JP4106749B2 - 液晶表示板表面保護フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示板表面保護フィルムに関するものであり、詳しくは、液晶表示板の偏光板または位相差板の表面に貼着することにより、偏光板または位相差板の表面を保護するために使用される液晶表示板表面保護フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、液晶表示板は、2枚の基板の間に液晶を封入した液晶セルの両面に偏光板または位相差板を積層することによって作製される。そして、流通過程やコンピューター、ワープロ、テレビ等の各種表示機器の組み立て工程における偏光板または位相差板の表面の擦傷防止や塵芥付着防止のため、偏光板または位相差板の表面には保護フィルムが貼着される。斯かる保護フィルムは、偏光板または位相差板の保護の役目を果たした後においては不要物として剥離除去される。通常、保護フィルムの剥離除去は、保護フィルムに粘着テープを押し付けて当該粘着テープを持ち上げる方法により行われる。
【0003】
従来、上記の保護フィルムとして、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等が使用されている。しかしながら、これらの保護フィルムは、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査には支障を来すことがあるため、検査時に一旦剥離し、検査終了後に再度貼付しなければならない欠点がある。
【0004】
特開平4−30120号公報には、光学的評価を伴う検査時に剥離する必要がない保護フィルムとして、光等方性基材フィルムに光等方性粘着性樹脂層を積層した保護フィルムが提案されている。しかしながら、この保護フィルムは、基材フィルムとして、流延法により製膜され、従って、殆ど配向しておらずに非晶質に近い状態のフィルムを使用しているため、耐薬品性、耐擦傷性などの点で十分とは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、取扱性に優れ、光学的評価を伴う液晶表示板の検査が容易であり、液晶表示板へのゴミの付着防止に優れる等の特性を有する、液晶表示板表面保護フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、液晶表示板の偏光板または位相差板の表面に貼着して使用される液晶表示板表面保護フィルムであって、厚さが5〜50μmの二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面に厚さ(乾燥後)1〜5μmのアクリル系樹脂を含有する耐摩耗性層が設けられ且つ他方の表面に粘着層が設けられた積層フィルムから成り、上記の二軸配向ポリエステルフィルムはレターデーション値が30〜10,000nmであり、上記の耐摩耗性層は表面抵抗率が1×1010Ω未満であり、上記の積層フィルムは全光線透過率が80%以上であることを特徴とする液晶表示板表面保護フィルムに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の液晶表示板表面保護フィルムは、液晶表示板の偏光板または位相差板の表面に貼着して使用され、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面に耐摩耗性層が設けられ且つ他方の表面に粘着層が設けられた積層フィルムから成る。そして、本発明の好まして態様においては、粘着層の表面に離型フィルムが積層される。斯かる本発明の液晶表示板表面保護フィルムは、一般的には、耐摩耗性層形成工程、粘着層形成工程、離型フィルム積層工程を順次に経て製造される。
【0008】
本発明において、二軸配向ポリエステルフィルム(以下フィルムと略記する)とは、いわゆる押出法に従い押出口金から溶融押出しされたシートを縦方向および横方向の二軸方向に延伸して配向させたフィルムである。
【0009】
上記のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコ−ルとを重縮合させて得られるポリエステルを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト(PEN)等が例示される。
【0010】
上記のポリエステルは、第三成分を含有した共重合体であってもよい。斯かる共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)が挙げられ、グリコ−ル成分として、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ブタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分およびグリコ−ル成分は、二種以上を併用してもよい。
【0011】
本発明においては、その取扱性を考慮した場合、透明性を損なわない条件でフィルムに粒子を含有させることが好ましい。粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン、カオリン、タルク、ゼオライト、フッ化リチウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、特公昭59−5216号公報に記載されている様な、耐熱性高分子微粉体などが挙げられる。これらの粒子は、2種以上を併用してもよい。粒子の平均粒径は、通常0.02〜2μm、好ましくは0.05〜1.5μm、更に好ましくは0.05〜1μmである。粒子の含有量は、通常0.01〜2重量%、好ましくは0.02〜1重量%とされる。
