JP5574764B2 - ライムケーキを用いた酸化カルシウムの製造方法 - Google Patents

ライムケーキを用いた酸化カルシウムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ライムケーキを用いた酸化カルシウムの製造方法に関する。
酸化カルシウムは、生石灰とも呼ばれ、セメント等の原料や陶磁器等の原料として、工業的に広く使用されている。一般に酸化カルシウムは、炭酸カルシウムを加熱することにより、CaCO→CaO+COの反応を経て製造される。炭酸カルシウムとしては、天然鉱物の石灰石や、工業的にリサイクルされた炭酸カルシウムが使用される。例えば、製紙分野においては、クラフトパルプの製造時に生成する緑液を酸化カルシウムを用いて処理した際に発生する炭酸カルシウムを、上記反応を利用して酸化カルシウムとして再生している。
ところで、製糖分野においては、吸着剤を用いて原糖に付着または溶解している不純物を除去する。具体的には、吸着剤として水酸化カルシウムの水溶液を原糖液に添加し、次いでこの原糖液に炭酸ガスを吹き込み、水酸化カルシウムを炭酸カルシウムに転化すると同時に、原糖液内の不純物(主として有機物)を除去する。この工程から得られる、炭酸カルシウムおよび有機物を含む混合物はライムケーキと呼ばれる。
このライムケーキ中の炭酸カルシウムを酸化カルシウムとして回収する方法が提案されている。例えば特許文献1(特開平11−104490号公報)は、再生炉にてライムケーキを700〜1100℃で加熱して炭酸カルシウムを脱炭酸し、これを製糖プロセスにおける吸着剤として再利用する方法を開示する。
特開平11−104490号公報
前述のとおり、酸化カルシウムは炭酸カルシウムを加熱することにより製造されるが、より効率のよい酸化カルシウムの製造方法が望まれていた。
前記状況を鑑み、発明者らは、炭酸カルシウムを800℃以上に加熱して炭酸カルシウムに転化させる際に、製糖プロセスから回収されたライムケーキを燃焼させながら前記転化反応を行なうと、ライムケーキに含まれる有機物の燃焼熱を利用できるので効率よく酸化カルシウムを製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、(A)炭酸カルシウムと、(B)製糖プロセスから回収された炭酸カルシウムおよび有機物を含むライムケーキとを、加熱手段を備えた反応装置に装入する装入工程、ならびに前記(B)ライムケーキを燃焼させながら、ライムケーキ中の炭酸カルシウムと前記(A)炭酸カルシウムとを800℃以上に加熱する加熱工程、を含む、酸化カルシウムの製造方法を提供する。
前記反応装置は、100〜500℃の低温領域と、800℃以上の高温領域を有することが好ましい。ライムケーキ燃焼時の臭気の抑制、燃焼効率の向上、排ガス処理負担の減軽を重視する場合、前記装入工程において、(A)炭酸カルシウムを前記低温領域に装入し、(B)ライムケーキを前記高温領域に装入することが好ましい。一方、低温領域の熱エネルギーを利用し、燃焼前にライムケーキに含まれる水分を蒸発させること等を重視する場合、前記(A)炭酸カルシウムと(B)ライムケーキとを前記装置の低温領域に装入することが好ましい。
前記(A)炭酸カルシウムは、クラフトパルプ製造プロセスにおける緑液の苛性化処理工程から回収された炭酸カルシウムまたは石灰石であることが好ましい。さらに前記加熱工程の後に、得られた酸化カルシウムを分級する、分級工程を含むことが好ましい。
本発明により、効率のよい酸化カルシウムの製造方法が提供できる。
本発明で使用する装置の一例の概要を示す図である。 本発明の製造方法の概要を示す図である。 本発明の製造方法の概要を示す図である。
1.本発明の製造方法
本発明の酸化カルシウムの製造方法は、以下の工程を含む。
装入工程:(A)炭酸カルシウムと、(B)製糖プロセスから回収された炭酸カルシウムおよび有機物を含むライムケーキとを、加熱手段を備えた反応装置に装入する工程。
加熱工程:前記(B)ライムケーキを燃焼させながら、ライムケーキ中の炭酸カルシウムと前記(A)炭酸カルシウムとを800℃以上に加熱する工程。
