JP2007163909A - 偏光板保護フィルム用基材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 帯電防止性、耐薬品性、耐擦傷性、取扱性等に優れ、その結果、検査を容易にすることができ、かつ、液晶表示板への粘着剤、ゴミ等の付着防止に優れる等の特性を有する、偏光板保護フィルム用基材を提供する。
【解決手段】 液晶表示板の偏光板の表面に貼着して使用される偏光板保護フィルム用基材であって、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面に帯電防止性を有する活性エネルギー線硬化樹脂層を有するフィルムであり、当該硬化樹脂層の表面抵抗率が1.0×1012Ω/□以下であり、当該硬化樹脂層表面の波長400〜610nmにおける反射率の最大値と最小値の差が3.0%以下であることを特徴とする偏光板保護フィルム用基材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、偏光板保護フィルム用基材に関するものであり、詳しくは、液晶表示板の偏光板に粘着剤等を介して貼着することにより、偏光板の表面を保護するために使用される偏光板保護フィルム用基材に関するものである。
液晶表示板は、2枚の基板の間に液晶を封入した液晶セルの両面に偏光板を積層することによって作製されている。流通過程やコンピューター、ワープロ、テレビ等の各種表示機器の組み立て工程における偏光板の表面の擦傷防止や塵芥付着防止のため、偏光板の表面には保護フィルムが貼着されている。保護フィルムは、偏光板の保護の役目を果たした後においては不要物として剥離除去される。通常、保護フィルムの剥離除去は、保護フィルムにゴム系粘着テープを押し付けて当該粘着テープを持ち上げる方法により行われる。
従来、上記の保護フィルムとして、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等も使用されている。しかしながら、これらの保護フィルムは、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査には支障を来すことがあるため、検査時に一旦剥離し、検査終了後に再度貼付しなければならない欠点がある。
特許文献1には、光学的評価を伴う検査時に剥離する必要がない保護フィルムとして、光等方性基材フィルムに光等方性粘着性樹脂層を積層した保護フィルムが提案されている。しかしながら、この保護フィルムは、基材フィルムとして、流延法により製膜され、ほとんど配向しておらずに非晶質に近い状態のフィルムを使用しているため、耐薬品性、耐擦傷性などの点で十分とは言えない。
特開平4−30120号公報 特開平1−17438号公報 特開平6−41333号公報 特開平7−89028号公報 特開2003−52924号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、帯電防止性、耐薬品性、耐擦傷性、取扱性、透明性等に優れ、その結果、微細な欠陥等を発見する検査を容易にすることができ、かつ、液晶表示板への粘着剤、ゴミ等の付着防止に優れる等の特性を有する。また、偏光板の保護の役目を果たした後に不要物として剥離除去される際、剥離を容易に行うことができ、剥離帯電を抑制する効果があり、剥離帯電により液晶表示板と接続されている回路の破損等が防止できる高透明な偏光板保護フィルム用基材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定のフィルムによれば、上記課題が容易に解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、液晶表示板の偏光板の表面に貼着して使用される偏光板保護フィルム用基材であって、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面に帯電防止性を有する活性エネルギー線硬化樹脂層を有するフィルムであり、当該硬化樹脂層の表面抵抗率が1.0×1012Ω/□以下であり、当該硬化樹脂層表面の波長400〜610nmにおける反射率の最大値と最小値の差が3.0%以下であることを特徴とする偏光板保護フィルム用基材に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の偏光板保護フィルム用基材は、液晶表示板の偏光板の表面に粘着剤等を介して貼着して使用され、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面にある特定の塗布層が設けられた積層フィルムからなる。そして、本発明の好ましい態様においては、他方の表面に粘着層が設けられ、粘着層の表面に離型フィルムが積層される。本発明の偏光板保護フィルム用基材は、一般的には、塗布層形成工程、粘着層形成工程、離型フィルム積層工程を順次に経て製造される。
本発明において、二軸配向ポリエステルフィルム(以下、フィルムと略記する)とは、いわゆる押出法に従い押出口金から溶融押出しされたシートを延伸して配向させたフィルムである。
上記のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるポリエステルを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