【0012】
フィルムに粒子を含有させる方法としては、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステル製造工程の任意の段階で粒子を添加することが出来る。特に、エステル化の段階またはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階において、エチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付混練押出機を使用し、エチレングリコ−ル又は水に粒子を分散させたスラリ−とポリエステル原料とをブレンドする方法、混練押出機を使用し、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法なども採用し得る。
【0013】
フィルムの製造は、押出法に従い押出口金から溶融押出しされたシートを縦方向および横方向の二軸方向に延伸して配向させる方法によって行われる。
【0014】
押出法においては、ポリエステルを押出口金から溶融押出し、冷却ロ−ルで冷却固化して未延伸シ−トを得る。この場合、シ−トの平面性を向上させるため、シ−トと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法または液体塗布密着法が好ましく採用される。静電印加密着法とは、通常、シ−トの上面側にシ−トの流れと直行する方向に線状電極を張架し、該電極に約5〜10kVの直流電圧を印加することにより、シ−トに静電荷を付与してシ−トとドラムとの密着性を向上させる方法である。また、液体塗布密着法とは、回転冷却ドラム表面の全体または一部(例えばシ−ト両端部と接触する部分のみ)に液体を均一に塗布することにより、ドラムとシ−トとの密着性を向上させる方法である。本発明においては必要に応じ両者を併用してもよい。
【0015】
二軸方向の延伸においては、先ず、前記の未延伸シ−トを一方向にロ−ル又はテンタ−方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜115℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
【0016】
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することも出来る。その場合、最終的に二方向の延伸倍率が夫々上記範囲となる様に行うのが好ましい。また、前記の未延伸シ−トを面積倍率が10〜40倍になる様に同時二軸延伸を行うことも可能である。更に、必要に応じて熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
【0017】
本発明において、フィルムは、厚さが5〜50μm、レターデーション(Retardation)値が30〜10,000nmでなければならない。フィルムの厚さが5μm未満の場合は、液晶表示板の表面保護性が低下する他、耐摩耗性層形成工程や粘着層形成工程における取扱性などが悪くなり、また、フィルムの厚さが50μmを超える場合は、レターデーション値の上昇、全光線透過率の低下により、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査を行う場合に支障を来す。一方、レターデーション値が30nm未満の場合は、フィルムの耐薬品性が悪化し、10,000nmを超える場合は、フィルムの配向軸の角度(θ3)によっては、偏光板と保護フィルムとの間でクロスニコルの状態となり消光状態となる。フィルムの厚さは、好ましくは10μm〜40μmであり、レターデーション値は、好ましくは50〜5000nm、更に好ましくは100〜2000nmである。
【0018】
本発明において、耐摩耗性層の構成材料としては、例えば、各種の架橋性樹脂、金属酸化物、硬質炭素材料などが挙げられるが、通常は、架橋性樹脂が好適に使用される。架橋性樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート系樹脂の他、含ケイ素化合物と含フッ素化合物との共重合体樹脂などが挙げられる。
【0019】
本発明においては、生産性などの観点から、活性エネルギー線硬化樹脂が好適に使用される。活性エネルギー線硬化樹脂としては、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、付加重合系樹脂、チオール・アクリルのハイブリッド系樹脂、カチオン重合系樹脂、カチオン重合とラジカル重合のハイブリッド系樹脂などが挙げられる。これらの中では、硬化性、耐擦傷性、表面硬度、可撓性および耐久性などの点でアクリル系樹脂が好ましい。
【0020】
上記のアクリル系樹脂は、活性エネルギー線重合成分としてのアクリルオリゴマーと反応性希釈剤とを含有する。そして、必要に応じ、光重合開始剤、光重合開始助剤、改質剤などを含有する。
【0021】
アクリルオリゴマーとしては、代表的には、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリロイル基またはメタアクリロイル基が結合されたオリゴマーが挙げられる。その他のアクリルオリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコ−ン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。更に、剛直な骨格であるアクリロイル基またはメタアクリロイル基に、メラミン、イソシアヌール酸、環状ホスファゼン等が結合したオリゴマーが挙げられる。
