JP5164051B2 - 排煙処理方法及び排煙処理剤の製造方法 - Google Patents

排煙処理方法及び排煙処理剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、排煙中の酸性ガスを除去する排煙処理方法、特に一般ごみの焼却に伴う排煙中の酸性ガスを除去する排煙処理方法、並びに、排煙処理剤の製造方法に関する。
一般ごみ等の焼却装置から排出される排煙中には、有害ガスとして、HCl及びSO2等の酸性ガスが多く含まれている。
従来、排煙が通る煙道内に消石灰を噴霧することにより、排煙内の有害な酸性ガスを消石灰に接触させ、酸性ガスと反応した消石灰を集塵器により回収した後、この回収物を埋立て処理等の管理型の廃棄物として処理する方法が、比較的安価な排煙処理方法として一般になされている(例えば、非特許文献1を参照)。
しかし、従来の製造方法で得られる消石灰は反応性に乏しいため、清掃工場等における排煙中の酸性ガス除去処理では、その除去率が低い。すなわち、従来より使用されている消石灰は酸性ガス、特にSO2ガスの吸着性能はそれほど高いものではない。
よって、多量の酸性ガスを吸着させるためには消石灰の噴霧量も膨大になる。このため、廃棄物処理量が多量になるなど、排煙中の酸性ガス除去処理にかかる費用がかさんでしまう。酸性ガス除去率を高めるため、高反応性消石灰が望まれている。具体的には、高い脱塩素・脱硫効果を有する排煙処理剤を従来よりも安価にしかも容易に製造できる排煙処理剤の製造方法の出現が望まれている。
高反応性消石灰の製造方法としては、軽度に焼成された高活性の生石灰を原料とし、アルコールを添加して消化反応させる方法が開発されている(例えば、特許文献1、2を参照)。また、有機化合物や無機化合物を添加して消化反応させることで高反応消石灰を製造する方法も考えられる。
しかし、いずれも設備費やランニングコストが高いことから製造コストを上昇させている。しかも、製造管理が複雑なため、製品の品質に安定性がないという欠点がある。
また、アルコールなどの有機溶媒を使用する場合、反応溶媒の後処理などの点で問題があること、反応温度などの反応条件に厳しい制限がある。
近江鉱業(株)インターネット平成17年2月3日掲載ホームページhttp:www.omi-mining.co.jp/homepage/HP001/surfaceup.html 特公平6−8194号公報 (特許請求の範囲、第2頁) 特開平5−193997号公報 (特許請求の範囲、段落番号[0009]〜[0032])
本発明者等は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、製糖工場で大量に排出されるライムケーキを排煙処理剤製造用の原料とすることにより、製造工程中の消化段階においてアルコールや有機、無機化合物を添加することなく、水のみの添加で安価にしかも容易に、煙道内噴霧用の排煙処理剤として適した高反応性消石灰を得ることができることを知得し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の目的とするところは、上述した問題点を解決した排煙処理方法、並びに、排煙処理剤の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 ライムケーキを焼成して生石灰を得、前記生石灰を水のみで且つ水と生石灰との質量比(H2O/CaO質量比)0.6以上で消化して得た消石灰を煙道内に噴霧し、酸性ガスを含む排煙と接触させて酸性ガスを除去する排煙処理方法。
〔2〕 消石灰の比表面積が21m2/g以上である〔1〕に記載の排煙処理方法。
〔3〕 ライムケーキの焼成温度が750℃以上である〔1〕に記載の排煙処理方法。
〔4〕 ライムケーキを焼成して生石灰を得、前記生石灰を水のみで且つ生石灰と水との質量比(H2O/CaO質量比)0.6以上で消化することを特徴とする排煙処理剤の製造方法。