上記のポリエステルは、第三成分を含有した共重合体であってもよい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分およびグリコール成分は、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、その取扱性を考慮した場合、透明性を損なわない条件でフィルムに粒子を含有させることが好ましい。粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン、カオリン、タルク、ゼオライト、フッ化リチウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、特公昭59−5216号公報に記載されているような、耐熱性高分子微粉体などが挙げられる。これらの粒子は、2種以上を併用してもよい。粒子の平均粒径は、通常0.02〜2μm、好ましくは0.05〜1.5μm、さらに好ましくは0.05〜1μmである。粒子の含有量は、通常0.01〜2重量%、好ましくは0.02〜1重量%である。
フィルムに粒子を含有させる方法としては、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステル製造工程の任意の段階で粒子を添加することができる。特に、エステル化の段階またはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階において、エチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付混練押出機を使用し、エチレングリコールまたは水に粒子を分散させたスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、混練押出機を使用し、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法なども採用し得る。
フィルムの製造は、押出法に従い押出口金から溶融押出しされたシートを縦および横方向の二軸方向に延伸して配向させる方法によって行われる。
押出法においては、ポリエステルを押出口金から溶融押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法または液体塗布密着法が好ましく採用される。本発明においては必要に応じ両者を併用してもよい。
フィルムの二軸方向の延伸配向方法については特に限定されるものではないが、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法等が採用される。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜20倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。逐次二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜115℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、必要に応じて熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
本発明において、フィルム厚さは特に限定されるものではないが、通常5〜150μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは25〜75μmである。フィルムの厚さが5μm未満の場合は、液晶表示板の表面保護性が低下する恐れがあり、耐摩耗性層形成工程や粘着層形成工程における取扱性なども悪くなる傾向がある。また、フィルムの厚さが150μmを超える場合は、可撓性の低下、全光線透過率の低下により、保護フィルムとしての取り扱い作業性、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査を行う場合に支障を来す場合がある。
本発明においてのポリエステルフィルムのコート層は、いわゆる積層コートでもよいが、偏光板保護フィルム用基材として求められている、防汚性、表面硬度を得るため、最外層には硬化樹脂層を設ける。かかる硬化層の表面抵抗率は、1.0×1012Ω/□以下、好ましくは5.0×1011Ω/□以下である。上記表面抵抗率が1.0×1012Ω/□を超えると、ハードコートフィルムの加工時あるいは使用時に、ちりやほこりが付着し好ましくない。
帯電防止性能を付与する方法に関しては、特に限定されるものではく、偏光板保護フィルム用基材となった時に、帯電防止を有する側の面の反射率が特定の範囲となるものであれば、帯電防止性能を有する層を単層で用いても、帯電防止性能を有する層の上に粘着力が3000mN/cm以下の特性を有する別のコート層を施すような、多層構成でも構わない。
本発明における該硬化樹脂層としては、不飽和ポリエステル樹脂系アクリル系、付加重合系、チオール・アクリルのハイブリッド系、カチオン重合系およびカチオン重合とラジカル重合のハイブリッド系の硬化成分を用いることができる。
硬化性、耐擦傷性、面硬度、可とう性および耐久性を重視する場合には、アクリル系のものを用いることが好ましく、防汚性、耐殺傷性、帯電防止性および表面に滑り性を付与する場合には、主成分としてカチオン性単量体単位、疎水性単量体単位およびオルガノポリシロキサン単位からなるカチオン性共重合体を用いることが好ましい。