(1)装入工程
本工程では、原料である(A)炭酸カルシウムおよび(B)ライムケーキを準備して反応装置内に装入する。
1) (A)炭酸カルシウム
炭酸カルシウムとは、CaCOで表される化合物である。本発明で原料(A)として用いる炭酸カルシウムの例には、石灰石、貝殻、クラフトパルプ製造プロセスにおける緑液の苛性化処理工程から回収された炭酸カルシウム、製紙プロセスから回収された炭酸カルシウム、および化学的に合成された市販品の炭酸カルシウムが含まれる。
石灰石とは、炭酸カルシウム(CaCO)を主成分とした鉱物をいう。石灰石には、一般に、酸化マグネシウム、シリカ等の他の成分が少量含まれるが、本発明においては、炭酸カルシウムを90質量%以上含む石灰石が好ましく、炭酸カルシウムを95質量%以上含む石灰石がより好ましく、炭酸カルシウムを98質量%以上含む石灰石がよりさらに好ましい。
クラフトパルプ製造プロセスにおける緑液の苛性化処理工程から回収された炭酸カルシウムとは、次のようにして得られた炭酸カルシウムをいう。クラフトパルプ製造プロセスにおいては、まず、木材中の繊維素を単離するために水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムとを混合した薬液を用いて高温、高圧下で蒸解する。蒸解後、繊維素は固相として分離精製されてパルプとなり、薬液および繊維素以外の木材からの溶出成分は黒液として回収され濃縮燃焼される。その際、黒液中の無機物質は主として炭酸ナトリウムおよび硫化ナトリウムとして回収される。これらの無機物質はスメルトと呼ばれ溶融状態で回収ボイラーから取り出される。回収ボイラーから取り出されたスメルトは、水または弱液によって溶解されて緑液となる。弱液とは、下記の苛性化処理により得られた炭酸カルシウムスラッジを洗浄した際に発生する溶液をいう。緑液の苛性化処理とは、緑液中の炭酸ナトリウムを蒸解薬品である水酸化ナトリウムに転化する処理であり、CaO+HO→Ca(OH)の消和反応と、Ca(OH)+NaCO→CaCO+2NaOHの苛性化反応からなる。この反応によって得られた水酸化ナトリウムを含む液は白液と呼ばれ、この白液より炭酸カルシウムが分離回収される。
製紙プロセスから回収された炭酸カルシウムとは、例えば、パルプと填料としての炭酸カルシウムを含む紙料を抄紙する抄紙工程の白水から回収された炭酸カルシウムをいう。
純度の高い酸化カルシウムを得るために、クラフトパルプ製造プロセスまたは製紙プロセスから回収された炭酸カルシウムは、十分に洗浄されることが好ましい。
本発明に使用される炭酸カルシウムの形状は特に限定されないが、平均粒径が3〜100mmの塊状または平均粒径が10〜3,000μmの微粒子状が好ましい。炭酸カルシウムが塊状である場合の平均粒径とは、塊が球形である場合はその直径を、球形でない場合は長径と短径の平均値である。炭酸カルシウムが微粒子状である場合の平均粒径とは、レーザー回折散乱法によって求められる平均粒径である。炭酸カルシウムは、テーブルフィーダーやスクリュウフィーダー、風送等の公知の定量供給装置を用いて本発明で用いる円筒体内に供給できる。
2) (B)ライムケーキ
ライムケーキとは、製糖プロセスにおける糖液の精製工程から回収された、炭酸カルシウムおよび有機物を含む廃棄物である。ライムケーキ中の各成分の比率は限定されないが、炭酸カルシウムが50〜95質量%、有機物が5〜20質量%、その他の成分が0〜45質量%であることが好ましい。その他の成分は主として水であり、水の含有量は35質量%以下がより好ましい。炭酸カルシウムと有機物とがこの範囲にあると、効率よく酸化カルシウムを製造できる。また、水分が35質量%未満であるライムケーキは固形状であるので、装置への装入が容易となる。固形状のライムケーキの形状は特に限定されない。細かく粉砕したライムケーキを反応装置に装入すると、燃焼および反応効率を向上させられるが、ライムケーキが反応装置中の空気に流され、低温端12から排出されることがある。一方、塊状のライムケーキを反応装置に装入すると、燃焼および反応に時間を要する場合があるが、ライムケーキが低温端12から排出されることを避けられる。以上から、ライムケーキは、平均粒径が0.2〜20mmの塊状であることが好ましい。ライムケーキの平均粒径は前述のとおり求められる。この場合、ライムケーキは、スクリューフィーダー、風送等の公知の手段を用いて本発明で用いる装置に装入できる。本発明において、記号「〜」はその両端の値を含む。
