JP5751689B2 - 排ガス処理剤とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主としてゴミ焼却場で発生する排ガスから酸性ガスを吸着除去するために使用する排ガス処理剤であって、酸性ガスに対する反応性を高く維持するとともに、ハンドリング性にすぐれ、かつ環境への負荷が低減されたものに関し、その製造方法にも関する。
ゴミ焼却場から出る排ガス中の、塩化水素やイオウ酸化物などの酸性ガスを吸着除去する目的で、煙道に塩基性粉末である消石灰を吹き込む処理が行なわれている。この消石灰としては、JIS特号が広く使用されて来たが、消石灰の使用量を低減し、かつ発生する飛灰の量を低減するため、比表面積を高めるとともに細孔容積を増大して、酸性ガスとの反応性を高めたものが要望されて来た。
この要望にこたえて、いわゆる「高反応性消石灰」が提供されている。出願人も、比表面積が40m/g以上という高比表面積の消石灰において、生石灰の消化条件を適切に選んで製造した、0.3cm/gを超える大きな細孔容積をもった消石灰が酸性ガスの除去に有用であることを見出し、すでに提案した(特許文献1)。
反応性の高い消石灰に関しては、上記した、使用量が少なく飛灰の発生量も少なくて済むというメリットの裏返しのデメリットとして、再炭酸化すなわち
Ca(OH)+CO→CaCO
の反応が起こりやすく、それに伴って流動性が低下したり輸送配管に付着しやすくなったりする傾向がみられる。また発生する飛灰中の塩化カルシウムの濃度が相対的に高くなり、塩化カルシウムの高い潮解性に起因して、バグフィルターにおける差圧が上昇する、などの問題が発生することもある。
高反応性消石灰の使用に伴う問題として、最近挙げられるようになったのは、排ガス中のCO濃度の上昇と、排ガスの洗浄によって生じる汚水の化学的酸素要求量(以下「COD」)の増大である。前者は、生石灰の消化に当たって有機物を添加するため、それが焼却炉排ガスに吹き込まれたときに不完全燃焼してCOが発生するという機構にもとづくものであり、後者は、排ガスに含まれる有機物が排ガスの水洗により、水に溶け込むことによって引き起こされるものであるから、いずれにしても添加する有機物の量を、できるだけ少なくしなければならない。
排ガス処理剤としての消石灰の使用には、酸性ガスに対する反応性の高低という問題をおいてみても、残留するCa(OH)により飛灰の洗浄水が高いpHを示し(代表的には12.5程度)、飛灰に含まれていた重金属類、とくに鉛などが洗浄水中に溶出するという問題が、原理的につきまとっている。
消石灰に、酸化マグネシウムおよび(または)水酸化マグネシウムを併用した排ガス処理剤も検討された。出願人は、とくに酸性ガスとともにダイオキシンを除去する上で有用な処理剤として、さらにリグナイトコークスまたは合成ゼオライトを混合したものを提案した(特許文献2)。
一方、消石灰に替えて、ドロマイトを焼成し消化したものを使用することが行なわれている。ドロマイトは、石灰石同様に我が国に豊富に産出する資源であって、消化ドロマイトは水酸化カルシウムを主成分とする材料として、またはそれに加えて水酸化マグネシウムを含有する材料として、さまざまな分野で利用されている。出願人も、他の研究者との共同研究の成果として、反応性の高い消化ドロマイト粉末が焼却炉排ガスの処理剤として有用であることを知り、すでに提案した(特許文献3)。その消化ドロマイトは、CaO/MgOのモル比が0.8〜2.0であり比表面積が50m/g以上、細孔容積が0.3cm/g以上のものである。その製造は、ドロマイトの焼成物に対し、消化水として重量割合で1〜20%の糖を添加したものを使用し、消化当量よりも過剰な量の消化水を作用させることによって行なう。