アクリル系硬化成分とは、活性エネルギー線重合成分としてアクリルオリゴマーと反応性希釈剤を含むものであって、そのほかに必要に応じて光重合開始剤、レベリング剤、光増感剤、改質剤を含有するものであってもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリロイル基あるいはメタアクリロイル基が結合されたものを始めとして、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレートなどがあり、またメラミン、イソシアヌール酸、環状ホスファゼンなどの剛直な骨格にアクリロイル基あるいはメタアクリロイル基が結合されたものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うとともに、それ自体が多官能性あるいは一官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
本発明で好ましく用いるカチオン性共重合体は主成分として、カチオン性単量体単位、疎水性単量体単位およびオルガノポリシロキサン単位からなり、カチオン性単量体単位としては、例えば、その単位内に第4級アンモニウム塩基を含有するものである。中でも、下記一般式(a)で表される単量体単位を使用することにより、より優れた帯電防止性、
防汚性を付与することができる。
Figure 2007163909
上記式中、AはOまたはNHを表し、Rは水素またはCHを表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基または、−CHCH(OH)CH−を表し、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を表し、Xはハロゲンまたはアルキル硫酸イオンを表す。
上記のカチオン性単量体単位は、具体的には、例えば(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等の(メタ)アクリル系単量体単位、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリルアミド系カチオン性単量体単位が挙げられる。これらは、その該当する単量体を重合してもよいし、その前駆体である第3級アミノ基を有する単量体、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドをまず重合した後、メチルクロライド等の変性剤でカチオン化してもよい。
カチオン性単量体単位は、共重合体中の15〜95重量%を有する。15重量%未満の場合は、帯電防止性が不十分となる。また、95重量%を越える場合は、ブロッキングが起こりやすくなる。
本発明で使用できる疎水性単量体単位は、各種のものを使用することができる。疎水性単量体単位は具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。疎水性単量体単位は、共重合体中の30〜84.9重量%を有する。30重量%未満の場合は、防汚性が不十分となり、84.9重量%を越える場合は、相対的に帯電防止性能が低下する。
本発明で使用できるオルガノポリシロキサン単位は、一般式(b)で表されたものが好ましい。
Figure 2007163909
上記式中、RおよびR1’は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表し、nは、5以上の整数を表す。
ここで、nが5未満では得られる共重合体に十分な滑性を付与することが困難となることがある。
また、オルガノポリシロキサン単位のカチオン性共重合体に含まれる割合は、通常0.1〜20重量%である。配合量が0.1重量%未満であると、防汚性が不十分な傾向があり、また硬化樹脂表面の滑り性が悪くなり、耐擦傷性や耐摩耗性が低下することがある。20重量%を超えても防汚性はこれ以上良くならず、不経済であり硬化表面の印字性が低下する傾向がある。
カチオン性共重合体中のオルガノポリシロキサン単位は、具体的には下記一般式(c)、(d)または(e)で示される前駆体を用いて共重合体中に組み込むのが好適である。下記の一般式において示した前駆体は、反応性基Dを用いて、これらを共重合体中に組み込むことができる。
Figure 2007163909
Figure 2007163909
Figure 2007163909
上記一般式(c)〜(e)中、Dは、ビニル基、アクリロイルオキシアルキル基およびメタクリロイルオキシアルキル基からなる群から選ばれたラジカル重合性基、グリシドキシアルキル基等のエポキシ基、アミノアルキル基またはメルカプトアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表し、mは1〜20の整数を表し、nは5以上の整数を表す。
これらの前駆体は反応性シリコーンとして市販されているものを使用することができるが、高分子量になると反応性が低下することから考えて、一般式(c)、(d)の場合にはnとして200以下が好ましく、一般式(e)の反応性基が多い場合でも400以下が好ましい。
これら前駆体をカチオン性共重合体成分として組み込む方法としては、反応性基Dが重合性基の場合には他の単量体と同時に重合すればよく、メルカプトアルキル基の場合には、この前駆体存在下において、カチオン性単量体(a)と疎水性単量体(b)とを重合すれば、連鎖移動により効率よく導入できる。更に、反応性基Dがエポキシ基の場合には、カチオン性単量体(a)と疎水性単量体(b)との共重合を、エポキシ基と反応性のある(メタ)アクリル酸等のカルボン酸基含有単量体またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第3級アミン基含有単量体の塩酸塩等の単量体類とともに行い、次いで前駆体のエポキシ基と反応させればよい。同様に、反応性基Dがアミノアルキル基の場合は、カチオン性単量体(a)と疎水性単量体(b)との共重合を、グリシジル(メタ)アクリレート等のアミノ基と反応する単量体と共に行い、次いで前駆体のアミノ基と反応すればよい。なお、帯電防止性と防汚性に影響のない限り、必要に応じて、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン等の他の親水性単量体を共重合成分として含んでもよい。
