JP4726811B2 - 有害微量元素溶出抑制方法及び石炭火力発電システム - Google Patents

有害微量元素溶出抑制方法及び石炭火力発電システム Download PDF

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本発明は、石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を抑制する有害微量元素溶出抑制方法及び石炭火力発電システムに関する。
石炭火力発電システムにおいて石炭を燃焼させる方法としては種々の方式があるが、中でも、石炭を微粉砕した粒子を火炉内に吹き込んで燃焼させる、いわゆる微粉炭燃焼が主に採用されている。そして、燃焼後の残渣となる石炭灰は、資源の有効利用の観点から、コンクリートや土壌改良材等の土木建築材料として一部が使用されているが、余剰分については埋め立て処分されている。
ところで、燃料となる石炭は、炭素以外にも、セレン、フッ素、ホウ素、ヒ素などの、人間にとって有害となり得る元素を微量ながら含んでいる(以下、これらの有害な元素を「有害微量元素」という)。このため、環境への配慮から、石炭灰からの有害微量元素の溶出について、その許容濃度が法律で規定されている。しかしながら、日本に輸入される石炭種は、年間100炭種以上あり、有害微量元素の含有率も様々である。上述の規制値を遵守するには、石炭火力発電システムにおいて有害微量元素の含有率が低い石炭種を燃料として使用することが好ましいが、その一方で、燃料費のコスト削減の要請から、有害微量元素の含有率が高い安価な石炭種を使用できることが好ましい。このような理由から、石炭灰からの有害微量元素の溶出を抑制する技術が望まれている。
従来、このような石炭灰、或いは焼却炉における焼却灰などからの有害微量元素の溶出を抑制するための処理方法としては、種々の技術が知られている。
例えば、特許文献1、2には、焼却灰にキレート剤等を加えて混練する処理方法が開示されている。この処理方法によれば、焼却灰にキレート剤等を加えて焼却灰中の重金属元素を固定化することにより、焼却灰からの重金属元素の溶出を抑制することができる。
また、特許文献3には、石炭を燃焼炉(A)で燃焼し、その排ガスを電気集塵器で処理し、得られた集塵灰を燃焼炉(B)で、石炭を主燃料とし、石灰石等のカルシウム源を加えて再度燃焼する処理方法が開示されている。この処理方法によれば、カルシウム源を添加できる燃焼炉で集塵灰を再度燃焼することによって、環境庁告示第18号に基づく溶出試験方法による焼却灰からの溶出ホウ素量を1.0mg/L以下にすることができる。
特開2003−200132号公報 特開2002−194328号公報 特開2005−134098号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の処理方法は、焼却灰に比較的高価なキレート剤等を加えることで有害微量元素の溶出を抑制するものであるため、石炭火力発電システムのように大量の石炭灰が生成されるシステムにおいては処理コストが高騰してしまうという問題がある。また、この処理方法では重金属元素の溶出抑制については検討されているものの、フッ素やホウ素などの軽元素の溶出抑制についての検討は不十分であった。
また、特許文献3に記載の処理方法は、添加するカルシウム源は比較的安価であるものの、燃焼炉で得られた集塵灰を再度燃焼させる必要があり、集塵灰の処理コストが高くなる可能性が高い。また、この処理方法では、集塵灰を再度燃焼する際の燃焼温度は700℃から900℃と低く、高温の炉においては好適に実施することができない。加えて、この処理方法は、微粉炭燃焼炉などにおいても、好適に実施することができない。さらに、溶出抑制の対象となる元素がホウ素に限られており、有害微量元素一般の溶出抑制方法として用いることができるものではない。
さらに、特許文献1〜3に記載の処理方法は、キレート剤又はカルシウム源を添加するものであるが、キレート剤又はカルシウム源の添加量が少ないと有害微量元素の溶出抑制効果が不十分となり、逆にキレート剤又はカルシウム源の添加量が多過ぎると溶出抑制効果が頭打ちとなる一方でコストが高くなり非効率である。しかしながら、燃料として使用される石炭種中の有害微量元素の含有率は上述のように様々であるため、適切な添加量を決定することは困難である。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、石炭火力発電システムにおける石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を、コストを抑えつつ効果的に抑制する有害微量元素溶出抑制方法及び石炭火力発電システムを提供することを目的とする。
(1) 石炭を燃焼させるバーナーゾーン、及び当該バーナーゾーンの下流に設けられ、前記バーナーゾーンで発生した燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱する熱交換ユニットを有する燃焼ボイラと、前記石炭を前記バーナーゾーンに供給する石炭供給部と、を備えた石炭火力発電システムにおいて、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を抑制する有害微量元素溶出抑制方法であって、前記石炭供給部から前記熱交換ユニットまでの間の系内に、石灰石、消灰石、及び生石灰からなる群より選択される1種以上を含む溶出抑制剤を添加する溶出抑制剤添加ステップと、前記石炭の燃焼残渣を分析し、該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を測定する燃焼残渣分析ステップと、を有し、前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記燃焼残渣分析ステップにおける分析の結果、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が所定の範囲を上回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を増加させ、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が前記所定の範囲を下回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を減少させることを特徴とする有害微量元素溶出抑制方法。
