JP4601797B2 - 物品移送装置及び物品移送方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレイ上に載置された物品をトレイ上から移送するための装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トレイ上に載置された物品をトレイから他の位置に移送する場合、移送の省力化を図るため、従来より、例えば真空吸引により物品のみを持ち上げ、移送する方法が採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えばレトルト殺菌に用いられる袋体のような変形しやすい物品では、大型で重量が大きい場合、あるいは内容物が軟質な場合等には、吸引による移送が困難となることがあった。本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、例えば上記袋体のような変形しやすい物品を、その重量や内容物等にかかわらず、容易にトレイから移送可能とすることをその目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トレイ上に載置された物品を上記トレイから移送する装置であって、上記トレイを着脱自在に支持するトレイ支持手段と、上記トレイ上に載置された上記物品に上方から当接され、上記トレイ支持手段に支持された上記トレイとの間に上記物品を挟持する物品支持手段と、上記トレイ支持手段及び上記物品支持手段をそれぞれ反転させる反転手段とを備えることを特徴としている。反転手段には、例えば、上記トレイの側方に位置する水平な軸と、上記トレイ支持手段及び上記物品支持手段をそれぞれ上記軸回りに180度反転可能に支持するアームとを備えるものが用いられる。
【0005】
ここで、上記物品支持手段が、上記反転により上記物品支持手段上に載置された上記物品を側方に移送する移送手段を備えることが望ましい。上記移送手段には、例えば、上記物品支持手段上に載置された上記物品を側方に搬送するコンベヤが用いられる。
【0006】
更に、上記物品支持手段の上記物品との当接部位には、上記トレイ支持手段に支持された上記トレイとの間に挟持された上記物品により弾性変形可能な程度の可撓性を付与することが望ましい。具体的には、上記当接部位を、独立発泡の合成樹脂発泡体とすることが望ましい。
【0007】
また、本発明は上記物品移送装置を用いた物品移送方法にも係り、上記物品が載置された上記トレイを上記トレイ支持手段にて支持する工程と、このトレイ上に載置された上記物品を上記物品支持手段にて上方から覆い、上記物品を、上記トレイ支持手段に支持された上記トレイと上記物品支持手段との間に挟持する工程と、これら上記トレイ支持手段及び上記物品支持手段を反転させる工程と、反転後の上記トレイ支持手段を上記トレイを支持したまま上記軸回りに再度反転させ、上記物品支持手段上に載置された上記物品上から取り除く工程とを有することを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る物品移送装置の構造の例を図1及び図2に示す。符号1は水平に延設された軸(反転手段)で、軸1の両端部からは、各一対の平行なアーム2,3(反転手段)がそれぞれ径方向外方に突出している。個々のアーム2,3は、図1に矢印Rで示すように、その先端に支持されたトレイ支持手段4または物品支持手段5(いずれも後述)が軸1を中心として180°反転し、図1に(a)〜(d)で示すいずれかの位置をとるよう、軸1周りに180°回転可能とされている。また、回転時におけるアーム2,3の干渉を避けるため、符号2で示すアームは、符号3で示すアームより、軸1の端部側に設けられている。なお、以下の記載中、軸1の延設方向を前後、図1に(a)〜(d)で示す位置におけるアーム2,3の延設方向を左右と定義する。
【0009】
符号2で示すアームの前後の間隔は、トレイTの前後幅より若干広く設定されるとともに、個々のアーム2の先端部には、トレイTの側面を前後からそれぞれ挟持するための、前後一対のエアシリンダ4aが、トレイTの左右の幅に応じた所定の間隔で左右に離間して、それぞれ設けられている。そして、これらエアシリンダ4aにより、トレイTを着脱自在に支持するトレイ支持手段4が形成されている。
【0010】
一方、符号3で示すアームの先端には、前後に延設された左右一対のフレーム5aが、トレイ支持手段4を図1に(a)で示すように軸1の左方にて水平に配置した際に、図1に(b)で示すように、トレイ支持手段4に上方から重なるよう支持されている。また、これらフレーム5a間には、フレーム5aの前後端にて左右に延設された前後一対のローラ5bと、これらローラ5b間に掛け渡された、無端状をなすベルト5cとを備えるベルトコンベヤ(移送手段)51が支持されている。
