JP4597697B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4597697B2
JP4597697B2 JP2005039420A JP2005039420A JP4597697B2 JP 4597697 B2 JP4597697 B2 JP 4597697B2 JP 2005039420 A JP2005039420 A JP 2005039420A JP 2005039420 A JP2005039420 A JP 2005039420A JP 4597697 B2 JP4597697 B2 JP 4597697B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
belt
image forming
rotational angular
forming apparatus
fluctuation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005039420A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006227192A (ja
Inventor
裕道 松田
智宏 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2005039420A priority Critical patent/JP4597697B2/ja
Publication of JP2006227192A publication Critical patent/JP2006227192A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4597697B2 publication Critical patent/JP4597697B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Control Or Security For Electrophotography (AREA)
  • Color Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、無端状のベルト上又はそのベルトが担持搬送する記録材上に複数の画像を互いに重なり合うように形成して重ね画像を形成する画像形成装置に関するものである。
従来、感光体ベルト、中間転写ベルト、紙搬送ベルト等の無端状のベルトを用いる画像形成装置がある。このような画像形成装置においては、そのベルトの速度変動による画質劣化を抑制するための手段が必須である。特に、画像形成スピードに優れかつ小型化に適した直接転写方式のタンデム型画像形成装置では、記録材である記録用紙を担持搬送する搬送ベルト(記録材搬送部材)の速度変動よる画質劣化を抑制する手段が重要となる。この画像形成装置では、搬送ベルトを用いて記録用紙を搬送し、その搬送方向に沿って配置された互いに異なる単色の画像を形成する複数の画像形成ユニット(画像形成手段)を順次通過させる。これにより、記録用紙上に各単色画像を重ね合わせてカラー画像を得る。
ここで、電子写真方式による直接転写方式のタンデム型画像形成装置の一例について、図17を用いて具体的に説明する。
この画像形成装置では、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各単色画像を形成する画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが記録用紙の搬送方向に沿って順次配置されている。そして、図示しないレーザ露光ユニットにより各感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの表面に形成された静電潜像が各画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kで現像されることにより各色トナー像が形成される。各色トナー像は、静電力により搬送ベルト210に担持搬送される図示しない記録用紙上に順次重ね合わられて転写される。その後、定着装置25によってトナーが溶融圧着されることにより、各色トナー像が互いに重なり合った重ね画像(カラー画像)が記録用紙上に形成される。搬送ベルト210は、互いに平行に配置された駆動ローラ215及び従動ローラ214に適当なテンションで掛け渡される。駆動ローラ215は、図示しない駆動モータによって所定の回転速度で回転駆動され、それに伴い搬送ベルト210も所定の速度で無端移動する。記録用紙は給紙機構によって所定のタイミングで搬送ベルト210の画像形成ユニット18Y、18M、18C、18K側に供給され、搬送ベルト210の移動速度と同一速度で移動して搬送されることにより、各画像形成ユニットを順次通過する。
このような画像形成装置では、記録用紙の移動速度、つまり搬送ベルト210の移動速度が一定速度に維持されないと、色ずれが発生する。この色ずれは、記録用紙上で重ね合わせられる各単色画像の転写位置が相対的にずれることによって発生する。このような色ずれが発生すると、例えば、複数色の画像が重なって形成された細線画像がにじんで見えたり、複数色の画像が重なって形成された背景画像中に形成される黒の文字画像の輪郭周辺に白抜けが発生したりする。
なお、図18に示すように、各画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kの感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの表面に形成された各単色画像を、一旦中間転写ベルト10上に順次重なり合うように転写した後、これを記録用紙上に一括転写する中間転写方式を採用したタンデム型画像形成装置もある。この装置においても、中間転写ベルト10の移動速度が一定速度に維持されないと、同様に色ずれが発生する。
また、上述したタンデム型の画像形成装置に限らず、記録材を搬送する記録材搬送部材や、その記録材に転写される画像を担持する感光体や中間転写体等の像担持体として、ベルトを用いた画像形成装置においては、そのベルトの無端移動速度が一定速度に維持されないとバンディングが発生する。このバンディングは、画像転写中にベルト移動速度が速くなったり遅くなったりすることにより発生する画像濃度ムラである。すなわち、ベルト移動速度が相対的に速い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周向に縮小された形状となる。これにより、引き延ばされた画像部分は濃度が薄くなり、縮小された画像部分は濃度が濃くなる。その結果、ベルト周方向に画像濃度ムラが発生し、バンディングが生じる。このバンディングは、淡い単色画像を形成する場合には人間の目に顕著に感じ取られる。
以上のように感光体ベルト、中間転写ベルト、搬送ベルト等の無端状のベルトを一定の移動速度で移動させる高精度な駆動制御が要求される。このベルトの高精度な駆動制御を実現するために、従来、ベルトを駆動する駆動ローラの回転速度を一定にするように駆動ローラの回転を制御する駆動制御方法が知られている。この駆動制御方法は、駆動源であるモータの回転角速度や、モータで発生する回転駆動力を駆動ローラに伝達させるギヤの回転角速度を一定に保持することにより、駆動ローラの回転速度を一定にする駆動制御方法である。しかしながら、単層ベルトの場合、ベルト周方向におけるベルト厚みムラがある。このベルト厚みムラは、例えば、円筒金型を用いて遠心焼成方式で作成されたベルトにみられるベルト周方向にわたる肉厚の偏りによって生じる。このようなベルト厚みムラがベルトに存在すると、ベルトを駆動する駆動ローラ上にベルト厚の厚い部分が巻き付いているときにはベルト移動速度が速くなり、反対にベルト厚の薄い部分が巻き付いているときにはベルト移動速度が遅くなる。そのため、ベルト移動速度に変動が生じる。以下、その理由について、具体的に説明する。
図4は、図1に示したような画像形成装置に用いられる単層構造のベルトの周方向におけるベルト厚みムラ(ベルト厚み偏差分布)の一例を示すグラフである。このグラフの横軸は、ベルト1周分の長さ(ベルト周長)を2π[rad]の角度に置き換えたものである。縦軸は、ベルト周方向におけるベルト平均厚み(100μm)を基準(基準値0)としたベルト厚みの偏差値である。
図5は、駆動ローラに巻き付いたベルト部分を、その駆動ローラの軸方向から見たときの拡大図である。ベルト10は、ベルト断面の外周側が伸び、内周側が圧縮されて駆動ローラ14に巻き付いている。
ベルト10の移動速度を決定するベルトピッチ線は、ベルト材質が均一の単層ベルトで、ベルト断面の外周側と内周側との伸縮度がほぼ一致する場合、そのベルト厚み方向の中央部となる。多層構造のベルトなどにおいては、硬質な層と軟質な層との間で互いに伸縮性が異なる結果、ベルト厚み方向の中央からズレた位置となる。このローラ表面からベルトピッチ線までの距離(以下、「PLD(Pitch Line Distance)」という。)は、下記の数1に示す式で表すことができる。
Figure 0004597697
ここで、PLDaveとは、ベルト1周にわたるPLDの平均値で、平均厚み100μmの単層ベルトの場合、PLDaveは50μmとなる。また、「Bta」は、ベルト1周にわたるPLDの変動振幅である。ここでの「θb」とは、ベルト周上の基準となる地点からの位置(ベルト1周を2πとしたときの位相)を示し、「α」は初期位相を示す。PLDの変動成分(上記数1に示す式の第2項)は、図4に示したベルト厚み偏差値と高い相関を持ち、ベルト1周を周期とする周期関数である。このPLDが変化すると、駆動ローラ14の回転角速度(回転角)に対するローラに従い搬送されるベルト搬送速度(搬送量)、また、ベルトの搬送速度(搬送量)に対するベルトに従い回転するローラの回転角速度(回転角)が変化することになる。
ベルト移動速度Vbと駆動ローラ14の回転角速度ωdとの関係は、下記の数2に示す式で表される。この式中の「rd」は、駆動ローラ14の半径である。また、PLDの変動がベルト移動速度(移動量)とローラ回転角速度(回転角変位)との関係に影響する度合いは、駆動ローラ14に対するベルトの接触状態や巻付き量によって変化する場合がある。この影響度をPLD変動実効係数κで表す。以下、本明細書において、下記の数2に示す式中{}を実効半径といい、その定常部分 rd+PLDave を実効半径Rとする。また、上記数2に示す式中{}中の変動成分をPLD変動という。
Figure 0004597697
上記数2に示した式から、PLD変動が存在することにより、ベルト移動速度Vbと駆動ローラ14の回転角速度ωdとの関係が変化することが分かる。すなわち、駆動ローラ14が一定の回転角速度(ωd=一定)で回転していても、ベルト10の移動速度VbはPLD変動により変化する。ここで、単層ベルトの場合、ベルト平均厚みよりも厚いベルト部分が駆動ローラ14に巻き付いている時には、ベルト10の厚み偏差と相関の高いPLD変動が正の値である時すなわち実効半径が増加する。そのため、その駆動ローラ14が一定の回転角速度(ωd=一定)で回転していても、ベルト移動速度Vbは増加する。逆に、ベルト平均厚みよりも薄いベルト部分が駆動ローラ14に巻き付いている時には、PLD変動が負の値である時すなわち実効半径が減少する。そのため、その駆動ローラ14が一定の回転角速度(ωd=一定)で回転していても、ベルト移動速度Vbは減少する。したがって、駆動ローラ14の回転角速度ωdを一定にしても、PLD変動によりベルト10の移動速度は一定にならない。そのため、駆動ローラ14の回転角速度ωdだけからベルト10の駆動を制御しようとしても、ベルト10を所望の移動速度で駆動させることはできない。
また、ベルト移動速度Vbと従動ローラの回転角速度との関係も、上述したベルト移動速度Vbと駆動ローラ14の回転角速度ωdとの関係と同様である。すなわち、従動ローラの回転角速度を回転型エンコーダ等により検出し、その検出した回転角速度からベルト移動速度Vbを求める場合も、上記数2に示す式と同様の式を用いることができる。よって、ベルト平均厚みよりも厚いベルト部分が従動ローラに巻き付いている時には、ベルト10のPLD変動が正の値である時すなわち上記駆動ローラ14の場合と同様に、ローラ実効半径が増加する。そのため、ベルト10が一定の移動速度(Vb=一定)で移動していても、従動ローラの回転角速度は減少する。逆に、ベルト平均厚みよりも薄いベルト部分が従動ローラに巻き付いている時には、PLD変動が負の値である時すなわちローラ実効半径が減少する。そのため、ベルト10が一定の移動速度で移動していても、従動ローラの回転角速度は増加する。したがって、ベルト10の移動速度が一定であっても、PLD変動により従動ローラの回転角速度は一定とならない。そのため、従動ローラの回転角速度だけからベルト10の駆動を制御しようとしても、ベルト10を所望の移動速度で駆動させることはできない。
このようなベルトのPLD変動によるベルト速度変動を考慮した画像形成装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。ただし、この特許文献1に記載の画像形成装置は、ベルトのPLD変動ではなくベルト厚みムラを考慮したものである。具体的には、ベルト体を装置本体へ組込む前に、製造工程で予めベルト全周における厚みプロファイル(ベルト厚みムラ)を測定するとともに、その厚みプロファイルデータをデータ記憶手段に記憶する。そして、その全周の厚みプロファイルデータと実際のベルト厚みムラとの位相を合わせるための基準位置となる基準マークをベルト上に設け、これを基準にして、ベルト速度変動による転写位置ずれが生じないように露光開始タイミングを変える。なお、ベルトのPLD変動とベルト厚みムラとの関係は、必ずしも一定ではない。詳しくは、複数層のベルトの場合、各層の伸縮性の違いや厚みムラなどによって、ベルトのPLD変動とベルト厚みムラとの関係が一定にならない。そして、ベルトの速度変動は、ベルト厚みムラではなくベルトのPLD変動に起因して発生するものであるので、ベルト厚みムラに基づいて露光開始タイミングを変えても、ベルトの速度変動による転写位置ずれを高精度に抑制することはできない。
また、特許文献2に記載の画像形成装置は、複数の画像ステーションにより中間転写ベルト上にレジストパターンをそれぞれ形成し、これらのレジストパターンを検出して中間転写ベルト上の各レジストパターンの位置ずれ情報を取得する。そして、その位置ずれ情報から位置ずれ量の平均値を算出する。これにより、複数の画像ステーションでそれぞれ形成されたトナー画像間の位置ずれの平均値が最小になるように、各画像ステーションに対する露光手段の画像形成タイミングを調整する。
また、特許文献3に記載の画像形成装置は、記録用紙の搬送ベルトに従動回転する速度検出ローラにより搬送ベルトの速度を検出し、速度検出ローラの偏心による検出誤差を補正した新しい搬送ベルトの速度データを得る。そして、その新しい搬送ベルトの速度データに基づいて記録用紙への書き込みタイミングを調整している。
しかし、上記特許文献1に記載された画像形成装置においては、ベルト製造段階においてベルト厚みムラを計測する計測工程が必要となり、またその計測工程において高精度なベルト厚み計測器が必要となる。そのため、製造コストが大幅に増大してしまうという不具合がある。また、ベルトを新しいものに交換する際には、その新しいベルト固有の厚みプロファイルデータを装置へ入力する作業が必要となるという不具合もある。
また、上記特許文献2に記載された画像形成装置においては、ベルト移動速度の変動を検出するのに、少なくともベルト1周分の検出用パターンをベルト上に形成する必要がある。そのため、この検出用パターンの形成のために多くのトナーを消費してしまうという不具合がある。特に、ベルト移動速度の変動をより高い精度で検出するために、ベルト複数周分のベルト移動速度の変動情報の平均値をベルト移動速度の変動として把握する場合には、ベルト複数周分の検出用パターンを形成する必要があり、トナー消費の不具合はより深刻なものとなる。
また、上記特許文献3に記載された画像形成装置においては、ベルト移動速度の変動を検出するために、ベルトを支持するローラとは別に、速度検出ローラをベルト直線部に設置している。そのため、部品数の増加に伴う、コストの増大、装置の大型化という不具合がある。
一方、特許文献4には、上述したような不具合を生じさせずに、ベルト移動速度の変動を認識し得る方法が記載されている。この方法では、ベルトを掛け渡している従動ローラの回転角変位又は回転角速度を検出し、その検出結果からベルト厚みムラによるベルトの速度変動を認識する。詳しく説明すると、駆動ローラを一定の回転角速度で駆動した場合、その駆動ローラにベルトの厚い部分が巻き付いているときにはベルト移動速度が速くなり、ベルトの薄い部分が巻き付いているときにはベルト移動速度が遅くなる。一方、従動ローラにおいては、ベルト移動速度が一定の場合でも、ベルトの厚い部分が巻き付いているときには従動ローラの回転角速度は遅くなり、ベルトの薄い部分が巻き付いているときには従動ローラの回転角速度は速くなる。これらの関係から、従動ローラの回転角変位又は回転角速度を検出することで、ベルト厚みムラによるベルトの速度変動を認識することが可能である。この方法によれば、ベルト製造段階においてベルト厚みムラを計測する計測工程が必要なくなり、検出用パターンをベルト上に形成する必要もなく、かつ、別途に速度検出ローラを設ける必要もない。
特開2000−356875号公報 特開2002−91118号公報 第2820433号公報 特開2004−123383号公報
ところが、上記特許文献4に記載の方法においては、従動ローラの回転角変位又は回転角速度の検出結果からベルトの周方向における周期的な厚みムラに対応した交流成分を精度よく抽出するためには、駆動ローラを一定の角速度で駆動させるテスト駆動を行う必要がある。これは、次の理由による。すなわち、上記のような厚みムラに対応した交流成分を従動ローラの回転角変位又は回転角速度から抽出する場合、駆動ローラの回転角変位又は回転角速度の変動成分が抽出されないように、駆動ローラを一定の回転角速度で駆動させる必要がある。一方で、画像形成時においては、上記厚みムラによるベルト移動速度の変動を抑制してベルト移動速度が一定になるように、駆動ローラの回転角変位又は回転角速度を変化させる駆動制御を行う。そのため、上記特許文献4に記載の方法により、従動ローラの回転角変位又は回転角速度の検出結果から上記交流成分を精度よく抽出するためには、画像形成中とは別に、駆動ローラを一定の回転角速度で駆動させるテスト駆動を行う必要がある。この結果、上記特許文献4に記載の方法では、テスト駆動中は画像形成を行うことができず、テスト駆動が終わるまでユーザーを待たせる必要が生じるという問題があった。
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、上記特許文献1、2、3に記載の画像形成装置における上述した不具合を解消しつつ、上記特許文献4に記載の方法で発生していた問題を解消し得る画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動支持回転体及び従動支持回転体を含む複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、複数色のインクをそれぞれ吐出する吐出口を備えた各ヘッド部から該ベルトが担持搬送する記録材上に各色インクを吐出することにより、各色インクによる複数の画像が互いに重なり合った重ね画像を該記録材上に形成する画像形成手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第1ロータリーエンコーダ、及び、上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第2ロータリーエンコーダからなる検出手段と、上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の差分データから、上記ベルトの速度変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出する抽出手段と、該ベルト速度変動の少なくとも一周期分に相当する該抽出手段が抽出した交流成分の振幅及び位相のデータを上記記憶手段に記憶するデータ処理手段と、該記憶手段に記憶されている振幅及び位相のデータに基づいて、上記記録材上での上記複数の画像間の位置ずれが小さくなるような、各ヘッド部からの吐出タイミングの設定情報を決定する設定情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、該設定情報決定手段が決定した各設定情報に従って、上記記録材上に上記複数の画像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記ベルト上に設けられた基準マークと、該ベルトの無端移動に伴って移動する該基準マークの移動経路と対向する位置に固定配置され、該基準マークを検知する基準マーク検知手段とを有し、上記データ処理手段は、上記駆動源からの回転駆動力により該ベルトを駆動したときの該基準マーク検知手段の検知結果を基準にした上記振幅及び上記位相のデータを上記記憶手段に記憶し、上記画像形成手段は、該基準マーク検知手段の検知結果を基準に、上記各設定情報に従って画像形成を行うことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記抽出手段は、上記差分データから、上記ベルトの一周期と同じ周期をもつ上記交流成分の基本波成分とその高調波成分とをそれぞれ抽出し、上記設定情報決定手段は、上記記憶手段に記憶された該交流成分の基本波成分及びその高調波成分の振幅及び位相に基づいて上記各設定情報を決定することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記高調波成分は、上記基本波成分の10倍未満の高調波成分であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記設定情報決定手段は、上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体のうちの一方の支持回転体の半径と、該一方の支持回転体表面からこれに接触している上記ベルトの接触部分の移動速度の基準となるピッチ線までの距離との和、他方の支持回転体の半径と、該他方の支持回転体表面からこれに接触している該ベルトの接触部分の移動速度の基準となるピッチ線までの距離との和、及び、該一方の支持回転体に接触している該ベルトの接触部分の中央から該他方の支持回転体に接触している該ベルトの接触部分の中央までの該ベルトの移動時間を考慮して、上記記憶手段に記憶されている振幅及び位相のデータを処理し、処理後の振幅及び位相のデータに基づいて上記各設定情報を決定することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度は、所定のタイミングで上記検出手段が画像形成時に検出したものであり、上記データ処理手段は、上記記憶手段に記憶されている振幅及び位相のデータを、上記抽出手段が抽出した交流成分の振幅及び位相のデータによって更新することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記抽出手段は、上記差分データから上記ベルトの複数周期分の上記交流成分を抽出し、上記設定情報決定手段は、上記記憶手段に記憶されている複数周期分の交流成分の振幅及び位相のデータに基づいて上記各設定情報を決定することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記抽出手段が抽出した上記交流成分から、上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体うちの少なくとも一方の回転周期と同じ周期をもつ交流成分を除去する支持回転体回転周期成分除去手段を有し、上記データ処理手段は、該支持回転体回転周期成分除去手段による除去後の交流成分の振幅及び位相のデータを上記記憶手段に記憶することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体のうちの一方の支持回転体に接触している上記ベルトの接触部分の中央から他方の支持回転体に接触している該ベルトの接触部分の中央までの該ベルトの移動距離は、上記ベルトの半周期に対応する長さであることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体の半径が互いに等しく、かつ、該駆動支持回転体及び該従動支持回転体に接触している上記ベルトの接触部分のベルト移動距離が等しいことを特徴とするものである
