JP4599540B2 - 石炭灰処理設備 - Google Patents

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Description

本発明は火力発電所や石炭焚きボイラーなどから排出される石炭灰を処理してフライアッシュを製造する設備に関する。
火力発電所や石炭焚きボイラーなどから発生する石炭灰の排出量は年々増加する傾向にあるが、大量の石炭灰を効率良く処理する方法として、セメントの代替あるいは細骨材の代替としての適用が広く知られている。しかしながら、石炭灰には未燃カーボンと呼ばれる残渣が含まれており、この未燃カーボンはセメントモルタルやコンクリートの流動性あるいは空気連行性を低下させる原因となる。このため、セメント混和材やコンクリート混和材として石炭灰を使用するためには、未燃カーボンの除去が必要である。そこで、ショートキルンと流動床とを備えた処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1記載の処理装置は、ショートキルンと、これに後続する流動床とを備え、未燃カーボンを含む石炭灰をショートキルンに供給する一方、流動床に導入して石炭灰を流動混合した高温予熱空気をショートキルンに供給することによって、石炭灰中の未燃カーボンを燃焼除去するものである。
特開平07−19054号公報
特許文献1の処理装置を用いれば、石炭灰中の未燃カーボンを0.5%以下まで除去することができる。しかしながら、この処理装置は、ショートキルンの内部のみでは石炭灰中の未燃カーボンを完全に燃焼除去することができないため、このショートキルンに後続する流動床において燃焼除去する必要がある。従って、送風機、空気加熱器および送風管などを備えた大がかりな流動床を設ける必要があり、処理装置の小型化を図ることが困難である。
また、流動床の出口から排出されるフライアッシュは、流動床内に導入される600℃〜900℃の高温予熱空気によって残留カーボンが燃焼除去された直後であるため、非常に高温である。従って、流動床の出口から排出されるフライアッシュを直ちに分級装置などに送り込むことは、装置の耐熱性を考慮すると極めて困難であり、何らかの冷却手段を必要とする。
本発明が解決しようとする課題は、石炭灰を原料として、未燃カーボン含有量が極めて少なく、適切に粒度調整されたフライアッシュを効率良く製造することができ、石炭灰廃棄物が発生せず、設備の小型化を図ることもできる、石炭灰処理設備を提供することにある。
本発明の石炭灰処理設備は、
始端部から装入された石炭灰を終端部から連続的に取り出すことのできるロータリーキルンと、前記始端部から前記終端部に向かって前記ロータリーキルンに配置された空気吹込手段及び外熱式加熱手段と、を有し、前記空気吹込手段として、前記外熱式加熱手段が配置された領域であって前記ロータリーキルン内へ導入された石炭灰中の未燃カーボンが自燃開始する領域前記ロータリーキルンの内周面に向かって開口した空気吹出孔を設けた空気吹込経路を有する焼成装置と、
前記焼成装置から排出される石炭灰を導入して粉砕するとともに粒度に応じて複数種類のフライアッシュに分別する粉砕分級装置と、
前記粉砕分級装置から排出される前記フライアッシュを導入して粒度に応じて複数種類のフライアッシュに分別する分級装置と、
を備えたことを特徴とする。
このような構成とすれば、ロータリーキルン内へ装入された未燃カーボン含有の石炭灰は、空気吹込経路から空気を供給されながら外熱式加熱手段で加熱されるため、ロータリーキルン内を進行しながら昇温していき、その温度が自燃開始温度700℃に達した時点で未燃カーボンが燃焼を開始する。そして、燃焼開始後は、自らの発熱で未燃カーボンの燃焼を持続しながら、ロータリーキルン内を終端部に向かって移動していく。
このとき、空気吹込経路を通じて、自燃開始している領域に空気を供給することができるため、この工程において未燃カーボンの燃焼が効率的に進行し、その殆どが燃焼除去される。そして、ロータリーキルンの終端部から、未燃カーボン含有量が0.1重量%〜0.5重量%程度まで減少した石炭灰が排出される。この石炭灰は、前記分級装置へ送り込まれ、粒度に応じて複数種類のフライアッシュに分別されて排出される。
従って、石炭灰を原料とし、未燃カーボン含有量が極めて少なく、粒度調整されたフライアッシュを効率良く製造することができる。また、焼成装置で未燃カーボンが除去された石炭灰を全て分級装置に導入して分別するため、石炭灰廃棄物が出ない。また、空気吹込経路を通じて、ロータリーキルン内の自燃領域に空気を供給することにより、ロータリーキルン内でカーボンを完全に自燃させることができるため、ロータリーキルンの後段に大がかりな流動床などを設ける必要がなく、設備の小型化も図ることができる。なお、必要であれば、外熱式加熱手段のほかに補助加熱手段を設けたり、空気吹込経路を通じて供給する空気の加熱手段を設けたりすることもできる。また、焼成装置と分級装置との間に石炭灰冷却手段を設けることもできる。
また、本発明の石炭灰処理設備は、
始端部から装入された石炭灰を終端部から連続的に取り出すことのできるロータリーキルンと、前記始端部から前記終端部に向かって前記ロータリーキルンに配置された空気吹込手段及び外熱式加熱手段と、を有し、前記空気吹込手段として、前記外熱式加熱手段が配置された領域であって前記ロータリーキルン内へ導入された石炭灰中の未燃カーボンが自燃開始する領域前記ロータリーキルンの内周面に向かって開口した空気吹出孔を設けた空気吹込経路を有する焼成装置と、
前記焼成装置から排出される石炭灰を導入して粉砕するとともに粒度に応じて複数種類のフライアッシュに分別する粉砕分級装置と、
前記粉砕分級装置から排出される前記フライアッシュを導入して粒度に応じて複数種類のフライアッシュに分別する分級装置と、
を備えたことを特徴とする。

