以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図55に基づいて説明する。本実施の形態は、画像形成装置として、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリント機能、スキャナ機能及び入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿画像やプリンタあるいはFAX機能により入力された画像)を配信する機能等を複合したいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称される電子写真方式のカラー複写装置1に適用した例を示す。
図1は、本発明の画像形成装置を適用したカラー複写装置1を連結接続した場合のシステム構成図である。図1に示すように、各カラー複写装置1は、LANケーブル1000を介してデータ送受信可能に接続されている。このようなカラー複写装置1は、他のカラー複写装置1と連結接続された際の子カラー複写装置としての役割を果たす。具体的には、1部のみ存在する原稿を短時間で大量にコピーするために、一のカラー複写装置1のスキャナ部300において原稿を読み取り、読み取った原稿画像データを連結された他のカラー複写装置1に送信し、それぞれのカラー複写装置1において画像処理を行なって同時にプリンタ部100で印刷出力を行う連結出力機能を有している。
このような場合に、各カラー複写装置1のスキャナ部のCCDの分光感度のばらつき、並びに赤外光成分を除去するための赤外線カットフィルタの分光感度ばらつき、スキャナ光学系の経時劣化などにより、原稿画像データの読み取り値に機械差が生じ、同一なカラー原稿を読みとっても出力される画像信号が各カラー複写装置1のスキャナ部300毎に異なり、結果としてディスプレイ出力した色並びに印刷した色が異なる場合がある。本発明は、このような問題を解決すべく、各カラー複写装置1のスキャナ部300の機差の低減、およびプリンタ調整精度向上ならびに調整ばらつきの低減を目的として画像処理パラメータを設定可能としたものである。以下において、詳細に説明する。
図2は、電子写真方式のカラー複写装置1の要部概略構成正面図である。図2において、カラー複写装置1は、本体筐体2の内部に、画像形成手段であるプリンタ部100、給紙部200及び画像読み取り手段であるスキャナ部300等が内蔵されており、本体筐体2の上面にコンタクトガラス3が配設されている。カラー複写装置1は、その上部にADF(Auto Document Feeder)400が配設されており、ADF400は、その原稿台401上にセットされた複数枚の原稿Gを1枚ずつ分離してローラ及び原稿搬送ベルト402でコンタクトガラス3上のスキャナ部300による原稿読取位置に搬送し、読み取りの完了した原稿Gを原稿搬送ベルト402で図示しない排紙トレイ上に排出する。
上記給紙部200は、給紙トレイ201、反転部202及び図示しない搬送ローラ等を備えており、給紙トレイ201内の複数枚の転写紙(転写材)Pを1枚ずつ分離してプリンタ部100に搬送する。反転部202は、プリンタ部100で画像形成された転写紙Pの表裏面を反転させて、再度、プリンタ部100に送り込んで、裏面に画像形成させる。また、本体筐体101の一方側の側面には、手差しで転写紙Pがセットされる給紙トレイ203が設けられており、給紙部200は、この給紙トレイ203上の転写紙Pもプリンタ部100に搬送する。
また、本体筐体101の給紙トレイ203とは反対側の側面には、排紙トレイ204が配設されており、プリンタ部100で画像形成の完了した転写紙Pが排紙トレイ204上に順次排出される。
上記プリンタ部100は、本体筐体2の内部略中央部に設けられ、そのプリンタ部100の略中央部に、所定長さにわたって上下斜め方向に環状の中間転写ベルト101が配設されている。中間転写ベルト101は、駆動ローラ102と転写ローラ103に張り渡されて、図2に矢印で示す時計方向に回転駆動され、この中間転写ベルト101に沿って、黒(K)及びイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色の合計4つの像担持体としてのφ30[mm]の有機感光体(OPC)ドラム104K〜104Cが配設されている。この感光体ドラム104K〜104Cの周囲には、感光体ドラム104K〜104Cの表面を帯電する帯電チャージャ105K〜105C、一様に帯電された感光体ドラム104K〜104Cの表面上にレーザ光を照射して静電潜像を形成するレーザ光学系106、静電潜像に各色トナーを供給して現像し各色毎にトナー像を形成する黒現像ユニット107K及びY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3つのカラー現像ユニット107Y、107M、107C、上記中間転写ベルト101に転写電圧を印加するバイアスローラ108K〜108C及び符号は付さないが転写後の感光体ドラム104K〜104Cの表面に残留するトナーを除去するクリーニング装置、転写後の感光体ドラム104K〜104Cの表面に残留する電荷を除去する除電部等が順次配列されている。
プリンタ部100は、反時計方向に回転される感光体ドラム104K〜104Cを、帯電チャージャ105K〜105Cによって一様に帯電させて、当該一様に帯電した感光体ドラム104K〜104Cに、各色の色データで変調されたレーザ光をレーザ光学系106から照射して静電潜像を形成し、静電潜像の形成された各感光体ドラム104K〜104Cに各色の現像ユニット107K〜107Cによって各色のトナーを供給してトナー画像を形成する。プリンタ部100は、バイアスローラ108K〜108Cで転写電圧を中間転写ベルト101に印加して、各感光体ドラム104K〜104C上の各色のトナー画像を中間転写ベルト101に順次重ね合わせて転写することで、フルカラーのトナー画像を転写する。
また、プリンタ部100は、中間転写ベルト101を挟んで転写ローラ103に対向する位置に加圧ローラ109が配置され、加圧ローラ109と転写ローラ103との間に、給紙部200からの転写紙Pが搬送されてくる。この加圧ローラ109と転写ローラ103への転写紙Pの搬送路上に、搬送ローラ110とレジストローラ111が配設されており、搬送ローラ110が、給紙部200からの転写紙Pをレジストローラ111に搬送して、レジストローラ111が当該搬送されてきた転写紙Pを中間転写ベルト101上のトナー画像とのタイミング調整を行って、加圧ローラ109と転写ローラ103との間に搬送する。
転写ローラ103は、中間転写ベルト101に転写電圧を印加して、上記中間転写ベルト101上のトナー画像を、加圧ローラ109との間に搬送されてきた転写紙Pに転写する。
プリンタ部100は、トナー画像の転写の完了した転写紙Pの搬送方向下流側に、搬送ベルト112と定着ユニット113が配設されており、トナー画像が転写されて中間転写ベルト101から剥離された転写紙Pを搬送ベルト112によって定着ユニット113に搬送する。定着ユニット113は、定着温度に加熱される定着ローラ114と定着ローラ114に圧接されている加圧ローラ115を備え、搬送されてきた転写紙Pを回転駆動される定着ローラ114と加圧ローラ115で加熱・加圧しつつ搬送して、転写紙P上のトナー画像を転写紙Pに定着させて、本体筐体2の側面に設けられた排紙トレイ204上に排出する。
上記スキャナ部300は、図3に拡大して示すように、ランプシェード301の設けられたハロゲンランプ302と原稿Gやハロゲンランプ302からの光を原稿Gや白基準板(図示略)に反射する第1ミラー303及び原稿Gや白基準板からの反射光を反射する第2ミラー304を搭載した第1走行体305、第2ミラー304で反射された光を順次反射する第3ミラー306と第4ミラー307を搭載した第2走行体308、切換可能な2つの赤外線カットフィルタ309、310、レンズ311及び光電変換素子としてのCCD(Charge Coupled Device )312等を備えており、第1走行体305と第2走行体308をそれぞれ所定の移動速度で副走査方向(図3に矢印aで示す方向)に移動させながら、コンタクトガラス3上の原稿Gに第1走行体305上のハロゲンランプ302から読取光を照射して、原稿Gからの反射光を第2ミラー304で第2走行体308上の第3ミラー306に反射する。スキャナ部300は、第3ミラー306で第2ミラー304からの反射光を第4ミラー307方向に反射して、第4ミラーで反射光を赤外線カットフィルタ309、310方向に反射し、そのとき光路上に位置している赤外線カットフィルタ309または赤外線カットフィルタ310で赤外線をカットして、レンズ311に入射させる。スキャナ部300は、入射光をCCD312に集光させ、CCD312は、入射光を光電変換することで、原稿Gの画像を読み取って、アナログの画像信号として出力する。
カラー複写装置1は、本体筐体2の上面部に、図4に示すように、操作部500が設けられており、操作部500には、スタートキー501、クリア/ストップキー502、テンキー503、割り込みキー504、メモリコールキー505、予熱/モードクリアキー506、カラー調整/登録キー507、プログラムキー508、オプションキー509、エリア加工キー510及び液晶画面511等が設けられている。
そして、カラー複写装置1は、その制御系が、図5に示すように構成されており、カラー複写装置1の各部を制御してカラー複写装置1としての処理を実行するシステムコントローラ600のCPU(Central Processing Unit )601、各種プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)602、CPU601のワークメモリとして利用されるRAM(Random Access Memory)603、CPU601と各種回路部を接続するインタフェースI/O604、各種センサ制御部605、電源・バイアス制御部606、駆動制御部607、操作制御部608、通信制御部609、記憶装置制御部610、記憶装置611、IPU612、レーザ光学系駆動部613、トナー補給回路614等を備えている。
各種センサ制御部605には、YMCK各現像ユニット107K〜107C内に設置されているトナー濃度センサ615、YMCK各作像ユニット107K〜107Cに設置されている光学センサ616a〜616c、電位センサ617及び環境センサ618等が接続されており、これらの各センサ615〜618からのセンサ信号をインタフェースI/O604を介してCPU601に出力する。この光学センサ616aは、各感光体ドラム104K〜104Cに対向して配置され、感光体ドラム104K〜104C上のトナー付着量を検知する。光学センサ616bは、各感光体ドラム104K〜104C近傍で中間転写ベルト101に対向して配置され、中間転写ベルト101上のトナー付着量を検知する。光学センサ616cは、搬送ベルト112に対向して配置され、搬送ベルト112上のトナー付着量を検知する。なお、実用上は光学センサ616a〜616cのいずれか1カ所で検知すればよい。
また、光学センサ616aは、感光体ドラム104K〜104Cの軸方向の画像領域外であって当該画像領域近傍に配置され、発光ダイオード等の発光素子とフォトセンサ等の受光素子で構成されていて、感光体ドラム104K〜104C上に形成される検知パターン潜像のトナー像におけるトナー付着量及び地肌部におけるトナー付着量を各色毎にそれぞれ検知するとともに、感光体ドラム104K〜104Cの除電後のいわゆる残留電位を検知して、検知信号を各種センサ制御部605に出力する。各種センサ制御部605は、光学センサ616aからの検知信号に基づいて、検知パターントナー像におけるトナー付着量と地肌部におけるトナー付着量との比率を求めて、その比率値を基準値と比較して画像濃度の変動を検知し、YMCK各色のトナー濃度センサ615の制御値の補正を行なっている。なお、光学センサ616aは、実用上は、各感光体ドラム104K〜104Cに設ける必要はなく、いずれか1つの感光体ドラム104K〜104Cで検知すればよい。
また、トナー濃度センサ615は、各現像ユニット107K〜107Cに配設され、現像ユニット107K〜107C内に存在する現像剤の透磁率変化に基づいてトナー濃度を検知して、検知信号を各種センサ制御部605に出力する。各種センサ制御部605は、トナー濃度センサ615からの検知センサに基づいて、検知されたトナー濃度値と基準値と比較して、トナー濃度が一定値を下回ってトナー不足状態であると判断すると、その不足分に対応した大きさのトナー補給信号をトナー補給回路614に出力する。トナー補給回路614は、トナー補給信号に基づいて対応する現像ユニット104K〜104Cにトナーを補給させる。
電位センサ617は、像担持体である感光体ドラム104K〜104Cのそれぞれの表面電位を検知して、検知信号を各種センサ制御部605に出力する。
電源・バイアス制御部606は、現像ユニット107K〜107Cや電源回路619への電源の供給を制御し、電源回路619は、帯電チャージャ105K〜105Cに対する所定の帯電用放電電圧の供給、現像ユニット107K〜107Cに対する所定電圧の現像バイアスの供給及びバイアスローラ108K〜108Cおよび帯電チャージャ105K〜105Cに対する所定の転写電圧の供給を行う。
駆動制御部607は、レーザ光学系106のレーザ出力を調整するレーザ光学系駆動部613、中間転写ベルト101の回転駆動を制御する中間転写ベルト駆動部620及び現像ユニット107K〜107Cへのトナーの補給を行うトナー補給回路614の駆動を制御する。操作制御部608は、上記操作部500での操作内容の取得、ランプ類等の点灯制御及び液晶画面511の表示制御等をCPU601の制御下で行う。
通信制御部609には、インターネットやイントラネット等のネットワークが接続され、当該ネットワークを介して通信を行う。記憶装置611は、ハードディスク等で構成され、記憶装置制御部610の制御下で、各種情報、特に、画像データを記憶する。
次に、上記IPU612について、図6に基づいて説明する。IPU612は、図6に示すように、シェーディング補正回路701、エリア処理部702、スキャナγ変換部703、画像メモリ704、画像分離部705、I/F(インタフェース)706、MTF(Modulation Transfer Function)フィルタ707、色相判定回路708、色変換UCR(下色除去:Under Color Removal)処理回路709、パターン生成部(階調パターン生成手段)710、変倍回路711、画像加工回路712、画像処理用プリンタγ変換回路(第1画像信号変換手段)713、階調処理回路(色変換手段)714、CPU715、ROM716及びRAM717等を備えており、上記各部は、バス718によって接続されている。