重合法としては、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知のラジカル重合法が実施できる。好ましい重合法は、溶液重合法であり、各単量体を溶媒に溶解し、重合開始剤を添加し、窒素気流下において、加熱撹拌することにより実施される。溶媒は、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が好ましく、またこれらの溶媒は混合使用してもよい。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、アゾビスブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ化合物が好適に用いられる。単量体濃度は、通常10〜60重量%であり、重合開始剤は通常単量体に対し、0.1〜10重量%である。
カチオン性共重合体の分子量は、重合温度、重合開始剤の種類および量、溶剤使用量、連鎖移動等の重合条件、オルガノポリシロキサン前駆体の種類および反応性基の含有量等により任意のレベルとすることができる。一般には、得られるカチオン性共重合体の分子量は5000〜50万の範囲が好ましい。上記のように調整した塗料を使用し、二軸配向ポリエステルフィルム上に作成された塗布層は、スティッキング防止性等に優れる。
本発明に用いることのできる他のカチオン性共重合体は、例えば、オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体と、分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化樹脂を主成分とするものであり、オルガノポリシロキサン単位および4級アンモニウム塩単位を有する重合体は、必要に応じて、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するものであってもよい。
改質剤としては、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、有機高分子、染料、顔料、安定剤などが挙げられる。これらは、活性エネルギー線による反応を阻害しない範囲で使用され、活性エネルギー線硬化樹脂層の特性を用途に応じて改良することができる。活性エネルギー線硬化樹脂層の組成物には、粘度調整、塗工時の作業性向上、塗工厚さのコントロールのため、共重合体作成の際に用いた溶剤を配合することができる。
本発明において活性エネルギー線硬化樹脂表面の反射率を特定の範囲とするために、活性エネルギー線硬化樹脂層の屈折率を調整する場合には、金属元素を有する有機化合物を配合することが好ましい。
活性エネルギー線硬化樹脂層に含有される、金属元素を有する有機化合物の具体例としては、アルミニウムアセチルアセトナート、ヒドロキシアルミニウムジアセテート、ジヒドロキシアルミニウムアセテート等のアルミニウム類;テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタン類;鉄アセチルアセトナート、鉄アセテート等の鉄類;銅アセテート、銅アセテートモノヒドレート、銅アセテートマルチヒドレート、銅アセチルアセトナート等の銅類;亜鉛アセテート、亜鉛アセテートジヒドレート、亜鉛アセチルアセトナートヒドレート等の亜鉛類;ジルコニウムアセテート、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート等のジルコニウム類が挙げられる。金属元素としては比重が小さい金属より比重が大きい金属を用いる方がより好ましい。
上記金属元素を有する有機化合物の中でも、特に反射防止能が良好となる点でチタン元素を有する有機化合物、ジルコニウム元素を有する有機化合物が好ましいく、さらに好ましくはコーティングへの適用等を配慮した場合、水溶性チタンキレート化合物、水溶性ジルコニウムアセテート化合物等が好適に使用される。なお、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助 編者(株)大成社 平成2年版)にも具体的に記載されている。
本発明の活性エネルギー線硬化樹脂層を形成する塗布剤組成物には、硬化樹脂層の特性改良を目的として、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤)、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミン系紫外線安定剤)、酸化防止剤(例えば、フェノール系、硫黄系、リン系酸化防止剤)、ブロッキング防止剤、スリップ剤、レベリング剤等の添加剤を配合することができる。
本発明において、活性エネルギー線硬化樹脂層を形成する塗布剤組成物中、光重合開始剤の配合量は、所望する硬化性を確保できる範囲であれば、特に限定されるわけではないが、固形分100重量%中、0.5〜20重量%、さらには1〜10重量%、特に1〜5重量%の範囲が好ましい。