このような構成とすれば、前述した石炭灰処理設備における焼成装置と分級装置との間に粉砕分級装置を配置した構造となるため、焼成装置から排出された石炭灰を前記粉砕分級装置で粉砕、分級した後、前記分級装置へ送り込むことが可能となる。従って、微細な粒径のフライアッシュを必要とする場合に有効である。
ここで、前記分級装置から排出されるフライアッシュを導入して濾過捕集するバグフィルタを設ければ、さらに微細な粒径のフライアッシュを得ることも可能となる。
一方、前記焼成装置として、始端部から終端部に向かって軸心が下り勾配をなすように配置されたロータリーキルンと、前記始端部に設けられた石炭灰装入手段、補助加熱手段および空気吹込経路と、前記始端部から前記終端部に向かって直列状に配置された外熱式加熱手段、外冷式空冷手段および外冷式水冷手段と、前記終端部に設けられた石炭灰排出口および排気経路と、を有する焼成装置を用いることができる。
このような構成とすれば、石炭灰装入手段からロータリーキルン内へ導入された未燃カーボン含有の石炭灰は、空気吹込経路から空気を供給されながら補助加熱手段および外熱式加熱手段で加熱されるため、ロータリーキルン内を進行しながら加熱されていき、その温度が自燃開始温度700℃に達した時点で未燃カーボンが燃焼を開始する。そして、燃焼開始後は、自らの発熱で未燃カーボンの燃焼を持続しながらロータリーキルン内を、外冷式空冷手段の配置された領域に向かって移動していく。
このような工程の加熱方式は、加熱ガスと被加熱物(石炭灰)が併行に流れるパラレルフローであって、ロータリーキルン内を進行する未燃カーボンを含む石炭灰の温度は進行に伴って上昇していく一方、加熱ガスの温度は次第に下降していく。そして、最も加熱ガス温度の高い始端部では、石炭灰温度が最も低いため、ロータリーキルン本体の温度は、加熱ガス温度と石炭灰温度との略平均値にあり、高温にならない。このため、ロータリーキルンは一般のステンレス鋼材(SUS310Sなど)で構成することができ、十分な耐久性が得られる。
外冷式空冷手段が配置された領域に到達した石炭灰は、ここで、未燃カーボンの燃焼による発熱と、外冷式空冷手段による冷却作用により、600℃〜900℃を保持しながらロータリーキルン内を、外冷式水冷手段の配置された領域に向かって移動していくこととなる。したがって、この工程において未燃カーボンの燃焼が進行し、その殆どが燃焼除去される。すなわち、この工程においては、外部から熱を供給することなく、冷却するだけで未燃カーボンの燃焼が進行する。
外冷式水冷手段が配置された領域へ到達した石炭灰は、ロータリーキルン内を終端部に向かって移動しながら外冷式水冷手段で200℃程度まで冷却され、ロータリーキルンの終端部に設けられた石炭灰排出口から排出される。排出された石炭灰中に残留する未燃カーボンは0.1重量%〜0.5重量%程度となる。
このように、ロータリーキルン内へ導入された石炭灰中の未燃カーボンは、補助加熱手段および外熱式加熱手段による加熱領域において700℃に達した時点で自燃を開始し、この後は、未燃カーボン燃焼熱と外冷式空冷手段との相互作用による高温保持領域を移動していくことによって、外部から加熱することなく燃焼反応が進行する。即ち、熱の移動方向に沿って石炭灰を移動させながら未燃カーボンの燃焼を進行させるため、石炭灰中に含まれる未燃カーボンを比較的短時間で効率良く除去することができる。また、この焼成装置から排出される石炭灰は、外冷式冷却手段および外冷式水冷手段によって冷却された状態にあるため、次の工程にある分級装置や粉砕分級装置との間に冷却設備を設ける必要がなく、設備のさらなる小型化を図ることができる。
また、前記分級装置として、軸心が垂直状態に保持された円筒部と、前記円筒部の下端に同軸上に連接された円錐部と、前記焼成装置から排出される石炭灰を流入させるため前記円筒部の周壁にその接線方向に連結された流入経路と、前記円筒部に連結された流出経路と、前記円錐部の下端に連設された回収ボックスと、前記円錐部の内周面にその軸心方向に突設された旋回流制御用のベーンと、前記ベーンの勾配変更手段と、を有するサイクロン式の分級装置を用いることができる。
このような構成を有するサイクロン式の分級装置においては、勾配変更手段でベーンの勾配を変更することにより、円錐部内に発生している旋回流の外周部分(円錐部の内周面寄りの部分)の渦流速を変更することで遠心力を変化させることができるので、旋回流とともに螺旋流を描きながら円錐部の内周面に沿って落下する石炭灰の分級点を変更することができる。
即ち、ベーンの勾配を急にして(垂直に近づけて)、円錐部内に発生している旋回流の外周部分(円錐部の内周面寄りの部分)の渦流速を抑制すると、遠心分離力が減少するため、分級点が下がり、抑制を解除すると、遠心分離力が増大するため、分級点が上がる傾向が生じる。このように、乾燥状態にある石炭灰の分級作業において分級点を比較的容易に変更可能であるため、焼成装置から分級装置へ送り込まれた石炭灰を適切に分級して、未燃カーボン含有量が極めて少ないフライアッシュを製造することができる。
また、前記粉砕分級装置として、軸心が垂直状態に保持された円筒部と、前記円筒部の下端に同軸上に連設された円錐部と、前記石炭灰排出口から排出される石炭灰を流入させるため前記円筒部の周壁にその接線方向に連結された流入経路と、前記円筒部に連結された流出経路と、前記円錐部の下端に連設された回収ボックスと、前記円錐部の内周面に軸心方向へ突出して形成された棚状部と、前記棚状部の上面と平行に配置された平板形状で回転式の粉砕羽根と、前記粉砕羽根を前記棚状部に沿って回転させる駆動手段と、前記回収ボックスに連通された気体供給手段と、を有するサイクロン式の粉砕分級装置を用いることもできる。
このような構成の粉砕分級装置においては、被粉砕物である石炭灰が気体とともに流入経路から円筒部内へ流入すると、円筒部内に旋回流が発生し、石炭灰は遠心力の作用で円筒部内周面に向かって移動し、内周面に当接した後、内周面に沿って螺旋流を描きながら下降していく。そして、石炭灰が円錐部の内周面の棚状部に達すると、棚状部の上面に近接した状態で回転する粉砕手段による槌打作用で衝撃破砕が行われるとともに、石炭灰自身の慣性力に基づく衝撃作用、摩擦作用による破砕も行われるため、優れた粉砕機能を発揮する。
