以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
本発明は、エンドレスベルトを支持搬送する2ヶ所のローラのエンコーダ出力(回転情報)から一方のローラ(以下、第1ローラと呼ぶ)の既定回転量に対する他方のローラ(以下、第2ローラと呼ぶ)回転量の変化からローラの温度変化やローラの熱膨張を推測するというものである。これを、簡易な例で説明する。
第1ローラと第2ローラは、単位温度あたりの径の変化率は異なるように設計されている。予め、それぞれのローラで温度1℃あたりの径の変化量(径の変化率)を把握しておく。尚、基準温度(25℃)の時の各ローラの径が、第1ローラ φ32、第2ローラ φ16のとき、径比は、2である。ここで、第1ローラを100rad回転させた時、エンドレスベルトとローラ間のすべりが無いものとすると、第2ローラは200rad回転する。
次に、基準温度に対し、ローラ温度が5℃上昇して、30℃となった時、第1ローラ φ32.04、第2ローラ φ16.01になったとする。同じ割合で膨張すれば径比は変わらず2だが、ここでは両ローラの膨張量が異なり、径比は、2.0012になる。ここで、第1ローラを100rad回転させた時、第2ローラは200.12rad回転する。
この第2ローラの回転量の変化(ここでは、0.12rad)を回転情報取得手段としてのロータリエンコーダ出力から検出する。この結果から、下記に説明する算出式を用いて、ローラの温度変化を求めることが可能である。また、予め計測した単位温度あたりのローラ径の変化率から変化したローラ径を求めることができる。ローラの熱膨張を認識することで、先述したローラ径の変化によるベルトの平均速度の変化が求められる。この平均速度変化が発生しないようにモータの平均回転速度を調整する。
以下に本発明が低コストで実現でき、且つ効果的に機能する実施形態について説明する。
実施例1(直接転写ベルト)
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。このレーザプリンタは、装置本体の下部に給紙部(給紙カセット3、4)が設けられ、その上方に作像部を配置し、装置上面に排紙部(排紙トレイ8)を配置した構成となっている。図に破線で記録紙の搬送経路を示すように、給紙部から用紙を給送し、作像部にて形成した画像を用紙上に転写し、定着ユニット7で定着して排紙トレイ8に排紙する。
作像部には、給紙側を下に、排紙側を上となるように傾斜して配置された転写ユニット6が配設されている。この転写ユニットの転写搬送ベルト50の上部走行辺に沿って、下から順にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、黒(K)用の4つの作像ユニット1M、1C、1Y、1Kが並んで配置されている。この作像ユニット1M、1C、1Y、1Kはそれぞれ、像担持体としての感光体ドラム11M、11C、11Y、11Kと、現像ユニットとを備えている。また、各作像ユニットの配置は、各感光体ドラムの回転軸が平行になるように且つ転写紙移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。
そのほか、本レーザプリンタは光書込ユニット2、レジストローラ対5、手差しトレイMF、トナー補給容器TCなどを備えている。上記光書込ユニット2は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ及び反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム11M、11C、11Y、11Kの表面にレーザ光を走査しながら照射する。
図2は、転写ユニット6の概略構成を示す拡大図である。この転写ユニット6で使用した転写搬送ベルト50は、体積抵抗率が109〜1011Ωcmである高抵抗の無端状単層ベルトであり、その材質はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)である。ベルトの材質としては、他の材料、例えば伸びに強いPI(ポリイミド)などを用いることも可能である。上記転写搬送ベルト60は、各作像ユニットの感光体ドラム11M、11C、11Y、11Kに接触対向する各転写位置を通過するように、支持回転体(以下、単に「回転体」ともいう)としての支持ローラ61〜68に掛け回されている。
これらの支持ローラのうち、転写紙移動方向上流側の入口ローラ61には、電源80aから所定電圧が印加された静電吸着ローラ80が対向するように転写搬送ベルト50の外周面に配置されている。この2つのローラ61、80の間を通過した転写紙は転写搬送ベルト50上に静電吸着される。ローラ63は転写搬送ベルト50を摩擦駆動する駆動ローラであり、図示しない駆動源に接続されていて矢印方向に回転する。
