以下、添付図面を参照して、本発明を画像形成装置である電子写真複写機(以下、単に複写機と言う)に実施した実施例について説明する。まず、図1に示す機構図によって実施例の、複写機本体101の機構の概略を説明する。
図1において、複写機本体101のほぼ中央部に5つ並んで配置された像担持体としてのφ30[mm]の有機感光体(OPC)ドラム102a〜eの周囲には、この感光体ドラム102a〜eの表面を帯電する帯電チャージャー103a〜e、一様帯電された感光体ドラム102a〜eの表面上に半導体レーザ光を照射して静電潜像を形成するレーザ光学系104a〜e、静電潜像に各色トナーを供給して現像し、各色毎にトナー像を得る、透明トナー現像装置105a、黒現像装置105b、イエローY、マゼンタM,シアンCの3つのカラー現像装置105b、105c、105d、感光体ドラム102a〜e上に形成された各色毎のトナー像を順次転写する中間転写ベルト109、この中間転写ベルト109に転写電圧を印加するバイアスローラ110a〜e、転写後の感光体ドラム102の表面に残留するトナーを除去するクリーニング装置111a〜e、及び転写後の感光体ドラム102a〜eの表面に残留する電荷を除去する除電部112a〜eなどが順次配列されている。
また、中間転写ベルト109には、転写されたトナー像を転写材に転写する電圧を印加するための転写バイアスローラ113及び転写材に転写後に残留したトナー像をクリーニングするためのベルトクリーニング装置114が配設されている。また、中間転写ベルト109から剥離された転写材を搬送する搬送ベルト115の出口側端部には、トナー像を加熱及び加圧して定着させる定着装置116が配置され、この定着装置116の出口部には、排紙トレイ117が取り付けられている。
レーザー光学系104の上部には、複写機本体101の上部に配置された原稿載置台としてのコンタクトガラス118、このコンタクトガラス118上の原稿に走査光を照射する露光ランプ119が配置され、原稿からの反射光を反射ミラー121によって結像レンズ122に導き、光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device)のイメージセンサアレイ123に入光させる。CCDのイメージセンサアレイ123で電気信号に変換された画像信号は図示しない画像処理部を経て、レーザー光学系104中の半導体レーザーのレーザー発振を制御する。
次に、上記複写機に内蔵される制御系について、図2を用いて説明する。
図2に示すように上記複写機の制御系は、メイン制御部(CPU)130を備え、このメイン制御部130に対してROM131及びRAM132が付設されている。また、メイン制御部130には、インターフェースI/O133を介してレーザー光学系駆動部134、電源回路135、YMCK各作像部に設置された光学センサー136、YMCK各現像器内に設置されたトナー濃度センサー137、環境センサー138、感光体表面電位センサー139a〜e、トナー補給回路140、中間転写ベルト駆動部141、及び操作部142がそれぞれ接続されている。レーザー光学系制御部134は、レーザー光学系104a〜dのレーザー出力を調整する装置であり、また電源回路135は、帯電チャージャー113a〜eに対して所定の帯電用放電電圧を与えるとともに、現像装置105a〜e、106a〜e、107a〜e、108a〜eに対して所定電圧の現像バイアスを与え、かつバイアスローラ110a〜eおよび転写バイアスローラ113a〜eに対して所定の転写電圧を与える回路である。
なお、光学センサー136は、それぞれ感光体102a〜eに対向させ、感光体102a〜e上のトナー付着量を検知するための光学センサー136aと、転写ベルト109に対向させ、転写ベルト109上のトナー付着量を検知するための光学センサー136bと、搬送ベルト115に対向させ、搬送ベルト115上のトナー付着量を検知するための光学センサー136cについて図示している。なお、実用上は光学センサー136a〜cのいずれか1つで検知すれば良い。
光学センサー136a〜cは、感光体ドラム102a〜eの転写後の領域に近接配置される発光ダイオードなどの発光素子とフォトセンサーなどの受光素子とからなり、感光体ドラム102上に形成される検知パターン潜像のトナー像におけるトナー付着量及び地肌部におけるトナー付着量が各色毎にそれぞれ検知されるとともに、感光体除電後のいわゆる残留電位も検知されるようになっている。
この光学センサー136a〜cからの検知出力信号は、図示を省略した光学センサー制御部に印加されている。光学センサー制御部は、検知パターントナー像におけるトナー付着量と地肌部におけるトナー付着量との比率を求め、その比率値を基準値と比較して画像濃度の変動を検知し、YMCK各色のトナー濃度センサー137の制御値の補正を行なっている。
さらに、トナー濃度センサー137は、現像装置105a〜e内に存在する現像剤の透磁率変化に基づいてトナー濃度を検知する。トナー濃度センサー137は、検知されたトナー濃度値と基準値とを比較し、トナー濃度が一定値を下回ってトナー不足状態になった場合に、その不足分に対応した大きさのトナー補給信号をトナー補給回路140に印加する機能を備えている。
また、電位センサー139は、像担持体である感光体102a〜eのそれぞれの表面電位を検知するセンサーであり、中間転写ベルト駆動部141は、中間転写ベルトの駆動を制御する装置である。
黒現像器105内には黒トナーとキャリアを含む現像剤が収容されている。これは、剤撹拌部材202の回転によって撹拌され、現像スリーブ201B上で、現像剤規制部材202によってスリーブ上に汲み上げられる現像剤量を調整する。この供給された現像剤は、現像スリーブ201B上に磁気的に担持されつつ、磁気ブラシとして現像スリーブ201Bの回転方向に回転する。
次に、図3に示す画像処理部のブロック図に基づいて、本実施例の複写機における画像処理について説明する。
図3において、400aはCCD(Charge Coupled Device)を読み取りデバイスとして使用するスキャナ、400bはCIS(Contact Image Sensor)を読み取りデバイスとして使用するスキャナ、401aはスキャナ(CCD)400a用のシェーディング補正回路、401bはスキャナ(CIS)400b用のシェーディング補正回路、430はスキャナ(CCD)400a用のFL補正処理回路、431はスキャナ(CIS)400b用のチップ間画素補間回路、432はメモリコントローラ(1)、433は画像メモリ、402はスキャナγ変換回路、403は像域分離・ACS判定(1)回路、404は空間フィルタ(1)回路、405は自動濃度調整(ADS…Auto Density Selection)レベル検出・除去回路、406は色相判定(1)回路、407は色変換UCR処理(1)回路、408は変倍処理(1)回路、409はγ変換(2)回路、410は階調処理(1)回路、411は編集処理(1)回路、412はMutilayer BUS、413はパターン生成(2)回路、414はγ変換(3)回路、415はプリンタである。
また、439は像域分離・ACS判定(2)回路、425はグレー=>RGB変換回路、426はRGB合成回路、427は内部パターン発生回路、428は空間フィルタ(2)回路、429はADS除去回路、430は色相判定処理(2)回路、431は色補正・UCR処理(2)回路、432はパターン発生(1)回路、433は変倍処理(2)回路、434は総量規制回路、422は特徴量抽出回路、423はγ変換(2)回路、424は階調処理(2)回路、435は編集(2)回路、416は圧縮・伸張回路、418はHDDI/F、419はHDD(Hard Disk)、420は回転処理回路、421は外部インターフェースI/F、436はメモリコントローラ(2)回路、437はメインメモリ、438はCPUである。
複写すべき原稿は、両面同時読み取りをユーザーに指定された場合には、原稿の一方を表面として、スキャナ(CCD)400aによりR、G、Bに色分解されて一例として10ビット信号で読み取られ、原稿の表面と反対側を裏面として、スキャナ(CIS)400bにより一回の搬送により、原稿の両面が同時に読み取られる。
スキャナ(CCD)400aで読み取られた画像信号は、シェーディング補正回路401aにより、主走査方向のムラが補正され、8ビット信号で出力される。スキャナ(CIS)400bからの読み取られた画像信号は、同様にシェーディング補正回路401bにより、主走査方向のムラが補正され、8ビット信号で出力される。
FL補正処理回路430では、主走査方向に並べた2組のCCDの感度差(階調性の差)を補正する。
チップ間画素補間回路431は、主走査方向に並べられたCISデバイスのチップ間の間隙の画像データを、両隣の画素から補間する。
メモリコントローラ432は、スキャナ(CCD)400aで読み取られ、シェーディング補正回路401a、FL補正回路430で処理された画像データ1、あるいは、スキャナ(CIS)400bに読み取られ、シェーディング補正回路401b、チップ間画素補間回路431で処理された画像データ2を、一時的に、DDRメモリを使用した画像メモリ433に記憶させておくためのDDRメモリコントローラである。
像域分離・ACS(1)回路403は、画像データ(信号R、G、B)について、文字領域、写真領域などの像域分離判定結果(信号X)、カラー原稿であるか白黒原稿であるかのカラー判定結果ACS Result、及び光沢付加量Tを出力する。
ここで、図4に、像域分離・ACS(1)回路403のブロック図を示す。
図4において、501は、入力画像I/F(インターフェース)で、503〜505の処理の必要性に応じて画像データ(信号R,G,B)の論理反転を行う。502は、遅延調整メモリ部で、503〜505の処理の必要性に応じて、画像データと各種の出力結果に、所定の遅延をさせ出力する。503aは、像域分離部で、入力画素の各画素について、文字・非文字、有彩・無彩、網点・非網点、低濃度網点などの判定を行い、像域分離結果Xとして出力する。504aは、光沢付加部で、画像データに応じて、光沢付加量Tを出力する。505は、ACS(自動カラー選択)部で、画像データが白黒原稿であるかカラー原稿であるかを判定し、判定結果ACS Resultを出力する。506は、出力画像I/Fで、入力画像I/F501で論理反転した画像データに対し、論理判定を行い、像域分離・ACS(1)処理回路403に入力した画像データと白黒の論理(白が0であるか、黒が0であるか)を一致させる処理を行う。
図5に像域分離・ACS(2)回路439のブロック図を示す。
上述した像域分離・ACS(1)回路403との相違は、像域分離・ACS(1)回路から、像域分離結果Xと光沢付加量Tが出力されている場合には、像域分離・ACS(2)回路439においては、そのX,Tを、それぞれ入力信号Xin、信号Tinとして、加工せずに、出力信号X(=Xin)および出力信号T(=Tin)として出力可能としている。そのため、像域分離部503bおよび光沢付加部504bはそれぞれ、入力する信号Xin及び信号Tinを加工せずに信号X(=Xin)及び信号T(=Tin)として出力する要求に対応する。
一方、外部のコンピューターからの印刷データなど、像域分離信号Xin及び光沢塗布量信号Tinが付加されていない画像データに対しては、それぞれ、像域分離部503b及び光沢付加部504bで、ユーザーからのその信号の生成要求に対応する。
図6に、像域分離部503a、503bのブロック図を示す。同図において、511はMTF補正部、512はエッジ分離部、513は白背景分離部、514は網点分離部、515は色判定部、516はパターン検出部、517は総合判定部、518は像域分離結果パッキング部である。
MTF補正部511は、エッジや白地を検出するために、画像データをエッジ協調し、MTF特性の劣化を補正する。
エッジ分離部512は、白画素、黒画素の連続性から、濃度が急峻に変化するエッジ領域を分離する。
網点分離部514は、画像データのピークの有無により網点を分離する。
白背景分離部513は、白画素が周囲に存在するか否かに基づいて、白背景画素を判定する。
色判定部515は、RGB信号の差の大小により、無彩色か有彩色の画素であるかを判定する。
総合判定部517は、エッジ分離結果、網点分離結果、白背景分離結果に基づいて、注目画素が文字であるか否か判定する。エッジかつ白背景かつ網点でない時に文字と判定する。これにより、白地上の文字を検出する。
パターン検出部516は、地肌上の所定パターンを検出し、パターン検出結果を出力する。
像域分離結果パッキング部518は、上記511〜516の各部の判定結果を、対応した所定ビットに反映して、後段の像域分離判定結果Xとして出力する。
なお、上記MTF補正部511、エッジ分離部512、白背景分離部513、網点分離部513、色判定部515は、例えば特許3983101号公報等に開示の構成で実現することができる。パターン検出部516は、特許4257280号公報等に開示の構成で実現することができる。
次に、光沢付加部504の動作について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS101で、画像データを読み出す。
ステップS102で、ステップS101で読み出した画像データ中の注目画素と周辺画素の画素データから、像域分離503aからの像域分離結果Xを取得する。
ステップS103で像域分離結果Xが地肌判定画素である場合には(Yes)、ステップS104で、所定の地肌濃度閾値と比較する。地肌であるか否かは、白背景分離結果が白背景であるか否かで決定する。一方、ステップS103で像域分離結果Xが地肌判定画素でない場合には(No)、ステップS105で、像域分離503aからの像域分離結果Xが網点判定画素であるか否か判定する。
ステップS104で地肌濃度閾値よりも明るい(すなわち、画像濃度が低い)画素データである場合には(Yes)、ステップS112で、光沢付加画素[タイプ1]と判定し、ステップS113で、光沢付加量T[タイプ1]を取得する(詳細は後述)。
ステップS104で地肌判定画素が、所定の地肌濃度閾値よりも暗い(画像濃度が高い)場合には(No)、ステップS114で、光沢付加画素[タイプ2]と判定し、ステップS115で、光沢付加量T[タイプ2]を取得する(詳細は後述)。
ステップS105で像域分離503aからの像域分離結果Xが網点判定画素である場合には(Yes)、ステップS106で、所定の地肌濃度閾値と比較する。一方、ステップS105で像域分離503aからの像域分離結果Xが網点判定画素でない場合には(No)、ステップS107で、像域分離503aからの像域分離結果Xが文字判定画素であるか否か判定する。
ステップS106で、所定の地肌濃度閾値よりも画像濃度が低い(明るい)場合には(Yes)、ステップS116で、光沢付加画素[タイプ3]と判定し、ステップS117で、光沢付加量T[タイプ3]を求める(詳細は後述)。一方、ステップS116で所定の地肌濃度閾値よりも画像濃度が高い(暗い)場合には(No)、ステップS114以降の処理を行う。
