JP3629577B2 - 石炭灰中の未燃物除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主としてセメント混和材として使用できるように微粉炭焚きボイラー等で発生する石炭中の未燃焼物を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、微粉炭焚きボイラーを使用している石炭火力発電所等から発生する石炭灰は、使用する石炭の種類にもよるが、使用石炭量の10〜40%もの量が発生する。また石炭火力発電所の増設に伴い、石炭使用料が増加し、石炭灰も年々増加しており、これを処理する必要が生じている。
【0003】
従来の石炭灰の処理方法としては、全体の約50%はセメント原料、セメント混和材等に有効活用されているが、その他は埋め立て等で廃棄処理している。しかし、近年は、環境問題により、埋立地の確保が困難となっている。
【0004】
一方、石炭灰をセメント混和材として有効利用するに際し、JIS(日本工業規格)によって強熱減量の上限値が規定されている。この強熱減量の大部分を占める未燃物の割合が高い石炭灰はセメント混和材として使用できず、そのため、有効利用できる量が限られたものとなっている。
【0005】
そこで、従来、石炭灰の有効利用を図るために、再燃焼等による未燃物の除去方法が提案されている。その従来の方法には、流動焼成炉等により石炭灰を焼成する方法及び分級等により未燃物と石炭灰とを分離する方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の未燃物除去方法の内、流動焼成炉等を使用する方法では、石炭灰の粒度が細かいので安定した流動層が形成できず、安定した製品が得られないという問題がある。
【0007】
分級等によって未燃物を分離させる方法では、操作過程で大径である未燃物が破壊され、小径である石炭灰中に混入するため、充分な未燃物の除去ができないとう問題があった。
【0008】
また上述の方法の他にロータリーキルンにより焼成する方法が考えられるが、従来のロータリーキルンは傾斜したキルンの下端開口にバーナが挿入され、キルン内に向けてフレームを形成し、これによって加熱するものであるため、フレームと一部石炭灰とが接触することとなる。バーナのフレーム温度は、 1,200℃以上であるため、石炭灰の融着が生じ、セメント混和材として必要なボールベアリング効果が損なわれるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題にかんがみ、ロータリーキルンを使用し、融着を生じさせることなく、他の従来法に比べてより高い未燃物の除去がなされる石炭灰中の未燃物除去方法の提供を目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための本発明の要旨とするところは、傾斜を有するロータリーキルンの上端部より石炭灰を供給し、下端部より 500〜 1,000℃の熱ガスを供給して未燃物を焼却させることを特徴としてなる石炭灰中の未燃物除去方法に存する。尚、ロータリーキルンの下端部に熱ガスダクトを連通させ、該ダクトをバーナ燃焼室に連通させて熱ガスを供給することがより好ましい。
【0011】
【作用】
本発明においては、傾斜したロータリーキルンの上端部より石炭灰を供給し、下端部より熱ガスで石炭灰を 400〜 1,000℃に加熱することによって、粉体中の未燃物を燃焼させて除去する。加熱温度を高くすれば燃焼時間は短くなるが、石炭灰の融着等により、その性状を変化させ、好ましくない。加熱温度が低いと石炭灰の性状は変化しないが、燃焼に必要な時間が長くなり、結果として処理量が減ることとなる。加熱温度が 400℃以下では未燃物が減少せず、 1,000℃以上では融着が発生する。
【0012】
またキルンとは別に燃焼室を設け、ダクトを通してキルン内に熱ガスを供給することにより、安定した 500〜 1,000℃の加熱温度に維持することが容易となる。
【0013】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面について説明する。
【0014】
〈実施例1〉
図1は本実施例の概略構成を示しており、図中1は傾斜した円筒形のロータリーキルンであり、ローラ2,2´に支持され、キルン駆動装置3により回転されるようになっている。4はキルン1の下端側が挿入されたフッドであり、下端に処理後の石炭灰排出孔5が開口されている。6はキルン1の上端側に連通させた排気筒であり、この排気筒6外よりキルン上端部内に原料石炭灰供給管7が挿入されている。尚、このキルン1では、耐火物による内張りは必ずしも必要としない。キルン1の下端内には、フッド4を貫通させて熱ガスダクト8が挿入されている。この熱ガスダクト8内が燃焼室9となっており、バーナ10の先端が挿入され、 1,400℃以上のフレーム10aがキルン1に達しない長さで形成されるようになっており、燃料及び外気導入量等の調整によりダクト8の先端より 500〜
1,000℃の熱ガスがキルン1内に供給されるようになっている。
【0015】
このように構成される装置を使用し、次の条件により処理した。
【0016】
Figure 0003629577
この結果、未燃物は、原料中6%あったものが0.5%以下に低減した。また粒度分布は処理前の原料と略同じであった。
【0017】
〈実施例2〉
図2に示す概略構成の装置を使用した。図中、実施例1と同じ部分には同一符号を付している。この実施例では、フッド4のキルン下端対向壁面に熱ガスダクト11の先端を開口させ、これより熱ガスをフッド4を通してキルン1内に供給する構造とした。また熱ガスダクト11の他端を熱風炉12に連通させ、その熱風炉12内にバーナ10を挿入し、熱風炉12内のみにフレーム10aを形成させるようにしている。
【0018】
このように構成される装置を使用し、次の条件により処理した。
【0019】
Figure 0003629577
この実施例においても、実施例1と略同じ結果が得られた。
【0020】
〈比較例〉
図3に示すように熱ガスダクトを使用せず、バーナ10をキルン1の下端に挿入した装置を使用し、次の条件にて処理した。
【0021】
Figure 0003629577
この結果、未燃物は6%から0.5%以下に低減したが、粒度分布は原料より粗くなった。
【0022】
〈比較〉
実施例1と比較例との処理前後の石炭灰粒度分布測定結果は表1の如くであり、これをグラフに示すと図4の如くであった。
【0023】
【表1】
Figure 0003629577
【0024】
【発明の効果】
上述したように本発明の石炭灰中の未燃物除去方法においては、ロータリーキルン内で直接フレームを形成させることなく 500〜 1,000℃の熱ガスを供給して加熱することにより未燃物を燃焼処理させるようにしている。このため融着を生じさせることなく、原料の粒度分布を維持した状態で処理することができ、またロータリーキルンは処理時間の調節が自由にできるため、原料の質に応じて加熱処理時間を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の第二実施例を示す断面図である。
【図3】比較例を示す断面図である。
【図4】比較実験結果の粒度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ロータリーキルン
2,2´ キルン支持
3 キルン駆動装置
4 フッド
5 石炭灰排出孔
6 排気筒
7 被処理石炭灰供給管
8,11 熱ガスダクト
9 燃焼室
10 バーナ
10a フレーム
12 熱風炉

Claims (2)

  1. 傾斜を有するロータリーキルンの上端部より石炭灰を供給し、下端部より 500〜 1,000℃の熱ガスを供給して未燃物を焼却させることを特徴としてなる石炭灰中の未燃物除去方法。
  2. ロータリーキルンの下端部に熱ガスダクトを連通させ、該ダクトをバーナ燃焼室に連通させて熱ガスを供給する請求項1に記載の石炭灰中の未燃物除去方法。
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