(1)の発明によれば、石炭供給部から熱交換ユニットまでの間の系内に溶出抑制剤を添加するため、既存の設備の改良で簡単に適用できる。なお、添加のタイミングは、石炭供給部から燃焼ボイラまでの間の系内であれば特に限定されず、後述する石炭供給部、微粉炭生成部、微粉炭燃焼部のいずれであってもよい。この微粉炭燃焼部には、燃焼ボイラ内の下流に配置される熱交換ユニット(いわゆる節炭器)付近まで含まれる。
また、本発明においては、溶出抑制剤として、石灰石、消灰石、及び生石灰からなる群より選択される1種以上を添加することにより、石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を効果的に抑制することができる。この石灰石、消灰石、生石灰は、比較的安価であると共に容易に入手可能である。
さらに、本発明においては、石炭の燃焼残渣を分析して該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を測定し、その分析結果をフィードバックすることにより溶出抑制剤の添加量を決定するため、常に適切な量の溶出抑制剤を添加することができる。
また、本発明によれば、石炭の燃焼残渣の分析結果に応じて溶出抑制剤の添加量を増減させることにより、該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を平均して所定の範囲内に保つことができる。この所定の範囲の上限値は、例えば法律で規定されている溶出濃度の規制値とすることができ、下限値は、溶出抑制効果が頭打ちとなったとき(例えば石炭100重量部に対して溶出抑制剤を10重量部添加したとき)の溶出濃度よりも若干大きな値とすることができる。
前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記溶出抑制剤を、前記バーナーゾーン内に添加する(1)記載の有害微量元素溶出抑制方法。
(3) 前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記溶出抑制剤を、前記バーナーゾーンよりも上流で添加する(1)記載の有害微量元素溶出抑制方法。
石炭を燃焼させるバーナーゾーン、及び当該バーナーゾーンの下流に設けられ、前記バーナーゾーンで発生した燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱する熱交換ユニットを有する燃焼ボイラと、前記石炭を前記バーナーゾーンに供給する石炭供給部と、を備えた石炭火力発電システムにおいて、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を抑制する有害微量元素溶出抑制方法であって、前記石炭供給部から前記熱交換ユニットまでの間の系内に、石灰石、消灰石、及び生石灰からなる群より選択される1種以上を含む溶出抑制剤を添加する溶出抑制剤添加ステップと、前記石炭の燃焼残渣を分析し、該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を測定する燃焼残渣分析ステップと、を有し、前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記燃焼残渣分析ステップにおける分析結果に応じて、前記溶出抑制剤の添加量を決定し、前記溶出抑制剤を、前記熱交換ユニット付近で添加する、ことを特徴とする有害微量元素溶出抑制方法。
)の発明によれば、石炭供給部から熱交換ユニットまでの間の系内に溶出抑制剤を添加するため、既存の設備の改良で簡単に適用できる。なお、添加のタイミングは、石炭供給部から燃焼ボイラまでの間の系内であれば特に限定されず、後述する石炭供給部、微粉炭生成部、微粉炭燃焼部のいずれであってもよい。この微粉炭燃焼部には、燃焼ボイラ内の下流に配置される熱交換ユニット(いわゆる節炭器)付近まで含まれる。
また、本発明においては、溶出抑制剤として、石灰石、消灰石、及び生石灰からなる群より選択される1種以上を添加することにより、石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を効果的に抑制することができる。この石灰石、消灰石、生石灰は、比較的安価であると共に容易に入手可能である。
さらに、本発明においては、石炭の燃焼残渣を分析して該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を測定し、その分析結果をフィードバックすることにより溶出抑制剤の添加量を決定するため、常に適切な量の溶出抑制剤を添加することができる。
また(2)から(4)の発明は、溶出抑制剤の添加位置を規定するものである。好ましい添加位置として、(2)の発明ではバーナーゾーン内に添加を行う。これにより、燃焼による高温加熱によって、有害微量元素の溶出抑制効果を向上させることができる。なお、本発明における「バーナーゾーン内」には、燃焼ボイラが排ガスの再循環を行っている場合には、その配管への添加も含まれるものである。また、(3)の発明では、溶出抑制剤をバーナーゾーンよりも上流で添加する。「バーナーゾーンよりも上流」とは、例えば、後述する石炭供給部、微粉炭生成部である。この態様によれば、燃料石炭又は微粉炭の状態で添加できるので、より簡便な設備で添加が行え、既存の設備であっても容易に適用できる。また、(4)の発明では、溶出抑制剤を燃焼ボイラ内に配置される熱交換ユニット付近で添加する。この熱交換ユニットは、火炉上部分割壁、過熱器、再熱器、節炭器等とも呼ばれ、火炉上部分割壁から再熱器付近までの領域は850℃から900℃前後が、節炭器付近の領域は450℃から500℃前後が維持されている。