各転写位置において転写電界を形成する転写電界形成手段として、感光体ドラムに対向する位置には、転写搬送ベルト50の裏面に接触するように、転写バイアス印加部材67M、67C、67Y、67Kを設けている。これらはスポンジ等を外周に設けたバイアスローラであり、各転写バイアス電源9M、9C、9Y、9Kからローラ心金に転写バイアスが印加される。この印加された転写バイアスの作用により、転写搬送ベルト50に転写電荷が付与され、各転写位置において該転写搬送ベルト50と感光体ドラム表面との間に所定強度の転写電界が形成される。また上記転写が行なわれる領域での転写紙と感光体の接触を適切に保ち、最良の転写ニップを得るために、バックアップローラ68を備えている。
上記転写バイアス印加部材67M、67C、67Yとその近傍に配置されるバックアップローラ68は、回転可能に揺動ブラケット93に一体的に保持され、回動軸94を中心として回動が可能である。この回動は、カム軸97に固定されたカム96が矢印の方向に回動することで時計方向に回動する。
上記入口ローラ61と吸着ローラ80は一体的に、入口ローラブラケット90に支持され、軸91を回動中心として、図2の状態から時計方向に回動可能である。揺動ブラケット93に設けた穴95と、入口ローラブラケット90に固植されたピン92が係合しており、前記揺動ブラケット93の回動と連動して回動する。これらのブラケット90、93の時計方向の回動により、バイアス印加部材67M、67C、67Yとその近傍に配置されるバックアップローラ68は感光体11M、11C、11Yから離され、入口ローラ61と吸着ローラ80も下方に移動する。ブラックのみの画像の形成時に、感光体
11M、11C、11Yと転写搬送ベルト50の接触を避けることが可能となっている。すなわち、本例において、カラープリントの場合は転写搬送ベルト50が4色の作像ユニット1M、1C、1Y、1K(の感光体ドラム)に接触する状態に保持され、黒単色プリントの場合は作像ユニット1K(の感光体ドラム)のみに転写搬送ベルト50が接触する状態を保持するようになっている。
一方、転写バイアス印加部材67K及びその隣のバックアップローラ68は出口ブラケット98に回転可能に支持され、出口ローラ62と同軸の軸99を中心として回動可能にしてある。転写ユニット6を本体に対し着脱する際に、図示していないハンドルの操作により時計方向に回動させ、ブラック画像形成用の感光体11Kから、転写バイアス印加部材67Kとその隣のバックアップローラ68を離間させるようにしてある。
駆動ローラ63に巻きつけられた転写搬送ベルト50の外周面には、ブラシローラとクリーニングブレードから構成されたクリーニング装置85(図1)が接触するように配置されている。このクリーニング装置85により転写搬送ベルト50上に付着したトナー等の異物が除去される。
転写搬送ベルト50の走行方向で駆動ローラ63より下流に、転写搬送ベルトの外周面を押し込む方向にローラ64を設け、駆動ローラ63への巻きつけ角を確保している。ローラ64より更に下流の転写搬送ベルト60のループ内に、押圧部材であるばね69(図1)でベルトにテンションを与えるテンションローラ65を備えている。
図1には、転写紙100の搬送経路を一点鎖線にて示してある。給紙カセット3、4あるいは手差しトレイMFから給送された転写紙100は、図示しない搬送ガイドにガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対5が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対5により所定のタイミングで送出された転写紙100は、転写搬送ベルト50に担持され、各作像ユニット1M、1C、1Y、1Kに向けて搬送され、各転写ニップを通過する。
各作像ユニット1M、1C、1Y、1Kの感光体ドラム11M、11C、11Y、11K上で現像された各トナー像は、それぞれ各転写ニップで転写紙100に重ね合わされ、上記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙100上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙100上にはフルカラートナー像が形成される。トナー像転写後の感光体ドラム11M、11C、11Y、11Kの表面はクリーニング装置によりクリーニングされ、更に除電されて次の静電潜像の形成に備えられる。
一方、フルカラートナー像が形成された転写紙100は、定着ユニット7でこのフルカラートナー像が用紙上に定着された後、切換ガイドGの回動姿勢に対応して、第1の排紙方向Bまたは第2の排紙方向Cに向かう。第1の排紙方向Bから排紙トレイ8上に排出される場合、画像面が下となった、いわゆるフェースダウンの状態でスタックされる。一方、第2の排紙方向Cに排出される場合には、図示していない別のソータ及び綴じ装置等の後処理装置に向け搬送させるとか、図示しないスイッチバック部を経て両面プリントのために再度レジストローラ対5に搬送される。