た、請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記検出手段の検出結果に基づいて上記駆動源の駆動制御を行う駆動制御手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記検出手段を当該画像形成装置に対して着脱可能に構成したことを特徴とするものである。
本発明によれば、駆動支持回転体及び従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の差分データから、上記ベルトの速度変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出する。この抽出に際しては、詳しくは後述するが、駆動支持回転体を一定の回転角速度で駆動する必要はない。そして、本発明によれば、抽出した交流成分の振幅及び位相のデータからPLD変動によるベルト速度変動を認識し、その認識したベルト速度変動に基づいて、複数の画像ごとに、画像形成タイミングを調節する。詳しくは、本発明では、認識したベルト速度変動に基づき、複数の画像間の位置ずれを小さくするための設定情報を複数の画像ごとに決定する。これにより、色ずれやバンディング等の画質低下を抑制することができる。
本発明によれば、PLD変動によるベルト速度変動の認識に際して、ベルト製造段階においてベルト厚みムラを計測する計測工程が必要なく、検出用パターンをベルト上に形成する必要もなく、かつ、別途に速度検出ローラを設ける必要もない上、駆動支持回転体を一定の角速度で駆動させるテスト駆動を行う必要もない。したがって、上記特許文献1、2、3に記載の画像形成装置における上述した不具合を解消しつつ、上記特許文献4に記載の方法で発生していた問題を解消し得るという優れた効果が奏される。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用する画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図である。
図1において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
複写機本体100には、その中央に、像担持体としての中間転写体である無端状のベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持ローラ14、15、16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。これらの3つの支持ローラのうちの第2支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、3つの支持ローラのうちの第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成手段としての画像形成部18が並べて配置されたタンデム画像形成部20が対向配置されている。本実施形態においては、第2支持ローラ15を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、潜像形成手段としての露光装置21が設けられている。
また、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成部20の反対側には、第2の転写手段としての2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22においては、2つのローラ23間に記録材搬送部材としてのベルトである2次転写ベルト24が掛け渡されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第3支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この2次転写装置22により、中間転写ベルト10上の画像を記録材であるシートに転写する。また、この2次転写装置22の図中左方には、シート上に転写された画像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28も設けられている。
上記複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
この原稿読取りに並行して、図示しない駆動モータで駆動ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14、15が連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18において潜像担持体としての感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kを回転させ、各感光体ドラム上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。そして、各感光体ドラム40Y、40M、40C、40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
このような画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を転写する。画像転写後のシートは、2次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
この複写機を用いて、黒のモノクロコピーをとることもできる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト10を感光体ドラム40Y、40M、40Cから離れるようにする。これらの感光体ドラム40Y、40M、40Cは、一時的に駆動を止めておく。黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト10に接触させ、画像の形成と転写を行う。
次に、中間転写ベルト10の駆動装置について説明する。
本実施形態の複写機では、中間転写ベルト10を一定速度で移動させる必要がある。しかし、実際には、中間転写ベルト10の周方向におけるPLD変動によって、そのベルト移動速度に変動が生じる。中間転写ベルト10のベルト移動速度が変動すると、実際のベルト移動位置が目標とするベルト移動位置からずれてしまい、感光体ドラム40Y、40M、40C上の各トナー画像の位置が中間転写ベルト10上でずれて色ずれが発生する。また、画像全体でみると、ベルト移動速度が相対的に速い時に中間転写ベルト10上に転写された画像全体は本来よりもベルト周方向に引き延ばされた画像となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に中間転写ベルト10上に転写された画像は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された画像となる。
そこで、まず、中間転写ベルト10のベルト1周のPLD変動による各トナー像の位置ずれ(以下、「転写位置ずれ」という。)を高い精度で検出する構成及び動作について説明し、その後、検出した各トナー像の転写位置ずれを修正する構成及び動作について説明する。
図2は、中間転写ベルト駆動装置の主要部を示す断面模式図である。
中間転写ベルト10は、駆動支持回転体としての第1の支持ローラ14(以下、「駆動ローラ」という。)に対してベルト巻付角θ2で巻き付いており、従動支持回転体としての第2の支持ローラ15(以下、「従動ローラ」という。)に対してベルト巻付角θ1で巻き付いている。中間転写ベルト10は、図中矢印Aの方向に無端移動する。従動ローラ15には、1つ目の回転情報(回転角変位又は回転角速度の情報)を検出する検出手段としての図示しないロータリエンコーダが設けられている。この検出手段としては、従動ローラ15の回転角変位又は回転角速度が検知できるものであればよい。
図3は、中間転写ベルト10の主要部を示す斜視模式図である。
駆動ローラ14は、伝達機構18を介して駆動源としてのモータ17からの回転駆動力が伝達されるようになっている。具体的には、モータ17からの回転駆動力は、モータの出力軸17aに伝達される。出力軸17aに伝達された回転駆動力は、出力軸17aと接触している第1の回転体に18a伝達される。第1の回転体18aに伝達された回転駆動力は、第1の回転体と接触している第2の回転体18bに伝達され、第2の回転体18bと接触している駆動軸15aに伝達されて駆動ローラ14を回転せしめる。
また、2つ目の回転情報を得るために、駆動ローラ14にも、検出手段としての図示しないロータリエンコーダが設けられている。この検出手段も、駆動ローラ14の回転角変位又は回転角速度が検知できるものであればよい。また、この検出手段は、モータ17に設けてもよい。この場合は、モータの回転角やモータの駆動信号から駆動ローラ14の回転角速度または角変位を推測する。また、モータ17としてステッピングモータを採用する場合には、モータ17の駆動信号からモータの回転角を特定できるので、駆動ローラ14の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段は必要ない。
本実施形態は、まず、駆動ローラ14に設置されたロータリエンコーダ及び従動ローラ15に設置されたロータリエンコーダの出力値を用いて中間転写ベルト10の回転周期で発生する速度変動成分を認識し、予測されるベルト上の転写位置ずれ量を算出する。速度変動成分の具体的な認識方法としては、駆動ローラ14の回転角変位又は回転角速度と従動ローラ15の回転角変位又は回転角速度のサンプルリングを得る。そして、サンプルリングされた駆動ローラ14の回転角変位又は回転角速度と従動ローラ15の回転角変位又は回転角速度との差から中間転写ベルト10の速度変動成分の振幅及び位相を求める。この振幅及び位相をベルトの回転周期で発生する速度変動成分とし、この速度変動成分から各トナー像の転写位置ずれ量を予測し、各転写位置ずれ量がゼロとなるように、設定情報である、画像形成の開始タイミング(画像形成タイミング)及び画像形成中における画像形成速度の変化(画像形成速度プロファイル)を生成し、これらの設定情報に従って後述するように露光装置21を制御することにより、各トナー像の中間転写ベルト10への転写タイミングを制御する。
図4に示すベルト厚みムラは、ベルト厚みムラの周波数成分(交流成分)のうち、基本波成分(一次成分)のみを示したものである。なお、後述するが、本実施形態においてはこのような一次成分のみの厚み変動から転写タイミングを制御するだけでなく、高調波成分(高次成分)を考慮に入れて制御することも可能である。
上記数2からPLD変動の振幅「Bta」があると、ベルト駆動位置Xにおけるベルト移動速度Vbが変化することがわかる。
また、従動ローラ15側でのベルト移動速度は、以下のようにして求められる。
図2に示すように、従動ローラ15のベルト巻付角θ1の(1/2)上における中間転写ベルト10の中央部をベルト従動位置Yと仮に設定し、このベルト従動位置での速度とする。上記ベルト駆動位置Xからベルト従動位置Yまでの距離は、ベルト一周の長さを2π[rad]とするとき、その位相差をτ[rad]と表すことができる。そして、ベルトが巻付いている時の従動位置Yにおけるベルト移動速度Vbは、下記の数3に示す式で表すことができる。この式中の「re」は従動ローラ15の半径であり、「ωe」は従動ローラ15の回転角速度である。ここで、「κe」は従動ローラ15側でのベルトPLD変動実効係数であり、駆動ローラ14と従動ローラ15とでローラ表面材質、ベルト巻付き量が異なる構成が考えられるため、別の係数を設定した。
Figure 0004597697
ここで、中間転写ベルト10のベルトPLD変動における支持ローラの回転角速度ωとベルト移動速度Vbとの関係を、図6に基づき説明する。
図6(a)は、横軸をベルト1周を2π[rad]とした時のベルトの位置(rad)とし、縦軸をベルトの移動速度として、支持ローラが一定の回転角速度(ω=定数)で回転している場合の各ベルト位置でのベルト移動速度VbのグラフAと、ベルトが一定速度(Vb=定数)で回転している場合の各ベルト位置での支持ローラの回転角速度ωから実効半径で換算したベルトの移動速度のグラフBとを示した図である。なお、図中符号Eで示すものは、ベルトPLDの変動を示している。図6(a)のグラフAからわかるように、支持ローラが一定の回転角速度で回転している場合(ω=定数)、ベルト移動速度Vbは、ベルトPLDが最大の部分で速度が最大となり、ベルトPLDが最小の部分で速度が最小となっている。一方、図6(a)のグラフBからわかるように、ベルト速度を一定(Vb=一定)とした場合は、支持ローラの回転角速度ωから換算したベルト移動速度は、ベルトPLDが最大の部分で速度が最小となり、ベルトPLDが最小の部分で速度が最大となっている。つまり、グラフBは、実際のベルト移動速度は一定であるにも関わらず、ベルトPLD変動により、支持ローラの回転角速度ωからは、ベルト移動速度が変動しているように誤検出されることを示している。これは、上記数2や上記数3に示した数式からわかるように、支持ローラの回転角速度ωと、ベルト速度Vbと、ベルトPLDとの間には、Vb=(R+PLD)×ωの関係が成り立っているからである。
図6(a)に示した関係から、以下のことが言える。
駆動ローラ14を一定の角速度(ωd=一定)で回転させた場合、ベルト移動速度Vbは、ベルトのPLD変動の影響により図6(a)のグラフAの波形のように変動する。一方、従動ローラ15の回転角速度ωeは、上述した速度変動の影響を受ける。PLD変動の影響を考慮しなければ、従動ローラの回転角速度ωeから得られるベルト移動速度は、上述したベルト移動速度Vbの変動と同様の波形となる。しかしながら、実際は、従動ローラ15の回転角速度ωeから得られるベルト移動速度は、ベルトのPLD変動の影響によって、図6(a)に示すグラフBのような変動成分が加わる。すなわち、従動ローラ15の回転角速度ωeから得られるベルト移動速度は、図6(a)のグラフAの波形とグラフBの波形とが重畳されたような波形となる。
図6(b)は、図2に示すように従動ローラ15と駆動ローラ14とがτ[rad]だけ離れた場合の中間転写ベルト10のベルトPLD変動における駆動ローラ14の回転角速度ωdと中間転写ベルト10の移動速度Vとの関係、並びに、中間転写ベルト10のベルトPLD変動における従動ローラ15の回転角速度ωeと中間転写ベルト10の移動速度Vとの関係を示した図である。
図6(b)のグラフAは、駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動した場合のベルト移動速度Vbである。また、グラフCは、駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動した場合の従動ローラ15の回転角速度ωeから得られるベルト移動速度である。また、グラフB’は、中間転写ベルト10を一定の移動速度で駆動したときの従動ローラ15の回転角速度ωeから得られるベルト移動速度である。また、グラフEjは、図2に示す従動位置YにおけるベルトPLD変動である。グラフEdは、図2に示す駆動位置XにおけるベルトPLD変動である。
図6(b)からわかるように、駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動した場合の従動ローラ15の回転角速度ωeから得られるベルト移動速度を示すグラフCは、中間転写ベルト10を一定の移動速度で駆動したときの従動ローラ15の回転角速度ωeから得られるベルト移動速度の変動を示すグラフB’の波形と、駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動した場合のベルト移動速度Vbを示すグラフAの波形とを重畳したものである。なお、ここでは、Re=Rd、κe=κd、α=0、τ=1.3[rad]としている。
また、図6(b)からわかるように、グラフCに係る従動ローラ15の回転角速度ωeをロータリエンコーダで検出する場合、位相差τがπ[rad]若しくはその奇数倍であれば、グラフB’がグラフAと同一波形となる。このとき、グラフB’の波形とグラフAの波形とを重畳したグラフCの波形の振幅は、最大(図示の例ではグラフAの波形の振幅の2倍)になる。すなわち、駆動ローラ14と従動ローラ15との距離がベルトPLD変動の周期の1/2に設定できれば、ロータリエンコーダによる従動ローラ15の回転角速度ωeの検出感度が最大になる。このことから、従動ローラ15は、駆動ローラ14に対して、ベルト上での距離がなるべく距離が離れている方が好ましい。実際には、画像形成装置で機能性を持たせたベルト搬送経路を考慮すると、位相差τを中間転写ベルト10の周期のちょうど1/2に設定することは困難であるが、なるべくその近くに設定することで検出感度が高くなる。なお、ベルトPLD変動の周期がベルト周期の2倍以上である場合は、上記位相差τをベルト厚み変動の周期のπ若しくはその奇数倍に設定することで、高い検出感度を得ることができる。
本実施形態においては、駆動ローラ14を一定回転角速度で駆動しながら画像形成を行う場合は、駆動ローラ14によるベルト移動速度の変動を示すグラフAのデータから転写タイミングを補正する。また、従動ローラ15が一定回転角速度になるようにフィードバック制御しながら画像形成を行う場合は、従動ローラ15のベルト移動速度の変動を示すグラフB’のデータから転写タイミングを補正する。詳しくは、図6(b)のグラフCのデータから、グラフAのデータ又はグラフB’のデータを求める。グラフA、グラフB’、グラフCのいずれの波形も、その周期はベルトPLD変動の周期と同じである。つまり、これらのグラフ間における関係式が得られれば、1つのグラフのデータについて、その振幅値と位相値を調整するだけで、他のグラフのデータを求めることができる。例えば、グラフCのデータをK×sin(θ+τ)とすると、グラフB’のデータはη×K×Sin(θ+τ+T)で表すことができ、振幅の補正係数ηと位相の補正値Τがわかれば、グラフCのデータからグラフBのデータを求めることができる。
以下、上記3つのグラフ間における関係式を示し、駆動ローラ14を一定角速度で駆動したときの従動ローラ15の回転角速度(グラフC)から、中間転写ベルト10を一定の移動速度で駆動したときの従動ローラ15の回転角速度(グラフB’)を算出する場合を例に挙げて説明する。
まず、従動ローラ15の回転角速度ωeは、上記数2と数3に示した式より、下記の数4に示す式で表すことができる。ただし、r+PLDaveを実効半径R、re+PLDaveを実効半径Reとした。
Figure 0004597697
また、ベルトPLD変動Btaは、実効半径Rよりも十分小さいとして近似することで、上記数4に示す式は、下記の数5に示す式で表すことができる。
Figure 0004597697
なお、上記数5に示す従動ローラ15の回転角速度ωeのうち、変動成分Δωeは、下記の数6に示す式で表すことができる。
Figure 0004597697
従動ローラ15の回転角速度ωeの変動成分Δωeは、ベルト1周のPLD変動による変動成分であり、上記数6に示す式中の中括弧{}内に注目し、その中括弧内の第1項式をAとし、第2項式をBとする。下記の数7に示す第1項式Aは、駆動位置におけるベルト移動速度変動成分(グラフA)を示し、下記の数8に示す第2項式Bは従動位置におけるベルト移動速度変動成分(グラフB’)を示す。
Figure 0004597697
Figure 0004597697
ここで、駆動ローラ14を一定角速度で駆動させた場合の従動ローラ15のロータリエンコーダで検出される波形データをCとすると、上述したように、この波形データCは、下記の数9に示す式で表すことができる。
Figure 0004597697
上記第1項式A及び上記第2項式Bは、ともに同じ周期を有する正弦波であるから、その和は同じ周期の単一の正弦波に合成される。したがって、上記波形データCは、正弦関数で表現でき、K及びβを定数とすると、下記の数10に示す式で表すことができる。
Figure 0004597697