本発明における保護フィルム用基材を構成する、活性エネルギー線硬化樹脂層の形成方法に関しては、フィルムの一方の表面に塗布組成物を塗布して硬化させる方法により行われる。塗布方法としては、リバースロールコート法、グラビアロールコート法、ロッドコート法、エアーナイフコート法などを採用し得る。塗布された塗布組成物の硬化は、例えば、活性エネルギー線や熱により行われる。活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線、α線、β線、γ線などが使用される。熱源としては、赤外線ヒーター、熱オーブン等が使用される。活性エネルギー線の照射は、通常、活性エネルギー線硬化樹脂層側から行うが、フィルムとの密着を高めるため、活性エネルギー線硬化樹脂層の反対面側から行ってもよい。必要に応じ、活性エネルギー線を反射し得る反射板を利用してもよい。活性エネルギー線により硬化された皮膜は、特に耐擦傷性が良好である。
上述した活性エネルギー線硬化樹脂層の厚みは、通常0.01〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.4μm、さらに好ましくは0.10〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚みが0.01μm未満の場合、耐擦傷性が不十分となったり、アクリル系粘着剤との粘着力が上昇したりする等の不具合を生じる場合がある。一方、活性エネルギー線硬化樹脂層の厚みが0.5μm以上の場合、目視観察で確認可能な干渉縞が発生しやすく、偏光板や液晶表示板の検査に支障をきたす場合がある。
本発明のフィルムは、該硬化樹脂層の波長400〜610nmにおける反射率の最大値と最小値の差が3.0%以下であり、好ましくは2.5%以下である。
本発明の偏光板保護フィルム基材は、偏光板に貼られて使用されるが、反射率の最大値と最小値の差が3.0%を超える場合は、干渉斑が発生するため偏光板の検査において干渉斑と欠陥との区別が難しくなり、検査に支障をきたし好ましくない。
一般的に、偏光板の検査においては、3波長の蛍光灯下で行われるため、青い波長450nm付近、緑の波長540nm付近、赤の波長610nm付近での反射率が干渉斑となり、偏光板の検査に影響を与える。本発明においては、偏光板の検査において影響を与える400〜610nmの波長領域を特定の範囲とすることにより優れた偏光板保護フィルム基材となることを見いだした。
フィルム表面の反射率は、コート層の屈折率、膜厚、層数等の組み合わせ等により変化することが知られているが、本発明において400〜610nmにおける反射率の最大値と最小値の差を低くする方法としては、前述した高屈折を有する化合物を塗料に配合し、基材であるポリエステルフィルムの屈折率に近い屈折率を有するコート層とする手法や、コート層膜厚を薄くする手法等を挙げることができる。ただし、コート層を薄くした場合には、静防性や防汚性等の特性低下が懸念されるので、他の特性を満足する範囲で調整する必要がある。
本発明においては、塗布層が設けられた表面のアクリル系粘着剤に対する粘着力が、通常3000mN/cm以下、好ましくは2750mN/cm以下、さらに好ましくは2500mN/cm以下である。本発明のLCD偏光板保護フィルム用基材は、積み重ねた状態で保管される。この保管の際、所定寸法への裁断工程において、ポリエステルフィルムと離型フィルムとの間から偶発的にはみ出した粘着層が他の保護フィルムの塗布層に接触することがある。そして、粘着層の塗布層への接触は、粘着剤の粘着力が3000mN/cmを超えると、塗布層に対する粘着剤の付着汚れの原因となる場合がある。
本発明において、好ましい態様としては、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面に塗布層が設けられたフィルムのもう一方の面に粘着剤層およびそれを保護する離型フィルムが積層されてなる構成の積層フィルムである。
本発明において、粘着層は、公知の粘着剤、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ブロックコポリマー系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などから構成される。一般に、斯かる粘着剤は、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤(可塑剤)、劣化防止剤、充填剤、架橋剤などの組成物として構成される。
エラストマーとしては、上記の各粘着剤の種類に従って、例えば、天然ゴム、合成イソプレンゴム、再生ゴム、SBR、ブロックコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリアクリル酸エステル共重合体、シリコーンゴム等が挙げられる。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン、水添ロジンエステル、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂還族系水添石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。
軟化剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ひまし油、トール油等が挙げられる。
劣化防止剤としては、例えば、芳香族アミン誘導体、フェノール誘導体、有機チオ酸塩等が挙げられる。