また、プリンタ部100は、I/F・セレクタ721、パターン生成部(階調パターン生成手段)722、画像形成用プリンタγ補正回路(第2画像信号変換手段)723及び上記プリンタ部100の画像形成を実際に行うプリンタエンジン724等を備えている。
CPU715は、ROM716とRAM717にバス718で接続されており、また、シリアルI/Fを通じて、システムコントローラ600と接続されており、操作部500等からのコマンドがシステムコントローラ600を通して送信される。CPU715は、操作部500等から送信されてきた画質モード、濃度情報及び領域情報等に基づいてIPU612の必要な各部に各種パラメータを設定する。
スキャナ部300は、コンタクトガラス3上の原稿GをR、G、Bに色分解して、例えば、10ビットで読み取り、読み取った原稿Gの画像信号を、IPU612のシェーディング補正回路701に出力する。
シェーディング補正回路701は、スキャナ部300から入力される画像信号の主走査方向のムラを補正して、例えば、8ビット信号でスキャナγ変換部703に出力する。
エリア処理部702は、現在処理を行っている画像データが原稿G内のどの領域に属するかを区別するための領域信号を発生し、この領域信号により、後段の画像処理で用いるパラメータが切り換えられる。このエリア処理部702は、指定領域毎に、文字、銀塩写真(印画紙)、印刷原稿、インクジェット、蛍光ペン、地図、熱転写原稿など、それぞれの原稿Gに最適な色補正係数、空間フィルタ、階調変換テーブル等の画像処理パラメータをそれぞれ画像領域に応じて設定する。
スキャナγ変換部703は、スキャナ部300からの読取信号を反射率データから明度データに変換し、画像メモリ704に記憶させる。画像メモリ704は、スキャナγ変換後の画像信号を記憶して、画像分離部705及びI/F706を介してMTFフィルタ707に出力する。画像分離部705は、原稿Gの画像の文字部と写真部の判定及び有彩色・無彩色の判定を行い、判定結果をMTFフィルタ707に出力する。
MTFフィルタ707は、シャープな画像やソフトな画像等のように使用者の好みに応じたエッジ強調や平滑化等の画像信号の周波数特性を変更する処理に加えて、画像信号のエッジ度に応じたエッジ強調処理(適応エッジ強調処理)を行う。例えば、MTFフィルタ707は、文字エッジに対してはエッジ強調を行い、網点画像に対してはエッジ強調を行わないといういわゆる適応エッジ強調をR、G、B信号それぞれに対して行う。
具体的には、例えば、MTFフィルタ707は、図7に示すように、平滑化フィルタ730、エッジ量検出フィルタ731、ラプラシアンフィルタ732、平滑化フィルタ733、テーブル変換734、積算器735及び加算器736等を備えており、平滑化フィルタ730が、スキャナγ変換部703によって反射率リニアから明度リニアに変換された画像信号を、以下に示す係数を使用して平滑化して画像信号Aとしてラプラシアンフィルタ732及び加算器736に出力する。
次に、3×3のラプラシアンフィルタ732が、図8に示すようなフィルタを使用して、画像データの微分成分を抽出して、画像信号Bとして積算器735に出力する。
スキャナγ変換部703によるγ変換の行われない10ビットの画像信号のうち、例えば、上位8ビット成分が、エッジ量検出フィルタ731に入力され、エッジ量検出フィルタ731は、図9−1に示す副走査方向エッジ検出フィルタ、図9−2に示す主走査方向エッジ検出フィルタ及び図9−3と図9−4に示す斜め方向検出フィルタを使用して、エッジ検出を行って、検出したエッジ量のうち、最大値をエッジ度として、平滑化フィルタ733に出力する。
平滑化フィルタ733は、エッジ量検出フィルタ731の検出したエッジ度を、必要に応じて、例えば、次に示す係数を使用して平滑化して、スキャナ部300の偶数画素と奇数画素の感度差の影響を軽減し、テーブル変換回路734に出力する。
テーブル変換回路734は、求められたエッジ度をテーブル変換して、画像信号Cとして積算器735に出力する。この場合、テーブル変換回路734は、テーブルの値により、線や点の濃さ(コントラスト、濃度を含む)および網点部の滑らかさを指定する。テーブルの例を図10に示す。そして、エッジ度は、白地に黒い線や点等で最も大きくなり、印刷の細かい網点や銀塩写真や熱転写原稿等のように画素の境界が滑らかなものになるほど小さくなる。
積算器735は、テーブル変換回路734によって変換されたエッジ度(画像信号C)と、ラプラシアンフィルタ732の出力値(画像信号B)との積をとって画像信号Dとして加算器736に出力し、加算器736が、画像信号Dに平滑処理後の画像信号(画像信号A)を加算して、画像信号Eとして後段の画像処理回路である色相判定回路708及び色変換UCR処理回路709に出力する。
色変換UCR処理回路709は、入力系の色分解特性と出力系の色材の分光特性の違いを補正し、忠実な色再現に必要な色材YMCの量を計算する色補正処理部と、YMCの3色が重なる部分をK(ブラック)に置き換えるためのUCR処理部と、からなる。その色補正処理の方法について図11〜図13の色空間の図を用いて説明する。
図11に示すように色補正処理は、無彩色軸(R=G=B(≡N軸))を中心として放射状に広がる平面で、色空間(R,G,B)を分割して行われる。彩度は、N軸に垂直に設けられたT軸に沿って変化する。また、色相は、T軸に平行な平面においてN軸を中心とした回転方向Uに沿って変化する。すなわち、所定の回転方向UにおいてN軸に平行に形成された面上のすべての点は、回転方向Uによって定まる色相を示す色の点である。
また、点C,M,Yは、それぞれプリンタの一次色であるCMYにおいて、彩度が最大となる点である。また、点R,G,Bは、それぞれプリンタの2次色であるRGBにおいて、彩度が最大となる点である。プリンタ色再現領域672は、これらの点C,M,Y,R,G,Bと、点Wおよび点Kを曲線で結ぶことによって形成された略球面状の領域である。すなわち、このプリンタ色再現領域672の内側がプリンタにおいて出力可能な色の領域である。また、信号色領域660は、カラー画像信号に対する信号色が取り得る色の領域である。
なお、画像処理装置は、この色空間において信号色を補正する場合に、処理を簡単にするために、プリンタ色再現領域670をプリンタ色再現領域672とみなす。ここで、プリンタ色再現領域670は、8色の最大値に対応する点C,M,Y,R,G,B、点Wおよび点Kを直線で結ぶことによって形成された12面体状の領域である。なお、このように、プリンタ色再現領域670を、プリンタ色再現領域672とみなすことにより、補正量Xに実質的な誤差は生じない。
次に、図12及び図13に基づいて色相領域について説明する。図12及び図13は、複数の色相領域に分割された色空間を示している。C境界面633は、点C,W,Kにより定まる平面である。同様に、i境界面634〜638(i=M,Y, R,G,B)は、それぞれ、点i,W,K(i=M,Y,R,G,B)により定まる平面である。色空間は、これらの境界面633〜638によって分割される。これら境界面633〜638によって分割された色空間には、CB色相領域640、BM色相領域641、MR色相領域642、RY色相領域643、YG色相領域644、GC色相領域645が形成されている。
次に、色相判定回路708による画像データの色相判定方法について説明する。まず、3次元空間の色相判定の方法を説明し、次に2次元色平面における色相判定の方法について説明する。
3次元空間の色相判定においては、画像データから各色相評価値Fxを算出し、色相評価値Fxに基づいて、信号色を含む色相領域の色相領域コードを決定する。
ここで、色相評価値Fxの理論的な導出方法について説明する。図11に示した点C,M,Y,R,G,B,W,Kを示す色座標をそれぞれ
(Dir,Dig,Dib)(i=c,m,y,r,g,b,w,k)
と示すことにする。例えば、点Cに対応する色座標は、(Dcr,Dcg,Dcb)である。この場合、例えばC境界面633は、下記に示す式1〜式6により表される。
色空間は、例えば、境界面633によって、CB色相領域640を含む領域とGC色相領域645を含む領域との2つの領域に分割される。同様に、色空間は、各境界面634〜638によって2つの領域に分割される。そこで、カラー画像信号がいずれの色相領域に含まれるかは、カラー画像信号が各境界面633〜638によって形成される2つの領域のうちいずれの領域に含まれるかに基づいて判定することができる。すなわち、数式1〜数式6のそれぞれにカラー画像信号(Dr,Dg,Db)を代入して得られた値の正負に基づいて、カラー画像信号が含まれる色相領域を判定することができる。そこで、数式1〜数式6に基づいて色相評価値Fxを定める。すなわち、式1〜式6の左辺をそれぞれFc,Fm,Fy,Fr,Fg,Fbとする。
したがって、3次元空間の色相判定においては、下記に示す式7〜式12において定められた各色相評価値Fxを算出することになる。
例えば、色空間における任意の点(Dr,Dg,Db)から算出されたFc,Fgが、「Fc≦0 and Fb>0」を満たす場合、この点はCB色相領域に含まれることが、下記に示す表からわかる。
このように、各色相領域は、色相評価値Fxにより定義される。すなわち、表3に示した色相領域コードテーブルにおいて色相領域コードに対応付けられている色相評価値Fxの条件は、以上の式から定められた条件である。
なお、表3に示した色相領域コードテーブルにおいては、便宜的にN軸上の色座標をGC色相領域に含めているが、他の色相領域に含めてもよい。また、色相評価値Fxは、(Dir,Dig,Dib)(i=c,m,y,r,g,b,w,k)の実際の値によって変化する。したがって、色相領域コードテーブル(表8)において各色相領域コードに対応付けるべき色相評価値の条件は色相評価値の値に応じて変更してもよい。
次に、3次元の色空間を2次元平面に写像し、2次元平面における、カラー画像信号の色座標を利用して、カラー画像信号が含まれる色相領域を判定する方法について図14の色平面図と図15のフローチャートに基づいて色相判定回路708の動作について説明する。
図15に示すフローチャートで、まず、色相判定回路708にカラー画像信号が入力されると、カラー画像信号の値を2次元化する(S251)。すなわち、カラー画像信号の値を下記の式に代入して差分GRおよび差分BGを得る。
GR=Dg−Dr ・・・(13)
BG=Db−Dg ・・・(14)
これにより、カラー画像信号の色空間における値(Dr,Dg,Db)を色平面における値(GR,BG)に変換される。
図14は、カラー画像信号を写像すべき2次元平面を示している。この2次元平面において、「Dg−Dr」に相当する直線をGR軸とし、「Db−Dg」に相当する直線をBG軸とする。GR軸とBR軸とは互いに直交している。
色空間上の点(Dr,Dg,Db)は、次式により、図14に示す色平面に写像される。また、色空間におけるN軸上の点(Dnr,Dng,Dnb)は、図14に示す色平面における点(Dng−Dnr, Dnb−Dng)に写像される。Dnr=Dng=Dnbであるから、下記に示す式15となる。
(Dng−Dnr,Dnb・Dng)=(0,0)・・・(15)
すなわち、N軸上のすべての点は、図14に示す平面における原点nに写像される。また、色空間における点C,M,Y,R,G,Bは、原点nの周囲に図14に示すように配置されている。したがって、図12に示した6つの色相領域640〜645は、色平面においてN軸と点C,M,Y,R,G,Bとをそれぞれ結んだ直線で分割された領域740〜745に写像される。
次に、入力されたカラー画像信号の各色の値から差分GR、差分BG、および各色相評価値Fx’(x=c,m,y,r,g,b)を算出し(S252)、各色相評価値Fx’、差分GR、および差分BGに基づいて、下記の表4に示す色相領域コードテーブルを利用して、信号色を含む色相領域の色相領域コードを決定する(S253)。
色相評価値Fx’の導出方法について説明する。図14に示した色平面において、点Nと、点C,M,Y,R,G,Bとをそれぞれ結んだ直線、すなわち、直線NC、直線NM、直線NY、直線NR、直線NG、および直線NBはそれぞれ以下のように表される。
式16〜式21のそれぞれに、カラー画像信号のGR値を代入して得られるBG値と、実際のカラー画像信号のBG値との大小関係から、各式によって定まる直線と、カラー画像信号に対応する点との位置関係がわかる。したがって、カラー画像信号が、いずれの色相領域に含まれるかは、式16〜式21にカラー画像信号のGR値を代入して得られるBG値と、カラー画像信号のBG値との大小関係に基づいて、判定することができる。
そこで、式16〜式21に基づいて、次のように色相評価値Fx’を定める。
すなわち、式22〜式27は、式16〜式21の左辺をそれぞれFc’,Fm’,Fy’,Fr’,Fg’,Fb’としたものである。
例えば、色平面における任意の点(GR,BG)から算出されたFc’およびFb’が、「BG≦Fc’ and BG>Fb’」を満たす場合、この点は、CB色相領域に含まれることが下記に示す表からわかる。
すなわち、表4に示した色相領域コードテーブルにおいて色相領域コードに対応付けられている色相評価値Fx’の条件は、以上の式から定められた条件である。このように、表4の色相領域コードテーブルに色相評価値Fx’の条件が予め設定されている。したがって、色相判定回路708は、表4の色相領域コードテーブルのように、各色相領域コードに対応付けられている色相評価値Fx’の条件の中から、BGおよび色相評価値Fx’が満たす条件を特定し、色相領域コードテーブル(表4)において、この条件に対応付けられている色相領域コードを選択すればよい。図16は、色相領域と対応した図14の色平面図である。
なお、表4に示した色相領域コードテーブルにおいては、N軸上の色座標をGC色相領域に含めているが、他の色相領域に含めてもよい。
また、色相評価値Fx’は、(Dir,Dig,Dib)(i=c,m,y,r,g,b,w,k)の実際の値によって変化する。したがって、色相領域コードテーブル(表4)において各色相領域コードに対応付けるべき色相評価値の条件は色相評価値Fx’の値に応じて変更してもよい。
なお、式13〜式14に示した変換式によりカラー画像信号(Dr,Dg,Db)を色平面における値(GR,BG)に変換したが、これに代えて、下記に示す変換式(28)(29)により、変換してもよい。
GR=Ri・Dr+Gi・Dg+Bi・Db・・・(28)
BG=Rj・Dr+Gj・Dg+Bj・Db・・・(29)
ここで、
Ri=Gi=Bi=0,Rj=Gj=Bj=0
である。
入力された画像信号(R,G,B)が分割された空間の何処に属するかを上述したように、色相判定回路708にて判定し、その後、各空間毎に予め設定しておいたマスキング係数を用いて下記式(30)を用いて色補正処理を行う(色補正手段)。