本発明によれば、製糖工場で大量に排出されるライムケーキの焼成・消化物を煙道内噴霧用の排煙処理剤として使用しているので、排煙処理剤の製造工程中の消化反応に際してはアルコールや有機、無機化合物を添加することなく、水のみの添加で安価にしかも容易に排煙処理剤を得ることができ、排煙処理に際しては酸性ガス除去率が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、以下にその一例を示すように、排煙処理剤製造用原料のライムケーキを焼成して生石灰を得、前記生石灰を消化して得た排煙処理剤としての消石灰を煙道内に噴霧し、酸性ガスを含む排煙と接触させて酸性ガスを除去する排煙処理方法、並びに、排煙処理剤の製造方法である。
〔ライムケーキ〕
本例で使用する排煙処理剤製造用原料のライムケーキは、以下に詳述するように、製糖工場で大量に排出されるものである。
甜菜からの砂糖製造過程では消石灰が使用される。この石灰使用の目的は、水溶性に富む砂糖の性質を利用し、切り刻んだ甜菜から温水で砂糖を高純度で抽出するところにある。この温水には、甜菜に含まれる砂糖以外の有機物及び無機物等の不純物(非糖分)も溶出してくる。そのため、高純度砂糖を効率よく回収するためには、これら非糖分を除去しなければならない。
すなわち、非糖分を安価に効率よく除去する方法として、昔から石灰清浄法が採用されており、現在に至っている。石灰清浄法は糖汁に消石灰を添加し、炭酸ガスと反応させることにより、非糖分を分解、吸着して除去する方法である。この時に、非糖分を含む炭酸カルシウムを生成するが、これを系外に排出し、脱水したものが「ライムケーキ」である。
ライムケーキは、北海道内に製糖所が8工場あり、甜菜処理量によって差があるが、8工場合わせて、年間20〜30万トン発生している。
「ライムケーキの性状(表1参照)」
水分は、高脱水装置を有する場合は30〜35質量%、それ以外は40〜50質量%である。有機分は7〜16質量%とロット間の差が大きい。水分と有機分を除いた無機成分はそのほとんどが炭酸カルシウムで、純度(酸化カルシウム+強熱減量)は94〜96質量%である。カルシウム以外の元素は原料石灰由来のマグネシウム、アルミニウム、珪素、鉄、ストロンチウムと甜菜中に含まれているリン、カリウムなどである。
「粉体特性」
ライムケーキの平均粒径(50体積%粒径)は9〜14μmである。また、走査型電子顕微鏡での直接観察においても、粒径10μm前後の粒子が大部分を占めている。各粒子は数百nmから数μmの微細な結晶(一次粒子)の集合体(二次粒子)から構成されている。
Figure 0005164051
「溶出試験」
上記ライムケーキの土壌に対する環境負荷を示す環境庁告示第46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に基づく溶出試験における、カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、セレンの各項目は環境基準値以下である。
〔乾燥〕
上記ライムケーキは必要に応じ100〜200℃で乾燥させる。
〔生石灰(ライムケーキの焼成)〕
上記ライムケーキは750℃以上、好ましくは750〜1200℃、更に好ましくは750〜1000℃で焼成することで、ライムケーキ由来の生石灰となる。焼成温度750℃未満では焼成が不十分で未反応の炭酸カルシウムが多く残っており、好ましくない。また、1200℃を超えて高温に加熱しても熱エネルギー的に不経済となる。焼成時間は5分〜6.0時間が好ましい。
焼成後得られるライムケーキ由来の生石灰は、例えば走査型電子顕微鏡写真(図1)に示されるように、0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.2μmの粒径を有する微細な結晶(一次粒子)の集合体(二次粒子)から構成される。
これに対し、汎用生石灰である石灰石由来の生石灰は、例えば走査型電子顕微鏡写真(図2)に示されているように、一次粒子径が大きく、比表面積が小さい粒子形態をしている。
〔消石灰(ライムケーキ由来の生石灰の消化)〕
ライムケーキ由来の生石灰の消化は、攪拌装置を備えた反応容器に生石灰と水を所定量添加して行う。消化反応条件としては、反応温度を通常70〜150℃、好ましくは75〜120℃にして、反応時間10〜120分で行う。消化水の温度は30℃以下で行う。消化水の温度が30℃より高い場合には急激に消化反応が起こり均一な反応が行われない。