【0011】
更に、ベルト5cの表面(物品との当接部位)を構成する材質には、後述するように、トレイ支持手段4に支持されたトレイTとの間に挟持された物品(図示せず。)により弾性変形可能な程度の可撓性を有する素材が用いられている。具体的には、独立発泡の合成樹脂発泡体(例えばシリコンラバー等)の使用が好ましい。
【0012】
符号5dはフレーム5aに支持されたモータで、モータ5dの回転をベルト5eを介してローラ5bの一方の軸5fに伝達することにより、ベルトコンベヤ51が駆動される。また、トレイ支持手段4との干渉を避けるため、モータ5dは、フレーム5aを図1に(b)で示すようにトレイ支持手段4に上方から重ねた際に、上方側となる位置に支持されている。そして、これらフレーム5aないし軸5fに至る部材により、トレイT上に載置された物品に上方から当接され、トレイ支持手段4に支持されたトレイTとの間に物品を挟持する物品支持手段5が形成されている。
【0013】
一方、トレイ支持手段4を軸1の左方にて水平に配置した(図1に(a)で示す位置に配置した)際に、トレイ支持手段4の下方となる位置には、物品が載置されたトレイTを搬送する複数のローラ6が、左右に配列されている。また、符号7は、トレイ支持手段4の下方にて、隣り合うローラ6間に立設された、油圧シリンダ等を利用したリフターで、その先端部を上記ローラ6間から上方に伸長させることにより、ローラ6上のトレイTを、アーム2間にて対向するエアシリンダ4a間に移送可能となっている。そして、上記軸1、アーム2,3、トレイ支持手段4、物品支持手段5、及びリフター7により、物品移送装置8が概略構成されている。
【0014】
次いで、上記物品移送装置8による、トレイT上からの物品の移送手順について以下に説明する。
まず、アーム2を軸1周りに左方に回転させ、トレイ支持手段4を、予め図1に(a)で示す位置に配置させておく。物品が載置されたトレイTが、ローラ6上を、トレイ支持手段4の下方まで搬送されると、トレイTの搬送が停止するとともに、リフター7の先端部がローラ6間から上方に伸長し、ローラ6上のトレイTを、トレイ支持手段4のエアシリンダ4a間に移送する。
【0015】
トレイTがエアシリンダ4a間に移送されたら、エアシリンダ4aを伸長させ、トレイTの側面を、エアシリンダ4aにて前後から挟持することにより、トレイ支持手段4がトレイTを支持する。一方、上記操作中、物品支持手段5は、図1に(c)で示すように、軸1の右側に待機している。また、トレイ支持手段4によるトレイTの支持後、リフター7の先端部は収縮し、ローラ6の下方に戻る。
【0016】
トレイTがトレイ支持手段4に支持されたら、アーム3を軸1周りに左方に回転させ、物品支持手段5を、図1に(b)で示すように左方に180°反転させる。その結果、物品支持手段5がトレイ支持手段4に上方から重なるとともに、ローラ5b間に掛け渡されたベルト5cが、トレイT上に載置された物品を上方から覆い、物品が、トレイ支持手段4に支持されたトレイTと物品支持手段5との間に挟持される。
【0017】
トレイ支持手段4と物品支持手段5とによりトレイT及び物品が支持されたら、アーム2,3を軸1周りに同時に右方に回転させ、トレイ支持手段4及び物品支持手段5を、これら手段4,5によるトレイT及び物品の支持を維持したまま、図1に(c),(d)で示すように、右方に180°反転させる。その結果、トレイ支持手段4及び物品支持手段5、並びにこれら支持手段4,5に支持されたトレイT及び物品の天地が逆になり、トレイT上に載置されていた物品が、ベルト5c上に載置される。この場合、ベルト5cの材質に、トレイ支持手段4に支持されたトレイTとの間に挟持された物品により弾性変形可能な程度の可撓性を有する素材が用いられているため、物品支持手段5による挟持中、物品は上記物品の形状に応じて弾性変形したベルト5cの表面によりトレイT側に弾性的に押圧される。その結果、挟持に伴う物品側面の損傷や、トレイ支持手段4及び物品支持手段5の反転中(特に垂直になった場合)における物品の位置ズレ等が防止される。
【0018】
トレイ支持手段4及び物品支持手段5が右方に反転したら、アーム2を再度軸1周りに左方に回転させ、トレイ支持手段4を、トレイTを支持したまま、図1に(a)で示す位置に戻す。そして、図1に(a)で示す位置にて、エアシリンダ4aによるトレイTの挟持を解除し、トレイ支持手段4からトレイTを取り外す。一方、図1に(c)で示す位置にてベルト5c上に載置された物品は、モータ5dを作動させることにより、ベルト5cの回転方向に沿って前方または後方に搬送され、ベルト5c上から排除されるとともに、次工程へと送られる。
【0019】
そして、図1に(a)で示す位置に戻されたトレイ支持手段4に、ローラ6上を搬送されて来た新たなトレイTをリフター7を介して供給し、上記操作を繰り返すことにより、トレイT上の物品が、順次トレイTから移送される。また、上記操作は、作業員が操作盤等を用いて行ってもよく、シーケンサ等を用いた自動操作により行ってもよい。