粉砕された石炭灰は、旋回流とともに螺旋流を描きながら円錐部の内周面に沿って下降していくが、気体流は回収ボックス内で反転して上昇していくため、気体流から分離された石炭灰が回収ボックス内へ回収され、石炭灰が除去された後の気体は流出経路から排出される。このように、円筒部、円錐部および回収ボックス内に発生する旋回流によりサイクロン機能を発揮するため、石炭灰の分級機能も得ることができる。
この粉砕分級装置は、円錐部の内周面に棚状部を設け、この棚状部の上面に近接した状態で回転する粉砕手段を設けることで形成することができる簡素な構造であるため、製造コストがかからず、故障の要因も少ない。
さらに、前記粉砕分級装置から排出されるフライアッシュを前記バグフィルタへ流入させるバイパス経路を設ければ、前記粉砕分級装置の流出経路から流出する石炭灰を、前記分級装置を経由することなく、前記バグフィルタへ流入させることが可能となるため、前記分級装置による選別を必要としない種類のフライアッシュを効率良く製造することができる。
本発明の石炭灰処理設備により、石炭灰を原料として、未燃カーボン含有量が極めて少なく、適切に粒度調整されたフライアッシュを効率良く製造することができ、石炭灰廃棄物が発生せず、設備の小型化も図ることができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態である石炭灰処理設備を示す概略構成図、図2は図1に示す石炭処理設備を構成する焼成装置を示す概略構成図、図3は図2におけるA−A線断面図、図4は図2におけるB−B線断面図、図5は図2に示す焼成装置を構成するダムプレートを示す部分断面図、図6は図2に示す焼成装置を構成する撹拌部材を示す部分断面図、図7は図6の一部拡大図である。
図1に示すように、本実施形態の石炭灰処理設備90は、石炭灰中の未燃カーボンを燃焼除去する焼成装置1と、焼成装置1において未燃カーボンを燃焼除去された状態で送り込まれる石炭灰を粉砕、分級してフライアッシュFC1を形成する粉砕分級装置30と、粉砕分級装置30において粉砕、分級された石炭灰をさらに分級してフライアッシュFC2を形成する分級装置50と、分級装置50において分級された石炭灰を濾過捕集してフライアッシュFC3を形成するバグフィルタ70とを備えている。また、粉砕分級装置30とバグフィルタ70とを連通するバイパス経路BPが設けられている。
図2に示すように、焼成装置1は、始端部2aから終端部2bに向かって軸心2cが下り勾配をなすように配置された円筒状回転炉であるロータリーキルン2を備えている。このロータリーキルン2の始端部2aには、図に示すように、未燃カーボンを含む石炭灰FA1の装入手段であるスクリューコンベア3と、補助加熱手段である助燃バーナ4と、ロータリーキルン2内への空気吹込経路である空気吹込管5が配置されている。
空気吹込管5は、ロータリーキルン2の始端部2aからその軸心2c方向に沿って、軸心2cより上方位置に挿入され、その先端寄りの部分には、ロータリーキルン2の内周面に向かって開口した空気吹出孔5aが設けられ、空気吹込管5の先端は隔壁5bで閉塞されている。また、空気吹込管5に空気を送り込むための送風機16が、空気吹込管5の基端側に配置されている。
また、ロータリーキルン2の始端部2aから終端部2bに向かって、外熱式加熱手段である外殻炉6aおよびバーナ6bと、外冷式空冷手段である外殻炉7aおよび送風機7bと、外冷式水冷手段である冷却水ノズル8aおよび水受け8bとが直列状に配置されている。そして、ロータリーキルン2の終端部2bには、処理完了後の石炭灰FA2を排出するための石炭灰排出口9および排気経路である排気管10が配置されている。
未燃カーボン含有率が3.90〜7.70重量%であって平均粒径が18.40〜21.80μmの石炭灰FA1をスクリューコンベア3のホッパ3aに投入すると、石炭灰FA1はスクリューコンベア3によってロータリーキルン2内へ導入され、外殻炉6aが配置された領域のロータリーキルン2内において、空気吹込管5から空気を供給されながら助燃バーナ4およびバーナ6bで加熱される。この場合、図4に示すように、バーナ6bから発生する高温気体流がロータリーキルン2の外周面と外殻炉6aとの間を旋回しながら加熱するので、ロータリーキルン2内の石炭灰FA1を効率良く、均一加熱することができる。
このような加熱工程により石炭灰FA1の温度が自燃開始温度である700℃に達すると、その時点で石炭灰FA1中の未燃カーボンが燃焼を開始し、この後は自らの燃焼発熱によって未燃カーボンの燃焼を持続、拡大しながらロータリーキルン2内を、外殻炉7aおよび送風機7bの配置された領域に向かって移動していく。焼成装置1においては、空気吹込管5の空気吹出孔5aは、ロータリーキルン2内に導入された石炭灰FA1の温度が、その自燃温度である700℃に達した時点で空気を吹き込むことができる位置に設けられている。
外殻炉7aおよび送風機7bが配置された領域に到達した石炭灰FA1は、この領域のロータリーキルン2内において、未燃カーボンの燃焼による発熱と、送風機7bから供給される空気流による冷却作用によって制御され、600℃〜900℃程度(望ましくは700℃〜800℃程度)の高温状態を保持しながらロータリーキルン2内を終端部2bに向かって移動していく。この工程において未燃カーボンの燃焼がさらに進行し、その殆どが燃焼除去された石炭灰FA2となる。また、この工程におけるロータリーキルン2は送風機7bから供給される空気流によって冷却されているため、過熱のおそれもない。
冷却水ノズル8aおよび水受け8bが配置された領域においては、冷却水ノズル8aからロータリーキルン2の外周面に冷却水を吹き付けることによってロータリーキルン2が冷却されている。したがって、この領域へ到達した石炭灰FA2は、ロータリーキルン2内を終端部に向かって移動しながら、200℃程度まで冷却された後、ロータリーキルン2の終端部2bに設けられた石炭灰排出口9から排出され、ホッパ11を経由して回収された後、後述する粉砕分級装置30へ送り込まれる。