3)反応装置
本発明においては、加熱手段を備えた反応装置を用いる。この反応装置は、原料である(A)炭酸カルシウムと(B)ライムケーキとを、ライムケーキを燃焼させながら800℃以上で加熱して、前記反応を行なえる装置であればよい。このような装置の例には、ロータリーキルン型反応装置および釜型反応装置等公知の装置が含まれる。中でも、本発明においては取り扱い容易性等の観点から、ロータリーキルン型反応装置が好ましい。
図1は本発明で用いることのできるロータリーキルン型反応装置の一例を示す。この装置は、中心線が略水平となるように設置された両端が開放された円筒体を備える。図1は、この円筒体を、軸を含む平面で切断して得た面を正面から見た図である。本発明で用いる反応装置はこれに限定されないが、以下、図1を参照して本工程を説明する。図1中、1は円筒体、10および12は開放された端である。30は加熱手段、40は送気装置である。図中、円筒体1を回転させるための回転手段および円筒体1を保持する手段、円筒体保温、円筒体両端のフードは省略してある。
両端が開放された円筒体とは、両端に開口部を有しかつ内部が空洞の柱状の部材である。円筒体は入手が容易であることと、円周面に温度むらが生じにくい等の理由から円柱状であることが好ましい。以下特に断りがない限り、円筒体は円柱状であるとして説明する。両端の開口部は円柱の上面および底面を総て開放して形成されることが好ましい。開口部は原料装入口、製品取出口、ならびにガスの導入および排出の機能を担うので、開口部が円柱の上面および底面を総て開放して形成されていると、作業性が向上する。
円筒体の大きさは、製造する酸化カルシウムの量により適宜選択してよいが、直径が0.3〜6m、長さが5〜300mであることが好ましい。円筒体の材質は特に限定されないが、金属等が好ましい。
円筒体は中心線が略水平となるように設置される。すなわち図1に示すとおり、円筒体1は、長手方向が横向きとなるように設置される。中心線とは円筒体の上面の中心と底面の中心を結ぶ線をいう。略水平とは、円筒体が水平か、または一方の端10が他方の端12よりも低い位置となるように傾斜していることをいう。具体的に略水平とは、円筒体1の中心線が水平線となす角度αが0〜5度であることをいう。本発明においては、端10が端12よりも低い位置となるようにし、かつ角度αが0を超えて5度以下となるように円筒体1が設置されることが好ましい。このように円筒体1を設置すると、円筒体内の原料を適度な速度で搬送しやすくなる。
円筒体1は加熱手段30を有する。加熱手段としては公知のものを用いてよいが、その例にはガス燃焼加熱手段、コークス燃焼加熱手段、油燃焼加熱手段、電気アーク加熱手段および電磁加熱手段等が含まれる。(B)ライムケーキを効率よく加熱しかつ燃焼させるため、加熱手段は円筒体の内面に配置されることが好ましい。
図2は本発明の製造方法の好ましい一態様を示す図である。図2中、Aは炭酸カルシウム、Bはライムケーキ、1は図1で示した円筒体、10は高温領域に存在する端、12は低温領域に存在する端であり、32は加熱手段30に燃料を供給するための燃料供給装置、42は送気ライン、60は除塵装置である。50は製品を冷却しかつ燃焼用空気を予熱する冷却装置、52は製品を分級するための分級装置、100は微粒子状酸化カルシウム、102は塊状酸化カルシウムである。その他の符号は図1と同様に定義される。
この態様において、円筒体1は一方の端12を含む低温領域と他方の端10を含む高温領域を有し、(A)炭酸カルシウムは低温領域の端12から装入され、(B)ライムケーキは高温領域の端10から装入される。低温領域に装入された(A)炭酸カルシウムは、予備加熱される。(A)炭酸カルシウムが水分を含んでいる場合は、この予備加熱により前記水分が除去されるので炭酸カルシウムは乾燥される。また、(A)炭酸カルシウムが水分を含んでいない場合は、予熱されるため次工程の加熱工程において酸化カルシウム生成反応が進行し易くなる。