ステップS107で像域分離503aからの像域分離結果Xが文字判定画素である場合には(Yes)、ステップS108で、所定の地肌濃度閾値と比較する。このステップS108で所定の地肌濃度閾値よりも画像濃度が低い(明るい)場合には(Yes)、ステップS112以降の処理を行う。一方、ステップS108で所定の地肌濃度閾値よりも画像濃度が高い(暗い)場合には(No)、ステップS109で、所定の文字画素濃度閾値と比較し、文字画素濃度閾値よりも画像濃度が低い(明るい)場合には(ステップS9でYes)、ステップS118で、光沢付加画素[タイプ4]と判定し、ステップS119で、光沢付加量T[タイプ4]を取得する(詳細は後述)。
ステップS109で所定の文字画素濃度閾値よりも画像濃度が高い(暗い)場合には(No)、ステップS120で、光沢付加しない画素と判定し、ステップS121で、光沢付加量T=0とする。
ステップS107で像域分離503aからの像域分離結果Xが、文字判定画素でない場合には(No)、ステップS110で、所定の地肌濃度閾値と比較する。このステップS110で所定の地肌濃度閾値よりも画像濃度が低い(明るい)場合には(Yes)、ステップS12以降の処理を行う。
一方、ステップS110で所定の地肌濃度閾値よりも画像濃度が高い(暗い)場合には(No)、ステップS111で、所定の写真画素濃度閾値と比較し、所定の写真画素濃度閾値よりも濃度が低い(明るい)場合には(ステップS111でYes)、ステップS18以降の処理を行う。また、ステップS111で所定の写真画素濃度閾値よりも濃度が高い(暗い)場合には(No)、ステップS20以降の処理を実行する。
図8に基づいて、光沢付加量T[タイプ1]の取得フローについて説明する。
ステップS201で、注目画素と周辺画素から移動平均を求める。具体的には、以下のようにして求める。
本実施形態では、注目画素(x0,y0)が、地肌データ、もしくは地肌に近い明るさの画像データである場合に、光沢付加量Tを求める。地肌データでない画素である場合には、透明トナーを使用しない。
注目画素(x0,y0)が、地肌データ、もしくは地肌に近い明るさの画像データであると判定するための方法を以下に記載する。
注目画素(x0,y0)の画像データS(x0,y0)が、信号(R(x0,y0)、G(x0,y0)、B(x0,y0))からなるとする。すなわち、
S(x0,y0)=(R(x0,y0),G(x0,y0),B(x0,y0))であるとする。
S(x0,y0)が反射率に比例するか、もしくは、明度に比例する場合は、値が大きいほど“明るい”と言うことができるので、地肌データを、地肌判定閾値Sgth=(Rgth,Ggth,Bght)と比較して、
S(x0,y0)≧Sgth、または、
R(x0,y0)≧Rgth、かつ、G(x0,y0)≧Ggth、かつ、B(x0,y0)≧Bgth
が成り立つ場合とする。
注目画素(x0,y0)と周辺画素(x,y)から移動平均(下記のSave(x0,y0))を求める。
注目画素(x0,y0)の画像データS(x0,y0)を、(信号R(x0,y0),G(x0,y0),B(x0,y0)からなる)のRGB成分のそれぞれについて、注目領域A(x,y)(一例として、主走査方向Px画素×副走査方向Py画素とする)の画像データS(x,y)について、平均値Save(x0,y0)(移動平均)を求める。
Save(x0,y0)=(Rave(x0,y0),Gave(x0,y0),Bave(x0,y0))
また、この式は、次式(1)のように表記することができる。
ここで上記記号は、注目領域Aに含まれる画素の座標(x,y)の和であることを表す。また、x,y∈Aは、領域Aに含まれる画素を示し、Σはx∈A、y∈Aのそれぞれの和を表す。
素数px、pyを奇数として、座標(x0,y0)を、領域Aの中心画素とすると、領域Aに含まれる座標(x,y)は、一例として、x0−(px/2)≦x≦x0+(px/2)、y0−(py/2)≦y≦y0+(py/2)の範囲に含むとしてもよい。画像データの端部領域を、注目画素とした場合には、式(2)に示す範囲に限定されず、注目画素(x0,y0)が、注目領域Sの中心画素であるとしなくてもよい。また、pxと、pyは、次式(2)で表すことができる。
上記式(1)の平均値は、注目領域A(x,y)内のすべての画素が地肌データである場合に使用できるが、注目領域A(x,y)内に、地肌データ以外の画素を含む場合には、地肌データ以外の画素を除外して、平均値を求める。地肌データを除外した注目領域A(地肌)(x,y)と表記して、次式(3)の関係を有する。
A(地肌)(x,y)⊆A(x,y)…(3)
ここで、A(地肌)⊆Aは、地肌データのみの領域A(地肌)が、領域Aに等しいか、または、含まれることを表す。
上記式(1)から、注目画素(x0,y0)を含む領域Aの地肌データのみの平均値Save(地肌)(x0,y0)は、上記の式(2)、式(3)から、次式(4)と表記することができる。
次に、ステップS202で、注目画素(x0,y0)の画像データS(x0,y0)と移動平均Save(地肌)(x0,y0)との差から不偏分散V(地肌)(x0,y0)を求める。具体的には、以下のようにして求める。
注目領域A(地肌)(x0,y0)の各画素と、平均値Save(地肌)(x0,y0)とから、不偏分散V(地肌)(x0,y0)を求めると、次式(5)と表すことができる。
ここで、[x]^2は、xの二乗を表す。
上記式(5)は、A(地肌)を満たす画素が2画素以上存在しないと、有効な値が得られない。また、地肌データのバラつきを求める上では、注目領域A(x0,y0)内の地肌データの画素数p(A(地肌))、すなわち、次式(6)が、2より大きな所定画素数Pthであること、すなわち、p(A(地肌))≧pthが必要である。したがって、p(A(地肌))<pthである場合には、透明トナーを使用しない、などとする。
以上のようにして、不偏分散が求められると、ステップS203で不偏分散V(地肌)(x0,y0)が所定値Vth以下か否かを判定し、所定値Vth以下の場合には(Yes)、ステップS204で、画像が滑らかであるとして、不偏分散V(地肌)(x0,y0)に基づいて、光沢付加量T(x0,y0)を決定する。一方、ステップS203で不偏分散Vが所定値Vth以上である場合には(No)、ステップS205で、光沢付加量T(x0,y0)を0とする。
不偏分散V(地肌)(x0,y0)の値が、所定値Vth以下の場合、すなわち、V(地肌)(x0,y0)≦Vthの場合には、注目画素(x0,y0)はバラつきの少ない地肌領域内の画像データであると判断し、透明トナーを使用する。一方、不偏分散V(地肌)(x0,y0)>Vthの場合には、透明トナーを使用しない。
また、光沢付加量Tは、光沢付加量の最大値Tmaxを上限として、V(地肌)(x0,y0)または、[V(地肌)(x0,y0)]^2の値に応じて変更し、V(地肌)(x0,y0)の値(または、その二乗である[V(地肌)(x0,y0)]^2)が小さいほど、光沢付加量Tを大きくする。光沢付加量Tmaxは、光沢が最大となる光沢付加量か、または、許容される光沢付加量の上限値のいずれか小さい値などとする。
図9に、光沢付加量Tの網点間隔と、地肌データのバラつき(分散V(地肌)との関係)を示す。
横軸は、地肌データのばらつきとして、上記不偏分散V(地肌)(x0,y0)または、不偏分散の二乗値[V(地肌)(x0,y0)]^2で、縦軸は、光沢付加量Tである。不偏分散V(地肌)が小さいほど、地肌データのバラつきは小さく、従って、画像データの平滑性が高い(あるいは、地肌データが滑らかである)。一方、不偏分散V(地肌)、または、その二乗値[不偏分散V(地肌)(x0,y0)]^2が大きいほど、地肌データはばらついており、地肌データの平滑性が低い(あるいは、ざらついている、滑らかでない)ということができる。
光沢付加量Tは、図9に示すように、所定の上限値Tmaxとして、地肌データの不偏分散V(地肌)が大きくなるにつれて、光沢付加量Tを少なくする。
図10に、透明トナーの付着量(M/A)Tと、画像濃度D(有色トナーの付着量(M/A)Color,Color=Y,M,C,orK)との関係を示す。
図10において、横軸は、画像濃度D、あるいは、有色トナー(KCMY)の単位面積あたりの付着量(M/A)で、縦軸は透明トナーの単位面積あたりの付着量(M/A)Tである。同図に示すように、転写紙上に載せる有色トナーの付着量を多くするにつれて、透明トナーの付着量を減らすようにする。また、注目画素(x0,y0)が地肌データでない場合でも、隣接画素に透明トナーが使用されている場合には、透明トナーを使用すると判定する。X軸、Y軸、Z軸を、直交する軸として、地肌データのバラつきをX軸に、有色トナーの塗布量をY軸に、透明トナーの塗布量(または付着量)をZ軸に割り当て、地肌データのバラつきと、トナー付着量に応じて、透明トナーの塗布量を決定する。
次に、図11に基づいて、光沢付加量T[タイプ2]の取得フローについて説明する。
ステップS301で、網点画素の間隔を取得する。ここでの網点画素の間隔は、600dpi〜1200dpiの読取解像度で、一例として、50線程度から300線程度について検出する。
ステップS302で、網点画素を除外した周辺画素の画素数を求める。
ステップS303で、地肌部のバラつき(分散)を算出することに使用可能な画素数(地肌濃度の画素数)が、下記の差あるいは不偏分散を評価するのに十分な数の画素数が存在する場合には(Yes)、ステップS304で、網点画素を除外した周辺画素から移動平均を求める。網点画素は、地肌濃度を判定する閾値より画像濃度の大きい(暗い)画素を除外する。
ステップS305で、ステップS304での移動平均の取得に使用した画素と移動平均との差、あるいはこの差から不偏分散を求める。
ステップS306で、ステップS305で求めた上記差、あるいは不偏分散が所定値以下の場合には(Yes)、ステップS307で上記差あるいは不偏分散から、光沢付加量Tを求める。
ステップS308で、ステップS301で取得した網点画素の間隔が所定値以下か否かを判定し、所定値以下で有る場合には(Yes)、ステップS309で、網点画素の間隔に応じて、光沢付加量Tを調整する。ここで、網点画素の間隔が短いほど、光沢付加量Tを少なくする(図9参照)。これは、有色トナーと無色トナー(透明トナー)との重なりにより、総トナー量の増加を防ぎ、転写時のチリなどの発生を低減するためである。
ステップS306で上記差または不偏分散が所定値以下でない場合には(No)、ステップS310で光沢付加量Tを0とする。
ステップS303で、地肌部のバラつき(分散)を評価するために必要な画素数が少なく、紙種を判定するための精度が十分とならない場合には、ステップS311で、注目画素の周辺の画素が光沢付与されているか否かを調査し、周辺画素の光沢付加量Tを周辺画素の座標を用いて、注目画素の座標位置に対して外挿、あるいは、内挿により、注目画素の光沢付加量Tの初期値を取得する。この際、周辺画素が地肌データの場合には、位置的な内挿あるいは外挿をする。
このとき、光沢付加されている周辺画素が地肌濃度でない場合には、光沢付加量T(周辺画素)(画像濃度)が付加されている周辺画素の画像濃度IDから、図12の関係を元にして、地肌濃度時の光沢付与量T(周辺画素)(地肌濃度)を推測し、注目画素の光沢付加量T(注目画素)(地肌濃度)を求める。
ステップS312で、光沢付与量T(注目画素)(地肌濃度)から、図12の関係を元にして、注目画素の網点濃度に応じて光沢付加量を減らし、T(注目画素)(網点濃度)を求める。
ここで、w(周辺画素)は重みで、Σは周辺画素の和を表す。周辺画素の地肌濃度の光沢付加量T(周辺画素)(地肌濃度)が取得できない場合には、周辺画素の網点濃度の光沢付加量T(周辺画素)(網点濃度)から推測する。注目画素の画像濃度に応じて、光沢付加量T(注目画素)(画像濃度)を、光沢付加量T(注目画素)(網点濃度)から求める。
注目画素(x0,y0)の光沢付加量T(x0,y0)とし、主走査方向を横軸として、左右の画素の座標をそれぞれ、(x0−1,y0)、(x0+1,y0)などとした場合、次式(7)のように、重みつき平均処理などとして、注目画素(x0,y0)の光沢付加量T(x0,y0)を取得する。
T(x0,y0)={w(-1,0)×T(x0-1,y0)+w(+1,0)×T(x0+1,y0)/{w(-1,0)+w(1,0)}…(7)
副走査方向を縦軸として、時間軸に沿って、前後の画素の座標を、それぞれ、(x0, y0−1)、(x0,y0+1)として、注目画素(x0,y0)の周囲の8画素の座標(x0−1,y0−1)、〜、(x0+1,y0+1)を領域Sとして、それぞれの画素の光沢付加量T(x0−1,y0−1)〜T(x0+1,y0+1)が求められる場合には、次式(8)などとして、周囲の画素の重みつき平均により、注目画素(x0,y0)の光沢付加量T(x0,y0)を取得する。
次に、図13に基づいて、光沢付加量T[タイプ3]の取得フローについて説明する。
ステップS401で、網点画素の間隔を取得する。ここでの網点画素の間隔は、600dpi〜1200dpiの読取解像度で、一例として、50線程度から300線程度について検出する。
ステップS402で、網点画素を除外した周辺画素から移動平均を求める。網点画素は、地肌濃度を判定する閾値より画像濃度が大きい(暗い)画素を除外する。
ステップS403で、ステップS402の移動平均の取得に使用した画素と移動平均との差、あるいはその差から不偏分散を求める。
ステップS404で、ステップS403で求めた上記差、あるいは不偏分散が所定値以下の場合には(Yes)、ステップS405で、上記差あるいは不偏分散から、光沢付加量Tを求める。
ステップS407で、ステップS401で取得した網点画素の間隔が所定値以下か否かを判定し、所定値以下で有る場合には(Yes)、ステップS408で、網点画素の間隔に応じて、光沢付加量Tを調整する。ここで、網点画素の間隔が短いほど、光沢付加量Tを少なくする。これについては前述の通りである。
ステップS404で上記差または不偏分散が所定値以下でない場合には(No)、ステップS406で光沢付加量Tを0とする。
次に、図14に基づいて、光沢付加量T[タイプ4]の取得フローについて説明する。
ステップS501で、注目画素の周辺の画素が光沢付与されているか否かを調査し、周辺画素の光沢付加量Tを、周辺画素の座標を用いて、注目画素の座標位置に対して外挿、あるいは、内挿することにより、注目画素の光沢付加量Tの初期値を取得する。この際、周辺画素が地肌データの場合には、位置的な内挿あるいは外挿をする。このとき、光沢付加されている周辺画素が地肌濃度でない場合には、光沢付加量T(周辺画素)(画像濃度)が付加されている周辺画素の画像濃度IDから、地肌濃度時の光沢付与量T(周辺画素)(地肌濃度)を推測し、注目画素の光沢付加量T(注目画素)(地肌濃度)を求める。
ステップS502で、光沢付加量T(注目画素)(地肌濃度)から、注目画素の網点濃度に応じてその量を減らし、光沢付加量T(注目画素)(網点濃度)を求める。