ライムケーキ由来の生石灰と水の比はH2O/CaO質量比で0.6以上、好ましくは0.65〜2、更に好ましくは0.7〜1.5とすることで、比表面積が21m2/g以上、好ましくは23m2/g以上、更に好ましくは31m2/g以上で、SO2吸着量が68mg−SO2/g以上、更に好ましくは100mg−SO2/g以上の消石灰が得られる。なお、H2O/CaO質量比が1を超える場合は消化反応後の残留水が多くなり、この残留水を除去するため濾過・乾燥工程が必要となり工業的製法としては経済的ではない。
消化後得られるライムケーキ由来の消石灰は、例えば走査型電子顕微鏡写真(図3)に示されるように、微細な結晶(一次粒子)の集合体(二次粒子)から構成されている。このライムケーキ由来の消石灰について、比表面積は21m2/g以上が好ましく、23m2/g以上が更に好ましく、31m2/g以上が特に好ましい。一次粒子は粒径1μm以下であり、且つ、0.5μm以下の微細な一次粒子が多いことが好ましい。
これに対し、汎用排煙処理剤である石灰石由来の特号消石灰は、例えば走査型電子顕微鏡写真(図4)に示されるように、一次粒子径が大きく、比表面積が小さい粒子形態をしている。
上記ライムケーキ由来の消石灰は、汎用の排煙処理剤である特号消石灰よりもSO2吸着能に優れているばかりでなく、アルコール等の添加剤を使用した高反応性消石灰と同等又はそれ以上のSO2吸着能を有する。
また、上記ライムケーキ由来の消石灰の製造工程において、生石灰の消化処理は水のみで行っており、アルコール等の添加剤を使用していないので、設備費やランニングコストが安いことから製造コストを上昇させない。しかも、製造管理が簡素であり、反応溶媒の後処理などを必要とせず、反応温度などの反応条件に厳しい制限は無い。
〔排煙処理〕
以上の製造方法で得られるライムケーキ由来の消石灰は反応性が高く、清掃工場等での排煙中の酸性ガス除去処理において、その除去率が高い。すなわち、上記ライムケーキ由来の消石灰は酸性ガス、特にSO2ガスの吸着性能が高い。
よって、上記ライムケーキ由来の消石灰は、排煙が通る煙道内に噴霧することにより、排煙内のHCl及びSO2等の有害な酸性ガスを消石灰に接触させ、酸性ガスと反応した消石灰を集塵器により回収した後、この回収物を埋立て処理等の管理型の廃棄物として処理する排煙処理方法における排煙処理剤として好的に用いることができる。
上記ライムケーキ由来の消石灰を噴霧する煙道箇所としては特に限定されるものではないが、排煙温度が450℃以下の箇所が通常である。
以下、本発明を実施例により、具体的且つ詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
なお、生石灰及び/又は消石灰の物性については、次の方法で求めた。
電子顕微鏡写真:日本電子(株)製走査型電子顕微鏡JSM−5800LVで5000〜20000倍で観察を行った。
SO2吸着量:JIS K 0103に基づいて中和滴定で測定した。
比表面積:JIS Z 8830に基づいて、島津製作所製フローソーブ2300で測定した。
実施例1〜10及び比較例1〜3
表2に示す化学組成のライムケーキについて、電気炉を用いて、表3に示す条件で焼成し、ライムケーキ由来の生石灰を得た。
このライムケーキ由来の生石灰について、図5に示す消化反応装置を用い、表3の消化反応条件により消化処理を行った。実施例3では消化反応中のスラリー温度を測定した。その消化速度曲線を図6に示す。実施例3の場合、ライムケーキを800℃、2時間焼成した生石灰の消化反応は、消化開始後30秒間のスラリー上昇温度51℃、スラリーが最高上昇温度に到達するまでの時間(全消化反応時間)35秒、また、その時のスラリー上昇温度(全上昇温度)52℃と極めて高反応である。
また、900℃及び1000℃で焼成したライムケーキ由来の生石灰を実施例3と同様の条件で消化処理した場合においても全消化反応時間が多少長くなる傾向はあるが、おおよそ1分以内に反応は終了する。
その後も攪拌を続け十分な熟成を行い、冷却と同時に均一な消化を行った後、105℃で乾燥することによって、表3及び図7〜9に示すSO2吸着量、比表面積を有する排煙脱硫剤(消石灰)を得た。ライムケーキ由来の生石灰の電子顕微鏡写真を図1に示す。実施例8で得られたライムケーキ由来の消石灰の電子顕微鏡写真を図3に示す。