その際、濃度調整やカラーバランス調整など、必要に応じてマスキング係数の線形処理等を行う。なお、以下で分割点とは、例えば図11における点G(Green)のように、境界面と辺が交わった点である。一例として、色相hueをG(Green)とした場合は、下記式(31)となる。
ここで、左辺P(hue)(P=C,M,Y,K; hue=色相R,G,B,Y,M,C,K,W etc)をプリンタベクトル、右辺S(hue)(S=B,G,R; hue=色相R,G,B,Y,M,C,K,W etc)をスキャナベクトル、aPS(hue)(P=C,M,Y,K; S=B,G,R)を各色相毎の線形マスキング係数と呼ぶ。
通常、各空間の線形マスキング係数aPS(色相)(P=Y,M,C,K; S=R,G,B,定数)は、図13に示すような無彩色軸上の異なる2点(R1,G1,B1)及び(R2,G2,B2)と、無彩色軸上にない2境界面上の2点(R3,G3,B3)及び(R4,G4,B4)の計4点のR,G,Bの値とその色再現に最適な現像部C、M、Y及びKの記録値(C1,M1,Y1,K1)、(C2,M2,Y2,K2)、(C3,M3,Y3,K3)及び(C4,M4,Y4,K4)を予め決めておき、以下に示す演算により求める。
この式32は、
に対して、
の逆行列である
をかけて、両辺を入れ替えたものである。
ここで、aXY(3−4)は、色相3と色相4の間の色領域で成り立つマスキング係数を表し、各点のC、M、Y及びKの記録値はUCR(下色除去)前の等価無彩色濃度換算値とする。
なお、以下では説明を簡略にするために、無彩色軸上の2点を白点と黒点とする。この場合、等価無彩色濃度換算値が取得る最大値をXmaxとすれば、各値には以下のような関係がある。
白点の場合 R1=G1=B1=C1=M1=Y1=0≧K1
黒点の場合 R1=G1=B1=C1=M1=Y1=Xmax≧K2
また、境界面上の2点は、現像部C、M、Y及びKの記録値の最小値が0で、記録値の最大値がXmaxとなる点、即ち、各境界面上で記録可能な、最も彩度の高い点とすると良い。すなわち、
Min(C3,M3,Y3)=0≧K3
Max(C3,M3,Y3)=Xmax
Min(C4,M4,Y4)=0≧K4
Max(C4,M4,Y4)=Xmax
が成立する。
また、現像部Kの記録値を現像部C、M、及びYのうちの最小値から、例えば以下のように決定しておくことで、UCR率を制御することもできる。
UCR率100%の場合: K=Min(C,M,Y)
UCR率 70%の場合: K=Min(C,M,Y)×0.7
図11に示したように、6つの境界面で色空間(R,G,B)を分割する場合、少なくとも各境界面上の6点と無彩色軸上の2点の、計8点のR,G,Bの値と、その色の再現に最適な現像部のC、M、Y及びKの記録値を予め決めておき、これらに基づいて各空間のマスキング係数を求める。なお、上述にように各空間のマスキング係数を予め求めてROM、RAM等に記憶しておき、色補正処理において、色相判定で判定された色に応じて適切なマスキング係数を選択し、色補正を行うことができる。
一方、色変換UCR処理回路709は、次式を用いて演算することにより、色補正処理を行う。
Y’=Y−α・min(Y、M、C)
M’=M−α・min(Y、M、C)
C’=C−α・min(Y、M、C)
Bk=α・min(Y、M、C)
上式において、αは、UCRの量を決める係数であり、α=1の時100%のUCR処理となる。αは、一定値でもよい。例えば、高濃度部では、αは、1に近く、ハイライト部(低画像濃度部)では、0に近くすることにより、ハイライト部での画像を滑らかにすることができる。
上記マスキング係数は、RGBYMCの6色相をそれぞれさらに2分割した12色相に、さらに黒および白の14色相毎に異なる。
色相判定回路708は、スキャナ部300の読み取った画像データがどの色相に属するかを判定し、判定結果を色変換UCR処理回路709に出力する。
色変換UCR処理回路709は、色相判定回路708の判定結果に基づいて、各色相毎のマスキング係数を選択して、上記色補正処理を行う。
変倍回路711は、色補正処理の完了した画像データに対して縦横変倍を行い、画像加工(クリエイト)回路712は、変倍処理の完了した画像データに対してリピート処理等を施して画像処理用プリンタγ変換回路713に出力する。
画像処理用プリンタγ変換回路713は、文字、写真等の画質モードに応じて、画像信号の補正を行い、地肌飛ばし等も同時に行うこともできる。画像処理用プリンタγ変換回路713は、上記画像加工回路712が発生した領域信号に対応して切り換え可能な複数本(例えば、10本)の階調変換テーブル(画像信号変換テーブル)を有し、文字、銀塩写真(印画紙)、印刷原稿、インクジェット、蛍光ペン、地図、熱転写原稿等のそれぞれの原稿に最適な階調変換テーブルを複数の画像処理パラメータの中から選択して、画質モードに応じた画像信号の補正を行って、階調処理回路714に出力する。
階調処理回路714は、画像処理用プリンタγ変換回路713から入力される画像データに対してディザ処理を施して、プリンタ部100のインタフェース・セレクタ721に出力する。
階調処理回路714は、1x1のディザ無し処理からm×nの画素(m、nは正の整数)からなるディザ処理まで任意のサイズのディザ処理を選択することができ、例えば、36画素までの画素を用いたディザ処理までを行う。36画素すべての画素を使用するディザのサイズとしては、例えば、主走査方向6画素×副走査方向6画素の計36画素、あるいは、主走査方向18画素×副走査方向2画素の計36画素等がある。
いま、図17−1は、主走査方向6画素×副走査方向6画素の計36画素をディザ処理に用いた場合の例を図示しており、図17−2は、それぞれの画素と、その画素に適応される階調テーブルの番号との対応関係を記録したインデックステーブルの例を示している。また、図18−1、図18−2、図18−3は、主走査2画素×副走査2画素の階調処理テーブル(ディザテーブル)の例を示している。
そして、階調処理回路714は、内部のレジスタと呼ばれる一時的なメモリに上記インデックステーブル及び階調処理テーブルを格納しており、それぞれへの設定値がCPU715の制御により行われる。
図18−1、図18−2、図18−3の階調処理テーブルは、横軸が画素に入力する画像信号を示しており、その縦軸が画素からの出力値を示している。図18−1は、T1、T2、T3の3つの階調処理テーブルが図示されている。図18−2は、T1〜5の階調処理テーブルが図示されており、T1及びT2の階調処理テーブルについては、図18−1と共通であるが、T4、T5の階調処理テーブルが異なっている。図18−3は、T6、T7、T3の階調処理テーブルが図示されており、T3の階調処理テーブルは、図18−1と共通である。
図17−1において、画素の番号を主走査方向に1画素シフトするように値を設定すると(図19−1)、インデックステーブルは、図19−2に示すようになる。なお、図示しないが、このほかにも副走査方向にシフトさせるように設定することもでき、これらの主走査方向のシフト量及び副走査方向のシフト量への値を設定することにより、YMCK各色毎にスクリーン角を異ならせた階調処理を設定することができる。
そして、主走査方向2画素×副走査方向2画素のディザに対応するインデックステーブルは、図20のように示される。
この場合、階調処理回路714の出力は、画素周波数を1/2に下げるため、2画素分のデータを同時にプリンタ部100に転送することができるように、画像データバスは、16ビットの幅(8ビットの画像データの2本分)を有する。
再び、図6において、プリンタ部100は、上述のように、I/F・セレクタ721によりIPU612と接続されており、I/F・セレクタ721は、スキャナ部300で読み取った画像データを外部の画像処理装置等で処理するために、出力したり、外部のホストコンピュータ740あるいは画像処理装置からの画像データをプリンタ部100で出力するための切換機能を有する。なお、外部ホストコンピュータ740からの画像データは、プリンタコントローラ741を介してI/F・セレクタ721に入力される。
画像形成用プリンタγ(プロセス・コントロールγ)γ補正回路723は、I/F・セレクタ721からの画像信号を階調変換テーブル(画像信号変換テーブル)を用いて変換し、プリンタエンジン724のレーザ変調回路に出力する。
カラー複写装置1は、上述のように、ホストコンピュータ740からの画像信号がプリンタコントローラ741を通してI/F・セレクタ721に入力され、画像形成用プリンタγ補正回路723により階調変換されて、プリンタエンジン724により画像形成が行われることで、プリンタとして利用することができる。
そして、カラー複写装置1は、CPU715がROM716内のプログラムに基づいてRAM717をワークメモリとして利用しつつ、IPU612の各部を制御することで、上記画像処理を実行し、CPU715がシリアルI/Fを通じて、システムコントローラ600と接続されていて、操作部500等からの画質モード、濃度情報及び領域情報等のコマンドがシステムコントローラ600を通じて送信されると、当該画質モード、濃度情報及び領域情報等に基づいてIPU612に各種パラメータを設定して、画像処理を行わせる。
そして、IPU612のパターン生成部710及びプリンタ部100のパターン生成部722は、それぞれIPU612及びプリンタ部100で使用する階調パターンを発生させる。
また、エリア処理部702は、上述のように、現在処理を行っている画像データが原稿G内のどの領域に属するかを区別するための領域信号を発生し、この領域信号により、後段の画像処理で用いるパラメータが切り換えられるが、このエリア処理部702のエリア処理の概念は、図21のように示すことができる。すなわち、図21において、文字領域(領域0)、印画紙領域(領域1)、インクジェット領域(領域2)等の複数の領域を有する原稿Gをスキャナ部300で読み取った画像データに対して、エリア処理部702は、当該原稿G上の指定されたエリア情報(領域情報)と画像読取時の読取位置情報とを比較し、エリア信号を発生する。IPU612は、図21に画像処理用プリンタγ変換回路713、階調処理回路714について示すように、このエリア処理部702からのエリア信号に基づいて、スキャナγ変換部703、MTFフィルタ707、色変換UCR処理回路709、画像加工回路712、画像処理用プリンタγ変換回路713、階調処理回路714で使用するパラメータを変更する。
例えば、画像処理用プリンタγ変換回路713は、エリア処理部702からのエリア信号をデコーダでデコードし、セレクタにより、文字(テーブル1)、インクジェット(テーブル2)、印画紙(テーブル3)、印刷(テーブル4)等の複数の階調変換テーブルの中から選択する。図21の原稿Gでは、文字の領域0と、印画紙の領域1と、インクジェットの領域2が存在する例を図示しており、画像処理用プリンタγ変換回路713は、文字の領域0に対しては、文字用の階調変換テーブル1、印画紙の領域1に対しては、印画紙用の階調変換テーブル3、インクジェットの領域2に対しては、インクジェット用の階調変換テーブル2を選択する。
階調処理回路714は、画像処理用プリンタγ変換回路713で階調変換された画像信号に対して、再びエリア信号をデコーダによってデコードした信号に基づいて、セレクタ2により、ディザを使用しない処理、ディザを行った処理、誤差拡散処理等の階調処理のうち、使用する階調処理を切り換える。なお、階調処理回路714は、インクジェット原稿Gや原稿Gのインクジェット領域に対しては、誤差拡散処理を行う。
階調処理回路714は、階調処理後の画像信号を、デコーダにより、読取位置情報に基づいてライン1であるか、または、ライン2であるかを選択するが、このライン1及びライン2の選択は、副走査方向に1画素異なる毎に切り換えられる。階調処理回路714は、ライン1のデータについては、セレクタの下流に位置するFIFO(First In First Out)メモリに一時的に蓄え、ライン1とライン2のデータを出力することで、画素周波数を1/2に下げてI/F・セレクタ721に出力する。
そして、カラー複写装置1は、そのプリンタ部100の上記レーザ光学系106に、図22に示すようなレーザ変調回路120を備えており、ルックアップテーブル(LUT)121、パルス幅変調回路(PWM)122及びパワー変調回路(PM)123等を備えている。このレーザ変調回路120での書込周波数は、18.6[MHz]であり、1画素の走査時間は、53.8[nsec]である。
ルックアップテーブル(LUT)121には、8ビットの画像データが入力され、ルックアップテーブル(LUT)は、入力される画像データをγ変換してパルス幅変調回路(PWM)122に出力する。パルス幅変調回路(PWM)122は、ルックアップテーブル(LUT)121から入力される8ビットの画像信号の上位3ビットの信号に基づいて、8値のパルス幅に変換してパワー変調回路(PM)123に出力し、パワー変調回路(PM)123は、下位5ビットで32値のパワー変調を行う。パワー変調回路(PM)123には、レーザダイオード(LD)124とフォトディテクタ(PD)125が接続されており、パワー変調回路(PM)123は、レーザダイオード(LD)124を変調した信号に基づいて発光させるとともに、フォトディテクタ(PD)125からのモニター信号に基づいてレーザダイオード(LD)124の発光強度をモニターして、1ドット毎に補正を行う。このレーザダイオード(LD)124の出射するレーザ光の強度の最大値は、画像信号とは独立に、8ビット(256段階)に可変できる。
また、レーザダイオード(LD)124の出射するレーザ光の1画素の大きさに対する主走査方向のビーム径(静止時のビームの強度が最大値に対し、1/e2に減衰するときの幅として定義される)は、600DPI、1画素42.3[μm]では、主走査方向50[μm]、副走査方向60[μm]が使用される。
このレーザ変調回路120は、図21で説明したライン1、ライン2の画像データのそれぞれに対応して、用意されており、ライン1及びライン2の画像データは、同期していて、感光体ドラム104K〜104C上を主走査方向に並行して走査する。
次に、スキャナ部300は、図23に示すように、回路ブロック構成されており、上記CCD312、増幅回路321、S/H(サンプルホールド)回路322、A/D変換回路323、黒補正回路324、CCDドライバ325、パルスジェネレータ326及びクロックジェネレータ327等を備えている。
スキャナ部300は、原稿Gを図3に示したハロゲンランプ302により照射して、原稿Gからの反射光を、CCD312のRGBフィルタにより色分解して原稿Gの画像をCCD312で読み取り、CCD312からアナログの画像信号を増幅回路321に出力する。CCDドライバ325は、CCD312を駆動するためのパルス信号を供給し、CCDドライバ325を駆動するために必要なパルス源は、パルスジェネレータ326で生成される。パルスジェネレータ326は、水晶発振子等からなるクロックジェネレータ327の発振するクロック信号を基準信号として、パルス信号を生成するとともに、S/H回路322がCCD312からの画像信号をサンプルホールドするために必要なタイミング信号をS/H回路322に供給する。