なお、上記数10のK及びβは、下記の数11及び数12に示す式から算出されるものである。
Figure 0004597697

Figure 0004597697
上記数7、上記数8及び上記数10に示した式によって、上述した3つのグラフA,B’,C間における関係が示された。
駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動させたときに従動ローラ15のロータリエンコーダで検出される変動振幅を、中間転写ベルト10が一定の移動速度で移動するときの従動ローラ15のロータリエンコーダで検出される変動振幅に変換するための係数ηCBは、下記の数13に示す式で表すことができる。
Figure 0004597697

また、位相に対する補正値ΤCAは、下記の数14に示す式で表すことができる。
Figure 0004597697

同様に、駆動ローラ14が一定の回転角速度で駆動したときの中間転写ベルト10の駆動ローラによるベルト移動速度変動成分(グラフA)に変換するための係数ηCAと、位相に対する補正値ΤCAは、下記の数15及び数16に示す式でそれぞれ表すことができる。
Figure 0004597697

Figure 0004597697
上記数11〜15及び上記数15に示した式は、ローラ径や位相差など、すべてベルト駆動機構の構成に関する数値から求めることができる。そのため、振幅の変換係数ηと位相変換値Tは、定数として予め決定することができる。ただし、ベルトPLD変動実効係数κは、中間転写ベルト10の材質やベルトの巻付き角に応じて変化するものであり、駆動ローラ14側と従動ローラ15側のベルトPLD変動実効係数κを事前に把握する必要がある。このベルトPLD変動実効係数κは、ベルトの平均移動速度と各ローラ14,15の平均回転角速度の関係を計測して求めることができる。ベルトPLD変動実効係数κは、ベルト材質やベルトの巻付き角が装置すべてに共通であれば、1つの装置において計測すれば他の装置に同じ数値を用いることができる。
また、駆動ローラ14と従動ローラ15の実効半径Rを同一として、さらにベルトPLD変動実効係数κも同一となる構成にすることで、上記数11及び上記数12に示した式が簡略化されることがわかる。このことから、駆動側と従動側のκがほぼ同一となるように巻付き角を一致させることが、ベルト移動経路の設計をする上で望ましい。また、巻付き角がある角度を超えると、つまり、駆動ローラ14と従動ローラ15の巻付き角を十分に大きくすると、ベルトPLD変動実効係数κは、巻付き角に依存せずに中間転写ベルト10の構造固有の値に安定することが本発明者らの実験から判明した。よって、駆動ローラ14と従動ローラ15の巻付き角を両方とも十分に大きくすることで、ともにκの比を1にすることが可能である。
上述では、説明を簡単化するために、駆動ローラ14の回転角速度を一定とした場合について説明してきたが、必ずしも一定にする必要はない。その理由は次のとおりである。なお、以下の説明では、理解を容易にするために、駆動ローラ14の回転角速度を変動させて、中間転写ベルト10の移動速度を一定にする場合について説明する。
中間転写ベルト10の移動速度が一定であると仮定した場合、駆動ローラ14の回転角速度を示す波形は、図6(b)に示したグラフAの波形に対してπだけ位相がずれたものとなる。このときの従動ローラ15の回転角速度の波形は、図6(b)に示したグラフB’の波形となる。駆動ローラ14における回転角速度(グラフAの波形に対して位相がπだけずれた波形)と、従動ローラ15における回転角速度(グラフB’の波形)との差分は、図6(b)に示したグラフCの波形(駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動したときの従動ローラ15の回転角速度)と一致する。このことから、駆動ローラ14の回転角速度を一定としなくても同様であることがわかる。
なお、この説明では、理解を容易にするために、中間転写ベルト10の移動速度が一定であると仮定したが、上述のように駆動ローラ14の回転角速度から従動ローラ15の回転角速度を差し引けば、図6(b)に示したグラフCの波形(駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動したときの従動ローラ15の回転角速度)が得られる。これは、従動ローラ15のロータリエンコーダで検出される上記数7、上記数8及び上記数10に示した式で表現されるベルトPLD変動に起因した変動成分の関係が、駆動ローラ14の回転角速度に依存しないためである。つまり、駆動ローラ14の回転角速度が変動していても、従動ローラ15の回転角速度から駆動ローラの回転角速度を差し引くことによって、駆動ローラを一定に回転させたときと同様にベルトPLD変動に起因したベルト移動速度の変動成分を得ることができる。
また、同様に、上述した2つのローラ14,15の回転情報に代えて、2つの従動ローラの回転情報を用いても同様である。この場合、これらの2つの従動ローラにロータリエンコーダ等を設置して、その回転角速度又は回転角変位を検出する。ここでも、一方の従動ローラの回転角速度から他方の従動ローラの回転角速度を差し引くことで、一方の従動ローラを一定に回転させたときと同様のベルトPLD変動に起因したベルト移動速度の変動成分を得ることができる。
また、ベルト移動速度の変動成分を三角関数として近似して展開した上述した原理は、ローラ径やベルト周長などによらず、どのような構成においても適用することが可能である。
また、駆動ローラ14と従動ローラ15の回転角速度に代えて、回転角変位(位置)でも同様の原理が適用される。これは、回転角速度を積分したものが回転角変位となるからである。この場合、上述した各数式については、sin関数がcos関数に変換され、振幅が変わり、定常偏差が発生する。しかし、本原理で重要な点は、上述したグラフA、B、C間における振幅と位相の関係であり、この関係は、回転角速度でも回転角変位でも変わりはない。つまり、グラフA、B、Cを回転角変位について変換したとしても、上記と同様の数式で表現された振幅値の変換係数ηと位相の補正値Tが求められるからである。
また、以上の説明は、中間転写ベルト10の速度変動をベルト1周期の基本波成分が支配している場合である。しかし、実際には、使用するベルトの速度変動が基本波として近似するには誤差が大きい場合がある。そのときには、基本波成分の半分の周期をもつ2倍高調波成分(第2高調波成分)や同様に、基本波の1/nの周期を持つn倍高調波成分(第n高調波成分)も考慮して、ベルトの速度変動を近似すればよい。これは、周期関数をフーリエ級数展開するものと同様である。そして、それぞれの高調波成分に対して、同様の振幅補正、位相補正を行えばよい。ただし、位相差τに関しては、それぞれの高調波成分の周期に合わせて変換する必要がある。
以上、従動ローラ15の回転角速度および駆動ローラ14の回転角速度についてのデータ(グラフC)から、駆動ローラ14が一定の回転角速度で駆動するときの中間転写ベルト10の速度変動(グラフA)と、ベルトPLD変動による従動ローラ15の回転角速度の変動(グラフB’)を算出する。そして、この算出データから、駆動ローラ14を一定の回転角速度に制御して画像形成する場合にはグラフAのデータから、従動ローラ15を一定の回転角速度となるようにフィードバック制御しながら画像形成する場合にはグラフB’から、ベルトの速度変動を予測する。そして、ベルトの速度変動を積分すれば、中間転写ベルト10上における各トナー像の転写位置ずれが予測できるので、転写タイミングの補正量を算出する。
次に、具体的な、従動ローラ15の回転角速度及び駆動ローラ14の回転角速度のデータ(グラフC)の取得方法と、従動ローラ15を一定の回転角速度にフィードバック制御しながら画像形成する場合に、中間転写ベルト10上における各トナー像の転写位置ずれを予測して、転写タイミングを補正する手法を説明する。このように、従動ローラ15が一定の回転角速度となるようにフィードバック制御すれば、駆動伝達系の伝達誤差によるベルト速度変動を抑えることができるので、転写タイミング補正によりベルトPLD変動による転写位置ずれを抑制することで、高品質な画像が得られる。
特に、図17、図18に示したように感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kと無端状ベルトが接触している構成の場合、従動ローラ15が一定の回転角速度となるようにフィードバック制御することによる効果は大きい。仮に、このようなフィードバック制御をしない場合、中間転写ベルト10は、駆動ローラ14の偏心や伝達歯車、歯付きベルトの精度に起因する駆動伝達系誤差などにより移動速度に変動が生じる。そのため、中間転写ベルト10に接触している感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kには、ベルトの速度変動に応じた負荷変動が発生し、回転変動が生じてしまう。この回転変動は、感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kと中間転写ベルト10とが摩擦接触しているために不規則に発生する。このような場合には、ベルトPLD変動に起因する転写位置ずれを予測して、転写タイミングを補正しても大きな効果を得ることが難しい。一方、上述したようにフィードバック制御すれば、駆動ローラ14の偏心や駆動伝達系誤差が補正され、ベルトの速度変動が抑制される。この場合でも、ベルトPLD変動に起因したベルトの速度変動は発生するが、上述したように、ベルトPLD変動に起因したベルト速度変動は非常に小さいため、感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの回転変動を引き起こすまでには至らない。このように、上記のようなフィードバック制御により、感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの不規則な回転変動が発生しない状態を作り出すことができる。
次に、本実施形態のベルト駆動装置について説明する。
図7は、ベルト駆動制御装置のブロック図である。
このベルト駆動制御装置は、モータ駆動部615と、コントローラ部614とを備えている。モータ駆動部615は、ステッピングモータや振動波モータからなるモータ17と、モータドライバ603と、駆動パルス生成部604とから構成されている。このモータ駆動部615は、コントローラ部614から出力される信号に応じて、駆動パルス生成部604で駆動パルス列が出力される。それをモータドライバ603が受けて、駆動電流をモータの各相に流す。また、駆動パルス生成部604は、後述する比較器605からの制御基準信号とエンコーダ出力信号との差分を駆動パルスに変換する。また、比較器605からの信号は目標値との偏差であるため、駆動パルス生成部604は、その偏差が小さくなるようにモータを駆動する機能も併せもっている。具体的には、駆動パルス生成部604にPID制御器などを組み込み、制御対象のベルトが目標速度に対して偏差やオーバーシュート、発振が無いように調整してから、駆動パルス列を出力するようになっている。なお、モータ17はDCサーボモータでもよい。この場合、モータ駆動部615には、サーボアンプ、ループフィルタとチャージポンプとを備えた出力制御部が設けられる。
コントローラ部614は、CPU又はDSPの処理能力やコスト等をふまえて、ソフトで処理する部分とハードで処理する部分を適宜選択することができる。例えば、コントローラ部614をすべてCPU又はDSPでデジタル処理し、モータ駆動部615への出力時にD/A変換するように構成してもよい。逆に、すべてを回路で構成するようにしてもよい。CPU又はDSP等でデジタル処理する部分を多くすることで、環境変化、経時変化、ノイズ等の影響を受けにくくなるが、高コスト、量子化離散化ノイズなどが発生するという欠点もある。このような欠点を考慮して、ソフトで処理を行う部分と、ハードで処理を行う部分とのバランスを適宜調整することが好ましい。
また、モータ駆動部615は、駆動入力信号として駆動ローラ14の回転角速度の情報をベルト位置ずれ演算部616に送信する。モータ17がステッピングモータの場合は、駆動入力信号として、モータ駆動信号がコントローラ部614に送信される。また、ステッピングモータの場合、モータ駆動パルス列に応じてステップ駆動するので、モータ駆動信号から容易に駆動ローラ14の回転角速度を推測することができる。一方、モータ17がDCサーボモータの場合は、サーボモータに内蔵されているモータ軸の回転数を検出するMRセンサの信号を駆動入力信号としてコントローラ部614に送信する。
また、駆動入力信号は、これに限らず、例えば、駆動ローラ14にロータリエンコーダを設けて、このロータリエンコーダの出力信号を駆動入力信号としてもよい。
従動ローラ15の同軸上に設けられたロータリエンコーダは、従動ローラ15の回転角速度又は回転角変位に応じた波形を出力する。出力された波形は、エンコーダ回転検出部610を介してベルト位置ずれ演算部616に送られる。位置ずれ演算部616がアナログ処理の場合、ロータリエンコーダの出力をパルス波形として送ればよい。デジタル処理の場合は、エンコーダ回転検出部610でロータリエンコーダの検出内容(回転角速度又は回転角変位)に応じた処理が行われる。ロータリエンコーダの検出内容が回転角速度の場合、エンコーダ出力波形の周期を計測し、その回転角速度をエンコーダ回転検出部610で算出してからベルト位置ずれ演算部616へ信号を送信する。また、エンコーダ出力波形(パルス波)をカウントし、任意の時間内に計測されたパルスカウント値から回転角速度を算出して信号を送信するようにしてもよい。
一方、エンコーダの検出内容が回転角変位の場合、ロータリエンコーダの出力波形(パルス波)をカウントして回転角変位をエンコーダ回転検出部610で算出してからベルト位置ずれ演算部616へ駆動出力信号を送信する。または、回転角速度の検出結果をエンコーダ回転検出部610で積分して、コントローラ部614へ駆動出力信号を送信するようにしてもよい。
ロータリエンコーダの検出内容を回転角速度とするか回転角変位とするかについては、制御対象としている中間転写ベルト10の周期に応じて決めるとよい。この中間転写ベルト10とそれを駆動するモータ17や伝達機構18、駆動ローラ14などの駆動系部品の回転周期は、一般に、0.1〜5.0[Hz]であることが多い。上記中間転写ベルト10は、約800[mm]の無端状ベルトを160[mm/sec]で駆動するので、その回転周期は0.2[Hz]である。このようなベルト回転周期におけるベルト速度変動を検出する場合には、回転角速度を検出するよりも回転角変位を検出する方が、高精度に検出できる。例えば、本実施形態における複写機では、支持ローラ14,15,16の半径が16[mm]で、中間転写ベルト10のベルト平均厚みが100[μm]、中間転写ベルト10のベルト厚みが±10[μm]の範囲で変化する。従動ローラ15が一定の回転角速度で回転した場合と中間転写ベルト10が一定の移動速度で駆動した場合とを比較すると、前者における中間転写ベルト10の速度変動率は±0.16[%]であるが、従動ローラ15の回転角変位量は±20[μm]以上となる。このような理由から、本実施形態においては、回転角変位の情報を検出する方が適している。
エンコーダ回転検出部610からベルト位置ずれ演算部616へ送られた信号は、ベルト変動検出部608及び比較器605に送られる。ベルト変動検出部608は、上記駆動入力信号と上記駆動出力信号とからベルト1周に1ヶ所のマーク(基準マーク)613を基準マーク検知手段としてのセンサ612で検知したホームポジション信号を基準としたベルト周期変動を検出する。このベルト変動検出部608の出力値は、上述したベルト回転周期変動の基本波成分及び高調波成分の振幅値と位相値である。
なお、上記ホームポジション信号を生成するためのマーク613は必ずしも必要であるわけではなく、上記ホームポジション信号に代えて、仮想ホームポジション信号を用いてもよい。この仮想ホームポジション信号は、ベルトの1回転周期で発生するように設定された信号である。仮想ホームポジション信号は、例えば、駆動ローラ14の径や駆動伝達系の減速比などを考慮して、ベルト1周回分に相当するモータの累積回転角変位を設定する。そして、モータの累積回転角変位が、この設定された値となったら仮想ホームポジション信号が発生するようにする。
また、従動ローラ15の径を考慮して、ベルト1周回分に相当する従動ローラ15の累積回転角変位を設定するようにしてもよい。この場合、従動ローラ15に設置されたロータリエンコーダで回転角変位を検出して、設定した累積回転角変位になったときに仮想ホームポジション信号が発生するようにする。
また、ベルトが設定された平均移動速度で駆動する場合には、ベルト回転周期に相当する時間間隔のクロック信号を設定してもよい。
以上のような仮想ホームポジション信号を基準に累積回転角変位や経過時間を管理することで位相を把握できる。
図8は、上記ベルト変動検出部608のブロック図である。
