JPH0972532A - 排ガス中のフッ化水素の低減方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 石炭を燃焼したとき発生する燃焼排ガス中の
フッ化水素を低減させる方法を提供する。 【解決手段】 石炭の焼成前に、石灰類を添加混合す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、石炭の燃焼ガス
中に含有するフッ化水素を低減する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】フッ化水素は、その毒性のために排出濃
度が表１に示すとおりに規制されている。その除去方法
として様々な方法が考えられているが、フッ化水素を含
む排ガスを水中を通過させることによって除去する方法
が最も簡易であるとされてきた。しかし、この方法は、
排ガスの温度低下や排水処理を必要とするなどいくつか
の解決すべき問題点がある。

【０００３】

【表１】

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、合
理的で廉価な石炭の燃焼排ガス中のフッ化水素低減方法
を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、石炭が、燃
焼して燃焼ガスとなる前に、石炭に石灰類を添加混合す
ることを特徴とする石炭の燃焼ガス中のフッ化水素の低
減方法である。

【０００６】

【発明の実施の形態】この発明の対象となる石炭は、フ
ッ素を含有するものであれば石炭の産地、種類などは限
定されるものではなく、またその燃焼方法についても固
定床燃焼、噴流床燃焼、流動床燃焼などいずれの方法に
よってもよく、燃焼炉の種類も問わない。また、石炭の
燃焼とは石炭の単独燃焼のみならず、例えば重油やター
ルと混合してスラリー状とした石炭含有燃料（ＣＯＭ）
の燃焼の場合も含む。

【０００７】この発明において、石灰類とは、ＣａＯ，
Ｃａ（ＯＨ）₂ 、高温で分解してＣａＯを生ずる物質、
およびこれらを含有する物質であって工業的には、生石
灰、消石灰、炭酸石灰などが例示され、カルシウムとし
て１０重量％以上含有するものが好ましい。

【０００８】添加する石灰類の量は、燃料中に存在する
フッ素１モル当り、カルシウムとして１モル〜２０モル
が好ましい。石炭と石灰類との混合は、石炭が燃焼室に
投入される前に通常の方法で行ってもよく、また燃焼室
内で、両者が充分接触できるように、例えば微粉炭と石
灰乳とを混合しながら燃焼室に吹き込んでもよい。

【０００９】このように石炭と石灰類が混合され、石炭
の燃焼により混合物は高温で処理されるので、石灰類中
のカルシウムと石炭中のフッ素が反応して固体のフッ化
カルシウムとなり、燃焼残渣（石炭灰）中に混入して燃
焼炉から直接灰として排出されるか、排ガス中に粉塵と
して混入して電気集じん機のような集じん機で捕集され
て、排ガス中から除去される。このようにして、燃焼排
ガス中のフッ化水素の量を低減させることができる。

【００１０】燃焼温度は、通常の石炭の燃焼温度であれ
ば問題はないが、石灰類がＣａＣＯ ₃ を主成分とする場
合にはその分解温度の約８００℃以上であることが好ま
しい。

【００１１】以下実施例をあげて説明する。

【００１２】

【実施例】

実施例１ 市販の炭酸カルシウム（純度９９％以上）を、フッ素含
有率がそれぞれ０．０１、０．０２、および０．０３重
量％の石炭Ａ，ＢおよびＣに、表２に示す量を添加・混
合し、燃焼温度１０００℃で燃焼させ、燃焼排煙ガス中
のフッ化水素の濃度を測定しその結果を表に２に示し
た。

【００１３】実施例２ 炭酸カルシウムに換えて純度９９％以上の消石灰を使用
した以外は実施例１と同様の操作で試験を行い、表２に
示す結果を得た。

【００１４】実施例３ 炭酸カルシウムに換えて０．１ｍｍ以下に粉砕した石灰
石（炭酸カルシウム含有率９５重量％以上）を使用した
以外は実施例１と同様の操作で試験を行い、表２に示す
結果を得た。

【００１５】比較例１ 炭酸カルシウムを使用することなく、実施例１と同様の
操作で実験を行い、表２に示す結果を得た。

【００１６】

【表２】

【００１７】

【発明の効果】この発明の方法によれば、極めて簡易な
操作で石炭燃焼排ガス中のフッ化水素を効率よく低減さ
せることができる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 石炭に、この石炭が燃焼して燃焼ガスと
   なる前に、石灰類を添加・混合することを特徴とする石
   炭の燃焼ガス中のフッ化水素の低減方法。
2. 【請求項２】 石灰類の添加量が、石炭中のフッ素モル
   当り、カルシウムとして１〜２０モルである請求項１記
   載の方法。