装入された(A)炭酸カルシウムは高温領域へ移送され、次の加熱工程に供される。(A)炭酸カルシウムは、移送されている間に高温領域から流れてくる高温ガスで加熱されて酸化カルシウム生成反応を生じてもよい。移送は公知の移送手段(例えばスクリュウ型撹拌装置等)を円筒体1内に設けて行なうこともできるが、本発明においては、円筒体1を傾けて設置し、回転することにより移送することが好ましい。(A)炭酸カルシウムが装入されてから、高温領域の端10から排出されるまでの平均時間は、0.5時間〜15時間程度が好ましい。
この態様において(B)ライムケーキは高温領域の端10から装入される。装入された(B)ライムケーキは高温領域に存在する高温の気体(主として空気)と接触する。また前述のとおり、(B)ライムケーキは、低温領域に装入され高温領域に移送されてきた高温の(A)炭酸カルシウムまたはそれから生成した高温の酸化カルシウムとも接触しうる。この結果、(B)ライムケーキは高い温度まで一気に加熱されるため、ライムケーキに含まれている有機物が速やかに燃焼され、(A)炭酸カルシウムと(B)ライムケーキとを加熱する加熱工程が実施される。加熱工程については次節で詳しく述べるが、加熱工程を効率よく行なうために、高温領域の温度は800℃以上が好ましく、900℃以上がより好ましい。ただし、生成物である酸化カルシウムの溶融による塊生成を防ぐ観点から、高温領域は1500℃以下が好ましい。高温領域の温度は高温領域に属する複数の点の温度を測定してこの値を平均して求められる。
この態様における原料の装入量は、装置の大きさにもよるため一概にはいえない。しかしながら、前述の好ましい寸法の装置を用いる場合、炭酸カルシウムの装入量は、100%の転化率で酸化カルシウムが生成すると仮定して0.5〜30トン/hの酸化カルシウムを生成する量(以下「酸化カルシウム換算量」ともいう)が好ましい。ライムケーキ(30質量%の水分量)の装入量は0.6〜45トン/h(酸化カルシウム換算量で0.2〜15トン/h)が好ましい。
図3には、本発明の製造方法の他の好ましい態様を示す。図3中、62はガス浄化装置であり、その他の符号は図2と同様に定義される。この態様において円筒体1は、一方の端12を含む低温領域と他方の端10を含む高温領域を有し、(A)炭酸カルシウムと(B)ライムケーキとはともに低温領域の端12から装入される。このように両者を装入することで、両者を予備加熱することができる。この際、両者が水分を含んでいる場合は、この予備加熱にて水分除去ができる、すなわち両者を乾燥できる。また、両者が水分を含んでいない場合は、両者は予熱されるので次工程の加熱工程において酸化カルシウム生成反応が進行し易くなる。
また、この態様においては原料の装入口を一方の端のみとできるので、装置を簡素化できる。しかしながら、ライムケーキの温度が300℃付近を越えると、有機物から一酸化炭素、水素等の有毒なガスが発生し始める。このため、円筒体1の外であって、端12の近傍にガス浄化装置62を設けることが好ましい。この態様における原料の装入量は、装置の大きさにもよるため一概にはいえない。しかしながら、前述の好ましい寸法の装置を用いる場合、炭酸カルシウムの装入量は、酸化カルシウム換算量にして0.5〜30トン/hが好ましい。ライムケーキ(30質量%の水分量)の装入量は0.6〜30トン/h(酸化カルシウム換算量で0.2〜10トン/h)が好ましい。装入された(A)炭酸カルシウムと(B)ライムケーキは、高温領域へ移送され、次の加熱工程に供される。移送は前述のとおり行なうことが好ましい。
上記において、図1に示す装置を用いた場合についての装入工程を説明した。しかしながら、回転しないように固定された円筒体と当該円筒体の内部に設けられた撹拌装置を備える装置等、他の装置を使用した場合においては、原料を装入する位置は、円筒体の端以外の場所であってもよい。例えば、円筒体の円周部に原料装入口を設けて、原料を装入してよい。