なお、冷却水ノズル8aからロータリーキルン2の外周面に吹き付けられた冷却水は前記外周面に沿って流下しながらロータリーキルン2を冷却した後、水受け8bに落下して回収され、クーリングタワー12で所定温度まで冷却された後、再び冷却水ノズル8aに送給され、冷却水として再利用される。
一方、空気吹込管5からロータリーキルン2内へ供給された空気および未燃カーボンの燃焼反応などによりロータリーキルン2内で発生したガスなどは、ロータリーキルン2内を始端部2aから終端部2bに向かって移動していき、終端部2b寄りの部分に配置された排気管10から排ガスとして排出された後、バグフィルタ22へ送られる。
この場合、排気管10から排出された排ガスの温度をバグフィルタ22内の濾布の耐熱温度以下まで下げるため、給気経路APを通して導入した空気を排ガスに混合し、希釈した状態でバグフィルタ22へ送り込まれる。そして、バグフィルタ22による粉塵除去工程を経て無害化された後、大気中へ放出される。なお、バグフィルタ22で回収された微粉状の石炭灰は搬送経路Rを経て上流側へ搬送された後、焼成装置1のホッパ3aに投入され再び焼成処理されるため、石炭灰廃棄物は発生しない。
このように、ロータリーキルン2内へ導入された石炭灰FA1中の未燃カーボンは、助燃バーナ4およびバーナ6bによる加熱領域において急速に700℃まで加熱され、700℃に達した時点で吹き込まれた高温空気によって自燃を開始した後、未燃カーボンの燃焼熱と送風機7bによる冷却との相互作用で制御された高温保持領域を移動していくことによってさらに燃焼反応が進行する。即ち、熱の移動方向に沿って石炭灰FA1を移動させながら未燃カーボンの燃焼を進行させるため、石炭灰FA1中に含まれる未燃カーボンを比較的短時間で効率良く除去することができる。また、前記高温保持領域において未燃カーボンが燃焼除去された後の石炭灰FA2は、冷却水ノズル8aが配置された冷却領域を通過することによって急冷された後、石炭灰排出口9から排出され、粉砕分級装置30へ送り込まれる。
本実施形態では、図2に示すように、外殻炉6a,7aの境界部分および外殻炉7aと冷却水ノズル8aとの境界部分におけるロータリーキルン2内周面にその軸心2c方向に突出したダムプレート17を設けている。図5に示すように、ダムプレート17はドーナツ形状であり、このダムプレート17には、ロータリーキルン2の内周面2dに接する複数の貫通孔17a(ラットホール)が周方向に沿って等間隔に設けられている。
このような貫通孔17a付きのダムプレート17をロータリーキルン2の内周面2dに設けることにより、ロータリーキルン2内を終端部に向かって移動する石炭灰FA1の移動速度が抑制され、滞留時間を長くすることができるため、未燃カーボンの完全燃焼を図ることができ、ロータリーキルン2の軸心方向の小型化も可能となる。また、ダムプレート17の貫通孔17aはロータリーキルン2の内周面2dに接しているため、内周面2dに沿って移動していく石炭灰FA1がダムプレート17部分に残留したり、蓄積したりすることもない。
これらのダムプレート17は、外殻炉6a,7aの境界部分および外殻炉7aと冷却水ノズル8aとの境界部分におけるロータリーキルン2の内周面2dに配置しているため、外殻炉6aが配置された領域における燃焼開始反応、外殻炉7aが配置された領域における燃焼反応が完了するまで石炭灰FA1を滞留させることが可能である。このため、軸心方向の長さが比較的短いロータリーキルン2であっても、未燃カーボンの完全燃焼を図ることができる。
さらに、図6に示すように、外殻炉7aが配置された領域におけるロータリーキルン2の内周面2dには、棚状をした複数の撹拌部材18が周方向に沿って等間隔に配置されている。図8に示すように、これらの撹拌部材18はベンチの着座面に似た形状であり、丸棒材(または管状材)をフ字形状に折曲して形成された固定部材19によってロータリーキルン2の内周面2dに取り付けられている。
ロータリーキルン2の回転によりこれらの撹拌部材18も回転し、石炭灰FA1を掻き上げて、落下させるようにして石炭灰FA1を撹拌するので、石炭灰FA1中へ十分な酸素が供給される。従って、石炭灰FA1中への酸素拡散で律速される未燃カーボンの燃焼反応を急速に進行させることが可能となり、石炭灰FA1中の未燃カーボンの完全燃焼を図ることができる。
また、図7に示すように、それぞれの撹拌部材18とロータリーキルン2の内周面2dとの間には、石炭灰FA1が通過可能な隙間20を設けているため、撹拌部材8で掻き上げられた石炭灰FA1は隙間20を通過して落下可能である。従って、石炭灰FA1がロータリーキルン2の内周面2dに直に接触する機会(回数)が増加することとなって、内周面2dとの間の伝導効率が高まるため、加熱効率や冷却効率が向上する。また、隙間20を設けたことにより、ロータリーキルン2の内周面2dに沿って移動していく石炭灰FA1が、内周面2dと撹拌部材18との境界付近に残留したり、蓄積したりするのを防止することもできる。
さらに、本実施形態では、外殻炉6aから発生する高温気体に外気を混入させて熱交換機21へ送給し、大気中から熱交換機21に導入された空気との間で熱交換することで昇温した高温空気HA1をバーナ6bに供給している。また、外殻炉7a内において昇温した高温空気HA2の一部を送風機16から空気吹込管5を経由してロータリーキルン2内へ供給している。このような構成とすることにより、外気より高温状態にある空気を、空気吹込管5、バーナ6bに供給することができるため、加熱用エネルギーの消費量を低減することができる。