なお、図7の地肌濃度閾値、文字画素濃度閾値、写真画素濃度閾値は、印刷原稿、トナーを使用した原稿、インクジェット・プリンタで使用されるインクなどの指定し、指定された色材に応じて原稿種類指定手段により、原稿種類を指定し、切り替えるようにする。また、印刷原稿であっても、地図など通常使用されるプロセスインクと異なるインクが使用されるので、地図や特色インクなどを指定し、特色インクなどに応じて、切り替えることにより、より使用者の好みに調整することも可能である。
銀塩写真で使用する印画紙の光沢紙、あるいは、マット紙、あるいは、インクジェット・プリンタで使用するインクジェット・プリンタ用光沢紙、あるいはマット紙、または、コピー用普通紙、再生紙、印刷で使用するコート紙、光沢紙などと、画像データから抽出した地肌データのRGB値に応じて、一例として、下記の表2に示した関係から、原稿で使用された用紙の種類を判別する。
原稿で使用された用紙の種類と、印刷物に使用する光沢付加量Tとの対応関係の例を、表1に示す。上記の用紙で、特に、光沢性や表面の平滑性が良く、光沢度性が良い用紙に対して、透明トナーを使用する。なお、表1に示した、原稿で使用された用紙の種類と、光沢付加量Tとの関係は、使用者により選択可能とする。
表1中の※1で、銀塩写真用のマット(絹目)印画紙、と、インクジェット・プリンタ用のマット紙の、“設定1”および“設定2”は、使用者によって、光沢付加の有無を設定可能であることを示す。
図9においては、地肌のばらつきが小さいほど、透明トナーの塗布量を多くしているが、使用者の選択により、地肌のバラつきが大きい原稿に対して、透明トナーの塗布量を多くする設定の選択を可能とする。
ここで、光沢付加部504について説明する。図15は、光沢付加部504が行う透明トナー使用の有無の第1の評価方法について説明するフローチャートである。
ステップS601で、所定領域内で、所定値より明るい画素のRGB成分それぞれについてヒストグラムを求める。
ステップS602で、ステップS601で求めたヒストグラムから画素数で規格化した、
1. ピーク値
2. ピークの幅(例:半値幅)
3. ピークの数
を求める。
ステップS603で、下記のいずれかの条件が成立するかを判定する。
1.ピーク値が所定値以下
2.ピークの幅が所定値より大きい
3.複数のピークが存在するか。
上記3つの条件のいずれかが成立する場合には、画像がばらついているとして、透明トナーを使用しないこととする。一方、上記条件のいずれも成立しない場合には、透明トナーを使用することとする。
図16に、原稿の地肌領域のヒストグラムの例を示す。
横軸は画像データ(RGB信号)の反射率リニアのデータで、値が大きいほど明るく、値が小さいほど暗い。縦軸はヒストグラムの頻度を表す。同図のサンプルに、ピーク値、半値幅、平均値(図ではピーク値と一致している)を図示している。また、原稿a、原稿bの同一の画素数の地肌領域に対するRGB成分それぞれのヒストグラムを、原稿aに対して、Ra,Ga,Ba、原稿bに対してRb,Gb,Bbとして図示している。
原稿aについては、Ra<Ga<Baの関係を、原稿bについては、Bb<Gb<Rb関係を図示している。原稿aのヒストグラムのピークは、原稿bに比べて高く、半値幅についても、原稿aの方が原稿bの方が小さい。このことから、原稿aの地肌のバラつきが、原稿bの地肌のバラつきよりも大きいという判断する。また、原稿aの方が原稿bに比べて、平滑性が高い、あるいは、滑らかであると判断し、透明トナーの付着量を多くする。
続いて、光沢付加部504が行う透明トナー使用の有無の第2の評価方法について説明する。図17は、光沢付加部504が行う透明トナー使用の有無の第2の評価方法について説明するフローチャートである。
ステップS701で、(低濃度)網点を検出する。
ステップS702で網点であると判定された画素について(Yes)、ステップS703で網点の周波数成分を検出し、ステップS704でその周波数成分を除去する。
ステップS705で、注目画素と周辺画素から移動平均を求める。
ステップS706で、注目画素と移動平均と差、あるいは、その差から(不偏)分散を求める。
ステップS707で上記差または分散が所定値以下かを判定し、所定値以下の場合には(Yes)、ステップS708で、画像が滑らかであるとして、透明トナーを使用することとする。一方、ステップS707で所定以下でない場合で(No)、隣接画素で透明トナーが使用されていない場合には(ステップS709でNo)、ステップS710で、透明トナーを使用しないこととする。
ステップS707所定値以下でない場合でも(No)、隣接画素で透明トナーが使用されている場合には(ステップS709でYes)、ステップS708で、透明トナーを使用することとする。
ステップS702で網点が検出されない場合には(No)、ステップS711で、図18に示す(低濃度)網点が検出されない場合の処理を実行する。なお、下記のステップS801〜ステップS803の処理は、前述の図8のステップS201〜ステップS203の処理と同様である。
ステップS801で、注目画素と周辺画素から移動平均を求める。
次に、ステップS802で、注目画素(x0,y0)の画像データS(x0,y0)と移動平均Save(地肌)(x0,y0)との差から不偏分散V(地肌)(x0,y0)を求める。
続いて、ステップS803で不偏分散V(地肌)(x0,y0)が所定値Vth以下か否かを判定し、所定値Vth以下の場合には(Yes)、ステップS804で、画像が滑らかであるとして、透明トナーを使用することとする。一方、ステップS803で不偏分散Vが所定値Vth以上である場合には(No)、ステップS805で、透明トナーを使用しないこととする。
続いて、光沢付加部504が行う透明トナー使用の有無の第3の評価方法について、図19のフローチャートに基づいて説明する。図19は、光沢付加部504が行う透明トナー使用の有無の第3の評価方法について説明するフローチャートである。
ステップS901で、注目画素と周辺画素から移動平均を求める。
ステップS902で、注目画素と移動平均と差を用いて自己相関関数を求める。
ステップS903で、フーリエ変換を行い、パワースペクトルを求める。
ステップS904で、網点の周波数成分を除去する。
ステップS805で、パワースペクトルを積分する。
ステップS906で求めた値が所定値以下かを判定し、所定値以下の場合には(Yes)、ステップS907で、画像が滑らかであるとして、透明トナーを使用することとする。一方、求めた値が所定値以上である場合には(ステップS906でNo)、ステップS908で、透明トナーを使用しないこととする。
ここで、図3の説明に戻り、スキャナγ変換回路402では、スキャナからの読み取り信号が、反射率データから明度データに変換される。画像メモリ403はスキャナγ変換後の画像信号を記憶する。画像分離回路404では、文字部と写真部の判定、及び有彩色・無彩色判定を行う。
空間フィルタ405では、シャープな画像やソフトな画像など、使用者の好みに応じてエッジ強調や平滑化等、画像信号の周波数特性を変更する処理に加えて、画像信号のエッジ度に応じたエッジ強調処理(適応エッジ強調処理)を行う。例えば、文字エッジにはエッジ強調を行い、網点画像にはエッジ強調を行わないという所謂、適応エッジ強調をR、G、B信号それぞれに対して行う。
ここで、図20に、適応型エッジ強調回路の一例を示す。
スキャナγ変換回路402によって反射率リニアから明度リニアに変換された画像信号は、平滑化フィルタ回路1101によって平滑化を行う。次段の3×3のラプラシアンフィルタ1102によって画像データの微分成分が抽出される。ラプラシアンフィルタの具体例を、図21に示す。
スキャナγ変換回路402によるγ変換をされない10ビットの画像信号のうち、上位8ビット(これは一例である)成分が、エッジ量検出フィルタ1103により、エッジ検出がなされる。図22〜25に、エッジ量検出フィルタ1103の具体例(副走査方向エッジ検出フィルタ、主走査方向エッジ検出フィルタ、斜め方向エッジ検出フィルタ1、斜め方向エッジ検出フィルタ2)を示す。図22〜図25に例示した各エッジ検出フィルタにより得られたエッジ量のうち、最大値がエッジ度として後段で使用される。
エッジ度は、必要に応じて後段の平滑化フィルタ1104により平滑化される。その際、例えば一例として示す図26の係数を使用する。これにより、スキャナの偶数画素と奇数画素の感度差の影響を軽減する。
テーブル変換回路1105により、求められたエッジ度をテーブル変換する。このテーブルの値により、線や点の濃さ(コントラスト、濃度を含む)および網点部の滑らかさを指定する。そのテーブルの例を図27に示す。エッジ度は、白地に黒い線や点などで最も大きくなり、印刷の細かい網点や、銀塩写真や熱転写原稿などのように画素の境界が滑らかなものになるほど小さくなる。
テーブル変換回路1105によって変換されたエッジ度(画像信号C)と、ラプラシアンフィルタ1102の出力値(画像信号B)との積(画像信号D)が、平滑処理後の画像信号(画像信号A)に加算され、画像信号Eとして後段の画像処理回路に伝達される。
色補正処理は前述した色補正・UCR処理(1)回路407および色補正・UCR処理(1)回路431にて行われる。
色変換UCR処理(1)回路407および色補正・UCR処理(1)回路431では、入力系の色分解特性と出力系の色材の分光特性の違いを補正し、忠実な色再現に必要な色材YMCの量を計算する色補正処理部と、YMCの3色が重なる部分をBk(ブラック)に置き換えるためのUCR処理部からなる。その処理の方法について図28及び図29の色空間の図を用いて説明する。
図28に示すように色補正処理は、無彩色軸(R=G=B(≡N軸))を中心として放射状に広がる平面で、色空間(R,G,B)を分割して行われる。彩度は、N軸に垂直に設けられたT軸に沿って変化する。また、色相は、T軸に平行な平面においてN軸を中心とした回転方向Uに沿って変化する。すなわち、所定の回転方向UにおいてN軸に平行に形成された面上のすべての点は、回転方向Uによって定まる色相を示す色の点である。
また、点C,M,Yは、それぞれプリンタの一次色であるCMYにおいて、彩度が最大となる点である。また、点R,G,Bは、それぞれプリンタの2次色であるRGBにおいて、彩度が最大となる点である。プリンタ色再現領域672は、これらの点C,M,Y,R,G,Bと、点Wおよび点Kを曲線で結ぶことによって形成された略球面状の領域である。すなわち、このプリンタ色再現領域672の内側がプリンタにおいて出力可能な色の領域である。また、信号色領域660は、カラー画像信号に対する信号色が取り得る色の領域である。
なお、以下では、この色空間において信号色を補正する場合に、処理を簡単にするために、プリンタ色再現領域670をプリンタ色再現領域672とみなす。ここで、プリンタ色再現領域670は、8色の最大値に対応する点C,M,Y,R,G,B、点Wおよび点Kを直線で結ぶことによって形成された12面体状の領域である。なお、このように、プリンタ色再現領域670を、プリンタ色再現領域672とみなすことにより、補正量Xに実質的な誤差は生じない。
次に、図29に基づいて色相領域について説明する。図29は、複数の色相領域に分割された色空間を示している。C境界面633は、点C,W,Kにより定まる平面である。同様に、i境界面634〜638(i=M,Y,R,G,B)は、それぞれ、点i,W,K(i=M,Y,R,G,B)により定まる平面である。色空間は、これらの境界面633〜638によって分割される。これら境界面633〜638によって分割された色空間には、CB色相領域640、BM色相領域641、MR色相領域642、RY色相領域643、YG色相領域644、GC色相領域645が形成されている。
色相判定(1)回路406および色相判定(2)回路430による画像データの色相判定方法について説明する。先ず、3次元空間の色相判定の方法を説明し、次に2次元色平面における色相判定の方法について説明する。
3次元空間の色相判定においては、画像データから各色相評価値Fxを算出し、色相評価値Fxに基づいて、信号色を含む色相領域の色相領域コードを決定する。
ここで、色相評価値Fxの理論的な導出方法について説明する。図28に示した点C,M,Y,R,G,B,W,Kを示す色座標をそれぞれ(Dir,Dig,Dib)(i=c,m,y,r,g,b,w,k)と示すことにする。例えば、点Cに対応する色座標は、(Dcr,Dcg,Dcb)である。
この場合、例えばC境界面633は次式(9)で表される。
(Dcg-Dcb)・Dr+(Dcb-Dcr)・Dg+(Dcr-Dcg)・Db=0…(9)
同様に、境界面634〜638は、それぞれ次式(10)〜(14)で表される。
(Dmg-Dmb)・Dr+(Dmb-Dmr)・Dg+(Dmr-Dmg)・Db=0…(10)
(Dyg-Dyb)・Dr+(Dyb-Dyr)・Dg+(Dyr-Dyg)・Db=0…(11)
(Drg-Drb)・Dr+(Drb-Drr)・Dg+(Drr-Drg)・Db=0…(12)
(Dgg-Dgb)・Dr+(Dgb-Dgr)・Dg+(Dgr-Dgg)・Db=0…(13)
(Dbg-Dbb)・Dr+(Dbb-Dbr)・Dg+(Dbr-Dbg)・Db=0…(14)
色空間は、例えば、境界面633によって、CB色相領域640を含む領域とGC色相領域645を含む領域との2つの領域に分割される。同様に、色空間は、各境界面634〜638によって2つの領域に分割される。そこで、カラー画像信号がいずれの色相領域に含まれるかは、カラー画像信号が各境界面633〜638によって形成される2つの領域のうちいずれの領域に含まれるかに基づいて判定することができる。すなわち、式(9)〜(14)式のそれぞれにカラー画像信号(Dr,Dg,Db)を代入して得られた値の正負に基づいて、カラー画像信号が含まれる色相領域を判定することができる。
そこで、上記(9)〜(14)に基づいて色相評価値Fxを定める。すなわち、(9)〜(14)の左辺をそれぞれFc,Fm,Fy,Fr,Fg,Fbとする。
Fc=(Dcg-Dcb)・Dr+(Dcb-Dcr)・Dg+(Dcr-Dcg)・Db…(15)
Fm=(Dmg-Dmb)・Dr+(Dmb-Dmr)・Dg+(Dmr-Dmg)・Db…(16)
Fy=(Dyg-Dyb)・Dr+(Dyb-Dyr)・Dg+(Dyr-Dyg)・Db…(17)
Fr=(Drg-Drb)・Dr+(Drb-Drr)・Dg+(Drr-Drg)・Db…(18)
Fg=(Dgg-Dgb)・Dr+(Dgb-Dgr)・Dg+(Dgr-Dgg)・Db…(19)
Fb=(Dbg-Dbb)・Dr+(Dbb-Dbr)・Dg+(Dbr-Dbg)・Db…(20)
すなわち、3次元空間の色相判定においては、式(15)〜(20)において定められた各色相評価値Fxを算出する。例えば、色空間における任意の点(Dr,Dg,Db)から算出されたFc,Fgが、「Fc≦0 and Fb>0」を満たす場合、この点はCB色相領域に含まれることが表3からわかる。このように、各色相領域は、色相評価値Fxにより定義される。すなわち、表3に示した色相領域コードテーブルにおいて色相領域コードに対応付けられている色相評価値Fxの条件は、以上の式から定められた条件である。
