JP5063477B2 - 有害微量元素溶出抑制剤及び有害微量元素溶出抑制方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の一例を示す実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、石炭火力発電システムにおける微粉炭燃焼施設1を示すブロック図である。ここで、図1に示すように、微粉炭燃焼施設1は、石炭を供給する石炭供給部12と、供給された石炭を微粉炭にする微粉炭生成部14と、微粉炭を燃焼する微粉炭燃焼部16と、微粉炭の燃焼により生成された石炭灰を処理する石炭灰処理部18と、を備える。また、図2は、微粉炭燃焼部16における火炉161付近の拡大図である。
石炭供給部12は、石炭を貯蔵する石炭バンカ121と、この石炭バンカ121に貯蔵された石炭を供給する給炭機122と、を備える。石炭バンカ121は、給炭機122へ供給する石炭を貯蔵する。給炭機122は、石炭バンカ121から供給された石炭を連続して石炭微粉炭機141へ供給するものである。また、この給炭機122は、石炭の供給量を調整する装置を備えており、これにより、石炭微粉炭機141に供給される石炭量が調整される。また、これら石炭バンカ121と給炭機122との境界には石炭ゲートが設けられており、これにより、給炭機からの空気が石炭バンカへ流入するのを防いでいる。
微粉炭生成部14は、石炭を微粉炭燃焼が可能な微粉炭にする石炭微粉炭機(ミル)141と、この石炭微粉炭機141に空気を供給する空気供給機142と、を備える。
微粉炭燃焼部16は、微粉炭生成部14で生成された微粉炭を燃焼する火炉161と、この火炉161を加熱する加熱機162(熱交換ユニット)と、火炉161に空気を供給する空気供給機163と、を備える。
石炭灰処理部18は、微粉炭燃焼部16から排出された排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置181と、排ガス中の煤塵を除去する集塵機182と、この集塵機182で収集された石炭灰を一次貯蔵する石炭灰回収サイロ183と、を備える。
本発明の有害微量元素溶出抑制剤は、上記微粉炭燃焼施設1に代表される石炭火力発電システムで用いられるものであり、微粉炭燃焼施設1において、石炭の燃焼時に火炉161に添加されることにより、前記石炭の燃焼残渣である石炭灰からの有害微量元素の溶出を抑制するために用いられる有害微量元素溶出抑制剤である。本発明の有害微量元素溶出抑制剤は、有害微量元素溶出抑制剤の原料となる石炭に消石灰、生石灰、及び石灰石からなる群から選ばれる少なくとも一種を添加して燃焼させることにより生成される第一の石炭灰と、カルシウム含有量が酸化カルシウム換算で5質量%未満である第二の石炭灰と、を混合することにより、カルシウム含有量を酸化カルシウム換算で5質量%以上となるようにしたものである。
本発明の有害微量元素溶出抑制方法は、石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭に、有害微量元素溶出抑制剤を添加することにより、前記石炭の燃焼残渣からの有害微量元素の溶出を抑制する有害微量元素溶出抑制方法であるが、これを、上記の微粉炭燃焼施設1を用いて説明する。
まず、石炭供給工程では、石炭バンカ121に貯蔵された石炭が、給炭機122により、石炭微粉炭機141に供給される。なお、この石炭微粉炭機141に供給される石炭は、具体的には瀝青炭、亜瀝青炭、又は褐炭等であるが、これらの石炭に限定されるものではなく微粉炭燃焼が行える石炭であればよい。
次に、微粉炭生成工程では、給炭機122から供給された石炭が石炭微粉炭機141により粉砕されて、これにより、微粉炭が生成される。生成された微粉炭は、火炉161に供給される。このとき、この微粉炭生成工程で粉状に形成された微粉炭の平均の粒度は、微粉炭燃焼で一般的に用いられる粒径範囲であればよく、一般的には、74μmアンダー80wt%以上の粉砕度である。なお、この範囲は有害微量元素溶出抑制剤が添加された場合にも適用できる。