この消化ドロマイトは、酸性ガスを吸着する能力においてすぐれているが、消化水への添加剤を多量に使用して製造する必要があり、経済的に不利である。それに加えて、高い比表面積を有し細孔容積が大きな高反応性消石灰につきまとっている、不十分なハンドリング性と、排ガスの洗浄によって生じる汚水のCODの増大、COの発生による環境への負荷といった問題がないとはいえない。
ハンドリング性の改善に関しても、種々の提案がある。たとえば、高比表面積の消石灰に珪藻土などの無機物質の粉末を混合して排ガス処理に使用することで、とくにバグフィルターの濾布における差圧の上昇を防止する、といった対策である(特許文献4)。しかし、酸性ガスとの反応に関与しない物質を添加することは、処理すべき二次廃棄物の量を増大させることにつながるので、なるべくなら行ないたくない。
特開2010−180086 特開平11−197445 特許第4525164号 特開2003−93837
本発明の目的は、酸性ガスとの高い反応性を維持したまま、消化物を輸送する配管への付着性や、バグフィルターの目詰まりが軽減され、排ガスの洗浄によって生じる汚水のCODを増大させたり、COを発生させたりして環境への負荷を増大させることが少ない排ガス処理剤を提供することにある。そのような排ガス処理剤を製造する方法、とくにコスト的に有利な製造方法を提供することもまた、本発明の目的に含まれる。
本発明の排ガス処理剤は、ドロマイトまたはMgOとして5重量%以上のMgCOを含有する石灰石を900〜1200℃の温度で焼成し、EN459−02に定める試験方法により活性値を測定したときに、50℃に達する時間(t 50 )が50秒以下であり、CO 含有量が0.15重量%以上3重量%以下である焼成物を得、この焼成物を、糖類およびジエチレングリコールから選んだ有機物を添加した水を加えて消化し、熟成して、MgO消化率が30重量%以上であり、MgO換算で5重量%以上のMgO+Mg(OH)を含有し、比表面積が30m/g以上50m/g未満、細孔容積が0.15cm/g以上0.3cm/g未満であることを特徴とする排ガス処理剤である
本発明の排ガス処理剤を製造する方法は、ドロマイト、またはMgOとして5重量%以上のMgCOを含有する石灰石を、900〜1200℃の温度で焼成し、EN459−02に定める試験方法により活性値を測定したときに、50℃に達する時間(t 50 )が50秒以下であり、CO 含有量が0.15重量%以上3重量%以下である焼成物を得、この焼成物を、糖類およびジエチレングリコールから選んだ有機物を添加した水を加えて消化し、熟成して、MgO消化率が30重量%以上であり、MgO換算で5重量%以上のMgO+Mg(OH) を含有し、比表面積が30m /g以上50m /g未満、細孔容積が0.15cm /g以上0.3cm /g未満である消化物を得ることからなる製造方法である。好適な態様においては、消化水に添加する有機物としてジエチレングリコールを選び、焼成物に対して1重量%以下の量、使用して消化する。
本発明の排ガス処理剤は、後記する実施例にみるように、すでに開示した消化ドロマイトからなる排ガス処理剤にくらべて遜色のない、高い酸性ガスに対する吸着性能を発揮する。そのうえで、ハンドリング性にすぐれ、輸送配管に付着する度合が低く、したがって配管閉塞などのトラブルを生じることが少ない。また本発明の排ガス処理剤は、消化に当たって使用する有機物質の量が制限されているため、処理後の排ガス中のCO濃度が低く、かつ排ガスの洗浄によって生じる汚水のCODが高くならず、環境に対する負荷が軽減される。
本発明の排ガス処理剤の製造方法によれば、上記の特徴をもった、ドロマイトの消化物または炭酸マグネシウム含有石灰石の消化物である排ガス処理剤を、コスト的に有利に製造することができる。