このベルト変動検出部608は、変換部803、比較器804、周期変動サンプル部805、変動振幅・位相検出部806から構成されている。変換部803は、モータ17から出力された駆動入力信号を従動ローラ15の回転角速度として変換するものである。例えば、駆動入力信号がモータ駆動信号の場合、モータ17が減速器を介して駆動ローラに接続されているときには、減速比を考慮して、モータ駆動信号を駆動ローラ14の回転角速度に変換する。更に、駆動ローラ14と従動ローラ15の径比を考慮して、従動ローラの回転角速度相当に変換する。また、仮に駆動入力信号802と出力信号807がそれぞれ速度情報と位置情報といったように互いに異なる情報である場合には、駆動出力信号を駆動入力信号に一致させるように、変換部803に積分器又は微分器が付加される。比較器804は、抽出手段として機能し、駆動出力信号807と変換部803で変換された駆動入力信号803とを比較し、その差分が周期変動サンプル部805に出力される。この周期変動サンプル部805に出力される差分情報は、上述したようにベルトPLD変動に起因した変動成分である。周期変動サンプル部805は、データ処理手段として機能し、ベルト1周期のベルトPLD変動に起因した変動成分(交流成分)を記憶手段としてのメモリに記憶する部分である。周期変動サンプル部805は、ホームポジション信号又は仮想ホームポジション信号(以下、ホームポジション信号とする。)を検知すると、メモリにベルトPLD変動に起因した変動成分(交流成分)の記憶を開始する。そして、再びホームポジション信号を検知した時点で、メモリへの変動成分(交流成分)の記憶を停止する。これにより、ベルト1周期分の変動成分(交流成分)がメモリに記憶される。
変動振幅・位相検出部806は、メモリに記憶されたベルト1周期分の変動成分(交流成分)から基本波成分及び高調波成分の振幅と位相を検出する部分である。変動振幅、位相の検出手法としては、変動値のゼロクロス又はピーク値から既定周期の変動成分の振幅と位相を検出する手法や、直交検波による既定周期成分の検出手法がある。これらの手法は、CPU又はDSPの演算負荷やメモリ等のハード構成と、変動振幅・位相検出部806に入力される情報のSN比から、振幅と位相を検出する。また、ゼロクロス又はピーク値から検出する手法は、演算負荷も少ないがノイズの影響を受けやすい。直交検波による手法は、演算負荷は大きいがノイズの影響は受け難い。このようにして検出されるベルト周期成分の振幅と位相は、上述したグラフCの振幅と位相に相当する。
本実施形態のように、2つの回転情報(回転角変位又は回転角速度)をモータ駆動信号と従動ローラ15のエンコーダ出力とした場合、図1に示す複写機に用いられる中間転写ベルト10においては、比較器804から出力されるデータにベルトの周期(PLD)変動以外に様々な変動成分が重畳している。例えば、駆動系歯車の偏心や歯の累積ピッチ誤差などに起因した伝達誤差による変動成分や駆動ローラ14と中間転写ベルト10との間のスリップによる変動成分、駆動ローラ14の偏心、中間転写ベルト10に接触するクリーニング部材や記録材の接触による負荷変動による変動成分、さらに、従動ローラ15やエンコーダの取付け偏心による変動成分などである。これらの変動成分がベルト周期変動成分を検出するのに無視できない場合、上記2つの回転情報としては、両方とも従動ローラのエンコーダ出力を用いるか、図8に示したフィルタ処理を加える必要がある。前者の場合、それぞれのエンコーダ出力に駆動伝達系の変動が重畳していても、比較器804にて除去される。
図9は、上記のようなベルトのPLD変動以外に様々な変動成分を除去して、高精度にベルトPLD変動の交流成分を検出することができるフィルタ部900を備えたベルト変動検出部809の例を示す説明図である。
図中点線で示したベルト変動検出部809は、少なくとも図7のベルト変動検出部608と同等の機能を有している。フィルタ部900は、Filter1(901)、Filter2(902)、DC除去部903を有している。比較器804から出力されたベルト変動成分は、Filter1(901)、Filter2(902)、DC除去部903を通過して周期変動サンプル部805に送られる。Filter1(901)は、高周波のノイズ成分を除去することを目的に設計されている。Filter1(901)は、ベルトの回転変動が0.1〜5[Hz]であるときに、100[Hz]以上の信号を除去する。このとき、折返し成分が発生しないように、また、ベルト回転変動周辺の信号が変化しないようにすることが望まれる。このような条件を満たすフィルタとしては、FIRローパスフィルタが挙げられる。このようにFilter1(901)により高周波ノイズを除去することで、低価格なロータリエンコーダを使用することが可能になる。高周波ノイズには、ロータリエンコーダを使用して回転量を検出した場合に発生する量子化ノイズがあり、分解能の低いロータリエンコーダを使用した場合に高周波ノイズが顕著に表れ、ベルト周期変動検出に問題となる。しかし、本実施形態では、Filter1(901)で高周波ノイズを除去するので、分解能の低いロータリエンコーダによる検出が可能となり低価格でかつ高精度な回転検出が実現できる。
Filter2(902)は、回転系の周期変動成分を除去することを目的に設定している。Filter2(902)は、ベルトPLD変動である0.2[Hz]以下だけの信号にするためのローパスフィルタであり、FIRローパスフィルタで構成されている。Filter2(902)で除去する変動は、主に、駆動ローラ14やその伝達機構18の回転体18a、18b、従動ローラ15の偏心により発生する周期変動である。これらの周期変動が同一の又は整数比の関係である場合、Filter2の設計が容易で、より効率良く除去することが可能となる。また、従動ローラ15から駆動ローラ14に向かってベルトが移動するベルト移動経路上に別の支持ローラがある場合、その支持ローラの偏心に起因して、その回転周期で発生する変動成分もロータリエンコーダで検出される。この変動成分をFilter2で除去する上でも同様に回転周期が駆動ローラ14などの周期変動成分と同一の又は整数比の関係であるとよい。
図10は、Filter1(901)、Filter2(902)を通過した後のベルト変動成分の一例を示すグラフである。
横軸は時間で、縦軸には回転角変位の変動値を回転角ラジアン[rad]で示している。なお、中間転写ベルト10の移動速度は一定としている。符号1001で示すグラフは、Filter1(901)及びFilter2(902)を通過していないベルト変動成分である。符号1003で示す印は、ホームポジション信号の出力タイミング(ベルト一周期)を示している。図10からわかるように、Filter1(901)及びFilter2(902)を通過したベルト変動成分1002は、ノイズが除去されて滑らかな正弦関数となっていることがわかる。
しかしながら、上記2つのフィルタでも除去できない成分が存在する。この除去しきれない成分としては、DC成分が挙げられる。図10に示すように、2つのフィルタを通過したベルト変動成分1002は、ベルト一周を一周期とする基本波形となっていないことがわかる。すなわち、基準となるホームポジション位置1003(図10中左側)では、2つのフィルタで除去されたベルト変動成分1002が0ラジアンから始まっている。しかし、次に検出されベルト一周を示すホームポジション位置(図10中右側)では、ベルト変動成分1002が0ラジアンとなっていない。つまり、この波形のずれ量(図10中の符号1004)がDC成分である。
このDC成分は、定常的なスリップや駆動ローラ14及び従動ローラ15の径誤差によりベルトの平均移動速度が変化することによって発生する。このDC成分は、上述した振幅及び位相の検出に影響を与えるので除去するのが好ましい。この波形のずれ量を検出して除去するのがDCDC除去部903である。
また、このほかに、上記2つのフィルタで除去できない変動成分としては、不規則に発生するスリップなどのランダムな変動成分がある。このランダムな変動成分は、同期加算と呼ばれる手法で除去することができる。具体的には、ホームポジション信号を基準にベルト複数周回分のベルト変動成分(交流成分)をサンプリングして、このサンプリングしたデータを平均化することで除去することが可能である。つまり、ホームポジション信号を基準にベルト複数周回分のサンプリングされたベルト変動成分を加算して平均することで、ランダムな変動成分は減少し、ベルト1周期のベルト変動成分が強調される。これによって、さらに高精度な振幅、位相の検出が可能となる。この同期加算の処理は周期変動サンプル部805で行うことができる。
上記比較器804から出力されたベルト変動成分は、このようにしてフィルタ部900を通過してベルト変動成分以外の変動成分が除去された後、周期変動サンプル部805に入力され、ベルト一周期のベルト変動成分がメモリに記憶される。なお、フィルタ部900を通過したベルト変動成分をダウンサンプルしてメモリに記憶してもよい。フィルタ部900を通過したベルト変動成分は、滑らかな正弦関数となっているので、ダウンサンプルを行っても精度良くベルトPLD成分に対応した交流成分の振幅と位相を抽出することが可能である。一般的に0.2[Hz]あたりのベルトPLD周期成分を検出するには、10倍の周期20[Hz]くらいのサンプリングで十分である。そこで、まず、比較器804の出力までを100[Hz]以上の短い周期でサンプリングし、変動に対して位相遅れの少なく、高精度な検出を行う。そして、フィルタ部900でフィルタ処理を行った後、20[Hz]にダウンサンプルして出力する。フィルタ部900を通過した後のベルトの変動成分は、他の変動成分が除去されて、図10に示すような滑らかな正弦波形となっているため、ダウンサンプルしてデータを保存したとしても、この波形を精度よく再現することが可能である。このため、変動振幅・位相検出部806で、ベルト周期変動成分の基本波成分及び高調波成分の振幅と位相が検出するときに使用するメモリ容量が少なくて済む。
また、上記のように、100[Hz]以上の短い周期でサンプリングを行い、この短い周期でサンプリングしたベルト変動成分をフィルタ処理することで、低分解能なロータリエンコーダであっても、高い精度で周期変動を検出することが可能となる。例えば、ロータリエンコーダの分解能が中間転写ベルト10上に換算して100[μm]程度のロータリエンコーダでも、500[Hz]でサンプリングして上記フィルタ処理を行うことで数[μm]程度の精度で周期変動を検出することが可能となる。
図10に示したフィルタ部900のFilter1(901)、Filter2(902)、DC除去部903は、高精度にベルトPLD変動によるベルト速度変動を検出するために付加される処理であり、使用される装置との関係により、どの処理を付加するかは適宜選択される。また、Filter1とFilter2の機能を併せもつ1つのフィルタで構成してもよい。また、フィルタは、説明したFIRフィルタに限らず、移動平均を用いた簡易なローパスフィルタで構成することも可能である。
次に、本発明の特徴部分である、転写位置ずれを小さくするための転写タイミングの補正量に説明ついて説明する。
転写位置ずれ演算部607は、設定情報決定手段として機能し、ベルト変動検出部608で得られたベルト回転周期で発生するベルトPLD変動によるベルト速度変動の基本波成分及び高調波成分の振幅と位相の数値を取得する。そして、駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動しながら画像形成を行う場合には、上記数15に示した式の振幅変換係数ηCA及び上記数16に示した式の位相変換値TCAを用いて、駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動したときに発生が予測される転写位置ずれ量を演算する。また、本実施形態のように、従動ローラ15が一定の回転角速度となるようにベルト駆動をフィードバック制御しながら画像形成を行う場合には、上記数13に示した式の振幅変換係数ηCB及び数14に示した式の位相変換値TCBを用いて、予測される転写位置ずれ量を演算する。
図11は、ホームポジション信号の検知時を基準に転写位置ずれ量を演算した結果を示すグラフである。
グラフ131は、フィルタ処理後のサンプルデータである。これに対して、グラフ132は、サンプルデータを直交検波処理により振幅と位相を検出して正弦関数で近似したグラフである。縦軸は、従動ローラ15の回転角変位[rad]にそのローラ実効半径(従動ローラ半径+ベルト平均PLD)を乗算して得たベルト位置ずれ量[μm]である。横軸は、時間であり、本実施形態の場合には、約6.5秒で中間転写ベルト10が1回転する。ベルト変動検出部608で得られたグラフ132の振幅値に上記数15に示した式の振幅変換係数ηCAを乗算し、その位相値に上記数16に示した式の位相変換値TCAを加算することで、駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動したときの転写位置ずれの正弦関数であるグラフ133が得られる。また、グラフ132の振幅値に上記数13に示した式の振幅変換係数ηCBを乗算し、その位相値に上記数14に示した式の位相変換値TCBを加算すれば、中間転写ベルト10が一定の移動速度で駆動しているときの従動ローラ15で見られる誤検出のベルト位置ずれであるグラフ134が得られる。フィードバック制御時には、従動ローラ15が一定の回転角速度になるように制御されるので、グラフ133を反転した数値が転写位置ずれ量となる。ちなみに、これらのグラフ132、グラフ133及びグラフ134は、図6(b)に示したグラフC、グラフA及びグラフB’の関係に相当する。
図12は、転写タイミングの補正量を示すグラフである。
縦軸は、導出したベルト位置変動から補正手段に合わせて転写タイミングの補正量に換算している。横軸は、ホームポジション信号を基準にした時間である。本実施形態では、各色トナー像は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に中間転写ベルト10上に転写される。このグラフから、ホームポジション信号が検知されたタイミングでYの転写が開始されることがわかる。本実施形態では、転写タイミングの補正量の正弦関数の位相を管理し、その位相に応じて、各色の転写タイミングの補正量を決める。このように転写タイミングを補正することで、ベルトPLD変動による転写位置ずれを抑制することが可能となる。ここでは、各色の転写タイミングをそれぞれ補正する場合について説明したが、任意の色を基準に他色の転写タイミングの補正を行ってもよい。例えば、Kの転写タイミングの補正は行わず、Kを基準に、Y、M、Cの転写タイミングを補正する場合、先程のKの転写タイミングの補正量と各色の補正量の差分量を算出し、それをC、M、Yでの補正量とする。この差分量は、全く転写位置ずれを補正しない場合の色間の位置ずれを表しているので、これを補正量とすることで、色間の位置ずれが抑制される。この場合、補正手段の構成が簡易となり、記録用紙に対する画像のズレは発生することはあるが、色ズレを抑制することができる。
転写位置ずれ演算部607では、ホームポジション信号を基準に各色の転写タイミングの補正量を演算している。この演算は、画像形成毎に転写タイミング補正量を演算してもよい。また、装置にあるCPUまたはDSPの処理能力、メモリ容量に応じて、予め転写タイミング補正量を演算して、数値をテーブル化して保存しておき、画像形成毎に読み出すようにしてもよい。
本実施形態のベルト駆動装置においては、駆動ローラ14の回転角速度又は回転角変位である駆動入力信号と、従動ローラ15の回転角速度又は回転角変位である駆動出力信号とから、ベルトのPLD変動によるベルトの速度変動を検出している。これにより、駆動ローラ14の回転角速度を一定としてなくてもベルトの速度変動を得ることができる。よって、例えば、従動ローラ15のエンコーダ出力信号からフィードバック制御を行いながらもベルト変動成分を抽出して転写位置ずれ量を演算することができる。これにより、ベルトの変動成分を得るために駆動ローラ14を一定の回転角速度で駆動するテスト動作などが必要なくなる。また、中間転写ベルト10に対するクリーニング部材や記録用紙などの接触などによって画像形成時に発生する負荷変動があってもよくなる。そのため、画像形成時に随時、転写位置ずれ量を演算し、環境変化や経時劣化によりベルトのPLD変動が変化した場合に対して、適切な段階で転写位置ずれ量の補正あるいは更新を実行することができる。
また、ホームポジション信号として上述した仮想ホームポジション信号を用いる場合、ローラ径の誤差などの部品精度により、実際のベルト一周期と、上記仮想ホームポジション信号から求めたベルトの一周期との間に誤差が生じる場合がある。例えば、仮想ホームポジション信号が6秒毎に出力しているのに対し、実際の中間転写ベルト10が6.1秒周期で駆動している場合には、周回毎に0.1秒の誤差が累積される。その結果、フィードバック制御を行う場合には、基準となる仮想ホームポジションと、転写位置ずれ予測値を生成するときに基準とした仮想ホームポジションとの位置関係が、ベルトの回転周期ごとにずれていき、上記目標関数で正確なフィードバック制御ができなくなってしまう。そこで、フィードバック制御中に転写位置ずれ予測値の更新を行い、ベルトの周回ごとに累積されたずれをリセットするようにしている。具体的には、仮想ホームポジション信号をカウントし、所定回数(例えば10回)となったときに転写位置ずれ予測値の更新を実行する。まず、所定回数となったら、周期変動サンプル部805で仮想ホームポジション信号を検知して、ベルト一周期の変動成分の記憶を開始する。そして、再び、仮想ホームポジション信号を検知して、ベルト一周期の変動成分の記憶を停止する。メモリに記憶されたベルト一周期の変動成分から新たな仮想ホームポジションを基準とした転写位置ずれ予測値が生成される。この新たな仮想ホームポジションを基準として生成された転写位置ずれ予測値で転写タイミングを制御することで、ベルトの周回ごとに累積された位相ずれをリセットすることができる。