このように、焼成装置1においては、ロータリーキルン2内への空気吹込経路として、ロータリーキルン2の始端部2aからその軸心2c方向に挿入され、外熱式加熱手段であるバーナ6bおよび外殻炉6aが配置された領域のロータリーキルン2内に空気吹出孔5aを有する空気吹込管5を設けている。従って、バーナ6bなどが配置された領域に導入された石炭灰FA1が自燃開始温度700℃に達した時点で空気吹出孔5aから空気を供給することができる。このため、助燃バーナ4およびバーナ6bによる加熱量の全てが石炭灰FA1の昇温に供される結果、急速な昇温が可能であり、その後の工程である未燃カーボンの燃焼領域を長くとることができ、未燃カーボンの燃焼を効率的に進行させることができる。また、未燃カーボンの燃焼開始後は、外部から加熱する必要がないので、消費エネルギーは少なくてすむ。
このような工程の加熱方式は、加熱ガスと石炭灰FA1が併行に流れるパラレルフローであって、ロータリーキルン2内を進行する未燃カーボンを含む石炭灰FA1の温度は上昇していく一方、加熱ガスの温度は次第に下降していく。そして、最も加熱ガス温度の高いロータリーキルン2の始端部2aでは石炭灰FA1の温度が最も低いため、ロータリーキルン2本体の温度は、加熱ガス温度と石炭灰FA1の温度との略平均値(600℃〜900℃程度)にあって、高温にならない。このため、ロータリーキルン2の構成材料として一般のステンレス鋼材(SUS310Sなど)を使用することが可能であり、実用性に優れている。
一方、焼成装置1では、排気経路として、ロータリーキルン2の終端部2bからその軸心2c方向に沿って挿入され、却水ノズル8aなどが配置された領域の始端付近のロータリーキルン2内に開口した排気管10を設けている。したがって、冷却水ノズル8aから吹き付けられる冷却水による冷却作用が排ガスへ及ぶことが回避され、排ガスは排気管10を通過して高温状態のまま排出可能である。このため、排ガス中に残留するCOの燃焼効率が向上するほか、排ガスに同伴される微粉状の石炭灰中に含まれる未燃カーボンの燃焼除去も図られる。
次に、図1に示す石炭灰処理設備90を構成する粉砕分級装置30について図8〜図10を参照しながら説明する。図8は図2に示す石炭灰処理設備を構成する粉砕分級装置の垂直概略断面図、図9は図8に示す粉砕分級装置の一部省略平面図、図10は図8における粉砕羽根付近の部分拡大図である。
図8,図9に示すように、粉砕分級装置30は、軸心が垂直状態に保持された円筒部32と、この円筒部32の下端に同軸上に連設された円錐部33と、円筒部32の上方の周壁にその接線方向に連結された流入経路34と、円筒部32の上端付近に連結された流出経路35と、円錐部33の下端に連通された回収ボックス45と、円錐部33の内周面33aから軸心方向へ突設された棚状部39と、棚状部39の上面に近接して配置された回転式の粉砕羽根36と、粉砕羽根36を棚状部39に沿って回転させるための駆動モータMと、回収ボックス45内へ気体を供給する気体供給経路38と、を備えている。
流入経路34の上流には、ヒータ49を内蔵したガス導入管23と、導入経路24とが連結され、導入経路24の上流には、焼成装置1から送り込まれる石炭灰FA2を受けるためのホッパ25と、投入された石炭灰FA2を分散させるための空気噴出ノズル26とが配置されている。焼成装置1のホッパ11(図1,図2参照)から排出され、ホッパ25に投入された石炭灰FA2は、空気噴出ノズル26から噴出する高圧空気によって分散され、ガス導入管23から流入する高温ガスと合流し、流入経路34を経由して円筒部32内へ流入する。
平板形状の粉砕羽根36は、円錐部33の軸心に配置された回転軸37の上端付近に取り付けられ、回転軸37は、その上端寄りの部分に配置された軸受40aおよび保持部材41と、その下端部分に配置された軸受40bとによって垂直状態に保持されている。回転軸37はベルト44を介して駆動モータMによって回転駆動されている。保持部材41は回転軸37の回りに放射状に張設され、円錐部33の周壁に設けられた係止部材42を通って、外部に配置された保持架台43に係止されている。係止部材42は、回転中の粉砕羽根36の振動が円錐部33などに伝わるのを阻止する防振機能と、円錐部33内の気体が外部へ漏出するのを防ぐシール機能とを備えている。
また、粉砕羽根36の回転方向および回転数を変更するため、駆動モータMへの電源供給配線に回転方向変更機能および回転数変更機能を有する制御装置27を設け、回収ボックス45内への気体供給量を変更するための流量調節バルブ28を気体供給経路38の途中に設けている。気体供給経路38から供給される気体は、回収ボックス45を経由して、円錐部33の下端から上方へ流入する。円錐部33の下端に連通された回収ボックス45は、下方に向かって徐々に縮径した略漏斗形状であり、その下端部分に設けられた排出口に、ゲート弁47およびロータリー弁48が配置されている。
図9,図10に示すように、粉砕手段である粉砕羽根36は円錐部33の軸心に配置された回転軸37を中心に回転する平板形状であり、粉砕羽根36の先端には、円錐部33の内周面33aと対向する起立部36aが設けられている。棚状部39にはドーナツ状の耐摩耗板材46が取り付けられ、起立部36aと対向する円錐部33の内周面33aにも耐摩耗板材29が取り付けられている。耐摩耗板材46,29はいずれも着脱可能であるため、必要に応じて、取り替えることができる。
駆動モータMによって粉砕羽根36を回転させた状態にある粉砕分級装置30において、図2に示す焼成装置1において未燃カーボンを燃焼除去された石炭灰FA2を含む気体を流入経路34から円筒部32内へ流入させると、円筒部32内に、軸心を中心に旋回する旋回流が発生し、気体中に含まれる石炭灰FA2は旋回流で生じる遠心力の作用によって円筒部32の内周面32aに向かって移動していき、内周面32aに当接した後、円筒部32の内周面32aおよび円錐部33の内周面33aに沿って螺旋流を描きながら下降していく。
そして、図10に示すように、円錐部33の内周面33aに沿って落下してきた石炭灰FA2が棚状部39付近に取り付けられた耐摩耗板材29,46に達すると、主として、高速で回転する、起立部36aを有する粉砕羽根36による槌打作用で衝撃破砕が行われるとともに、石炭灰FA2の粒子自身の慣性力に基づく衝撃作用や摩擦作用によって細かく粉砕された後、耐摩耗板材46の内周縁から落下する。