本発明で排ガス処理剤の原料とすることができるのは、広義のドロマイト、すなわち狭義のドロマイトである炭酸マグネシウム・炭酸カルシウムの複塩およびマグネサイトとカルサイトの混合物がまず挙げられる。それに加えて、石灰石としては炭酸マグネシウムの含有量が多い低品位の石灰石もまた、MgOとして5重量%以上のMgCOを含有するものであれば、原料として使用することができる。原料中のMgO量が5重量%以上であることの意味は、この限界以上のマグネシウムの存在が、後記する実施例により証明されるように、消化物においてMgOおよびMg(OH)とCaOないしCa(OH)とが分子レベルで混在することにより得られる効果が、確実なものとなることにある。
広義のドロマイトまたはMgOとして5重量%以上のMgCOを含有するマグネシウム含有石灰石の焼成は、通常、温度900〜1200℃に加熱することによって実施する。加熱時間は、通常1〜12時間の範囲が適当である。雰囲気は、大気中でさしつかえない。焼成は、最終製品である消化物に残留するCO含有量が3重量%以下となるように、十分に行なうことが好ましい。3重量%を超えるCO量が残留する焼成物は、焼成が不十分であって、消化により得られる排ガス処理剤の性能が低い。その一方で、焼成しすぎた焼成物もまた、消化に当たって水和が進行せず好ましくない。残留CO量として、0.15重量%を確保すべきである。
活性の度合という観点からいえば、焼成物は、EN459−02に定める方法に従って試験したとき、活性値(t50)が50秒以下である程度の、高い活性を有することが、最終製品である消化物に対し、酸性ガスの吸着除去という排ガス処理の高い性能を与える上で好ましい。EN459−02はヨーロッパ規格「建築用石灰」に定られた試験法であって、保温性があり、温度計および撹拌羽根を備えた容器に、温度20℃の水600gを入れ、そこへ、粉砕して粒度0.3mm以下にしたサンプル(本発明では焼成物)150gを入れて、300rpmで撹拌しつつ、焼成物の水和による発熱が引きおこす容器内容物の温度変化を、撹拌時間の経過とともに記録する。記録された時間−温度変化が、サンプルの水和活性度を示すわけである。本発明への利用に当たっては、内容物の温度が50℃に達するまでの時間(t 50 )をもって、活性度の尺度とする。この時間が短いほど、焼成物の水和活性の度合が高いことになる。
焼成物は、ついで、有機物を添加した消化水を加えて消化する。上記したように、消化の対象とする焼成物は、活性の高いものが好ましい。消化物におけるMgO消化率は、30重量%以上となるように行なう。そのためには、消化工程に続いて、数時間ないし十数時間の熟成を行なう。消化率は、MgO消化率が50重量%以上90重量%以下であるように行なうことが好ましい。30重量%に満たない消化率、すなわち、焼成によって生成したMgOの半分にも満たない量しか消化されていない状態の消化物においては、消化物の比表面積および細孔容積が不足であって、排ガス処理剤としての性能が不満足であるし、消化によって生成したCa(OH)とMg(OH)が混在することにより得られる効果も低い。一方、90重量%を超える消化率は、高い消化率を実現するために長時間の熟成を余儀なくされ、製造上不利である。好ましい消化率の範囲は50重量%以上90重量%以下である。
得られた消化物は、前記のように、MgO換算で5重量%以上のMgO+Mg(OH)を含有する消化物であって、比表面積が30m/g以上50m/g未満であり、細孔容積が0.15cm/g以上0.3cm/g未満であるものとする。このような特性をもった消化物は、一般に、水溶性の有機物質を少量添加した消化水を使用することによって得ることができる。
添加すべき水溶性の有機物質は、アルコール類、エタノールアミン類および糖類から選ぶが、アルコール類が好適で、メタノールやエタノールのような一価アルコールから、ジエチレングリコール(以下「DEG」と略記する)やジプロピレングリコールのような多価アルコールに至る、多種類のアルコールが使用できる。その中でもDEGが、安価で効果が高く、最も有利である。