(5) 前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記燃焼残渣分析ステップにおける分析の結果、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が所定の範囲を上回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を増加させ、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が前記所定の範囲を下回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を減少させる(4)記載の有害微量元素溶出抑制方法。
(5)の発明によれば、石炭の燃焼残渣の分析結果に応じて溶出抑制剤の添加量を増減させることにより、該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を平均して所定の範囲内に保つことができる。この所定の範囲の上限値は、例えば法律で規定されている溶出濃度の規制値とすることができ、下限値は、溶出抑制効果が頭打ちとなったとき(例えば石炭100重量部に対して溶出抑制剤を10重量部添加したとき)の溶出濃度よりも若干大きな値とすることができる。
(6) 前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記石炭100重量部に対して、前記溶出抑制剤を0.3重量部以上10重量部以下の範囲で添加する(1)〜(5)のいずれかに記載の有害微量元素溶出抑制方法。
(6)の発明によれば、石炭100重量部に対して、溶出抑制剤を0.3重量部以上10重量部以下の範囲で添加することにより、石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出をより効果的に抑制することができる。溶出抑制剤の添加量が石炭100重量部に対して0.3重量部未満であると、有害微量元素の溶出抑制効果が不十分となるので好ましくなく、10重量部を超えても、有害微量元素の溶出抑制効果に大きな向上が認められず、また、石炭の燃焼残渣である石炭灰表面の融点降下によって火炉内壁への石炭灰の多量の付着(スラッギング)を起こす恐れがあるため好ましくない。
(7) 石炭を燃焼させるバーナーゾーン、及び当該バーナーゾーンの下流に設けられ、前記バーナーゾーンで発生した燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱する熱交換ユニットを有する燃焼ボイラと、前記石炭を前記バーナーゾーンに供給する石炭供給部と、を備えた石炭火力発電システムにおいて、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を抑制するため、前記石炭供給部から前記熱交換ユニットまでの間の系内に、石灰石、消灰石、及び生石灰からなる群より選択される1種以上を含む溶出抑制剤を添加する溶出抑制剤添加部と、前記石炭の燃焼残渣を分析し、該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を測定する燃焼残渣分析部と、を備え、前記溶出抑制剤添加部は、前記燃焼残渣分析部による分析の結果、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が所定の範囲を上回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を増加させ、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が前記所定の範囲を下回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を減少させる、ことを特徴とする石炭火力発電システム。
(7)の発明は、(1)の発明を石炭火力発電システムとして捉えたものであり、(1)の発明と同様の効果が得られる。
(8) 前記溶出抑制剤添加部は、前記石炭100重量部に対して、前記溶出抑制剤を0.3重量部以上10重量部以下の範囲で添加する(7)記載の石炭火力発電システム。
(8)の発明によれば、石炭100重量部に対して、溶出抑制剤を0.3重量部以上10重量部以下の範囲で添加することにより、石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出をより効果的に抑制することができる。
本発明によれば、石炭火力発電システムにおける石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を、コストを抑えつつ効果的に抑制することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<A:石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設の構成>
図1は、石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設1を示す概略構成図である。図1に示すように、微粉炭燃焼施設1は、石炭を供給する石炭供給部12と、供給された石炭を微粉炭にする微粉炭生成部14と、微粉炭を燃焼する微粉炭燃焼部(燃焼ボイラ)16と、微粉炭の燃焼により生成された石炭灰を処理する石炭灰処理部18と、石炭灰からの有害微量元素の溶出濃度を分析する石炭灰分析部20と、有害微量元素の溶出抑制剤を添加する溶出抑制剤添加部22と、を備える。また、図2は、微粉炭燃焼部16における火炉161付近の拡大図である。
<A−1:石炭供給部12>