なお、表3に示した色相領域コードテーブルにおいては、便宜的にN軸上の色座標をGC色相領域に含めているが、他の色相領域に含めてもよい。また色相評価値Fxは、(Dir,Dig,Dib)(i=c,m,y,r,g,b,w,k)の実際の値によって変化する。したがって、色相領域コードテーブル(表3)において各色相領域コードに対応付けるべき色相評価値の条件は色相評価値の値に応じて変更してもよい。
次に、3次元の色空間を2次元平面に写像し、2次元平面におけるカラー画像信号の色座標を利用して、カラー画像信号が含まれる色相領域を判定する方法について図30のフローチャートに基づいて説明する。図30に示す処理は、色相領域判定部424において行われる。
図30に示すように、先ず、ステップS1001で、色相領域判定部424にカラー画像信号が入力されると、カラー画像信号の値を2次元化する。すなわち、カラー画像信号の値を下記の式(23)〜(24)に代入して差分GRおよび差分BGを得る。これにより、カラー画像信号の色空間における値(Dr,Dg,Db)を色平面における値(GR,BG)に変換される。
図31は、カラー画像信号を写像すべき2次元平面を示している。この2次元平面において、「Dg−Dr」に相当する直線をGR軸とし、「Db−Dg」に相当する直線をBG軸とする。GR軸とBR軸とは互いに直交している。
色空間上の点(Dr,Dg,Db)は、次式(21),(22)により、図31に示す色平面に写像される。
GR=Dg-Dr…(21)
BG=Db-Dg…(22)
また、色空間におけるN軸上の点(Dnr,Dng,Dnb)は、図31に示す色平面における点(Dng−Dnr, Dnb−Dng)に写像される。Dnr=Dng=Dnbであるから、点(Dng−Dnr,Dnb・Dng)は、次式(23)に示されるようになる。
(Dng-Dnr,Dnb・Dng)=(0,0)…(23)
すなわち、N軸上のすべての点は、図31に示す平面における原点nに写像される。また、色空間における点C,M,Y,R,G,Bは、原点nの周囲に図31に示すように配置されている。したがって、図29に示した6つの色相領域640〜645は、色平面においてN軸と点C,M,Y,R,G,Bとをそれぞれ結んだ直線で分割された領域740〜745に写像される。
図30の説明に戻り、次に、ステップS1002で、入力されたカラー画像信号の各色の値から差分GR、差分BG、および各色相評価値(色相評価係数)Fx’(x=c,m,y,r,g,b)を算出し、ステップS1003で、各色相評価値Fx’、差分GR、および差分BGに基づいて、下記の色相領域コードテーブル(表4)を利用して、信号色を含む色相領域の色相領域コードを決定する。表4は、色相評価値Fx’の条件と色相領域コードcodeとを対応付けている。なお、色相評価値Fx’の条件については後述する。
色相評価値Fx’の導出方法について説明する。図31に示した色平面において、点Nと、点C,M,Y,R,G,Bとをそれぞれ結んだ直線、すなわち、直線NC、直線NM、直線NY、直線NR、直線NG、および直線NBはそれぞれ以下に示す式(24)〜(29)のように表される。
BG=(Dcb-Dcg)/(Dcg-Dcr)・GR (但し、Dcg-Dcr≠0)…(24)
BG=(Dmb-Dmg)/(Dmg-Dmr)・GR (但し、Dmg-Dmr≠0)…(25)
BG=(Dyb-Dyg)/(Dyg-Dyr)・GR (但し、Dyg-Dyr≠0)…(26)
BG=(Drb-Drg)/(Drg-Drr)・GR (但し、Drg-Drr≠0)…(27)
BG=(Dgb-Dgg)/(Dgg-Dgr)・GR (但し、Dgg-Dgr≠0)…(28)
BG=(Dbb-Dbg)/(Dbg-Dbr)・GR (但し、Dbg-Dbr≠0)…(29)
これらの式(24)〜(29)のそれぞれに、カラー画像信号のGR値を代入して得られるBG値と、実際のカラー画像信号のBG値との大小関係から、各式によって定まる直線と、カラー画像信号に対応する点との位置関係がわかる。したがって、カラー画像信号が、いずれの色相領域に含まれるかは、式(24)〜(29)にカラー画像信号のGR値を代入して得られるBG値と、カラー画像信号のBG値との大小関係に基づいて、判定することができる。
そこで、上記の式(24)〜(29)に基づいて次のように色相評価値Fx’を定める。すなわち、式(24)〜(29)の左辺をそれぞれFc’,Fm’,Fy’,Fr’,Fg’,Fb’とする。
Fc’=(Dcb-Dcg)/(Dcg-Dcr)・GR…(30)
Fm’=(Dmb-Dmg)/(Dmg-Dmr)・GR…(31)
Fy’=(Dyb-Dyg)/(Dyg-Dyr)・GR…(32)
Fr’=(Drb-Drg)/(Drg-Drr)・GR…(33)
Fg’=(Dgb-Dgg)/(Dgg-Dgr)・GR…(34)
Fb’=(Dbb-Dbg)/(Dbg-Dbr)・GR…(35)
例えば、色平面における任意の点(GR,BG)から算出されたFc’およびFb’が、「BG≦Fc’ and BG>Fb’」を満たす場合、この点は、CB色相領域に含まれることがわかる。すなわち、表4に示した色相領域コードテーブルにおいて色相領域コードに対応付けられている色相評価値Fx’の条件は、以上の式から定められた条件である。
このように、表4の色相領域コードテーブルに色相評価値Fx’の条件が予め設定されている。したがって、色相判定回路424は、表4の色相領域コードテーブルのように、各色相領域コードに対応付けられている色相評価値Fx’の条件の中から、BGおよび色相評価値Fx’が満たす条件を特定し、色相領域コードテーブル(表4)において、この条件に対応付けられている色相領域コードを選択すればよい。
なお、表4に示した色相領域コードテーブルにおいては、N軸上の色座標をGC色相領域に含めているが、他の色相領域に含めてもよい。また色相評価値Fx’は、(Dir,Dig,Dib)(i=c,m,y,r,g,b,w,k)の実際の値によって変化する。したがって、色相領域コードテーブル(表4)において各色相領域コードに対応付けるべき色相評価値の条件は色相評価値Fx’の値に応じて変更してもよい。
なお、上記式(21)〜(22)に示した変換式によりカラー画像信号(Dr,Dg,Db)を色平面における値(GR,BG)に変換したが、これに替えて、以下に示す変換式(36),(37)により、変換を行ってよい。
GR=Ri・Dr+Gi・Dg+Bi・Db…(36)
BG=Rj・Dr+Gj・Dg+Bj・Db…(37)
ここで、Ri=Gi=Bi=0,Rj=Gj=Bj=0である。
入力された画像信号(R,G,B)が分割された空間の何処に属するかを上述したように、色相判定回路424にて判定し、その後、各空間毎に予め設定しておいたマスキング係数を用いて次式(38)を用いて色補正処理を行う。その際、濃度調整やカラーバランス調整など、必要に応じてマスキング係数の線形処理等を行う。なお、以下で分割点とは例えば図28における点G(Green)のように、境界面と辺が交わった点である。
色相hueがG(Green)とした場合は、式(36)は、次式(39)となる。
ここで、左辺のP(hue)(ただし、P=C,M,Y,K;hue=色相R,G,B,Y,M,C,K,Wなど)をプリンタベクトルと呼び、右辺のS(hue)(ただし、S=B,G,R;hue=色相R,G,B,Y,M,C,K,Wなど)をスキャナベクトルと呼び、aPS(hue)(ただし、P=C,M,Y,K;S=B,G,R)を各色相毎の線形マスキング係数と呼ぶ。
通常、各空間の線形マスキング係数aPS(色相)(ただし、P=Y,M,C,K;S=R,G,B,定数)は、図32に示すような無彩色軸上の異なる2点(R1,G1,B1)及び(R2,G2,B2)と、無彩色軸上にない2境界面上の2点(R3,G3,B3)及び(R4,G4,B4)の計4点のR,G,Bの値とその色再現に最適な現像部C、M、Y及びKの記録値(C1,M1,Y1,K1)、(C2,M2,Y2,K2)、(C3,M3,Y3,K3)及び(C4,M4,Y4,K4)を予め決めておき、以下に示す演算式(40)により求める。
上式(40)の両辺に、以下の式(41)の逆行列である式(42)を掛けて両辺を入れ替えて、式(43)として、線形マスキング係数aPS(色相)(ただし、P=Y,M,C,K;S=R,G,B)を得る。
ここで、aXY(3−4)は、色相3と色相4の間の色領域で成り立つマスキング係数を表す。また、各点のC、M、Y及びKの記録値はUCR(下色除去)前の等価無彩色濃度換算値とする。なお、以下では説明を簡略にするために、無彩色軸上の2点を白点と黒点とする。この場合、等価無彩色濃度換算値が取得る最大値をXmaxとすれば、各値には以下のような関係がある。
白点の場合:R1=G1=B1=C1=M1=Y1=0≧K1
黒点の場合:R1=G1=B1=C1=M1=Y1=Xmax≧K2
また、境界面上の2点は、現像部C、M、Y及びKの記録値の最小値が0で、記録値の最大値がXmaxとなる点、すなわち、各境界面上で記録可能な、最も彩度の高い点とすると良い。すなわち、次式(44)〜(47)が成立する。
Min(C3,M3,Y3)=0≧K3…(44)
Max(C3,M3,Y3)=Xmax…(45)
Min(C4,M4,Y4)=0≧K4…(46)
Max(C4,M4,Y4)=Xmax…(47)
また、現像部Kの記録値を現像部C、M、及びYのうちの最小値から、例えば以下のように決定しておくことで、UCR率を制御することもできる。
UCR率100%の場合:K=Min(C,M,Y)
UCR率70%の場合: K=Min(C,M,Y)×0.7
図28のように6つの境界面で色空間(R,G,B)を分割する場合、少なくとも各境界面上の6点と無彩色軸上の2点の、計8点のR,G,Bの値と、その色の再現に最適な現像部のC、M、Y及びKの記録値を予め決めておき、これらに基づいて各空間のマスキング係数を求める。なお、上述にように各空間のマスキング係数を予め求めてROM、RAM等に記憶しておき、色補正処理において、色相判定で判定された色に応じて適切なマスキング係数を選択し、色補正を行うことができる。
CCDやCISの分光特性の違いを補正するために上記の線形マスキング係数を図33に示したスキャナデータ・キャリブレーションチャートの読み取り値に基づいて新たな線形マスキング係数を算出する。以下、その方法について説明する。
無彩色軸上にない境界面上の点を、例えば標準的な分光特性を示すスキャナCCDで読取った場合の値を(Ri,Gi,Bi)(i=色相1〜4)とする。同じ点を他のスキャナで読み取った場合、スキャナCCDの分光特性のばらつきによりこの点は(Ri,Gi,Bi)(i=色相1〜4)とは異なる値である(Ri’,Gi’,Bi’)(i=色相1〜4)として読み取られる。この結果、式(1)により現像部C、M、Y及びKの記録値は(Ci’,Mi’,Yi’,Ki’)(i=色相1〜4)として計算される。すなわち、式(40)を次式(48)のように表すことができる。
上式(48)より、色相領域3’−4’の線形マスキング係数aPS(色相3’−4’)(P=Y,M,C,K;S=R,G,B)を求めるために、その両辺に、次式(49)の逆行列である式(50)を掛けて、式(51)として色相領域3’−4’の線形マスキング係数aPS(色相3’−4’)(P=Y,M,C,K;S=R,G,B)を求めることができる。
同様に、他の色相の各々について線形マスキング係数aPS(各色相)(P=Y,M,C,K;S=R,G,B)を求めることができる。
プリンタベクトルP(i)(ただし、P=Y,M,C,K;i=各色相)は、コピーを行う対象である原稿の原稿種類(原稿種)に応じて変更することにより、コピーの色再現性を向上させることができる。原稿種とは、例えば、インクを色材に用いた印刷原稿、YMC感光層を色材にした印画紙写真原稿、トナーを色材にした複写原稿、インクジェット・プリンタ出力を原稿としたインクジェット原稿、特色インクを使用した地図原稿などが一例としてあげられる。
すなわち、式(43)のプリンタベクトルP(i)(ただし、P=Y,M,C,K;i=各色相)を上記の格言子運対応したP原稿種(i)(ただし、P=Y,M,C,K;i=各色相、原稿種=印刷、印画紙写真、複写原稿、地図、インクジェット、蛍光ペンなど)を操作部142で選択された各画質モードに対応して各画質モードに対応したaPS原稿種(色相)(ただし、P=Y,M,C,K;S=R,G,B,定数)を下式(52)により演算し、回路(ASIC)に設定してコピー時に用いる。
ここでUCR処理は、次式(53)〜(56)を用いて演算することにより行うことができる。
Y’=Y-α・min(Y,M,C)…(53)
M’=M-α・min(Y,M,C)…(54)
C’=C-α・min(Y,M,C)…(55)
Bk=α・min(Y,M,C)…(56)
上式において、αはUCRの量を決める係数で、α=1の時100%UCR処理となる。αは一定値でも良い。例えば、高濃度部では、αは1に近く、ハイライト部(低画像濃度部)では、0に近くすることにより、ハイライト部での画像を滑らかにすることができる。
上記の色補正係数は、RGBYMCの6色相をそれぞれ更に2分割した12色相に、更に黒および白を加えた14色相毎に異なる。色相判定回路424は、読み取った画像データがどの色相に判別するかを判定する。判定した結果に基づいて、各色相毎の色補正係数が選択される。
ここで、色相hueに対応する輝度L(hue)を算出するためのプリンタベクタの生成について説明する。
上式(57)において、k[hue][S](ただし、S=R,G,B)は各色相毎の輝度係数である。S[hue](ただし、S=R,G,B)は、色相hueのRGB成分のそれぞれの値を示す。cSはオフセットで通常は0である。Σは、Σの下部に記載したS=R,G,Bにより、RGB成分についての加算を表す。
単色SingleのプリンタベクタP(Single)(ただし、P=Y,M,C,K)として表すと、色相hueのプリンタベクタP(hue)(ただし、hueは色相R,G,B,C,M,Y,K,W)は、式(57)で求めた色相hueに対応する輝度L(hue)を、単色SingleのプリンタベクタP(Single)に乗算して次式(58)で求める。なお、P(Single)を、式(50)の右辺の[…]の形式で表した。
ただし、hue=色相R,G,B,C,M,Y,K,Wである。
上式(58)で求めた色相hueのプリンタベクタP(hue)を、式(43)に代入することにより、単色用のマスキング係数を求める。
上記の色補正係数は、RGBYMCの6色相をそれぞれ更に2分割した12色相に、更に黒および白を加えた14色相毎に異なる。色相判定回路424は、読み取った画像データがどの色相に判別するかを判定する。判定した結果に基づいて、各色相毎の色補正係数が選択される。