図5において、2はデュワー瓶であり、デュワー瓶2内には、攪拌羽根4及び温度計6が備えてある。消化処理においては、表3に示す消化反応条件でライムケーキ由来の生石灰と水(脱炭酸水)とを仕込み、攪拌羽根4の回転数を100〜200rpmの範囲で調節して、生石灰と水との混合物8を攪拌した。
Figure 0005164051
比較例4〜9
消化処理する生石灰に、北海道共同石灰(株)の生産工程のメルツ炉で製造した石灰石(尻屋産)由来の生石灰を用い、表3の消化反応条件により消化処理を行った。比較例9では消化反応中のスラリー温度を測定した。その消化速度曲線を図6に示す。比較例9の消化反応は、消化開始後30秒間の上昇温度40℃、全上昇温度53℃、全消化反応時間270秒であった。
このように、石灰石由来の生石灰はライムケーキ由来の生石灰に比較して消化反応性が低いので、熟成及び冷却などの後工程を含めた全消化処理工程はライムケーキ由来の生石灰の消化処理時間よりも長めとした。それ以外は実施例1〜10及び比較例1〜3と同様に消化処理を行い、表3及び図7〜9に示すSO2吸着量、比表面積の消石灰を得た。また、石灰石由来の生石灰の電子顕微鏡写真を図2に示す。
比較例10
石灰石(尻屋産)由来の生石灰を水のみで消化して製造された消石灰であって、[北海道共同石灰(株)の生産工程で製造された特号消石灰(JIS R 9001規格品)]について、SO2吸着量、比表面積を測定した。その結果を表3及び図9に示す。また、電子顕微鏡写真を図4に示す。
比較例11〜12
石灰石由来の生石灰をアルコール等を含む消化水で消化して製造された高反応性消石灰(A社製、B社製)について、SO2吸着量、比表面積を測定した。その結果を表3及び図9に示す。
Figure 0005164051
表3及び図6〜9に示す結果から以下のことが明らかになった。
図7は、実施例1〜10及び比較例1〜8の消石灰について、SO2吸着量に及ぼす消化時のH2O/CaOモル比の影響を示すグラフであり、図8は、実施例1〜10及び比較例1〜8の消石灰について、比表面積に及ぼす消化時のH2O/CaOモル比の影響を示すグラフである。
図7〜8に示されるように、石灰石由来の消石灰は消化時の水の添加量がH2O/CaO質量比0.5(H2O/CaOモル比1.6)のとき比表面積は最大になる。しかし、そのときでも比表面積は12m2/gと小さく、SO2吸着量も39.4mg−SO2/gと低い。しかも、消化時の水の添加量が増えるに従って、比表面積は更に小さくなり、SO2吸着量も更に低下する傾向にある。
これに対し、ライムケーキ由来の生石灰をH2O/CaO質量比0.6以上(H2O/CaOモル比1.87以上)で消化して得られるライムケーキ由来の消石灰は、汎用の排煙処理剤である特号消石灰よりもSO2吸着能に優れているばかりでなく、アルコール等の添加剤を使用した高反応性消石灰と同等又はそれ以上のSO2吸着能を有する。
図9は、実施例1〜10及び比較例1〜8と10〜12の消石灰について、SO2吸着量と比表面積との関係を示すグラフである。図9に示されるようにSO2吸着量と比表面積とは相関が高いので、消石灰へのSO2吸着反応メカニズムは消石灰の比表面積によるところが大きいと考えられる。
800℃焼成により得られるライムケーキ由来の生石灰(例えば、実施例1〜5及び比較例1で用いた生石灰)は、走査型電子顕微鏡写真(図1)に示されるように、粒径0.1〜0.2μmの微細粒子から構成され、比表面積が大きい粒子形態をしている。
また、900℃あるいは1000℃焼成のライムケーキ由来の生石灰は、粗粒な粒子として粒径0.5μm程度の粒子が部分的に観察され、生石灰粒子径がわずかに大きくなる傾向が認められる。しかし、比表面積については、800℃焼成物と同様に比表面積の大きい粒子形態をしている。
このライムケーキ由来の生石灰をH2O/CaO質量比0.6以上(H2O/CaOモル比1.87以上)で消化して得られるライムケーキ由来の消石灰(例えば、実施例8で得られた消石灰)も、走査型電子顕微鏡写真(図3)に示されるように、一次粒子は粒径0.5μm以下と微細であり、比表面積が大きな(実施例8では34m2/g)粒子形態を示している。