石炭供給部12は、石炭を貯蔵する石炭バンカ121と、この石炭バンカ121に貯蔵された石炭を供給する給炭機122と、を備える。石炭バンカ121は、給炭機122へ供給する石炭を貯蔵する。給炭機122は、石炭バンカ121から供給された石炭を連続して石炭微粉炭機141へ供給するものである。また、この給炭機122は、石炭の供給量を調整する装置を備えており、これにより、石炭微粉炭機141に供給される石炭量が調整される。また、これら石炭バンカ121と給炭機122との境界には石炭ゲートが設けられており、これにより、給炭機122からの空気が石炭バンカ121へ流入するのを防いでいる。
<A−2:微粉炭生成部14>
微粉炭生成部14は、石炭を微粉炭燃焼が可能な微粉炭にする石炭微粉炭機(ミル)141と、この石炭微粉炭機141に空気を供給する通風機142と、を備える。
石炭微粉炭機141は、給炭機122から給炭管を介して供給された石炭を、微細な粒度に粉砕して微粉炭を形成すると共に、この微粉炭と、通風機142から供給された空気とを混合する。このように、微粉炭と空気とを混合することにより、微粉炭を予熱及び乾燥させ、燃焼を容易にする。形成された微粉炭には、エアーが吹き付けられて、これにより、微粉炭燃焼部16に微粉炭を供給する。
石炭微粉炭機141の種類としては、ローラミル、チューブミル、ボールミル、ビータミル、インペラーミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく微粉炭燃焼で用いられるミルであればよい。
<A−3:微粉炭燃焼部16>
微粉炭燃焼部16は、微粉炭生成部14で生成された微粉炭を燃焼する火炉161と、この火炉161を加熱する空気予熱器162(熱交換ユニット)と、火炉161に空気を供給する通風機163と、を備える。
火炉161は、図示しない加熱機により加熱されて、石炭微粉炭機141から微粉炭管を介して供給された微粉炭を、通風機163から供給された空気と共に燃焼する。空気予熱器162(熱交換ユニット、AH)は火炉161に送られる空気(未処理ガス)と排ガスの熱交換を行う。微粉炭を燃焼することにより石炭灰(石炭の燃焼残渣)が副生物として生成される。また、石炭灰と共に、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)等の硫黄酸化物(SOx)、及び窒素酸化物(NOx)等の排ガスが発生する。これら石炭灰及び排ガスは、石炭灰処理部18に排出される。
図2を参照して、火炉161について詳しく説明すると、図2において、火炉161は全体として略逆U字状をなしており、図中矢印に沿って燃焼ガスが逆U字状に移動した後、2次節炭器161eを通過後に、再度小さくU字状に反転し、火炉161の出口(図2における矢印の最後)は、脱硝装置181、集塵装置182に接続されている。本実施の形態の微粉炭燃焼施設1においては、火炉161の高さは30mから70mであり、排ガスの流路の全長は300mから1000mに及ぶ。
火炉161の下方には、火炉161内のバーナーゾーン161a’付近で微粉炭を燃焼するためのバーナー161aが配置されている。また、火炉161内のU字頂部付近には、火炉上部分割壁161b、最終過熱器161b’、第1の再熱器161f(いずれも熱交換ユニット)が配置されており、さらにそこから横置き1次過熱器161c(熱交換ユニット)が続いて配置されている。さらに、横置き1次過熱器161cと平行して第2の再熱器161f’が設けられており、横置き1次過熱器161cの終端付近からは、1次節炭器161d(熱交換ユニット)、2次節炭器161e(熱交換ユニット)が2段階に設けられている。ここで、節炭器(ECOとも呼ばれる)は、燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱するために設けられた伝熱面群である。なお、本実施の形態においては、火炉161中、1次節炭器161dと2次節炭器161eとは、2段階に分離して設置されているが、このような形態に限定されない。すなわち、火炉161は単一の節炭器のみを有するものであってもよい。
<A−4:石炭灰処理部18>
石炭灰処理部18は、微粉炭燃焼部16から排出された排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置181と、微粉炭燃焼部16から排出された排ガス中の煤塵を除去する集塵装置182と、この集塵装置182により捕集された石炭灰を一時貯蔵する石炭灰回収サイロ183と、を備える。
脱硝装置181は、排ガス中の窒素酸化物を除去する装置である。すなわち、比較的高温(300〜400℃)の排ガス中に還元剤としてアンモニアガスを注入し、脱硝触媒との作用により排ガス中の窒素酸化物を無害な窒素と水蒸気に分解する、いわゆる乾式アンモニア接触還元法が好適に用いられる。
集塵装置182は、排ガス中の石炭灰を電極で収集する装置である。集塵装置182は複数段設けられていることが好ましい。この集塵装置182により捕集された石炭灰のうち、一部は石炭灰分析部20に供給され、残りは石炭灰回収サイロ183に搬送されて一時貯蔵される。また、石炭灰が除去された排ガスは、図示しない脱硫装置を介した後に煙突から排出される。
<A−5:石炭灰分析部20>
石炭灰分析部20は、集塵装置182から供給された石炭灰からの有害微量元素の溶出濃度を分析する石炭灰分析装置201を備える。
石炭灰分析装置201は、集塵装置182から供給された石炭灰について溶出操作を行って検液を作成し、この検液中の有害微量元素濃度を測定する。そして、石炭灰分析装置201は、この分析結果を溶出抑制剤添加部22に対してフィードバックする。
具体的に分析対象となる有害微量元素としては、セレン、フッ素、ホウ素、ヒ素、臭素、シアン、塩素、ヨウ素、硫黄、窒素、リン、シリカ、スズ、チタン、バナジウム、タングステン、ニッケル、マグネシウム、マンガンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、必ずしもこれら全てを分析しなくてもよい。なお、上述のように分析結果を溶出抑制剤添加部22に対してフィードバックする必要があるため、石炭灰分析装置201における分析は、数時間〜1日以内に全て終了することが好ましい。