消化水に添加すべき有機物の量は、焼成物に対して1重量%またはそれ以下の量とすることが好ましい。前述のように、多量の有機物の添加は、排ガス処理剤の使用にともなって分解してCOを発生する原因になるし、排ガスの洗浄によって生じる汚水のCODを高めるという点で、環境に対する負荷が大きくなるから、添加剤の使用量はできるだけ少量にしたい。
以下の実施例において、種々の物性の試験方法は、それぞれ下記のとおりである。
[比表面積]
BET法
[細孔容積]
BJH法
[活性度]
EN459−02に定める試験方法に従って、水和発熱に伴う温度上昇を追跡し、50℃に達した時の経過時間(秒)をもって活性度とした。
[酸性ガス吸着性能]
反応管内に排ガス処理剤の試料0.5gを入れ、排ガスと処理剤とが接触する代表的な温度である170℃に加熱しておく。別に、焼却炉排ガスをシミュレートしたガスとして、窒素ガスに酸性ガスを添加して、それぞれの濃度がHCl:1000ppm、SO:100ppmとなるように調整したガスを用意した。このガスを上記の反応管内に900mL/分の速度で導入し、処理剤に吸着させる。吸着されなかったHClは冷却トラップで、SOは過酸化水素水で、それぞれ回収し、NaOHで滴定することにより定量し、吸着された酸性ガスの量を算出する。
[MgO消化率]
消化物サンプルについて化学分析を行なって、灼熱減量(Ig.Loss)、全生石灰(T−CaO)、全酸化マグネシウム(T−MgO)、残留炭酸(R−CO)および水分含量の値から、つぎの手順で算出する。
1.出発原料由来のCaO=(R−CO/CO式量)×CaO式量
2.消化されたCaO=(T−CaO)−(出発原料由来CaO)
3.消化水(HO)=(Ig.Loss)−(R−CO)−HO式量
4.CaO用消化水=(消化されるCaO/CaO式量)×HO式量
5.MgO用消化水=消化水−CaO用消化水
6.生成するCa(OH)=(消化されるCaO/CaO式量)×HO式量
7.生成するMg(OH)=(MgO用消化水/HO式量)×Mg(OH)式量
8.消化されたMgO=(MgO用消化水/HO式量)×MgO式量
9.未消化MgO=(T−MgO)−(消化されたMgO)
10.MgO消化率=(消化されたMgO/T−MgO)×100(%)
表1に示すMgO含有量を有する、栃木県葛生産の、3種の炭酸マグネシウム含有石灰石(石灰石A、石灰石Bおよび石灰石C)、ならびに2種のドロマイト(ドロマイトAおよびドロマイトB)を出発原料として使用し、粒度5〜16mmに粗粉砕した。これら5種の出発原料を、900℃(低めの焼成温度)または1000℃(普通の焼成温度)で焼成して、表1に掲げる、原料1〜5を得た。それら焼成物とは別に、原料1に試薬MgOを配合し、その中のMgO含有量を30重量%としたものも用意し、原料6とした。
表1における原料1〜6は、それぞれ下記の意味をもつ。
原料1:普通の石灰石を、普通の温度で焼成したもの
原料2:若干のMgを含有する石灰石を、普通の温度で焼成したもの
原料3:若干のMgを含有する石灰石を低めの温度で焼成した、若干の未焼成物を含むも

原料4:ドロマイトを、普通の温度で焼成したもの
原料5:ドロマイトを低めの温度で焼成した、若干の未焼成物を含むもの
原料6:原料1に試薬MgOを配合して、原料4のシミュレートしたもの
各焼成物について、その中の残留COおよび活性度を測定した結果を、表1にあわせて示す。
表1 焼成原料と焼成物
Figure 0005751689
原料1〜6を、表2に掲げる条件で消化して、実施例1〜7および比較例1〜7において使用した消化物を得た。各消化物のMgO消化率および消化物中の全MgO、すなわちMgO+Mg(OH)の存在量(分析値)を、表2にあわせて示す。表2において、比較例1で使用したものは、JIS特号消石灰である。比較例2のものは、これまで多数の特許出願がある高反応性消石灰に属する。比較例3は前掲特許文献1の実施例のものである。比較例4および5の消化物は、活性度が低い例である。比較例6で用いたものは消化ドロマイトであり、比較例7のものは、前掲特許文献3の実施例で用いたものである。