充填剤としては、例えば、亜鉛華、チタン白、炭酸カルシウム、クレー、顔料、カーボンブラック等が挙げられる。充填剤が含有される場合は保護フィルムの全光線透過率に大きく影響を与えない範囲で使用される。
架橋剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤の架橋には、イオウと加硫助剤および加硫促進剤(代表的なものとして、ジブチルチオカーバメイト亜鉛など)が使用される。天然ゴムおよびカルボン酸共重合ポリイソプレンを原料とした粘着剤を室温で架橋可能な架橋剤として、ポリイソシアネート類が使用される。ブチルゴムおよび天然ゴムなどの架橋剤に耐熱性と非汚染性の特色がある架橋剤として、ポリアルキルフェノール樹脂類が使用される。ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムおよび天然ゴムを原料とした粘着剤の架橋に有機過酸化物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどがあり、非汚染性の粘着剤が得られる。架橋助剤として、多官能メタクリルエステル類を使用する。その他紫外線架橋、電子線架橋などの架橋による粘着剤の形成がある。
粘着層の形成は、特に限定される訳ではないが、フィルムの他方の表面に粘着剤を塗布する方法により行われる。塗布方法としては、耐摩耗性層の形成に使用したのと同様の方法を採用し得る。粘着層の厚さは、通常0.5〜100μm、好ましくは1〜50μmの範囲である。
本発明において、粘着層の粘着力は、塗布層に粘着テープを押し付けて当該粘着テープを持ち上げた際、偏光板の表面から粘着層が二軸配向ポリエステルフィルムとともに剥離除去されるような範囲に調節される。この場合、偏光板と粘着層との間の粘着力は、10〜400mN/cmの範囲にするのが好ましい。そして、粘着層の表面には、その取扱性の便宜を図る観点から、公知の離型フィルムが積層される。ここで言う偏光板とは、ポリビニルアルコールにヨウ素や二色性染料などを含有させて一軸配向させた偏光フィルムの両面にトリアセテートセルロースフィルムなどの保護フィルムを積層した構造のものである。
上記のように構成された本発明の偏光板保護フィルム用基材の全光線透過率(TL)は特に限定されるものではないが、通常80%以上、好ましくは85%以上である。その結果、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査は、偏光板の表面に保護フィルムを貼付したまま行うことができる。
本発明によれば、透明性、帯電防止性、耐薬品性、耐擦傷性、取扱性等に優れ、その結果、高精細な液晶表示板等の検査を容易にすることができ、かつ、液晶表示板への粘着剤、ゴミ等の付着防止に優れる等の特性を有する。また、偏光板の保護の役目を果たした後に不要物として剥離除去される際、剥離を容易に行うことができ、剥離帯電を抑制する効果があり、剥離帯電により液晶表示板と接続されている回路の破損等が防止できる偏光板保護フィルム用基材を提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で使用した測定法および評価基準は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを 精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して
測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)塗布層の厚み
塗布フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、塗布フィルムの断面を透過型電子顕微鏡にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に、明暗によってその塗布層が観察される。その塗布層の距離を透過型電子顕微鏡写真1枚について平均し厚みを計算した。これを少なくとも50枚の写真について行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点を削除して30点の相加平均を塗布層の厚みとした。
(4)反射率の最大値および最小値の測定方法
試料フィルムの測定裏面(活性エネルギー硬化樹脂層が設けられていない面)に黒テープ(ニチバン株式会社製ビニールテープVT―50)を貼り、分光光度計(株式会社島津製作所社製UV−3100PC型)を用いて、波長範囲400〜610nmの反射率を測定し、同波長領域における反射率の最大値と最小値を求めた。分光光度計の条件として、波長測定間隔2nm、スリット間隔8nmで測定を行った。
(5)帯電防止性
フィルムの活性エネルギー線硬化層の表面固有抵抗率を、三菱化学社製「ハイレスタUP」 電極 UR−100プローブ を使用し、23℃/50%RHの雰囲気下で試料を設置し、500Vの電圧を印加し、1分間充電後(電圧印加時間1分)の表面固有抵抗率をそれぞれ測定した。尚、表面固有抵抗率の数値はΩ/□で示す。ここで使用した電極を下記に示す。
UR−100プローブ
内側の電極 Φ50mm
外側の電極 外Φ57.2mm 内Φ53.2mmのリング状
(6)塗布層のアクリル系粘着剤に対する剥離力(P2)
