JP2008129518A - ベルト移動装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】副走査についてベルトの速度変動と、ベルト目標位置からの位置ずれを小さくでき、主走査についても高精度な位置制御が行えるベルト移動装置を提供し、該ベルト移動装置を用いて形成画像の主走査と副走査の双方について色ずれを防止し高画質な画像を形成できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ベルト寄り制御手段は、可動手段300の制御内容に対して、無端ベルト101の1周内の寄り位置変動を打ち消す目標値をフィードバックするとともに、可動手段300の目標値の伝達特性に該可動手段300の逆伝達特性を乗じた値をフィードフォワードすることにより無端ベルト101の1周内の寄り位置変動を小さくする。
【選択図】図1
【解決手段】ベルト寄り制御手段は、可動手段300の制御内容に対して、無端ベルト101の1周内の寄り位置変動を打ち消す目標値をフィードバックするとともに、可動手段300の目標値の伝達特性に該可動手段300の逆伝達特性を乗じた値をフィードフォワードすることにより無端ベルト101の1周内の寄り位置変動を小さくする。
【選択図】図1
Description
本発明は、ベルト移動装置および画像形成装置に関し、より詳しくは画像形成装置その他の各種装置に用いられるベルト移動装置における移動制御の高精度化に関する。
中間転写ベルト、紙搬送ベルト等のベルト移動装置においては、ベルト駆動時にベルトの寄りを抑えるため、ベルト端面に寄りガイドが取りつけられているが、真直度が200μm/1200mm程度であるためにベルトが蛇行する。例えばカラーのタンデム機においては、こうしたベルトの蛇行によって、形成画像に主走査方向のレジストずれが発生する。
ここで、タンデム画像形成装置は、例えばイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段を横に並べて配置した構成となっている。このタンデム画像形成装置において、個々の画像形成手段は、詳しくは、例えば図21に示すように、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64などを備えてなる。なお、図21に示した構成は、特許文献1に開示されたものに相当していて、図中の符号は同公報に準じて付されている。
また、タンデム画像形成装置などに使用される中間転写ベルト(以下、中間転写ベルトとも記す)の位置は、ベルト搬送装置によって高精度に制御される。図22は、公知のベルト搬送装置(特許文献2に開示のもの)を示した平面図である。このベルト搬送装置は、無端状のベルト1801を駆動する駆動ロール1802にエンコーダ1803を設け、駆動ロール1802が1回転するごとに1回インデックス信号を発生する。また、ベルト1801上の1箇所にマーク1804が設けられ、センサ1805でその通過時間を読み取る。
ところで、この種の画像形成装置などに使用される中間転写ベルトの位置は、ベルト搬送装置によって制御される。先の図22に示したベルト搬送装置(特許文献2開示のもの)における制御を説明する。図22のベルト搬送装置では、無端状のベルト1801を駆動する駆動ロール1802にもうけられたエンコーダ1803が、駆動ロール1802が1回転するごとに1回インデックス信号を発生する。また、ベルト1801上の1箇所に設けられたマーク1804を利用して、センサ1805でその通過時間を読み取る。
制御手段(図示せず)は、これらインデックス信号とマークの検出信号の関係に基づきベルト1801の速度変動(駆動軸の偏心)を求め、偏心を補正するように速度制御する。ベルト1801は、画像形成装置の中間転写ベルトとして用いられ、画像形成に用いる色数分の回転をおこなうものであり、1色目の駆動の速度のパターンをベルト1801上のマーク1804で読み取り、2色目以降の速度パターンとする。
また、駆動ロール1802の偏心により、ベルト1801の速度変動が発生するのを防ぐため、ベルト1801の速度変動を打ち消すように駆動ロール1802を速度制御する。具体的には、ベルト周長のずれを利用して、駆動ロール1802の回転角度とベルト1801の速度変動の対応をフーリエ変換で求め、駆動ロール1802の目標速度に位相と振幅を加え、ベルト1801の速度を一定に制御している。
しかしながら、上述のベルト搬送装置では、速度制御によってベルト1801の位置を制御しているので、時間とともに位置偏差が大きくなる。特に、カラーコピーのように、4色のブラック、イエロー、マゼンダ、シアンのトナー各色を中間転写ベルト上に順番に重ね合わせて用いる際には色ずれとなって現れる。位置誤差が、外乱等で生じた場合、そのまま色ずれをした状態になる。すなわち、位置制御の場合は、ある時点で色ずれを起こしても、その後目標位置に追従できる。これに対し、上記従来の速度制御では、位置誤差が起きた後は、このずれた状態を解消できないという問題があった。
このため、例えば特許文献3では、副走査方向の制御について改善するためバウンディング等のベルトの速度変動と、ベルト目標位置からの位置ずれを小さくでき、高精度な位置制御がおこなえ、形成する画像の色ずれを防止し高画質な画像を形成するための技術を提案している。当該技術では、ベルト表面目標位置の指令1は、直接、駆動軸目標位置(角度)に変換される。ベルト表面目標位置の指令2は、ベルト表面位置(表面目標位置)と比較手段301で比較し偏差が表面位置制御手段302で演算され、駆動軸目標位置(角度)に変換されて加算手段303で指令1と足し算が実行される。駆動軸目標位置(角度)と駆動軸角度の偏差が比較手段304で得て位置制御手段305で演算され、駆動対象のモータに電流として与えられ、駆動対象が目標位置に追従して駆動される。
詳細な説明は省略するが、本発明に関連深い技術についてのみ後に触れる。この特許文献3の発明によると、バウンディング等のベルトの速度変動と、ベルト目標位置からの位置ずれを小さくでき、高精度な位置制御がおこなえるベルト移動装置および該装置を備えて形成する画像の色ずれを防止し高画質な画像を形成できるとされる。
上記特許文献1によれば、副走査方向の精度向上が達成されるが、主走査方向の制御は行われておらず十分な画像性能が得られない場合も考えられる。すなわち、前述したように、ベルト移動装置である中間転写ベルト、紙搬送ベルト等においては、ベルト駆動時にベルトの寄りを抑えるため、ベルト端面に寄りガイドを取りつけた場合でも一般的には、真直度が200μm/1200mm程度であるためにベルトが蛇行する。カラーのタンデム機においては、こうしたベルトの蛇行によって、形成画像に主走査方向のレジストずれが発生し十分な性能が得られない慮がある。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、ベルトの寄り方向の位置をフィードバック制御及びフィードフォアード制御することにより、主走査についても高精度な位置制御がおこなえるベルト移動装置を提供し、また、該装置を備えることで形成する画像の主走査と副走査の双方について色ずれを防止し高画質な画像を形成できる画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の(1)〜(6)の発明である。
(1)主走査方向、副走査方向に移動可能な無端ベルトと、該無端ベルトを副走査方向に移動させる駆動ローラと、該駆動ローラの対向位置に配置された少なくとも1つの対向ローラと、前記対向ローラのうち少なくとも1つを前記駆動ローラに対して平行あるいは非平行となるように回転可能な可動ローラとし、該可動ローラについて回転目標位置に可動できる可動手段と、該可動手段を制御して前記無端ベルトの主走査方向のベルト寄りを抑制するベルト寄り制御手段と、前記無端ベルトの位置を検出する主走査検出センサとを備えるベルト移動装置において、前記ベルト寄り制御手段は、前記可動手段の制御内容に対して、前記無端ベルト1周内の寄り位置変動を打ち消す目標値をフィードバックするとともに、可動手段の目標値の伝達特性に該可動手段の逆伝達特性を乗じた値をフィードフォワードすることにより無端ベルト1周内の寄り位置変動を小さくすることを特徴とするベルト移動装置。
(2)前記ベルト寄り制御手段は、前記可動手段の制御内容に対して、無端ベルトの一周周期の寄り補正については別の目標値を与えることを特徴とする前記(1)に記載のベルト移動装置。
(3)前記可動手段の目標値の伝達関数はサイン波形であり、可動手段の伝達特性は二次系の関数であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のベルト移動装置。
(4)前記無端ベルト一周内の寄り位置変動は、該無端ベルト一周周期の移動量を可動手段で取り除いた後に、前記主走査検出センサで検出されることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のベルト移動装置。
(5)前記可動ローラのローラ角度を検出するローラ角度検出センサの値と、前記主走査検出センサによる前記無端ベルト1周内の寄り位置変動の値とから無端ベルト1周内の寄り位置変動を減じる目標値を求めることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のベルト移動装置。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のベルト移動装置を中間転写ベルトとして用いることを特徴とするタンデム型の画像形成装置。
(1)主走査方向、副走査方向に移動可能な無端ベルトと、該無端ベルトを副走査方向に移動させる駆動ローラと、該駆動ローラの対向位置に配置された少なくとも1つの対向ローラと、前記対向ローラのうち少なくとも1つを前記駆動ローラに対して平行あるいは非平行となるように回転可能な可動ローラとし、該可動ローラについて回転目標位置に可動できる可動手段と、該可動手段を制御して前記無端ベルトの主走査方向のベルト寄りを抑制するベルト寄り制御手段と、前記無端ベルトの位置を検出する主走査検出センサとを備えるベルト移動装置において、前記ベルト寄り制御手段は、前記可動手段の制御内容に対して、前記無端ベルト1周内の寄り位置変動を打ち消す目標値をフィードバックするとともに、可動手段の目標値の伝達特性に該可動手段の逆伝達特性を乗じた値をフィードフォワードすることにより無端ベルト1周内の寄り位置変動を小さくすることを特徴とするベルト移動装置。
(2)前記ベルト寄り制御手段は、前記可動手段の制御内容に対して、無端ベルトの一周周期の寄り補正については別の目標値を与えることを特徴とする前記(1)に記載のベルト移動装置。
(3)前記可動手段の目標値の伝達関数はサイン波形であり、可動手段の伝達特性は二次系の関数であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のベルト移動装置。
(4)前記無端ベルト一周内の寄り位置変動は、該無端ベルト一周周期の移動量を可動手段で取り除いた後に、前記主走査検出センサで検出されることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のベルト移動装置。
(5)前記可動ローラのローラ角度を検出するローラ角度検出センサの値と、前記主走査検出センサによる前記無端ベルト1周内の寄り位置変動の値とから無端ベルト1周内の寄り位置変動を減じる目標値を求めることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のベルト移動装置。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のベルト移動装置を中間転写ベルトとして用いることを特徴とするタンデム型の画像形成装置。
本発明の効果として、請求項1の発明によれば、ベルトの寄り方向の位置をフィードバック制御とフィードフォワード制御することにより、時間遅れがない可動ローラの応答を実現でき、可動ローラの偏芯による主走査の蛇行を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、ベルト一周周期の寄りを補正する目標値をフィードバック制御とフィードフォワード制御に追加することにより、駆動ローラと可動ローラの傾きによる主走査の寄りを抑制でき無端ベルトに寄り止めがないベルト移動装置が実現できる。
請求項3の発明によれば、目標値をサイン波形、制御対象を二次系にすることにより、時間遅れがなく出力と目標値を一致する制御が実現できるため、ローラの偏芯による主走査の蛇行を抑制することができる。
請求項4の発明によれば、ベルト一周周期の寄り量が最も少ないローラ位置で駆動することにより、ローラの偏芯周波数と位相とベルト蛇行量が検出できるので蛇行量を補正する目標値を求めることができ、ローラの偏芯による主走査の蛇行を抑制することができる。
請求項5の発明は蛇行量を少なくするための目標値の決め方であり、これによればローラの偏芯は一回転毎に発生することを考慮しているので目標値の位相ズレが発生しないため、主走査の蛇行を抑制することができる。
請求項6の発明によれば、中間転写ベルト装置が主走査方向、副走査方向のいずれも高精度に位置決め追従制御できるベルト移動装置であるため、画像形成装置における色ずれを抑えることができる。
請求項2の発明によれば、ベルト一周周期の寄りを補正する目標値をフィードバック制御とフィードフォワード制御に追加することにより、駆動ローラと可動ローラの傾きによる主走査の寄りを抑制でき無端ベルトに寄り止めがないベルト移動装置が実現できる。
請求項3の発明によれば、目標値をサイン波形、制御対象を二次系にすることにより、時間遅れがなく出力と目標値を一致する制御が実現できるため、ローラの偏芯による主走査の蛇行を抑制することができる。
請求項4の発明によれば、ベルト一周周期の寄り量が最も少ないローラ位置で駆動することにより、ローラの偏芯周波数と位相とベルト蛇行量が検出できるので蛇行量を補正する目標値を求めることができ、ローラの偏芯による主走査の蛇行を抑制することができる。
請求項5の発明は蛇行量を少なくするための目標値の決め方であり、これによればローラの偏芯は一回転毎に発生することを考慮しているので目標値の位相ズレが発生しないため、主走査の蛇行を抑制することができる。
請求項6の発明によれば、中間転写ベルト装置が主走査方向、副走査方向のいずれも高精度に位置決め追従制御できるベルト移動装置であるため、画像形成装置における色ずれを抑えることができる。
以下に、本発明に係るベルト移動装置の構成について説明する。
図1は、本発明に係るベルト移動装置の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、ベルト移動装置は、駆動対象である無端ベルト101を有し、無端ベルトの裏面の所定位置には2D計測用パターン107が形成されている。無端ベルト101は、該無端ベルト101を移動または停止させる駆動ローラ102、図中上下方向に移動可能に構成された可動ローラ301、および複数の支持ローラ(従動軸)111に掛け回して張設されており、無端ベルト101の移動(副走査)方向の駆動は、駆動ローラ102とその軸(駆動軸)、駆動軸ギヤ103、モータ軸ギヤ104などの伝達系を介して駆動源である副走査モータ106に連結され駆動される。
図1は、本発明に係るベルト移動装置の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、ベルト移動装置は、駆動対象である無端ベルト101を有し、無端ベルトの裏面の所定位置には2D計測用パターン107が形成されている。無端ベルト101は、該無端ベルト101を移動または停止させる駆動ローラ102、図中上下方向に移動可能に構成された可動ローラ301、および複数の支持ローラ(従動軸)111に掛け回して張設されており、無端ベルト101の移動(副走査)方向の駆動は、駆動ローラ102とその軸(駆動軸)、駆動軸ギヤ103、モータ軸ギヤ104などの伝達系を介して駆動源である副走査モータ106に連結され駆動される。
また、無端ベルト101の2D計測用パターン107に対向してその信号を読み取る2Dセンサ108Aが該無端ベルト101の円周内に配置されている。2Dセンサ108Aは、ベルトの寄り(主走査)方向とベルトの移動(副走査)方向の位置を検出できる。無端ベルト101の制御の演算は、制御コントローラ200で実施しており、主走査方向の制御は、ローラ可動手段(可動手段ということもある)300を駆動することにより行う。また副走査方向の制御は、副走査モータ106を駆動することにより行う。さらに駆動ローラ102の一端には、この駆動軸102の回転を検出するベルト駆動軸エンコーダ(検出センサ)(図示せず)が取り付けられている。
ベルト移動装置の駆動力の伝達機構は、ここではギヤによる伝達機構について説明したが、タイミングベルトによる伝達機構や駆動対象にモータが直結するダイレクト機構でもよい。
次に制御コントローラ200のハードウェア構成を図2により説明する。まず全体の制御を受け持つマイクロコンピュータ201が設けられている。このマイクロコンピュータ201は、移動機構全体の制御を受け持つ。このマイクロコンピュータ201には、マイクロプロセッサ(CPU)202と、リードオンリーメモリー(ROM)203、ランダムアクセスメモリ(RAM)204がそれぞれバスを介して接続されている。
また、前記2Dセンサ(主走査センサと副走査センサ)108Aを介しての2D計測用パターン107の移動に対応したセンサ出力は、補正情報作成手段109と状態検出用のインターフェイス205、バス206を介して前記マイクロコンピュータ201に入力されている。ここに、前記状態検出用のインターフェイス205は補正情報作成手段109からのマーカ出力のカウント(粗カウンター)と信号補間クロックのカウント(密カウンター)、および駆動軸エンコーダ108B(検出センサB)のカウントを処理してデジタル数値に変換するもので、パルスの数を計数する機能を備えている。この際、この状態検出用のインターフェイス205は補正情報作成手段109が持つ原点(ホームポジション)情報を利用することで、無端ベルト101の移動位置との対応付け(相関)をとる機能を備える場合もある。
さらに前記副走査モータ106は、マイクロコンピュータ201に対してバス206,駆動用I/F208,ドライバ209を介して接続されている。これら駆動用I/F208,210は、マイクロコンピュータ201における演算結果のデジタル信号をアナログ信号に変換して、駆動装置であるモータ駆動用ドライバ209,211に与え、副走査モータ106に印加する電流や電圧を制御する。この結果、無端ベルト101は所定の目標位置に追従するように駆動される。この時の無端ベルト101の位置は2D計測用パターン107の副走査センサ出力として、補正情報作成手段109を介して状態検出用のインターフェイス205により検出されてマイクロコンピュータ201に取り込まれる。補正情報作成手段109は、2D計測用パターン107の間隔が広い場合は、2D計測用パターン107の間隔の中をクロックで位置補間してもよい。
また2Dセンサ(主走査センサと副走査センサ)108Aは、ベルト寄り方向(主走査)の位置を検出できる機能を持つ。検出された位置情報をマイクロコンピュータ201に取り込み、ベルト寄り方向の制御演算を行い、可動ローラ駆動用インターフェイス207を介してドライバ211により押圧手段(アクチュエータ)306を駆動し可動ローラ301を上下方向に駆動する。検出センサ307は可動ローラ301の位置を検出するものであり、可動ローラ駆動のための位置情報(可動ローラ角度)を得る。押圧手段306としてリニアモータを、検出センサ307には、リニアモータに取りつけられたリニアセンサを用いているが、これら部分には回転モータでカムを用いて直線に動かすものを用いてもよい。また可動ローラ301の回転角度を検出するセンサによりローラ1回転の偏芯の周期と位相を検出することができる。
本実施形態のベルト移動装置の位置制御方法は、上述した如きマイクロコンピュータ201における演算処理機能により実行されるが、マイクロコンピュータ201の代わりに数値演算処理能力がより高いDSP(デジタルシグナルプロッセサ)を用いてもよい事は明らかである。
以下、図3を用いて、本実施形態のベルト寄り制御手段における位置制御方法についてより詳細に説明する。図3は、ローラ可動手段300部分の構成・動作を説明する模式構造図である。図3(a)は、可動ローラ301が駆動ローラ(駆動軸)102と平行な状態を示しており、図3(b)は、可動ローラ301が駆動ローラ102と平行でない(非平行)状態を示している。
可動ローラ301において、可動ローラ301の軸である可動ローラ軸302は、その一端が自動調心軸受け303により回転自在に支持され、他端は軸受けホルダー304によって支持されている。軸受けホルダー304はバネ手段305によって一方向に付勢されるとともに反対側にリニアモータなどの押圧手段(アクチュエータ)306が当接された構成で、押圧手段306が上下方向に移動するのに応じて可動ローラ301は自動調心軸受け303を回転の中心として回転(旋回)し、所定の可動ローラ301の位置(例えば初期位置)からの角度(可動ローラ角度)を変化させることができる。
可動ローラ301が駆動ローラ(駆動軸)102と平行な状態の場合(図3(a))では、無端ベルト(図示省略)を移動させても該無端ベルトの寄りは起こらない。可動ローラ301の回転中心は、自動調心軸受け303である。軸受けホルダー304はバネとリニアモータなどの押圧手段306で図中上下方向に動く。一方、図3(b)の、可動ローラ301が駆動ローラ102と平行でない状態の場合は、無端ベルトを移動させると該無端ベルトの寄りが起こる。そこで、ローラ可動手段300によりドライバを介して可動ローラ301の押圧手段(アクチュエータ)306に駆動信号を与え可動ローラ301を上下方向に動かして無端ベルトの寄りによる影響を排除する。
図4のフローチャートに従って、本実施形態におけるローラ最適位置の検出手順について説明をする。
先ず始めに可動ローラ301の初期位置は、該可動ローラ301にかかる重力とバネ305による釣り合いの位置になる。この可動ローラ301の初期位置をr0とする。
その位置(S12)で無端ベルト101の移動制御を行い、等速時(S11)にベルト寄り量の測定を開始する(S13)。無端ベルト101が1周した時点(S14のYES)でベルト寄り量の測定を終了する(S15)。もちろんベルト1周に限定されるものではなくベルト移動をn周計ってベルト寄り量を求めてもよい。
次に、ローラ可動手段300により可動ローラ301を初期位置からA点の位置に移動させる(S16)。その位置でベルト移動制御を行い、等速時にベルト寄り量の測定を開始する(S17)。無端ベルトが1周した時点(S18のYES)でベルト寄り量の測定を終了する(S19)。もちろんn周計って寄り量を求めてもよい。
次に、計算により可動ローラ301のローラ最適位置を求める(S1a)。詳細は図5で後述する。
可動ローラ301のローラ最適位置が求まったら、該可動ローラ301をローラ最適位置に移動し、可動ローラ301がローラ最適位置を保つようにフィードバック制御する。ローラ最適位置でベルト移動制御することにより(S1b)、ベルトの寄りを抑えることができる。
先ず始めに可動ローラ301の初期位置は、該可動ローラ301にかかる重力とバネ305による釣り合いの位置になる。この可動ローラ301の初期位置をr0とする。
その位置(S12)で無端ベルト101の移動制御を行い、等速時(S11)にベルト寄り量の測定を開始する(S13)。無端ベルト101が1周した時点(S14のYES)でベルト寄り量の測定を終了する(S15)。もちろんベルト1周に限定されるものではなくベルト移動をn周計ってベルト寄り量を求めてもよい。
次に、ローラ可動手段300により可動ローラ301を初期位置からA点の位置に移動させる(S16)。その位置でベルト移動制御を行い、等速時にベルト寄り量の測定を開始する(S17)。無端ベルトが1周した時点(S18のYES)でベルト寄り量の測定を終了する(S19)。もちろんn周計って寄り量を求めてもよい。
次に、計算により可動ローラ301のローラ最適位置を求める(S1a)。詳細は図5で後述する。
可動ローラ301のローラ最適位置が求まったら、該可動ローラ301をローラ最適位置に移動し、可動ローラ301がローラ最適位置を保つようにフィードバック制御する。ローラ最適位置でベルト移動制御することにより(S1b)、ベルトの寄りを抑えることができる。
図5,図6,図7を用いて、可動ローラ301のローラ最適位置の求め方を説明する。ここで、可動ローラ301がローラ最適位置にある場合、ベルト寄りは0になる。
図5は、可動ローラ301の軸受けホルダー304側の端部の上下位置(ローラ位置)を示すものである。図中の白丸(○)は、可動ローラ301の初期位置であり、ベルト移動装置の組み付け状態によって可動ローラ301の最適位置(図中黒丸●)は、初期位置に対して上になるか下になっている。すなわち、図5(a)、図5(b)は、可動ローラ301の初期位置が最適位置より上にある場合を示しており、図5(c)、図5(d)は、可動ローラ301の初期位置が最適位置より下にある場合を示している。
ここで、可動ローラ301が最適位置より上にある場合、無端ベルト101を移動させると該無端ベルト101がある一方向(仮に+方向)に寄るとすると、可動ローラ301が最適位置より下にある場合、無端ベルト101は逆方向(−方向)に寄る。
図5(a)のA点は、可動ローラ301を初期位置から下方向に移動させた点である。無端ベルト101を等速で移動させている時、可動ローラ301が最適位置より下に行き過ぎたため、無端ベルト101は−(マイナス)方向に寄る。また、図5(b)のA点も、可動ローラ301を初期位置から下方向に移動させた点である。無端ベルト101を等速で移動させている時、可動ローラ301が最適位置にまだ到達していないので、無端ベルト101は+(プラス)方向に寄るが、ベルト寄り量は、可動ローラ301が初期位置にある場合よりも小さくなる。
図5(c)のB点は、可動ローラ301を初期位置から上方向に移動させた点である。無端ベルト101を等速で移動させている時、可動ローラ301は最適位置より上に行き過ぎたため、無端ベルト101が+(プラス)方向に寄る。また、図5(d)のB点も、可動ローラ301を初期位置から上方向に移動させた点である。無端ベルト101を等速で移動させている時、可動ローラ301が最適位置にまだ到達していないので、無端ベルト101は−(マイナス)方向に寄るが、ベルト寄り量は、可動ローラ301が初期位置にある場合よりも小さくなる。
図6は、可動ローラ301の上下位置(ローラ位置)とベルト寄り量の関係を示している。可動ローラ301が最適位置にある場合(図中ローラ位置が0のとき)では、ベルト寄り量が0となり、図の原点になる。またローラ位置とベルト寄り量をプロットすると原点を通る直線になる。図6は、最適位置よりローラ初期位置が上にある場合、無端ベルト101を移動させると該無端ベルト101は、+方向に寄る。図中A点は、可動ローラ301を最適位置より下に移動させた点である。この場合、無端ベルト101を等速で移動させている時、可動ローラ301が最適位置より下に行き過ぎたため、無端ベルト101は−(マイナス)方向に寄ることになる。したがって、最適位置は可動ローラ301の初期位置とそのときのベルト寄り量、A点の位置とそのときのベルト寄り量が分かれば計算で求めることが出来る。
ここで図4のフローチャートに当てはめると、まず始めに可動ローラ301の初期位置は、該可動ローラ301にかかる重力とバネ305による釣り合いの位置になる。この可動ローラ301の初期位置をr0とする。ついで、その位置でベルト移動制御を行い、等速時にベルト寄り量の測定を開始し無端ベルト101が1周あるいは複数周(n周)した時点でベルト寄り量の測定を終了する。
ここで無端ベルト101が1周した場合を考えると、例えば、ベルト移動速度:Vb、ベルト1周長さ:Db1とし、ベルト1周の寄り量:Xb1r0の時、ベルト寄り速度Vxb1r0とすると、次式のようになる。
Vxb1r0 = Xb1r0/(Db1/Vb)
Vxb1r0 = Xb1r0/(Db1/Vb)
また、無端ベルト101がn周した場合を考えると、ベルトn周の寄り量:Xbnr0の時、ベルト寄り速度Vxbnr0とすると、次式のようになる。
Vxbnr0 = Xbnr0/(n×Db1/Vb)
Vxbnr0 = Xbnr0/(n×Db1/Vb)
次に、図7を参照しながらローラ最適位置を求める方法を説明する。
可動ローラ301がローラ初期位置r0から移動した位置をr1とする。その位置でベルト移動制御を行い、等速時にベルト寄り量の測定を開始しベルトが1周した時点でベルト寄り量の測定を終了する。もちろんn周計って寄り量を求め、ベルト移動速度に対するベルト寄り速度を求めても良い。
可動ローラ301がローラ初期位置r0から移動した位置をr1とする。その位置でベルト移動制御を行い、等速時にベルト寄り量の測定を開始しベルトが1周した時点でベルト寄り量の測定を終了する。もちろんn周計って寄り量を求め、ベルト移動速度に対するベルト寄り速度を求めても良い。
ここで、ベルト1周の寄り量がXb1r1、ローラ初期位置r0とし、ローラ初期位置r0=0とすると、ベルト寄り量Xbとローラ位置rの関係は次式のようになる。
Xb = (Xb1r0−Xb1r1)/(0− r1)×r+Xb1r0
Xb = (Xb1r0−Xb1r1)/(0− r1)×r+Xb1r0
このとき、ローラ最適位置roptは、Xb=0の点であるから、次式の関係が得られる。
Ropt = − Xb1r0/(Xb1r0−Xb1r1)/(0− r1)
Ropt = − Xb1r0/(Xb1r0−Xb1r1)/(0− r1)
図8は、無端ベルト101が所定の位置からずれた場合の位置制御に関するフローチャートである。現実には可動ローラ301が最適位置にあっても何周もすると無端ベルト101がわずかずつ寄り規定値を超えることがある。そのため無端ベルト101を主走査方向の初期位置に戻す必要がある。
はじめにベルト移動方向等速制御と可動ローラ最適位置制御を実施する(S21)。
つぎに、ベルト寄り量を2Dセンサ108Aで検出する(S22)。
このベルト寄り量が規定値以下の場合(S23のYes)は、継続して無端ベルト101の移動制御(ベルト移動方向等速制御)をする。
ベルト寄り量が規定値を超えたら(S23のNo)、無端ベルト101の移動制御(ベルト移動方向等速制御)を止め、無端ベルト101が初期位置に向かう方向に可動ローラ位置を移動する(S24)。
その位置で、ベルト移動方向等速制御と可動ローラ位置制御をする(S25)。
つぎに、無端ベルト101が主走査方向の初期位置にきたら(S26のYes)、ベルトの移動制御を止め、可動ローラ301を最適位置へ移動させる(S27)。
その位置で、ベルト移動方向等速制御と可動ローラ最適位置制御をする(S28)。
ついで、ベルト寄り量を2Dセンサ108Aで検出し、ベルト寄り量が規定値を超えたら(S29のNo)、ステップS24以降の可動ローラ301の位置変更制御を繰り返す。
つぎに、ベルト寄り量を2Dセンサ108Aで検出する(S22)。
このベルト寄り量が規定値以下の場合(S23のYes)は、継続して無端ベルト101の移動制御(ベルト移動方向等速制御)をする。
ベルト寄り量が規定値を超えたら(S23のNo)、無端ベルト101の移動制御(ベルト移動方向等速制御)を止め、無端ベルト101が初期位置に向かう方向に可動ローラ位置を移動する(S24)。
その位置で、ベルト移動方向等速制御と可動ローラ位置制御をする(S25)。
つぎに、無端ベルト101が主走査方向の初期位置にきたら(S26のYes)、ベルトの移動制御を止め、可動ローラ301を最適位置へ移動させる(S27)。
その位置で、ベルト移動方向等速制御と可動ローラ最適位置制御をする(S28)。
ついで、ベルト寄り量を2Dセンサ108Aで検出し、ベルト寄り量が規定値を超えたら(S29のNo)、ステップS24以降の可動ローラ301の位置変更制御を繰り返す。
ベルト寄り制御手段は、検出された可動手段のローラ位置の情報であるフィードバック信号を積分する積分器を含んだ構成であって、前記可動手段300のローラ位置が一定になるよう可動手段300を制御するコントローラを有する。
本構成について、図9、図10を用いて説明する。
次式に、可動ローラの伝達特性を示す。
本構成について、図9、図10を用いて説明する。
次式に、可動ローラの伝達特性を示す。
図9は、可動ローラの伝達特性のボード線図である。ローラ可動手段300の中にバネ系(バネ手段305)があるために共振系になっている。
図10(a)は、コントローラにおける積分器を含む一巡伝達特性であり、図10(b)はそのブロック図である。
図10(a)は、コントローラにおける積分器を含む一巡伝達特性であり、図10(b)はそのブロック図である。
ここで、本発明のベルト移動装置は、ベルト寄り制御手段が、ローラ可動手段300の押圧手段(アクチュエータ)306への入力に関して無端ベルト101が1周分移動する間のベルト寄り位置変動を打ち消す目標値のフィードバックと目標値の伝達特性にローラ可動手段300の逆伝達特性を乗じた値をフィードフォワードすることにより無端ベルト101の1周内の寄り位置変動を小さくする制御を行うことを特徴とする。
図11は、無端ベルト101の1周内の寄り位置変動を小さくする制御を行う場合のローラ可動手段300(の押圧手段(アクチュエータ)306)への入力内容を示したブロック図である。ここでは、ローラ可動手段300の押圧手段(アクチュエータ)306への入力uに関して、ローラ可動手段300の目標値の伝達関数R(s)にローラ可動手段300の逆伝達特性(1/P(s))を乗じた値がフィードフォワードされている。また、目標値の伝達関数R(s)と可動手段の出力である可動ローラ301の角度θ(s)の偏差が補償器で演算されて、無端ベルト101が1周分移動する間のベルト寄り位置変動を打ち消す目標値のフィードバックがされている。
次式に、図11のブロック図の関係から求められる可動手段の出力(可動ローラの角度)を示す。
(1.5)式より可動手段の出力を目標値の伝達関数に追従させることができる。すなわち、前述したフィードバックとフィードフォワードを併用することで、時間遅れがなく可動手段の出力と目標値を一致させることができる。そのため、可動ローラ301の偏芯による主走査方向の蛇行を打ち消す目標値を与えることで、主走査の蛇行を抑制できることが可能になる。
(1.5)式より可動手段の出力を目標値の伝達関数に追従させることができる。すなわち、前述したフィードバックとフィードフォワードを併用することで、時間遅れがなく可動手段の出力と目標値を一致させることができる。そのため、可動ローラ301の偏芯による主走査方向の蛇行を打ち消す目標値を与えることで、主走査の蛇行を抑制できることが可能になる。
また、本発明のベルト移動装置は、図11の構成に加えて、無端ベルト101の一周周期の寄り補正については別の目標値を与えることが好ましい。図12は、その構成とした場合のローラ可動手段300(の押圧手段(アクチュエータ)306)への入力内容を示したブロック図である。ここでは、ローラ可動手段300の押圧手段(アクチュエータ)306への入力uに関して、ローラ可動手段300の目標値の伝達関数R(s)にローラ可動手段300の逆伝達特性(1/P(s))を乗じた値がフィードフォワードされるとともに、目標値の伝達関数R(s)と可動手段の出力である可動ローラ301の角度θ(s)の偏差に無端ベルト101の一周周期の寄りをなくす目標値R2(s)が加えられて補償器で演算され、その値がフィードバックされている。
次式に、図12のブロック図の関係から求められる可動手段の出力(可動ローラの角度)を示す。
(2.5)式の右辺の第一項は、可動ローラの偏芯による主走査方向の蛇行を打ち消す目標値R(s)であり、第二項は可動ローラの傾きによる無端ベルト一周周期の寄りをなくす目標値R2(s)である。このとき、式中P(s)C(s)が1より十分大きければ目標値R2(s)と可動手段の出力θ(s)を一致させることができるため、主走査の寄りを抑制することが可能になる。
(2.5)式の右辺の第一項は、可動ローラの偏芯による主走査方向の蛇行を打ち消す目標値R(s)であり、第二項は可動ローラの傾きによる無端ベルト一周周期の寄りをなくす目標値R2(s)である。このとき、式中P(s)C(s)が1より十分大きければ目標値R2(s)と可動手段の出力θ(s)を一致させることができるため、主走査の寄りを抑制することが可能になる。
前述した図11あるいは図12のブロック図による制御を行うベルト移動装置においては、可動ローラ301の目標値の伝達関数はサイン波形であることが好ましく、また制御対象であるローラ可動手段300の伝達特性は二次系の関数であることが好ましい。その条件の場合の(1.2)式、(2.2)式におけるフィードフォアード項に関する導出の過程を次式に示す。また、そのときのフィードフォアード目標値のブロック図を図13に示す。ここでは、(3.3)式では分子の次数が高く実現困難なため伝達特性への影響が少ないフィルターを乗じることとしている。
また、本発明のベルト移動装置において、無端ベルト101の一周内の蛇行量検出は、ベルト一周周期の移動量をローラ可動手段300で取り除いた後に、主走査検出センサ(2Dセンサ108A)で検出することが好ましい。
図14は、無端ベルト一周内の蛇行量検出として、ベルト一周周期の移動量をローラ可動手段300で取り除いた場合と取り除かない場合のベルト主走査方向の位置変動を示している。ローラ可動手段300で取り除かない場合(図中ベルト寄りがある場合)は、蛇行と寄りの両方が発生している。図14では一秒間で約120μmの寄りがあった。それに対してローラ可動手段300で取り除いた場合(図中ベルト寄りを制御したとき)は、無端ベルトの寄りが取り除かれ、可動ローラの偏芯による蛇行のみが約50μm発生していた。この場合、周波数と蛇行の大きさがわかるので、それを打ち消す目標値を与えることで蛇行を抑えることが可能である。
また、本発明のベルト移動装置において、可動ローラ301のローラ角度を検出するローラ角度検出センサの値と、2Dセンサ108Aによる無端ベルト101の蛇行量とから該蛇行量を減ずる目標値R(s)を求めることが好ましい。図15はその説明図である。
図15(a)の曲線(1)は可動手段300のローラ角度の目標値が正しい場合である。可動手段300のローラ角度の大きさ,周波数,位相の設定が正しいため、可動ローラ301の偏芯で生じる蛇行を抑えることができる。図15(b)の実線(3)がその場合の目標値である。図中の点線(4)は可動ローラの偏芯によるローラ角度の振れであり目標値がローラ角度の振れを打ち消す関係となっている。
一方、図15(a)の曲線(2)は可動手段300のローラ角度の目標値が正しくない場合である。可動手段300のローラ角度の大きさ,周波数は正しいが、位相が正しくないため、可動ローラ301の偏芯で生じる蛇行を抑えることができない。図15(c)の実線(5)がその場合の目標値である。図中の点線(6)は可動ローラの偏芯によるローラ角度の振れであるが目標値の位相が正しくないため、ローラ角度の振れを大きくすることになり蛇行が大きくなっている。
以上のように、主走査方向の位置制御(寄り制御)を行うようにした本発明では、これまで説明した寄り制御に加えて、既知の副走査方向についての位置制御も同時に行うことができる。このために、例えば特許文献3に開示された技術を用いれば良い。図16は、駆動対象を表面位置フィードバックすることにより副走査方向についての位置制御を行う場合の該当制御部分を示したブロック図である。
ベルト表面目標位置の指令1は、直接駆動軸目標位置(角度)に変換され、指令2は、表面目標位置と比較し偏差が表面位置制御で演算され、さらに駆動軸目標位置(角度)に変換され足し算が実行される。その駆動軸目標位置(角度)と駆動軸角度の偏差が位置制御手段で演算されモータに電流が与えられ、駆動対象が目標位置に追従して駆動される。表面位置の偏差がない場合は、指令1により駆動軸の位置制御になるが、ベルトのスリップや駆動軸の偏心により、表面位置に偏差がでるとその偏差をなくすように駆動軸の目標角度を補正する。
ところで、これまで、説明した寄り検出のための構成を用いて、装置の異常監視機能を付加することが容易に可能になる。すなわち、可動ローラの移動方向とベルト寄り方向の関係が反対になったときを検出してベルト移動装置の異常と判断する監視手段を更に備えると好適で、装置の信頼性向上に寄与する。
本発明のベルト移動装置を画像形成装置の中間転写ベルト装置に用いた場合、主走査方向、副走査方向のいずれも高精度に位置決め追従制御できるベルト移動装置のため、色ずれを抑えた画像形成装置を実現でき用途として特に好適であるが、画像形成装置に限ることなく、それ以外の各種装置におけるベルト移動装置としても広く適用することができ、同様に高精度化に寄与する。
ここで、高精度なベルト位置制御が要求される中間転写ベルトに本発明のベルト移動装置を用いた、タンデム画像形成装置についてその概略を説明する。
図17〜図22は、タンデム画像形成装置の構成例を説明する図である。タンデム型の電子写真装置には、図17に示すように、各感光体1上の画像を転写装置2により、シート搬送ベルト3で搬送するシートsに順次転写する直接転写方式のものと、図18に示すように、各感光体1上の画像を1次転写装置2によりいったん中間転写体4に順次転写して後、その中間転写体4上の画像を2次転写装置5によりシートsに一括転写する間接転写方式のものとがある。なお、転写装置5は転写搬送ベルトであるが、ローラ形状も方式もある。
図17〜図22は、タンデム画像形成装置の構成例を説明する図である。タンデム型の電子写真装置には、図17に示すように、各感光体1上の画像を転写装置2により、シート搬送ベルト3で搬送するシートsに順次転写する直接転写方式のものと、図18に示すように、各感光体1上の画像を1次転写装置2によりいったん中間転写体4に順次転写して後、その中間転写体4上の画像を2次転写装置5によりシートsに一括転写する間接転写方式のものとがある。なお、転写装置5は転写搬送ベルトであるが、ローラ形状も方式もある。
直接転写方式のものと、間接転写方式のものとを比較すると、前者は、感光体1を並べたタンデム型画像形成装置Tの上流側に給紙装置6を、下流側に定着装置7を配置しなければならず、シート搬送方向に大型化する欠点がある。これに対し、後者は、2次転写位置を比較的自由に設置することができる。また、給紙装置6、および定着装置7をタンデム型画像形成装置Tと重ねて配置することができ、小型化が可能となる利点がある。
また、前者は、シート搬送方向に大型化しないためには、定着装置7をタンデム型画像形成装置Tに接近して配置することとなる。そのため、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、シートsの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚いシートで顕著となる)や、定着装置7を通過するときのシート搬送速度と、転写搬送ベルトによるシート搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい欠点がある。これに対し、後者は、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるから、定着装置7がほとんど画像形成に影響を及ぼさないようにすることができる。
以上のようなことから、最近は、タンデム型電子写真装置の中の、特に間接転写方式のものが注目されてきている。図18に示すように、この種のカラー電子写真装置では、1次転写後に感光体1上に残留する転写残トナーを、感光体クリーニング装置8で除去して感光体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていた。また、2次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていた。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態としてタンデム型間接転写方式の電子写真装置につき説明する。
図19は、タンデム型間接転写方式の電子写真装置の全体概略構成を示す断面図である。図中符号600は複写装置本体、700はそれを載せる給紙テーブル、800は複写装置本体600上に取り付けるスキャナ、900はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
図19は、タンデム型間接転写方式の電子写真装置の全体概略構成を示す断面図である。図中符号600は複写装置本体、700はそれを載せる給紙テーブル、800は複写装置本体600上に取り付けるスキャナ、900はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
複写装置本体600は、本発明のベルト移動装置を有しており、中央に、ベルト移動装置を構成する無端ベルト状の中間転写体10(以下、中間転写ベルト10と記す)が設けられている。中間転写ベルト10は、図20の断面図に示すように、ベース層11を、例えば伸びの少ないフッ素系樹脂や伸びの大きなゴム材料に帆布など伸びにくい材料で構成された基層をつくり、その上に弾性層12を設ける。弾性層12は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどでつくる。その弾性層12の表面は、例えばフッ素系樹脂をコーティングして平滑性のよいコート層13で被ってなる。
そして、図19に示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14・15・16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17を設けている。また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写ベルト10上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。
タンデム画像形成装置20において、個々の画像形成手段18は、詳しくは、例えば図21に示すように、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64などを備えてなる。
タンデム画像形成装置20の上には、図19に示すように、さらに露光装置21を設ける。一方、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写ベルト10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写ベルト10上の画像をシートに転写する。ついで、2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備えている。
この種の画像形成装置などに使用される中間転写ベルト10の位置は、前述した本発明のベルト移動装置によって制御される。
さて、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置900の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置900を開いてスキャナ800のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置900を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置900に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ800を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14・15・16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル700の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体600内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、手差しトレイ51上にシートがセットされている場合には、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