増幅回路321は、CCD312からのアナログの画像信号を所定レベルに増幅して、S/H回路322に出力し、S/H回路322は、増幅回路321からの画像信号をサンプルホールドしてA/D変換回路323に出力する。A/D変換回路323は、S/H回路322のサンプルホールドしたアナログの画像信号を、例えば、8ビット信号にデジタル化して、黒補正回路324に出力し、黒補正回路324は、A/D変換回路323でデジタル変換された画像データに対して、CCD312のチップ間、画素間の黒レベル(光量が少ない場合の電気信号)のばらつきを低減して、画像の黒部にスジやムラが生じることを防止してIPU612のシェーディング補正回路701に出力する。
シェーディング補正回路701は、上述のように、白レベル(光量が多い場合の電気信号)を補正し、図24に示すように、白レベルを、スキャナ部300を均一な白基準板の位置に移動して照射した時の白色データに基づいて、照射系、光学系やCCD312の感度ばらつきを補正することで補正する。
シェーディング補正回路701からの画像信号は、上記IPU612のエリア処理部702から階調処理回路714までの画像処理部で処理され、プリンタ部100で記録出力される。上記各回路は、CPU715がROM716及びRAM717内のプログラム及びデータに基づいて制御する。
そして、上記増幅回路321の増幅量は、ある特定の原稿濃度に対して、A/D変換回路323の出力値が所望の値になるように決定され、例えば、通常のコピー時に原稿濃度が、0.05(反射率で、0.891)のものを8ビット信号値で240値として得られるようにし、シェーディング補正時には、増幅率を下げてシェーディング補正の感度を上げる。その理由は、通常のコピー時の増幅率では、反射光が多い場合には、8ビット信号で255値を超える大きさの画像信号となると、255値に飽和してしまい、シェーディング補正に誤差が生じるためである。すなわち、図25は、増幅回路321で増幅された画像の読取信号がS/H回路322でサンプルホールドされる模式図であり、横軸は、増幅後のアナログ画像信号がS/H回路322を通過する時間、縦軸は、増幅後のアナログ信号の大きさを表している。図25に示す所定のサンプルホールド時間でアナログ信号がサンプルホールドされて、A/D変換回路323に信号が送られる。図25は、白レベルを読み取った画像信号で、増幅後の画像信号は、コピー時は、例えば、A/D変換後の値として240値、白補正時は、180値とした増幅後の画像信号の例を示している。
次に、本実施の形態の作用を説明する。本実施の形態のカラー複写装置1は、前述したような連結出力機能を使用するにあたり、以下に説明するスキャナ・キャリブレーションを予め少なくとも一度実行する。
スキャナ・キャリブレーションは、例えば、図26に示すようなキャリブレーション基準チャートである連結色補正用チャートHCを使用して行う。この連結色補正用チャートHCは、本来は、色空間内に明度軸に平行に設けられた面を境界として形成された色相領域が異なる複数の有彩色パッチであるカラーパッチ(色パッチ)部分は、カラーで描かれているが、図26では、特許図面として、異なるハッチングで色の違いを示す白黒で表示されている。
連結色補正用チャートHCは、図26に示すように、中央部に無彩色で画像濃度が異なる複数の無彩色パッチであるグレーパッチ(黒パッチ)が紙などの記録媒体上に配置され、その左右に色相が異なる有彩色の複数のカラーパッチが配置されている、パッチ型チャートである。中央の2つの無彩色のグレーパッチは、一方は3Cグレイ(YMCを重ねて無彩色としたもの)で印刷された諧調パターン、他方は黒インク単色で印刷された諧調パターンからなる。すなわち、連結色補正用チャートHCは、スキャナ部300の主走査方向に対して、
白1(地肌)、色1、黒1、黒2、色2、白2(地肌)
という配置になっている。このように色パッチを白(地肌)と黒パッチとの間に配置することにより、周囲のパッチ(特に黒パッチ)からのフレア光の影響を少なくすることが可能になっている。これに対し、例えば、
白1(地肌)、黒1、色1、黒2、色2、白2(地肌)
と配置すると、色1が両側の黒パッチの影響を受けることになり、スキャナ部300の読み取り値が暗めになるので、これを防止するために、前者の配置を採用した。
また、連結色補正用チャートHCの各パッチは、後述するACC(自動階調補正)で使用するACCパターン(図47参照)のパッチと比較すると、4倍ほどの大きさに形成されている。このように連結色補正用チャートHCのパッチを大きく形成したのは、スキャナ部300におけるフレア光(パッチ周囲の原稿面からの反射光)の影響を低減するためである。
さらに、図26に示すように、連結色補正用チャートHCは、スキャナ部300の主走査方向の略中央部にパッチを集中させて配置している。このようにスキャナ部300の主走査方向の略中央部にパッチを集中させて配置したのは、スキャナ部300の主走査方向の端部は、中央部に比べて暗めになることが多いからである。なお、連結色補正用チャートHCのパッチは、ACCパターンの読み取り範囲に含まれる位置に配置されている。これは、アプリケーションプログラムの作成の際に、ACCパターンの読み取り制御ソフトから流用し易くするためである。
有彩色のカラーパッチは、YRMBCG(Yellow,Red,Magenta,Blue,Cyan,Green)の6色相から更に分割した、12色相(Y,YR,R,RM,M,MB,B,BC,C,CG,G,GY)の12色相マスキング係数の色相分割点(例えば、YとYRの中間の色味)に対応した12色と、参考用(例えば、コピーして目視評価するための)Y,G,R,Orangeを加えた16色である。そして、連結色補正用チャートHCにおける各カラーパッチの色相角は、明度L*、彩度C*、色相h*に対して、色相角h*が、0≦h*<360°[degree](以後、[deg]と略す)に対して、
Yellow Red (h*= 1[deg])
Orange (h*= 26[deg])
Red Yellow (h*= 47[deg])
Red (h*= 54[deg])
Red Magenta (h*= 60[deg])
Magenta Red (h*= 84[deg])
Magenta Blue (h*= 95[deg])
Blue Magenta (h*=139[deg])
Blue Cyan (h*=170[deg])
Cyan Blue (h*=207[deg])
Cyan Green (h*=232[deg])
Green Cyan (h*=277[deg])
Green (h*=291[deg])
Green Yellow (h*=313[deg])
Yellow Green (h*=352[deg])
Yellow (h*=356[deg])
である。なお、数値は一例である。
スキャナ・キャリブレーションにおいては、図26に示した連結色補正用チャートHCを読み取り、読み取り結果に基づいて、まず、スキャナ部300の機差を補正するようにスキャナγ変換テーブルを作成する。
このスキャナ・キャリブレーションにおけるスキャナγ変換テーブル作成の実行手順は、図27のシーケンス図のように示される。
まず、ユーザもしくはサービスマンが、図4に示した操作部500の液晶画面511で各種設定モードが選択すると、カラー複写装置1は、図28に示すような各種調整画面を液晶画面511に表示させ、この各種調整画面で、「スキャナ・キャリブレーション」の実行が選択されると、スキャナ・キャリブレーションモードに移行して、図29に示すようなスキャナ・キャリブレーション開始画面を液晶画面511に表示させる。ユーザもしくはサービスマンは、このスキャナ・キャリブレーションモードで、連結色補正用チャートHCが原稿台であるコンタクトガラス3に載置し、図29に示す液晶画面511のスキャナ・キャリブレーション開始画面の「読取スタート」キーを押下する(図20のS1)。
カラー複写装置1は、操作部500で連結色補正用チャートHCの読取スタートの指示があると、図27にS2で示すように、システムコントローラ600からスキャナ部300に対して、連結色補正用チャートHCの読み取りを指示し、図27にS3で示すように、スキャナ部300が、連結色補正用チャートHCの読み取りを実行して、連結色補正用チャートHCの各パッチに対するRGB信号の読取値を取得して、図27にS4で示すように、連結色補正用チャートHCの読取値をIPU612に送信する。
一方、図27にS5で示すように、システムコントローラ600内で、不揮発RAM(基準値記憶手段)から連結色補正用チャートHCの読取基準値(基準データ)を読み出して、図27にS6で示すように、システムコントローラ600からIPU612に送信する。そして、カラー複写装置1は、連結色補正用チャートHCの読み取りを行っているときには、液晶画面511に、図30に示すような読取中を示す画面を表示する。
IPU612は、連結色補正用チャートHCの読取値と読取基準値を受け取ると、図27にS7で示すように、画像処理パラメータを演算し、図27にS8で示すように、演算結果のパラメータを、システムコントローラ600に送信する。
システムコントローラ600は、図27にS9で示すように、受信したパラメータを、不揮発RAMに記憶する。
次に、図27のシーケンス図のS7における連結色補正用チャートHC(図26参照)の無彩色パッチの読取値からスキャナγ変換テーブルの作成方法について図31に示す4元チャートに基づいて説明する。
図31の4元チャートにおいて、第1象現(I)は、求めるスキャナγ変換テーブルを表し、横軸は、スキャナγ変換テーブルへの入力値、縦軸は、スキャナγ変換後の出力を表している。第4象現(IV)の縦軸は、無彩色パッチの読取値を表し、グラフは、無彩色パッチの読取値からスキャナγ変換テーブルを求めるための目標値(基準値)を表している。第3象現(III)の横軸は、無彩色パッチの読取値の基準値であり、グラフは、無彩色グレースケールパッチをスキャナ部300で読み取った読取結果を表している。そして、第2象現(II)は、無変換(スルー)である。
図31の4元チャートに示した特性により、第3象現の読取値の結果a、a’から、それぞれ第1象現のb、b’のスキャナγ変換テーブルが作成される。
図31の4元チャートの第4象現に示した読取値の目標値は、原稿コピー時に使用するスキャナγ変換テーブルのRGB成分のそれぞれに対して異なる目標値としてもよいし、また、同一の目標値としてもよい。
上述のようにして、スキャナ部300の機差を補正するスキャナγ変換テーブルを作成する。
図32は、スキャナ・キャリブレーション処理の流れを概略的に示すフローチャートである。スキャナ・キャリブレーション処理は、図26に示した連結色補正用チャートHCを読み取り、読み取り結果に基づいて、色相領域の判定基準パラメータFx'および、マスキング係数を算出するものである。
まず、操作部500で連結色補正用チャートHCの読取スタートの指示があると、連結色補正用チャートHC(図26参照)を読みとり(ステップS601:チャート読み取り手段)、連結色補正用チャートHCの読み取り値が所定の範囲内であるか、否かを判定する(ステップS602)。
読み取り値が所定の範囲内にない場合には(ステップS602のN)、連結色補正用チャートHC以外の原稿が、スキャナ部300に載置されたとして、線形マスキング係数は現状の値を使用して(ステップS603)、処理を終了する。
一方、読み取り値が所定の範囲内にある場合には(ステップS602のY)、スキャナγ変換テーブルを作成する(ステップS604)。前述したように、連結色補正用チャートHCの無彩色パッチ部を用いて、スキャナγ変換テーブルを作成する。これにより、スキャナ部300の機差を低減する。
次に、スキャナγ変換テーブルにより、読み取り値の変換を行い、更に反転する(ステップS605)。すなわち、10bitの精度を持つI番目のパッチのRGB成分の読み取り値S[I]に対し、スキャナγ変換をf(S[I])を行い、更に階調反転を行う。階調反転した値S‘[I]とすると、
S‘[I]=S[White]−f(S[I])
となる。ここで、S[I]はRed,Green,Blueの3つの成分からなり、S[White]は白のRGBの基準値である。スキャナγ変換は色再現性を向上するために行い、彩度の高い色の値を大きく、彩度が低い値を小さな値とすることにより、色を扱いやすくするためである。
次に、色相角の算出を行う(ステップS606)。連結色補正用チャートHCの各パッチの読み取り値RGBデータ(Dr,Dg,Db)(=Ri,Gi,Bi(i=各パッチの番号))から、式13〜式29を用いて、読み取った原稿のRGB画像データを、各色相毎に分割するためのパラメータGR、GB、Fx'を算出する。
次に、線形マスキング係数の算出を行う(ステップS607:RGB信号補正手段、マスキング係数算出手段)。線形マスキング係数の算出は、前述した方法と下記の式36を用いて、各パッチの読み取り値Ri,Gi,Bi(i=各パッチの番号)とから、各色相毎の線形マスキング係数を算出する。
その方法について具体的に説明する。無彩色軸上にない境界面上の点を、例えば標準的な分光特性を示すスキャナCCDで読み取った値を(Ri,Gi,Bi)(i=色相1〜4)とする。同じ点を他のスキャナで読み取った場合、スキャナCCDの分光特性のばらつきにより、この点は(Ri,Gi,Bi)(i=色相1〜4)とは異なる値である(Ri',Gi',Bi') (i=色相1〜4)と読み取られる。この結果、式(1)により現像部C、M、Y及びKの記録値は(Ci',Mi',Yi',Ki')(i=色相1〜4)となる。すなわち、式32を下記式
のように表すことができる。ここで、
(R(i'),G(i'),B(i'))≒(R(i)+ΔR(i),G(i)+Δ
G(i),B(i)+ΔB(i))(i=色相1〜4)
と近似し、
を得る。即ち、実際の読み取り値(Ri',Gi',Bi')を用いる代わりに、有彩色の基準パッチの基準値と読み取り値との差分に、所定の係数kX(X=R,G,B)を積算し、予め記憶されているRGB成分からなるスキャナベクトル(Ri、Gi,Bi)(i=1,2,3,4)に加算する。なお、スキャナベクトル(Ri、Gi,Bi)(i=1,2,3,4)と、有彩色パッチの連結色補正用チャートHCの基準値および読み取り値を得た基準パッチが同一の場合には、前記係数
kX=1(X=R,G,B)
となる。
ところで、本実施の形態においては、スキャナ機差の変動要因に応じて、現在値と基準値の組み合わせを以下に示すような操作部にて選択可能とされている。