【0022】
反応性希釈剤は、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共にそれ自体が多官能性または単官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有するため、塗膜の共重合成分となる。斯かる反応性希釈剤の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
光重合開始剤としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、フェニルジスルフィド、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン等が挙げられる。
【0024】
光重合開始助剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン、β−チオジグリコール等のチオエーテル等が挙げられる。
【0025】
改質剤としては、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、有機高分子、染料、顔料、安定剤などが挙げられる。これらは、活性エネルギー線による反応を阻害しない範囲で使用され、活性エネルギー線硬化樹脂層の特性を用途に応じて改良することが出来る。活性エネルギー線硬化樹脂層の組成物には、塗工時の作業性向上、塗工厚さのコントロールのため、有機溶剤を配合することが出来る。
【0026】
本発明においては、液晶表示板表面保護フィルムに帯電防止性を付与させため下記の様な方法を採用することが出来る。すなわち、(1)フィルムにクロム蒸着などの導電性材料を蒸着する方法、(2)フィルムに帯電防止剤を練り込む方法、(3)フィルムに帯電防止剤含有塗布層を設ける方法、(4)耐摩耗性層に帯電防止剤を含有させる方法などを採用することが出来る。これらの中では、(3)又は(4)の方法が推奨される。
【0027】
帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基などのカチオン性基を有する各種のカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性帯電防止剤、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性帯電防止剤、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性帯電防止剤などの各種界面活性剤型帯電防止剤、更には、上記の様な帯電防止剤を高分子量化した高分子型帯電防止剤などが挙げられる。
【0028】
耐摩耗性層中には、適切な剥離性を付与するため、シリコーン系化合物が含有させるのが好ましい。シリコーン系化合物の種類としては、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、シリコーンゴム等が挙げられる。シリコーンが主成分である化合物が好ましい。斯かる化合物としては、例えば、直鎖状ジメチルポリシロキサンガム、有機変性ポリシロキサン等が挙げられる。
【0029】
耐摩耗性層中のシリコーン系化合物の含有量は、通常0.5〜60重量%、好ましくは0.5〜50重量%、更に好ましくは1〜40重量%である。シリコーン系化合物の含有量が60重量%を超える場合は、粘着テープとの接着力が低下し保護フィルムを除去する際、粘着テープに粘着し難くなり、0.5重量%未満の場合は、目標の偏光角または位相角に合わせてカットされたものが積み重ねられて取り扱われる際、カットされたエッジの粘着剤が他の偏光板または位相差板の保護フィルムの表面に付着することがある。
【0030】
耐摩耗性層の形成は、フィルムの一方の表面に硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させる方法により行われる。塗布方法としては、リバースロールコート法、グラビアロールコート法、ロッドコート法、エアーナイフコート法などを採用し得る。塗布された硬化性樹脂組成物の硬化は、例えば、活性エネルギー線や熱により行われる。活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線、α線、β線、γ線などが使用される。熱源としては、赤外線ヒーター、熱オーブン等が使用される。活性エネルギー線の照射は、通常、塗布層側から行うが、フィルムとの密着を高めるため、塗布層の反対面側から行ってもよい。必要に応じ、活性エネルギー線を反射し得る反射板を利用してもよい。活性エネルギー線により硬化された皮膜は、特に耐摩耗性が良好である。
【0031】
耐摩耗性層の厚さは、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの範囲である。厚さが0.5μm未満の場合は耐摩耗性が低下し、10μmを超える場合は、耐摩耗性層の硬化収縮が大きく成り、フィルムが耐摩耗性層側にカールすることがある。
【0032】
本発明において、耐摩耗性層は表面抵抗率が1×1010Ω未満でなければならない。耐摩耗性層の表面抵抗率が上記の値を超える場合は静電気が発生し易くなり、ゴミの付着が多くなる。摩耗性層の表面抵抗率は、好ましくは5×109Ω未満、更に好ましくは1×109Ω未満である。
【0033】