表2 消化物 (DEG:ジエチレングリコール)
Figure 0005751689
各消化物の、比表面積および細孔容積を測定した。データを表3に掲げる。つぎに、それぞれの酸性ガス吸着性能を測定した。その結果を表3にあわせて示す。
表3 消化物の比表面積および細孔容積と酸性ガス吸着性能
Figure 0005751689
表3のデータから、つぎのことがわかる。
・比較例1,4,5および6は、比表面積および細孔容積の一方または両方が低いために、酸性ガスの吸着性能が、実施例にくらべて劣る。
・実施例7は、原料6すなわち石灰石焼成物に酸化マグネシウムを混合したものを消化して製造した、模擬的な処理剤であって、本発明の処理剤と同等の比表面積および細孔容積を有するが、この実施例7を実施例4と比較してみると、実施例4の方が酸性ガスの吸着性能が高い。
・この理由としては、つぎのことが考えられる。すなわち、同様な焼成/消化の条件で製造したものであれば、消石灰よりも消化ドロマイトの方が微細なCa(OH)が得られることが報告されており(Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan 13, 2006)、混合により調製した処理剤よりも、CaとMgとが原子レベルで混合された状態にある焼成ドロマイトを消化して得た処理剤の方が、排ガス処理にとって有利であるということである。
比較例3および7の消化物は、どちらも比表面積および細孔容積が高く、それに伴って酸性ガス吸着性能も高い。しかし、消化水に添加剤を多量に加えると、製品中に多量の有機物が残存し、それに伴って排ガス処理後に排ガスの洗浄によって生じる汚水のCODが増大して好ましくない。焼却炉の排ガス温度は200℃程度あり、そこへ有機物を含有する処理剤を吹き込むと、微量ながら一酸化炭素が発生することが知られ、問題にされている。消化水の添加剤として使用する有機物の分解温度を比較すると、DEGは230℃と高いのに対し、糖類は150〜200℃程度と、DEGより低い。そのため、添加剤として糖類を使用すると、DEGを使用したときよりも、排ガスの洗浄によって生じる汚水のCODが高くなったり、COの発生が多くなったりする結果を招く。このように、単に処理剤の比表面積や細孔容積を高くすることを狙うと、環境への負荷を高めてしまうことになる。コスト面でも、DEGの方が糖類よりも有利である。
実施例4と比較例2とは、前者は原料4(焼成物中のMgO量32.28%)を、後者は原料1(同0.67%)、つまりドロマイトと石灰石とをそれぞれ使用した例である。両者は、製品処理剤の比表面積および細孔容積をみると、実施例4が47m/gおよび0.27cm/g、比較例2が46m/gおよび0.21cm/gと大差がないにもかかわらず、酸性ガス吸着性能を比較すると、実施例4のHCl:94.4%およびSO:76.6%に対し、比較例2はHCl:92.3%およびSO:72.1%と、見劣りがする。このデータも、ドロマイト原料の優位性を物語るものである。
MgO消化率に関して、実施例4(消化率80%)と比較例6(同29%)とを比較すると、消化率の増大がもたらす比表面積および細孔容積の増大にともなって、酸性ガス吸着性能の向上が顕著であることがわかる。実施例4と比較例7とは、消化水への添加剤として、前者のDEGに代えて糖を使用した後者においては、比表面積および細孔容積の増大にともなう酸性ガス吸着性能の高さが目を奪うが、環境への負荷という観点から、また製造コストの面で、不利を免れない。
以上の評価は、いずれも実験室で製造したサンプルについて行なったが、焼成・消化の条件を同じようにして得られたものであって、物性が実質上同じものであれば、実機で製造した製品と実験室の製品との評価結果が、よく一致することが確認されている。つぎに、実施例4および比較例1,2,6および7の消化物に相当する実機の製品について、そのハンドリング性を評価するため、再炭酸化の度合を調べた。これは、処理剤を排ガスと接触させることによって発生した飛灰を対象に、その中に含まれるCaCO濃度を測定したものである。その結果を、各排ガス処理剤の比表面積の値とともに、表4に示す。