次に、微粉炭燃焼工程では、石炭微粉炭機141で生成された微粉炭が、火炉161により燃焼される。図2に示すように、バーナーゾーン161a’においては微粉炭が燃焼されるが、このときの温度は1300℃から1500℃に及び、燃焼によって生成される石炭灰は、矢印の方向に沿って上昇して排ガスと共に火炉上部分割壁161b、最終過熱器161b’、第1の再熱器161f、第2の再熱器161f’、横置き1次過熱器161c(いずれも熱交換ユニット)を通過し、1次節炭器161d(熱交換ユニット)、2次節炭器161e(熱交換ユニット)を順次通過する。上記のように、この熱交換ユニット付近は、850℃から900℃前後が維持されている領域であり、この燃焼ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱するために設けられた伝熱面群を通過することによって熱交換され、温度が低下する。排ガスがバーナーゾーン161a’から節炭器付近まで到達するまでに要する時間は、おおむね5秒から10秒である。そして、その後、後段の脱硝装置181、集塵機182に送られる。この微粉炭燃焼工程で生成される石炭灰は、通常、その平均の粒度が1μmから100μmの範囲内の粉末状である。
その後、微粉炭を燃焼することにより生成された石炭灰は、排ガスと共に脱硝装置181に排出され、集塵機182を経て石炭灰回収サイロ183に送られる。この集塵機182は複数段設けられていることが好ましい。
本発明の特徴である有害微量元素溶出抑制剤を添加する工程である有害微量元素溶出抑制剤添加工程S50は、図1に示すように、好ましくは上記の石炭供給工程S10、微粉炭生成工程S20、微粉炭燃焼工程S30のいずれかに対して行われる(それぞれ、図1におけるS51、S52、S53)。
なお、石灰石の添加量は、上記条件で調整される水溶液のpHが12.5以上となるように添加することがより好ましく、13.0以上となるように添加することが更に好ましい。このようなpHとなるように石灰石を添加することにより、セレン、ホウ素、ヒ素等の元素の溶出抑制作用を更に強めることができる。
12 石炭供給部
121 石炭バンカ
122 給炭機
14 微粉炭生成部
141 石炭微粉炭機
142 空気供給機
16 微粉炭燃焼部
161 火炉
162 加熱機
163 空気供給機
18 石炭灰処理部
181 脱硝装置
182 集塵機
183 石炭灰回収サイロ
S10 石炭供給工程
S20 微粉炭生成工程
S30 微粉炭燃焼工程
S40 石炭灰処理工程
S50 有害微量元素溶出抑制剤添加工程
Claims (5)
- 石炭火力発電システムにおいて、石炭の燃焼時に火炉に添加されることにより、前記石炭の燃焼残渣である石炭灰からの有害微量元素の溶出を抑制するために用いられる有害微量元素溶出抑制剤であって、
有害微量元素溶出抑制剤の原料となる石炭に消石灰、生石灰、及び石灰石からなる群から選ばれる少なくとも一種を添加して燃焼させることにより生成される第一の石炭灰と、
カルシウム含有量が酸化カルシウム換算で5質量%未満である第二の石炭灰と、を混合して、カルシウム含有量を酸化カルシウム換算で5質量%以上とした有害微量元素溶出抑制剤。 - 有害微量元素溶出抑制剤の原料となる前記石炭を燃焼させる際に、有害微量元素溶出抑制剤の原料となる前記石炭に、燃焼後の石炭灰中のカルシウム含有量が酸化カルシウム換算で5質量%以上となるように、消石灰、生石灰、及び石灰石からなる群から選ばれる少なくとも一種を添加する請求項1に記載の有害微量元素溶出抑制剤。
- カルシウム含有量が酸化カルシウム換算で5質量%未満である前記第二の石炭灰が、ブレアゾール炭、ユーラン炭、コーレックス炭、及びシャーボン炭の燃焼灰である請求項1又は2に記載の有害微量元素溶出抑制剤。
- 石炭火力発電システムにおいて燃料となる石炭に、有害微量元素溶出抑制剤を添加することにより、前記石炭の燃焼残渣である石炭灰からの有害微量元素の溶出を抑制する有害微量元素溶出抑制方法であって、
有害微量元素溶出抑制剤として、請求項1から3のいずれかに記載の有害微量元素溶出抑制剤を用いることを特徴とする有害微量元素溶出抑制方法。 - 前記有害微量元素溶出抑制剤を、燃焼後の石炭灰中に含まれるカルシウムが、酸化カルシウム換算で4質量%以上となるように添加する、請求項4記載の有害微量元素溶出抑制方法。
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