これに対し、汎用生石灰である石灰石由来の生石灰(例えば、比較例4〜9で用いた生石灰)は、走査型電子顕微鏡写真(図2)に示されるように、一次粒子が1μm前後と大きく、比表面積が小さい粒子形態を示している。
この石灰石由来の生石灰を消化して得られる石灰石由来の消石灰(例えば、比較例10で用いた特号消石灰)も、走査型電子顕微鏡写真(図4)に示されるように、一次粒子径が大きく、比表面積が小さい粒子形態をしている。
以上のように、ライムケーキ由来の消石灰と石灰石由来の消石灰とでは、粒子サイズが異なり、それが比表面積の差異として現れる。よって、上述したように、消石灰へのSO2吸着反応メカニズムは、消石灰の比表面積の差異によるところが大きいと考えられる。
ライムケーキ由来の消石灰の比表面積が大きくなる理由ははっきりと解明されたものではないが、ライムケーキ有機物の焼成燃焼時に発生する揮発分や微量に発生するその熱分解物により、ライムケーキ粒子が生石灰粒子になる際に一次粒子同士が、焼結・粒成長することを抑制する。
そのため、ライムケーキ由来の生石灰は、一次粒子の径が微細となり、比表面積が大きいものとなる。このライムケーキ由来の生石灰の比表面積が大きい粒子形態は、ライムケーキ由来の消石灰の比表面積が大きい粒子形態にも反映されると考えられる。
また、ライムケーキ由来の生石灰の比表面積が大きいことは、生石灰を水和(消化)する際に水和反応を促進するので、水和反応が速くなることからも解る。
図6は、実施例3で得られたライムケーキ由来の消石灰及び比較例9で得られた石灰石由来の消石灰について、それぞれの生石灰からの消化時における温度上昇曲線を示すグラフである。
この温度上昇曲線に示されるように、ライムケーキ由来の生石灰の方が、石灰石由来の生石灰よりも消化反応初期の温度上昇勾配が大きく、消化反応が速く進むことが解る。このことは、ライムケーキ由来の生石灰が、石灰石由来の生石灰よりも粒子径が小さく比表面積が大きいために消化反応が速くなり、温度上昇が速くなったからと考えられる。
実施例1〜5及び比較例1で用いた生石灰の図面代用の電子顕微鏡写真である。 比較例4〜9で用いた生石灰の図面代用の電子顕微鏡写真である。 実施例8で得られた消石灰の図面代用の電子顕微鏡写真である。 比較例10で用いた特号消石灰の図面代用の電子顕微鏡写真である。 実施例1〜10及び比較例1〜9で用いた消化反応装置を示す概略断面図である。 実施例3で得られたライムケーキ由来の消石灰及び比較例9で得られた石灰石由来の消石灰について、それぞれの生石灰からの消化時における温度上昇曲線を示すグラフである。 実施例1〜10及び比較例1〜8の消石灰について、SO2吸着量に及ぼす消化時のH2O/CaOモル比の影響を示すグラフである。 実施例1〜10及び比較例1〜8の消石灰について、比表面積に及ぼす消化時のH2O/CaOモル比の影響を示すグラフである。 実施例1〜10及び比較例1〜1〜8と10〜12の消石灰について、SO2吸着量と比表面積との関係を示すグラフである。
符号の説明
2 デュワー瓶
4 攪拌羽根
6 温度計
8 生石灰と水との混合物

Claims (5)

  1. 製糖工場で生成する非糖分を含む炭酸カルシウムを脱水して生成されるライムケーキを焼成して生石灰を得、前記生石灰を水のみで且つ水と生石灰との質量比(H2O/CaO質量比)0.6〜20で消化して得た消石灰を煙道内に噴霧し、酸性ガスを含む排煙と接触させて酸性ガスを除去する排煙処理方法。
  2. 消石灰の比表面積が21m2/g以上である請求項1に記載の排煙処理方法。
  3. ライムケーキの焼成温度が750℃以上である請求項1に記載の排煙処理方法。
  4. 水が30℃以下の水である請求項1に記載の排煙処理方法。
  5. 製糖工場で生成する非糖分を含む炭酸カルシウムを脱水して生成されるライムケーキを焼成して生石灰を得、前記生石灰を水のみで且つ生石灰と水との質量比(H2O/CaO質量比)0.6〜20で消化することを特徴とする排煙処理剤の製造方法。
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