図4に示した操作部500の液晶画面511において、スキャナ・カリブレーションメニュー呼び出すと、図33に示すスキャナ・カリブレーション画面が表示される。図33のスキャナ・カリブレーション画面には、“基準値”と“現在値”との組み合わせを設定するキーが表示されている。基準値または現在値として[工場設定値]が選択されると、図34に示すように、連結色補正用チャートHCの標準的な読み取り値である工場設定値が液晶画面511に表示される。現在値として[読み取り値]が選択されると、図35に示すように、読み取り値が液晶画面511に表示される。なお、図34に表示される工場設定値や図35に表示される読み取り値は、変更可能である。ここに、基準値選択手段および現在値選択手段が実現されている。
例えば、基準パッチの読み取り値の経時変動が少ないスキャナ部300に対しては、現在値を連結色補正用チャートHCの標準的な読み取り値である工場設定値とし、基準値をROM内に有する設計値(固定値)とする。ここで、設計値(固定値)は、前述した式38の係数(Ri),(Gi),(Bi)の値を決定した時にI番目の有彩色パッチの読み取り値を用いる。また、工場設定値は、予め色味が管理された有彩色パッチからなるチャートを用いて現在値を求める。また、有彩色パッチの色味のばらつき(ロット差など)が見られる場合には、設計値からの色差の大きさに反比例して、係数kX(X=R,G,B)を小さくする。すなわち、ΔE*iiをii番目のパッチの設計時に用いた基準パッチと工
場での調整に用いる基準パッチのL*a*b成分のCIE Lab色差のL*a*b成分の色差として、
ΔE*ii≦1の場合 kX=1(X=R,G,B)
1<E*ii≦2の場合 kX=0.75(X=R,G,B)
2<E*ii≦4の場合 kX=0.5(X=R,G,B)
4<E*ii≦8の場合 kX=0.25(X=R,G,B)
8<E*iiの場合 kX=0.0(X=R,G,B)
などとする。
また、基準パッチの読み取り値の経時変動が少ないスキャナ部300に対しては、現在値として工場設定値を使用する代わりに、現在値をその都度読み込んだ連結色補正用チャートHCの読み取り値を用いる。基準値としては、ROM内に有する設計値(固定値)を使用する。係数kX(X=R,G,B)は上述したものと同様にして求める。
また、設計時に用いた基準パッチの色味が、印刷ロットの差により所定値以上異なった連結色補正用チャートHCを用いて補正を行なう場合には、図36に示すスキャナ・カリブレーション画面を用いる。すなわち、基準値として、色味が異なる連結色補正用チャートHCの標準的な読み取り値を、製造時もしくは市場にて設定し(工場設定値)、現在値としては、それぞれの装置にこの連結色補正用チャートHCを読み取らせた値を使用する。この場合の係数は、図36に示すように、印刷ロット内の色味のばらつき(標準偏差)に反比例した補正係数を設定する。すなわち、ばらつきの標準偏差が大きい場合には、係数kX(X=R,G,B)は0に近い値を設定し、標準偏差が小さい場合には、係数kX(X=R,G,B)は1もしくは1に近い値を設定する。ここに、補正係数設定手段が実現されている。
なお、操作部500の液晶画面511はタッチパネルとなっており、変更する設定値を選択後、テンキーでパラメータを入力し、エンターキーで設定することになる。
また、LANケーブル1000によりネットワーク接続されたパーソナルコンピュータ、もしくはUSBケーブルや、RS−232Cケーブル、セントロニクスケーブルなどにより接続されたパーソナルコンピュータに図34〜図36に示す画面を表示させ、これらの画面が表示されたパーソナルコンピュータからオンラインで設定するようにしても良い。
そして、ここでは、式32と式37の左辺が、
(Y(i),M(i),C(i),K(i))
=(Y(i'),M(i'),C(i'),K(i')
ただし、色相 i=1,2,3,4
と同一となるようなマスキング係数 aPS(i−j) (P=Y,M,C,K、S=B,G,R; i, j = 1,2,3,4, j = 1,2,3,4)を求めることが目的であるので、
を得る。式39の両辺に、
の逆行列である
を両辺にかけて、式36を得る。
最後に、読み取り値と線形マスキング係数を不揮発RAM、RAMなどに記憶して(ステップS608)、処理を終了する。
なお、図37のフローチャートに示すように、図32のフローチャートのステップS604のスキャナγ変換テーブルの作成を行わずに、予め記憶している固定のスキャナγ変換テーブルを用いて、有彩色の基準パッチを変換するようにしても良い。
ここで、図38はスキャナ・キャリブレーションのクラス図である。図38は、コピー時に使用する色補正係数(色補正回路(ASIC)に設定するレジスタ値)801と線形マスキング係数803、色相判定パラメータ802、スキャナベクトル804,スキャナ逆行列パラメータ805、プリンタベクトル806、(操作部での)画像濃度選択807、(操作部での)キャリブレーションデータの選択I/F808、オブジェクトで連結色補正用チャートHCの読み取り値(現在値)809、オブジェクトで連結色補正用チャートHCの読み取り値(今回値)810、ROM811,NV−RAM(不揮発RAM)812,オブジェクトで連結色補正用チャートHCの読み取り値(前回値)813、スキャナ814を示す。
図の意味は、色補正係数801は、色相判定パラメータ802と線形マスキング係数803から算出でき、色相判定パラメータ802はスキャナベクトル804から算出できる。線形マスキング係数803はスキャナ逆行列パラメータ805とプリンタベクトル806から算出される。スキャナ逆行列パラメータ805はスキャナベクトル804から算出される。プリンタベクトル806は、操作部での画像選択I/F807により画質モードおよび濃度選択により選択される。プリンタベクトル806データは、RAM811に記憶されている。スキャナベクトル804は、オブジェクトで連結色補正用チャートHCの読み取り値(現在値)809から求められる。(操作部での)キャリブレーションデータの選択I/F808により、連結色補正用チャートHCの読み取り値(現在値)809として、前回読み取られてNV−RAM812に記憶されている連結色補正用チャートHCの読み取り値(前回値)813と、スキャナ814から新たに読みとった連結色補正用チャートHCの読み取り値(今回値)810とから選択することができる。連結色補正用チャートHCの読み取り値(現在値)809と、連結色補正用チャートHCの読み取り値(前回値)813とはNV−RAM812に記憶されている。
連結色補正用チャートHCの読み取り値(現在値)809として、連結色補正用チャートHCの読み取り値(前回値)813を使用したい場合には、図28上のスキャナ・キャリブレーションの「元の値に戻す」のソフトキーを選択する。これにより、前回読み取られて記憶されている値が呼びだされ、色補正係数801が再計算される。
次に、ACC(自動階調補正)について説明する。なお、ACC(自動階調補正)で使用するスキャナγ変換テーブルにおいては、上述したコピー用(原稿読取用)のスキャナγ変換テーブルとは異なり、読取対象である転写紙上のトナーの分光反射率特性に対して感度が高く、また、CCD312の分光感度ばらつきの影響を補正するようにACCパターン読取用のスキャナγ変換テーブルを、連結色補正用チャートHCの有彩色パッチの読取値を用いて作成する。
そして、色味の異なる有彩色パッチと無彩色パッチとから、後述するように、ACCパターン(図47参照)の読取用のスキャナγ変換テーブルの作成を、イエロー(Yellow)トナー読取用のスキャナγ補正テーブル(スキャナγ変換テーブル)の作成方法を一例とし、図39に基づいて説明する。
いま、イエロー(Yellow)トナーの補正用に使用する有彩色(カラー)パッチは、例えば、図39に示すようなものであり、この有彩色パッチは、イエロー(Yellow)トナーの補正用として抽出したカラーパッチを、基準となるスキャナで読み取った数値の例である。イエロー(Yellow)トナーの読み取りに際しては、ブルー(Blue)信号の感度が高いため、ブルー(Blue)信号を用いる。また、色味が異なる複数の有彩色のカラーパッチから異なるブルー(Blue)信号うちを出力する1.ホワイト(White)、2.イエロー(Yellow)、5.ブルー(Blue)、6.シアン(Cyan)、10.グレイ(Gray)、11.ブラック(Black)のRGB読取信号のうち、ブルー(Blue)信号を用いることにより、イエロー(Yellow)トナー読取用の補正テーブルを作成する。
そして、ACC実行時のイエロー(Yellow)読取用の補正テーブルを作成するにあたり、連結色補正用チャートHCは印刷インクで作成されているので、トナーの分光反射率とのずれが生じるため、図39には、その分のブルー(Blue)用の補正係数の例が示されている。
そして、この上記補正係数は、ブルー(Blue)信号のCCD312の分光感度とイエロー(Yellow)トナーの分光反射率の関係を波長λとの関係で示す図40に基づいて求めることができる。図40の横軸は、波長λであり、縦軸は、グラフ(a)については左側の軸に示したCCD312の分光感度[%]、グラフ(c)、(d)に対しては右側の軸に示したトナーの分光反射率[%]である。図40において、(a)は、ブルー(Blue)信号のフィルタの分光感度で、(c)は、イエロー(Yellow)トナーの分光反射率、(d)は、イエロー(Yellow)インクの分光反射率、(d)は、付着量が少ない場合のブラック(Bk)トナーの分光反射率を示している。なお、(a)の分光感度には、CCD312のブルー(Blue)フィルタの分光透過率に、光源(ハロゲンランプ302)の分光エネルギーの積が用いられている。
図40から分かるように、ブルー(Blue)信号の出力B(CCD312、色材)は、波長λに対して、CCD312の分光感度S(CCD、λ)と色材の分光反射率ρ(色材、λ、面積率)との積S(CCD、λ)×ρ(色材、λ、面積率)に対する波長λに対しての積分値である。すなわち、次式42で与えられる。
イエロー(Yellow)トナー(以後、Yトナーと略す)とイエロー(Yellow)インク(以後、Yインクと略す)を読み取った時のCCD312の分光感度特性aに対するブルー(Blue)信号をそれぞれ次式43,44のように表す。
ここで、分光感度S(a、λ)を使用するスキャナ部300の代表的な値とし、Yトナーρ(Yトナー、λ)とYインクの分光反射率ρ(Yインク、λ)を分光測色計による測定によって求める。以上によって、B(a、Yトナー)及びB(a、Yインク)を求めることができる。
連結色補正用チャートHC上の、印刷インクのイエロー(Yellow)パッチを読み取って取得したブルー(Blue)信号の読取値B(Yインク)から、ACC実行時のYトナーの読取値用として、Yトナーを読み取った場合の読取値B(Yトナー)を予測する際に、補正する係数k(Yellow)として、次式45を用いる。
B(Yトナー)=k(Yellow)×B(Yインク)・・・(45)
ただし、k(Yellow)=B(a、Yトナー、100%)/B(a、Yインク、100%)である。
なお、上記の説明では、イエロー(Yellow)トナーについて説明したが、他の色パッチについては、CCD312のブルー(Blue)の分光感度が0でない領域において、イエロー(Yellow)トナーの分光反射率と計算しようとする印刷インクとによる色パッチの反射率が略等しいYトナーの面積率または単位面積当たりのトナー付着量[mg/cm2])を用いる。
例えば、図41に示す青緑インクの分光反射率特性(i)と、面積率50%のイエロー(Yellow)トナーの分光反射率(c)及びブルー(Blue)信号の読取値が、イエロー(Yellow)トナー(インク)の読取値よりも低い読取値を得るパッチ(Black、Green等)に関しては、補正係数の計算を行わず係数を1として使用する。このようにして求めた補正係数kは、図39のように示すことができる。
次に、ACCパターン読取値補正用の変換テーブルの作成方法を、図42に示すACCパターン読取値補正用テーブルの4元チャートに基づいて説明する。
図42の第1象現(I)は、求めるACCパターン読取値補正用の変換テーブルを表しており、横軸は、CCDパターン読取値、縦軸は、変換後の値を表している。第4象現(IV)の縦軸は、有彩色及び無彩色パッチの上記補正係数kでの補正後の読取値を表しており、グラフは、有彩色&無彩色パッチの読取値からACCパターン読取値補正用の変換テーブルを求めるための目標値(基準値)を表している。第3象現(III)の横軸は、有彩色及び無彩色パッチの読取値の基準値であり、グラフは、有彩色及び無彩色パッチをスキャナで読み取った読取値を前記補正係数kで補正した値を表わしている。第2象現(II)は、無変換(スルー)である。
そして、図42に示した特性により、第3象現(III)の読取値の結果a、a’からそれぞれ第1象現(I)のb、b’の求めるACCパターン読取値補正用の変換テーブル(補正テーブル)D[ii](ii=0、1、2、・・・、255)が作成される。
図42の第4象現(IV)に示した読取値の目標値は、ACCパターンで読み取るYMCKの各トナー毎に作成する。このようにして、ACC(自動階調補正)の調整精度を向上させることができる。
そして、図43は、シアン(Cyan)トナーの補正用として抽出したカラーパッチを、基準となるスキャナで読み取った数値の例である。なお、シアン(Cyan)トナーの読み取りに際しては、レッド(Red)信号の感度が高いため、レッド(Red)信号を用いる。そこで、色味が異なる複数の有彩色のカラーパッチから異なるレッド(Red)信号値を出力する1.ホワイト(White)、2.イエロー(Yellow)、3.レッド(Red)(もしくは4.マゼンタ(Magenta))、5.マゼンタ(Magenta)〜ブルー(Blue)の間の色1、6.マゼンタ(Magenta)〜ブルー(Blue)の間の色2、7.ブルー(Blue)、8.シアン(Cyan)、10.グレイ(Gray)、11.ブラック(Blak)の有彩色並びに無彩色パッチのレッド(Red)信号を用いてACC実行時のシアン(Cyan)トナー読取用の補正テーブルを作成する。
このようにすると、スキャナ部300の機械差に基づく読取画像信号のばらつきを防止することができるとともに、自動階調補正(ACC)の調整精度を向上させることができ、より一層画像品質を向上させることができる。
また、階調パターン読取時に画像処理用プリンタγ変換回路713に設定する階調変換テーブルを、連結色補正用チャートHCの複数の異なる色のパッチをスキャナ部300で読み取って得られる画像信号のうち共通する1成分の画像信号を用いて生成しているので、連結色補正用チャートHCの異なる色のパッチを読み取って得られたRGB画像信号のうち、YMCトナーの補色信号に相当するスキャナ部300の読取画像信号を用いて階調変換テーブルを生成することで、階調変換テーブルの調整精度を向上させることができ、連結出力する場合にも画像品質を向上させることができる。