<A−6:溶出抑制剤添加部22>
溶出抑制剤添加部22は、有害微量元素の溶出抑制剤を添加する溶出抑制剤添加装置221を備える。
溶出抑制剤添加装置221は、図1に示すように、好ましくは石炭供給部12、微粉炭生成部14と、微粉炭燃焼部16のいずれかに対して有害微量元素の溶出抑制剤を添加する。この溶出抑制剤は、石灰石(CaCO)、消灰石(Ca(OH))、及び生石灰(CaO)からなる群より選択される1種以上を含むものである。この溶出抑制剤は、粒状又は粉末状であることが好ましく、具体的には、平均粒径が10μm〜100μmであることが好ましく、10μm〜70μmであることがより好ましい。
溶出抑制剤添加装置221には、石炭灰分析部20における分析結果がフィードバックされる。溶出抑制剤添加装置221は、この分析結果に応じて、後述するように溶出抑制剤の添加量を決定する。
<B:本発明の有害微量元素溶出抑制方法>
本発明の有害微量元素溶出抑制方法は、石炭を燃焼させる燃焼ボイラと、前記石炭を前記燃焼ボイラに供給する石炭供給部と、を備えた石炭火力発電システムにおいて、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を抑制する有害微量元素溶出抑制方法であって、前記石炭供給部から前記燃焼ボイラまでの間の系内に、石灰石、消灰石、及び生石灰からなる群より選択される1種以上を含む溶出抑制剤を添加する溶出抑制剤添加ステップと、前記石炭の燃焼残渣を分析し、該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を測定する燃焼残渣分析ステップと、を有し、前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記燃焼残渣分析ステップにおける分析結果に応じて、前記溶出抑制剤の添加量を決定するものであるが、これを、上述の微粉炭燃焼施設1を用いて説明する。
この方法は、石炭を供給する石炭供給工程S10と、供給された石炭を粉砕して微粉炭を生成する微粉炭生成工程S20と、この微粉炭を燃焼する微粉炭燃焼工程S30と、微粉炭の燃焼により生成された石炭灰を処理する石炭灰処理工程S40と、石炭灰からの有害微量元素の溶出濃度を分析する石炭灰分析工程S50と、有害微量元素の溶出抑制剤を供給する溶出抑制剤添加工程S60と、を含み、石炭供給工程S10から石炭灰分析工程S50までの各工程は、それぞれ上述の微粉炭燃焼施設1の石炭供給部12、微粉炭生成部14、微粉炭燃焼部16、石炭灰処理部18、及び石炭灰分析部20において行われる。そして、溶出抑制剤添加工程S60は、好ましくは上述の石炭供給工程S10、微粉炭生成工程S20、微粉炭燃焼工程S30のいずれかで行われる。
<石炭供給工程S10>
まず、石炭供給工程では、石炭バンカ121に貯蔵された石炭が、給炭機122により、石炭微粉炭機141に供給される。なお、この石炭微粉炭機141に供給される石炭は、具体的には瀝青炭、亜瀝青炭、又は褐炭等であるが、これらの石炭に限定されるものではなく微粉炭燃焼が行える石炭であればよい。
<微粉炭生成工程S20>
次に、微粉炭生成工程では、給炭機122から供給された石炭が石炭微粉炭機141により粉砕され、これにより、微粉炭が生成される。生成された微粉炭は、火炉161に供給される。このとき、この微粉炭生成工程で粉状に形成された微粉炭の平均の粒度は、微粉炭燃焼で一般的に用いられる粒径範囲であればよく、一般的には、74μmアンダー80wt%以上の粉砕度である。なお、この範囲は溶出抑制剤が添加された場合にも適用できる。
<微粉炭燃焼工程S30>
次に、微粉炭燃焼工程では、石炭微粉炭機141で生成された微粉炭が、火炉161により燃焼される。図2に示すように、バーナーゾーン161a’においては微粉炭が燃焼されるが、このときの温度は1300℃から1500℃に達し、燃焼によって生成される石炭灰は、矢印の方向に沿って上昇して排ガスと共に火炉上部分割壁161b(熱交換ユニット)、横置き1次過熱器161c(熱交換ユニット)を通過し、1次節炭器161d(熱交換ユニット)、2次節炭器161e(熱交換ユニット)を順次通過する。
この火炉上部分割壁、過熱器、再熱器付近は850℃から900℃前後が、節炭器付近は450℃から500℃前後が維持されている領域であり、この燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱するために設けられた伝熱面群を通過することによって熱交換され、温度が低下する。排ガスがバーナーゾーン161a’から過熱器付近まで到達するまでに要する時間は、おおむね5秒から15秒である。そして、その後、後段の脱硝装置181、集塵装置182に送られる。この微粉炭燃焼工程で生成される石炭灰は、通常、その平均の粒度が1μmから100μmの範囲内の粉末状である。
<石炭灰処理工程S40>
次に、石炭灰処理工程では、微粉炭の燃焼によって発生した排ガスが脱硝装置181に送られて脱硝され、さらに、集塵装置182によって排ガス中の石炭灰が集塵される。この集塵装置182により捕集された石炭灰のうち、一部は石炭灰分析部20に供給され、残りは石炭灰回収サイロ183に搬送される。また、石炭灰が除去された排ガスは、図示しない脱硫装置を介した後に煙突から排出される。
<石炭灰分析工程S50>
次に、石炭灰分析工程では、集塵装置182から供給された石炭灰からのホウ素、フッ素、セレン、ヒ素などの有害微量元素の溶出濃度が分析され、分析結果が溶出抑制剤添加部22に対してフィードバックされる。
この分析方法としては、例えばJIS K0102に準拠した公定法を用いることができる。例えば、セレンについては水素化合物発生原子吸光法、フッ素についてはランタンアリザリンコンプレキソン吸光光度法やイオンクロマトグラフ法、ホウ素についてはメチレンブルー吸光光度法やICP質量分析法、ヒ素については水素化合物発生原子吸光法や水素化合物発生ICP法などを用いることができる。但し、セレンの場合、JIS K0102に準拠した水素化合物発生ICP法では、分析に7日程度要し、分析結果を迅速にフィードバックすることができなくなるため、水素化合物発生ICP法以外の方法で分析することが好ましい。