ここで、図3の説明に戻り、変倍処理回路408は、主走査、副走査変倍を行う。γ変換(1)回路409は、像域分離信号に応じて文字用・写真用のγ変換を行ったり、あるいは、階調処理(1)回路410で、二値化処理を行う前にプリンタγ変換を行う。階調処理(1)回路410では、FAX送信や、スキャナ配信を行う際に、単純二値化処理、二値ディザ処理、二値誤差拡散処理、二値変動閾値誤差拡散処理などの二値化処理を、文字モード、写真モード、文字・写真モードなど、操作部142や、I/F421に接続したLANを経由してPC(Personal Computer)などからの指示に従い、適応して行う。
編集処理(1)回路411では、端部マスク処理、論理反転などの編集処理を行う。画像データ保管時には、Multilayer Bus412を経由して、圧縮・伸張処理回路416で、圧縮処理がなされ、HDDI/F418を介して、HDD(Hard Disk Drive)419内に圧縮された画像データが保管される。保管される画像データは、使用目的に応じて、RGB信号、K(Gray)信号、CMYK信号、RGBX信号(X信号は像域分離結果)として保管される。RGB信号は配信用、K(Gray)信号は配信やFAX送信用、CMYK信号は紙への印刷用、RGBX信号は、CMYKデータ生成、もしくは、sRGB信号に色空間変換を行い配信するなどの再処理用として保管する。
スキャナ400により読み取られた画像データは、FAX送信、あるいはスキャナ送信用に使用される場合には、色補正・UCR処理(1)回路407で、s−RGBもしくはK(Gray)信号に変換されたのち、メモリコントローラ(2)436を通して、メインメモリ437に保管される。転写紙に印刷出力する場合には、Multilayer Bus412を経由して、Gray=>RGB変換回路425が、RGB画像データから必要に応じてGray信号を生成する。その際、Green信号をR=G=BとしてGray化する処理が、必要に応じて行われる。
RGB合成回路426は、必要に応じてRGB画像データを上書き合成、透かし合成を行う。内部パターン発生427は、必要に応じて、後述するACC(自動階調補正)パターンや、登録色パターンなどを発生する。空間フィルタ(2)回路428は、必要に応じてエッジ強調、平滑化処理など空間フィルタ処理を行う。ADS除去回路429は、必要に応じて原稿追従型の地肌除去処理を行う。色相判定処理(2)回路430,色補正・UCR処理(2)回路431の機能は、それぞれ色相判定処理回路406,色補正・UCR処理回路407と同様である。変倍処理(2)回路433は、変倍処理(1)回路408と同様である。
総量規制回路434は、色補正・UCR処理(2)回路431でCMYK信号に変換された際に、転写紙上のYMCK+T(透明)トナーの総量を規制する。色補正・UCR処理(2)回路431でCMYKデータに変換され、特徴量抽出処理回路422にて、画像のエッジ、非エッジ、エッジと非エッジの中間の弱エッジなどの判定処理がなされ、γ変換(2)回路423で、エッジ、非エッジ、弱エッジなどの判定結果に応じて、γ変換処理が行われ、階調処理(2)回路424で、二値あるいは多値のディザ処理、二値あるいは多値の誤差拡散処理、二値あるいは多値の変動閾値誤差拡散処理などの階調処理を行う。
図1の特徴量抽出処理回路422及び階調処理回路424について、より詳細を記す。有色トナーの各版(CMYK版)に対しては、公知技術、例えば特開2007−158844号公報の0071〜0082段落に記載の構成にて実現される。本実施形態では、有色トナー版のトナー付加量に基づき透明トナー版の光沢付加量を決定するため、有色トナー版の画像データは、透明トナー版の量子化閾値切り替え部4152に入力される。
透明トナー版においては、入力される光沢付加量、有色トナー付着量、像域分離結果及び特徴量抽出結果に応じて階調処理方式及び量子化閾値設定を切り替える。以下に透明トナー版における階調処理回路の構成について説明する。
図34に、透明トナー版の階調処理方式を説明するブロック図を示す。同図の上半分に添字aを付けて表したものが透明トナー版で使用するブロックであり、下半分に添字bを付けて表したものが有色トナー版で使用するブロックである。以下では、これらを区別せず説明する。
図34に図示したように、特徴量抽出は、ラインメモリ4121、特徴量抽出部4122、低光沢判定部4123からなる。ラインメモリ4121に、特徴量抽出部4122で使用する複数ライン(一例として5ライン分)を記憶する。特徴量抽出部4122は、画像データから、後述する処理により、エッジ部、非エッジ部、弱エッジ部(エッジ部と非エッジ部の中間のエッジ度を有する領域)(1,2)とを判定する。低光沢判定部4123は、画像データから所定の光沢付加量閾値と比較し、画像データの光沢付加量が少ない領域に相当するか、それ以外の画像領域かを判定する。
図34において、プリンタγ変換処理413は、プリンタγ変換処理部4132と、プリンタγテーブルデータ4131とからなる。プリンタγ変換処理部4132は、特徴量抽出部4122からの特徴量抽出結果に基づいて、プリンタγテーブルデータ4131に設定されたプリンタγテーブルを参照し、プリンタγ変換を行う。
階調処理部414は、量子化閾値生成部4150、誤差拡散処理部4151からなる。量子化閾値生成部4150は、特徴量抽出部4122から、注目画素(x0,y0)における 2bitの特徴量抽出結果Chr(x0,y0)(≡C={0,1,2,3}、以後、簡略化してCとする)および2bitの低光沢判定結果Grs(x0,y0)(≡G={0,1,2,3}、以後、簡略化してGをする)に基づいて、量子化閾値を生成する。ここで、便宜上、x0を主走査方向の画素を指定する値で、y0は副走査方向の画素の位置を指定する値とした。600dpiの場合、たとえばA3サイズの原稿を読み込んだ画素数に余白部を加えて、x0={0,1,2,〜,x0max};y={0,1,2,…,y0max}として、x0max=7,100、y0max=10,000程度の値をとる。A1サイズなどの原稿サイズに対応する場合には、x0max,y0maxはより大きな値となる。
量子化閾値テーブル部4142には、特徴量抽出結果C={0,1,2,3}と低光沢判定結果G={0,1,2,3}に対応した量子化閾値Thr[C,G][x,y,i]を設定しておく。また、ブルーノイズ加算選択テーブル部4144には、量子化閾値テーブル部4142に設定した量子化閾値Thr[C,G][x,y,i]のそれぞれに対応したブルーノイズ加算テーブルFbn[C,G][x,y,i]を設定する。ここで、[x,y,i]のx,yは、それぞれ量子化閾値マトリックスの主走査方向のマトリックスサイズxmaxと副走査方向のマトリックスサイズymaxを用いて、次式(59)〜(60)となり、iは画像データの出力階調数をMとして、次式(61)となり、各式に示される値をとる。
x={0,1,2,…,xmax-1}…(59)
y={0,1,2,…,ymax-1}…(60)
i={0,1,2,…,M-2}…(61)
後の説明を簡単にするために、Zを整数の集合として、上式(59)〜(61)はそれぞれ、次式(62)〜(64)として表わすことができる。
Z{xmax}={x∈Z;0≦x<xmax}…(62)
Z{ymax}={y∈Z;0≦y<ymax}…(63)
Z{M-1}={i∈Z;0≦i<M-1}…(64)
このように式(62)〜(64)としても同じ意味を表す。すなわち、式(62)において、x∈Zは、“xが整数であること”を表し、0≦x<xmaxの範囲を動くことを表すので、式(59)のx={0,1,2,…,xmax-1}の値をとりうる。
同様に、主走査方向の位置x0が取り得る値の範囲Z{x0max}、副走査方向の位置y0が取り得る値の範囲Z{y0max}、特徴量抽出結果Cが取り得る値の範囲Z{Cmax}、低光沢判定結果Gが取り得る値の範囲Z{Gmax}、量子化閾値Thr[C,G][x,y,i]が取り得る値の範囲Z{N}、ブルーノイズBn[k]が取り得る値の範囲Z{Bn}、Bn[k]のインデックスkが取り得る値の範囲Z{Bnmax}、ブルーノイズ加算選択Fbn[C,G][x,y,i]が取り得る値の範囲Z{Fbn}も、例えば、以下のように定義する。
Z{x0max}={x0∈Z;0≦x0<x0max}
Z{y0max}={y0∈Z;0≦y0<y0max}
Z{Cmax}={C∈Z;0≦C<Cmax}
Z{Gmax}={G∈Z;0≦G<Gmax}
Z{N}={Gin∈Z;0≦Gin<N-1}
Z{Bn}={±1}
Z{Bnmax}={k∈Z;0≦k<bnmax}
Z{Fbn}={0,1}
本例では、Cmax=Gmax=4としているが、この値に限るものではなく、必要に応じて変更してもよい。
図35に、量子化閾値Thr[C,G][x,y,i]の構成を示す。主走査方向サイズxmax、副走査方向サイズymaxの量子化閾値Thr[C,G][x,y,i]が、M−1レベル分用意され、それが、特徴量抽出結果Chr(x0,y0)(=C)∈Z{Cmax}に応じて4種類、さらに、低光沢判定結果Gns(x0,y0)(=G)∈Z{Gmax}に対応して4種類、量子化閾値テーブル部4142に設定される。
量子化閾値Thr[C,G][x,y,i]∈Z{N}(ただし、C∈Z{Cmax},G∈Z{Gmax},x∈Z{xmax},y∈Z{ymax},i∈Z{M−1})の各閾値に対応して、ブルーノイズ加算選択 Fbn[C,G][x,y,i] ∈Z{Fbn}(C∈Z{Cmax},G∈Z{Gmax},x∈Z{xmax},y∈Z{ymax},i∈Z{M−1})が、ブルーノイズ加算選択テーブル部4144に設定される。
量子化閾値選択部4141およびブルーノイズ加算選択部4143は、特徴量抽出結果Cおよび低光沢判定結果Gに基づいて、それぞれ注目画素(x0,y0)に適用する量子化閾値Thr[C,G][x,y,i]を量子化閾値部テーブル4142から選択し、ブルーノイズ加算選択フラグFbn[C,G][x,y,i]をブルーノイズ加算選択テーブル4144から選択する。
階調処理について、4ビットの誤差拡散処理を例に説明する。
量子化閾値生成部4150で量子化閾値1〜15(th1〜th15)を生成する。量子化しきい値の関係は、量子化閾値1(th1)≦量子化閾値2(th2)≦…≦量子化閾値15(th15)とする。量子化器は入力した画像データがth1〜th15と比較し、それぞれ、th15より大きい場合に“16”、th14より大きい場合に“15”、以下同様に、th1より大きい場合に“1”、th1より小さい場合に“0”の値をとる4ビット(16階調)の量子化データを出力するものとして説明する。
誤差積算部4149は、誤差バッファ4148に記憶されている量子化誤差データから次の注目画素に加算する拡散誤差を計算するものである。本実施例では、誤差積算部4149は、図36に示すような副走査方向が3画素、主走査方向が5画素のサイズの誤差拡散マトリクスを用いて拡散誤差データを算出する。図36において、*印は次の注目画素の位置に相当し、a,b,...,k,lは周辺の12個の処理済み画素の位置に対応した係数(総和は32)である。それら12個の処理済み画素に対する量子化誤差と対応した係数a〜lとの積和を32で除した値を、次の注目画素に対する拡散誤差として加算器に与える。
図37に、特徴量抽出部4122のブロック図を示す。
特徴量抽出部4122は、画像データGin(x0,y0)のエッジ検出を行うもので、本実施形態では注目画素(x0,y0)に対する特徴量抽出結果Chr(x0,y0)の出力として、レベル3(エッジ度最大)からレベル0(非エッジ)までエッジレベルを表す2ビットのエッジデータを出力する。
特徴量の抽出は、一例として図38に示す4種類の5×5の一次微分フィルタ1〜4、および図39に示す二次微分フィルタを用いて、主走査方向、副走査方向、主走査方向から±45゜傾いた方向の4方向についてエッジ量を検出し、その中で絶対値が最大のエッジ量を選び、そのエッジ量の絶対値をレベル0からレベル3までの4レベルのエッジレベルに量子化して出力する。
低光沢判定部4123は、所定の閾値と入力画像データGinとを比較し、注目画素(x0,y0)に対する低光沢判定結果Gns(x0,y0)の出力として、最も低光沢を0、最も高光沢を3などとした値を出力する。このエッジデータは、量子化閾値生成部4150に与えられる。
量子化閾値生成部4150は、特徴量抽出部4122より出力されたエッジデータで表されるエッジレベルに応じた振動幅で、画像空間上で周期的に振動する量子化閾値を生成し、それを量子化部4147に与えるものである。量子化閾値選択部4141で選択されたディザ閾値にブルーノイズを加算し、その信号を量子化閾値切り替え部4152に入力する。量子化閾値切り替え部4152は、エッジデータで示されるエッジレベルに対応した係数(0〜3)を掛ける乗算器を備え、入力される特徴量抽出結果、像域分離結果、有色トナー付着量にもとづき量子化閾値を切り替える。
一例として、量子化閾値選択部4141は、図40に示すような1から6までの閾値を小さいものから順に(1が最小、6が最大)ラインを成長させるように配置した4×4のディザ閾値マトリクスを用い、画像平面上で周期的に1から6まで振動するディザ閾値を出力する。ここで、同じ値の画素は同じしきい値を使用している。ディザ閾値周期は、これは600dpiの画像形成の場合には192Lpiに相当する。このようなディザ閾値発生部1141は、上記ディザ閾値マトリクスを格納したROMと、画像データの主,副走査のタイミング信号をカウントして、このROMの読み出しアドレスを発生するカウンタなどによって容易に実現できる。
ここで、図40で1と設定された画素は主走査方向に並べることにより、主走査方向に2画素並んだドットを最初に形成することを表す。このように、安定したドット形成がなされることを意図して、エネルギーが少ない書込みレベルである1値を2画素並べる。この場合のスクリーン角とラインの成長方向を図41に示した。ラインの成長方向は、図中の“ラインが成長する方向1“に示した。
量子化閾値切り替え部4152の乗算器は、光沢付加量T、像域分離結果X及び画像特徴抽出部1130からのエッジデータで示されるエッジレベル、有色トナー付着量にもとづき決定される、乗算係数0〜3を出力値に乗じる。
係数0を乗算した場合は、量子化閾値生成部4150で生成される量子化閾値は固定され、量子化部4147で固定閾値を用いた純粋な誤差拡散法による量子化処理が行われるため、解像性の良い画像を形成できる。乗算係数が大きくなるにつれ、量子化閾値生成部4150によって生成される量子化閾値の振動幅が大きくなるため、量子化部4147の量子化処理はディザ基調の処理となり、透明トナーはディザ閾値周期で網点化される。あるいは、スクリーン角に沿ったラインを形成していく。
透明トナー版においては、上記の構成の階調処理回路を用いて、入力される光沢付加量、像域分離結果及び特徴量抽出結果に応じて階調処理方式を切り替える。具体例を以下に示す。なお、光沢付加量は、本明細書の0056段落から0117段落にて説明した光沢付加量の取得フローに応じて、各タイプ毎に決定される。
まず、特徴量抽出部4122で求められたエッジレベルが3である場合、乗算器の乗算係数を0として、固定閾値誤差拡散処理を用いる。この時、量子化閾値選択で設定する閾値を大きなものに設定することにより、エッジ部に透明トナーが付着しにくくする。これにより、トナー散りを防ぎ、文字がぼやけることを防ぐことができる。