また、ベルトのPLD変動は、環境変化や径時変化により変化する場合がある。そこで、このような環境変化や径時変化を検知する環境・径時変化検知手段で、環境変化径時変化を検知して、転写位置ずれ予測値を更新するようにしてもよい。転写位置ずれ予測値を更新するタイミングは、中間転写ベルト10の材質、ベルト駆動装置の環境や検出精度なおdによって調節することも可能である。また、検出する振幅、位相のどちらか一方のみを変更して転写位置ずれ予測値の更新を行うようにしてもよい。例えば、ベルト材質が温度変化により厚み方向に変化しやすい場合、ベルト駆動装置の周辺に温度センサを設置する。そして、その温度変化をモニターしながら、設定した温度の上昇、下降があった場合にフィードバック制御中に振幅や位相を変更する。そして、この変更した振幅や位相に基づいて、転写位置ずれ予測値を生成しなおして、この生成しなおした転写位置ずれ予測値に基づいて、転写タイミングを制御する。また、経時変化としては、中間転写ベルト10の磨耗による削れ、ベルト移動経路によるベルトのくせの発生などがあり、時間や画像出力枚数などをモニターして、所定時間や所定枚数に達したら、転写位置ずれ予測値を更新する。
また、振幅や位相を変更して転写位置ずれ予測値を更新する際には、過去の振幅や位相をメモリしておき、複数のベルトPLD変動の振幅や位相の情報を用いて平均値を求めて、振幅や位相の変更を行うことで、転写位置ずれ予測値の精度を向上させることができる。また、時間、画像出力枚数、温度変化などの複数の検出情報に重み付けを行い、環境、経時変化への適応性を向上させることも可能である。
また、本実施形態では、ロータリエンコーダを従動ローラ15に対して固定しているが、これを着脱可能な構成としてもよい。この場合、ユーザーによる使用前に、例えば製造工程時、装置設置時、メンテナンス時に、上述した振幅及び位相の検出の際にだけロータリエンコーダを装着するようにしてもよい。この場合、転写タイミングの補正は、この振幅及び位相のデータから得られる転写位置ずれ量に基づいて行う。また、中間転写ベルト10が交換された際には、再びロータリエンコーダを装着して、新しい中間転写ベルト固有のPLD変動に対応した補正量を画像形成装置が随時保有するようにしてもよい。
また、本実施形態では、タンデム型画像形成装置で中間転写体を用いた中間転写方式における中間転写ベルト10のベルトPLD変動によるベルト速度変動に起因した色ズレを抑制する場合について説明したが、本発明は、このような画像形成装置に限られない。例えば、図17に示すように、タンデム型画像形成装置で直接転写方式における記録材搬送部材としての搬送ベルト210のベルトPLD変動によるベルト速度変動に起因した色ズレについても、同様に抑制することができる。
また、図1や図17に示すタンデム型画像形成装置では、潜像担持体としてドラム状の感光体を用いているが、これに代えてベルト状の感光体ベルトを用いた場合には、そのベルトのPLD変動によるベルト速度変動に起因して色ズレやバンディングといった画質劣化が生じる。この場合も、その感光体ベルトについて、上記中間転写ベルト10の場合と同様にベルト速度変動を検出し、これに基づいて感光体ベルトに対する露光装置21の書込タイミング等を制御することで、色ズレやバンディング等の画質劣化を抑制できる。
また、図示しないが、1つの潜像担持体上に各色トナー像を順次形成して、これらのトナー像を中間転写体又は記録材等の被転写体に順次転写して重ね画像を形成するような画像形成装置においても、その潜像担持体として感光体ベルト等の無端状ベルトを用いた場合には、そのベルトのPLD変動によるベルト速度変動に起因して色ズレやバンディングといった画質劣化が生じ得る。この場合も、その感光体ベルトについて、上記中間転写ベルト10の場合と同様にベルト速度変動を検出し、これに基づいて感光体ベルトに対する露光装置21の書込タイミング等を制御することで、色ズレやバンディング等の画質劣化を抑制できる。
また、電子写真方式の画像形成装置に限らず、無端状ベルトからなる搬送ベルト(記録材搬送部材)に担持搬送される記録材面に複数色のインクを吐出し、各色インクによる複数の画像が重なり合った重ね画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置についても、その無端状ベルトのベルトのPLD変動によるベルト速度変動に起因して色ズレやバンディングといった画質劣化が生じ得る。この画像形成装置は、複数色のインクをそれぞれ吐出する吐出口を備えたヘッド部と、該ヘッド部との対向位置に記録材を担持搬送する無端状ベルトからなる記録材搬送部材とを備え、該吐出口からインクを吐出して該記録媒体上に画像を形成するものである。このような画像形成装置についても、その搬送ベルトについて、上記中間転写ベルト10の場合と同様にベルト速度変動を検出し、これに基づいて搬送ベルト上の記録材に対する各色インクの吐出タイミング等を制御することで、色ズレやバンディング等の画質劣化を抑制できる。なお、この場合、上述した転写位置ずれは、ドット位置ずれに置き換わる。
次に、転写タイミングの補正手段を有する図1の露光装置21について説明する。
図13は、露光装置21の構成を示す説明図である。この露光装置21は、4つの画像形成部18を走査するものであって、2つの画像形成部18ずつに2分割し、単一のポリゴンミラーの対向する側からビームを入射して、相反する方向に偏向、走査する対向走査方式を採用したものである。上述したように、4つの感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kは、中間転写ベルト10の移動方向に沿って等間隔で配列され、順次異なる色のトナー像を中間転写ベルト10上に転写して重ね合わせることでカラー画像を形成する。図示するように各感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kを露光する露光装置21は一体的に構成され、ポリゴンミラー106により光ビームを走査する。ポリゴンミラーの回転方向は同一であるので、走査方向は対向する側で相反する方向となり、一方の書出し位置ともう一方の書き終わり位置とが一致するように画像を書き込んでいく。
また、本実施形態では、各感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kに対して半導体レーザを一対配備し、副走査方向の記録密度に応じて1ラインピッチ分ずらして走査することにより、2ラインずつ同時に走査できるようになっている。各光源ユニットからのビーム201、202、203、204は、光源ユニット毎に射出位置が副走査方向に異なる部位、本実施形態では光源ユニット107、108と光源ユニット109、110との射出位置が、所定高さ(本実施形態では6[mm])だけ異なるよう配備し、光源ユニット108と光源ユニット109からのビームは入射ミラー111、112により折り返し、直接ポリゴンミラー106へと向かう光源ユニット107と110からのビームに主走査方向を近接させてポリゴンミラー106に入射される。
シリンダレンズ113、114、115、116は、一方を平面、もう一方を副走査方向に共通の曲率を有し、ポリゴンミラー106の偏向点までの光路長が等しくなるように配備してあり、各光ビームは偏向面で主走査方向に線状となるように収束され、後述するトロイダルレンズとの組み合わせで、偏向点と感光体面上とが副走査方向に共役関係とすることで面倒れ補正光学系をなす。
非平行平板117、118、119は、いずれか一面を主または副走査方向にわずかに傾けたガラス基板であり、基準色を除くステーション(本実施形態では、光源ユニット109からのビーム以外)に配備され、光軸周りに回転制御することで各走査位置を安定的に保持する。
ポリゴンミラー106は、6面ミラーで、本実施形態では2段に構成され、偏向に用いていない中間部をポリゴンミラーの内接円より若干小径となるように溝を設けて風損を低減した形状としている。1層の厚さは約2[mm]である。尚、上下のポリゴンミラーの位相は同一である。fθレンズ120、121も2層に一体成形または接合され、各々、主走査方向にはポリゴンミラーの回転に伴って感光体面上でビームが等速に移動するようにパワーを持たせた非円弧面形状となし、各ビーム毎に配備されるトロイダルレンズ122、123、124、125とにより各ビームを感光体面上にスポット状に結像し、潜像を記録する。
各色の画像形成部18は、ポリゴンミラーから感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの面に至る各々の光路長が一致するように、また、等間隔で配列された各感光体ドラムに対する入射位置、入射角が等しくなるように、複数枚(実施形態では1つの画像形成部あたり3枚ずつ)の折り返しミラーが配置される。
各色画像形成部18毎に光路を追って説明すると、光源ユニット107からのビーム201は、非平行平板117、シリンダレンズ113を介し、ポリゴンミラー106の上段で偏向された後、fθレンズ120の上層を通過し、折り返しミラー126で反射されてトロイダルレンズ122を通過し、折り返しミラー127、128で反射されて感光体ドラム40Mに導かれ、マゼンタ用の静電潜像を形成する。また、光源ユニット108からのビーム202は、非平行平板118、シリンダレンズ114を介して、入射ミラー111で反射されポリゴンミラー106の下段で偏向された後、fθレンズ120の下層を通過し、折り返しミラー129で反射されてトロイダルレンズ123を通過し、折り返しミラー130、131で反射されて感光体ドラム40Yに導かれ、イエロー用の静電潜像を形成する。ポリゴンミラーに対して対称に配備された画像形成部18についても同様で、光源ユニット109からのビーム203は、入射ミラー112を介してポリゴンミラー106の下段で偏向され、折り返しミラー132、133、134で反射されて感光体ドラム40Kに導かれ、ブラック用の静電潜像が形成される。また、光源ユニット110からのビーム204は、ポリゴンミラー106の上段で偏向され、折り返しミラー135、136、137で反射されて感光体ドラム40Cに導かれ、シアン用の静電潜像を形成する。
画像記録領域の走査開始側および走査終端側には、フォトセンサを実装した基板138、139、140、141が配備され、各画像形成部18において走査されたビームを検出する。本実施形態において、基板138、140は同期検知センサとなし、この検出信号を基に各々書き込み開始のタイミングを図るように共用している。一方、基板139、141は、終端検知センサをなし、上記同期検知センサとの検出信号の時間差を計測することで走査速度の変化を検出し、検出された走査速度の変化に対して、各半導体レーザを変調する画素クロックの基準周波数を反比例倍して再設定することで、各画像形成部18において記録された静電潜像の中間転写ベルト10上での全幅倍率を安定的に保持することができる。
本実施形態では、転写タイミングを補正する手段として、非平行平板117、118、119を用いる。非並行平板117、118、119は、光軸を変えて、感光体ドラム40Y、40M、40C、40K上の露光位置を変化させることにより転写タイミングを調整することができる。以下、その詳細を説明する。
図14は、光軸変更手段である非平行平板の支持部における斜視図である。
非平行平板321は、円筒状のホルダ部材322中央枠内に固定され、軸受部323を形成した支持部材324にホルダ部材に形成した一対の鍔部326を切欠に合わせて挿入し、水平に戻すことで鍔部326が裏側に引っ掛かり、支持部材に密着した状態でかん合部325を基準に回転可能に保持される。支持部材324は、上記したように底面を基準にハウジングにねじ止めされ、軸受部323の回転中心が光源ユニットの射出軸と中心が合うように高さHが各々設定されており、回転によってビームの射出軸をわずかに傾けることができる。ホルダ部材の一端にはレバー部327が形成され、支持部材に形成した貫通穴330に係合され固定されているステッピングモータ328の軸先端に形成した送りネジを螺合しており、その上下動に伴って非平行平板321を回動可能としている。尚、この際のバックラッシュをとるため、ホルダ部材のピン331と支持部材のピン332との間にスプリング329により引張力をかけ、一方向に片寄せする構成としている。
いま、この回転角をγ、非平行平板の頂角をε、カップリングレンズの焦点距離をfc、光学系全系の副走査倍率をζとすると、感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの面での副走査位置の変化は、下記の数17に示す式で与えられ、微小回転角の範囲では回転角にほぼ比例して可変できる。本実施形態では、非平行平板の頂角εは、約2°である。なお、この式中の「n」は、非平行平板の屈折率である。
Figure 0004597697
感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kの面での副走査位置の変化Δyは、そのまま、転写位置の変化量とすることができる。よって、演算された転写タイミングの補正量[μm]を打ち消すように反転させた数値を、副走査位置の変化Δyに代入して、回転角γを求めて非平行平板を回動させる。上記数17に示す式における非平行平板の頂角ε、カップリングレンズの焦点距離fc、光学系全系の副走査倍率ζは、予め決定されている定数となる複写機では、副走査位置の変化Δyと回転角γとの対応表を作成しておくと演算時間を短くすることができる。
また、副走査位置を可変する手段の別の実施形態を示す。
図15(a)及び(b)は、液晶偏向素子を用いた補正手段の例を示す説明図である。この補正手段は、本実施形態でプリズムが配置される光源からポリゴンミラーに至る光路中に、プリズムの代えて液晶偏向素子を配備することで図14に示した構成と同様の構成にできる。液晶偏向素子は、液晶を透明なガラス板間に封入した構成であり、一方のガラス板表面の上下に電極が形成されている。液晶としては誘電異方性を有するネマティック液晶等が用いられ、電極間に電位差を与えると、図15(b)中の右側に示す断面図のように電位の傾斜が発生し、液晶の配向が変化して屈折率分布を発生させて、プリズムと同様にビームの射出軸をわずかに傾けることができる。従って、副走査方向に電極を設けることで、印加電圧に応じて感光体面での走査位置を可変できる。
なお、上記したような透過型の光学素子に限るわけではなく、ガルバノミラー等の反射型の光学素子を用いても同様に構成できる。
本実施形態では、低コスト、小型化のために光路上に4つの画像形成部18について共用部品が存在し、転写タイミングを調整する手段として光軸を変化させる手段を例示した。その他の例としては、4つの画像形成部18について共用部品が無く、それぞれの画像形成部18に対して独立した露光装置がある場合、転写タイミングの調整はポリゴンミラーの回転速度と半導体レーザの発光タイミングの調整を利用する場合などが挙げられる。また、露光装置としては、1ライン分の発光素子(LED)が配列されたライン型露光装置を用いることもでき、この場合、発光素子の発光タイミングを発光制御部にて調整することで補正手段を構成できる。
以上のような補正手段は、転写位置ずれの数値(正弦関数数値)に合わせて正確に駆動するものが望ましいが、補正分解能が高くない場合は、用紙1枚毎にある一定数値で補正するようにしてもよい。
図16は、周長が約800[mm]の中間転写ベルト10を用いて、A3用紙を連続して出力した場合の各用紙における単色画像の転写位置ずれ量を点線で区分けして示したものである。本実施形態では、A3用紙を連続で出力する場合は、用紙間隔は110[mm]となる。用紙1枚目から3枚目までの転写位置ずれを直線近似したものが133a、133b、133cである。それぞれの近似直線の傾きから各用紙の補正量を一定値で設定する。この傾き数値は、光軸調整手段の場合には駆動系速度(モータ駆動の場合にはモータの回転速度)、画像形成部18ごとに独立して露光装置を設けた場合にはポリゴンミラーの回転速度と半導体レーザの発光タイミングまたは発光素子の発光タイミング、に変換することができるため、用紙毎に各色一定値で設定して転写タイミングを補正することができる。これにより、各用紙上の図16の転写位置ずれ量の傾き分を補正することができる。