(2)加熱工程
本工程では、(B)ライムケーキを燃焼させながら、ライムケーキ中の炭酸カルシウムと、前記(A)炭酸カルシウムとを800℃以上で加熱する。前述のとおり、加熱する温度が800℃未満であると十分な反応効率が得られない。また、加熱する温度は900℃以上であることがより好ましいが、前述のとおり温度が高すぎると生成物である酸化カルシウムの溶融による塊生成がおこるため、高温領域は1500℃以下とすることが好ましい。
本工程においては、加熱手段30からの熱と(B)ライムケーキに含まれている有機物が高温および酸素存在の条件下で効率よく燃焼する際の燃焼熱とで原料を加熱できる。ライムケーキの燃焼とは、厳密にはライムケーキ中の有機物の燃焼である。
図2の態様においては、円筒体1内に装入された(B)ライムケーキは、前述のとおり一気に高温に加熱されて燃焼する。図2に示すとおり、加熱手段30としてバーナー等の燃料燃焼手段を用いると、この加熱手段の炎によっても(B)ライムケーキに着火できるので、より燃焼させやすくなる。この燃焼により生じた熱(燃焼熱)が前記CaCO→CaO+COの吸熱反応に使用される。また、燃焼熱は(B)ライムケーキに含まれている有機物が燃焼できる温度を保つことにも利用される。さらに、(B)ライムケーキが800℃以上より好ましくは900℃以上で燃焼されると、有毒な一酸化炭素を生じにくく、燃焼効率が高くなるので、大量のライムケーキを短時間で処理できる。
図3の態様においては、円筒体1内に装入された(A)炭酸カルシウムと(B)ライムケーキとは、予熱された後、高温領域に移送されて本工程に供される。図2の態様と同様に、ライムケーキの燃焼熱が酸化カルシウム生成反応に使用され、またライムケーキに含まれている有機物が燃焼できる温度を保つことにも利用される。図3の態様においても(B)ライムケーキは800℃以上より好ましくは900℃以上の高温で燃焼されることが好ましい。
本工程においては、燃焼を効率よく行なうために、円筒体1内に空気を強制的に導入することが好ましい。例えば図1〜3に示すように、円筒体1外の端10近傍に送気装置40を配置して円筒体1内に空気を導入することが好ましい。
このようにしてライムケーキ中の炭酸カルシウムと(A)炭酸カルシウムを800℃以上に加熱することにより酸化カルシウムが得られる。すなわち、本発明においては、ライムケーキの燃焼による熱を効率的に利用して炭酸カルシウムから酸化カルシウムを製造する。一般に、炭酸カルシウムを加熱して酸化カルシウムを得る方法において、他の成分を添加して同時に反応させようとすると、添加した成分が反応に要するエネルギーを、加熱手段から追加して供給する必要がある。しかし本発明においては、ライムケーキ自体が燃料にもなりうるので、ライムケーキ添加に伴い加熱手段から追加すべきエネルギーの量を低減できる。つまり、炭酸カルシウムから酸化カルシウムを得るための既存の装置にライムケーキを添加するだけで、既存の装置のエネルギー使用量をほとんど変化させることなく効率よく酸化カルシウムが得られる。この効果は、(A)炭酸カルシウムと(B)ライムケーキを低温領域の端12から装入する図3の態様よりも、(A)炭酸カルシウムを低温領域の端12から装入し、(B)ライムケーキを高温領域の端10に装入する図2の態様においてより顕著となる。前者の場合は、ライムケーキが300℃付近で加熱される際に有機物が分解するので、加熱工程でライムケーキを燃焼する時点での有機物の量が減少しているが、後者の場合はそのようなことがないからである。加熱する時間は、原料の量により異なるが、炭酸カルシウムが酸化カルシウムに転化し、かつ円筒体1内に有機物が存在しなくなるまで加熱することが好ましい。