なお、この石炭灰分析工程における分析方法は、公定法に限定されるものではなく、公定法と同程度の精度で分析できるものであれば、簡易法であっても構わない。例えば、セレンの分析方法としては、本件出願人が先に提案した特開2005−291968号公報に記載された方法を用いることができる。この方法によれば、JIS K0102に準拠した水素化合物発生原子吸光法と同程度の精度で、且つ水素化合物発生原子吸光法で例えば4時間要していた分析を、2時間程度と迅速に行うことができる。
<溶出抑制剤添加工程S60>
溶出抑制剤添加工程S60は、図1に示すように、好ましくは上述の石炭供給工程S10、微粉炭生成工程S20、微粉炭燃焼工程S30のいずれかに対して行われる。
なお、溶出抑制剤の添加場所は、石炭供給工程S10から微粉炭燃焼工程S30までの間の系内であれば特に限定されず、例えば、石炭供給工程S10と微粉炭生成工程S20との間の移送路や、微粉炭生成工程S20と微粉炭燃焼工程S30との間の移送路などで行われてもよい。
具体的には、例えば、給炭機122から石炭微粉炭機141に輸送する際の移送中のベルトコンベア上に溶出抑制剤を供給して混合する方法、溶出抑制剤を石炭微粉炭機141の石炭ホッパ(図示せず)に直接投入する方法、石炭微粉炭機141と火炉161との間の配管に剤投入口を設けて供給する方法、火炉161(バーナーゾーン161a’)へ燃焼用空気と共に直接投入する方法、火炉161の一部を構成する、火炉上部分割壁161b、最終過熱器161b’、第1の再熱器161f、横置き1次過熱器161c、第2の再熱器161f’、1次節炭器161d、2次節炭器161eなどの熱交換ユニット付近に添加する方法、などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。このように、本発明の方法は新たな設備を必要とせず、既存の設備の軽微な改良で適用可能であるため、既存設備を有効利用することができ、コスト的にも有利である。
この溶出抑制剤添加工程S60では、石炭灰分析工程S50における分析結果に応じて、溶出抑制剤の添加量を決定する。具体的には、石炭灰分析工程S50における分析の結果、石炭灰からの有害微量元素の溶出濃度が所定の範囲を上回る場合には、上回った割合に応じて溶出抑制剤の添加量を増加させ、石炭灰からの有害微量元素の溶出濃度がこの所定の範囲を下回る場合には、下回った割合に応じて溶出抑制剤の添加量を減少させる。これにより、石炭灰からの有害微量元素の溶出濃度を平均して所定の範囲内に保つことができる。この所定範囲の上限値は、例えば法律で規定されている溶出濃度の規制値とすることができ、下限値は、溶出抑制効果が頭打ちとなったときの溶出濃度よりも若干大きな値とすることができる。例えばセレンの場合、上限値は溶出濃度の規制値である0.01mg/Lとすることができ、下限値は0.001mg/Lとすることができる。
なお、石炭灰分析工程S50において複数の有害微量元素について分析を行っている場合、上限値を上回る元素が存在するときには、その中で上限値を上回った割合が最も大きい元素に基づいて溶出抑制剤の添加量を決定し、上限値を上回る元素が存在しないときには、下限値を上回った割合が最も大きい元素に基づいて溶出抑制剤の添加量を決定することが好ましい。
このように、溶出抑制剤添加工程S60では、石炭灰分析工程S50における分析結果がフィードバックされる周期で溶出抑制剤の添加量が増減するが、この添加量は、石炭100重量部に対して0.3重量部以上10重量部以下の範囲であることが好ましい。これは、溶出抑制剤の添加量が石炭100重量部に対して0.3重量部未満であると、有害微量元素の溶出抑制効果が不十分となり、10重量部を超えても、有害微量元素の溶出抑制効果に大きな向上が認められず、また、石炭灰表面の融点降下によって火炉内壁への石炭灰の多量の付着(スラッギング)を起こす恐れがあるためである。
上述したように、溶出抑制剤は、石灰石(CaCO)、消灰石(Ca(OH))、及び生石灰(CaO)からなる群より選択される1種以上を含むものである。この溶出抑制剤の添加により、石炭灰中に含まれる有害微量元素の溶出を、元素の種類に関わりなく抑制できる。具体的に溶出を防止することができる有害微量元素としては、特に限定されないが、セレン、フッ素、ホウ素、ヒ素、臭素、シアン、塩素、ヨウ素、硫黄、窒素、リン、シリカ、スズ、チタン、バナジウム、タングステン、ニッケル、マグネシウム、マンガンなどを挙げることができる。
溶出抑制剤の添加により石炭灰からの有害微量元素の溶出が抑制されるメカニズムは以下の通りである。
石炭供給部12から微粉炭燃焼部16までの間の系内に溶出抑制剤を添加することによって、石炭灰中に含まれている酸化カルシウム量が増加する。ここで、酸化カルシウムは、石炭灰中に含有された有害微量元素の化合物、例えば、酸化セレン、三酸化二ヒ素、及び酸化ホウ素などと反応して、それぞれ亜セレン酸カルシウム、ヒ酸カルシウム、ホウ酸カルシウムなどの難溶性又は不溶性の化合物(以下、「難溶性不溶性化合物」という)を生成する。すなわち、有害微量元素は酸化カルシウムによって化学的に捕捉され難溶性不溶性化合物を生成する。
したがって、石炭供給部12から微粉炭燃焼部16までの間の系内に溶出抑制剤を添加することにより、系内の石炭灰中の酸化カルシウム量が増えたことによって、有害微量元素は酸化カルシウムに化学的に捕捉され難溶性不溶性化合物となっている可能性が高く、石炭灰からの溶出が抑制される。
また、溶出抑制剤を、燃焼中又は燃焼前の石炭の段階で添加した場合、石炭灰の溶融温度が低下する。この結果、火炉161内の1300℃から1500℃という高温の条件においては、シリカ、アルミナを主成分とする石炭灰の表面が軟化(溶融)し、粘性をもった石炭灰粒子が、有害微量元素と接触して石炭灰の内部に取り込まれる。すなわち、有害微量元素の化合物は石炭灰内に物理的に捕捉され、石炭灰からの溶出が抑制される。