さらに、ACC実行時のシアン(Cyan)読取用のスキャナγ変換テーブルを作成するにあたり、連結色補正用チャートHCは印刷インクで作成されているので、トナーの分光反射率とのずれが生じる。そこで、図43には、その分のレッド(Red)用の補正係数の例が示されている。
このようにすると、連結色補正用チャートHCの印刷インクの分光反射率の特性と階調パターンを記録出力するプリンタ部100のトナーの分光反射率の特性との相違を是正して、より一層自動階調補正(ACC)用の画像信号変換テーブルであるスキャナγ変換テーブルを作成することができ、より一層画像品質を向上させることができる。
次に、画像濃度(階調性)のACC(自動階調補正)機能を選択するための操作画面について説明する。
図4に示した操作部500の液晶画面511において、ACC(自動階調補正)メニュー呼び出すと、図44に示す自動階調調整画面が表示され、この自動階調調整画面で、コピー使用時、あるいは、プリンタ使用時用の自動階調補正の[実行]が選択されると、図45に示す自動階調補正開始画面を液晶画面511に表示する。この場合、図44の自動階調調整画面で、コピー使用時が選択された場合には、コピー使用時に使用する階調補正テーブルを用意し、プリンタ使用時が選択されると、プリンタ使用時の階調補正テーブルを参照データに基づいて用意する。
そして、図44の自動階調調整画面には、変更後のYMCK階調補正テーブルで画像形成を行った結果が、望ましくない場合には、処理前のYMCK階調補正テーブルを選択することができるように、「元に戻す」キーが表示されている。
また、図44の自動階調調整画面には、“自動階調補正の設定”を選択すると、後述する“地肌の補正”、“高濃度部の補正”、“RGB比の補正”、“実行”または“非実行”を選択するキーが表示されている。“自動階調補正の設定”メニューでは、“自動階調補正の設定”と“光量ムラ検知の設定”を選択することができる。なお、これらの選択は必ずしも必要ではなく、常に“実行”としてもよい。
そして、カラー複写装置1は、上述のように、無彩色パッチからコピー時に使用するRGB各読取成分についてスキャナγ変換テーブルを作成する。一方、カラー複写装置1は、有彩色パッチと無彩色パッチからACC(自動階調補正)実行時に出力した調整用パターンを読み取って取得したYMCK各階調パターンの読取値を補正する。したがって、前者の処理では、RGB3つの変換テーブルを使用し、後者の処理では、YMCK4つの変換テーブルを使用する。
ここで、画像濃度(階調性)の自動階調補正(ACC)の動作を、図46に示すフローチャートに基づいて説明する。
図44に示した自動階調調整画面で、コピー使用時、あるいは、プリンタ使用時用の自動階調補正の「実行」が選択されると、図45に示した自動階調補正開始画面を、液晶画面511に表示し、この自動階調補正開始で「印刷スタート」キーが押下されると、図47に示すような、YMCK各色及び文字、写真の各画質モードに対応した複数の濃度階調パターンを転写紙(転写材)P上に形成する(ステップS101)。
この濃度階調パターンは、予めIPU612のROM716中に記憶・設定されており、パターンの書込値は、16進数表示で、00h、11h、22h、・・・、EEh、FFhの16パターンである。図47では、地肌部を除いて5階調分のパッチを表示しているが、00h−FFhの8ビット信号のうち任意の値を選択することができる。濃度階調パターンは、文字モードと写真モードのトナーパターンが形成されており、文字モードでは、パターン処理等のディザ処理を行わず、1ドット256階調でパターンが形成され、写真モードでは、後述するディザ処理が行われる。
カラー複写装置1は、転写紙(転写材)Pにパターンを出力すると、図48に示すように、濃度階調パターンを記録出力した転写紙(転写材)Pの原稿台であるコンタクトガラス3上への載置を促す旨のメッセージを、液晶画面511上に表示する。この画面の指示に従って、濃度階調パターンの形成された転写紙がコンタクトガラス3上に載置されると(ステップS102)、上記図48の画面で「読取スタート」が選択されるか、「キャンセル」が選択されたかチェックし(ステップS103)、「キャンセル」が選択されると、処理を終了する。
ステップS103で、「読取スタート」が選択されると、カラー複写装置1は、スキャナ部300が濃度階調パターンの形成された転写紙を主走査副走査して、YMCK濃度パターンのRGBデータを読み取る(ステップS104)。この際、スキャナ部300では、濃度階調パターンの形成されている転写紙のパターン部のデータと転写紙の地肌部のデータを読み取る。
カラー複写装置1は、転写紙のパターン部のデータが正常に読み取られたか判断し(ステップS105)、正常に読み取られない場合には、正常に読み取られないのが2回目であるかチェックする(ステップS106)。カラー複写装置1は、1回目であると、再び、図48の画面を液晶画面511に表示させて、読取が指示されると、ステップS104に戻って上記同様に処理し(ステップS104、S106)、ステップS106で、正常に読み取られないのが2回目であると、処理を終了する。
ステップS105で、転写紙のパターン部のデータが正常に読み取られているときには、カラー複写装置1は、ACCパターンの各読取値を、上記ACCパターン読取値補正用テーブルD[ii](ii=0、1、2、・・・、255)で、YMCK各色毎に変換して補正し(ステップS107)、図44の自動階調調整画面での選択結果に基づいて、地肌データを用いた地肌補正処理の“実行”/“非実行”を判断する(ステップS108)。
ステップS108で、地肌データを用いた地肌補正の処理の“実行”が選択されていた場合には、カラー複写装置1は、読取データに対する地肌データ補正処理を行い(ステップS109)、参照データの高画像濃度部の補正の“実行”/“非実行”を、図44の自動階調調整画面での選択結果により判断する(ステップS110)。
ステップS110で、参照データの高画像濃度部の補正の“実行”が選択されていると、カラー複写装置1は、参照データに対する高画像濃度部の補正処理を行い(ステップS111)、YMCK階調補正テーブルの作成・選択を行う(ステップS112)。ステップS110で、参照データの補正を行わない場合には、カラー複写装置1は、参照データの補正を行うことなく、YMCK階調補正テーブルの作成・選択を行う(ステップS112)。
カラー複写装置1は、YMCK階調補正テーブルの作成・選択を行うと、YMCK各色について上記処理を実行したかチェックし(ステップS113)、YMCKの各色について上記処理を実行していないときには、ステップS105に戻って、YMCKの各色について上記処理を実行する(ステップS105〜S113)。
ステップS113で、上記処理をYMCKの各色について行うと、カラー複写装置1は、上記処理を写真、文字の各画質モード毎について終了したかチェックし(ステップS114)、終了していないときには、ステップS105に戻って、上記同様に処理して(ステップS105〜S114)、ステップS114で、写真と文字の各画質モードについて処理が終了すると、処理を終了する。
そして、カラー複写装置1は、上記処理中は、図49に示すように、液晶画面511に自動階調補正の実行中を示す画面を表示させ、また、処理終了後のYMCK階調補正テーブルで画像形成を行った結果が、望ましくない場合には、処理前のYMCK階調補正テーブルを選択することができるように、図44の自動階調調整画面に、「元に戻す」キーを表示する。
次に、地肌補正処理について、説明する。地肌補正処理の目的は、2つあり、1つは、ACC時に使用される転写紙の白色度を補正することである。地肌補正処理は、同一の機械に、同じ時に画像を形成しても、使用する転写紙の白色度によって、スキャナ部300で読み取られる値が異なるためである。これは補正しない場合のデメリットとしては、例えば、白色度が低い、再生紙等をACCに用いた場合、再生紙は一般にイエロー成分が多いために、イエローの階調補正テーブルを作成した場合に、イエロー成分が少なくなるように補正するが、この状態で、次に、白色度が高いアート紙等を用いてコピーをした場合に、イエロー成分が少ない画像となって望ましい色再現が得られない場合があることである。
地肌補正処理のもう一つの理由は、ACC時に用いた転写紙の厚さ(紙厚)が薄い場合には、転写紙を押さえつける圧板等の色が透けてスキャナ部300に読み取られてしまう。例えば、圧板の代わりにADF400を装着している場合には、原稿Gの搬送用にベルト402を用いているが、この搬送ベルト402は、使用しているゴム系の材質により、白色度が低く、若干の灰色味があるため、読み取られた画像信号も、見かけ上、全体に高くなった画像信号として読み取られ、YMCK階調補正テーブルを作成する際に、その分薄くなるように作成するが、この状態で、今度は、その紙厚が厚く、透過性の悪い転写紙をACC用に用いた場合には、全体の濃度が薄い画像として再現されるため、必ずしも望ましい画像が得られない。
上述のような不具合を防ぐために、紙の地肌部の読取画像信号から紙の地肌部の画像信号により、パターン部の読取画像信号の補正を行っている。
しかし、上記の補正を行わない場合にもメリットがあり、常に再生紙のように、イエロー成分が多い転写紙を用いる場合には、補正をしない方がイエロー成分の入った色に対しては色再現が良くなる場合がある。また、常に、紙厚が、薄い転写紙のみしか用いない場合には、薄い紙に合わせた状態に階調補正テーブルが作成されるというメリットがある。
そこで、カラー複写装置1は、操作部500のキー操作で、カラー複写装置1の使用状況と使用者の好み等に応じて、地肌部の補正をON(オン)/OFF(オフ)することができる。
次に、自動階調補正の動作及び処理について説明する。上記転写紙上に形成した階調パターン(図47参照)の書込値LD[i](i=0、1、・・・、9)の形成されたパターをスキャナ部300で読み取った読取値をベクトル型式でv[t][i]≡(r[t][i]、g[t][i]、b[t][i])(t=Y、M、C、or、K、i=0、1、・・・、9)とする。
なお、(r、g、b)の代わりに、明度、彩度、色相角(L*、c*、h*)、あるいは、明度、赤み、青み(L*、a*、b*)等で表してもよい。
そして、予めROM716またはRAM717中に記憶されている基準となる白の読み取値を(r[W]、g[W]、b[W])とする。
次に、ACC実行時に画像処理用プリンタγ変換回路713で行う階調変換テーブル(LUT)の生成方法について説明する。
上記階調パターンの読取値v[t][i]≡(r[t][i]、g[t][i]、b[t][i])において、YMCトナーの各補色の画像信号はそれぞれb[t][i]、g[t][i]、r[t][i]であるので、それぞれの補色の画像信号のみを用いる。ここでは、説明を簡単にするために、a[t][i](i=0、1、2、・・・、9;t=C、M、Y、or、K)を用いて表す。階調変換テーブルを作成すると処理が簡単である。
なお、ブラックトナーについては、RGBのいずれの画像信号を用いても十分な精度が得られるが、ここでは、G(グリーン)成分を用いる。
参照データは、スキャナ部300の読取値v0[t][i]≡(r0[t][i]、g0[t][i]、b0[t][i])及び対応するレーザの書込み値LD[i](i=1、2、・・・、m)の組によって与えられる。同様に、YMCの補色画像信号のみを用いて、説明を簡単にするために、A[t][n[i]](0≦n[i]≦255;i=1、2、・・・、m;t=Y、M、C、or、K)と表す。mは、参照データの数である。
そして、YMCK階調変換テーブルは、上記a[LD]とROM716中に記憶されている参照データA[n]とを比較することによって得られる。
ここで、nは、YMCK階調変換テーブルへの入力値であり、参照データA[n]は、入力値nをYMCK階調変換した後のレーザ書込値LD[i]で出力したYMCトナーパターンを、スキャナ部300で読み取った読取画像信号の目標値である。ここで、参照データは、プリンタの出力可能な画像濃度に応じて補正を行う参照値A[n]と補正を行わない参照値A[n]との2種類の値とからなる。カラー複写装置1は、補正を行うかどうかの判断を、予めROM716またはRAM717中に記憶されている判断用のデータにより行う。
そして、カラー複写装置1は、上記a[LD]から、A[n]に対応するLDを求めることにより、YMCK階調変換テーブルへの入力値nに対応するレーザ出力値LD[n]を求める。
このレーザ出力値LD[n]を、入力値i=0、1、・・・、255(8bit信号の場合)に対して求めることにより、階調変換テーブルを求めることができる。
その際、YMCK階調変換テーブルに対する入力値n=00h、01h、・・・、FFh(166進数)に対する全ての値に対して、上記処理を行う代わりに、ni=0、11h、22h、・・・、FFhのような飛び飛びの値について上記の処理を行い、それ以外の点については、スプライン関数などで補間を行うか、あるいは、予めROM716中に記憶されているYMCKγ補正テーブルのうち、上記処理で求めた(0、LD[0])、(11h、LD[11h])、(22h、LD[22h])、・・・、(FFh、LD[FFh])の組を通る最も近いテーブルを選択する。
上記処理を図50に基づいて説明する。図50の第1象現(a)は、その横軸が、YMCK階調変換テーブルへの入力値nであり、縦軸が、スキャナ部300の読取値(処理後)であって、上記参照データA[i]を表している。スキャナ部300の読取値(処理後)は、階調パターンをスキャナ部300で読み取った値に対して、RGBγ変換(ここでは変換を行っていない)、階調パターン内の数ヶ所の読取データの平均処理及び加算処理後の値であり、演算精度を向上させるために、ここでは、12ビットデータ信号として処理する。
図50の第2象現(b)は、その横軸が、縦軸と同じく、スキャナ部300の読取値(処理後)を表している。
図50の第3象現(c)は、その縦軸が、レーザ光(LD)の書込値を表している。このレーザ光書込値であるデータa[LD]は、プリンタ部100の特性を表しており、また、実際に形成するパターンのレーザ光(LD)の書込値は、00h(地肌)、11h、22h、・・・、EEh、FFhの16点であり、飛び飛びの値を示すが、ここでは、検知点の間を補間して、連続的なグラフとして扱う。
図50の第4象現のグラフ(d)は、YMCK階調変換テーブルLD[i]であり、このYMCK階調変換テーブルを求めることが目的である。
グラフ(f)の縦軸・横軸は、グラフ(d)の縦軸・横軸と同じである。検知用の階調パターンを形成する場合には、グラフ(f)に示したYMCK階調変換テーブル(g)を用いる。