ところで、転写ユニット6は、その出口ローラ62部に隣接して配置された定着ユニット7の熱の影響を受ける。定着ユニット7の熱による影響は、当然、定着ユニット7に一番近い出口ローラ62部で最大となる。定着ユニットの熱などによる装置内温度の上昇が転写ベルトを支持搬送する各ローラの温度上昇に影響を与えているが、以下に説明する熱伝導によるローラの温度上昇も大きい。
定着ユニットの熱により、出口ローラ62部の温度が上昇する。出口ローラの熱は、出口ローラに巻付き搬送されているベルト部に伝達されて、ベルトの温度が上昇する。そして、ベルトの熱は、駆動ローラをはじめ各従動ローラに伝達されて、各ローラの温度が上昇する。また、両面印刷時には、一度、定着ユニットを通り、表側の画像形成を終えた用紙が反転して、再び、裏側に画像形成するために転写ベルトユニットに搬送される。このとき、用紙は定着による熱を持っており、熱は転写ベルトに伝達される。このように、ローラの温度上昇は、両面印刷時には、更に大きくなる。
駆動ローラの温度上昇による径の熱膨張が転写ベルトの搬送速度に影響を与えることは、特許文献1に詳細があるため省略する。
以下に、駆動ローラ熱膨張による転写ベルトの搬送速度変化を含め転写ベルトの速度変動をフィードバック制御により抑制する手法を説明する。
本例のレーザプリンタでは、転写搬送ベルト50の移動速度を検出し、その検出したベルト速度と狙いの速度(基準速度)との差を比較・演算してベルト速度が狙いの速度となるように制御する、いわゆるフィードバック制御を行っている。
本例のレーザプリンタでは、転写ユニット6の転写搬送ベルト50が掛け渡されているローラのうち、一つのローラ(右下ローラ)66に、ベルト速度検出手段としてのエンコーダ20が付設されている。
エンコーダ20は、図4に示すように、右下ローラ66の軸66aに前後圧入ブッシュ22、23を介してディスク21を固定し、そのディスク21の両側に発光素子24と受光素子25を配置した構成となっている。ディスク21には図示しないスリットが等間隔で多数個設けられており、発光素子24から出てスリットを通過した光を受光素子25で受光する。単位時間あたりに受光素子25が出力するパルス数により右下ローラ66の回転速度すなわち転写搬送ベルト50の速度を検出する。本例では、図3に示すように、エンコーダを構成する各要素はケース26内に収められており、熱及び埃などによる影響が防止されている。
なお、エンコーダ20を配置するローラは、右下ローラに限定されるものではないが、入口ローラ61は上記説明したように移動(揺動)可能に構成されているので、エンコーダの付設により適した固定ローラとして右下ローラ66を設定した。
フィードバック制御自体は従来周知であり、その詳しい内容については説明を省略するが、エンコーダ20からの出力が図示しない制御手段(例えばプリンタ本体の制御を司る制御部等を用いることが可能である)に入力され、転写搬送ベルト50が狙いの速度となるように、駆動ローラ63を駆動するモータ70(図3)を制御する。ここで、上述した右下ローラ66の温度上昇時に、転写ベルト速度が増加する例について説明する。
エンコーダを用いたフィードバック制御の場合、エンコーダより得られる信号から回転角速度を一定なるように駆動モータ70のパルスを調整して速度の一定化を保つ。回転角速度ωと転写ベルト速度vと速度検出ローラ半径rの関係は ω=v/r である事から、速度検出ローラが熱膨張する(r<r1)とωを一定に保つ制御をする為、転写ベルト速度vは増加する(v<v1)。
ここで、具体的に速度検出ローラ(右下ローラ)の径変化と色ずれ量の関係について説明する。ここでは、マゼンタ色の黒に対する色ずれ量について説明する。
マゼンタ感光体(M)と黒感光体(K)間の距離を294mmとし、右下ローラ径(2r)を31.2mm、ベルトの厚さ(t)を0.2mmとした場合、(2r+t/2)・π=(31.2+0.1)×3.14で31.3mm×3.14=98.28mmとなる。
基準速度時(右下ローラ径膨張の無い場合)のローラ径+ベルト厚さの1/2は31.3mmであり、基準速度=125.3117mm/sec、MとKの書き込みタイミング差=2.346149641secとなる。このとき、右下ローラ回転数は76.4625rpmである。
熱の影響で右下ローラ外径が変化した際の転写ベルト速度変化について説明する。右下ローラ外径がΦ15.5⇒Φ15.51054 と0.068%増加したとすると、転写ベルト速度も同様に0.068%増加する事になる。この速度増加がすべて色ずれになって現れたとすると、M−K間の距離294mmの0.068%=0.19992mm、すなわち約200μmの色ずれが生じる。従って、フィードバック制御を用いている本発明においては、速度検出ローラの膨張も考慮する必要がある。
次に、本発明の速度検出ローラの膨張を考慮する手法について説明する。本発明は、駆動ローラの回転情報と速度検出ローラのエンコーダ出力(回転情報)からローラの熱膨張を推測するというものである。