表4 ハンドリング性
Figure 0005751689
表4において、飛灰中CaCO濃度のデータは、再炭酸化がその排ガス処理剤の比表面積におおむね比例することを示しているといえるが、もっとも比表面積が低い比較例1でも、再炭酸化はかなり進んでいる。比表面積の値がきわめて高い比較例7は、再炭酸化が著しく、比表面積の増大によって排ガス処理能力を高めようとすると、再炭酸化の進行は避けられないことがわかる。本発明の実施例4は、比較例2とくらべたとき、比表面積の値がわずか高いが、再炭酸化の進み具合はむしろ低い。両者の違いは、実施例4は消化物がマグネシウム化合物を含有し、比較例2はほとんど含有しないという点にある。このように、本発明に従ってマグネシウム含有原料を使用することにより、前掲特許文献4のような、珪藻土を混合するといったハンドリング性向上対策をとらないで済むか、または少なくとも軽減することが可能になる。
消石灰からなる排ガス処理剤は、前述のように、使用された結果、飛灰に付着して回収され、飛灰の洗浄水のpHを高くするから、重金属とくに鉛のような両性金属が溶出するという問題があり、その解決のためにキレート剤などの不溶化剤を使用する必要があるが、本発明による排ガス処理剤は、消石灰にくらべてその中のCa(OH)の割合が低いから、重金属不溶化剤が必要であるとしても、その使用量を低減することが可能である。
上記の結果から、原料としてドロマイトまたは特定量以上のマグネシウムを含有する石灰石を使用し、その焼成に続いて、有機物を添加した消化水を用いて消化を行ない、適切な範囲の比表面積と細孔容積とを有する消化物を得ることによって、高反応性消石灰に遜色のない酸性ガス吸着性能を有し、しかもハンドリング性が改善された排ガス処理剤が得られる、という結論が導かれる。さらに、添加剤の種類および量を選択することによって、コスト面の有利さを実現するとともに、環境に与える負荷を軽減することができる。

Claims (3)

  1. ドロマイトまたはMgOとして5重量%以上のMgCOを含有する石灰石を焼成して得た、EN459−2に定める試験方法により活性値を測定したときに、50℃に達する時間t50が50秒以下であり、CO含有量が0.15重量%以上3重量%以下である焼成物を、ジエチレングリコールを焼成物に対して1.5重量%以下の量添加した水を加えて消化してなる消化物であって、MgO消化率が30重量%以上90重量%以下であり、MgO換算で5重量%以上のMgO+Mg(OH)を含有し、比表面積が30m/g以上50m/g未満、細孔容積が0.15cm/g以上0.3cm/g未満であることを特徴とする排ガス処理剤。
  2. ドロマイトまたはMgOとして5重量%以上のMgCOを含有する石灰石を900〜1200℃の温度で焼成し、EN459−2に定める試験方法により活性値を測定したときに、50℃に達する時間t50が50秒以下であり、CO含有量が0.15重量%以上3重量%以下である焼成物を得、この焼成物をジエチレングリコールを焼成物に対して1.5重量%以下の量添加した水を加えて消化し、熟成して、MgO消化率が30重量%以上90重量%以下であり、MgO換算で5重量%以上のMgO+Mg(OH)を含有し、比表面積が30m/g以上50m/g未満、細孔容積が0.15cm/g以上0.3cm/g未満である消化物を得ることからなる排ガス処理剤の製造方法。
  3. 消化水に添加するジエチレングリコールの量を、焼成物に対して1重量%以下として実施する請求項2の排ガス処理剤の製造方法。
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