本発明において、耐摩耗性層のポリエステルフィルムに対する摩擦係数は0.3以下であることが好ましい。その理由は次の通りである。耐摩耗性層形成工程を経たフィルムは、粘着層形成工程に搬入される前に積み重ねた状態で保管される。耐摩耗性層の摩擦係数が0.3を超える場合は、上記の保管の際、上下で接触している耐摩耗性層とフィルムとがブロッキング(固着)して取扱性が悪化することがある。そこで、本発明においては、斯かる問題を回避するため、耐摩耗性層のポリエステルフィルムに対する摩擦係数の調節が推奨される。耐摩耗性層のポリエステルフィルムに対する摩擦係数は、好ましくは0.25以下である。
【0034】
本発明において、耐摩耗性層の表面粗度(Ra)は0.03μm以下であることが好ましい。すなわち、耐摩耗性層の表面粗度(Ra)が0.03μmを超える場合は、透明性の低下に伴い、フィルムの厚さ及びレターデーション値が前記の範囲であっても、保護フィルムを貼付した状態での光学的評価を伴う検査において問題を起こすことがある。そこで、本発明においては、保護フィルムを貼付した状態での上記の検査を全く問題なしに行うため、耐摩耗性層の表面粗度(Ra)を調節することが推奨される。耐摩耗性層の表面粗度(Ra)は、好ましくは0.025μm以下である。
【0035】
本発明において、耐摩耗性層の後述する粘着剤に対する剥離力が500gf/50mm以下であることが好ましい。その理由は次の通りである。本発明の液晶表示板表面保護フィルムは、積み重ねた状態で保管される。この保管の際、所定寸法への裁断工程において、ポリエステルフィルムと離型フィルムとの間から偶発的にはみ出した粘着層が他の保護フィルムの耐摩耗性層に接触することがある。そして、斯かる粘着層の耐摩耗性層への接触は、粘着剤の接着力が大きくなると、耐摩耗性層に対する粘着剤の付着汚れの原因となる。そこで、斯かる問題を回避するため、本発明においては、耐摩耗性層の後述する粘着剤に対する剥離力の調節が推奨される。
【0036】
本発明において、粘着層は、公知の粘着剤、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ブロックコポリマー系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などから構成される。一般に、斯かる粘着剤は、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤(可塑剤)、劣化防止剤、充填剤、架橋剤などの組成物として構成される。
【0037】
エラストマーとしては、上記の各粘着剤の種類に従って、例えば、天然ゴム、合成イソプレンゴム、再生ゴム、SBR、ブロックコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリアクリル酸エステル共重合体、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0038】
粘着付与剤としては、例えば、ロジン、水添ロジンエステル、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂還族系水添石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。
【0039】
軟化剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ひまし油、トール油等が挙げられる。
【0040】
劣化防止剤としては、例えば、芳香族アミン誘導体、フェノール誘導体、有機チオ酸塩等が挙げられる。
【0041】
充填剤としては、例えば、亜鉛華、チタン白、炭酸カルシウム、クレー、顔料、カーボンブラック等が挙げられる。充填剤が含有される場合は保護フィルムの全光線透過率に大きく影響を与えない範囲で使用される。
【0042】
架橋剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤の架橋には、イオウと加硫助剤および加硫促進剤(代表的なものとして、ジブチルチオカーバメイト亜鉛など)が使用される。天然ゴム及びカルボン酸共重合ポリイソプレンを原料とした粘着剤を室温で架橋可能な架橋剤として、ポリイソシアネート類が使用される。ブチルゴム及び天然ゴムなどの架橋剤に耐熱性と非汚染性の特色がある架橋剤として、ポリアルキルフェノール樹脂類が使用される。ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及び天然ゴムを原料とした粘着剤の架橋に有機過酸化物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどがあり、非汚染性の粘着剤が得られる。架橋助剤として、多官能メタクリルエステル類を使用する。その他紫外線架橋、電子線架橋などの架橋による粘着剤の形成がある。
【0043】
粘着層の形成は、フィルムの他方の表面に粘着剤を塗布する方法により行われる。塗布方法としては、耐摩耗性層の形成に使用したのと同様の方法を採用し得る。粘着層の厚さは、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの範囲である。
【0044】
本発明において、粘着層の粘着力は、耐摩耗性層に粘着テープを押し付けて当該粘着テープを持ち上げた際、偏光板または位相差板の表面から粘着層が二軸配向ポリエステルフィルムと共に剥離除去される様な範囲に調節される。この場合、偏光板または位相差板と粘着層との間の粘着力は、5〜200gf/50mmの範囲にするのが好ましい。そして、粘着層の表面には、その取扱性の便宜を図る観点から、公知の離型フィルムが積層される。
【0045】