(A)炭酸カルシウムを低温領域の端12から装入し、(B)ライムケーキを高温領域の端10に装入する図2の態様においては、(B)ライムケーキの着地点(円筒体1の端10からライムケーキが装入される円筒体1内の位置までの距離)を調節して燃焼効率を調整することもできる。例えば、(B)ライムケーキを円筒体1の端10に装入すると、ライムケーキは空気に触れやすいので、燃焼効率が高くなる。一方、定量供給装置の先端に延長ノズルを配置し、このノズルを用いて円筒体1の中心により近い位置(例えば、円筒体1の長さをLとした場合、端10からL/3の距離の位置)に(B)ライムケーキを装入すると、ライムケーキは前者の場合よりも空気に触れにくくなるので、燃焼効率は低くなる。この他、円筒体1の回転速度を適宜変更して反応の進行を調整してもよい。
(3)取出工程
前記工程で得られた酸化カルシウムは、円筒体1の端10から取り出されて製品とされる。製品形状は限定されないが、平均粒径が3〜100mmの塊状、平均粒径が10〜3,000μmの微粒子状、または前記塊と微粒子の混在する形状であってよい。(B)ライムケーキにおいては、微粒子状の炭酸カルシウムが有機物中に分散して存在している場合が多いので、加熱工程において炭酸カルシウムが凝集しにくい。このため、ライムケーキからは微粒子状の炭酸カルシウムが得られやすい。一方、(A)炭酸カルシウムは、加熱工程において凝集する傾向があるので、塊状の炭酸カルシウムが得られる。従って、塊と微粒子の混在する形状の炭酸カルシウムが得られた場合には、この後に分級工程を設けることが好ましい。分級は、エア方式、スクリーン方式等の粉体分級装置を使用して行なえばよい。
取り出された酸化カルシウムは、公知の手段により冷却されてもよい。この冷却により得られた熱は、送気ライン42を介して送気装置40に送り、円筒体内1に送気されてもよいし、または(A)炭酸カルシウムおよび(B)ライムケーキの乾燥に用いてもよい。
2.本発明の製造方法で得られた酸化カルシウム
本発明で得られた酸化カルシウムは、前述のとおり、微粒子状〜塊状であり取り扱い性に優れる。また、本発明で得られた酸化カルシウムは純度にも優れる。よって、本発明で得られた酸化カルシウムは、クラフトパルプ製造プロセスにおいて使用される酸化カルシウムや、紙の填料として有用な炭酸カルシウムの原料等として有用である。
1 円筒体
10 端
12 端
30 加熱手段
32 燃料供給装置
40 送気装置
42 送気ライン
50 冷却装置
52 分級装置
60 除塵装置
62 ガス浄化装置
100 微粒子状酸化カルシウム
102 塊状酸化カルシウム
A 炭酸カルシウム
B ライムケーキ

Claims (5)

  1. (A)炭酸カルシウムと、(B)製糖プロセスから回収された炭酸カルシウムおよび有機物を含むライムケーキとを、加熱手段を備えた反応装置に装入する装入工程、ならびに
    前記(B)ライムケーキを燃焼させながら、ライムケーキ中の炭酸カルシウムと前記(A)炭酸カルシウムとを800℃以上に加熱する加熱工程、を含む、酸化カルシウムの製造方法であって、
    前記反応装置が100〜500℃の低温領域と、800℃以上の高温領域を有し、
    前記装入工程が、(A)炭酸カルシウムを前記低温領域に装入し、(B)ライムケーキを前記高温領域に装入する工程であり、
    前記加熱工程の前に、前記装入された(A)炭酸カルシウムを前記低温領域で予備加熱した後、前記高温領域に移送する工程をさらに含む、
    製造方法。
  2. 前記(A)炭酸カルシウムが水分を含んでおり、前記低温領域で予備加熱する工程が、前記(A)炭酸カルシウムに含まれる水分を除去する工程である、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記(A)炭酸カルシウムが、クラフトパルプ製造プロセスにおける緑液の苛性化処理工程から回収された炭酸カルシウムである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記(A)炭酸カルシウムが、石灰石である、請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 前記加熱工程の後に、得られた酸化カルシウムを分級する、分級工程をさらに含む、請求項1〜いずれかに記載の製造方法。
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