塗布層上に両面粘着テープ(日東電工社製「No.502」)を貼り、ゴムローラーを使用し450g/cmの線圧で圧着し、50mm幅に切り出し剥離力測定用試料とした。圧着してから1時間放置後インストロン型引張試験機を用いて、180度方向に引張速度300mm/分で剥し、その応力の平均値をその試料の剥離力とした。この試験を10回繰り返し行い、10回の相加平均をもって剥離力とした。なお、この試験を行った雰囲気は、23℃、50%RHの標準状態である。
(7)全光線透過率(TL)
JIS−K6714に準じ、日本電色工業社製分球式濁度計NDH−20Dによりフィルムの全光線透過率を測定し、以下の基準により評価した。
○:フィルムの全光線透過率 85%以上
△:フィルムの全光線透過率 80%以上、85%未満
×:フィルムの全光線透過率 80%未満
(8)塗膜密着性
活性エネルギー線硬化層に基盤目状のクロスカットを行い、その上にニチバン製セロハンテープ(24mm幅)を貼りつけ、180°の剥離角度で急速に剥離させた後の剥離面積から下記のように判定した。
○:全く剥離しない
△:剥離面積15%未満
×:剥離面積15%以上
(9)干渉ムラ(塗布面上に活性エネルギー線硬化樹脂層が積層されたときの反射防止能)の測定方法
3波長光域型蛍光灯下、試料フィルムの活性エネルギー線硬化樹脂層露出面について、干渉ムラを目視観察し、下記判定基準により判定を行なった。
《判定基準》
◎:視認性が非常に良好
○:視認性良好
×:視認性悪化
(10)ゴミ付着の有無
塗布層の表面にタバコの灰を落とし、1回転(360度の回転)させた際の灰の付着状態を観察し、ゴミ付着の有無を評価した。
(11)防汚性:微粘着糊拭き取り試験
硬化樹脂層表面に、微粘着剤を付着させた後、エタノールを染みこませたシート状コットンで微粘着剤を拭き取った。微粘着層拭き取り試験の結果は、以下の基準で評価した。
○:耐溶剤層表面の外観変化なく、容易に拭き取れた
△:耐溶剤層表面の外観変化はないが、拭き取りに時間を要した
×:耐溶剤層表面の外観が変化した
本発明で用いた塗布剤成分は以下のとおりである。
微粘着剤は、アクリル系粘着剤(帝国化学株式会社製、SG−800)100部(固形分重量部)に対し、イソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)10部(固形分重量部)を加え、100℃、2分間乾燥・硬化させ、微粘着剤を作成した。
(12)印字性
硬化樹脂表面に、シャチハタ社製スタンプ(Xstamper 速乾性 丸型印 11号)を用いて印字し、その印字状況を下記の基準で判定した。
○:スタンプ文字が明確に印字された
△:文字のエッジ部ににじみが見られるが、実用上問題ない
×:文字のにじみが激しく、実用上問題がある
実施例1:
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、平均粒径1.54μmのシリカ粒子を0.03部含有するエチレングリコールスラリーを反応系に添加し、さらに、エチルアシッドフォスフェート0.04部、酸化ゲルマニウム0.01部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じて最終的に0.3mmHgとした。
4時間後に系内を常圧に戻しポリエステルを得た。ポリエステルのシリカ粒子の含有量は0.03重量%であった。得られたポリエステルを温度180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融押出し、静電印加密着法を使用し、表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られたシートを85℃で3.5倍縦方向に延伸した後、100℃で3.7倍横方向に延伸し、さらに、230℃にて熱固定し、厚さ38μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムに、下記に示す活性エネルギー線硬化樹脂(1)をポリエステルフィルムの片面に乾燥後の塗布厚さが0.20μmとなる様にバーコーターを用いて塗布し、温度80℃、時間30秒で該塗布層を乾燥後、照射距離100mmで出力120W/cmに設定した高圧水銀灯2灯で硬化させ塗布層を形成した。そして、塗布層と反対側の面にアクリル系粘着剤を塗設し離型フィルムで保護し積層フィルムを得た。
実施例2:
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂(1)の乾燥後塗布厚さを0.30μmとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
実施例3:
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂(1)を活性エネルギー線硬化樹脂(2)に変更し、乾燥後の塗布厚さを0.12μmとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
実施例4:
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂(1)を活性エネルギー線硬化樹脂(3)に変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
実施例5:
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂(1)を活性エネルギー線硬化樹脂(4)に変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
比較例1:
