反応して得られる化合物50部を添加し、8
0℃で6時間反応し、固形分50%の側鎖にアクリロイ
ル基を有する共重合体溶液を得た。次に、ここで得られ
た共重合体溶液に、イソプロピルアルコール300部を
添加した後、塩化メチルを反応系に導入し、50℃で6
時間反応し、オルガノポリシロキサン単位および4級ア
ンモニウム塩単位を有し、側鎖にアクリロイル基を有す
る固形分濃度28%の重合体溶液(7A)を得た。上記
で得られた(7A)を20部、ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレートを53部、および光重合開始剤とし
て、チバ・スペシャリティケミカルズ社製ダロキュア1
173を6部、イソプロピルアルコールを921部の割
合で均一に混合して、活性エネルギー線硬化塗布組成物
を調整した。次いで、ポリエステルフィルムA1の一方
の表面に、硬化後の厚さが0.15μmになるように塗
布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用
し、照射距離100mmにて15秒間照射し塗布層を形
成した。
【0066】実施例8 実施例4で得られた重合体溶液(4A)を17部、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレートを53部、およ
び光重合開始剤として、チバ・スペシャリティケミカル
ズ社製イルガキュア184を6部、イソプロピルアルコ
ールを924部の割合で均一に混合して、活性エネルギ
ー線硬化塗布組成物を調整した。次いで、ポリエステル
フィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが0.15
μmになるように塗布し、120W/cmのエネルギー
の高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて15秒
間照射し塗布層を形成した。
【0067】比較例1 p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩(40部)、ビニ
ルスルホン酸ナトリウム塩(40部)、N,N’−ジメ
チルアミノメタクリレート(20部)を蒸留水中に溶解
させ、60℃で加熱撹拌しながら重合開始剤として2,
2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩を添
加して重合を行い、帯電防止性樹脂を得た。次いで、上
記の帯電防止性樹脂30部に、ポリウレタン樹脂(イソ
シアネート成分:イソホロンジイソシアネート、ポリオ
ール成分:テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリ
コール、ジエチレングリコールより構成されるポリエス
テルポリオール、鎖延長剤:2,2−ジメチロールプロ
ピオン酸)50部、アクリル樹脂(構成単位:メチルメ
タクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチ
ルアクリレート)10部、3官能水溶性エポキシ化合物
5部、平均粒径0.1μmのコロイダルシリカを5部配
合して水分散体塗布液を調製した。製造例2において、
縦方向に延伸した後、上記水分散体塗布液を延伸乾燥後
の塗布厚さが0.1μmになるように塗布し、塗布層を
形成した。
【0068】比較例2 疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート60
部、カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエ
チルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液5
0部およびエチルアルコール140部と重合開始剤とし
てアゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、窒素気流
下80℃で6時間重合反応を行いカチオン性共重合体の
40%エチルアルコール溶液を得た。このカチオン性共
重合体をエチルアルコール/イソプロピルアルコール=
50/50の混合溶媒で希釈しポリエステルフィルムA
1の片面に乾燥後の塗布厚さが0.2μmとなるように
バーコーターを用いて塗布、乾燥して塗布層を形成し
た。
【0069】比較例3 ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚
さが0.1μmになるように硬化性シリコーン樹脂(信
越化学工業社製KS−723A)100部、(信越化学
工業社製KS−723B)25部、硬化剤(信越化学工
業社製CATPS−3)5部、メチルエチルケトン/ト
ルエン=50/50の混合溶媒2200部からなる塗布
液を塗布し、乾燥、熱硬化させて塗布層を形成した。
【0070】比較例4 片末端にスチレン基を有する数平均分子量約11300
のオルガノポリシロキサン化合物(信越化学社製X−2
2−2440)30部、メチルメタクリレート70部、
およびイソプロピルアルコール150部の混合物を加熱
して80℃に昇温した時、および同昇温時より2時間後
に、それぞれアゾビスイソブチロニトリルを0.3部づ
つ添加し、80℃で8時間反応して、オルガノポリシロ
キサン単位を有する固形分40%の共重合体溶液(9
A)を得た。上記で得られた(9A)を15部、ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレートを53部、および
光重合開始剤として、チバ・スペシャリティケミカルズ
社製イルガキュア907を3部、イソプロピルアルコー
ルを929部の割合で均一に混合して、活性エネルギー
線硬化塗布組成物を調整した。次いで、ポリエステルフ
ィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが0.15μ
mになるように塗布し、120W/cmのエネルギーの
高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて15秒間
照射し塗布層を形成した。このようにして得られた実施
例1〜8、比較例1〜4の特性を下記表1および2に示
す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、熱転写プリント等にお
けるサーマルヘッドと熱転写記録媒体および/または被
印刷物との間で起こる、走行停止いわゆるスティッキン
グ現象やスティックかすの発生を防止し、安定して鮮明
な印刷ができる熱転写記録媒体を提供することができ、
本発明の工業的価値は高い。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向ポリエステルフィルムの一方の
    表面にスティッキング防止層が設けられ、当該スティッ
    キング防止層面の表面抵抗が1×1011Ω以下、摩擦
    係数が0.4以下、水滴接触角が70度以上であること
    を特徴とする熱転写記録媒体。
  2. 【請求項2】 スティッキング防止層が帯電防止剤を含
    有することを特徴とする請求項1記載の熱転写記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 スティッキング防止層がシリコーン系化
    合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記
    載の転写媒体。
  4. 【請求項4】 スティッキング防止層の反対側の面に離
    型層が積層されていることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の転写媒体。
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