以上、本実施形態の画像形成装置である複写機は、複数の支持回転体である支持ローラ14、15、16に掛け渡された無端状のベルトである中間転写ベルト10と、駆動源であるモータ17からの回転駆動力により中間転写ベルト10が無端移動するようにこれを駆動する駆動手段としてのベルト駆動装置と、中間転写ベルト10上に複数の画像(各色トナー像)を互いに重なり合うように形成して、中間転写ベルト10上に重ね画像(カラー画像)を形成する画像形成手段としての画像形成部18とを有する。この複写機は、記憶手段としてのメモリを有している。また、上記複数の支持ローラ14、15、16のうちの少なくとも1つの支持ローラである従動ローラ15の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段としてのロータリエンコーダも有している。また、この従動ローラ15を含む2つの支持ローラ14,15の回転角変位又は回転角速度の差分データから、中間転写ベルト10の速度変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分(ベルト速度変動成分)を抽出する抽出手段としての比較器804も有している。また、ベルト速度変動の少なくとも一周期分に相当する、比較器804が抽出したベルト速度変動成分の振幅及び位相のデータを、上記メモリに記憶するデータ処理手段としての周期変動サンプル部805も有している。また、上記メモリに記憶されている振幅及び位相のデータに基づいて、中間転写ベルト10上での各色トナー像間の転写位置ずれが小さくなるような、各色トナー像を中間転写ベルト10上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミング(転写タイミング)の設定情報(転写位置ずれ値)を決定する設定情報決定手段としての転写位置ずれ演算部607も有している。そして、本複写機は、転写位置ずれ演算部607が決定した各転写位置ずれ値に従って、上記中間転写ベルト10上に各色トナー像を形成すべく、各感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kに対して静電潜像の書き込みを行い、転写タイミングを制御する。これにより、上述したように、ベルトPLD変動によるベルト移動速度の変動成分(交流成分)の振幅及び位相のデータから、ベルト周方向のベルトPLD変動によるベルト速度変動を高精度に認識することが可能である。そして、認識したベルト速度変動に基づき、各色トナー像ごとに、露光装置21による書き込みタイミングを調節することで、色ずれやバンディング等の画質低下を抑制することができる。
なお、本出願人は、特願2004−296971号において、上記実施形態で説明した方法と同様の方法で、ベルトPLD変動によるベルト速度変動を認識する方法を提案した。しかし、この先願に記載の方法では、高精度に認識したベルト速度変動に基づいて、そのベルト速度変動が小さくなるようにフィードバック制御目標値を導出し、そのフィードバック制御目標値を用いて駆動ローラを駆動制御するようにしている。このフィードバック制御目標値は、駆動ローラの駆動源となるモータのコントローラ(PLL制御系など)における駆動補正処理に用いられ、ベルトPLD変動に対する駆動ローラの回転角速度変動率に相当するものである。上記先願に記載の方法では、ベルトの速度変動を高精度に認識できることから、非常に小さいフィードバック制御目標値を導出できる。具体例を挙げれば、従動ローラの半径が16[mm]、ベルト平均厚みが100[μm]、ベルトの厚みムラが±10[μm]である場合、その厚みムラによりPLDが変動し、ベルト速度変動に対応した駆動ローラの回転角速度変化率、すなわち、フィードバック制御目標値は、±0.16[%]となる。このような非常に小さいフィードバック制御目標値を用いて駆動ローラを駆動制御するためには、高精度な信号発振回路や高分解能なモータ回転制御系が必要となり、構成が非常に高価になる。これに対し、本実施形態は、高精度に認識したベルト速度変動に基づき、露光装置21等の画像形成手段(補正手段)によって、画像形成タイミング(書き込みタイミング)などを制御する。一般に、この制御は、駆動ローラを駆動制御する場合に比べて安価な構成で細かい制御が可能である。したがって、本実施形態によれば、高精度で認識したベルト速度変動による色ずれやバンディングを、安価な構成で抑制することができる。
また、上述したように、本発明は、潜像担持体としての無端状ベルト(感光体ベルト)上に順次複数の画像を形成する画像形成手段と、その感光体ベルト上に形成された各色トナー像を互いに重なり合うように被転写体としての中間転写体又は記録材上に順次転写する転写手段とを有する画像形成装置においても、同様の効果を発揮し得る。
また、上述したように、本発明は、潜像担持体としての複数の無端状ベルト(感光体ベルト)上に、各色トナー像をそれぞれを形成する画像形成手段と、これらの複数の感光体ベルト上に形成された各色トナー像を互いに重ね合わせて被転写体としての中間転写体又は記録材上に転写する転写手段とを有する画像形成装置においても、同様の効果を発揮し得る。
また、本実施形態の複写機は、中間転写ベルト10上に設けられた基準マーク613と、その中間転写ベルト10の無端移動に伴って移動する基準マーク613の移動経路と対向する位置に固定配置され、その基準マーク613を検知する基準マーク検知手段としてのセンサ612とを有している。そして、上記周期変動サンプル部805は、上記モータ17からの回転駆動力により中間転写ベルト10を駆動したときのセンサ612の検知結果(ホームポジション信号)を基準にした上記振幅及び上記位相のデータを上記メモリに記憶し、上記画像形成部18は、そのホームポジション信号を基準に、上記各転写位置ずれ値に従って画像形成を行う。これにより、中間転写ベルト10のPLD変動の位相(無端移動位置)と各転写位置ずれ値との同期が可能となり、正確な転写タイミングの制御が可能となる。
また、本実施形態の複写機において、上記比較器804は、上記差分データから、上記中間転写ベルト10の一周期と同じ周期をもつベルト速度変動成分の基本波成分とその高調波成分とをそれぞれ抽出し、上記転写位置ずれ演算部607は、上記メモリに記憶されているベルト速度変動成分の基本波成分及びその高調波成分の振幅及び位相に基づいて上記各転写位置ずれ値を決定する。中間転写ベルト10PLD変動の分布は、ベルト一周に一周期(山と谷が1つずつ)とは限らず、ベルト一周に二周期、三周期といったPLD変動分布がある場合もある。よって、高調波成分として、二周期成分、三周期成分についての振幅と位相のデータも得ることで、様々なPLD変動分布をもつ中間転写ベルト10の速度変動に対応することができる。特に、上記高調波成分を、上記基本波成分の10倍未満の高調波成分に制限すれば、ロータリエンコーダの分解能やAD変換時に発生するノイズ成分(中間転写ベルト10の回転周期に対して10倍以上の高周波成分)を除去して、より高精度に転写位置ずれ値を決定することができる。
また、本実施形態の複写機において、上記転写位置ずれ演算部607は、上記2つの支持ローラ14,15のうちの一方の支持ローラの半径Rと、該一方の支持ローラに接触している中間転写ベルト10の接触部分の移動速度の基準となるベルトピッチ線距離PLDの平均値との和(R+PLDave)と、他方の支持ローラの半径Rと、該他方の支持ローラに接触している中間転写ベルト10の接触部分の移動速度の基準となるベルトピッチ線距離PLDの平均値との和(R+PLDave)と、該一方の支持ローラに接触している中間転写ベルト10の接触部分の中央から該他方の支持ローラに接触している中間転写ベルト10の接触部分の中央までの中間転写ベルト10の移動時間τを考慮して、上記メモリに記憶されている振幅及び位相のデータを処理し、処理後の振幅及び位相のデータに基づいて上記各転写位置ずれ値を決定する。これにより、より正確な転写位置ずれ量を算出できることが可能となる。
また、本実施形態の複写機において、ロータリエンコーダで検出する回転角変位又は回転角速度は、所定のタイミングでロータリエンコーダが画像形成時に検出したものであり、上記周期変動サンプル部805は、上記メモリに記憶されている振幅及び位相のデータを、上記比較器804が抽出したベルト速度変動成分の振幅及び位相のデータによって更新する。これにより、画像形成時においても、2つの支持ローラ14,15についての上記差分データからベルト速度変動成分の振幅と位相のデータを得て、新たな転写位置ずれ値を算出することができる。よって、ベルト速度変動成分を取得するための特別な動作(テスト動作など)が必要なくなる。したがって、画像形成しながら、環境変化や経時変化により中間転写ベルト10PLD変動分布が変化して転写位置ずれ量に変動が生じても、これに対応することができる。
また、本実施形態の複写機において、上記比較器804は、上記差分データから、上記中間転写ベルト10の複数周期分のベルト速度変動成分をそれぞれ抽出し、上記転写位置ずれ演算部607は、上記メモリに記憶されている複数周期分のベルト速度変動成分の振幅及び位相のデータに基づいて上記各転写位置ずれ値を決定する。2つの支持ローラ14,15についての差分データには、中間転写ベルト10と支持ローラとの間のスリップによるランダムな変動成分やノイズ成分が含まれる。複数周期分の差分データから上記中間転写ベルト10の一周期の変動成分の振幅と位相のデータを得ることで、これらに起因するベルト速度変動成分を減少させ、中間転写ベルト10のPLD変動によるベルト速度変動成分を強調することができる。これにより、より高精度な転写位置ずれ値の算出が可能となる。
また、本実施形態の複写機は、上記比較器804が抽出したベルト速度変動成分から、上記2つの支持ローラ14,15のうちの少なくとも一方の回転周期と同じ周期をもつベルト速度変動成分を除去する支持回転体回転周期成分除去手段としてのFilter2(902)を有している。そして、上記周期変動サンプル部805は、このFilter2(902)による除去後のベルト速度変動成分の振幅及び位相のデータを上記メモリに記憶する。これにより、駆動ローラ14やその伝達機構18の回転体18a、18b、従動ローラ15の偏心により発生する周期変動を除去して、より高精度な転写位置ずれ値の算出が可能となる。
また、本実施形態の複写機において、上記2つの支持ローラ14,15のうちの一方の支持ローラに接触している中間転写ベルト10の接触部分の中央から他方の支持ローラに接触している中間転写ベルト10の接触部分の中央までのベルト移動距離は、中間転写ベルト10の半周期に対応する長さに設定されている。これは、上記2つの支持ローラ14,15の位置関係が中間転写ベルト10のベルト移動経路上において互いに最も離れた位置関係とすることと同じである。これにより、2つの支持ローラ14,15の位置関係を中間転写ベルト10の半周期πに相当する位置関係とすることができ、中間転写ベルト10のPLD変動によるベルト速度変動成分を最も感度よく取得することができる。その結果、より高精度な転写位置ずれ値の算出が可能となる。なお、中間転写ベルト10PLD変動による回転変動成分を最も感度よく取得することができるため、より高精度な転写位置ずれ値の算出が可能となる。
また、本実施形態の複写機においては、上記2つの支持ローラ14,15の半径が互いに等しく、かつ、これらの支持ローラ14,15に接触している中間転写ベルト10の接触部分のベルト移動距離が等しい。これにより、上記2つの支持ローラ14,15のローラ実効半径が同一となるため、変換係数等の演算工程が簡略化される。また、2つの支持ローラ14,15間におけるベルト実効係数κの比が1となるので、ベルト実効係数κを2つの支持ローラ14,15でそれぞれ正確に把握する必要がなくなり、より高精度な転写位置ずれ値の算出が可能となる。
また、本実施形態の複写機において、上記モータ17は、駆動信号に応じて所定の回転角変位又は回転角速度で回転駆動するモータをステッピングモータ又はDCサーボモータであり、上記2つの支持ローラ14,15として、このモータ17からの回転駆動力の中間転写ベルト10への伝達に寄与しない従動ローラ15と、このモータ17からの回転駆動力が伝達される駆動ローラ14とを用いる。そして、上記比較器804は、上記ロータリエンコーダが検出した従動ローラ15の回転角変位又は回転角速度と、このモータ17に入力される駆動信号から得られる駆動ローラ14の回転角変位又は回転角速度との差分データから、上記ベルト速度変動成分を抽出する。モータ17がステッピングモータ又はDCサーボモータであれば、駆動信号から駆動ローラ14の回転角変位又は回転角速度を推定することができる。そのため、ロータリエンコーダは、従動ローラ14に対してだけ設ければよく、低コスト化を図ることができる。
なお、上述したように、上記2つの支持ローラとして2つの従動ローラを用い、上記比較器804が、これらの従動ローラに対して設けられたロータリエンコーダが検出したこれらの2つの従動ローラの回転角変位又は回転角速度の差分データから、上記ベルト速度変動成分を抽出するようにしてもよい。これにより、上記2つの支持ローラの中に駆動ローラ14が含まれている場合に比べて、駆動ローラ14と中間転写ベルト10との間のスリップの影響が少なくなり、より高精度にベルト速度変動成分を抽出することができる。
また、本実施形態の複写機は、上記ロータリエンコーダの検出結果に基づいて上記モータ17の駆動制御を行う駆動制御手段としてのベルト駆動制御装置を備えている。具体的には、このベルト駆動装置は、従動ローラ14の回転角速度又は回転角変位が一定になるようにモータ17の駆動をフィードバック制御する。これにより、中間転写ベルト10の駆動時に発生する駆動伝達機構に起因する速度変動(歯車や駆動ローラ14の偏心によるもの)や、スリップによる速度変動を抑制して、中間転写ベルト10を駆動することができる。よって、感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kとの相対速度変動が抑えられ、高品質な画像形成が可能となる。そして、中間転写ベルト10のPLD変動によるベルト速度変動については転写タイミングの補正により対応するため、色ずれやバンディング等の画質劣化は抑制される。
また、上述したように、上記ロータリエンコーダを当該複写機に対して着脱可能に構成してもよい。中間転写ベルト10のPLD変動は、ベルト1つ1つについて固有のものであり、また、環境変化や経時変化によりPLD変動が変わらないような中間転写ベルト10を生成することも可能である。よって、このような中間転写ベルト10であれば、1つのベルトについて1回だけ転写位置ずれ値の算出を行えば十分である。このような場合、ロータリエンコーダを1回だけしか使用されないので、ロータリエンコーダを個々の複写機に個別に設けずとも、ロータリエンコーダを着脱可能にすることで、複数の複写機に対してロータリエンコーダを使い回せばよい。このようにすれば、当該複写機の部品コストを抑えることができる。
なお、本実施形態では、色ズレを抑制するために転写位置ずれを補正する方法について説明したが、画像転写中に中間転写ベルト10移動速度が速くなったり遅くなったりすることにより各色トナー像が延びたり縮んだりして発生するバンディングを抑制することも可能である。この場合、上述した中間転写ベルト10速度変動に応じて画像形成速度プロファイルを生成し、その画像形成速度プロファイルに応じて、各感光体ドラム40Y、40M、40C、40K上の静電潜像中に延びたり縮んだりする部分がなくなるように、露光装置21の書き込み制御を行う。
本実施形態係る複写機の一例を示す概略構成図。 同複写機が有する中間転写中間転写ベルト10の主要部を示す断面模式図。 同中間転写中間転写ベルト10の主要部を示す斜視模式図。 同中間転写中間転写ベルト10の周方向における中間転写ベルト10厚み変動(中間転写ベルト10厚み偏差分布)の一例を示すグラフ。 同中間転写中間転写ベルト10が掛け渡された駆動ローラに巻き付いた中間転写ベルト10部分を、その駆動ローラ軸方向から見たときの拡大図。 本発明に係る中間転写ベルト10駆動制御方法の基本的な原理を説明するための説明図。 同中間転写中間転写ベルト10の駆動制御装置を示すのブロック図。 同駆動制御装置に設けられる中間転写ベルト10変動検出部のブロック図。 同中間転写ベルト10変動検出部を構成する中間転写ベルト10変動検出部の他の例を示すブロック図。 同中間転写ベルト10変動検出部のフィルタ部を通過した後の中間転写ベルト10変動成分の一例を示すグラフ。 転写位置ずれ量を演算した結果を示すグラフ。 転写タイミングの補正量を示すグラフ。 同複写機が有する露光装置の構成を示す説明図。 同露光装置の非平行平板の支持部における斜視図。 同非平行平板に代えて液晶偏向素子を用いた他の例を示す説明図。 各用紙における単色画像の転写位置ずれ量を点線で区分けして示した説明図。 電子写真方式による直接転写方式のタンデム型画像形成装置の一例を示す概略構成図。 電子写真方式による中間転写方式のタンデム型画像形成装置の一例を示す概略構成図。
符号の説明
10 中間転写中間転写ベルト10
14 従動ローラ
15 駆動ローラ
17 モータ
18 画像形成部
21 露光装置
40Y,40M,40C,40K 感光体ドラム
117,118,119 非並行平板
210 搬送中間転写ベルト10
607 転写位置ずれ演算部
608 中間転写ベルト10変動検出部
804 比較器
805 周期変動サンプル部
806 変動振幅・位相検出部
809 中間転写ベルト10変動検出部
900 フィルタ部