グラフ(e)の横軸は、第3象現(c)と同じであり、階調パターン作成時のレーザ光(LD)の書込値と階調パターンのスキャナ部300の読取値(処理後)との関係を表すための便宜上の線形変換を表している。
図50において、ある入力値nに対して参照データA[n]が求められ、A[n]を得るためのレーザ光(LD)出力LD[n]を階調パターンの読取値a[LD]を用いて、図中の矢印(l)に沿って求める。
図51は、Greenデータの変換テーブルの例である。読み取り値で1000H側の原稿からの反射光量が多い(明るい)部分は、Magentaのキャリブレーションパターン1の読み取り値の読み取り値を用い、0H側の原稿からの反射光量が少ない(暗い)部分はBlackの読み取り値を用いて生成する。
次に、ACCの演算手順を図52のフローチャートに基づいて説明する。図52において、ACC時の階調変換テーブル作成処理では、まず、カラー複写装置1は、YMCKγ補正テーブル(階調変換テーブル)を求めるために必要な入力値、例えば、n[i]=11(h)×i(i=0、1、・・・、imax=15)を決定する(ステップS201)。
すなわち、RGBγ変換を行った場合でのグラフと比較すると、第3象現のプリンタ特性のグラフは一致しているが、第2象現のRGBγ変換テーブルの特性が異なっている。これに応じて、第1象現の参照データを変更する必要があるが、最終的な結果であるYMCK階調変換テーブルLD[n]の特性は、一致している。
上記のように、RGBγ変換テーブルによる処理を行うか、行わないかに応じて参照データを変更することにより、対応する。本実施の形態で使用したRGBγ変換テーブルの例を示した。
次に、カラー複写装置1は、参照データA[n]を、プリンタ部100の出力可能な画像濃度に応じて補正する(ステップS202)。
すなわち、プリンタ部100で作成可能な最大画像濃度を得るためのレーザ光の書込値を、FFh(16進数表示)とし、このときの階調パターンの読取値m[FFh]をmmaxとする。低画像濃度側から中間画像濃度側にかけて補正を行わない参照データA[i](i=0、1、・・・、i1)、高画像濃度側の補正を行わない参照データA[i](i=i2+1、・・・、imax−1)(i1≦i2、i2≦imax−1)、補正を行う参照データA[i](i=i1+1、・・・、i2)とする。
以下では、RGB−γ変換を行わない原稿反射率に比例した画像信号と仮定して、具体的な計算方法を説明する。補正を行わない参照データのうち、高画像濃度部の最も画像濃度が低い参照データA[i2+1]と、低画像濃度部の最も画像濃度が低い参照データ A[i1]とから、次式により、そのデータの差Δrefを求める。
Δref=A[i1]−A[i2+1]・・・(46)
ここで、反転処理であるRGBγ変換を行わない反射率リニアあるいは明度リニアの場合には、Δref>0である。
一方、プリンタ部100で作成可能な最大画像濃度を得られる階調パターンの読取値mmaxから、同様に、次式47により、差Δdetを求める。
Δdet=A[i1]−mmax・・・(47)
そして、次式48により、高濃度部の補正を行った参照データA[i](i=i1+1、・・・、i2)を、求める。
A[i]=A[i1]+(A[i]−A[i1])×(Δdet/Δref)・・・(4
8)
ただし、i=i1+1、i1+2、・・・、i2−1、i2である。
次に、カラー複写装置1は、n[i]に対応するスキャナ部300の読取画像信号m[i]を参照データA[n]から求める(ステップS203)。
なお、この読取画像信号m[i]を求めるには、実際には、飛び飛びのn[j]に対応する参照データA[n[j]](0≦n[j]≦255、j=0、1、・・・、jmax、n[j]≦n[k]forj≦k)を次のようにして求める。
すなわち、n[j]≦n[i]<n[j+1]となるj(0≦j≦jmax)を求める。
なお、8bit画像信号の場合、n[0]=0、n[jmax]=255、n[jmax+1]=n[jmax]+1、A[jmax+1]=A[jmax]として参照データを求めておくと計算が簡単になる。
また、参照データの間隔は、n[j]は、できるだけ小さい間隔の方が、最終的に求めるγ補正テーブルの精度が高くなる。
次に、カラー複写装置1は、書込値LDに対するACCパターン読取値a[LD]を、上記図42のbまたはb’として示す補正用テーブルD[ii](ii=0、1、2、・・・、255)を用いて、以下のように補正する(ステップS204)。
a1[LD]=D[a[LD]]
このa1[LD]を以下では、a[LD]として表記する。
このようにして求めたjから、m[i]を、次式49により求める。
m[i]=A[j]+(A[j+1]−A[i])・(n[i]−n[j])
/(n[j+1]−n[j])・・・(49)
なお、上記式48では、一次式により補間しているが、高次関数やスプライン関数等で補間を行ってもよい。その場合には、次式50により与えられる。
カラー複写装置1は、m[i]を求めると、m[i]を得るためのレーザ光(LD)の書込値LD[i]を同様な手順で求める(ステップS205)。そして、RGBγ変換を行っていない画像信号データを処理する場合には、以下に示すように、レーザ光(LD)の値が大きくなるに従ってa[LD]が小さくなる。
LD[k]<LD[k+1]に対して、a[LD[k]]≧a[LD[k+1]]
ここで、パターン形成時の値は、LD[k]=00h、11h、22h、・・・、66h、88h、AAh、FFh、(k=0、1、・・・、9)の10値とした。これは、トナー付着量が少ない画像濃度では、トナー付着量に対するスキャナ部300の読取値の変化が大きいため、パターンの書込値LD[k]の間隔を密にし、トナー付着量が多い画像濃度では、トナー付着量に対するスキャナ部300の読取値の変化が小さいため、間隔を広げて読み込むためである。
このようにすると、LD[k]=00h、11h、22h、・・・、EEh、FFh(計16点)等とパターンの数を増やす場合に比べて、トナー消費を抑えられること、また、高画像濃度領域では、LD書込値に対する変化が少ないこと、感光体ドラム104K〜104C上の電位ムラ、トナーの付着ムラ、定着ムラ、電位ムラ等の影響で、読取値が逆転したりしやすいため、LD書込値の間隔を狭めても必ずしも精度の向上に有効ではないこと等のメリットがあり、そのために、上述のようなLD書込値でパターンを形成する。
そして、a[LD[k]]≧m[i]>a[LD[k+1]]となるLD[k]に対して、LD[i]を、以下のように設定する。
LD[i]=LD[k]+(LD[k+1]−LD[k])・(m[i]−a[LD[k]])/(a[LD[k+1]]−a[LD[k]])
また、0≦k≦kmax(kmax>0)としたとき、a[LD[kmax]]>m[i]の場合(参照データから求めた目標値の画像濃度が高い場合)には、LD[i]を、以下のようにして、1次式で外挿を行うことによって予測する。
LD[i]=LD[k]+(LD[kmax]−LD[kmax−1])・(m[i]−a[LD[kmax−1]])/(a[LD[kmax]]−a[LD[kmax−1]])
以上により、YMCKγ補正テーブルへの入力値n[i]と出力値LD[i]の組(n[i]、LD[i])(i=0、1、・・・、15)を求めることができる。
なお、上述のように1次式で外挿するだけでなく、対数を取る等の方法で外挿を行ってもよい。
そして、求められた(n[i]、LD[i])(i=0、1、・・・、15)を元に、スプライン関数等で内挿を行うか、あるいは、ROM716内に有しているγ補正テーブルを選択することで、階調変換テーブルを求める(ステップS206)。
そして、カラー複写装置1は、上記地肌汚れ(“かぶり”)の防止、濃度の確保を行うために、図53に示すように、現像特性(現像ポテンシャルに対するトナー付着量の特性)の検知を行う。
すなわち、カラー複写装置1は、図53に示すように、np個の検知パターン(濃度階調パターン)潜像を感光体ドラム104K〜104C上に形成し(ステップS301)、電位センサの検知出力を取得する(ステップS302)。
すなわち、図54に示すように、感光体ドラム104K〜104C上に、np個(例えば、np=12)の検知パターン(濃度階調パターン)を形成し、表面電位を検出する電位センサ617により感光体ドラム104K〜104Cの表面電位VSi(i=1、2、・・・、np)を読み込む。このときの検知パターンの形成に用いるレーザ出力は、例えば、画像信号の値(16進数表示)で、以下のような値のものを用いる。
00h、10h、20h、30h、40h、50h、
60h、70h、90h、B0h、E0h、FFh
次に、カラー複写装置1は、感光体ドラム104K〜104Cの検知パターンの潜像を、現像ユニット107K〜107Cで現像して潜像化させ(ステップS303)、感光体ドラム104K〜104Cの回転方向下流側に配設されている光学センサ616K〜616Cにより感光体ドラム104K〜104C上のトナー像の検知出力VPi(i=1、2、・・・、np)を取得する(ステップS304)。
カラー複写装置1は、この電位センサ617の取得した感光体ドラム104K〜104Cの表面電位VSiと光学センサ616K〜616Cの取得した感光体ドラム104K〜104C上のトナー像の検知出力VPiに基づいて現像特性を予測し(ステップS305)、階調変換テーブルを作成する(ステップS306)。
そこで、まず、光学センサ616K〜616Cの出力と画像信号の補正方法を、図55に示すように行う。図55のグラフ(a)は、その縦軸がレーザ出力または画像出力信号、その横軸が、光学センサ616K〜616Cの出力を表しており、np個の濃度階調パターン潜像を感光体ドラム104K〜104C上に形成した後、現像して、そのトナー像の反射光量を光学センサ616K〜616Cで検知することで得られたものである。
図55のグラフ(b)は、その縦軸がグラフ(a)と同じく、レーザ出力、横軸が、感光体ドラム104K〜104Cの表面電位を表しており、感光体ドラム104K〜104Cの光減衰特性を表している。そして、このグラフ(b)は、グラフ(a)と同様に、np個の濃度階調パターン潜像を感光体ドラム104K〜104C上に形成したときの表面電位を電位センサ617で測定することで得られたものである。
また、図55のグラフ(c)は、プリンタ部100で画像形成の際に用いる階調変換テーブルを表しており、横軸が、画像入力信号(例えば、原稿画像の濃度に比例する量)、縦軸が、レーザの出力または画像入力信号を階調変換テーブルで変換した後の画像信号(画像出力信号)を表している。いま、画像入力信号は、8ビット(256値)の分解能を有し、レーザの書込光量も、同様に、レーザの最小値と最大値の間を8(〜10)ビットの分解能を有している。この図55のグラフ(a)は、検知時に用いられるレーザ出力と画像入力信号との関係を示している。
図55のグラフ(d)は、その縦軸が、感光体ドラム104k〜104C上のトナー付着量、横軸が、光学センサ616K〜616Cの出力を表し、光学センサ616K〜616Cの出力特性を表している。このグラフ(d)の光学センサ616K〜616Cの出力特性は、使用する光学センサ616K〜616Cの種類、取付角度及び感光体ドラム104K〜104Cからの距離等によって異なるが、予め知られており、ほぼ一定である。
図55のグラフ(e)は、その縦軸が、トナー付着量、その横軸が、感光体ドラム104K〜104Cの表面電位を表しており、感光体ドラム104K〜104Cの表面電位と感光体ドラム104K〜104C上のトナー付着量との関係、すなわち、現像特性を表している。この図55グラフ(e)のhは、現像バイアスのDC成分を示している。
図55のグラフ(f)は、画像入力信号に対する感光体ドラム104K〜104C上のトナー付着量の関係を表している。
この図55から、グラフ(d)の関係を用いて光学センサ616K〜616Cの出力VPiを感光体ドラム104K〜104C上のトナー付着量(M/A)i[mg/cm2](i=1、2、・・・、np)に換算する。例えば、感光体ドラム104K〜104C上に形成されたトナー像の反射光は、光学センサ616K〜616Cにより検出され、検知信号としてCPU715に送られ、CPU715は、VSP、VSGをそれぞれ基準パターン部のトナー付着量からの光学センサ出力及び地肌部の出力として、基準パターンに付着したトナーの単位面積当たりの付着量m1[g/cm2]を、次式51に基づいて算出する。
m1=−ln(VSP/VSG)/β・・・(51)
ここで、βは、光学センサ616K〜616Cとトナーによって決まる定数であり、黒トナーの場合、β=−6.0×103[cm2/g]である。なお、イエロー、シアン、マゼ
ンタについても同様に換算することができる。
また、上記説明では、演算により、基準パターンに付着したトナーの単位面積当たりの付着量m1[g/cm2]を求めているが、あらかじめ作成されているルックアップテーブルにより、変換して求めてもよい。
上述のようにして、感光体ドラム104K〜104Cの表面電位VSiと感光体ドラム104K〜104C上のトナー付着量(M/A)iとの関係が求められ、図55のグラフ(e)の現像特性jが得られる。
ところが、図55のグラフ(d)示すように、光学センサ616K〜616Cの出力は、あるトナー付着量(M/A)Cより高いトナー付着量((M/A)≧(M/A)C)では、一定の値VPminを示す。一方、図55のグラフ(c)のnという画像信号以上の画像信号に対しては、実際には、グラフ(b)に示すように、感光体ドラム104K〜104Cの表面電位が低下し、トナー付着量が変化しているにもかかわらず、感光体ドラム104k〜104C上のトナー付着量(M/A)は、常に一定値(M/A)Cになる。そのため、グラフ(e)において、実際の現像特性がグラフcであっても、検知した結果から求めた現像特性は、jのようになり、実際の値cと検知された値jとの間でずれが生じる。
実際の現像特性と検知値から求めた現像特性のずれを補うために、次のような補正を行う。
画像信号iに対する光学センサ616K〜616Cの検出値VPiが、所定値VPc以上である場合、その検出値VPiから感光体ドラム104K〜104C上のトナー付着量またはそれにほぼ比例する(M/A)iに換算する。これらの値から電位センサ617の出力値VSiと(M/A)iとの関係式を、例えば、1次式を用いて、次式52のように求める。
(M/A)i=a×VSi+b・・・(52)
ただし、VPi≧VPcである。
または、現像バイアスのDC成分をVdcとして、次式53のような関係式を求める。
(M/A)i=a×(VSi−Vdc)+b・・・(53)
ただし、VPi≧VPcである。
ここで、a、bは、係数であり、VSiと(M/A)iの値から最小二乗法等の方法を用いて決定される。