耐摩耗板材46の内周縁から落下した石炭灰は、再び旋回流とともに螺旋流を描きながら円錐部33の内周面33aに沿って下降していくが、気体流は回収ボックス45内で反転して上昇していくため、気体流から分離された石炭灰が回収ボックス45内へ回収されながら、石炭灰が除去された後の気体は流出経路35から排出される。一方、回収ボックス45内に回収された石炭灰は、ゲート弁47およびロータリー弁48を通過し、フライアッシュFC1として排出される。フライアッシュFC1については、未燃カーボン含有率(強熱減量)0.20〜0.75重量%、45μmふるい残分50〜60重量%、フロー値比75〜80%であり、JIS規格に定められているフライアッシュIV種の規定を満たしていることが分かる。
このように、粉砕分級装置30を構成する円筒部32、円錐部33および回収ボックス45内に発生する旋回流によりサイクロン機能を発揮するため、被粉砕物である石炭灰FA2の分級機能も得ることができる。本実施形態では、図11に示すように、ドーナツ形状の耐摩耗板材46の内径dを棚状部39の内径Dより小さく設定しているが、d/Dは100%〜70%とすることが望ましい。なお、内径dを小さくすると、耐摩耗板材46上における石炭灰FA2の滞留領域が増加するため、粉砕作用が増大する傾向があるが、内径dが小さくなり過ぎると、下向きの旋回流が抑制されて分級点が上がり、分級性能が悪化する傾向が生じる。
粉砕分級装置30においては、制御装置27を操作して、駆動モータMの回転方向、回転数を変化させることによって粉砕羽根36の回転方向、回転数を変化させることが可能であり、これによって、粉砕作用および分級点を調節することができる。
例えば、円筒部32および円錐部33内に発生している旋回流と逆方向に粉砕羽根36を回転(逆転)させれば、石炭灰FA2と粉砕羽根36との相対速度は大きくなり、粉砕作用は大となるが、気体の旋回力が抑制されるため、分級点は上がる。また、旋回流と同方向に粉砕羽根36を回転(正転)させれば、石炭灰FA2と粉砕羽根36との相対速度は小さくなるため、粉砕作用は小さくなるが、気体の旋回力は抑制されないので、分級点は下がる。
このように、粉砕羽根36の逆転、正転により粉砕作用を増減させると、分級点も上下するが、回収ボックス45内への気体供給量を増減させることによって分級点を調整することができる。すなわち、粉砕羽根36を逆転させると、粉砕作用は高まり、旋回力が減少し、分級点は上がるが、回収ボックス45内への気体供給量を減らすことによって分級点を下げることができる。また、粉砕羽根36を正転させると、粉砕作用は低下し、旋回力は増大し、分級点は下がるが、回収ボックス45内への気体供給量を増やすことによって分級点を上げることができる。
以上のように、制御装置27を操作して駆動モータMの回転方向を変化させ、粉砕羽根36の回転方向を変化させれば、被粉砕物である石炭灰FA2の種類、性状などに応じた作業条件(粉砕作用の強弱、分級点の大小)を設定することができる。また、駆動モータMの回転数を変化させて粉砕羽根36の回転数を変化させれば、粉砕作用および旋回力への影響を増減させることができるため、さらに細かな条件設定を行うことができる。
次に、図1に示す石炭灰処理設備90を構成する分級装置50について図11〜図13を参照しながら説明する。図11は図2に示す石炭灰処理設備を構成する分級装置の一部切欠正面図、図12は図11に示す分級装置の一部拡大図、図13は図11におけるC−C線断面図である。
図1,図11に示すように、分級装置50は、軸心が垂直状態に保持された円筒部52と、円筒部52の下端に同軸上に連設された円錐部53と、円筒部52の周壁にその接線方向に連結された流入経路57と、円筒部52の上端に連結された流出経路58と、円錐部53の下端61に連設された回収ボックス54とを備えている。また、図11に示すように、円錐部53の内周面53aには、その軸心方向に突出した旋回流制御用のベーン59を複数設け、これらのベーン59の勾配変更手段として、先端がベーン59に固着され円錐部53の周壁および軸受63を回動可能に貫通する支軸64と、支軸64の基端に固着された操作ハンドル60と、を設けている。
図12,図13に示すように、ベーン59はいずれも平板形状であり、外部に露出した操作ハンドル60を支軸64中心に回転させることによって、それぞれのベーン59の勾配(傾斜角度)を変更することができる。図11に示したように、回収ボックス54の上面には、複数の気体導入経路56が連結され、これらの気体導入経路56を経由して回収ボックス54内へ導入される気体の導入量を変更するため、それぞれ流量調節バルブ56aが設けられている。また、回収ボックス54の下方には複数のフラップ弁55a,55bが順番に配置されている。
図1に示す石炭灰処理設備90において、粉砕分級装置30の流出経路35から気体とともに排出された石炭灰は分級装置50の流入経路57を経由して円筒部52内へ流入し、これにより円筒部52内には軸心を中心とする旋回流が発生する。この旋回流で生じる遠心力の作用によって石炭灰は円筒部52の内周面52aに向かって拡散移動して内周面52aに当接し、その後、旋回流とともに内周面52aに沿って下向きの螺旋流を描きながら下降していく。そして、回収ボックス54内において反転して上昇する旋回流から分離された石炭灰が回収ボックス54に回収される一方、石炭灰が除去された後の気体は流出経路58から排出される。回収ボックス54に回収された石炭灰はフラップ弁55a,55bを開放することにより、フライアッシュFC2として排出される。フライアッシュFC2については、未燃カーボン含有率(強熱減量)0.20〜0.50重量%、45μmふるい残分5〜15重量%、フロー値比100〜110%であり、JIS規格に定められているフライアッシュII種の規定を満たしていることが分かる。