Claims (12)

  1. 駆動支持回転体及び従動支持回転体を含む複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    複数色のインクをそれぞれ吐出する吐出口を備えた各ヘッド部から該ベルトが担持搬送する記録材上に各色インクを吐出することにより、各色インクによる複数の画像が互いに重なり合った重ね画像を該記録材上に形成する画像形成手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第1ロータリーエンコーダ、及び、上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第2ロータリーエンコーダからなる検出手段と、
    上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の差分データから、上記ベルトの速度変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出する抽出手段と、
    該ベルト速度変動の少なくとも一周期分に相当する該抽出手段が抽出した交流成分の振幅及び位相のデータを上記記憶手段に記憶するデータ処理手段と、
    該記憶手段に記憶されている振幅及び位相のデータに基づいて、上記記録材上での上記複数の画像間の位置ずれが小さくなるような、各ヘッド部からの吐出タイミングの設定情報を決定する設定情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、該設定情報決定手段が決定した各設定情報に従って、上記記録材上に上記複数の画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    上記ベルト上に設けられた基準マークと、
    該ベルトの無端移動に伴って移動する該基準マークの移動経路と対向する位置に固定配置され、該基準マークを検知する基準マーク検知手段とを有し、
    上記データ処理手段は、上記駆動源からの回転駆動力により該ベルトを駆動したときの該基準マーク検知手段の検知結果を基準にした上記振幅及び上記位相のデータを上記記憶手段に記憶し、
    上記画像形成手段は、該基準マーク検知手段の検知結果を基準に、上記各設定情報に従って画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2の画像形成装置において、
    上記抽出手段は、上記差分データから、上記ベルトの一周期と同じ周期をもつ上記交流成分の基本波成分とその高調波成分とをそれぞれ抽出し、
    上記設定情報決定手段は、上記記憶手段に記憶された該交流成分の基本波成分及びその高調波成分の振幅及び位相に基づいて上記各設定情報を決定することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3の画像形成装置において、
    上記高調波成分は、上記基本波成分の10倍未満の高調波成分であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記設定情報決定手段は、上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体のうちの一方の支持回転体の半径と、該一方の支持回転体表面からこれに接触している上記ベルトの接触部分の移動速度の基準となるピッチ線までの距離との和、他方の支持回転体の半径と、該他方の支持回転体表面からこれに接触している該ベルトの接触部分の移動速度の基準となるピッチ線までの距離との和、及び、該一方の支持回転体に接触している該ベルトの接触部分の中央から該他方の支持回転体に接触している該ベルトの接触部分の中央までの該ベルトの移動時間を考慮して、上記記憶手段に記憶されている振幅及び位相のデータを処理し、処理後の振幅及び位相のデータに基づいて上記各設定情報を決定することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度は、所定のタイミングで上記検出手段が画像形成時に検出したものであり、
    上記データ処理手段は、上記記憶手段に記憶されている振幅及び位相のデータを、上記抽出手段が抽出した交流成分の振幅及び位相のデータによって更新することを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記抽出手段は、上記差分データから上記ベルトの複数周期分の上記交流成分を抽出し、
    上記設定情報決定手段は、上記記憶手段に記憶されている複数周期分の交流成分の振幅及び位相のデータに基づいて上記各設定情報を決定することを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記抽出手段が抽出した上記交流成分から、上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体うちの少なくとも一方の回転周期と同じ周期をもつ交流成分を除去する支持回転体回転周期成分除去手段を有し、
    上記データ処理手段は、該支持回転体回転周期成分除去手段による除去後の交流成分の振幅及び位相のデータを上記記憶手段に記憶することを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体のうちの一方の支持回転体に接触している上記ベルトの接触部分の中央から他方の支持回転体に接触している該ベルトの接触部分の中央までの該ベルトの移動距離は、上記ベルトの半周期に対応する長さであることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記駆動支持回転体及び上記従動支持回転体の半径が互いに等しく、かつ、該駆動支持回転体及び該従動支持回転体に接触している上記ベルトの接触部分のベルト移動距離が等しいことを特徴とする画像形成装置
  11. 求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記検出手段の検出結果に基づいて上記駆動源の駆動制御を行う駆動制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記検出手段を当該画像形成装置に対して着脱可能に構成したことを特徴とする画像形成装置。
JP2005039420A 2005-02-16 2005-02-16 画像形成装置 Expired - Fee Related JP4597697B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005039420A JP4597697B2 (ja) 2005-02-16 2005-02-16 画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005039420A JP4597697B2 (ja) 2005-02-16 2005-02-16 画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006227192A JP2006227192A (ja) 2006-08-31
JP4597697B2 true JP4597697B2 (ja) 2010-12-15