上記の様に構成された本発明の積層フィルム(液晶表示板表面保護フィルム)は全光線透過率(TL)が80%、好ましくは85%以上である。その結果、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査は、偏光板または位相差板の表面に保護フィルムを貼付したまま行うことが出来る。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で使用した測定法および評価基準は次の通りである。
【0047】
(1)二軸配向ポリエステルフィルムの厚さ:
シチズン時計社製ミューメトロン「4M−100P TYPE V−2」を使用してフィルムの厚さを測定した。
【0048】
(2)二軸配向ポリエステルフィルムのレターデーション値(Re):
アタゴ光学社製アッベ式屈折計を使用し、フィルム面内の屈折率の最大値nγ及びそれと直交する方向の屈折率nβを測定し、その差(nγ−nβ)を計算した。その差(nγ−nβ)に当該屈折率を測定したフィルムの厚みを乗じてレターデーション値とした。
【0049】
(3)耐摩耗性層の表面抵抗率(Ω):
三菱油化社製「Hiresta MODEL HT−210」を使用し、23℃/50%RHの雰囲気下で試料を設置し、500Vの電圧を印加し、1分間充電後(電圧印加時間1分)の表面抵抗(Ω)を測定した。ここで使用した電極の型は、主電極の外径16mm、対電極の内径40mmの同心円電極である。測定した表面固有抵抗(Ω)に10を乗じた値を表面抵抗率(Ω)とした。
【0050】
(4)耐摩耗性層の摩擦係数:
平滑なガラス板上に、幅15mm、長さ150mmに切り出した試料フィルムの耐摩耗性層面とポリエステルフィルム(ダイアホイルヘキスト社製T100−38)を重ね、その上にゴム板を載せ、更にその上に荷重を載せ、2枚のフィルムの接圧を0.5g/mm2として、20mm/minの速度でフィルム同志を滑らせて摩擦力を測定した。5mm滑らせた点での値を計算し摩擦係数をとした。なお、測定は、温度23℃、湿度50%の雰囲気で行なった。
【0051】
(5)耐摩耗性層の表面粗度(Ra):
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。表面粗さ測定機((株)小坂研究所社製「SE−3F」)を使用し次の様にして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表わした際に次の式で与えられた値を〔μm〕で表わす。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
【0052】
【数1】
【0053】
(6)耐摩耗性層の粘着剤に対する剥離力:
耐摩耗性層上に両面粘着テープ(日東電工社製「No.502」)を貼り、ゴムローラーを使用し450g/cmの線圧で圧着し、50mm幅に切り出し剥離力測定用試料とした。圧着してから1時間放置後インストロン型引張試験機を用いて、180度方向に引張速度300mm/min.で剥し、その応力の平均値をその試料の剥離力とした。この試験を10回繰り返し行い、10回の相加平均をもって剥離力とした。なお、この試験を行った雰囲気は、23℃、50%RHの標準状態である。
【0054】
(7)積層フィルムの全光線透過率(TL):
JIS−K7105に準じ、積分球式濁度計(日本電色工業社製「NDH−300A」)により、全光線透過率(TL)を測定した。
【0055】
(8)取扱性:
耐摩耗性層形成工程や粘着層形成工程におけるフィルムの取扱性および偏向板への貼着時の積層フィルムの取扱性を評価した。
【0056】
(9)消光状態:
クロスニコル状態の2枚の偏向板の間に特性評価用の異物入りフィルムを配置し、試料フィルムを通して上から全体を見た際の消光状態の有無を観察した。
【0057】
(10)耐摩耗性評価:
大平理化工業社製「RUBBING TESTER」を使用し、65mm×50mmの金属製平板圧子に長繊維のセルロース不織布を巻き付け、酢酸エチル1mlをしみ込ませて耐摩耗性層表面を100往復こすった。その後、表面を観察し、耐摩耗性層が殆ど変化していない場合を良好、耐摩耗性層が脱落している場合を不良として評価した。
【0058】
(11)ゴミ付着性:
積層フィルムの耐摩耗性層の表面にタバコの灰を落とし、1回転(360度の回転)させた際の灰の付着状態を観察し、ゴミ付着性の有無を評価した。
【0059】
(12)ブロッキング性:
耐摩耗性層を形成したポリエステルフィルムを2枚重ね、下側のフィルムを固定し、上側のフィルムを指で押して滑らせ、耐摩耗性層とポリエステルフィルムとの間のブロッキングの有無を調査した。
【0060】
(13)検査容易性:
クロスニコル状態の2枚の偏向板の間に特性評価用の異物入りフィルムを配置し、試料フィルムを通して上から全体を見た際の異物の見え易さを評価した。
【0061】
(14)粘着剤付着性:
耐摩耗性層の表面にアクリル系粘着剤を擦り付け、粘着剤の付着性の有無を評価した。
【0062】
製造例1(ポリエステルA)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器に採り、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、平均粒径1.54μmのシリカ粒子を0.1部含有するエチレングリコールスラリーを反応系に添加し、更に、エチルアシッドフォスフェート0.04部、酸化ゲルマニウム0.01部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じて最終的に0.3mmHgとした。4時間後に系内を常圧に戻しポリエステルAを得た。当該ポリエステルAのシリカ粒子の含有量は0.1重量%であった。