さらにエッジ部においては、注目画素における有色トナー付着量を参照し、有色トナー付着量が所定の閾値よりも多い場合には、透明トナーの付加をしない。あるいは有色トナー付着量が少ない時よりも透明トナー付加量を減らす(量子化閾値の値を上げて付着しにくくする)。これは、有色トナーの付着量が多い場合には、既に光沢が十分あるため、それ以上透明トナーを載せる必要がないためである。
エッジレベルが0〜2である場合は、さらに光沢付加量に応じて乗算係数を切り替える。エッジレベルが0〜2であり、光沢付加量が所定の閾値よりも小さい場合には、乗算係数を0に設定する。すなわち、固定閾値誤差拡散処理を実施する。光沢付加量が所定の閾値よりも大きな場合には、乗算係数はエッジレベルの値に応じて切り替える。図42に、光沢付加量が小さいときのエッジレベルと乗算係数の対応を示す。
十分に光沢付加量の大きい領域では、ディザ基調の量子化処理を実施することで、透明トナーが安定的に付着し、一様な光沢感が得られるが、光沢付加量が小さな場合にディザ基調の量子化処理を実施すると、現像プロセスの不安定性により透明トナーのドット再現が悪く、かえって付着ムラが目立つことになる。したがって、光沢付加量が小さな場合には、固定閾値誤差拡散処理を実施することとしている。
また、網点領域においては、量子化閾値切り替え部4152において、地肌領域とは閾値設定を切り替えることとする。
網点領域においては、有色トナーが既に付加されているため、有色トナー付着量を参照して、その有色トナー量を加味して一部透明トナー付着量を減少させるべく、量子化閾値を減少させることとする。網点領域と地肌領域とで、乗算係数を切り替えたり、階調処理方式を切り替えたりしても良い。すなわち、有色トナーが所定の値よりも大きい場合には、乗算係数を通常よりも1減じ固定閾値誤差拡散処理に近づける処理を行う。
ここまでの処理により決まる、画像領域の像域分離結果、光沢付加量と実施する階調処理の関係を表にすると、図43のようになる。各像域分離結果に基づく光沢付加量は、本明細書の0056段落から0117段落に記載の光沢付加量の取得フローに応じて、各タイプ毎に決定され、さらにその光沢付加量及び特徴量抽出結果、像域分離結果、有色トナー付加量に基づいて、階調処理方式及び量子化閾値設定が切り替わる。
編集(2)回路435は、画像追加/削除、枠消去、センターマスクなどのマスク処理、白黒(論理)反転などを、必要に応じて行う。
次に、図44に基づいて、画像データの流れを説明する。
複数枚(複数ページ)のシート原稿を、スキャナにより読み取り、画像データを生成する。スキャナによるスキャン中に、読み取りデバイスとして、原稿の一方の面の読み取り用にCCDデバイス使用され、原稿のもう一方の面の読み取りにCISデバイスを使用する。ドキュメントフィーダー内を一度の通過で、CCDとCISの2つのデバイスにより、原稿の両面の読み取りを行う。
一例として、CCDデバイスで読み取って生成した画像データを“表面(CCD)読み取り画像データ”とし、CISデバイスで読み取って生成した画像データを“裏面(CIS)読み取り画像データ”として図示している。“表面(CCD)読み取り画像データ1”と”裏面(CIS)読み取り画像データ2”は、同じ原稿の表面と裏面の画像データの関係にあり、同様に、“表面(CCD)読み取り画像データ2”と”裏面(CIS)読み取り画像データ3”、以下順に、“表面(CCD)読み取り画像データ9”と”裏面(CIS)読み取り画像データ10”が、一枚の原稿の表面と裏面の関係にある。
“表面(CCD)読み取り画像データ7”と“裏面(CIS)読み取り画像データ8”とは、一枚の原稿の通過の際にCCDおよびCISデバイスにより生成された画像データであるが、“裏面(CIS)読み取りデータ8”は、一旦、画像メモリ中に保持され、“表面(CCD)画像データ7”が、”裏面(CIS)読み取り画像データ6”の後に、HDD(ハードディスク)に保管された後に、画像メモリ中から読み出され、HDD中に保管される。画像メモリ中の“裏面(CIS)読み取り画像データ8”は、HDD中に保管された後に、消滅(削除)され、次の画像データである、“裏面(CIS)読み取り画像データ9”の保持に備えられる。
“表面(CCD)で読み取られた”画像データであるか、“裏面(CIS)で読み取られた”画像データであるかが、書誌情報として画像データに対応づけて記憶される。画像データの分類手段は、上記の書誌情報に基づいて、画像データ1〜10を、それぞれ、“CCDデバイスで読み取られた画像グループ1”と、“CISデバイスで読み取られた画像グループ2”との2つのグループに分類する。
図45のコピー(画像処理結果)は、図46の原稿種類として“蛍光ペン”を選択したコピー(画像処理結果)の概念図である。“色の組み合わせ”として“通常”を選択すると、“使用する色“は、“蛍光ペンの色:黄”、“上記以外の色:黒”が初期値として選択される。“蛍光ペンの色”の黄色は、操作部142などの変更手段により、使用者により他の色に変更可能である。原稿に蛍光ペンによるマーキング領域は、画像処理結果は、赤で再現され、それ以外の原稿は、黒(灰色を含む)で再現される。
図47は、L*(明度)C*(彩度)h*(色相角)表示のL*−C*平面上の断面図である。楕円はスキャナで色を識別することが可能な範囲を概念的に示した図である。蛍光ペンの色は彩度とも明度ともに高めであるので、原稿の斜線で概念的に示した色相に含まれる。この時のL*の上下限、C*成分の上下限は予め、蛍光ペンによるマーキングの色相を含むに用に設定しておき、この範囲内に含まれる色を、一例として黄色で再現し、それ以外の色相を黒(Black)で再現することを概念的に示している。
原稿を読み込んで生成された画像データが、異なるスキャナで読み込まれて生成された画像データは、sRGB、sYCC、adobe−RGBなどの書誌情報として、異なる色空間に基づいた画像データであることが示される。複写機のスキャナで読み取って生成された画像データの色空間(メーカー独自の色空間設定の場合など)と、他の機械のスキャナで読み取られた画像データや、あるいは、スキャナによらず、デジタルカメラなどの画像、コンピューターグラフィックなどで、スキャナによらず人工的に生成された画像データなどは、上述したようにsRGB、sYCC、adobe−RGBなど異なる色空間を有する画像データを、印刷する場合に適応することができる。
オペレータは、図示しない操作パネル上のスイッチ類からモードその他の処理条件を指定できる。内部スキャナを用いる複写モードでは、スキャナ401を動作し、原稿を順次R,G,Bに色分解して読み取り、画像処理部において、前述のシェーディング補正、MTF補正、γ補正、色補正、UCR処理が行われ、階調処理により多値化処理される。次のマルチプレクサは、内部スキャナ401からのデータか、外部I/Fを通して得られるデータを選択するためのもので、複写モードでは、内部スキャナ401からのデータによる画像データが選択する。データ変換機は、外部からビット数の異なるデータが入力されたとき出力系の特性に適合するようになっている。
画像読み取り系のブロック図を図48に示し、この画像読み取り系について説明する。
原稿は、スキャナ光学系の模式図として示す図49の露光ランプ(キセノンランプ)により照射され、反射光は、CCD(Charge Coupled Device)5401のRGBフィルタにより色分解されて読みとられ、増幅回路5402により所定レベルに増幅される。CCDドライバ5409は、CCDを駆動するためのパルス信号を供給する。CCDドライバ5409を駆動するために必要なパルス源は、パルスジェネレータ5410で生成され、パルスジェネレータ5410は、水晶発振子などからなるクロックジェネレータ5411を基準信号とする。パルスジェネレータ5410は、サンプルホールド(S/H)回路5403がCCD5401からの信号をサンプルホールドするための必要なタイミングを供給する。
S/H回路5403によりサンプルホールドされたアナログカラー画像信号は、A/D変換回路5404で8ビット信号(一例である)にデジタル化される。黒補正回路5405は、CCDのチップ間、画素間の黒レベル(光量が少ない場合の電気信号)のばらつきを低減し、画像の黒部にスジやムラを生じることを防ぐ。シェーディング補正回路5406は、白レベル(光量が多い場合の電気信号)を補正する。白レベルは、スキャナ400を均一な白色版の位置に移動して照射した時の白色データに基づき、照射系、光学系やCCD5401の感度ばらつきを補正する。図50に白補正・黒補正の画像信号の概念図を示した。
シェーディング補正回路5405からの信号は、画像処理部5407により処理され、プリンタ412で出力される。上記回路は、CPU5414により制御され、ROM5413及びRAM5415に制御に必要なデータを記憶する。CPU5414は、画像形成装置全体の制御を行うシステムコントローラ419とシリアルI/Fにより通信を行っている。CPU 5414は、図示しないスキャナ駆動装置を制御し、スキャナ400の駆動制御を行う。
増幅回路5402の増幅量は、ある特定の原稿濃度に対して、A/D変換回路5404の出力値が所望の値になるように決定する。一例として、通常のコピー時に原稿濃度が、0.05(反射率で0.891)のものを8ビット信号値で240値として得られるようにする。一方、シェーディング補正時には、増幅率を下げてシェーディング補正の感度を上げる。その理由は、通常のコピー時の増幅率では、反射光が多い場合には、8ビット信号で255値を超える大きさの画像信号となると、255値に飽和してしまい、シェーディング補正に誤差が生じるためである。
図51に、増幅回路5402で増幅された画像の読み取り信号がS/H回路5403でサンプルホールドされる際の画像信号の模式図を示す。横軸は、増幅後のアナログ画像信号がS/H回路5403を通過する時間で、縦軸は、増幅後のアナログ信号の大きさを表す。所定のサンプルホールド時間5501でアナログ信号がサンプルホールドされて、A/D変換回路5404に信号が送られることとなる。
同図は、前述した白レベルを読みとった画像信号で、増幅後の画像信号は、コピー時は、一例として、A/D変換後の値として240値、白補正時は、180値とした増幅後の画像信号の例である。
図52は、CIS(Contact Image Sensor)の模式図である。
LED光源からの光は、カバーを通過して原稿面を照明する。原稿からの反射光は、SLA(Self−focusing Lenz Array)により、等倍センサーに集光される。光学センサーでは、アナログ電気信号に光電変換され、CISドライバにより、シェーディング補正401b、チップ間画素補間処理431などのデジタル処理が実行され、メモリコントローラ432により、画像メモリ433に一時記憶がなされる。
次に、スキャナ(CCD)400aとスキャナ(CIS)400bの分光特性の相違について説明する。
図53に、スキャナ(CCD)400aのRGBフィルタの分光感度(一点鎖線)および、スキャナ(CIS)400bで使用されるRGBフィルタの分光感度(実線)の相対値を示す。スキャナ(CCD)400aおよび、スキャナ(CIS)400bのそれぞれで使用されるRGBフィルタの分光感度のピーク波長と、Greenフィルタの短波長への広がりが多少異なっている。
図54に、スキャナ(CCD)400aで使用する光源であるXeランプの分光強度(一点鎖線)、と、スキャナ(CIS)400bで使用する青色LED+黄色蛍光体の分光強度(実線)の相対値を示す。スキャナ(CIS)400bの光源であるLEDは450nm付近に青色LEDのピークがあり、長波長域にかけては黄色蛍光体により、ブロードな分光強度を有する。一方、スキャナ(CCD)で使用するXeランプ光源は、550nm付近を始めとして特徴的なピークが存在する。
図55に、スキャナ(CCD)400aの赤外カットフィルタの分光透過率(一点鎖線)とスキャナ(CIS)400bの赤外カットフィルタの分光透過率(実線)を示す。スキャナ(CCD)400aの赤外カットフィルタの分光透過率は、650nm以上の長波長域に相違がある。
印刷原稿モードは、印刷インクの色再現性や網点に合わせてモアレが出にくいような画像処理パラメータを設定する画質モードである。印画紙モードは、印画紙に使用される色材に色再現性を合わせた画像処理パラメータを設定する。複写原稿モードは、CMYKトナーの色再現性に合わせた画像処理パラメータを設定する。
印刷インクは、特殊インクあるいは特色を除いたプロセスインクの分光反射率は、図56〜図58に示すYellow(1)(2)、Orange(1)(2)、レッド(Red)(1)(2)などに比べて比較的ブロードで、種類も限られているので第1の設定を用いている。ただし、プロセスインク以外を使用する割合が多い原稿種などの色識別のために、フルカラーモードにおいては第2の設定も印刷原稿(2)モードとして選択可能である。印画紙、複写原稿なども、やはり色材の種類が限られていることと、色材の分光反射率がブロードであることから、同様な理由で第1の設定を用いる。
地図原稿モードは、道路地図や国土地理院や各市町村で発行されている地図などの色再現性を重視した画像処理パラメータを設定する。特に、発行する市町村により使用される色材が異なる場合があるために、上記の第2の設定を使用することは有効である。蛍光ペンモードや色鉛筆モードは、蛍光塗料やあるいはマーカーインクを使用したモードで、塗料の種類が多いことから、多様な原稿・色材に対応するために第2の設定を用いる。
操作部142などから、読み取る原稿種(あるいは原稿種モード)を指定された際に、設定された原稿種に応じて、スキャナ(CCD)400aで読み取るか、スキャナ(CIS)400bで読み取るかを、CPUにより判定する。
判定結果によって、操作画面にADFにシート状の原稿を載置する場合に、原稿面を下向き(あるいは上向き)にしてスキャナ(CIS)400bで読み取るか、あるいは原稿面を上向き(あるいは下向き)に載置してスキャナ(CCD)400aで読み取るかを、使用者に報知する。
また、別の手段として、指定された原稿種類に基づいて、スキャナ(CCD)400aで読み取るか、スキャナ(CIS)400bで読み取るかを応じて、ADF内で原稿を必要に応じて反転させる。すなわち、一例として、読み取り面を常に上向きに設定し、印刷原稿モードが指定された場合には、スキャナ(CCD)400aで読み取る。蛍光ペンモードが指定された場合には、ADF内で原稿を反転し、スキャナ(CIS)400bで読み取る。
図2の画像形成装置において、第2の設定を適応する画像処理パラメータを設定する際に、色補正・UCR処理(1)407においては、前述した第1の設定により画像処理パラメータを設定し、スキャナ(CCD)400aからの入力か、スキャナ(CIS)400bからの入力かに基づいて第1の設定のパラメータを切り替え、画像処理後の画像データをHDD419内に保管する。その際に、スキャナ(CCD)400aによって読み取られた画像データであるか、スキャナ(CIS)400bによって読み取られた画像データであるかを、書誌情報として画像データと付加・もしくは対応させて記憶させる。