以上のように、溶出抑制剤を石炭供給部12から微粉炭燃焼部16までの間の系内に添加することにより、石炭灰からの有害微量元素の溶出を効果的に抑制することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
<試験例1:小規模試験>
<実施例1>
中国産の瀝青炭(以下、石炭A)100重量部に、石灰石を3重量部混合した。この混合物をインペラーミルにより粉砕し、74μmアンダー80wt%、40μmアンダー50wt%、20μmアンダー25wt%となる粉体を得た。この粉体(石灰石含有微粉炭)を、微粉炭燃焼炉に供給し燃焼させた。微粉炭燃焼炉には、内径30cm、炉長2.5mの自燃式の縦型炉を使用し、粉体の投入量は、5〜6kg/hとした。このときの炉内温度は、1300℃に達した。燃焼後、排出された石炭灰を、燃焼炉後段のバグフィルターにて採取した。
採取した石炭灰について、環境庁告示46号による溶出操作を行って検液を作成し、この検液中のセレン、フッ素、ホウ素、ヒ素の各有害微量元素の濃度を測定した。測定結果を表1に示す。溶出濃度の単位はいずれも[mg/L]である。なお、セレン及びヒ素は水素化合物発生原子吸光法で、フッ素はイオンクロマトグラフ法で、ホウ素はICP質量分析法でそれぞれ測定した。
Figure 0004726811
<比較例1>
実施例1において、石炭Aに石灰石を添加しなかった他は、実施例1と同様にして石炭灰を採取し、評価した。測定結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、石炭Aに代えてオーストラリア産の瀝青炭(石炭B)を使用した他は、実施例1と同様にして石炭灰を採取し、評価した。測定結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例2において、石炭Bに石灰石を添加しなかった他は、実施例2と同様にして石炭灰を採取し、評価した。測定結果を表1に示す。
表1に示した測定結果から明らかなように、本発明の方法を実施した場合は、石炭灰からの各有害微量元素の溶出を抑制できる。したがって、ミルに投入する前に、石炭に石灰石等の添加剤を投入するという簡単な操作によって、石炭灰に含まれている有害微量元素の溶出を抑制できることが確認できた。
<試験例2:実機試験>
<実施例3>
図1、図2に示すような装置を用い、図1における石炭供給部12の位置で溶出抑制剤(石灰石)を添加した。なお、石灰石は石炭灰中のCa含有率(質量%)が表2の割合となるようにした。また、その後、石炭灰回収サイロ183で回収された石炭灰について、有害微量元素(セレン、ホウ素、及びヒ素)の溶出濃度を、その減少率と共に表2に示す。ここでは、石炭として豪州炭を用いた。また、表2におけるそれぞれの溶出量の数値は、添加後溶出量/未添加溶出量である。ここで、添加後溶出量は本発明の実施例に相当し、未添加溶出量は、本発明の溶出抑制剤を添加していない系であり、比較例に相当するものである。なお、溶出濃度の単位はいずれも[mg/L]であり、減少率の単位は[%]である。
なお、以下に示す溶出濃度の測定結果は、試験例1と同じく環境庁告示46号による溶出操作を行って検液を作成し、この検液中の各有害微量元素の濃度を測定したものである。また、各有害微量元素のうち、セレン及びヒ素は水素化物発生原子吸光法で、フッ素はイオンクロマトグラフ法で、ホウ素はICP質量分析法でそれぞれ測定した。
また、表2のサンプリング箇所である、ECOは、図2における1次節炭器161dである。また、EP(集塵装置)一段目からEP(集塵装置)四段目は、直列4段で構成される集塵装置182のそれぞれの集塵装置である。
Figure 0004726811
表2の結果によれば、セレン、ホウ素、ヒ素において溶出抑制効果が認められていることが分かる。なお、カッコ内の低減率は参考値であり、この数値が規制値をオーバーしていても、上述のように溶出抑制剤の添加量が増減される結果、平均として規制値以下となるため問題ない。
以上、本発明を実施する最良の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施の形態では、石炭灰分析部20における分析対象が集塵装置182で集塵される石炭灰、すなわちフライアッシュであるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、火炉161から落下するクリンカアッシュや、1次節炭器161d、2次節炭器161e、空気予熱器162、及び脱硝装置181で捕集されるシンダアッシュを分析対象としても構わない。但し、フライアッシュの量が最も多く、且つ有害微量元素の溶出も多いため、フライアッシュを分析対象とすることが好ましい。
本発明の一実施形態を示す石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設の概略構成図である。 図1における火炉付近の拡大図である。
符号の説明
1 微粉炭燃焼施設
12 石炭供給部
121 石炭バンカ
122 給炭機
14 微粉炭生成部
141 石炭微粉炭機
142 通風機
16 微粉炭燃焼部
161 火炉
162 空気予熱器
163 通風機
18 石炭灰処理部
181 脱硝装置
182 集塵装置
183 石炭灰回収サイロ
20 石炭灰分析部
201 石炭灰分析装置
22 溶出抑制剤添加部
221 溶出抑制剤添加装置
S10 石炭供給工程
S20 微粉炭生成工程
S30 微粉炭燃焼工程
S40 石炭灰処理工程
S50 石炭灰分析工程
S60 溶出抑制剤添加工程

Claims (8)

  1. 石炭を燃焼させるバーナーゾーン、及び当該バーナーゾーンの下流に設けられ、前記バーナーゾーンで発生した燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱する熱交換ユニットを有する燃焼ボイラと、前記石炭を前記バーナーゾーンに供給する石炭供給部と、を備えた石炭火力発電システムにおいて、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を抑制する有害微量元素溶出抑制方法であって、