ここで、分級装置50の円錐部53の周壁から外へ突出した操作ハンドル60を回転させて、ベーン59の勾配を急にすれば(垂直に近づければ)、円錐部53内に発生している旋回流の外周部分(円錐部53の内周面53a寄りの部分)の渦流速が抑制され、遠心分離力が減少するため、分級点が下がる。逆に、操作ハンドル60を回転させて、ベーン59の勾配を緩やかにすれば(水平に近づければ)、円錐部53内に発生している旋回流の外周部分(円錐部53の内周面53a寄りの部分)の渦流速の抑制が解除されるため、遠心分離力が増大して、分級点が上がる。
即ち、操作ハンドル60を回転させてベーン59の勾配を変更することにより、旋回流の外周部の渦流速が変化し、遠心分離力が変化するため、旋回流とともに円錐部53の内周面53aに沿って下向きの螺旋流を描きながら落下する石炭灰の分級点を容易に変更することができる。このように、操作ハンドル60を操作して、ベーン59の勾配を変更することにより、分級点を下げたり、上げたりすることができる。このため、石炭灰などのように、乾燥状態にある粉粒体の分級作業において、分級点を比較的容易に変更することができる。
また、分級装置50においては、回収ボックス54に、気体供給量を変更するための流量調節バルブ56aを有する気体導入経路56を設けている。従って、流量調節バルブ56aを操作して、回収ボックス54に供給する気体を増加、減少させれば、それに応じて、回収ボックス54内の旋回流が減少、増大し、これによって分級点を変更することができる。
即ち、流量調節バルブ56aを開いて、回収ボックス54に供給する気体を増加させれば、回収ボックス54内の旋回流が減少して遠心分離力も減少するため、粒径の大きな石炭灰の落下量が増加して分級点が上がる。逆に、流量調節バルブ56aを閉じて、回収ボックス54に供給する気体を減少させれば、回収ボックス54内の旋回流が増大して遠心分離力も増大するため、粒径の小さな石炭灰の落下量が増加して分級点が下がる。
また、分級装置50においては、図12に示すように、円錐部53の内周面53aとベーン59との間に隙間62を設けている。従って、旋回流とともに円錐部53の内周面53aに沿って落下する石炭灰は、円錐部53の内周面53aとベーン59との隙間62を通過して移動可能であり、これによって、石炭灰の円滑な落下を確保することができる。
さらに、図13に示すように、4枚のベーン59を円錐部53の周方向に沿って等間隔に配置しているため、旋回流の局部的な乱れが生じることなく、円錐部53の周方向に沿って均等に旋回流を抑制することができる。これによって、滑らかな分級点制御を行うことができ、円錐部53の内周面53aに沿って降下する石炭灰の再飛散も減少する。なお、ベーン59の枚数は4枚に限定するものではないので、2枚〜10枚程度の範囲内で適切な枚数を設定することができる。
一方、分級装置50の流出経路58から気体とともに排出された石炭灰は、図1に示す流入経路71を経由してバグフィルタ70内へ送り込まれる。バグフィルタ70内へ流入した石炭灰は、この中で濾過捕集された後、下端部に設けられたホッパ72からフライアッシュFC3として排出される。フライアッシュFC3については、未燃カーボン含有率(強熱減量)0.2〜0.5重量%、45μmふるい残分0〜1重量%、フロー値比100〜110%であり、JIS規格に定められているフライアッシュI種の規定を満たしていることが分かる。
以上のように、未燃カーボンを含有する石炭灰FA1を石炭灰処理設備90において処理することにより、3種類のフライアッシュFC1,FC2,FC3を得ることができ、これらのフライアッシュFC1,FC2,FC3の未燃カーボン含有量は、それぞれJIS規格のIV種,II種,I種に規定されている値より極めて少ないことが分かった。即ち、石炭灰処理設備90により、石炭灰を原料として、未燃カーボン含有量が極めて少なく、要求に応じて適切に粒度調整されたフライアッシュFC1,FC2,FC3を効率良く製造することができる。
これらのフライアッシュFC1,FC2,FC3は、コンクリート用混和材、建設材料、船舶の艤装材料あるいはフィラーなどとして広く利用することができる。例えば、コンクリート用材料としてフライアッシュFC2を使用した場合、セメント代替の混入率が10重量%程度であれば、フライアッシュを使用していないコンクリート(基準コンクリート)と同一配合であっても、その流動性、空気連行性、強度発現性能が基準コンクリートとほぼ同一のコンクリートを製造することができる。また、フライアッシュFC1を、コンクリート用材料の細骨材代替として使用した場合、混入率が60kg/m3程度であれば、フライアッシュを使用していないコンクリート(基準コンクリート)と同一の配合であっても、その流動性、空気連行性、強度発現性能が基準コンクリートとほぼ同一のコンクリートを製造することができる。さらに、フライアッシュFC3は、粒子径が非常に細かく、また球形粒子であるため、充填材などとして好適に使用することができる。
また、石炭灰処理設備90においては、図1に示すように、粉砕分級装置30の流出経路35から流出する石炭灰を、分級装置50を経由することなく、バグフィルタ70へ流入させるためのバイパス経路BPと、バイパス経路BPへ向かう流路を開閉するための開閉器73を設けている。従って、開閉器73が閉じているときは、石炭灰は粉砕分級装置30から分級装置50を経てバグフィルタ70の順に流れていくが、開閉器73を開くことにより、粉砕分級装置30の流出経路35から流出する石炭灰を直接バグフィルタ70へ流入させることができる。このため、フライアッシュFC1,FC3は必要であるが、分級装置50で形成されるフライアッシュFC2は不要である場合、フライアッシュFC1,FC3のみを集中的に効率良く製造することができる。
本発明の石炭灰処理設備は、火力発電所や石炭焚きボイラーなどから排出される石炭灰を原料としてフライアッシュを製造する産業分野において広く利用することができる。