プリンタ415を用いての印刷、もしくは、I/F421からの配信の際には、色補正・UCR処理(2)431において、付加もしくは対応させて記憶された書誌情報に基づいて、スキャナ(CCD)400aに読み取られた画像データであるか、スキャナ(CIS)400bによって読み取られた画像データであるかより、第2の設定の画像処理パラメータを切り替えて設定する。
両面原稿に対し、スキャナ(CCD)400aで読み取る原稿面を処理するための画質モードを、第1の設定の画質モード(印刷原稿モード、印画紙原稿モード、複写原稿モードなど)に設定し、スキャナ(CIS)400bで読み取る原稿面を処理するための画質モードを、第2の設定を行う画質モード(地図原稿モード、蛍光ペンモード、鉛筆原稿モード)に設定し、原稿の両面を一度の搬送により読み取る。
後述するACC(自動階調補正)で使用するスキャナγ変換テーブルにおいては、上述したコピー用のスキャナγ変換テーブルと異なり、読み取り対象である転写紙上のトナーの分光反射率特性に対して感度が高く、またCCDの分光感度バラつきの影響を補正するようにACCパターン読み取り用のスキャナγ変換テーブルを、スキャナデータ・キャリブレーションチャートの有彩色パッチの読み取り値を用いて作成する。
色味の異なる有彩色パッチと無彩色パッチとから、後述するように、ACCパターン(図59参照)の読み取り用のスキャナγ変換テーブルの作成を、Yellowトナー読み取り用のスキャナγ補正テーブル(スキャナγ変換テーブル)の作成方法を一例とし、図60に基づいて説明する。Yellowトナーの読み取りは、スキャナのRGBの3つの読み取り信号のうち、トナー量の変化に対してもっとも感度があるBlue信号の読み取り値を用いる。
いま、Yellowトナーの補正用に使用する有彩色(カラー)パッチは、例えば、図60に示すようなものであり、この有彩色パッチは、Yellowトナーの補正用として抽出したカラーパッチを、基準となるスキャナで読み取った数値の例である。Yellowトナーの読み取りに際しては、Blue信号の感度が高いため、Blue信号を用いる。また、色味が異なる複数の有彩色のカラーパッチから異なるBlue信号うちを出力する1.White、2.Yellow、5.Blue、6.Cyan、10.Gray、11.BlackのRGB読取信号のうち、Blue信号を用いることにより、Yellowトナー読取用の補正テーブルを作成する。
そして、ACC実行時のYellow読取用の補正テーブルを作成するにあたり、連結色補正用チャートHCは印刷インクで作成されているので、トナーの分光反射率とのずれが生じるため、図60には、その分のBlue用の補正係数の例が示されている。
そして、この上記補正係数は、Blue信号のCCD312の分光感度とYellowトナーの分光反射率の関係を波長λとの関係で示す図61に基づいて求めることができる。図61の横軸は、波長λであり、縦軸は、グラフ(a)については左側の軸に示したCCD312の分光感度[%]、グラフ(c)、(d)に対しては右側の軸に示したトナーの分光反射率[%]である。図43において、(a)は、Blue信号のフィルタの分光感度で、(b)は、Yellowトナーの分光反射率、(c)は、Yellowインクの分光反射率、(d)は、付着量が少ない場合のブラック(Bk)トナーの分光反射率を示している。なお、(a)の分光感度には、CCD312のBlueフィルタの分光透過率に、光源(ハロゲンランプ302)の分光エネルギーの積が用いられている。
図61から分かるように、Blue信号の出力B(CCD312、色材)は、波長λに対して、CCD312の分光感度S(CCD、λ)と色材の分光反射率ρ(色材、λ、面積率)との積S(CCD、λ)×ρ(色材、λ、面積率)に対する波長λに対しての積分値である。すなわち、次式(65)で与えられる。
Yellowトナー(以後、Yトナーと略す)とYellowインク(以後、Yインクと略す)を読み取った時のCCD312の分光感度特性aに対するBlue信号をそれぞれ次式(66),(67)のように表す。
ここで、分光感度S(a、λ)を使用するスキャナ部400の代表的な値とし、Yトナーρ(Yトナー、λ)とYインクの分光反射率ρ(Yインク、λ)を分光測色計による測定によって求める。以上によって、B(a、Yトナー)及びB(a、Yインク)を求めることができる。
連結色補正用チャートHC上の、印刷インクのYellowパッチを読み取って取得したBlue信号の読取値B(Yインク)から、ACC実行時のYトナーの読取値用として、Yトナーを読み取った場合の読取値B(Yトナー)を予測する際に、補正する係数k(Yellow)として、次式(68)を用いる。
B(Yトナー)=k(Yellow)×B(Yインク)…(68)
ただし、k(Yellow)=B(a、Yトナー、100%)/B(a、Yインク、100%)である。
なお、上記の説明では、Yellowトナーについて説明したが、他の色パッチについては、CCD312のBlueの分光感度が0でない領域において、Yellowトナーの分光反射率と計算しようとする印刷インクとによる色パッチの反射率が略等しいYトナーの面積率または単位面積当たりのトナー付着量[mg/cm2])を用いる。
例えば、図62に示す青緑インクの分光反射率特性(i)と、面積率50%のYellowトナーの分光反射率(c)及びBlue信号の読取値が、Yellowトナー(インク)の読取値よりも低い読取値を得るパッチ(Black、Green等)に関しては、補正係数の計算を行わず係数を1として使用する。このようにして求めた補正係数kは、図60のように示すことができる。
ACCパターン読み取り値補正用の変換テーブルの作成方法を図63に示すACCパターン読取値補正用テーブルの4元チャートに基づいて説明する。
図63の第1象現は、求めるACCパターン読み取り値補正用の変換テーブル(スキャナγ変換テーブル)を表し、横軸はACCパターン読み取り値、縦軸は変換後の値を表す。第4象現の縦軸は有彩色ならびに無彩色パッチの上記補正係数kでの補正後の読み取り値を表し、グラフは有彩色&無彩色パッチの読み取り値から、ACCパターン読み取り値補正用の変換テーブルを求めるための目標値(基準値)を表す。第3象現の横軸は有彩色ならびに無彩色パッチの読み取り値の基準値で、グラフは、有彩色ならびに無彩色パッチをスキャナで読み取った読み取り値を、前記補正係数kで補正した値を表した。第2象現は無変換(スルー)である。
図63に示した特性により、第3象現の読み取り値の結果(a)、(a’)から、それぞれ第1象現の(b)、(b’)の求めるACCパターン読み取り値補正用の変換テーブルD[ii](ii=0,1,2,…,255)が作成される。
図63の第4象現に示した読み取り値の目標値は、ACCパターンで読み取るYMCKの各トナー毎に作成する。これにより、ACC(自動階調補正)の調整精度を向上する。
下記の表5は、Cyanトナーの補正用として抽出したカラーパッチを、基準となるスキャナで読み取った数値の例である。なお、Cyanトナーの読み取りに際しては、Red信号の感度が高いために、Red信号を用いる。そこで、色味が異なる複数の有彩色のカラーパッチから、異なるRed信号値を出力する、1.White、2.Yellow、3.Red(もしくは4.Magenta)、5.Magenta〜Blueの間の色1、6.Magenta〜Blueの間の色2、7.Blue、8.Cyan、9.Green、10.Gray,11.Blakの有彩色並びに無彩色パッチのRed信号を用いてACC実行時のCyanトナー読み取り用の補正テーブルを作成する。
ACC実行時のCyan読み取り用のスキャナγ変換テーブルを作成するにあたり、スキャナデータ・キャリブレーションチャートは印刷インクで作成されているので、トナーの分光反射率とのずれが生じる。その分のRed用の補正係数の例を表に示した。
画像濃度(階調性)の自動階調補正(ACC: Auto Color Calibration)の機能を選択するための操作画面について説明する。
図64に例示する操作部142の液晶画面において、自動階調補正(ACC: Auto Color Calibration)メニュー呼び出すと、図65の画面が表示される。コピー使用時、あるいはプリンタ使用時用の自動階調補正の[実行]を選択すると、図66の画面が表示される。コピー使用時を選択した場合には、コピー使用時に使用する階調補正テーブルが、プリンタ使用時を選択するとプリンタ使用時の階調補正テーブルが参照データに基づいて変更される。変更後のYMCK階調補正テーブルで画像形成を行った結果が、望ましくない場合には、処理前のYMCK階調補正テーブルを選択することができるように、[元に戻す]キーが図65の画面中に表示されている。
図65に示す画面の中の上記の他の項目を説明する。
図65の自動階調調整画面には、“自動階調補正の設定”を選択すると、後述する“地肌の補正”、“高濃度部の補正”の“実行”または“非実行”を選択することができる。“自動階調補正の設定”メニューでは、“自動階調補正の設定”と“光量ムラ検知の設定”を選択することができる。なお、これらの選択は必ずしも必要ではなく、常に“実行”としてもよい。
上記のように、無彩色パッチから、コピー時に使用するRGB各読み取り成分についてスキャナγ変換テーブルを作成する。一方、有彩色パッチと無彩色パッチとから、後述するACC(自動階調補正)実行時に出力した調整用パターンを読み取って得た、YMCK各階調パターンの読み取り値を補正する。したがって、前者の処理では、RGB3つの変換テーブルを使用し、後者の処理では、YMCK4つの変換テーブルを使用する。
次に、画像濃度(階調性)の自動階調補正(ACC:Auto Color Calibration)の動作を図67のフローチャートに基づいて説明する。
図65の画面で、コピー使用時、あるいはプリンタ使用時用の自動階調補正の[実行]を選択すると、図66の画面が表示される。
図66の画面中の印刷スタートキーを押し下げると、図59に示すような、YMCK各色、及び文字、写真の各画質モードに対応した、複数の濃度階調パターンを転写材上に形成する(ステップS1101)。
この濃度階調パターンは、あらかじめIPUのROM中に記憶・設定がなされている。パターンの書込み値は、16進数表示で、00h,11h,22h,…,EEh,FFhの16パターンである。図59では、地肌部を除いて5階調分のパッチを表示しているが、00h−FFhの8ビット信号の内、任意の値を選択することができる。文字モードでは、パターン処理などのディザ処理を行わず、1ドットにつき256階調でパターンが形成され、写真モードでは、後述するディザ処理が行われる。
転写材にパターンが出力された後、転写材を原稿台(コンタクトガラス)118上に載置するように、操作画面上には、図68の画面が表示される。画面の指示に従い、ユーザーが、パターンが形成された転写材を原稿台118に載置して(ステップS1102)、図66の画面で“読み取りスタート”を選択するか、または“キャンセルを選択する(ステップS1103)。
ユーザーが、”キャンセル“を選択した場合(ステップS1103でYes)には終了し(ステップS1104)、“読み取りスタート”を選択すると(ステップS1103でNo)、スキャナが走行し、転写紙のYMCK濃度パターンのRGBデータを読み取る(ステップS1105)。この際、パターン部のデータと転写材の地肌部のデータを読み取る。
パターン部のデータが正常に読み取られたかの判断を行う(ステップS1106)。正常に読み取られない場合、すなわち読み取りエラーの場合には(ステップS1106でYes)、再び図66の画面が表示される。2回正常に読み取られない場合には(ステップS1107でYes)処理を終了する(ステップS1107)。
ACCパターンの各読み取り値は、前述したACCパターン読み取り値補正用テーブルD[ii](ただし、ii=0,1,2,…,255)で変換をし、YMCK各色毎に補正する(ステップS1108)。
地肌データを用いた処理の”実行”・”非実行”を図65の画面で選択された結果により判断する(ステップS1109)。地肌データを用いた処理の”実行”(地肌の補正を”行う”)が選択されていた場合には(ステップS1109でYes)、読み取りデータに対する地肌データ処理を行う(ステップS1110)。そうでない場合は(ステップS1109でNo)、ステップS1111へ移行する。
更に、参照データの高画像濃度部の補正の”実行”・”非実行”を図65の画面で選択された結果により判断する(ステップS1111)。参照データの高画像濃度部の補正の”実行”(図中”行う”)が選択されていた場合には(ステップS1111でYes)、参照データに対する高画像濃度部の処理を行う(ステップS1112)。そうでない場合は(ステップS1111でNo)、ステップS1113へ移行する。
次に、YMCK階調補正テーブルを作成する(ステップS1113)。
上記の処理をYMCKの各色について(ステップS1114でYesと判定されるまで)行う。YMCK各色について終了すると(ステップS1114でYes)、次のステップS1115へ移行する。
さらに、上記の処理を写真、文字の各画質モード毎に各画質モードについて(ステップS1115でYesと判定されるまで)行う。各画質モードについて終了すると(ステップS1115でYes)、一連の処理を終了する。
処理中には、操作画面には図69の画面が表示される。処理終了後のYMCK階調補正テーブルで画像形成を行った結果が、望ましくない場合には、処理前のYMCK階調補正テーブルを選択することができるように、[元の値に戻す]キーが図65の画面中に表示されている。
次に、地肌の補正について説明する。
地肌の補正の処理の目的として2つある。1つは、ACC時に使用される転写材の白色度を補正することである。これは、同一の機械に、同じ時に画像を形成しても、使用する転写材の白色度によって、スキャナで読み取られる値が異なるためである。これは補正しない場合のデメリットとしては、例えば、白色度が低い、再生紙などをこのACCに用いた場合、再生紙は一般にイエロー成分が多いために、イエローの階調補正テーブルを作成した場合に、イエロー成分が少なくなるように補正する。この状態で、次に、白色度が高いアート紙などでコピーをした場合に、イエロー成分が少ない画像となって望ましい色再現が得られない場合がある。
もう一つの理由としては、ACC時に用いた転写紙の厚さ(紙厚)が薄い場合には、転写材を押さえつける圧板など色が透けてスキャナに読み取られてしまう。例えば、圧板の代わりにADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる原稿自動送り装置を装着している場合には、原稿の搬送用にベルトを用いているが、これが使用しているゴム系の材質により、白色度が低く、若干の灰色味がある。そのため、読み取られた画像信号も、見かけ上、全体に高くなった画像信号として読み取られるために、YMCK階調補正テーブルを作成する際に、その分薄くなるように作成する。この状態で、今度は紙厚が厚く、透過性が悪い転写紙を用いた場合には、全体の濃度が薄い画像として再現されるため、必ずしも望ましい画像が得られない。