いま、光学センサ616K〜616Cの出力値がVPcとなる感光体ドラム104K〜104Cの上のトナー付着量を(M/A)Cとすると、(M/A)i≦(M/A)Cを満たす付着量範囲としても同じであり、上記表面電位との直線関係からのずれが大きくなる場合があり、このような場合を防ぐために、(M/A)min≦(M/A)≦(M/A)Cを満たす感光体ドラム104K〜104C上のトナー付着量の検知結果について、上記式52の係数a、bを決定する。
上記説明では、トナー付着量を用いているが、(M/A)minに対応する光学センサ616K〜616Cの検知出力をVPmaxとして、次式54を満たすトナー付着領域に対応するトナー付着領域から上記式(14)の係数a、bを決定してもよい。
VPc≦VP≦VPmax・・・(54)
このように、階調パターン読取時に画像処理用プリンタγ変換回路713に設定する階調変換テーブルを、連結色補正用チャートHCの複数の異なる色のパッチをスキャナ部300で読み取って得られる画像信号のうち共通する1成分の画像信号に対して当該読み取ったパッチによって異なる所定の係数a、bを演算し、当該演算で求められた画像信号に応じて生成すると、連結色補正用チャートHCの印刷インクの分光反射率の特性と階調パターンを記録出力するプリンタ部100のトナーの分光反射率の特性との相違を是正して、より一層自動階調補正(ACC)用の階調変換テーブルを作成することができ、より一層画像品質を向上させることができる。
このように本実施の形態によれば、濃度の異なる複数の無彩色パッチと複数の有彩色パッチとからなる連結色補正用チャートHC内の読み取り値と連結色補正用チャートHCの基準値とから、各色相領域に応じたマスキング係数が算出され、スキャナ部300からの入力画像信号を階調変換した後の画像信号が、マスキング係数に応じて補正される。これにより、連結出力機能の実行時における、スキャナ光学系の経時劣化やCCDや赤外線カットフィルタなど分光透過率、分光感度の機差によるばらつきなどのスキャナ機差の低減、およびプリンタ調整精度向上ならびに調整ばらつきを低減させることができる。
また、読み取り値の絶対値を用いずに、読み取り値と基準値とのずれ量を補正に用いることにより、連結色補正用チャートHCの濃度や色味が市場においてばらついた場合でも精度よく補正することができる。
さらに、このように本実施の形態によれば、スキャナ部300からの入力画像信号を階調変換した後の画像信号を補正するための各色相領域に応じたマスキング係数が、濃度の異なる複数の無彩色パッチと複数の有彩色パッチとからなる連結色補正用チャートHCをスキャナ部300により読み取らせ、予め規定されている連結色補正用チャートHCの基準値と比較することで、算出される。これにより、簡単な構成で、連結出力機能の実行時における、スキャナ光学系の経時劣化やCCDや赤外線カットフィルタなど分光透過率、分光感度の機差によるばらつきなどのスキャナ機差の低減、およびプリンタ調整精度向上ならびに調整ばらつきを低減させることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を図56ないし図58に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
図56は、本実施の形態のカラー複写装置1のIPU612及びプリンタ部100を中心とする回路ブロック構成図である。図56において、300はスキャナ、1401はシェーディング補正回路、1402はスキャナγ変換回路、1403は画像メモリ、1404は画像分離回路、1405はMTFフィルタ、1406は色変換UCR処理回路、1407は変倍回路、1408は画像加工(クリエイト)回路、1409は画像処理用プリンタγ変換回路、1410は階調処理回路、1411はインタフェースI/F・セレクタ、1412は画像形成部用プリンタγ(以後プロコンγと呼ぶ)変換回路、724はプリンタエンジン、1414はROM、1415はCPU、1416はRAM、1417はシステムコントローラ、1421、1422はそれぞれパターン生成回路である。
次に、図56を参照してIPU612の動作について説明する。複写すべき原稿は、カラースキャナ300によりR、G、Bに色分解されて一例として10ビット信号で読み取られる。読みとられた画像信号は、シェーディング補正回路1401により、主走査方向のムラが補正され、8ビット信号で出力される。
スキャナγ変換回路1402では、スキャナ300からの読み取り信号が反射率データから明度データに変換される。画像メモリ1403はスキャナγ変換後の画像信号を記憶する。画像分離回路1404では、文字部と写真部の判定、及び有彩色・無彩色判定を行う。
MTFフィルタ1405では、シャープな画像やソフトな画像など、使用者の好みに応じてエッジ強調や平滑化等、画像信号の周波数特性を変更する処理に加えて、画像信号のエッジ度に応じたエッジ強調処理(適応エッジ強調処理)を行う。例えば、文字エッジにはエッジ強調を行い、網点画像にはエッジ強調を行わないという所謂、適応エッジ強調をR、G、B信号それぞれに対して行う。MTFフィルタ1405の詳細については、第1の実施の形態の図7で説明したMTFフィルタ707と何ら変わるものではないため、その説明を省略する。
次に、本発明の請求項1に対応する実施形態について説明する。本発明においては、CCD毎の分光特性の違いを補正するために上記の線形マスキング係数を図26に示したスキャナデータ・キャリブレーションの標準チャートの読み取り値に基づいて新たな線形マスキング係数を算出する。以下、その方法について説明する。
無彩色軸上にない境界面上の点を、例えば標準的な分光特性を示すスキャナCCDで読取った場合の値を(Ri,Gi,Bi)(i=色相1〜4)とする。同じ点を他のスキャナで読み取った場合、スキャナCCDの分光特性のばらつきによりこの点は(Ri,Gi,Bi)(i=色相1〜4)とは異なる値である(Ri',Gi',Bi')(i=色相1〜4)として読み取られる。この結果、(数式1)により現像部C、M、Y及びKの記録値は(Ci',Mi',Yi',Ki')(i=色相1〜4)として計算される。すなわち、式33を次の式55のように表すことができる。
線形マスキング処理後のYMCK出力を同一にしたいので、式32=式55とおくと、
となり、式56より、色相領域3'−4'の線形マスキング係数aPS(色相3'−4')(P=Y,M,C,K;S=R,G,B)を求めるために、両辺に、
の逆行列、
をかけて、
として色相領域3'−4'の線形マスキング係数aPS(色相3'−4')(P=Y,M,C,K;S=R,G,B)を求めることができる。同様に、他の色相の各々について線形マスキング係数aPS(各色相)(P=Y,M,C,K;S=R,G,B)を求めることができる。
次に、本発明の請求項2に対応する実施形態について説明する。式57のプリンタベクトルP(i)(P=Y,M,C,K;i=各色相)は、コピーを行う対象である原稿の原稿種類に応じて変更することにより、コピーの色再現性を向上させることができる。原稿種とは、例えばインクを色材に用いた印刷原稿、YMC感光層を色材にした印画紙写真原稿、トナーを色材にした複写原稿、インクジェットプリンタ出力を原稿としたインクジェット原稿、特色インクを使用した地図原稿、蛍光ペンを識別させるための蛍光ペンを対象とした色補正係数などが一例としてあげられる。
すなわち、式57のプリンタベクトルP(i)(P=Y,M,C,K;i=各色相)を上記の格言子運対応したP原稿種(i)(P=Y,M,C,K;i=各色相、原稿種=印刷、印画紙写真、複写原稿、地図、インクジェット、蛍光ペンetc)を操作部で選択された各画質モードに対応して各画質モードに対応したaPS原稿種(色相)(P=Y,M,C,K;S=R,G,B,定数)を演算し、回路(ASIC)に設定してコピー時に用いる。
とする。
図26に示したスキャナデータ・キャリブレーションチャートを読み取り、読み取り結果に基づいて、色相領域の判定基準パラメータFx'および、マスキング係数を算出する方法について、図57のフローチャートに基づいて説明する。図57は本発明のスキャナデータ・キャリブレーションによる補正を示すフローチャートである。
スキャナデータ・キャリブレーションチャートを読みとる(S1001)。スキャナ300の原稿台に、一例として図26に示したスキャナデータ・キャリブレーション標準チャートを載置し、スキャナ300で読みとる。
次に色相角の算出を行う(S1002)。スキャナデータ・キャリブレーションチャートの各パッチの読み取り値RGBデータ(Dr,Dg,Db)(=Ri,Gi,Bi(i=各パッチの番号))から、式13〜式29を用いて、読みとった原稿のRGB画像データを、各色相毎に分割するためのパラメータを、GR、GB、Fx'を算出する。
次に線形マスキング係数の算出を行う(S1003)。式57と各パッチの読み取り値Ri,Gi,Bi(i=各パッチの番号)とから、各色相毎の線形マスキング係数を算出する。
次に、読み取り値と係数を記憶する(S1004)。
色変換UCR処理回路1406は、次式を用いて演算することにより、色補正処理を行う。
Y’=Y−α・min(Y、M、C)
M’=M−α・min(Y、M、C)
C’=C−α・min(Y、M、C)
Bk=α・min(Y、M、C)
上式において、αは、UCRの量を決める係数であり、α=1の時100%のUCR処理となる。αは、一定値でもよい。例えば、高濃度部では、αは、1に近く、ハイライト部(低画像濃度部)では、0に近くすることにより、ハイライト部での画像を滑らかにすることができる。
上記マスキング係数は、RGBYMCの6色相をそれぞれさらに2分割した12色相に、さらに黒および白の14色相毎に異なる。
色相判定回路1424は、読み取った画像データがどの色相に判別するかを判定する。判定した結果に基づいて、各色相毎の色補正係数が選択される。
変倍回路1407は、縦横変倍が行われ、画像加工(クリエイト)回路1408は、リピート処理などが行われる。プリンタγ回路1409で、文字、写真などの画質モードに応じて、画像信号の補正が行われる。また、地肌飛ばしなども同時に行うこともできる。プリンタγ補正回路1409は、前述したエリア処理回路1402が発生した領域信号に対応して切り替え可能な複数本(一例として10本)の階調変換テーブルを有する。この階調変換テーブルは、文字、銀塩写真(印画紙)、印刷原稿、インクジェット、蛍光ペン、地図、熱転写原稿など、それぞれの原稿に最適な階調変換テーブルを複数の画像処理パラメータの中から選択することができる。階調処理回路1410では、ディザ処理が行われる。ディザ処理は、1x1のディザ無し処理から、m×nの画素(m,nは正の整数)からなるディザ処理まで任意のサイズのディザ処理を選択することができる。ここでは、36画素まで(一例である)の画素を用いたディザ処理までを行うことができる。36画素すべての画素を使用するディザのサイズとしては、一例として主走査方向6画素×副走査方向6画素の計36画素、あるいは、主走査方向18画素×副走査方向2画素の計36画素などである。
なお、階調処理回路1410におけるディザ処理については、第1の実施の形態で説明した階調処理回路714におけるディザ処理と何ら変わるものではないため、その説明を省略する。
インタフェースI/F・セレクタ1411は、スキャナ300で読み込んだ画像データを外部の画像処理装置などで処理するために、出力したり、外部のホストコンピュータやあるいは画像処理装置からの画像データをプリンタエンジン724で出力するための切り替え機能を有する。
画像形成用プリンタγ(プロセス・コントロールγ)補正回路1412は、インタフェース11411からの画像信号を階調変換テーブルで変換し、後述するレーザ変調回路に出力する。この画像形成用プリンタγ補正回路412を以下では第2の階調処理回路と呼ぶ。
インタフェース1411、画像形成用プリンタγ1412、プリンタエンジン724及びコントローラ1417でプリンタ部は構成され、スキャナ・IPUとは独立しても使用可能である。ホストコンピュータからの画像信号はプリンタコントローラを通してインタフェース1411に入力され、画像形成用プリンタγ補正回路1412により階調変換され、プリンタエンジン724により画像形成が行われることにより、プリンタとして使用できる。
以上の画像処理回路はCPU1415により制御される。CPU1415は、ROM1414とRAM1416とBUS1418で接続されている。また、CPU1415はシリアルI/Fを通じて、システムコントローラ1417と接続されており、図示しない操作部などからのコマンドが、システムコントローラ1417を通じて送信される。送信された画質モード、濃度情報及び領域情報等に基づいて上述したそれぞれの画像処理回路に各種パラメータが設定される。
パターン生成回路1421、1422はそれぞれ画像処理部、画像形成部で使用する階調パターンを発生させる。
図58は本発明のエリア加工の概念図である。図58において、原稿上の指定されたエリア情報と画像読み取り時の読み取り位置情報とを比較し、画像分離回路1404からエリア信号を発生される。エリア信号に基づいて、スキャナγ変換回路1402、MTFフィルタ回路1405、色変換UCR回路1406、画像加工1408、画像処理用プリンタγ補正回路1409、階調処理回路1410で使用するパラメータを変更する。図58では、特に、画像処理用プリンタγ補正回路1409、階調処理回路1410を図示した。
画像処理用プリンタγ補正回路1409内では、画像分離回路1404からのエリア信号をデコーダ1でデコードし、セレクタ1により、文字、インクジェットなどの複数の階調変換テーブルの中から選択する。図58の原稿の例では、文字の領域0と、印画紙の領域1と、インクジェットの領域2が存在する例を図示している。文字の領域0に対しては、文字用の階調変換テーブル1、印画紙の領域1に対しては、印画紙用の階調変換テーブル3、インクジェットの領域2に対しては、インクジェット用の階調変換テーブル2がそれぞれ一例として選択される。
図56の画像処理用プリンタγ補正回路1409で階調変換された画像信号は、階調処理回路1410の中で再びエリア信号に対応させてデコーダ2によってデコードされた信号に基づいて、セレクタ2により、使用する階調処理を切り替える。使用可能な階調処理としては、ディザを使用しない処理、ディザを行った処理、誤差拡散処理などを行う。誤差拡散処理は、インクジェット原稿に対して行う。
階調処理後の画像信号は、デコーダ3により、読み取り位置情報に基づいてライン1であるか、またはライン2であるかを選択する。ライン1及びライン2は副走査方向に1画素異なる毎に切り替えられる。ライン1のデータはセレクタ3の下流に位置するFIFO(First In First Out)メモリに一時的に蓄えられ、ライン1とライン2のデータが出力される。これにより、画素周波数を1/2に下げてI/Fセレクタ1411に入力させることができる。
なお、スキャナ・キャリブレーションの実行手順などについては、第1の実施の形態の図27〜図55で説明したので、ここでの説明は省略する。