    前記石炭供給部から前記熱交換ユニットまでの間の系内に、石灰石、消灰石、及び生石灰からなる群より選択される1種以上を含む溶出抑制剤を添加する溶出抑制剤添加ステップと、
    前記石炭の燃焼残渣を分析し、該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を測定する燃焼残渣分析ステップと、を有し、
    前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記燃焼残渣分析ステップにおける分析の結果、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が所定の範囲を上回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を増加させ、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が前記所定の範囲を下回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を減少させることを特徴とする有害微量元素溶出抑制方法。
  2. 前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記溶出抑制剤を、前記バーナーゾーン内に添加する請求項記載の有害微量元素溶出抑制方法。
  3. 前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記溶出抑制剤を、前記バーナーゾーンよりも上流で添加する請求項記載の有害微量元素溶出抑制方法。
  4. 石炭を燃焼させるバーナーゾーン、及び当該バーナーゾーンの下流に設けられ、前記バーナーゾーンで発生した燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱する熱交換ユニットを有する燃焼ボイラと、前記石炭を前記バーナーゾーンに供給する石炭供給部と、を備えた石炭火力発電システムにおいて、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を抑制する有害微量元素溶出抑制方法であって、
    前記石炭供給部から前記熱交換ユニットまでの間の系内に、石灰石、消灰石、及び生石灰からなる群より選択される1種以上を含む溶出抑制剤を添加する溶出抑制剤添加ステップと、
    前記石炭の燃焼残渣を分析し、該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を測定する燃焼残渣分析ステップと、を有し、
    前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記燃焼残渣分析ステップにおける分析結果に応じて、前記溶出抑制剤の添加量を決定し、前記溶出抑制剤を、前記熱交換ユニット付近で添加する、ことを特徴とする有害微量元素溶出抑制方法。
  5. 前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記燃焼残渣分析ステップにおける分析の結果、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が所定の範囲を上回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を増加させ、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が前記所定の範囲を下回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を減少させる請求項記載の有害微量元素溶出抑制方法。
  6. 前記溶出抑制剤添加ステップでは、前記石炭100重量部に対して、前記溶出抑制剤を0.3重量部以上10重量部以下の範囲で添加する請求項1乃至5のいずれか1項記載の有害微量元素溶出抑制方法。
  7. 石炭を燃焼させるバーナーゾーン、及び当該バーナーゾーンの下流に設けられ、前記バーナーゾーンで発生した燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱する熱交換ユニットを有する燃焼ボイラと、前記石炭を前記バーナーゾーンに供給する石炭供給部と、を備えた石炭火力発電システムにおいて、
    前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を抑制するため、前記石炭供給部から前記熱交換ユニットまでの間の系内に、石灰石、消灰石、及び生石灰からなる群より選択される1種以上を含む溶出抑制剤を添加する溶出抑制剤添加部と、
    前記石炭の燃焼残渣を分析し、該燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度を測定する燃焼残渣分析部と、を備え、
    前記溶出抑制剤添加部は、前記燃焼残渣分析部による分析の結果、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が所定の範囲を上回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を増加させ、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出濃度が前記所定の範囲を下回る場合には前記溶出抑制剤の添加量を減少させる、
    ことを特徴とする石炭火力発電システム。
  8. 前記溶出抑制剤添加部は、前記石炭100重量部に対して、前記溶出抑制剤を0.3重量部以上10重量部以下の範囲で添加する請求項記載の石炭火力発電システム。
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