Family

ID=36988630

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005039420A Expired - Fee Related JP4597697B2 (ja) 2005-02-16 2005-02-16 画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4597697B2 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7444101B2 (en) * 2006-10-16 2008-10-28 Xerox Corporation Systems and methods for improving belt motion and color registration in an image forming device
KR20080067937A (ko) 2007-01-17 2008-07-22 삼성전자주식회사 화상형성장치 및 그 잉크분사방법
JP5074068B2 (ja) * 2007-03-27 2012-11-14 株式会社リコー 画像形成装置
JP5081544B2 (ja) * 2007-09-06 2012-11-28 株式会社リコー 画像形成装置
JP5050760B2 (ja) * 2007-10-02 2012-10-17 ブラザー工業株式会社 記録装置
JP4975163B2 (ja) 2008-03-13 2012-07-11 理想科学工業株式会社 印刷装置及びその吐出制御方法
JP5234412B2 (ja) * 2008-04-08 2013-07-10 株式会社リコー ベルト駆動装置及び画像形成装置
JP5347352B2 (ja) * 2008-07-08 2013-11-20 株式会社リコー 画像形成装置
JP5152662B2 (ja) * 2008-08-29 2013-02-27 株式会社リコー 画像形成装置
JP5208053B2 (ja) * 2009-03-09 2013-06-12 キヤノン株式会社 画像形成装置
JP5390893B2 (ja) * 2009-03-11 2014-01-15 理想科学工業株式会社 印刷装置及びその吐出制御方法
JP5560137B2 (ja) * 2009-08-19 2014-07-23 株式会社東芝 画像形成装置
US8162428B2 (en) * 2009-09-17 2012-04-24 Xerox Corporation System and method for compensating runout errors in a moving web printing system
JP5568333B2 (ja) * 2010-02-24 2014-08-06 理想科学工業株式会社 画像記録装置
JP5628565B2 (ja) * 2010-06-18 2014-11-19 理想科学工業株式会社 印刷装置
US8434847B2 (en) * 2011-08-02 2013-05-07 Xerox Corporation System and method for dynamic stretch reflex printing
JP6095402B2 (ja) * 2013-02-19 2017-03-15 キヤノン株式会社 画像形成装置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0524186A (ja) * 1991-03-22 1993-02-02 Canon Inc 画像記録装置及び記録装置用搬送制御装置
JPH05289457A (ja) * 1990-08-10 1993-11-05 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2000056536A (ja) * 1998-08-10 2000-02-25 Ricoh Co Ltd カラー画像形成装置
JP2000305340A (ja) * 1999-04-19 2000-11-02 Ricoh Co Ltd カラー画像形成装置
JP2005003920A (ja) * 2003-06-11 2005-01-06 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05289457A (ja) * 1990-08-10 1993-11-05 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JPH0524186A (ja) * 1991-03-22 1993-02-02 Canon Inc 画像記録装置及び記録装置用搬送制御装置
JP2000056536A (ja) * 1998-08-10 2000-02-25 Ricoh Co Ltd カラー画像形成装置
JP2000305340A (ja) * 1999-04-19 2000-11-02 Ricoh Co Ltd カラー画像形成装置
JP2005003920A (ja) * 2003-06-11 2005-01-06 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006227192A (ja) 2006-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4597697B2 (ja) 画像形成装置
JP4391898B2 (ja) ベルト駆動制御装置、ベルト装置及び画像形成装置
US6996357B2 (en) Belt drive control device and image forming apparatus including the same
EP1424609A2 (en) Color shift correcting method, optical writing device and image forming apparatus
US7885587B2 (en) Image forming apparatus with color shift correction suppressing periodic fluctuations of a surface moving speed of a latent image support
US20060110189A1 (en) Apparatus for controlling driving of endless belt, and image forming apparatus
US20060133873A1 (en) Belt drive controlling method, belt drive controlling apparatus, belt apparatus, image forming apparatus, and computer product
JP2006154739A (ja) ベルト駆動制御方法、ベルト駆動制御装置及び画像形成装置
JP4980733B2 (ja) 画像形成装置
CN101105662A (zh) 图像形成装置
JP2003057914A (ja) 画像形成装置
JP4455978B2 (ja) マーク検出装置と駆動制御装置とベルト駆動装置と画像形成装置
JP4667819B2 (ja) ベルト駆動制御装置、ベルト装置及び画像形成装置
JP5095569B2 (ja) 光走査装置及び画像形成装置
JP4846277B2 (ja) 画像形成装置
JP2005345359A (ja) 走行体マークセンサ、回転体駆動装置及び画像形成装置
JP4386401B2 (ja) 画像形成装置
JP5039433B2 (ja) 画像形成装置
JP2008070801A (ja) 画像形成装置
JP4632703B2 (ja) 画像形成装置
JP4965399B2 (ja) 画像形成装置
JP2011145461A (ja) 画像形成装置
JPH0899437A (ja) 画像形成装置
JP2008129057A (ja) ベルト移動装置及び画像形成装置
JPH05119571A (ja) カラー画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100423

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100621

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100910

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100922

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4597697

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees