JP4846277B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、無端状のベルト上又はそのベルトが担持搬送する記録材上に複数の画像を互いに重なり合うように形成して重ね画像を形成する画像形成装置に関するものである。
従来、この種の画像形成装置としては、感光体ベルト、中間転写ベルト、紙搬送ベルト等のベルトを用いるものがある。このような画像形成装置においては、そのベルトの高精度な駆動制御が高品位な画像を得るために必須である。特に画像形成速度に優れ且つ小型化に適した直接転写方式のタンデム型画像形成装置では、記録材である記録用紙を搬送する搬送ベルトの高精度な駆動制御が要求される。この画像形成装置では、搬送ベルトを用いて記録用紙を搬送し、その搬送方向に沿って配置された互いに異なる単色の画像を形成する複数の画像形成部を順次通過させる。これにより、記録用紙上に各単色画像を重ね合わせて形成しカラー画像を得ることができる。
図17は、電子写真方式による直接転写方式のタンデム型画像形成装置の一例を示すものである。この画像形成装置では、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各単色画像を形成する画像形成部18Y,18M,18C,18Kが記録用紙の搬送方向に順次配置される。そして、図示しないレーザ露光ユニットにより各感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された静電潜像が各画像形成部18Y,18M,18C,18Kで現像されることによりトナー像(顕像)が形成される。そして、静電力により搬送ベルト210に付着されて搬送される図示しない記録用紙上に順次重ね合わされて転写された後、定着装置25によってトナーが溶融圧着されることにより、記録用紙上にカラー画像が形成される。搬送ベルト210は、互いに平行に配置された駆動ローラ215及び従動ローラ214に適当なテンションで掛け渡される。駆動ローラ215は、図示しない駆動モータによって所定の回転速度で回転駆動され、それに伴い搬送ベルト210も所定の速度で無端移動する。記録用紙は給紙機構によって所定のタイミングで搬送ベルト210の画像形成部18Y,18M,18C,18K側に供給され、搬送ベルト210の移動速度と同一速度で移動して搬送されることにより、各画像形成部を順次通過する。
このような画像形成装置では、記録用紙の移動速度、つまり搬送ベルト210の移動速度が一定速度に維持されないと、色ズレが発生する。この色ズレは、記録用紙上で重ね合わせられる各単色画像の転写位置が相対的にズレることによって発生する。色ズレが発生すると、例えば、複数色の画像が重なって形成された細線画像がにじんで見えたり、複数色の画像が重なって形成された背景画像中に形成される黒の文字画像の輪郭周辺に白抜けが発生したりする。
図18は、電子写真方式による中間転写方式のタンデム型画像形成装置の一例を示すものである。この画像形成装置では、各画像形成部18Y,18M,18C,18Kの感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された各単色画像を、一旦中間転写ベルト10上に順次重なり合うように転写した後、これを記録用紙上に一括転写する。この装置においても、中間転写ベルト10の移動速度が一定速度に維持されないと、同様に色ズレが発生する。
また、上述したタンデム型の画像形成装置に限らず、記録材を搬送する記録材搬送部材や、その記録材に転写される画像を担持する感光体や中間転写体等の像担持体として、ベルトを用いた画像形成装置においては、そのベルトの移動速度が一定速度に維持されないとバンディングが発生する。このバンディングは、画像転写中にベルト移動速度が速くなったり遅くなったりすることにより発生する画像濃度ムラである。すなわち、ベルト移動速度が相対的に速い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。これにより、引き延ばされた画像部分は濃度が薄くなり、縮小された画像部分は濃度が濃くなる。その結果、ベルト周方向に画像濃度ムラが発生し、バンディングが生じる。このバンディングは、淡い単色画像を形成する場合には人間の目に顕著に感じ取られる。
図19は、単層ベルトについて、駆動ローラに巻き付いたベルト部分をその駆動ローラの軸方向から見たときの拡大図である。
ベルトの移動速度は、様々な原因によって変動するが、その原因の中に、ベルト周方向におけるベルト厚みムラによるピッチ線距離(以下、「PLD(Pitch Line Distance)」という。)の変動がある。この「PLD」とは、ローラ表面からベルトピッチ線までの距離をいう。また、「ベルトピッチ線」とは、ベルトを駆動させたときに、ベルト周方向へ伸縮することがないベルト厚み方向における位置をベルト一周にわたって結んだ線をいう。このようなPLD変動は、例えば、円筒金型を用いて遠心焼成方式で作成された単層ベルトにみられるベルト周方向にわたる肉厚の偏りによって生じる。このようなPLD変動がベルトに存在すると、ベルトを駆動する駆動ローラ上にPLDの長い部分が巻き付いているときにはベルト移動速度が速くなり、反対にPLDの短い部分が巻き付いているときにはベルト移動速度が遅くなる。そのため、ベルト移動速度に変動が生じる。以下、その理由について、具体的に説明する。
上記PLDは、下記の数1に示す式によって求めることができる。
Figure 0004846277
上記数1に示す式中の「PLDave」は、ベルト1周にわたるPLDの平均値であり、例えば平均厚みが100[μm]の単層ベルトの場合、PLDaveは50[μm]となる。また、「f(d)」は、ベルト1周にわたるPLDの変動を示す関数である。ここでの「d」とは、ベルト周上の基準となる地点からの位置(ベルト1周を2πとしたときの位相)を示す。f(d)は、ベルト厚みムラと高い相関を持ち、ベルト1周を周期とする周期関数である。ベルト周方向においてPLDが変動していると、駆動ローラの回転角速度又は回転角変位に対するベルト移動速度又はベルト移動距離、あるいは、ベルト移動速度又はベルト移動距離に対する従動ローラの回転角速度又は回転角変位が変動することになる。
ベルト移動速度Vと駆動ローラ105の回転角速度ωとの関係は、下記の数2に示す式で表される。この式中の「r」は、駆動ローラ105の半径である。また、PLDの変動を示すf(d)がベルトの移動速度又はベルト移動距離とローラの回転角速度又は回転角変位との関係に影響する度合いは、ローラに対するベルトの接触状態や巻付き量によって変化する場合がある。この影響度をPLD変動実効係数κで表す。
Figure 0004846277
以下、本明細書において、上記数2に示す式中{ }内を換算ローラ半径といい、その定常部分(r+PLDave)をローラ実効半径Rとする。そして、f(d)をPLD変動という。
上記数2に示した式から、PLD変動f(d)が存在することにより、ベルト移動速度Vと駆動ローラ105の回転角速度ωとの関係が変化することが分かる。すなわち、駆動ローラ105が一定の回転角速度(ω=一定)で回転していても、ベルト103の移動速度VはPLD変動f(d)により変化する。ここで、PLDaveよりも長いPLDをもつベルト部分が駆動ローラ105に巻き付いている時には、そのPLD変動f(d)が正の値をとり、換算ローラ半径が増加する。そのため、その駆動ローラ105が一定の回転角速度(ω=一定)で回転していても、ベルト移動速度Vは増加する。逆に、PLDaveよりも短いPLDをもつベルト部分が駆動ローラ105に巻き付いている時には、PLD変動f(d)が負の値をとり、換算ローラ半径が減少する。そのため、その駆動ローラ105が一定の回転角速度(ω=一定)で回転していても、ベルト移動速度Vは減少する。
したがって、駆動ローラ105の回転角速度ωを一定にしても、PLD変動f(d)によりベルト103の移動速度は一定にならない。そのため、駆動ローラ105の回転角速度ωだけからベルト103の駆動を制御しようとしても、ベルト103を所望の移動速度で駆動させることはできない。
また、ベルト移動速度Vと従動ローラの回転角速度との関係も、上述したベルト移動速度Vと駆動ローラ105の回転角速度ωとの関係と同様である。すなわち、従動ローラの回転角速度を回転型エンコーダ等により検出し、その検出した回転角速度からベルト移動速度Vを求める場合も、上記数2に示す式を用いることができる。よって、PLDaveよりも長いPLDをもつベルト部分が従動ローラに巻き付いている時には、上記駆動ローラ105の場合と同様に、PLD変動f(d)が正の値をとり、換算ローラ半径が増加する。そのため、ベルト103が一定の移動速度(V=一定)で移動していても、従動ローラの回転角速度は減少する。逆に、PLDaveよりも短いPLDをもつベルト部分が従動ローラに巻き付いている時には、PLD変動f(d)が負の値をとり、換算ローラ半径が減少する。そのため、ベルト103が一定の移動速度で移動していても、従動ローラの回転角速度は増加する。
したがって、ベルト103の移動速度が一定であっても、PLD変動f(d)により従動ローラの回転角速度は一定とならない。そのため、従動ローラの回転角速度だけからベルト103の駆動を制御しようとしても、ベルト103を所望の移動速度で駆動させることはできない。
このようなベルト速度変動による転写位置ズレを抑制し得るものとして、従来、特許文献1や特許文献2に記載されたものが知られている。
上記特許文献1には、PLD変動がベルト1周にわたりサイン波で発生しやすい遠心成形法で形成されたベルトを装置本体へ組込む前に、製造工程で予めベルト全周における厚みプロファイル(ベルト厚みムラ)を測定し、そのデータをフラッシュROMに記憶させる画像形成装置が開示されている。この画像形成装置においては、その全周の厚みプロファイルデータと実際のベルト厚みムラとの位相を合わせるための基準位置となる基準マークをベルト上に設け、これを基準にして、ベルト速度変動による転写位置ズレが生じないように露光開始タイミングを変える。
また、特許文献2に記載の画像形成装置は、複数の画像ステーションにより中間転写ベルト上にレジストパターンをそれぞれ形成し、これらのレジストパターンを検出して中間転写ベルト上の各レジストパターンの位置ズレ情報を取得する。そして、その位置ズレ情報から位置ズレ量の平均値を算出する。これにより、複数の画像ステーションでそれぞれ形成されたトナー画像間の位置ズレの平均値が最小になるように、各画像ステーションに対する露光手段の画像形成タイミングを調整する。
特開2000−356875号公報 特開2002−91118号公報
ところが、上記特許文献1に記載された画像形成装置においては、ベルト製造段階においてベルト厚みムラを計測する計測工程が必要となり、またその計測工程において高精度なベルト厚み計測器が必要となる。そのため、製造コストが大幅に増大してしまうという問題がある。また、ベルトを新しいものに交換する際には、その新しいベルト固有の厚みプロファイルデータを装置へ入力する作業が必要となるという問題もある。
また、上記特許文献2に記載された画像形成装置においては、ベルト移動速度の変動を検出するのに、少なくともベルト1周分のレジストパターンをベルト上に形成する必要がある。そのため、このレジストパターンの形成のために多くのトナーを消費してしまうという問題がある。特に、ベルト移動速度の変動をより高い精度で検出するために、ベルト複数周分のベルト移動速度の変動情報の平均値をベルト移動速度の変動として把握する場合には、ベルト複数周分の検出用パターンを形成する必要があり、トナー消費の問題はより深刻なものとなる。
また、本出願人は、特願2005−39420号(以下、「先願」という。)において、これらの問題を解決し得る画像形成装置を提案した。この画像形成装置では、複数の画像が互いに重なり合うように形成されるベルト又は記録材を担持搬送するベルトが掛け渡された2つの支持回転体の回転角変位又は回転角速度の差分データから、周期的なベルト厚み変動に対応した周波数を有する、その回転角変位又は回転角速度の交流成分を抽出する。ここでいう「ベルト厚み変動」とは、ベルト駆動制御装置に搭載され駆動されている状態で、ベルト移動経路上の任意の地点に着目した場合の当該地点におけるベルト厚みの時間変化を示すものである。この抽出した交流成分の振幅及び位相は、周期的なベルト厚み変動の振幅及び位相に対応している。そこで、上記先願の画像形成装置では、この交流成分の振幅及び位相に基づいて、上記ベルト上又は上記記録材上での複数の画像間の位置ズレが小さくなるような、当該複数の画像についての各画像形成タイミング若しくは画像形成速度プロファイル又はその両方の設定情報を決定する。そして、決定した複数の画像についての各設定情報に従って、ベルト上又は記録材上に当該複数の画像を形成する。この画像形成装置によれば、周期的なベルト厚み変動によってベルト移動速度の変動が生じても、各画像形成タイミングや画像形成速度プロファイルを変更して、この変動による複数画像間の位置ズレを少なくすることができる。しかも、ベルト製造段階においてベルト厚みムラを計測する計測工程が必要ないので、上記特許文献1の装置のように製造コストが増大するということはない。また、ベルトを新しいものに交換する際に厚みプロファイルデータを装置へ入力するという作業も必要ない。加えて、上記特許文献2の装置のようにレジストパターンを形成する必要がないため、ベルト駆動制御のためにトナーを消費することもない。
しかし、上記先願で提案したベルト駆動制御装置では、ベルト厚み変動をsin関数(cos関数)の周期関数に近似するので、ベルト厚み変動がベルト1周にわたってどのように発生しているかを予め知っておく必要がある。具体的には、例えば、ベルト厚み変動に含まれる周波数成分が、ベルトが1周する周期と同じ周期をもった基本周波数成分だけなのか、それともその高次周波数成分も含まれているのかなどを、予め知っておく必要がある。そのため、ベルト厚み変動がベルト1周にわたってどのように発生しているかを把握するための試験等を事前に行う必要があるという不具合が生じる。また、つなぎ目を有するシームベルトのつなぎ目部分などは、他の部分に比べて厚くなっている場合が多く、部分的に突出したベルト厚み変動が生じることがある。このようなベルト厚み変動については、周期関数に近似することが難しく、その部分に制御誤差を含んでしまうという不具合もある。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、上記先願が解決した問題を解決し得るとともに、その先願に残された不具合を解消し得る画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、該ベルト上又は該ベルトが担持搬送する記録材上に複数の画像を互いに重なり合うようにそれぞれ所定の画像形成タイミングで形成して、該ベルト上又は該記録材上に重ね画像を形成する画像形成手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記複数の支持回転体のうち、ベルト移動方向に互いに近接配置され、かつ、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、上記検出手段が同一時刻に検出した上記2つの支持回転体の回転情報からそれぞれ求められる該2つの支持回転体の回転変動情報が互いに同位相であるとして求めた近似回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上又は上記記録材上に上記複数の画像をそれぞれ形成することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、該ベルト上に順次複数の画像を形成する画像形成手段と、該ベルト上に互いに重なり合うように形成された複数の画像を被転写体上に順次転写する転写手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記複数の支持回転体のうち、ベルト移動方向に互いに近接配置され、かつ、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、上記検出手段が同一時刻に検出した上記2つの支持回転体の回転情報からそれぞれ求められる該2つの支持回転体の回転変動情報が互いに同位相であるとして求めた近似回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状の複数のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、複数の画像の各々を該複数のベルト上に形成する画像形成手段と、該複数のベルト上に形成された複数の画像を互いに重ね合わせて被転写体上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記複数の支持回転体のうち、ベルト移動方向に互いに近接配置され、かつ、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、上記検出手段が同一時刻に検出した上記2つの支持回転体の回転情報からそれぞれ求められる該2つの支持回転体の回転変動情報が互いに同位相であるとして求めた近似回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、該複数の画像の各々を上記複数のベルト上に形成することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、該ベルト上又は該ベルトが担持搬送する記録材上に複数の画像を互いに重なり合うようにそれぞれ所定の画像形成タイミングで形成して、該ベルト上又は該記録材上に重ね画像を形成する画像形成手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体間の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを加算処理し、その処理結果について更に該加算処理を行うという処理をn(n≧1)回繰り返し行い、第n回目の加算処理時における該ゲインとして第1回目の加算処理時におけるゲインGを2 n-1 乗したものを使用し、かつ、第n回目の加算処理時における該遅延時間として該ベルト通過時間を2 n-1 倍したものを使用し、第n回目の加算処理後に得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、該ベルト上に順次複数の画像を形成する画像形成手段と、該ベルト上に互いに重なり合うように形成された複数の画像を被転写体上に順次転写する転写手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体間の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを加算処理し、その処理結果について更に該加算処理を行うという処理をn(n≧1)回繰り返し行い、第n回目の加算処理時における該ゲインとして第1回目の加算処理時におけるゲインGを2 n-1 乗したものを使用し、かつ、第n回目の加算処理時における該遅延時間として該ベルト通過時間を2 n-1 倍したものを使用し、第n回目の加算処理後に得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状の複数のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、複数の画像の各々を該複数のベルト上に形成する画像形成手段と、該複数のベルト上に形成された複数の画像を互いに重ね合わせて被転写体上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体間の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを加算処理し、その処理結果について更に該加算処理を行うという処理をn(n≧1)回繰り返し行い、第n回目の加算処理時における該ゲインとして第1回目の加算処理時におけるゲインGを2 n-1 乗したものを使用し、かつ、第n回目の加算処理時における該遅延時間として該ベルト通過時間を2 n-1 倍したものを使用し、第n回目の加算処理後に得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、該ベルト上又は該ベルトが担持搬送する記録材上に複数の画像を互いに重なり合うようにそれぞれ所定の画像形成タイミングで形成して、該ベルト上又は該記録材上に重ね画像を形成する画像形成手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを出力情報とし、該出力情報を帰還して該2つの回転変動情報に加算する処理を行って得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、該ベルト上に順次複数の画像を形成する画像形成手段と、該ベルト上に互いに重なり合うように形成された複数の画像を被転写体上に順次転写する転写手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを出力情報とし、該出力情報を帰還して該2つの回転変動情報に加算する処理を行って得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状の複数のベルトと、駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、複数の画像の各々を該複数のベルト上に形成する画像形成手段と、該複数のベルト上に形成された複数の画像を互いに重ね合わせて被転写体上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、記憶手段と、上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを出力情報とし、該出力情報を帰還して該2つの回転変動情報に加算する処理を行って得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記ベルトが1周するのに要する時間に相当する期間についての回転変動情報を記憶する変動情報記憶手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記補正情報決定手段は、上記補正情報を所定のタイミングで再び決定する処理を行うことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記画像形成手段は、上記補正情報決定手段が行う上記補正情報を決定するための処理と並行して、該補正情報決定手段が決定した各補正情報に従って画像形成を行うことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のベルト駆動制御装置において、少なくともベルト一周分の過去の回転変動情報を記憶する過去情報記憶手段を有し、上記画像形成手段は、該過去情報記憶手段に記憶された過去の回転変動情報と新たに求めた回転変動情報とから得られたものを用いて、画像形成を行うことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記駆動源は、駆動信号に応じて所定の回転角変位又は回転角速度で回転駆動するモータであり、上記2つの支持回転体として、該駆動源からの回転駆動力の上記ベルトへの伝達に寄与しない従動支持回転体と、該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体とを用い、上記補正情報決定手段は、上記検出手段が検出した該従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度と、該駆動源に入力される駆動信号から得られる該駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度とを、上記回転情報として用い、上記補正情報を決定することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記2つの支持回転体として、上記駆動源からの回転駆動力の上記ベルトへの伝達に寄与しない2つの従動支持回転体を用い、上記補正情報決定手段は、上記検出手段が検出した該2つの従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を上記回転情報として用いて上記補正情報を決定することを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記検出手段検出結果に基づいて上記駆動源の駆動制御を行う駆動制御手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記ベルトの基準ベルト移動位置を把握するために、該ベルト上の基準位置を示すマークを検知するマーク検知手段を有し、上記補正情報決定手段は、該マーク検知手段による検知タイミングを基準に上記回転情報を取得し、上記画像形成手段は、該マーク検知手段による検知タイミングを基準に該補正情報決定手段が決定した各補正情報に従って画像形成を行うことを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記補正情報決定手段は、ピッチ線距離の変動とベルト移動位置との関係情報を、予め把握している上記ベルトが1周するのに要する平均時間又は予め把握しているベルト周長に基づいて把握して上記補正情報を決定し、上記画像形成手段は、該補正情報決定手段が把握した上記関係情報及び該補正情報決定手段が決定した各補正情報に従って、画像形成を行うことを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記ベルトは、ベルト周方向の少なくとも1箇所につなぎ目を有するものであることを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記ベルトは、ベルト厚さ方向に複数の層を有するものであることを特徴とするものである。
本発明者らは、支持回転体の径の大きさの違いによって、ベルトを無端移動させたときに、支持回転体の回転角速度に発生するPLD変動成分が占める割合が異なることを見出した。つまり、同一のベルトについて2つの回転支持体が回転しているとき、それぞれの回転支持体の回転角速度変動として検出されるPLD変動分の大きさは、支持回転体の径の大きさの違いによって異なることを見いだした。これを利用すれば、径が異なる2つの支持回転体の回転角変位又は回転角速度から、PLD変動を特定することができる。したがって、これらの2つの支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果に基づいて、ベルトの周方向におけるPLD変動により生じるベルト移動速度の変動に起因した複数の画像間の位置ズレが小さくなるような、画像形成タイミングを決定できる
本発明によれば、上述のように、径が異なる2つの支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果に基づいてPLD変動を特定できる。これにより、ベルト製造段階においてベルト厚みムラを計測する計測工程が必要ないので製造コストが増大することがない。また、ベルトを新しいものに交換する際にベルト厚みムラに関するデータを装置へ入力する作業も必要ない。また、レジストパターンを形成する必要がないため、画像形成タイミングを決定するためにトナーを消費することもない。
更に、本発明において、径が異なる2つの支持回転体の回転角変位又は回転角速度から特定されるPLD変動は、これらの2つの支持回転体とベルトとの接触状態の影響、具体的にはベルト幅方向における厚みムラの影響が考慮されたものとなる。これに対し、上記特許文献1に記載された装置のようにベルト厚み計測器により計測したベルト厚みムラは、支持回転体とベルトとの接触状態の影響が全く考慮されていないものである。ベルト厚みムラは、実際にはベルト周方向だけでなく、これに直交するベルト幅方向においても存在する。ここで、ベルト幅方向にもベルト厚みムラが存在するベルトが支持回転体に掛け渡された場合、その支持回転体に巻き付いたベルト部分の移動速度とその支持回転体の回転角速度との関係は、そのベルト部分におけるベルト幅方向で最も厚い箇所に大きく依存する。すなわち、支持回転体に巻き付いたベルト部分のベルト幅方向におけるベルト厚みムラによって、そのベルト部分の移動速度とその支持回転体の回転角速度との関係が変わってくる。これは、ベルト幅方向において最も厚い箇所が、支持回転体との摩擦力が最も大きい状態で支持回転体に接触するからである。したがって、支持回転体とベルトとの接触状態の影響が全く考慮されないベルト厚み計測器により計測したベルト厚みムラに基づいて画像形成タイミングや画像形成速度プロファイルを決定すると、ベルト幅方向におけるベルト厚みムラによる制御誤差が発生する。これに対し、本発明では、ベルト移動速度と支持回転体の回転角速度との関係に関わるベルト幅方向における厚みムラによる影響も、径が異なる2つの支持回転体の回転角変位又は回転角速度から特定される特定されるPLD変動に反映される。したがって、このPLD変動に基づいて画像形成タイミングを決定する本発明によれば、ベルト幅方向におけるベルト厚みムラによる制御誤差を発生させないことができる。したがって、本発明によれば、より高い精度でベルト駆動制御を行うことが可能である。
そして、本発明においては、PLD変動がベルト1周にわたってどのように発生しているかということを予め知っておく必要がないので、上記先願の装置で必要であった試験等を行う必要がなくなる。
また、本発明においては、上記先願の装置では周期関数に近似することが難しい部分的に突出したPLD変動をもつベルトについても、後述するように、そのPLD変動を高い精度で特定することが可能である。
以上のように、本発明によれば、上記先願で提案したものと同様に上述した問題を解消するとともに、その先願がかかえる不具合を解消することが可能となるという優れた効果が奏される。
更に、本発明によれば、ベルト厚み計測器により計測したベルト周方向のベルト厚みムラに基づいて画像形成タイミングを決定する場合に比べて、より高い精度でベルト駆動制御を行うことが可能となるという優れた効果も奏される。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用する画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図である。図1において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
複写機本体100には、その中央に、像担持体としての中間転写体であるベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持ローラ14,15,16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。これらの3つの支持ローラのうちの第2支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、3つの支持ローラのうちの第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18が並べて配置されたタンデム画像形成部20が対向配置されている。本実施形態においては、第3支持ローラ16を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、潜像形成手段としての露光装置21が設けられている。
また、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成部20の反対側には、第2の転写手段としての2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22においては、2つのローラ23間に記録材搬送部材としてのベルトである2次転写ベルト24が掛け渡されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第3支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この2次転写装置22により、中間転写ベルト10上の画像を記録材であるシートに転写する。また、この2次転写装置22の図中左方には、シート上に転写された画像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28も設けられている。
上記複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
この原稿読取りに並行して、図示しない駆動源である駆動モータで駆動ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14,15が連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18において潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを回転させ、各感光体ドラム上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。そして、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
このような画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を転写する。画像転写後のシートは、2次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
この複写機を用いて、黒のモノクロコピーをとることもできる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト10を感光体ドラム40Y,40M,40Cから離れるようにする。これらの感光体ドラム40Y,40M,40Cは、一時的に駆動を止めておく。黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト10に接触させ、画像の形成と転写を行う。
次に、本実施形態の中間転写ベルト10の構成について説明する。なお、以下の説明は、中間転写ベルトに限られるものではない。
中間転写ベルトとしては、フッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等を主材料とした単層ベルトや、ベルトの全層又はベルトの一部を弾性部材とした複数層弾性ベルトなどが使用される。中間転写ベルトに限らず、一般に、画像形成装置に用いられるベルトには複数の機能が要求される。近年、要求される複数の機能を同時に達成するために、ベルト厚さ方向に複数の層を有する複数層ベルトが多く用いられる。例えば、中間転写ベルト10については、トナー離型性、感光体ニップ性、耐久性、抗張性、対駆動ローラ高摩擦性、対感光体低摩擦性などの複数の機能が要求される。
トナー離型性は、中間転写ベルト10から記録用紙への転写性の向上や当該中間転写ベルト上に残った転写残トナーに対するクリーニング性の向上を図る上で必要な機能である。感光体ニップ性は、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kに密着して中間転写ベルト10への転写性を向上させる上で必要な機能である。
耐久性は、経時使用によって亀裂や磨耗が少なく長期的な使用を可能にし、ランニングコストを低減する上で必要な機能である。
抗張性は、ベルト駆動時のベルト周方向における伸縮を防止して高精度なベルト移動速度やベルト移動位置の制御を行う上で必要な機能である。
対駆動ローラ高摩擦性は、駆動ローラ16と中間転写ベルト10との間の滑りを防止して安定かつ高精度な駆動を実現する上で必要な機能である。
対感光体低摩擦性は、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kと中間転写ベルト10との間に速度差が生じてもこれらの間で滑りを発生させて負荷変動を抑制する上で必要な機能である。
これらの機能を高い水準で同時に実現するためには、例えば、以下に説明するような複数層ベルトからなる中間転写ベルトを用いる。
図2は、上記中間転写ベルト10の層構造の一例を示す説明図である。
本例の中間転写ベルト10は、互いに異なる材質が異なる5層構造の無端状ベルトで、ベルトの厚みは500〜700[μm]以下となるように形成されたものである。なお、ベルト表面側(感光体ドラムと接触する面側)から順に、第1層、第2層、第3層、第4層、第5層とする。
第1層は、フッ素が充填されたポリウレタン樹脂のコート層である。この層により、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kと中間転写ベルト10との間の低摩擦性(対感光体低摩擦性)と、トナー離型性とが実現される。
第2層は、シリコン−アクリル共重合体のコート層で、第1層の耐久性の向上と第3層の経時劣化を防止する役割を果たしている。
第3層は、厚みが約400〜500[μm]のクロロプレンからなるゴム層(弾性層)で、ヤング率が1〜20[Mpa]である。第3層は、2次転写部においてトナー像や平滑性の悪い記録用紙などによる局部的な凹凸に応じて変形するので、トナー像に対して過度に転写圧を高めることがなく、文字の中抜けの発生が抑制される。また、平滑性の悪い記録用紙に対して良好な密着性が得られので、均一性の優れた転写画像を得ることができる。
第4層は、厚みが約100[μm]のポリフッ化ビニリデンの層でベルト周方向の伸縮を防止する役割を果たしている。ヤング率は、500〜1000[Mpa]である。
第5層は、ポリウレタンのコート層があり、駆動ローラ16との高摩擦性係数を実現している。
この他の材料例としては、次のものが挙げられる。
第1層及び第2層では、弾性材料による感光体への汚染防止と、中間転写ベルト10の表面への表面摩擦抵抗を低減させてトナーの付着力を小さくすることによるクリーニング性の向上と、記録用紙への2次転写性の向上と図るために、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等を1種類あるいは2種類以上使用してもよい。また、表面エネルギーを小さくして潤滑性を高めるために、フッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体若しくは粒子を1種類あるいは2種類以上、又は、互いに粒径が異なる同種のものを分散させてもよい。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成し、表面エネルギーを小さくしたものを使用してもよい。
第3層の弾性層では、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1、2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
第4層としては、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−a−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−a−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
弾性ベルトとして伸びを防止する方法として、上記第4層のように伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特に製法に関わるものではない。
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば、綿、絹などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維などの無機繊維、鉄繊維、銅繊維などの金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い、これらを織布状あるいは糸状にしたものを用いることができる。もちろん、上記材料に限定されるものではない。糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん、糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方、織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すこともできる。
芯体層を設ける製造方法は特に限定されるものではない。例えば筒状に織った織布を金型等に被せてその上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付けてその上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。
また、層によっては、抵抗値調節用導電剤が含まれる、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。ただし、これら上記材料に限定されるものではないことは当然である。
ところで、ベルト材質が均一の単層ベルトの場合、ベルトの内周面と外周面の伸縮度が一致するため、図20に示したように、ベルトの移動速度を決定するベルトピッチ線は、ベルト厚み方向の中央となる。しかし、上記のような複数層ベルトの場合、ベルトピッチ線は、ベルト厚み方向の中央部にはならない。複数層ベルトにおいては、ベルトを構成する複数の層の中にヤング率が突出して大きい層がある場合には、ベルトピッチ線は、当該層のほぼ中央部に存在する。これは、ベルト周方向の伸縮防止のために高いヤング率をもつ層(以下、「抗張層」という。)が芯線となり、他の層が伸縮して支持ローラに巻き付くことによる。上記中間転写ベルト10の場合、抗張層である第4層が突出して大きいヤング率をもつので、この第4層の内部にベルトピッチ線が存在することになる。そして、このようにヤング率が突出して大きい抗張層がある場合、その抗張層のベルト周方向における厚みムラが、PLDの変動に大きく影響することになる。要するに、複数層ベルトにおいて、PLDは、主に、ベルトを構成する複数の層のうちのヤング率が大きい層の影響を受けて決定される。
このほか、第4層(抗張層)の位置がベルト1周にわたってベルト厚み方向に変位している場合も、PLDが変動する。例えば、第4層(抗張層)と支持ローラとの間に存在する第5層に厚みムラがあると、その厚みムラに応じて第4層(抗張層)のベルト厚み方向の位置が変化し、PLDが変動する。
また、つなぎ目のある無端状ベルト(シームベルト)の場合、その製造方法は、第4層のポリフッ化ビニリデンのシートを作成して、そのシート端部を約2[mm]ほど重ね合わせて溶融接着し、無端状にした後、他の各層を順次形成することが多い。この場合、溶融接着した部分(つなぎ目部分)は、溶融によって物性が変化して他の部分と伸縮性が異なるため、他の部分と同じ厚みであっても、つなぎ目部分のPLDは他の部分のPLDから大きく外れる。このような部分では、ベルト厚み変動が無くても、PLD変動が発生して、この部分が駆動ローラに巻き付いた時にベルト速度変動が発生する。なお、つなぎ目のあるシームベルトは、ベルト周長が互いに異なる製品ごとに固有の金型が必要となるつなぎ目のないシームレスベルトに比べて、このような金型が必要なく、ベルト周長の調整が自由である点で、製造コストが抑えられるという利点がある。
次に、中間転写ベルト10の駆動装置について説明する。
本実施形態の複写機では、中間転写ベルト10を一定速度で移動させる必要がある。しかし、実際には、部品誤差、環境、経時変化により、そのベルト移動速度に変動が生じる。中間転写ベルト10のベルト移動速度が変動すると、実際のベルト移動位置が目標とするベルト移動位置からズレてしまい、感光体ドラム40Y,40M,40C上の各トナー画像の先端位置が中間転写ベルト10上でズレて色ズレが発生する。また、ベルト移動速度が相対的に速い時に中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。この場合、最終的にシート上に形成された画像には、そのベルト周方向に対応する方向に周期的な画像濃度の変化(バンディング)が表れる。
そこで、まず、中間転写ベルト10のベルト1周のPLD変動による各トナー像の位置ズレ(以下、「転写位置ズレ」という。)を高い精度で検出する構成及び動作について説明し、その後、検出した各トナー像の転写位置ズレを修正する構成及び動作について説明する。
本実施形態は、ローラ径の異なる、あるいはまた、自己に巻き付いたベルト部分のPLDがそのベルトの移動速度と自己の回転角速度との関係に影響する度合いが互いに異なる2つのローラの回転角速度ω1,ω2を連続的に検出し、この2種類の回転角速度ω1,ω2からPLD変動f(t)を求める。なお、単層ベルトの場合、上記PLDはベルト厚みと一定の関係となり、かつ、PLD変動はベルト厚み変動と一定の関係となることから、ローラ径の異なる、あるいはまた、自己に巻き付いたベルト部分の厚みがそのベルトの移動速度と自己の回転角速度との関係に影響する度合いが互いに異なる2つのローラの回転角速を連続的に検出し、この2種類の回転角速度からベルト厚み変動を求めるようにしてもよい。このPLD変動f(t)は、ベルトが1周する間に、ベルト移動経路上の特定地点を通過するベルト部分のPLDの時間変化を示す周期関数である。このPLD変動f(t)は、上述したようにベルトの移動速度Vに大きく影響するので、このPLD変動f(t)を2つの支持ローラの回転角速度ω1,ω2から高精度で求め、そのPLD変動f(t)に基づいてベルトの回転周期で発生するベルトの速度変動を予測し、さらに各トナー像の転写位置ズレ量を予測し、各転写位置ズレ量がゼロとなるように、設定情報としての画像形成の開始タイミング(画像形成タイミング)及び画像形成中における画像形成速度の変化(画像形成速度プロファイル)を生成し、これらの設定情報に従って後述するように露光装置21を制御することにより、各トナー像の中間転写ベルト10への転写タイミングを制御する。
本実施形態では、PLD変動f(t)を高精度で求める方法として、2種類の方法を例に挙げる。
1つ目の方法は、上記2つのローラをベルト移動方向において互いに近接配置させる方法である(PLD変動の認識方法1)。
2つ目は、上記2つのローラの配置関係に影響することのないフィルタ処理を行う方法である(PLD変動の認識方法2)。
〔PLD変動の認識方法1〕
図3は、ベルト装置の主要部を示す模式図である。
このベルト装置は、ベルト103と、このベルト103が掛け渡された支持回転体としての第1ローラ101及び第2ローラ102とを備えている。ベルト103は、第1ローラ101に対してベルト巻付角θ1で巻き付いており、第2ローラ102に対してベルト巻付角θ2で巻き付いている。ベルト103は、図中矢印Aの方向に無端移動する。第1ローラ101及び第2ローラ102には、検出手段としての回転型エンコーダがそれぞれ設けられている。これらの回転型エンコーダとしては、各ローラ101,102の回転角変位又は回転角速度が検知できるものであればよい。本実施形態においては、各ローラ101,102の回転角速度ω1,ω2を検知できるものを用いる。この回転型エンコーダとしては、例えば、透明のガラス又はプラスチック等の透明部材で作られた円盤上の同心円上に一定間隔のタイミングマークを形成し、これを各ローラ101,102に対して同軸に固定し、そのタイミングマークを光学的に検知するような公知の光学エンコーダを用いることができる。また、例えば、磁性体からなる円盤上の同心円上に磁気的にタイミングマークを記録し、これを各ローラ101,102に対して同軸に固定し、そのタイミングマークを磁気ヘッドで検出するような磁気エンコーダを用いることもできる。また、公知のタコジェネレータを用いることもできる。本実施形態において、回転角速度は、例えば、回転型エンコーダから連続的に出力されるパルスの時間間隔を計測し、その逆数から得ることができる。なお、回転角変位は、回転型エンコーダから連続的に出力されるパルスの数をカウントすることで得ることができる。
第1ローラ101及び第2ローラ102の回転角速度とベルト移動速度Vとの関係は、それぞれ、下記の数3及び数4に示す式で表される。
Figure 0004846277
Figure 0004846277
ここで、「ω1」は第1ローラ101の回転角速度であり、「ω2」は第2ローラ102の回転角速度であり、「V」はベルト移動速度であり、「R1」は第1ローラ101のローラ実効半径であり、「R2」は第2ローラ102のローラ実効半径である。
また、「κ1」は、第1ローラ101のベルト巻付角θ1、ベルト材質、ベルト層構造等によって決まる第1ローラ101のPLD変動実効係数であり、PLDがベルト移動速度Vに影響する度合いを決定するパラメータである。同様に、「κ2」は、第2ローラ102のPLD変動実効係数である。各ローラ101,102として互いに異なるPLD変動実効係数をもつものを用いているのは、ベルト巻付状態(変形曲率)が異なることや、各ローラに対するベルト巻付量が異なることなどが原因で、PLD変動が、ベルト移動速度(ベルト移動量)とローラの回転角速度(回転角変位)との関係に影響する度合いが異なる場合があるためである。
また、「f(t)」は、ベルト移動経路上の特定地点を通過するベルト部分のPLDの時間変化を示すベルトが1周する周期と同じ周期をもった周期関数であり、ベルト1周にわたるベルト周方向のPLDの平均値PLDaveからの偏差を示すものである。ここでは、上記特定地点を、第1ローラ101に巻き付いた箇所とする。したがって、時間t=0のとき、第1ローラ101に巻き付いたベルト部分のPLD変動量はf(0)となる。なお、PLD変動の関数としては、時間関数f(t)ではなく、上述した関数f(d)を用いてもよい。f(t)とf(d)は相互に変換することができる。
また、「τ」は、第1ローラ101から第2ローラ102までベルト103が移動するのに要する平均時間であり、以下、「遅れ時間」という。この遅れ時間τは、第1ローラ101に巻き付いたベルト部分におけるPLD変動f(t)と、第2ローラ102に巻き付いたベルト部分におけるPLD変動f(t−τ)との位相差としての意味をもつ。
PLDの平均値PLDaveは、ベルトの層構造及び各層の材質や物性だけから求めることは困難であるが、例えば当該ベルトについて簡単な試験駆動を行ってそのベルト移動速度の平均値を得ることにより求めることができる。すなわち、駆動ローラを一定の回転角速度で駆動したときのベルト移動速度の平均値は、{(駆動ローラの半径r+PLDave)×駆動ローラの一定の回転角速度ω01}である。そして、駆動ローラを一定の回転角速度で駆動したときのベルト移動速度の平均値は、(ベルト周長)/(ベルト1周に要する時間)から求められる。ベルト周長及びベルト1周に要する時間は正確に計測することができる。したがって、駆動ローラを一定の回転角速度で駆動したときのベルト移動速度の平均値も正確に算出できる。また、駆動ローラの半径r及び駆動ローラの一定の回転角速度ω01も正確に把握できるので、PLDaveを正確に算出することができる。なお、PLDaveの算出方法は、これに限られるものではない。
第2ローラ102に巻き付いたベルト部分の時刻tにおけるベルト移動速度Vは、第1ローラ101に巻き付いたベルト部分の時刻tにおけるベルト移動速度Vと同じであるので、上記数3及び上記数4の式から、下記の数5に示す式を導くことができる。
Figure 0004846277
そして、ローラ実効半径R1,R2に対し、PLD変動f(t)は十分小さいことから、上記数5に示す式を下記数6に示す式に近似することができる。
Figure 0004846277
本認識方法1においては、第1ローラ101と第2ローラ102がベルト周方向において互いに近接配置されている。つまり、遅れ時間τが十分に小さくなるように第1ローラ101と第2ローラ102とを近接配置すれば、f(t)=f(t−τ)と近似することができる。なお、このように近似についての遅れ時間τの条件(許容範囲)については、後述する。f(t)=f(t−τ)と近似した場合、上記数6に示した式は、下記の数7に示す式となる。
Figure 0004846277
上記数7に示す式からわかるように、時刻tにおける第1ローラ101の回転角速度ω1及び第2ローラ102の回転角速度ω2から、PLD変動f(t)を求めることができる。特に、第1ローラ101の回転角速度ω1が一定となるようにベルト103の駆動制御を行っていれば、ω1は一定となり、第2ローラ102の回転角速度ω2を検出するだけで、PLD変動f(t)を求めることができる。また、ノイズなどがあることを想定して、ノイズ除去フィルタ処理を通して、得られたPLD変動f(t)に含まれるすべての変動周波数成分に対して、補正制御を実行することが可能であるが、誤差が許容範囲内で正確に制御できるのは、ある変動周波数成分の周期と遅れ時間τとの関係で、τが無視できる周波数までである。
また、上記数7の式からわかるように、PLD変動f(t)の認識感度βは、下記の数8に示す式で示される。
Figure 0004846277
このように、PLD変動f(t)の認識感度βは、各ローラ101,102の回転角速度ω1,ω2に関係することなく、各ローラにおけるローラ実効半径(r+PLDave)であるR1,R2とPLD変動実効係数であるκ1,κ2との比率の差となる。したがって、この差が大きければ大きいほど高まることになる。実際には、ローラ半径rはPLDaveに比べてかなり大きい値をとるため、認識感度βは、各ローラの半径r1,r2とPLD変動実効係数κ1,κ2との比率の差となり、この比率の両ローラ間の差が大きければ大きいほど認識感度βが高まることになる。なお、この認識感度βは、その符号に関係なく、その絶対値が大きいほど、f(t)の認識精度が高まることを示すものであるので、上記比率が異っていれば、2つのローラ101,102のいずれの径を大きくしても、またいずれのPLD変動実効係数を大きくしても、かまわない。
ここで、PLD変動実効係数κ1,κ2を調節するためにベルト巻付角θ1,θ2を小さくすると、そのローラにおいてベルト103のすべり等が発生しやすくなる。この場合、ベルト移動速度とローラ回転角との関係が不安定になってしまう。そのため、各ローラ101,102のベルト巻付角θ1,θ2はいずれも十分に大きくとることが望ましい。よって、PLD変動f(t)の認識感度βを十分に大きくする場合、各ローラ101,102のPLD変動実効係数κ1,κ2を調節するよりも、ローラ径rを調節する方がよい。したがって、各ローラ101,102のベルト巻付角θ1,θ2はいずれも十分に大きくして、そのPLD変動実効係数κ1,κ2をいずれも同じ値となるようにし、十分に大きな認識感度βが得られるように、各ローラ101,102のローラ径を設定するのが好ましい。
したがって、本実施形態においては、PLD変動f(t)を高い精度で求めるために、上記2つのローラ101,102として、互いに径が大きく異なるものを用いる。そして、これらのローラ101,102に設けられた各回転型エンコーダの出力結果からベルト1周にわたって得られた回転角速度ω1,ω2を上記数7に示す式に代入して、PLD変動f(t)を導出する。なお、これを繰り返して複数周分のPLD変動f(t)を導出し、導出した各PLD変動f(t)を平均化すれば、より高精度のPLD変動f(t)を認識できる。
特に、上述したように、第1ローラ101の回転角速度ω1を一定の回転角速度ω01とすれば、上記数7に示した式におけるω1が定数となり、その式は下記の数9に示す式となる。この場合、PLD変動f(t)を求めるための演算処理が簡単化する。つまり、第1ローラが一定の回転角速度であるという回転情報を基に、第2ローラで検出された回転情報からPLD変動f(t)を求める。具体的には、まず、第1ローラ101の回転型エンコーダからの出力を用いて、その回転角速度ω1が回転角速度ω01となるようにベルト103の駆動制御を行う。その後、第2ローラ102の回転型エンコーダからの出力を用いて、その回転角速度ω2を下記数9の式に代入してPLD変動f(t)を導出する。なお、第2ローラ102の回転角速度ω2を一定の回転角速度ω02として、第1ローラ101の回転型エンコーダの出力からPLD変動f(t)を導出する場合も同様である。
Figure 0004846277
特に、上記2つのローラ101,102のうち回転角速度を一定とする方のローラを、ステッピングモータやDCサーボモータを駆動源とした駆動ローラとすれば、他方のローラにだけ回転型エンコーダを設けるだけで済む。すなわち、この場合には、回転型エンコーダが1つで済むという利点がある。しかし、その反面、駆動ローラは、上述したように、ベルト103との間ですべりが発生しやすいし、また、駆動伝達系中に歯車などが存在するとその駆動伝達誤差により駆動ローラの回転角速度に変動が生じることもある。これにより、PLD変動f(t)の認識精度が落ちるおそれがある。よって、PLD変動f(t)をより高い精度で求める場合には、上記2つのローラ101,102は、従動ローラとする方がよい。
次に、上記遅れ時間τの条件(許容範囲)について説明する。
この遅れ時間τは、上記2つのローラ101,102間のベルト周方向距離(以下、「ローラ間距離」という。)と、ベルト移動速度の平均値によって決まる。ベルト移動速度の平均値は、本ベルト装置が設置される製品の仕様やその製品に搭載される他の装置との関係等で、容易に変更できないことが多い。そこで、ここでは、上記ローラ間距離をどのように設定すべきかについて説明する。
本認識方法1のようにf(t)=f(t−τ)と近似すると、本認識方法1により導出されるPLD変動f(t)と実際のPLD変動との間には誤差が生じるが、この誤差により発生する転写タイミングの補正誤差が許容範囲内のものであれば、実用上問題ない。
一般に、ベルト103に生じる転写位置ズレは、上記PLD変動だけでなく、駆動伝達系における歯車の偏芯や累積ピッチ誤差なども原因となる。したがって、PLD変動によるの転写位置ズレ許容範囲は、設計上でPLD変動に対して割付けられる許容範囲となる。
ここで、本実施形態の複写機における中間転写ベルト10の駆動制御においては、上述したように、ベルト移動速度変動によって色ズレやバンディングが発生する。このような色ズレやバンディングは、ベルト移動速度変動によって、実際の画像転写位置が目標とする位置からズレることに起因して発生するものであり、その転写位置ズレ量が大きいほど悪化する。そして、この色ズレやバンディングは、シート上の画像を見た人間に知覚されるものであり、実際上問題ないレベルに抑えるための許容範囲は、例えばバンディングについては、画像濃度の変化の間隔(距離)を示す空間周波数fsにより定義することができる。この空間周波数fsは、時間周波数fとの間に一定の関係{f=F×fs(F:定数)}を有するので、バンディングの許容範囲として決められた空間周波数fsの許容範囲内に収まるような、転写位置ズレの許容範囲も定義することができる。
本認識手法1のように近似により発生する転写位置ズレ量がPLD変動f(t)によるベルト移動速度の変動について割付けられた許容位置ズレ量以下となるように、遅れ時間τの値、第1ローラ101及び第2ローラ102の径、PLD変動実効係数κに関係する巻付角などを決定する。
〔PLD変動の認識方法2〕
上述したように、上記認識方法1においては、上記ローラ間距離が広くなると制御誤差が大きくなるので、上記ローラ間距離を狭くする必要がある。そのため、装置レイアウトの自由度が低くなる。そこで、本認識方法2においては、上記ローラ間距離に依存しないで、上記2つのローラ101,102の回転角速度ω1,ω2からPLD変動f(t)を高精度で求める方法について説明する。なお、以下の例では、これらのローラ101,102の径が、第1ローラ101よりも第2ローラ102の方が大きい場合を例に挙げるが、その逆でも同様の原理が利用できる。厳密には、以下に述べるようにローラ実効半径RをPLD変動実効係数κで除算した値を比較すると、ローラ102の方がローラ101より大きい場合である。
第1ローラ101と第2ローラ102との間における回転角速度ω1,ω2の関係は、上記数6に示した式で表現され、この式を変形すると下記の数10に示す式となる。
Figure 0004846277

このようにf(t)の係数が1となるように規格化された上記数10の式の右辺をgf(t)と定義すると、下記の数11に示す式が得られる。ただし、この数11の式中の「G」は、下記の数12に示すものである。
Figure 0004846277

Figure 0004846277

各ローラ101,102間におけるローラ実効半径RとPLD変動実効係数κとの関係から、Gは1より小さい値をとる。また、上記数10の式からわかるように、gf(t)は、ローラ実効半径R1,R2及びPLD変動実効係数κ1,κ2を用い、各ローラ101,102の回転角速度ω1,ω2から得られるものである。このgf(t)からPLD変動f(t)を求める。
図4は、本認識方法2を説明するための制御ブロック図である。なお、この図では、時間関数であるf(t)をラプラス変換したF(s)を用いており、図中「s」はラプラス演算子である。F(s)=L{f(t)}(ここで、L{x}はxのラプラス変換を示す。)。また、図4において、図中最上部に示す第0段目は、便宜的に、上記数11に示した式を表したものであり、図中破線で囲んだ第1段目以降がフィルタ部である。
このフィルタ部に、gF(s)すなわち上記数10に示した式の左辺(検出した回転角速度ω1,ω2から得られるデータ)を入力すると、第1段目の出力H(s)の時間関数h(t)、すなわち、L-1{H(s)}(ここで、L-1{y}はyの逆ラプラス変換を示す。以下、I(s)、J(s)についても同様。)は、下記の数13に示すとおりである。
Figure 0004846277

このとき、G2はGよりも十分に小さいので(G>>G2)、h(t)は、上記gf(t)よりもPLD変動f(t)に近いものとなる。このときの誤差ε1は、下記の数14に示す式のようになる。
Figure 0004846277

また、第2段目の出力I(s)の時間関数i(t)は、下記の数15に示すようになる。
Figure 0004846277

このとき、G4はG2よりも十分に小さいので(G2>>G4)、i(t)は、上記h(t)よりも更にPLD変動f(t)に近いものとなる。このときの誤差ε2は、下記の数16に示す式のようになる。
Figure 0004846277

さらに、第3段目の出力J(s)の時間関数j(t)は、下記の数17に示すようになる。
Figure 0004846277

このとき、G8はG4よりも十分に小さいので(G4>>G8)、j(t)は、上記i(t)よりも更にPLD変動f(t)に近いものとなる。このときの誤差ε3は、下記の数18に示す式のようになる。
Figure 0004846277
以上の結果を一般化した以下のシーケンスに従い、検出した回転角速度ω1,ω2から得られるデータである上記数10に示した式の左辺のデータを用いて、PLD変動f(t)を求めれば、上記ローラ間距離に依存しないで、検出した回転角速度ω1,ω2からPLD変動f(t)を高精度で求めることができる。
(第1ステップ)
gf(t)をG倍して遅れ時間τだけ遅延したデータとgf(t)とを加算した値g1(t)を求める。
(第2ステップ)
1(t)をG2倍して遅れ時間τを2倍した時間2τだけ遅延したデータとg1(t)とを加算した値をg2(t)を求める。
(第3ステップ)
2(t)をG4倍して遅れ時間τを4倍した時間4τだけ遅延したデータとg2(t)とを加算した値をg3(t)を求める。



(第nステップ)
n-1(t)をGの2n-1乗倍したものを、遅れ時間τを2n-1倍した時間だけ遅延して得たデータと、gn-1(t)とを加算した値gn(t)を求める。
図4に示したフィルタ部における第n段目については、前段目の出力データである入力データ(あるいは信号)に対する遅延要素を上記遅れ時間τの2n-1倍とし、かつ、ゲイン要素を上記Gの2n-1乗した値として得たデータ(あるいは信号)に、上記入力データ(あるいは信号)を加えるように動作する。そして、最終段目の出力データgn(t)を、PLD変動f(t)として求める。なお、ステップ数nが多ければ多いほど、PLD変動f(t)の認識精度が高くなる。
図5は、図4の制御ブロック図をZ変換して表した制御ブロック図である。なお、図5では、gf(n)をgfnと表現し、f(n)をfnと表現している。
図5に示したフィルタ部(FIRフィルタ)に入力する入力データのサンプリング時間をTsとし、遅れ時間τをM×Ts(Mは自然数である)とし、ベルト103が1周するのに要する時間TbをN×Ts(Nは自然数である)とする。この場合、ベルト103が1周する間のサンプリング数はN個となる。この図5に示す制御ブロック図に従って求まるPLD変動f(t)は、サンプリング時間Tsごとに得られるN個のPLD変動値f(n)のデータ列からなる。このときのフィルタ部での処理はデジタル処理となるので、DSP(Digital Signal Processor)やμCPU等を用いて上記演算処理を実行することができる。
また、図5に示したFIRフィルタの多段タイプは、IIRフィルタに変換することもできる。図5の制御ブロック図を連続系で表現すると図6(a)のようになり、これをデジタル処理用の離散的な表現をすると図6(b)のようになる。
以上のように、上記2つのローラ101,102の各回転角速度ω1,ω2は、それぞれ位相の異なるPLD変動f(t)とf(t−τ)の影響を受けて回転するが、これらのローラの実効半径RあるいはまたPLD変動実効係数κは互いに異なるために、ローラ実効半径において、PLD変動成分が占める割合がそれぞれ異なる。そのために、検出されるPLD変動による回転角速度変動の大きさが互いに異なる。本発明者らは、この点に着目し、上述したFIRフィルタやIIRフィルタ及びこれらのフィルタと同様のアルゴリズム処理を用いて、PLD変動f(t)を周波数特性に依存ぜず高い精度で導出できることを見いだした。ここでは、PLD変動f(t)を導出するためにf(t)の係数が1となるように規格化を行ったが、Gが1より大きくなる場合は、PLD変動f(t−τ)の係数が1となるように規格化を行い、PLD変動f(t−τ)の導出を同様のアルゴリズム処理で行っても良い。このとき、PLD変動f(t)側の係数は、Gの逆数となる。つまり、t’=t−τ、τ’=Tb−τ(Tbはベルト一周の時間)とおき、上記数10の式の左辺に(−1/G)を乗じれば右辺をf(t')−(1/G)f(t'−τ')と表せるので、上で述べたことと同様にFIRフィルタやIIRフィルタを用いてPLD変動を検出できる。
次に、上記認識方法1や上記認識方法2を用いて、PLD変動を検出し、転写タイミングの補正を行う具体的な構成について説明する。
PLD変動f(t)の検出及び、転写タイミングの補正の具体的な方法については、それぞれ装置構成に応じて複数の構成が考えられる。例えば、ベルト103のホームポジションを検出する機構を有する装置構成とそのような機構を有しない装置構成や、回転型エンコーダを2つの従動ローラに設置した装置構成と1つだけ設置した装置構成、さらに、転写タイミングを補正する機構が各色の画像形成ステーションに設置された構成とある色に対して他色を補正する構成などである。ここでは、それらの具体的な実施形態について説明する。なお、これらの構成の組合せは任意であり、それらの特徴と画像形成装置の所望スペックに応じて選択すればよい。
〔ベルト駆動装置例〕
上記PLD変動f(t)を用いて、PLD変動に応じた適切な転写タイミング補正を行うには、ベルト103上におけるPLD変動の位相(ベルト1周を2πとしたときの位相)を把握する必要がある。この位相を把握する方法としては、まず、本ベルト駆動装置例のように、ベルト103のホームポジションマークを予め決めておき、それを検知し、タイマーによる時間計測情報、駆動モータ回転角情報、回転型エンコーダ出力による回転角情報のいずれかを用いて、この位相を把握する方法が挙げられる。
図7は、本ベルト駆動装置例におけるベルト103のホームポジションマークを検知するための装置構成を示す模式図である。
本ベルト駆動装置例では、ベルト103上にホームポジションマーク103aを設け、これをマーク検知手段としてのマーク検知センサ104により検知することで、ベルト1周の基準となる位相を把握する。本例においては、ホームポジションマーク103aとしてベルト103上に所定位置に貼り付けられた金属膜を用い、マーク検知センサ104として固定部材に設けられた反射型のフォトセンサを用いている。このマーク検知センサ104は、ホームポジションマーク103aが検知領域を通過するときにパルス信号を出力する。ホームポジションマーク103aを設ける位置は、画像形成に影響を与えないように、ベルト内周面又はベルト外周面のベルト幅方向端部とする。ホームポジションマーク103aや、マーク検知センサ104のセンサ面には、トナーやインクなどの像形成物質が付着することがある。この場合、ベルト103のホームポジションを誤認識してしまうおそれがある。よって、マーク検知センサ104には、このような誤認識を排除するために、センサ出力振幅、パルス幅やパルス間隔を管理しながら正確なベルトホームポジションを認識するための機能を付加するのが望ましい。なお、ホームポジションマーク103aは少なくとも1個は必要であるが、誤認識を排除しやすいように複数設けてパターン化してもよい。
図8は、本ベルト駆動装置例の制御動作を説明するための説明図である。
図8では、大きく2つの機能ブロックから構成されている。
1つは、従動ローラに設置された回転型エンコーダの出力信号と目標回転信号との差分をモータ駆動信号にフィードバックする機能を持つベルト駆動制御部である。このベルト駆動制御部は、従動ローラの回転角速度を一定することにより、駆動伝達系(歯車、駆動ローラ)の伝達誤差による変動を抑制するようにベルトの移動速度を制御することができる。
もう1つは、本発明の特徴部分であるPLD変動によるベルト移動速度変動を予測し、転写タイミング補正する転写タイミング補正制御部である。この転写タイミング補正制御部は、上述したように、ベルト駆動制御部の動作では適切に制御できないPLD変動による転写位置ズレを補正することができる。
駆動モータ106により発生した回転駆動力は、駆動ギヤ106a及び被駆動ギヤ105aからなる減速機構を介して駆動ローラ105に伝達される。これにより駆動ローラ105が回転し、ベルト103が図中矢印Aの方向に移動する。このベルト103の移動により、第1ローラ101及び第2ローラ102が連れ回り回転する。これらのローラ101,102には、それぞれ回転型エンコーダ101a,102aが設けられており、その出力信号は角速度検出部1111,1112に入力される。この回転型エンコーダは、歯車等の減速器を介して接続しても良い。第1ローラ101及び第2ローラ102においては、ベルト103の内周面との間ですべりが生じないように、表面処理を施し、かつ、ベルト巻付角等を設定してある。本例では、第1ローラ101よりも第2ローラ102の方が径が大きい。ベルト駆動制御部で計算されて出力されるモータ制御信号は、DA変換器1116を介してサーボアンプ1117に入力され、サーボアンプ1117はその制御信号に応じて駆動モータ106の駆動させる。
第1角速度検出部1111は、第1回転型エンコーダ101aの出力信号から、第1ローラ101の回転角速度ω1を検出する。同様に、第2角速度検出部1112は、第2回転型エンコーダ102aの出力信号から、第2ローラ102の回転角速度ω2を検出する。ベルト駆動用コントローラ1210は、複写機本体からの目標ベルト速度指令に応じて、第2ローラ102の回転角速度ω2に応じた制御目標値ωref1を算出する。具体的には、まず、第1ローラ101の回転角速度ω1が複写機本体からの目標ベルト速度指令に基づく指令制御目標値ωref1に維持されるように、ベルト103を駆動させる。すなわち、第1ローラ101の回転角速度ω1が一定になるように、ベルト103を駆動させる。したがって、このときの指令制御目標値ωref1は上述した一定の回転角速度ω01となる。第1ローラ101の回転角速度ω1が一定になったら、PLD変動検出部1201は、マーク検知センサ104からのパルス信号を基準として、上記認識方法1や上記認識方法2により、第2ローラ102の回転角速度ω2からPLD変動f(t)のデータを取得する。そして、転写位置ズレ演算部1202では、このPLD変動f(t)のデータに応じて予測される転写位置ズレ量を算出して、この転写位置ズレ量から転写タイミング補正量を生成し、その転写タイミング補正量を感光体ドラム40K,40Y,40M,40Cへの画像形成を制御する画像形成用コントローラ1203へ出力する。
ベルト駆動用コントローラ1210から出力された制御目標値ωref1は、比較器1113により第1ローラ101の回転角速度ω1と比較され、その偏差が比較器1113から出力される。この偏差は、ゲイン(K)1114及び位相補償器1115に入力され、その位相補償器1115からモータ制御信号が出力される。本実施形態において、この偏差は、駆動ローラ105とベルト103との間におけるすべりや駆動ギヤ106a及び被駆動ギヤ105aの偏心などによる駆動伝達誤差、駆動ローラ105の偏心によるベルト移動速度変動などによって生まれる。モータ制御信号により、この偏差を小さくし、第1ローラ101が等速回転するように、駆動モータ106を駆動させる。そのために、例えばPID制御器を使い、制御対象のベルト103が目標速度に対しての偏差が減るようにし、かつ、オーバーシュート、発振が無く安定するように調整されて、モータ制御信号が出力される。
なお、本ベルト駆動装置例では、図7に示したようにホームポジションを検知する機構を設けているが、この機構を無くしてコスト低減を図ることも可能である。
具体的に説明すると、この場合の基本的な処理動作は、上記ベルト駆動装置例の場合と同様であるが、マーク検知センサ104のパルス信号の代わりに、ベルト103のホームポジションを仮想的に特定するための仮想ホームポジション信号を用いてベルト103のホームポジションを把握する。例えば、仮想ホームポジション信号として、回転型エンコーダ101a,102a等により得られるローラの累積回転角を用いて、ベルト103が任意の位置から1周したことを予測する。この場合、ベルト103が1周する間にローラが回転するときの累積回転角は予め把握することができるので、その累積回転角からベルト103が1周したことを予測することができる。このとき、累積回転角のカウントを開始した時点がPLD変動f(t)のt=0となる。そして、この時点が、上記ベルト駆動装置例におけるマーク検知センサからのパルス信号を受信した時に相当する。
ただし、ベルト103が1周したことの予測は、ベルトのPLD平均値であるPLDaveやローラ径などの部品精度、環境変化、部品の経時変化などにより、実際のものとの誤差が生じる。詳しく説明すると、上記仮想ホームポジション信号は、ベルト103の回転周期ごとに発生するように設定される。この設定の方法は、上述したローラの累積回転角のほかにも、種々考えられる。例えば、駆動モータ106の累積回転角を用いてベルト103が任意の位置から1周したことを予測し、ベルト1周に相当する累積回転角に達したときに、仮想ホームポジション信号を発生させるように設定する方法が考えられる。また、ベルト103が予め決められている平均移動速度で移動するのであれば、その平均移動速度からベルト1周するのに要する時間を予測し、ベルト1周に相当する時間に達したときに、仮想ホームポジション信号を発生させるように設定する方法が考えられる。仮想ホームポジション信号による予測したベルト1周と実際のベルト1周との間に誤差があると、PLD変動f(t)の位相が累積的にズレることになる。そのため、そのPLD変動f(t)のデータにより転写タイミング補正を行うと、転写位置ズレが大きくなってしまうおそれがある。仮想ホームポジション信号と実際のベルト1周との誤差の要因としては、ベルト周長の製造誤差、ベルト周長の環境、経時変化(伸縮)、ベルト平均厚の製造誤差、ベルト平均厚の環境、経時変化、制御しているローラ(第1ローラ)径の製造誤差及び環境、経時変化があげられる。したがって、想定されるベルトとローラの製造誤差や環境、経時変化から、仮想ホームポジション信号から得られる仮想ホームポジションが実際のホームポジションとの誤差(時間差)を把握する。そして、定期的に、PLD変動データを更新または補正する必要がある。
次に、一度求めたPLD変動f(t)を更新するときの動作について説明する。ベルト材質によっては、環境(温湿度)の変化や経時使用による摩耗によってベルト厚みが変わったり、繰り返しの曲げ伸ばしによってヤング率が変わったりして、ベルト103のPLDが経時的に変化し、これによりベルト103のPLD変動が変わる場合がある。また、ベルト103を交換したことにより、そのPLD変動が交換前のPLD変動から変化する場合もある。また、上述した仮想ホームポジションを用いる場合には、実際のホームポジションからズレる場合もある。このような場合には、PLD変動f(t)を更新する必要がある。
PLD変動f(t)を更新する方法は、大きく分けて、間欠的に更新する方法と連続的に更新する方法の2通りが考えられる。前者の方法としては、定期的にPLD変動f(t)を更新する方法が挙げられる。後者の方法としては、常にPLD変動f(t)を求めて、PLD変動f(t)を連続的に更新する方法が挙げられる。
次に、上述したPLD変動f(t)の導出を行うために必要となる上記2つのローラ101,102の回転角速度ω1,ω2を検出するための回転型エンコーダの設置箇所について説明する。
上述したベルト駆動装置においては、互いに径が異なる(厳密には、上記数8に示した認識感度βがゼロでないかあるいは上記数12に示したGが1でない)2つのローラの回転角速度を検出することができれば、ベルト103のPLD変動によるベルト移動速度変動を抑制することができる。この回転角速度を検出するための回転型エンコーダの設置箇所としては、例えば次の2通りが考えられる。第1は、図8に示したように、駆動ローラ105以外の互いに径が異なる2つの従動ローラに回転型エンコーダを設置する場合である(回転型エンコーダの設置例1)。第2は、駆動ローラ105と、この駆動ローラとは互いに径が異なる1つの従動ローラとに、回転型エンコーダを設置する場合である(回転型エンコーダの設置例2)。なお、駆動ローラ105に回転型エンコーダを設置する場合には、回転型エンコーダを駆動ローラ105のローラ軸に設けるだけでなく、駆動モータ106のモータ軸に設ける場合も含まれる。
〔回転型エンコーダの設置例1〕
本設置例1においては、図8に示したように、回転型エンコーダを互いに径が異なる2つの従動ローラ101,102に設置する。この場合、上述したように、第1ローラ101の回転角速度ω1がベルト駆動用コントローラ1210にて決定される制御目標値ωref1となるようにフィードバック制御できる機能が与えられる。そのため、駆動伝達系の伝達誤差や駆動ローラとベルトとの間のすべりを補正した状態で、高精度にPLD変動f(t)を得ることができる。例えば、このように駆動ローラをフィードバック制御した状態において、第2ローラ101の回転角速度ω2の検出結果からPLD変動f(t)を求めることにより、駆動伝達系の伝達誤差、駆動ローラ105とベルト103とのすべりに依存しない精度の高いPLD変動f(t)を得ることができる。また、本設置例1では、モータ軸が一定の回転角速度で回転する、すなわち、駆動ローラ105が一定の回転角速度で駆動して、第1ローラ101及び第2ローラ102の平均回転角速度を求めることで、第1ローラ101及び第2ローラ102の径比を正確に求めることができる。その結果、例えば、第1ローラ101や第2ローラ102の径が製造ばらつき、環境変化や経時等により変化して、PLD変動f(t)を求める際に用いる各ローラのローラ実効半径R1,R2が実際のものからズレたとしても、これの径比を補正することができる。ここでのローラ実効半径Rは、先述したように(r+PLDave)を示しており、ローラ半径、ベルトのPLDaveのばらつきにより変動する。上記数10において、ローラ実効半径Rは重要なパラメータであり、この比の精度が上がるとPLD変動の検出精度が上がる。このことは、上記数7において、上記認識方法1を用いた場合も同様である。第1ローラ101と第2ローラ102のローラ実効半径Rの比は第1ローラ101を一定回転角速度に制御して、第1ローラ101と第2ローラ102の回転角速度比、あるいは回転角比を求めることによっても得られるので、下記回転型エンコーダ設置例2にも同様なことが言える。
〔回転型エンコーダの設置例2〕
図9は、本設置例2における制御動作を説明するための説明図である。
本設置例2においては、歯車を介してモータと駆動ローラが接続されているが、駆動モータ106として、DCサーボモータを用い、エンコーダの取り付けをモータ軸にするか、駆動ローラ軸にして回転角速度を検出し、フィードバック制御できる機能を有している。DCサーボモータのほかに入力駆動パルス周波数で回転角速度制御が可能なステッピングモータを用いてもよい。この場合は、エンコーダによるフィードバックがなくてもステッピングモータへの入力駆動パルス周波数で回転角速度を制御できるのでモータ軸あるいは駆動ローラには、エンコーダの設置は不要となる。本設置例2でも、駆動ローラ105及び従動ローラ102の回転角速度ωm,ω2を検出することができる。モータ軸から駆動ローラまでの動力伝達で滑りが無ければ、モータ軸の回転角速度ωmと駆動ローラ105の回転角速度が一定の関係で回転させることができる。したがって、このモータ軸の回転角速度ωmは、上記設置例1における第1ローラ101の回転角速度ω1に相当するものとなる。ただし、減速機構を備える場合は、その減速比を考慮した状態において回転角速度ω1に相当を求める。その結果、本設置例2においても、上記設置例1と同様に、高い精度でPLD変動f(t)を得ることができる。
ただし、本設置例2においては、第2角速度検出部1112において検出される第2ローラ102の回転角速度ω2には、駆動伝達系誤差や駆動ローラ105とベルト103間のすべりによる変動が含まれているため、これらの変動を軽減してPLD変動f(t)を求める必要がある。特に駆動ローラ105とベルト103間のすべりが発生しないようにローラの表面をあらすなどして摩擦係数が増えるようにする。しかし、本設置例2においては、従動ローラ101に回転型エンコーダ101aを設ける必要がないことから、その分だけ部品点数が少なくて済み、上記設置例1に比べて低コスト化を図ることができる。
また、本設置例2は、モータ軸の回転角速度ωmの情報を取得する構成、つまりマイナーループをとる構成であり、より安定した制御系の設計が可能となる。
〔PLD変動検出例〕
次に、PLD変動f(t)の検出及び更新についての具体的な実施例(以下、本実施例を「PLD変動検出例」という。)について説明する。なお、本PLD変動検出例は、図8及び図9のPLD変動検出部1201の動作を説明するもので、上記認識方法2のようなデータ処理を用いて、ベルト103のホームポジションを検知する機構が無い構成である。また、ベルト駆動装置は、上記回転型エンコーダの設置例1、2のように互いに径が異なる2つの従動ローラ101,102のそれぞれに回転型エンコーダ101a,102aを設置した場合、または、駆動モータ106のモータ軸に回転型エンコーダも設けて駆動制御できるものを採用し、駆動ローラと径の異なる1つ従動ローラ102に回転型エンコーダ102aを設置した場合に共通の例である。もちろん、回転型エンコーダの設置例1に加え、モータ軸上に回転型エンコーダを設けた構成でも実施可能である。
図10は、本PLD変動検出例における検出及び更新処理を説明するための説明図である。なお、この図において、駆動モータ106に設置された回転型エンコーダ106bは、駆動モータ106として採用したDCサーボモータに備わっているものである。また、図中破線で囲んだPLD変動検出部は、図8、図9のPLD変動検出部1201を示している。このPLD変動検出部は、デジタル信号処理で、デジタル回路、DSP、μCPU、RAM、ROM、FIFO(Fast In Fast Out)等で構成される。もちろん、具体的なハードウェア構成はこの構成に限られない。図中の制御ブロックによっては、ファームウェアでの演算によって処理されるものもある。
本PLD変動検出例では、ベルト103のホームポジションを検知する機構が無いため、上記認識方法2で述べたように、仮想ホームポジションがズレて位相誤差が発生する場合がある。また、実際のベルト103のPLD変動が環境変化、経時変化によって変化するおそれもある。そのため、過去に求めたPLD変動f(t)を更新する必要が生じる。本PLD変動検出例においては、間欠的に更新を行うか又は連続的に更新を行うかは、CPUなどの演算処理部の負荷等に応じて任意に決めることができる。ベルト駆動装置において、回転型エンコーダの設置例1の構成では、PLD変動検出部は、第1ローラ回転角速度ω1と第2ローラ回転角速度ω2の信号からPLD変動を検出する。また、回転型エンコーダ設置例2の構成では、PLD変動検出部は、第1ローラの替わりに駆動ローラ回転角速度ωdと第2ローラ回転角速度ω2の信号からPLD変動を検出する。駆動ローラ回転角速度は、モータ回転角速度ωmに対して減速比GR1303を係数にして駆動ローラ回転角速度に換算した信号である。このような回転型エンコーダ設置例2の構成の場合、PLD変動検出部の第1ローラに関するパラメータR1、κ1、ω01は、すべて、駆動ローラに関する同様のパラメータRd、κd、ω0dに置き換えられる。
間欠的に更新を行う場合、本複写機の稼働時間や稼働量などに応じて、定期的に更新する処理を行ってもよい。図8に示した回転型エンコーダの設置例1の構成を想定して、つまり、第1ローラと第2ローラの回転角速度からPLD変動を検出する例について、詳しく説明すると、まず、コントローラ1310は、スイッチSW1,SW2,SW3をオフにする。ベルト駆動装置は、回転角速度の基準信号データω01(=V0/R1)をωref1として、角速度検出部1111で求めた第1ローラ101の回転角速度ω1とを比較し、第1ローラ101が一定の回転角速度ω01になるようにベルト103を駆動させる。位相補償器1115は、定常誤差をなくし、安定してフィードバック制御をするために機能する。第1ローラ101の回転角速度ω1が一定の回転角速度ω01になると、角速度検出部1112で求めた第2ローラ102の回転角速度ω2は、上記数10に示した式より、下記の数19に示す式のようになる。この数19の式中の「G」は、上記数12に示したものと同じである。また、本PLD変動検出例では、デジタル処理を前提としているので、時間tの代わりにこれを離散的に表したtnを用いる。したがって、上述したPLD変動f(t)はf(tn)に置き換えられる。
Figure 0004846277
この第2ローラ102の回転角速度ω2からPLD変動f(tn)を求め、そのベルト1周分のPLD変動データを変動情報記憶手段としてのFIFO1316に格納する処理を行う。この処理においては、まず、スイッチSW1,SW2,SW3がオフの状態において、検出された第2ローラ102の回転角速度ω2から、同時に検出された第1ローラ101の回転角速度ω1に対してブロック1302で演算されたデータ(R1・ω1)/R2が、減算器1313で差し引かれる。ちなみに、このデータ(R1・ω1)/R2は、フィードバック制御が実施されているため固定データ(R1・ω01)/R2と同じであるが、より高精度なPLD変動算出データを得るために、同時に検出した第1ローラ101の回転角速度ω1を用いる。そして、この減算器1313から出力される値は、ブロック1304において固定データR2/κ1・ω01が乗じられ、その出力データは、ブロック1315のFIRフィルタ(あるいはIIRフィルタ)に入力される。つまり、ブロック1304の出力データは、f(tn)−Gf(tn−τ)であり、このデータがFIRフィルタ(あるいはIIRフィルタ)に入力されることになる。このフィルタの出力は、PLD変動f(tn)のデータ列を構成する各データ(PLD変動データ)fnとなる。コントローラ1310は、第1ローラ101の回転角速度ω1を観測し、この回転角速度ω1が等速であり、かつ、FIRフィルタ(あるいはIIRフィルタ)から正確なPLD変動データfnが出力される時間経過後に、スイッチSW1をオンにする。これは、FIRフィルタやIIRフィルタのどちらにも遅延要素が含まれているため、フィルタ実行初期においては、正確なPLD変動データfnの出力がなされないためである。そして、コントローラ1310は、第1ローラ101のエンコーダ出力のパルス数をカウントするか、部品規格から既に求めたベルト1周平均時間からベルト103が1周移動したことを確認したら、スイッチSW1をオフにする。
FIRフィルタ(あるいはIIRフィルタ)から出力されるPLD変動データfnは、ちょうどベルト1周分のPLD変動データfnを記憶できる容量を持ったPLD変動データFIFO1316内に蓄積される。本PLD変動検出例においては、このFIFO1316内のデータが空の場合、スイッチSW1をオンすることにより、PLD変動データfnが格納される。次に、スイッチSW1をオフしたあと、スイッチSW2とSW3をオンにすることで、FIFO1316内に蓄積されたPLD変動データfnが転写位置ズレ演算部1202へ出力される。FIFO1316は、ベルト1周分の容量であるために、ベルト1周に同期してPLD変動データが出力される。つまり、ベルト1周前に入力された信号が出力される。ここで、スイッチSW3がオンされているので、出力されたデータはFIFO1316に再び格納される。これによって、PLD変動データがベルト周回毎に同期して出力される。また、スイッチSW1,SW3を両方オンすることで、同期加算処理が行われる。つまり、既にPLD変動データが格納された状態で、1周前にFIFO1316に格納されたPLD変動データと現在FIRフィルタ1315より算出されたPLD変動データが加算されてFIFO1316に格納される。このように同期加算が行われることで、ベルト回転周期とはランダムな変動成分(ノイズ成分)に対し、ベルト回転周期の変動成分が強調されるためSN比が向上する。
同期加算後のデータは、転写位置ズレ演算部1202で同期加算回数の除算をすることで同期加算平均データとなり高精度なPLD変動検出が可能となる。これにより、歯車のバックラッシュあるいはノイズ等に発生するランダムな検出誤差を減らすことが可能である。このように、PLD変動データfnは、ベルト103の回転に対応してFIFO1316内に蓄積されることになる。このPLD変動データfnを使い、転写位置ズレ量を予測し、それに従って転写タイミングを補正させれば、PLD変動f(tn)に対応した画像形成がされることになる。
次に、連続的に更新を行う場合について説明する。この場合、常にPLD変動データの更新を実行する。つまり、図10において、スイッチSW1,SW2の両方をオンの状態にする。
具体的には、まず、PLD変動データFIFO1316が空の場合、コントローラ1310は、スイッチSW1をオフにし、基準信号ω01と角速度検出部1111で求めた第1ローラ101の回転角速度ω1とを比較し、第1ローラ101が一定の回転角速度ω01になるようにベルト103を駆動させる。そして、FIRフィルタあるいはIIRフィルタ1315の出力が安定したら、スイッチSW1をオンして、PLD変動データfnをベルト1周分だけFIFO1316に蓄積する。その後、両スイッチSW1,SW2を両方ともオンの状態にすると、FIRフィルタ1315の出力データが、FIFO1316へ入力され、新しいPLD変動データfnとなる。
なお、本PLD変動検出例においては、PLD変動データfnの記憶入力データがクロック信号によってシフトするFIFO1316を用いて実現したが、アドレス管理されたメモリ機能により実現してもよい。
また、本PLD変動検出例において、角速度検出部1112で検出される第2ローラ102の回転角速度ω2に基づいて、第1ローラ101、第2ローラ102の回転周期、その他の周期変動、さらにはノイズを含む高域の周波数領域の変動を除去するために、低域通過型フィルタを挿入してもよい。これにより、より高い精度で安定してPLD変動を検出することができる。この低域通過型フィルタは、FIRフィルタあるいはIIRフィルタ1315の前、あるいは、角速度検出部1112の後に設ければよい。
〔転写タイミング補正手法〕
次に、転写位置ズレを小さくするための転写タイミングの補正手法について説明する。
転写位置ズレ演算部1202は、設定情報決定手段として機能し、PLD変動検出部1201で得られたベルト回転周期で発生するベルトPLD変動数値を取得する。そして、第1ローラ101又は第2ローラ102を一定の回転角速度に制御しながら画像形成を行う時に発生が予測される転写位置ズレ量を演算する。
図11(a)は、ホームポジション信号の検知時を基準に、上述したPLD変動検出例に従ってPLD変動を検出した結果を示すグラフである。この図において、横軸はベルト1周を2π[rad]としたベルト位置であり、縦軸はPLD変動[μm]である。このPLD変動データを基に、画像形成するときのベルト移動速度変動、転写位置ズレ量を予測し、転写タイミング補正データとする。
まず、PLD変動データを基にベルト移動速度変動を求める。上述した回転型エンコーダの設置例2のように第2ローラの回転角速度を一定にフィードバック制御する場合、ベルト移動速度Vbは、上記数2に示した式と同様に下記の数20に示す式で表される。なお、f(tn)は、検出したPLD変動の離散データを示している。
Figure 0004846277

ベルト移動速度の変動成分ΔVbは、下記の数21に示す式となる。
Figure 0004846277

ここで、ベルト1周分のPLD変動データ数をNallとすると、離散データのサンプリング周期Tsampは、下記の数22に示す式となる。
Figure 0004846277
データサンプリング時間Tsampの間、ベルト移動速度変動ΔVbが一定であると仮定すると、ベルト搬送位置ズレは、ベルト移動速度変動ΔVbとサンプリング時間Tsampとの積の累積となる。よって、ベルト搬送位置ズレXbは、下記の数23に示す式となる。
Figure 0004846277
図11(b)は、図11(a)で示したベルトPLD変動データを基に、上記数23に示した式に従って算出したベルト位置ズレ量すなわち転写位置ズレ量[μm]を示すグラフである。ちなみに、本転写タイミング補正手法においては、第2ローラの半径R2が15.6[mm]、第2ローラのPLD変動実効係数κ2が1、ベルト周長が800[mm]、PLDaveが0.05[mm]、Nallが4000データである。
図12は、転写タイミングの補正量を示すグラフである。この図において、縦軸は導出したベルト位置変動から補正手段に合わせて転写タイミングの補正量に換算したものであり、横軸はホームポジション信号を基準にしたベルト位置である。
本実施形態では、各色トナー像は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に中間転写ベルト10上に転写される。このグラフから、ホームポジション信号が検知されたタイミングの後でYの転写が開始されることがわかる。本実施形態では、ベルトの位置(位相)を管理し、その位置(位相)に応じて各色の転写タイミングの補正量データを決める。このように転写タイミングを補正することで、ベルトPLD変動による転写位置ズレを抑制することが可能となる。
なお、本転写タイミング補正手法では各色の転写タイミングをそれぞれ補正する場合であるが、任意の色を基準に他色の転写タイミングの補正を行ってもよい。例えば、Kの転写タイミングの補正は行わず、Kを基準に、Y、M、Cの転写タイミングを補正する場合、先程のKの転写タイミングの補正量と各色の補正量の差分量を算出し、それをC、M、Yでの補正量とする。この差分量は、全く転写位置ズレを補正しない場合の色間の位置ズレを表しているので、これを補正量とすることで、色間の位置ズレが抑制される。この場合、補正手段の構成が簡易となり、シートに対する画像のズレは発生することはあるものの、色ズレを抑制することができる。
転写タイミング補正制御部では、ホームポジション信号を基準に各色の転写タイミングの補正量を演算している。この演算は、画像形成ごとに転写タイミング補正量を演算してもよい。また、装置にあるCPUまたはDSPの処理能力、メモリ容量に応じて、予め転写タイミング補正量を演算して、数値をテーブル化して保存しておき、画像形成ごとに読み出すようにしてもよい。
また、本実施形態では、タンデム型画像形成装置で中間転写体を用いた中間転写方式における中間転写ベルト10のベルトPLD変動によるベルト速度変動に起因した色ズレを抑制する場合について説明したが、本発明は、このような画像形成装置に限られない。例えば、図17に示したようなタンデム型画像形成装置で、直接転写方式における記録材搬送部材としての搬送ベルト210のベルトPLD変動によるベルト速度変動に起因した色ズレについても、同様に抑制することができる。
また、図1や図17に示したタンデム型画像形成装置では、潜像担持体としてドラム状の感光体を用いているが、これに代えてベルト状の感光体ベルトを用いた場合には、そのベルトのPLD変動によるベルト速度変動に起因して色ズレやバンディングといった画質劣化が生じる。この場合も、その感光体ベルトについて、上記中間転写ベルト10の場合と同様にベルト速度変動を検出し、これに基づいて感光体ベルトに対する露光装置21の書込タイミング等を制御することで、色ズレやバンディング等の画質劣化を抑制できる。
また、図示しないが、1つの潜像担持体上に各色トナー像を順次形成して、これらのトナー像を中間転写体又は記録材等の被転写体に順次転写して重ね画像を形成するような画像形成装置においても、その潜像担持体として感光体ベルト等の無端状ベルトを用いた場合には、そのベルトのPLD変動によるベルト速度変動に起因して色ズレやバンディングといった画質劣化が生じ得る。この場合も、その感光体ベルトについて、上記中間転写ベルト10の場合と同様にベルト速度変動を検出し、これに基づいて感光体ベルトに対する露光装置21の書込タイミング等を制御することで、色ズレやバンディング等の画質劣化を抑制できる。
また、電子写真方式の画像形成装置に限らず、無端状ベルトからなる搬送ベルト(記録材搬送部材)に担持搬送される記録材面に複数色のインクを吐出し、各色インクによる複数の画像が重なり合った重ね画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置についても、その無端状ベルトのベルトのPLD変動によるベルト速度変動に起因して色ズレやバンディングといった画質劣化が生じ得る。この画像形成装置は、複数色のインクをそれぞれ吐出する吐出口を備えたヘッド部と、該ヘッド部との対向位置に記録材を担持搬送する無端状ベルトからなる記録材搬送部材とを備え、該吐出口からインクを吐出して該記録媒体上に画像を形成するものである。このような画像形成装置についても、その搬送ベルトについて、上記中間転写ベルト10の場合と同様にベルト速度変動を検出し、これに基づいて搬送ベルト上の記録材に対する各色インクの吐出タイミング等を制御することで、色ズレやバンディング等の画質劣化を抑制できる。なお、この場合、上述した転写位置ズレは、ドット位置ズレに置き換わる。
次に、転写タイミングの補正手段を有する露光装置21について説明する。
図13は、露光装置21の構成を示す説明図である。
この露光装置21は、4つの画像形成部18を走査するものであって、2つの画像形成部18ずつに2分割し、単一のポリゴンミラーの対向する側からビームを入射して、相反する方向に偏向、走査する対向走査方式を採用したものである。上述したように、4つの感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kは、中間転写ベルト10の移動方向に沿って等間隔で配列され、順次異なる色のトナー像を中間転写ベルト10上に転写して重ね合わせることでカラー画像を形成する。図示するように各感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを露光する露光装置21は一体的に構成され、ポリゴンミラー150により光ビームを走査する。ポリゴンミラーの回転方向は同一であるので、走査方向は対向する側で相反する方向となり、一方の書出し位置ともう一方の書き終わり位置とが一致するように画像を書き込んでいく。
また、本実施形態では、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kに対して半導体レーザを一対配備し、副走査方向の記録密度に応じて1ラインピッチ分ずらして走査することにより、2ラインずつ同時に走査できるようになっている。各光源ユニットからのビーム201,202,203,204は、光源ユニット毎に射出位置が副走査方向に異なる部位、本実施形態では光源ユニット107,108と光源ユニット109,110との射出位置が、所定高さ(本実施形態では6[mm])だけ異なるよう配備し、光源ユニット108と光源ユニット109からのビームは入射ミラー111,112により折り返し、直接ポリゴンミラー150へと向かう光源ユニット107,110からのビームに主走査方向を近接させてポリゴンミラー150に入射される。
シリンダレンズ113,114,115,116は、一方を平面、もう一方を副走査方向に共通の曲率を有し、ポリゴンミラー150の偏向点までの光路長が等しくなるように配備してあり、各光ビームは偏向面で主走査方向に線状となるように収束され、後述するトロイダルレンズとの組み合わせで、偏向点と感光体面上とが副走査方向に共役関係とすることで面倒れ補正光学系をなす。非平行平板117,118,119は、いずれか一面を主または副走査方向にわずかに傾けたガラス基板であり、基準色を除くステーション(本実施形態では、光源ユニット109からのビーム以外)に配備され、光軸周りに回転制御することで各走査位置を安定的に保持する。
ポリゴンミラー150は、6面ミラーで、本実施形態では2段に構成され、偏向に用いていない中間部をポリゴンミラーの内接円より若干小径となるように溝を設けて風損を低減した形状としている。1層の厚さは約2[mm]である。なお、上下のポリゴンミラーの位相は同一である。fθレンズ120,121も2層に一体成形または接合され、各々、主走査方向にはポリゴンミラーの回転に伴って感光体面上でビームが等速に移動するようにパワーを持たせた非円弧面形状となし、各ビーム毎に配備されるトロイダルレンズ122,123,124,125とにより各ビームを感光体面上にスポット状に結像し、潜像を記録する。
各色の画像形成部18は、ポリゴンミラーから感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの面に至る各々の光路長が一致するように、また、等間隔で配列された各感光体ドラムに対する入射位置、入射角が等しくなるように、複数枚(実施形態では1つの画像形成部あたり3枚ずつ)の折り返しミラーが配置される。各色画像形成部18毎に光路を追って説明すると、光源ユニット107からのビーム201は、非平行平板117、シリンダレンズ113を介し、ポリゴンミラー150の上段で偏向された後、fθレンズ120の上層を通過し、折り返しミラー126で反射されてトロイダルレンズ122を通過し、折り返しミラー127,128で反射されて感光体ドラム40Mに導かれ、マゼンタ用の静電潜像を形成する。また、光源ユニット108からのビーム202は、非平行平板118、シリンダレンズ114を介して、入射ミラー111で反射されポリゴンミラー150の下段で偏向された後、fθレンズ120の下層を通過し、折り返しミラー129で反射されてトロイダルレンズ123を通過し、折り返しミラー130,131で反射されて感光体ドラム40Yに導かれ、イエロー用の静電潜像を形成する。ポリゴンミラーに対して対称に配備された画像形成部18についても同様で、光源ユニット109からのビーム203は、入射ミラー112を介してポリゴンミラー150の下段で偏向され、折り返しミラー132,133,134で反射されて感光体ドラム40Kに導かれ、ブラック用の静電潜像が形成される。また、光源ユニット110からのビーム204は、ポリゴンミラー150の上段で偏向され、折り返しミラー135,136,137で反射されて感光体ドラム40Cに導かれ、シアン用の静電潜像を形成する。
画像記録領域の走査開始側および走査終端側には、フォトセンサを実装した基板138,139,140,141が配備され、各画像形成部18において走査されたビームを検出する。本実施形態において、基板138,140は同期検知センサとなし、この検出信号を基に各々書き込み開始のタイミングを図るように共用している。一方、基板139,141は、終端検知センサをなし、上記同期検知センサとの検出信号の時間差を計測することで走査速度の変化を検出し、検出された走査速度の変化に対して、各半導体レーザを変調する画素クロックの基準周波数を反比例倍して再設定することで、各画像形成部18において記録された静電潜像の中間転写ベルト10上での全幅倍率を安定的に保持することができる。
本実施形態では、転写タイミングを補正する手段として、非平行平板117,118,119を用いる。非並行平板117,118,119は、光軸を変えて、感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上の露光位置を変化させることにより転写タイミングを調整することができる。以下、その詳細を説明する。
図14は、光軸変更手段である非平行平板の支持部における斜視図である。
非平行平板321は、円筒状のホルダ部材322中央枠内に固定され、軸受部323を形成した支持部材324にホルダ部材に形成した一対の鍔部326を切欠に合わせて挿入し、水平に戻すことで鍔部326が裏側に引っ掛かり、支持部材に密着した状態でかん合部325を基準に回転可能に保持される。支持部材324は、上記したように底面を基準にハウジングにねじ止めされ、軸受部323の回転中心が光源ユニットの射出軸と中心が合うように高さHが各々設定されており、回転によってビームの射出軸をわずかに傾けることができる。ホルダ部材の一端にはレバー部327が形成され、支持部材に形成した貫通穴330に係合され固定されているステッピングモータ328の軸先端に形成した送りネジを螺合しており、その上下動に伴って非平行平板321を回動可能としている。なお、この際のバックラッシュをとるため、ホルダ部材のピン331と支持部材のピン332との間にスプリング329により引張力をかけ、一方向に片寄せする構成としている。
いま、この回転角をγ、非平行平板の頂角をε、カップリングレンズの焦点距離をfc、光学系全系の副走査倍率をζとすると、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの面での副走査位置の変化は、下記の数24に示す式で与えられ、微小回転角の範囲では回転角にほぼ比例して可変できる。本実施形態では、非平行平板の頂角εは、約2°である。なお、この式中の「n」は、非平行平板の屈折率である。
Figure 0004846277
感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの面での副走査位置の変化Δyは、そのまま、転写位置の変化量とすることができる。よって、演算された転写タイミングの補正量[μm]を打ち消すように反転させた数値を、副走査位置の変化Δyに代入して、回転角γを求めて非平行平板を回動させる。上記数17に示す式における非平行平板の頂角ε、カップリングレンズの焦点距離fc、光学系全系の副走査倍率ζは、予め決定されている定数となる複写機では、副走査位置の変化Δyと回転角γとの対応表を作成しておくと演算時間を短くすることができる。
また、副走査位置を可変する手段の別の実施形態を示す。
図15(a)及び(b)は、液晶偏向素子を用いた補正手段の例を示す説明図である。
この補正手段は、本実施形態でプリズムが配置される光源からポリゴンミラーに至る光路中に、プリズムの代えて液晶偏向素子を配備することで図14に示した構成と同様の構成にできる。液晶偏向素子は、液晶を透明なガラス板間に封入した構成であり、一方のガラス板表面の上下に電極が形成されている。液晶としては誘電異方性を有するネマティック液晶等が用いられ、電極間に電位差を与えると、図15(b)中の右側に示す断面図のように電位の傾斜が発生し、液晶の配向が変化して屈折率分布を発生させて、プリズムと同様にビームの射出軸をわずかに傾けることができる。従って、副走査方向に電極を設けることで、印加電圧に応じて感光体面での走査位置を可変できる。
なお、上記したような透過型の光学素子に限るわけではなく、ガルバノミラー等の反射型の光学素子を用いても同様に構成できる。
本実施形態では、低コスト、小型化のために光路上に4つの画像形成部18について共用部品が存在し、転写タイミングを調整する手段として光軸を変化させる手段を例示した。その他の例としては、4つの画像形成部18について共用部品が無く、それぞれの画像形成部18に対して独立した露光装置がある場合、転写タイミングの調整はポリゴンミラーの回転速度と半導体レーザの発光タイミングの調整を利用する場合などが挙げられる。また、露光装置としては、1ライン分の発光素子(LED)が配列されたライン型露光装置を用いることもでき、この場合、発光素子の発光タイミングを発光制御部にて調整することで補正手段を構成できる。
以上のような補正手段は、転写位置ズレの数値に合わせて正確に駆動するものが望ましいが、補正分解能が高くない場合は、用紙1枚ごとにある一定数値で補正するようにしてもよい。
図16は、周長が約800[mm]の中間転写ベルト10を用いて、A3用紙を連続して出力した場合の各用紙における単色画像の転写位置ズレ量を点線で区分けして示したものである。本実施形態では、A3用紙を連続で出力する場合は、用紙間隔は110[mm]となる。用紙1枚目から3枚目までの転写位置ズレを直線近似したものが133a、133b、133cである。それぞれの近似直線の傾きから各用紙の補正量を一定値で設定する。この傾き数値は、光軸調整手段の場合には駆動系速度(モータ駆動の場合にはモータの回転速度)、画像形成部18ごとに独立して露光装置を設けた場合にはポリゴンミラーの回転速度と半導体レーザの発光タイミングまたは発光素子の発光タイミング、に変換することができるため、用紙毎に各色一定値で設定して転写タイミングを補正することができる。これにより、各用紙上の図16の転写位置ズレ量の傾き分を補正することができる。
以上、本実施形態における画像形成装置である複写機は、複数の支持回転体である支持ローラ14,15,16に掛け渡された無端状のベルトである中間転写ベルト10(ベルト103)と、駆動源である駆動モータ106からの回転駆動力により中間転写ベルト10(ベルト103)が無端移動するようにベルト103を駆動する駆動手段と、中間転写ベルト10(ベルト103)上に複数の画像(各色トナー像)を互いに重なり合うように形成して、そのベルト上に重ね画像(カラー画像)を形成する画像形成手段としての画像形成部18とを有する。この複写機は、記憶手段としてのメモリを有している。また、上記複数の支持ローラ14,15,16のうち、径が異なるか、あるいはまた、自己に巻き付いたベルト部分のピッチ線距離(PLD)がベルト103の移動速度Vと自己の回転角速度ω1,ω2との関係に影響する度合いが互いに異なる2つの第1ローラ101及び第2ローラ102における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段としての回転型エンコーダ及び角速度検出部1111,1112と、検出した回転情報に基づいてベルト103の周方向におけるPLDの変動から発生するベルト速度変動によるベルト103上での各色トナー像間の位置ズレが小さくなるような、各色トナー像をベルト103上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミング(転写タイミング)の少なくとも一方の設定情報(転写位置ズレ量)を決定する設定情報決定手段としての転写タイミング補正制御部を有する。ただし、PLD変動、転写位置ズレ量、転写タイミング補正量の3つの情報は、どれも係数で互いに換算され得る数値であるので、上記メモリにはいずれか1つの情報を記憶すればよい。そして、本複写機においては、画像形成部18は、転写タイミング補正制御部が決定した各設定情報に従って、ベルト103上に各色トナー像を形成する。
これにより、ベルトPLD変動によるベルト移動速度変動を高精度に認識することが可能となる。そして、認識したベルト速度変動に基づき、各色トナー像ごとに書込みタイミング(書込み位置)を調節することで、シート上にトナー像を転写するタイミングを補正し、色ズレやバンディング等の画質低下を抑制することができる。上記転写タイミング補正制御部は、ベルト103の移動経路上における任意の地点を仮想のホームポジションとして、PLD変動情報f(t)を求め、このPLD変動情報f(t)を用いて転写タイミング補正制御を行う。この場合、上述のように、ローラ実効半径R1,R2の大きさ、ベルトの巻付角θ1,θ2、ベルトの材質、ベルトの層構造等によって、2つの支持ローラ101,102の回転角速度ω1,ω2から検出されるベルト周方向におけるPLD変動分の大きさが異なることを利用し、これらのローラ101,102の回転角速度ω1,ω2から、ベルト移動速度Vとローラ101,102の回転角速度ω1,ω2との関係に与えるPLD変動を、その変動が複雑なものであっても、高い精度で特定することができる。これにより、PLD変動によるベルト移動速度変動で発生する転写位置ズレが小さくなるように、転写タイミング補正制御を行うことができる。
また、本実施形態においては、PLD変動の認識方法1において説明したように、同一時刻に検出した2つのローラ101,102の回転角速度ω1,ω2からそれぞれ求められるこれらの2つのローラの回転変動情報であるPLD変動情報f(t),f(t−τ)を互いに同位相であるとして求めた近似PLD変動情報を用いて、上述した転写タイミング補正制御を行う。これにより、PLD変動情報f(t)を求めるための処理を簡単化することができる。なお、2つのローラ101,102間のローラ間距離が十分に近接していれば、遅れ時間τが十分に小さくなるので、f(t)=f(t−τ)としても、PLD変動情報f(t)を十分に高い精度で求めることができる。
また、本実施形態においては、PLD変動の認識方法2において説明したように、同一時刻にそれぞれ検出した2つのローラ101,102の回転角速度ω1,ω2の検出結果に基づいて得られるデータ(上記数10に示した式の左辺のデータ)、又は、これらのローラ101,102の一方を等角速度ω01に維持した状態で他方の回転角速度ω2に基づいて得られるデータは、2つのPLD変動情報f(t),f(t−τ)が含まれた情報であることから、上記数10に示す式に従い、一方のPLD変動情報の係数が1となる規格化を行い、求められた時間関数gf(t)と求めたいPLD変動情報である時間関数f(t)との誤差Gf(t−τ)を小さくする処理を行い、その処理結果をPLD変動情報として用いて上記転写タイミング補正制御を行う。ただし、上の規格化後の他方のPLD変動情報の係数が1より小さくなるようにする。また、誤差を小さくする処理とは、PLD変動情報の係数が1となる規格化された時間関数gf(t)に、これらのローラ101,102間をベルト103が移動するのに要する時間τに対応する遅延要素と、これらのローラ101,102にそれぞれ巻き付いた各ベルト部分のPLDが該各ベルト部分の移動速度Vに影響する度合いκ1,κ2及びこれらのローラ実効半径R1,R2に基づいたゲイン要素とを与えたと元の時間関数gf(t)データを加算する加算処理を行うことで、その処理結果h(t)をPLD変動情報f(t)として用いて上記転写タイミング補正制御を行う。これにより、2つのローラ101,102間のローラ間距離に依存せずに、PLD変動情報f(t)を高い精度で得ることができる。その結果、装置レイアウトの自由度を高めることができる。
特に、本実施形態においては、PLD変動の認識方法2において説明したように、上記誤差を小さくする処理は、入力された時間関数に対してゲインを与えるとともに、上記2つのローラ101,102間をベルト103が移動するのに要する移動時間である遅れ時間τだけ、その入力された時間関数の位相を遅らせ又は進ませたものに対し、その入力された時間関数を加算する加算処理を行って得た処理結果について、更に該加算処理を行うという処理を所定回数繰り返し行うものであって、第n回目の加算処理時における該ゲインとして第1回目の加算処理時におけるゲインGを2n-1乗したものを用い、第n回目の加算処理時における該所定時間τとして第1回目の加算処理時における所定時間τを2n-1倍したものを用いて行うものである。そして、上記数12に示す式より求まる上記第1回目の加算処理時におけるゲインGが1よりも小さくなるように、上記2つのローラ101,102のPLD変動実効係数κ1,κ2及びこれらの2つのローラ101,102における実効半径R1,R2を設定する。このような処理は、FIRフィルタ(不帰還型演算処理)等を利用して行うことができるので、安定した処理が可能となる。
なお、上記誤差を小さくする処理は、図6に示したように、入力された時間関数に対して上記数12に示す式より求まるゲインGを与えるとともに、上記2つのローラ101,102間を上記ベルトが移動するのに要する移動時間だけ該入力された時間関数の位相を遅らせ又は進ませたものを帰還して、該入力された時間関数に加算するという加算処理を行い、その処理結果を上記PLD変動情報f(t)として用いてもよい。この場合、上述したFIRフィルタによる従属型(不帰還型)の演算処理を帰還型で行うので、少ない演算処理あるいは簡単な回路構成で、同様の処理を行うことができる。
また、本実施形態においては、ベルト103が1周するのに要する時間Tbに相当する期間についてのPLD変動情報f(t)を記憶する変動情報記憶手段としてのPLD変動データFIFO1316が設けられている。これにより、PLD変動情報f(t)の認識と補正の演算時間と演算装置の他処理ための演算時間を確保することができるようになる。
また、本実施形態においては、PLD変動情報f(t)を所定のタイミングで再び求める処理を行う。これにより、ベルト103のPLD変動が環境や経時使用によって許容範囲を超えて変化するタイミングで、PLD変動f(t)を再び求めることができる。その結果、ベルト103のPLD変動が変化しても、高精度なベルト駆動制御を維持することができる。
また、本実施形態においては、PLD変動検出例で説明したように、スイッチSW1,SW2をオンした状態で、PLD変動情報f(t)を求める処理を行いながら、上記転写タイミング補正制御を行う。この場合、更に安定して高精度なベルト駆動制御を維持することができる。また、この場合、ベルト1周分のPLD変動情報f(t)を記憶しておく必要がなくなるので、そのような記憶手段が不要となる。
また、本実施形態においては、上述したように、少なくともベルト1周分の過去のPLD変動情報を記憶する過去情報記憶手段としてのPLD変動データFIFO1316を設け、これに記憶された過去のPLD変動情報と新たに求めたPLD変動情報とから平均化処理等をして得られたものを上記PLD変動情報f(t)として用いて上記転写タミング補正制御を行うようにしてもよい。この場合、過去に求めたPLD変動情報と新たに求めたPLD変動情報とを平均化処理等することが可能となるので、より高い精度でPLD変動情報f(t)を求められる。これによって、歯車のバックラッシュあるいはノイズ等によって発生するランダムな変動による検出誤差の影響を減らすことができる。
また、本実施形態においては、上記駆動モータ106は、駆動信号に応じて所定の回転角変位又は回転角速度で回転駆動するステッピングモータ又はDCサーボモータであり、上記2つの支持ローラとして、図9に示したように、この駆動モータ106からの回転駆動力のベルト103への伝達に寄与しない従動ローラ102と、この駆動モータ106からの回転駆動力が伝達される駆動ローラ105とを用いるようにしてもよい。そして、検出した従動ローラ102の回転角速度ω2と、この駆動モータ106に入力される駆動信号から得られる駆動ローラ105の回転角速度ωmとを回転情報として用いて、上記設定情報を決定するようにしてもよい。駆動モータ106がステッピングモータ又はDCサーボモータであれば、駆動信号から駆動ローラ105の回転角速度ω1を推定することができる。そのため、回転型エンコーダは、従動ローラ102に対してだけ設ければよく、低コスト化を図ることができる。
なお、上述したように、図8に示したように、上記2つの支持ローラとして2つの従動ローラ101,102を用い、これらの従動ローラ101,102の回転角速度ω1,ω2を回転情報として用いて上記設定情報を決定するようにしてもよい。これにより、上記2つの支持ローラの中に駆動ローラ105が含まれている場合に比べて、駆動ローラ105とベルト103との間のスリップの影響が少なくなり、より高精度にベルト速度変動成分を抽出することができる。
また、本実施形態の複写機は、上記回転型エンコーダの検出結果に基づいて駆動モータ106の駆動制御を行う駆動制御手段としてのベルト駆動制御部を備えている。具体的には、このベルト駆動制御部は、従動ローラ102の回転角速度ω2が一定になるように駆動モータ106の駆動をフィードバック制御する。これにより、ベルト103の駆動時に発生する駆動伝達機構に起因する速度変動(歯車や駆動ローラ105の偏心によるもの)や、スリップによる速度変動を抑制して、ベルト103を駆動することができる。よって、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kとの相対速度変動が抑えられ、高品質な画像形成が可能となる。そして、ベルト103のPLD変動によるベルト速度変動については転写タイミングの補正により対応するため、色ずれやバンディング等の画質劣化は抑制される。
また、本実施形態では、ベルト駆動装置例で説明したように、ベルト103の基準ベルト移動位置を把握するために、そのベルト103上の基準位置を示すマークであるホームポジションマーク103aを検知するマーク検知手段としてのマーク検知センサ104を設けている。そして、求めたPLD変動情報f(t)に対応するベルト移動位置と実際のベルト移動位置との関係を、そのマーク検知センサ104による検知タイミングに基づいて把握した上で、上記転写タイミング補正制御を行う。これにより、ベルト1周における基準位置が確定できるので、求めたPLD変動情報f(t)を、ベルト103のPLD変動に適合した状態でベルト駆動制御に用いることができ、適切にベルト駆動制御を行うことができる。
なお、求めたPLD変動情報f(t)に対応するベルト移動位置と実際のベルト移動位置との関係を、予め把握しているベルト103が1周するのに要する平均時間又は予め把握しているベルト周長に基づいて把握した上で、上記転写タイミング補正制御を行うようにしてもよい。これにより、上記ホームポジションマーク103aをベルト103上に設けたり、上記マーク検知センサ104を設けたりしなくても、ベルト1周における基準位置(仮想ホームポジション)が確定することができる。よって、低コスト化を図ることができる。
また、上記ベルト103が、ベルト周方向の少なくとも1箇所につなぎ目を有するシームベルトである場合、当該つなぎ目部分が、他の部分に比べて厚くなっていたり、物性が変化していて他の部分と伸縮性が異なっていたりすることがある。このような場合、そのつなぎ目部分が他の部分と同じ厚みであっても、つなぎ目部分のPLDは当該他の部分のPLDから大きく外れることとなる。本実施形態の画像形成装置によれば、上述したように、突出したPLD変動をもつベルトについても、そのPLD変動を高い精度で特定することができる。したがって、このようなシームベルトについても、つなぎ目部分が駆動ローラ、またはフィードバック制御に用いている従動ローラに巻き付いた時に生じ得る突発的なベルト速度変動により転写位置ズレを補正して画像形成を行い、画質低下を防止することができる。
また、上記ベルト103が、ベルト厚さ方向に複数の層を有する複数層ベルトである場合、ベルト厚みが同じであっても、その層構造等によってPLDが変動し、ベルト速度変動が発生する。本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、上述したように、PLD変動を特定してそのPLD変動に基づいて駆動制御を行うので、複数層ベルトについても高精度で駆動制御することができる。
なお、上述した説明は、回転角速度を回転角変位に変換しても同様である。これは、回転角速度を積分したものが回転角変位であり、PLD変動f(t)とローラの回転角変位との関係が同様に求まるためである。具体的には、検出した回転角変位から平均増加分(回転角変位の傾き成分)を除去することにより回転角変位変動を求め、この回転角変位変動から、回転角速度変動について上述した認識方法1や認識方法2と同様の方法によって、PLD変動f(t)を取得する。
また、上述した実施形態において、ベルト103が逆に移動する場合、ベルトが無端移動して回転していることを考慮すれば、上述した説明は、遅れ時間τをTb−τ(Tb:ベルト一回転時間)と置き換えればよい。このとき、2(Tb−τ)=2Tb−2τ=Tb−2τとし、N(Tb−τ)(N:自然数)の場合は、N(Tb−τ)=Tb−Nτとする。つまり、本認識手法2で説明したFIRフィルタあるいはIIRフィルタを用いてPLD変動f(t)を検出しようとするとき、N(Tb−τ)時間のまま遅延時間として処理すると遅延時間処理が長くなるが、実際には、Tb−Nτ時間の遅延時間処理としても同じである。
また、上述した実施形態は、タンデム型画像形成装置の中間転写ベルトの駆動制御についての例であるが、本発明は、電子写真技術、インクジェット技術、印刷技術を用いた画像形成装置で用いられるベルト(紙搬送ベルト、感光体ベルト、中間転写ベルト)の駆動制御において有用であることは上述したとおりである。これは、このような画像形成装置の転写位置制御について非常に高い精度が要求されるからである。したがって、本発明は、ベルトの駆動制御について非常に高い転写位置精度が要求されるものについては、タンデム型画像形成装置以外の画像形成装置、あるいは、画像形成装置以外の装置についても有用である。
実施形態に係る複写機全体の概略構成図。 同複写機に設けられる中間転写ベルトの層構造の一例を示す説明図。 同中間転写ベルトを駆動するベルト装置の主要部を示す模式図。 フィルタ処理を用いた認識方法2を説明するための制御ブロック図。 図4の制御ブロック図をZ変換して表した制御ブロック図。 (a)は図4の制御ブロック図を他の形態(IIR型フィルタ)で表現した制御ブロック図。(b)は図6(a)の制御ブロック図をデジタル処理用の離散的な表現とした制御ブロック図。 ベルト駆動装置例におけるベルトのホームポジションを検知するための装置構成を示す模式図。 同ベルト駆動装置例の制御動作を説明するための説明図。 回転型エンコーダの設置例2における制御動作を説明するための説明図。 PLD変動検出例における検出及び更新処理を説明するための説明図。 (a)は、ホームポジション信号の検知時を基準にLD変動検出例に従ってPLD変動を検出した結果を示すグラフ。(b)は、図11(a)で示したベルトPLD変動データを基に算出したベルト位置ズレ量すなわち転写位置ズレ量を示すグラフ。 転写タイミングの補正量を示すグラフ。 同複写機が有する露光装置の構成を示す説明図。 同露光装置の非平行平板の支持部における斜視図。 同非平行平板に代えて液晶偏向素子を用いた他の例を示す説明図。 各用紙における単色画像の転写位置ずれ量を点線で区分けして示した説明図。 直接転写方式のタンデム型画像形成装置一例を示す概略構成図。 中間転写方式のタンデム型画像形成装置一例を示す概略構成図。 駆動ローラに巻き付いたベルト部分をその駆動ローラの軸方向から見たときの拡大図。 駆動ローラに巻き付いたベルト部分をその駆動ローラの軸方向から見たときの拡大図。
符号の説明
10 中間転写ベルト
14,15,16 支持ローラ
18Y,18M,18C,18K 画像形成部
21 露光装置
40Y,40M,40C,40K 感光体ドラム
101 第1ローラ
102 第2ローラ
101a,102a 回転型エンコーダ
103 ベルト
103a ホームポジションマーク
104 マーク検知センサ
105 駆動ローラ
106 駆動モータ
1111 第1角速度検出部
1112 第2角速度検出部
1201 PLD変動検出部
1202 転写位置ズレ演算部
1203 画像形成用コントローラ
1210 ベルト駆動用コントローラ

Claims (20)

  1. 複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    該ベルト上又は該ベルトが担持搬送する記録材上に複数の画像を互いに重なり合うようにそれぞれ所定の画像形成タイミングで形成して、該ベルト上又は該記録材上に重ね画像を形成する画像形成手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記複数の支持回転体のうち、ベルト移動方向に互いに近接配置され、かつ、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、
    上記検出手段が同一時刻に検出した上記2つの支持回転体の回転情報からそれぞれ求められる該2つの支持回転体の回転変動情報が互いに同位相であるとして求めた近似回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上又は上記記録材上に上記複数の画像をそれぞれ形成することを特徴とする画像形成装置。
  2. 複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    該ベルト上に順次複数の画像を形成する画像形成手段と、
    該ベルト上に互いに重なり合うように形成された複数の画像を被転写体上に順次転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記複数の支持回転体のうち、ベルト移動方向に互いに近接配置され、かつ、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、
    上記検出手段が同一時刻に検出した上記2つの支持回転体の回転情報からそれぞれ求められる該2つの支持回転体の回転変動情報が互いに同位相であるとして求めた近似回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とする画像形成装置。
  3. 複数の支持回転体に掛け渡された無端状の複数のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    複数の画像の各々を該複数のベルト上に形成する画像形成手段と、
    該複数のベルト上に形成された複数の画像を互いに重ね合わせて被転写体上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記複数の支持回転体のうち、ベルト移動方向に互いに近接配置され、かつ、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、
    上記検出手段が同一時刻に検出した上記2つの支持回転体の回転情報からそれぞれ求められる該2つの支持回転体の回転変動情報が互いに同位相であるとして求めた近似回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、該複数の画像の各々を上記複数のベルト上に形成することを特徴とする画像形成装置。
  4. 複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    該ベルト上又は該ベルトが担持搬送する記録材上に複数の画像を互いに重なり合うようにそれぞれ所定の画像形成タイミングで形成して、該ベルト上又は該記録材上に重ね画像を形成する画像形成手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、
    上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体間の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを加算処理し、その処理結果について更に該加算処理を行うという処理をn(n≧1)回繰り返し行い、第n回目の加算処理時における該ゲインとして第1回目の加算処理時におけるゲインGを2 n-1 乗したものを使用し、かつ、第n回目の加算処理時における該遅延時間として該ベルト通過時間を2 n-1 倍したものを使用し、第n回目の加算処理後に得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とする画像形成装置。
  5. 複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    該ベルト上に順次複数の画像を形成する画像形成手段と、
    該ベルト上に互いに重なり合うように形成された複数の画像を被転写体上に順次転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、
    上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体間の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを加算処理し、その処理結果について更に該加算処理を行うという処理をn(n≧1)回繰り返し行い、第n回目の加算処理時における該ゲインとして第1回目の加算処理時におけるゲインGを2 n-1 乗したものを使用し、かつ、第n回目の加算処理時における該遅延時間として該ベルト通過時間を2 n-1 倍したものを使用し、第n回目の加算処理後に得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とする画像形成装置。
  6. 複数の支持回転体に掛け渡された無端状の複数のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    複数の画像の各々を該複数のベルト上に形成する画像形成手段と、
    該複数のベルト上に形成された複数の画像を互いに重ね合わせて被転写体上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、
    上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体間の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを加算処理し、その処理結果について更に該加算処理を行うという処理をn(n≧1)回繰り返し行い、第n回目の加算処理時における該ゲインとして第1回目の加算処理時におけるゲインGを2 n-1 乗したものを使用し、かつ、第n回目の加算処理時における該遅延時間として該ベルト通過時間を2 n-1 倍したものを使用し、第n回目の加算処理後に得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とする画像形成装置。
  7. 複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    該ベルト上又は該ベルトが担持搬送する記録材上に複数の画像を互いに重なり合うようにそれぞれ所定の画像形成タイミングで形成して、該ベルト上又は該記録材上に重ね画像を形成する画像形成手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、
    上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを出力情報とし、該出力情報を帰還して該2つの回転変動情報に加算する処理を行って得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とする画像形成装置。
  8. 複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    該ベルト上に順次複数の画像を形成する画像形成手段と、
    該ベルト上に互いに重なり合うように形成された複数の画像を被転写体上に順次転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、
    上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを出力情報とし、該出力情報を帰還して該2つの回転変動情報に加算する処理を行って得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とする画像形成装置。
  9. 複数の支持回転体に掛け渡された無端状の複数のベルトと、
    駆動源からの回転駆動力により該ベルトが無端移動するように該ベルトを駆動する駆動手段と、
    複数の画像の各々を該複数のベルト上に形成する画像形成手段と、
    該複数のベルト上に形成された複数の画像を互いに重ね合わせて被転写体上に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
    記憶手段と、
    上記複数の支持回転体のうち、径が異なる2つの支持回転体における回転角変位又は回転角速度の回転情報を検出する検出手段と、
    上記2つの支持回転体の一方あるいは両方の回転情報に含まれる位相の異なる2つの回転変動情報に対し、ベルト移動経路上における該2つの支持回転体の距離をベルトが移動するのに要するベルト通過時間である遅延時間と所定のゲインとを与えたものを出力情報とし、該出力情報を帰還して該2つの回転変動情報に加算する処理を行って得られる回転変動情報を用いて、上記複数の画像を上記ベルト上又は上記記録材上にそれぞれ形成する際の各画像形成タイミングに対する、該ベルトの周方向におけるピッチ線距離の変動から発生するベルト速度変動による該ベルト上又は該記録材上での該複数の画像の位置ズレを小さくするための補正情報を決定し、決定した補正情報を上記記憶手段に記憶する補正情報決定手段とを有し、
    上記画像形成手段は、上記記憶手段に記憶された各補正情報に従って補正された画像形成タイミングで、上記ベルト上に該複数の画像を順次形成することを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記ベルトが1周するのに要する時間に相当する期間についての回転変動情報を記憶する変動情報記憶手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記補正情報決定手段は、上記補正情報を所定のタイミングで再び決定する処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記画像形成手段は、上記補正情報決定手段が行う上記補正情報を決定するための処理と並行して、該補正情報決定手段が決定した各補正情報に従って画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載のベルト駆動制御装置において、
    少なくともベルト一周分の過去の回転変動情報を記憶する過去情報記憶手段を有し、
    上記画像形成手段は、該過去情報記憶手段に記憶された過去の回転変動情報と新たに求めた回転変動情報とから得られたものを用いて、画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記駆動源は、駆動信号に応じて所定の回転角変位又は回転角速度で回転駆動するモータであり、
    上記2つの支持回転体として、該駆動源からの回転駆動力の上記ベルトへの伝達に寄与しない従動支持回転体と、該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体とを用い、
    上記補正情報決定手段は、上記検出手段が検出した該従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度と、該駆動源に入力される駆動信号から得られる該駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度とを、上記回転情報として用い、上記補正情報を決定することを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記2つの支持回転体として、上記駆動源からの回転駆動力の上記ベルトへの伝達に寄与しない2つの従動支持回転体を用い、
    上記補正情報決定手段は、上記検出手段が検出した該2つの従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を上記回転情報として用いて上記補正情報を決定することを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記検出手段検出結果に基づいて上記駆動源の駆動制御を行う駆動制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記ベルトの基準ベルト移動位置を把握するために、該ベルト上の基準位置を示すマークを検知するマーク検知手段を有し、
    上記補正情報決定手段は、該マーク検知手段による検知タイミングを基準に上記回転情報を取得し、
    上記画像形成手段は、該マーク検知手段による検知タイミングを基準に該補正情報決定手段が決定した各補正情報に従って画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
  18. 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記補正情報決定手段は、ピッチ線距離の変動とベルト移動位置との関係情報を、予め把握している上記ベルトが1周するのに要する平均時間又は予め把握しているベルト周長に基づいて把握して上記補正情報を決定し、
    上記画像形成手段は、該補正情報決定手段が把握した上記関係情報及び該補正情報決定手段が決定した各補正情報に従って、画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
  19. 請求項1乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記ベルトは、ベルト周方向の少なくとも1箇所につなぎ目を有するものであることを特徴とする画像形成装置。
  20. 請求項1乃至19のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    上記ベルトは、ベルト厚さ方向に複数の層を有するものであることを特徴とする画像形成装置。
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