なお、ここまでの実施形態を挙げての説明では、画像形成装置の中間転写ベルトについて説明したが、これに限らず、中間転写ベルト以外の他のベルト移動装置として本発明のベルト移動装置を用いて良いことは言うまでもない。ベルトの移動方向と寄り方向の位置をフィードバック制御することにより、より精密に駆動できるベルト移動装置としてその効果を発揮する。
101…無端ベルト
102…駆動ローラ
103,104…ギヤ
106…副走査モータ
107…2D計測用パターン
108A…2Dセンサ
108B…光ヘッド(検出センサ、ベルト駆動軸エンコーダ)
109…補正情報作成手段
111…駆動軸
200…制御コントローラ
201…マイクロコンピュータ
202…マイクロプロセッサ(CPU)
203…リードオンリーメモリ(ROM)
204…ランダムアクセスメモリ(RAM)
205…状態検出用インターフェース(I/F)
206…バス
207…可動ローラ駆動用インターフェイス
208…駆動用I/F
209,211…ドライバ
210…駆動用I/F
300…ローラ可動手段
301…可動ローラ
302…可動ローラ軸
303…自動調心軸受け
304…軸受けホルダー
305…バネ手段
306…押圧手段(アクチュエータ)
307…可動ローラ位置検出センサ
308…エンコーダスリット
600…複写装置本体
700…給紙テーブル
800…スキャナ
900…原稿自動搬送装置(ADF)
102…駆動ローラ
103,104…ギヤ
106…副走査モータ
107…2D計測用パターン
108A…2Dセンサ
108B…光ヘッド(検出センサ、ベルト駆動軸エンコーダ)
109…補正情報作成手段
111…駆動軸
200…制御コントローラ
201…マイクロコンピュータ
202…マイクロプロセッサ(CPU)
203…リードオンリーメモリ(ROM)
204…ランダムアクセスメモリ(RAM)
205…状態検出用インターフェース(I/F)
206…バス
207…可動ローラ駆動用インターフェイス
208…駆動用I/F
209,211…ドライバ
210…駆動用I/F
300…ローラ可動手段
301…可動ローラ
302…可動ローラ軸
303…自動調心軸受け
304…軸受けホルダー
305…バネ手段
306…押圧手段(アクチュエータ)
307…可動ローラ位置検出センサ
308…エンコーダスリット
600…複写装置本体
700…給紙テーブル
800…スキャナ
900…原稿自動搬送装置(ADF)
Claims (6)
- 主走査方向、副走査方向に移動可能な無端ベルトと、該無端ベルトを副走査方向に移動させる駆動ローラと、該駆動ローラの対向位置に配置された少なくとも1つの対向ローラと、前記対向ローラのうち少なくとも1つを前記駆動ローラに対して平行あるいは非平行となるように回転可能な可動ローラとし、該可動ローラについて回転目標位置に可動できる可動手段と、該可動手段を制御して前記無端ベルトの主走査方向のベルト寄りを抑制するベルト寄り制御手段と、前記無端ベルトの位置を検出する主走査検出センサとを備えるベルト移動装置において、
前記ベルト寄り制御手段は、前記可動手段の制御内容に対して、前記無端ベルト1周内の寄り位置変動を打ち消す目標値をフィードバックするとともに、可動手段の目標値の伝達特性に該可動手段の逆伝達特性を乗じた値をフィードフォワードすることにより無端ベルト1周内の寄り位置変動を小さくすることを特徴とするベルト移動装置。 - 前記ベルト寄り制御手段は、前記可動手段の制御内容に対して、無端ベルトの一周周期の寄り補正については別の目標値を与えることを特徴とする請求項1に記載のベルト移動装置。
- 前記可動手段の目標値の伝達関数はサイン波形であり、可動手段の伝達特性は二次系の関数であることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト移動装置。
- 前記無端ベルト一周内の寄り位置変動は、該無端ベルト一周周期の移動量を可動手段で取り除いた後に、前記主走査検出センサで検出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のベルト移動装置。
- 前記可動ローラのローラ角度を検出するローラ角度検出センサの値と、前記主走査検出センサによる前記無端ベルト1周内の寄り位置変動の値とから無端ベルト1周内の寄り位置変動を減じる目標値を求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のベルト移動装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のベルト移動装置を中間転写ベルトとして用いることを特徴とするタンデム型の画像形成装置。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011022549A (ja) * | 2009-06-15 | 2011-02-03 | Ricoh Co Ltd | ベルト搬送装置と画像形成装置 |
JP2011185977A (ja) * | 2010-03-04 | 2011-09-22 | Canon Inc | 画像形成装置 |
JP2012063427A (ja) * | 2010-09-14 | 2012-03-29 | Canon Inc | 画像形成装置 |
US8351830B2 (en) | 2009-03-13 | 2013-01-08 | Ricoh Company, Limited | Belt conveying device and image forming apparatus |
JP2015107572A (ja) * | 2013-12-04 | 2015-06-11 | 株式会社Screenホールディングス | 画像記録装置および画像記録方法 |
-
2006
- 2006-11-24 JP JP2006317246A patent/JP2008129518A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8351830B2 (en) | 2009-03-13 | 2013-01-08 | Ricoh Company, Limited | Belt conveying device and image forming apparatus |
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