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂(1)を活性エネルギー線硬化樹脂(2)に変更し、乾燥後の塗布厚さを0.30μmとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
比較例2:
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂(1)を活性エネルギー線硬化樹脂(5)に変更し、乾燥後の塗布厚さを0.30μmとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
比較例3:
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂(1)の塗布厚さを1.20μmとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
カチオン性共重合体(1)
・疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート35部
・カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液75部
・オルガノポリシロキサン単位として、分子量約5000の片末端メタクリルオキシ変性オルガノポリシロキサン(チッソ社製FM0721)5部
・およびエチルアルコール140部
・重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1部
を添加し、窒素気流下80℃で6時間重合反応を行いカチオン性共重合体の40%エチルアルコール溶液を得た。
カチオン性共重合体(2)
・疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート20部
・カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液75部
・オルガノポリシロキサン単位として、分子量約5000の片末端メタクリルオキシ変性オルガノポリシロキサン(チッソ社製FM0721)20部
・およびエチルアルコール140部
・重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1部
を添加し、窒素気流下80℃で6時間重合反応を行いカチオン性共重合体の40%エチルアルコール溶液を得た。
カチオン性共重合体(3)
・疎水性単量体単位として、メチルメタクリレート40部
・カチオン性単量体単位として、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド80%水溶液75部
・およびエチルアルコール140部
・重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1部
を添加し、窒素気流下80℃で6時間重合反応を行いカチオン性共重合体の40%エチルアルコール溶液を得た。
アクリル系エネルギー線硬化樹脂(1)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30部
・4官能ウレタンアクリレート40部
・ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート27部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部
よりなる組成物にメチルエチルケトンを使用して均一に混合した塗料。
エネルギー線硬化樹脂(1)
カチオン性共重合体(1)90部と、金属元素を有する有機化合物として、40%イソプロピルアルコール溶液のチタントリエタノールアミネート10部をエチルアルコール/イソプロピルアルコール=50/50の混合溶剤で希釈した塗料。
エネルギー線硬化樹脂(2)
カチオン性共重合体(1)をエチルアルコール/イソプロピルアルコール=50/50の混合溶剤で希釈した塗料。
エネルギー線硬化樹脂(3)
カチオン性共重合体(2)90部と、金属元素を有する有機化合物として、40%イソプロピルアルコール溶液のチタントリエタノールアミネート10部をエチルアルコール/イソプロピルアルコール=50/50の混合溶剤で希釈した塗料。
エネルギー線硬化樹脂(4)
カチオン性共重合体(3)90部と、金属元素を有する有機化合物として、40%イソプロピルアルコール溶液のチタントリエタノールアミネート10部をエチルアルコール/イソプロピルアルコール=50/50の混合溶剤で希釈した塗料。
エネルギー線硬化樹脂(5)
アクリル系エネルギー線硬化樹脂(1)をメチルエチルケトンで希釈した塗料。
以上、得られた結果をまとめて下記表1および表2に示す。
Figure 2007163909
Figure 2007163909
本発明のフィルムは、例えば、偏光板保護フィルム用基材として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 液晶表示板の偏光板の表面に貼着して使用される偏光板保護フィルム用基材であって、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の表面に帯電防止性を有する活性エネルギー線硬化樹脂層を有するフィルムであり、当該硬化樹脂層の表面抵抗率が1.0×1012Ω/□以下であり、当該硬化樹脂層表面の波長400〜610nmにおける反射率の最大値と最小値の差が3.0%以下であることを特徴とする偏光板保護フィルム用基材。
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