【0063】
製造例2(ポリエステルB)
製造例1において、平均粒径1.54μmのシリカ粒子0.1部含有するエチレングリコールスラリーの代わりに、平均粒径0.27μmの酸化チタン粒子1部含有するエチレングリコールスラリーを使用した以外は、製造例1と同様にしてポリエステルBを得た。当該ポリエステルBの酸化チタン粒子の含有量は、1重量%であった。
【0064】
製造例3(ポリエステルフィルムA1)
ポリエステルAを180℃で4時間不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融押出し、静電印加密着法を使用し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られたシートを85℃で3.5倍縦方向に延伸した後、100℃で3.7倍横方向に延伸し、更に、230℃にて熱固定し、厚さ25μmのポリエステルフィルムA1を得た。当該フィルムのレターデーション値は700nmであった。
【0065】
製造例4(ポリエステルフィルムA2)
製造例3と同様にして厚さ38μmのポリエステルフィルムA2を得た。当該フィルムのレターデーション値は990nmであった。
【0066】
製造例5(ポリエステルフィルムA3)
製造例3と同様にして厚さ3μmのポリエステルフィルムA3を得た。当該フィルムのレターデーション値は90nmであった。
【0067】
製造例6(ポリエステルフィルムA4)
製造例3と同様にして厚さ75μmのポリエステルフィルムA4を得た。当該フィルムのレターデーション値は2200nmであった。
【0068】
製造例7(ポリエステルフィルムA5)
製造例3において、縦方向に延伸した後、次の水分散体塗布液を延伸乾燥後の塗布厚さが0.1μmになる様に塗布した以外は、製造例3と同様にしてポリエステルフィルムA5を得た。得られたフィルムのレターデーション値は、700nmであった。
【0069】
上記の水分散体塗布液は次の様にして調製した。すなわち、先ず、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩(40部)、ビニルスルホン酸ナトリウム塩(40部)、N,N’−ジメチルアミノメタクリレート(20部)を蒸留水中に溶解させ、60℃で加熱攪拌しながら重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩を添加して重合を行い、帯電防止性樹脂を得た。
【0070】
次いで、上記の帯電防止性樹脂30部に、ポリウレタン樹脂(イソシアネート成分:イソホロンジイソシアネート、ポリオール成分:テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールより構成されるポリエステルポリオール、鎖延長剤:2,2−ジメチロールプロピオン酸)50部、アクリル樹脂(構成単位:メチルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート)10部、3官能水溶性エポキシ化合物5部、平均粒径0.1μmのコロイダルシリカを5部を配合して水分散体塗布液を調製した。
【0071】
製造例8(ポリエステルフィルムB1)
製造例3において、ポリエステルAをポリエステルBに変更する以外は、製造例3と同様にして、厚さが50μmのポリエステルフィルムB1を得た。当該フィルムのレターデーション値は測定不能であった。
【0072】
実施例1
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30部、4官能ウレタンアクリレート40部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート27部および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部より成る活性エネルギー線硬化樹脂組成物と帯電防止剤として4級アンモニウム塩基含有メタクリルイミド共重合体を95対5の重量比で配合し、ポリエステルフィルムA1の一方の表面に、硬化後の厚さが2μmになる様に塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて15秒間照射し硬化皮膜を形成した。そして、硬化皮膜塗設面と反対側の面にアクリル系粘着剤を塗設し積層フィルムを得た。
【0073】
実施例2
実施例1において、硬化後の厚さが1μmになる様に耐摩耗性硬化皮膜を形成した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0074】
実施例3
実施例1において、ポリエステルフィルムA1をポリエステルフィルムA2に変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0075】
実施例4
実施例1において、ポリエステルフィルムA1をポリエステルフィルムA5に変更し、活性エネルギー線硬化樹脂組成物に帯電防止剤として4級アンモニウム塩基含有メタクリルイミド共重合体を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0076】
比較例1
実施例1において、帯電防止剤を配合しない以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0077】
比較例2
実施例1において、硬化皮膜を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0078】
比較例3