【0020】
上記物品移送装置8によれば、トレイTに載置された物品を、その重量や内容物、あるいは物品の形状やサイズ等にかかわらず、容易にトレイTから移送することができる。従って、従来では装置による移送が困難であった、例えばレトルト殺菌に用いられる袋体のような変形しやすい物品であっても、容易に移送可能である。しかも、トレイTの外形さえ同一であれば、いかなるトレイTに載置された物品であっても移送可能であるため、装置に合わせて特殊なトレイTを用意したり、あるいはトレイT上に載置された物品の位置や種類、あるいはサイズ等に応じて装置の仕様を変更する必要もない。
【0021】
但し、物品移送装置8を構成する各部材の具体的形状等を、支持されるトレイTや物品の形状等に応じ、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更することももちろん可能である。例えば、ベルトコンベヤ51に使用されるベルト5cの材質に、上記のような可撓性を有する素材の他、摩擦係数の大きい素材や粘着性を有する素材を用い、物品の側面との摩擦抵抗を増加させることにより、反転中における物品のズレを防止することも可能である。また、物品支持手段5に用いられる移送手段として、フレーム5b間に前後に配設された、左右に延びる複数のローラ等を用いてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る物品移送装置によれば、トレイに載置された物品を、その重量や内容物、あるいは物品の形状やサイズ等にかかわらず、容易にトレイから移送することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る物品移送装置の構造の例を示す図2中矢印Iに沿った側面図である。
【図2】 本発明に係る物品移送装置の構造の例を示す図1中矢印IIに沿った上面図である。
【符号の説明】
1 軸(反転手段)
2,3 アーム(反転手段)
4 トレイ支持手段
5 物品支持手段
8 物品移送装置
51 ベルトコンベヤ(移送手段)
T トレイ

Claims (7)

  1. トレイ上に載置された物品を上記トレイから移送する装置であって、上記トレイを着脱自在に支持するトレイ支持手段と、上記トレイ上に載置された上記物品に上方から当接され、上記トレイ支持手段に支持された上記トレイとの間に上記物品を挟持する物品支持手段と、上記トレイ支持手段及び上記物品支持手段をそれぞれ反転させる反転手段とを備え、上記物品支持手段の上記物品との当接部位が、上記トレイ支持手段に支持された上記トレイとの間に挟持された上記物品により弾性変形可能な程度の可撓性を有し、上記物品支持手段による挟持中、上記当接部位は、上記物品の形状に応じて弾性変形し、上記物品を上記トレイ側に弾性的に押圧することを特徴とする物品移送装置。
  2. 上記反転手段が、上記トレイの側方に位置する水平な軸と、上記トレイ支持手段及び上記物品支持手段をそれぞれ上記軸回りに反転可能に支持するアームとを備えることを特徴とする請求項1に記載の物品移送装置。
  3. 上記物品支持手段が、上記反転により上記物品支持手段上に載置された上記物品を側方に移送する移送手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の物品移送装置。
  4. 上記移送手段が、上記物品支持手段上に載置された上記物品を側方に搬送するコンベヤであることを特徴とする請求項3に記載の物品移送装置。
  5. 上記当接部位が、独立発泡の合成樹脂発泡体であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の物品移送装置。
  6. 上記物品が袋体であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の物品移送装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の物品移送装置を用いた物品移送方法であって、上記物品が載置された上記トレイを上記トレイ支持手段にて支持する工程と、このトレイ上に載置された上記物品を上記物品支持手段にて上方から覆い、上記物品を、上記トレイ支持手段に支持された上記トレイと上記物品支持手段との間に挟持する工程と、これら上記トレイ支持手段及び上記物品支持手段を反転させる工程と、反転後の上記トレイ支持手段を上記トレイを支持したまま再度反転させ、上記物品支持手段上に載置された上記物品上から取り除く工程とを有することを特徴とする物品移送方法。
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