上記のような不具合を防ぐために、紙の地肌部の読み取り画像信号から紙の地肌部の画像信号により、パターン部の読み取り画像信号の補正を行っている。しかし、上記の補正を行わない場合にもメリットがあり、常に再生紙のように、イエロー成分が多い転写紙を用いる場合には、補正をしない方がイエロー成分が入った色に対しては色再現が良くなる場合ができる。また、常に、紙厚が、薄い転写紙のみしか用いない場合には、薄い紙に合わせた状態に階調補正テーブルが作成されるというメリットがある。
上記のように、使用者の状況と好みとに応じて、地肌部の補正をON/OFFを行うことができる。
次に、自動補正の動作及び処理について説明する。
転写紙上に形成した階調パターン(図59)の書込み値をLD[i](i=0,1,…,9)、形成されたパターンのスキャナでの読み取り値をベクトル型式でv[t][i]≡(r[t][i],g[t][i],b[t][i])(t=Y,M,C,orK,i=0,1,…,9)とする。(r,g,b)の代わりに、明度、彩度、色相角(L*,c*,h*),あるいは、明度、赤み、青み(L*,a*,b*)などで表しても良い。あらかじめROM416またはRAM417中に記憶してある基準となる白の読み取り値を(r[W],g[W],b[W])とする。
ACC実行時にγ変換処理部410で行われる階調変換テーブル(LUT)の生成方法について説明する。
パターンの読み取り値v[t][i]≡(r[t][i],g[t][i],b[t][i])において、YMCトナーの各補色の画像信号はそれぞれb[t][i],g[t][i],r[t][i]であるので、それぞれの補色の画像信号のみを用いる。ここでは、後の記載を簡単にするために、a[t][i](i=0,1,2,…,9;t=C,M,Y,orK)を用いて表す。階調変換テーブルを作成すると処理が簡単である。なお、ブラックトナーについては、RGBのいずれの画像信号を用いても十分な精度が得られるが、ここでは、G(グリーン)成分を用いる。
参照データは、スキャナの読み取り値v0[t][i]≡(r0[t][i],g0[t][i],b0[t][i])及び対応するレーザーの書込み値LD[i](i=1,2,…,m)の組によって与えられる。同様に、YMCの補色画像信号のみを用いて、後の記載を簡単にするために、 A[t][n[i]](ただし、0≦n[i]≦255;i=1,2,…,m;t=Y,M,C,orK)と表す。mは参照データの数である。
YMCK階調変換テーブルは、前述したa[LD]とROM416中に記憶されている参照データA[n]とを比較することによって得られる。ここで、nは、YMCK階調変換テーブルへの入力値で、参照データA[n]は、入力値nをYMCK階調変換した後のレーザー書込み値LD[i]で出力したYMCトナー・パターンを、スキャナで読み取った読み取り画像信号の目標値である。ここで、参照データは、プリンタの出力可能な画像濃度に応じて補正を行う参照値A[n]と補正を行わない参照値A[n]との2種類の値とからなる。補正を行うかどうかの判断は、予めROMまたはRAM中に記憶されている後述する判断用のデータにより判断される。この補正については後述する。
前述したa[LD]から、A[n]に対応するLDを求めることにより、YMCK階調変換テーブルへの入力値nに対応するレーザー出力値LD[n]を求める。
これを、入力値i=0,1,…,255(8bit信号の場合)に対して求めることにより、階調変換テーブルを求めることができる。その際、YMCK階調変換テーブルに対する入力値n=00h,01h…,FFh(16進数)に対するすべての値に対して、上記の処理を行う代わりに、ni=0,11h,22h,…,FFhのようなとびとびの値について上記の処理を行い、それ以外の点については、スプライン関数などで補間を行うか、あるいは、予めROM416中に記憶されているYMCKγ補正テーブルの内、上記の処理で求めた(0,LD[0]),(11h,LD[11h]),(22h,LD[22h]),…,(FFh,LD[FFh])の組を通る、最も近いテーブルを選択する。
上記処理を図70に基づいて説明する。図70の第1象現(a)の横軸は、YMCK階調変換テーブルへの入力値n、縦軸は、スキャナの読み取り値(処理後)で、前述した参照データA[i]を表す。スキャナの読み取り値(処理後)は、階調パターンをスキャナで読み取った値に対し、RGBγ変換(ここでは変換を行っていない)、階調パターン内の数ヶ所の読み取りデータの平均処理及び加算処理後の値であり、演算精度向上のために、ここでは、12ビットデータ信号として処理する。
図70の第2象現(b)の横軸は、縦軸と同じく、スキャナの読み取り値(処理後)を表している。第3象現(c)の縦軸は、レーザー光(LD)の書込み値を表す。このデータa[LD]は、プリンタ部の特性を表す。また、実際に形成するパターンのLDの書込み値は、00h(地肌),11h,22h,…,EEh,FFhの16点であり、飛び飛びの値を示すが、ここでは、検知点の間を補間し、連続的なグラフとして扱う。第4象現のグラフ(d)は、YMCK階調変換テーブルLD[i]で、このテーブルを求めることが目的である。
グラフ(f)の縦軸・横軸は、グラフ(d)の縦軸・横軸と同じである。検知用の階調パターンを形成する場合には、グラフ(f)に示したYMCK階調変換テーブル(g)を用いる。また、グラフ(e)の横軸は、第3象現(c)と同じであり、階調パターン作成時のLDの書込み値と階調パターンのスキャナの読み取り値(処理後)との関係を表すための、便宜上の線形変換を表している。ある入力値nに対して参照データA[n]が求められ、A[n]を得るためのLD出力LD[n]を階調パターンの読み取り値a[LD]を用いて、図中の(l)に沿って求める。
続いて、自動階調補正(ACC)の演算手順を図71のフローチャートに基づいて説明する。
図71において、ACC時の階調変換テーブル作成処理では、まず、YMCKγ補正テーブルを求めるために必要な入力値を決める(ステップS1201)。ここでは、n[i]=11(h)×i(i=0,1,…,imax=15)とした。
すなわち、RGBγ変換を行った場合でのグラフと比較すると、第3象現のプリンタ特性のグラフは一致しているが、第2象現のRGBγ変換テーブルの特性が異なっている。これに応じて、第1象現の参照データを変更する必要があるが、最終的な結果であるYMCK階調変換テーブルLD[n]の特性は、一致している。
上記のように、RGBγ変換テーブルによる処理を行うか、行わないかに応じて参照データを変更することにより、対応する。本実施例で使用したRGBγ変換テーブルの例を示した。
次に、参照データA[n]を、プリンタの出力可能な画像濃度に応じて補正を行う(ステップS1202)。
すなわち、プリンタ部で作成可能な最大画像濃度を得られるレーザーの書込み値を、FFh(16進数表示)であるとし、この時のパターンの読み取り値m[FFh]をmmaxとする。低画像濃度側から中間画像濃度側にかけて補正を行わない参照データA[i](i=0,1,…,i1)、高画像濃度側の補正を行わない参照データA[i](i=i2+1,…,imax−1)(i1≦i2,i2≦imax−1)、補正を行う参照データA[i](i=i1+1,…,i2)とする。
以下では、RGB−γ変換を行わない、原稿反射率に比例した画像信号として仮定して、具体的な計算方法を述べる。補正を行わない参照データの内、高画像濃度部の最も画像濃度が低い参照データA[i2+1]と、低画像濃度部の最も画像濃度が低い参照データA[i1]とから、次式(69)により、そのデータの差Δrefを求める。
Δref=A[i1]-A[i2+1]…(69)
ここで、反転処理であるRGBγ変換を行わない反射率リニアあるいは明度リニアの場合には、Δref>0である。
一方、プリンタ部で作成可能な最大画像濃度を得られるパターンの読み取り値mmaxから、次式(70)により、差Δdetを求める。
Δdet=A[i1]-mmax…(70)
そして、次式により、高濃度部の補正を行った参照データA[i](i=i1+1,…,i2)を、次式(71)により求める。
A[i]=A[i1]+(A[i]-A[i1])×(Δdet/Δref)…(71)
ただし、i=i1+1,i1+2,…,i2−1,i2である。
次に、n[i]に対応するスキャナの読み取り画像信号m[i]を参照データA[n]から求める(ステップS1203)。
なお、この読取画像信号m[i]を求めるには、実際には、飛び飛びのn[j]に対応する参照データA[n[j]](ただし、0≦n[j]≦255,j=0,1,…jmax、n[j]≦n[k] for j≦k)を次のようにして求める。
すなわち、n[j]≦n[i]<n[j+1]となるj(0≦j≦jmax)を求める。
なお、8bit画像信号の場合、n[0]=0,n[jmax]=255、n[jmax+1]=n[jmax]+1、A[jmax+1]=A[jmax]として参照データを求めておく。このようにすると計算が簡単になる。
また、参照データの間隔は、n[j]はできるだけ小さい間隔である方が、最終的に求めるγ補正テーブルの精度が高くなる。
次に、書込み値LDに対するACCパターン読み取り値a[LD]を、前述の補正用テーブルD[ii](ii=0,1,2,…,255)を用いて、以下のように補正する(ステップS1204)。
a1[LD]=D[a[LD]]
このa1[LD]を以下では、a[LD]として表記する。
このようにして求めたjから、m[i]を次式(72)により求める。
m[i]=A[j]+(A[j+1]-A[i])・(n[i]-n[j])/(n[j+1]-n[j])…(72)
なお、上式(72)では、一次式により補間しているが、高次関数やスプライン関数などで補間を行っても良い。その場合には、“m[i]=f(n[i])”
とする。
k次関数の場合には、次式(73)とする。
上記のようにして、m[i]を求めると、m[i]を得るためのレーザー光(LD)の書込み値LD[i]を同様な手順で求める(ステップS1205)。そして、RGBγ変換を行っていない画像信号データを処理する場合には、以下に示すように、レーザー光(LD)の値が大きくなるに従ってa[LD]が小さくなる。つまり、LD[k]<LD[k+1]に対して、a[LD[k]]≧a[LD[k+1]]となる。
ここで、パターン形成時の値をLD[k]=00h,11h,22h,…,66h,88h,AAh,FFh,(k=0,1,…,9)の10値とした。これは、トナー付着量が少ない画像濃度では、トナー付着量に対するスキャナの読み取り値の変化が大きいため、パターンの書込み値LD[k]の間隔を密にし、トナー付着量が多い画像濃度では、トナー付着量に対するスキャナの読み取り値の変化が小さいために、間隔を広げて読み込むためである。
このようにすると、LD[k]=00h,11h,22h,…,EEh,FFh(計16点)などとパターンの数を増やす場合に比べて、トナー消費を抑えられること、また、高画像濃度領域では、LD書込み値に対する変化が少ないこと、感光体上の電位ムラ、トナーの付着ムラ、定着ムラ、電位ムラなどの影響で、読み取り値が逆転したりしやすいため、LD書込み値の間隔を狭めても必ずしも精度の向上に有効ではないことなどから、上記のようなLD書込み値でパターンを形成した。
そして、a[LD[k]]≧m[i]>a[LD[k+1]]となるLD[k]に対して、次式(74)により、LD[i]を以下のように設定する。
LD[i]=LD[k]+(LD[k+1]-LD[k])・(m[i]-a[LD[k]])/(a[LD[k+1]]-a[LD[k]])…(74)
ここで0≦k≦kmax(kmax>0)としたとき、a[LD[kmax]]>m[i]の場合(参照データから求めた目標値の画像濃度が高い場合)には、次式(75)により、1次式で外挿を行うことによって予測する。
LD[i]=LD[k]+(LD[kmax]-LD[kmax-1])・(m[i]-a[LD[kmax-1]])/(a[LD[kmax]]-a[LD[kmax-1]])…(75)
以上により、YMCKγ補正テーブルへの入力値n[i]と出力値LD[i]の組(n[i]、LD[i])(i=0、1、・・・、15)を求めることができる。
なお、上述のように1次式で外挿するだけでなく、対数を取るなどの方法で外挿を行っても良い。そして、求められた(n[i],LD[i])(ただし、i=0,1,…,15)を元に、スプライン関数などで内挿を行うか、あるいは、ROM132中に有しているγ補正テーブルを選択することで、階調変換テーブルを求める(ステップS1206)。
以上説明したように、透明トナーによる光沢付加量や画像の特徴量に応じて、階調処理方式や階調処理で用いられる閾値を変動させるので、画像のエッジ部に透明トナーが載りすぎないようにしたり、非エッジ領域でムラが発生したりしないようにすることができる。
<第2の実施例>
全体の構成は、第1の実施例と同じである。本実施例では、特に、ユーザーが所望する画質の種類を指定する画質モードの指定を行う場合を配慮する。文字部においては解像力を重視し、絵柄部においては階調性を重視するような文字/写真モードにおける設定に対応するようにする。具体的には、文字/写真モードの時に階調処理方式をディザ閾値誤差拡散または誤差拡散処理にする。階調処理の方式を切り替えて光沢付加量を決定する際、文字/写真モードが選択されている場合、階調処理の方式をディザ誤差拡散処理または誤差拡散処理に切り替えて光沢付加量を決定する。
これは複写機において、最もユーザーが利用するモードであるが、実際には、像域分離部における画像認識の際、読み込ませる画像データの全てを全く誤りなく認識することは難しい。このように像域分離が認識を誤った際には、画像はユーザーの所望するものとは大きく異なるものとなってしまう。そこで複写機には、文字/写真モード以外にも、文字に特化した処理を行う文字モード、写真に特化した写真モード、蛍光ペン原稿の再現に特化した蛍光ペンモードなど、原稿の内容に応じた種種の画質モードを有するものが多い。そこで、階調処理の方式や閾値設定も、各画質モード毎に切り替えることでユーザーの所望する画像を得ることができるようにする。
また、文字や線画の鮮鋭性が求められる文字モードでは、画像の滑らかさや光沢が所望される割合は少ない。そこで、文字/写真モードでは、ディザ閾値誤差拡散であったところでも、固定閾値誤差拡散に一部変更する。特徴量抽出のエッジレベルが1であった場合も固定閾値誤差拡散処理を採用する。あるいは、全ての階調処理方式を固定閾値誤差拡散処理に切り替えても良い。そして、文字/写真モードに比べて、全体に閾値を下げ、光沢付加量が下がるようにする。
なお、以上では、画像形成処置として複写機を例に説明したが、これに限らず、本発明は、カラー画像データから、透明トナーを使用するカラー印刷可能なデジタル方式の複写機や、プリンタ、FAX等、種々の画像形成装置に対しても適用することができる。