実施例1において、ポリエステルフィルムA1をポリエステルフィルムA3に変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。ところが、フィルム全体にしわが入り、実用上問題のレベルであった。
【0079】
比較例4
実施例1において、ポリエステルフィルムA1をポリエステルフィルムA4に変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0080】
比較例5
実施例1において、ポリエステルフィルムA1をポリエステルフィルムB1に変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0081】
実施例1〜4及び比較例1〜5の結果を表1及び表2に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
製造例9(ポリエステルC)
製造例1において、平均粒径1.54μmのシリカ粒子を0.1部含有するエチレングリコールスラリーの代りに、平均粒径1.54μmのシリカ粒子を0.075部含有するエチレングリコールスラリーを使用した以外は、製造例1と同様にしてポリエステルCを得た。当該ポリエステルCのシリカ粒子の含有量は、0.075重量%であった。
【0085】
製造例10(ポリエステルD)
製造例1において、平均粒径1.54μmのシリカ粒子を0.1部含有するエチレングリコールスラリーの代りに、平均粒径1.54μmのシリカ粒子を0.2部含有するエチレングリコールスラリーを使用した以外は、製造例1と同様にしてポリエステルDを得た。当該ポリエステルDのシリカ粒子の含有量は、0.2重量%であった。
【0086】
製造例11(ポリエステルルムフィルムC)
製造例3において、ポリエステルAをポリエステルCに変更する以外は、製造例3と同様にして、厚さが25μmのポリエステルフィルムCを得た。当該フィルムのレターデーション値は700nmであった。
【0087】
製造例12(ポリエステルルムフィルムD)
製造例3において、ポリエステルAをポリエステルDに変更する以外は、製造例3と同様にして、厚さが25μmのポリエステルフィルムDを得た。当該フィルムのレターデーション値は700nmであった。
【0088】
実施例5
実施例1において、ポリエステルフィルムA1をポリエステルフィルムCに変更し、そして、次の硬化皮膜用塗布剤を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。硬化皮膜用塗布剤としては、実施例1で使用した塗布剤(活性エネルギー線硬化樹脂組成物と帯電防止剤の混合物)と直鎖状ジメチルポリシロキサンガムとを95対5の重量比で配合して調製した塗布剤を使用した。
【0089】
実施例6
実施例5において、硬化後の厚さが1μmになる様に耐摩耗性硬化皮膜を形成した以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
【0090】
実施例7
実施例5において、次の硬化皮膜用塗布剤に変更した以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。硬化皮膜用塗布剤としては、実施例1で使用した塗布剤(活性エネルギー線硬化樹脂組成物と帯電防止剤の混合物)と直鎖状ジメチルポリシロキサンガムとを98対2の重量比で配合して調製した塗布剤を使用した。
【0091】
実施例5〜7の結果を表3及び表4に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、取扱性に優れ、光学的評価を伴う液晶表示板の検査が容易であり、液晶表示板へのゴミの付着防止に優れる等の特性を有する、液晶表示板表面保護フィルムが提供される。
Claims (9)
- 液晶表示板の偏光板または位相差板の表面に貼着して使用される液晶表示板表面保護フィルムであって、厚さが5〜50μmの二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面に厚さ(乾燥後)1〜5μmのアクリル系樹脂を含有する耐摩耗性層が設けられ且つ他方の表面に粘着層が設けられた積層フィルムから成り、上記の二軸配向ポリエステルフィルムはレターデーション値が30〜10,000nmであり、上記の耐摩耗性層は表面抵抗率が1×1010Ω未満であり、上記の積層フィルムは全光線透過率が80%以上であることを特徴とする液晶表示板表面保護フィルム。
- 耐摩耗性層が活性エネルギー線硬化樹脂から成る請求項1に記載のフィルム。
- 帯電防止層を介して耐摩耗性が設けられている請求項1又は2に記載のフィルム。
- 耐摩耗性層が帯電防止剤を含有する請求項1又は2に記載のフィルム。
- 耐摩耗性層中にシリコーン系化合物が含有されている請求項1〜4の何れかに記載のフィルム。
- 耐摩耗性層のポリエステルフィルムに対する摩擦係数が0.3以下である請求項1〜5の何れかに記載のフィルム。
- 耐摩耗性層の表面粗度(Ra)が0.03μm以下である請求項1〜6の何れかに記載のフィルム。
- 粘着層が、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ブロックコポリマー系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤およびシリコーン系粘着剤の群から選ばれる少なくとも1種で構成されている請求項1〜7の何れかに記載のフィルム。
- 粘着層の表面に離型フィルムが積層されている請求項1〜8の何れかに記載のフィルム。
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