本発明の実施の形態である石炭灰処理設備を示す概略構成図である。 図1に示す石炭処理設備を構成する焼成装置を示す概略構成図である。 図2におけるA−A線断面図である。 図2におけるB−B線断面図である。 図2に示す焼成装置を構成するダムプレートを示す部分断面図である。 図2に示す焼成装置を構成する撹拌部材を示す部分断面図である。 図6の一部拡大図である。 図2に示す石炭灰処理設備を構成する粉砕分級装置の垂直断面図である。 図8に示す粉砕分級装置の一部省略平面図である。 図8における粉砕羽根付近の部分拡大図である。 図2に示す石炭灰処理設備を構成する分級装置の一部切欠正面図である。 図11に示す分級装置の一部拡大図である。 図11におけるC−C線断面図である。
符号の説明
1 焼成装置
2 ロータリーキルン
2a 始端部
2b 終端部
2c 軸心
2d 内周面
3 スクリューコンベア
3a,11 ホッパ
4 助燃バーナ
5 空気吹込管
5a 空気吹出孔
5b 隔壁
6a,7a 外殻炉
6b バーナ
7b,16 送風機
8 撹拌部材
8a 冷却水ノズル
8b 水受け
9 石炭灰排出口
10 排気管
12 クーリングタワー
17 ダムプレート
17a 貫通孔
18 撹拌部材
19 固定部材
20 隙間
21 熱交換機
22 バグフィルタ
FA1 未燃カーボンを含有する石炭灰
FA2 焼成処理後の石炭灰
HA1,HA2 高温空気
30 粉砕分級装置
32 円筒部
32a,33a 内周面
33 円錐部
34 流入経路
35 流出経路
36 粉砕羽根
36a 起立部
37 回転軸
38 気体供給経路
39 棚状部
40a,40b 軸受
41 保持部材
42 係止部材
43 保持架台
44 ベルト
45 回収ボックス
29,46 耐摩耗板材
47 ゲート弁
48 ロータリー弁
49 ヒータ
25 ホッパ
26 空気噴出ノズル
24 導入経路
23 ガス導入管
27 制御装置
28 流量調節バルブ
D,d 内径
M 駆動モータ
50 分級装置
52 円筒部
52a,53a 内周面
53 円錐部
54 回収ボックス
55a,55b フラップ弁
56 気体導入経路
56a 流量調節バルブ
57 流入経路
58 流出経路
59 ベーン
60 操作ハンドル
61 下端
62 隙間
63 軸受
64 支軸
70 バグフィルタ
71 流入経路
72 ホッパ
73 開閉器
90 石炭灰処理設備
AP 給気経路
BP バイパス経路
FC1,FC2,FC3 フライアッシュ
R 搬送経路

Claims (7)

  1. 始端部から装入された石炭灰を終端部から連続的に取り出すことのできるロータリーキルンと、前記始端部から前記終端部に向かって前記ロータリーキルンに配置された空気吹込手段及び外熱式加熱手段と、を有し、前記空気吹込手段として、前記外熱式加熱手段が配置された領域であって前記ロータリーキルン内へ導入された石炭灰中の未燃カーボンが自燃開始する領域に前記ロータリーキルンの内周面に向かって開口した空気吹出孔を設けた空気吹込経路を有する焼成装置と、
    前記焼成装置から排出される石炭灰を導入して粒度に応じて複数種類のフライアッシュに分別する分級装置と、
    を備えたことを特徴とする石炭灰処理設備。
  2. 始端部から装入された石炭灰を終端部から連続的に取り出すことのできるロータリーキルンと、前記始端部から前記終端部に向かって前記ロータリーキルンに配置された空気吹込手段及び外熱式加熱手段と、を有し、前記空気吹込手段として、前記外熱式加熱手段が配置された領域であって前記ロータリーキルン内へ導入された石炭灰中の未燃カーボンが自燃開始する領域に前記ロータリーキルンの内周面に向かって開口した空気吹出孔を設けた空気吹込経路を有する焼成装置と、
    前記焼成装置から排出される石炭灰を導入して粉砕するとともに粒度に応じて複数種類のフライアッシュに分別する粉砕分級装置と、
    前記粉砕分級装置から排出される前記フライアッシュを導入して粒度に応じて複数種類のフライアッシュに分別する分級装置と、
    を備えたことを特徴とする石炭灰処理設備。
  3. 前記分級装置から排出されるフライアッシュを導入して濾過捕集するバグフィルタを設けた請求項1または2記載の石炭灰処理設備。
  4. 前記焼成装置として、始端部から終端部に向かって軸心が下り勾配をなすように配置されたロータリーキルンと、前記始端部に設けられた石炭灰装入手段、補助加熱手段および空気吹込経路と、前記始端部から前記終端部に向かって直列状に配置された外熱式加熱手段、外冷式空冷手段および外冷式水冷手段と、前記終端部に設けられた石炭灰排出口および排気経路と、を有する焼成装置を用いた請求項1〜3のいずれかに記載の石炭灰処理設備。
  5. 前記分級装置として、軸心が垂直状態に保持された円筒部と、前記円筒部の下端に同軸上に連接された円錐部と、前記焼成装置から排出される石炭灰を流入させるため前記円筒部の周壁にその接線方向に連結された流入経路と、前記円筒部に連結された流出経路と、前記円錐部の下端に連設された回収ボックスと、前記円錐部の内周面にその軸心方向に突設された旋回流制御用のベーンと、前記ベーンの勾配変更手段と、を有するサイクロン式の分級装置を用いた請求項1〜4のいずれかに記載の石炭灰処理設備。
  6. 前記粉砕分級装置として、軸心が垂直状態に保持された円筒部と、前記円筒部の下端に同軸上に連設された円錐部と、前記石炭灰排出口から排出される石炭灰を流入させるため前記円筒部の周壁にその接線方向に連結された流入経路と、前記円筒部に連結された流出経路と、前記円錐部の下端に連設された回収ボックスと、前記円錐部の内周面に軸心方向へ突出して形成された棚状部と、前記棚状部の上面と平行に配置された平板形状で回転式の粉砕羽根と、前記粉砕羽根を前記棚状部に沿って回転させる駆動手段と、前記回収ボックスに連通された気体供給手段と、を有するサイクロン式の粉砕分級装置を用いた請求項2記載の石炭灰処理設備。
  7. 前記分級装置から排出されるフライアッシュを導入して濾過捕集するバグフィルタを設け、前記粉砕分級装置から排出されるフライアッシュを前記バグフィルタへ流入させるバイパス経路を設けた請求項記載の石炭灰処理設備。
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