まず、第2の支持回転体としての速度検出ローラと第1の支持回転体としての駆動ローラを単位温度あたりの径の変化率が異なるように設計する。ローラ形状が中実であるか中空であるかによって、同じ材質でもローラ構造によって、径の変化率は異なるが、速度検出ローラと駆動ローラの径変化率の差を大きくするために、材質を熱膨張係数の異なるものに指定する。本実施例では、駆動ローラをゴム、従動ローラをAL素材とした。駆動ローラと速度検出ローラの材質の組合せをゴムと金属にすることで、径の変化率の差を大きく設定することができる。また、駆動ローラのゴムは、転写ベルトとのすべりが極力発生しないように、EPゴムを使用し硬度60°となるように製造されている。また、速度検出ローラのALは、中空構造で、慣性モーメントが低くなるように設計されている。これによって、転写ベルトの速度変動に対する追従性が高く、高い周波数のベルト速度変動を検出することが可能となる。すべりも発生しにくい。また、金属ローラとすることで、ゴム材に比べてローラ自身の振れ精度を高く設定して製造することが可能ある。速度検出ローラの偏心による転写ベルト速度の誤検出は、そのまま、制御誤差となり画像劣化を招いてしまうため、振れ精度の向上は非常に重要である。
ここで、ローラの温度変化をロータリエンコーダ出力から検出する過程について説明する。
駆動ローラ半径Rd (基準温度時)、速度検出ローラ半径Re (基準温度時)、駆動ローラの径変化量 β(1℃あたりの径の変化量)、速度検出ローラの径変化量 α、基準温度からの駆動ローラの温度変化 T1、基準温度からの速度検出ローラの温度変化 T2、ベルト平均厚みの1/2 Btとしたとき、ベルトとローラ間ですべりが発生しないとすると、駆動ローラの回転角θdと速度検出ローラの回転角θeの関係は、(1)式となる。
ローラにベルトが巻付いて搬送されている場合、ベルトが厚み方向に曲げられるために、ベルト内において、伸縮が発生し、ベルトの速度決定する実効的な半径(以下実効半径と呼ぶ)は、ローラ中心からベルト厚みの中心部までの距離、つまり、ローラ半径Rとベルト厚みの半分Btとの和となることが一般的に知られている。
この実効半径 Rd+Bt 、Re+Bt に対して、 半径の温度変化量 βT1、αT2 の方が十分に小さいことを考慮して、(1)式を変形して近似すると、速度検出ローラの回転角θeは、(2)式となる。
(2)式より、ローラの温度変化によって発生する速度検出ローラの回転角変化量Δθeは、(3)式となる。
(3)式は、基準温度時の速度検出ローラの回転角に対して、ローラの温度上昇が発生した場合において、速度検出ローラの回転角が変化する量を表している。ここで、簡単の為に、熱伝導によって、駆動ローラと速度検出ローラがほぼ同じ温度上昇をする場合について説明する。つまり、(4)式が成立する場合である。
(5)が得られる。(5)式より、駆動ローラの回転角θdに対する速度検出ローラの回転角変化量Δθeを検出することによって、ローラの温度T1が算出することができる。ローラの温度変化が分かれば、径の変化量もα、βを用いて認識することができ、それに応じてモータの平均回転速度を調節する。
また、駆動ローラと速度検出ローラが離れた位置にあり、それぞれ、定着ユニットまでの距離が異なる場合、熱の拡散により、駆動ローラと速度検出ローラが同じ温度とならない。本実施形態を例に、駆動ローラと速度検出ローラが離れた個所にあり、温度変化が異なる例を図7に示す。図7は、駆動ローラと速度検出ローラの時間-ローラ温度特性である。時刻0に画像形成装置の電源をONする。これにより、定着ユニットは、定着可能な温度までヒーター加熱を開始し、定着可能な温度を維持する。この定着ユニットの熱が主要因で、装置内の温度上昇や、先述した転写ベルトおよび各ローラの温度上昇が発生する。図7は、横軸に時間(装置電源ONを基準にした時間)、縦軸に駆動ローラと速度検出ローラの温度推移をプロットしたものである。駆動ローラと速度検出ローラが異なる温度推移をしている事が分かる。
この温度推移の違いを駆動ローラと速度検出ローラの温度関係を表す(4)式に反映する。ここでは、図7のデータから約60分を境にローラの温度が上昇続けている過渡状態と両者の温度上昇が緩やかで、同じように推移する定常状態とに分けて、それぞれ、別の関係式で表現する。まず、過渡状態では、装置内温度が急激に上昇し、ローラ温度も急激に変化している状態である。定着ユニットから駆動ローラまでと速度検出ローラまでの熱伝導率の違いやと両ローラの熱容量の違いで温度上昇が異なる。過渡状態におけるそれぞれの温度上昇を、傾きを求め直線近似する。
となり、本実施例では、t[分]に対し、a1 = 0.233 a2 = 0.113 であった。T1とT2の関係は、(8)式となる。
過渡状態においては、この(8)式を先述した(4)式に代わりに用いて、(5)式よりローラ温度を把握する。次に定常状態では、装置内温度がほぼ安定した状態で、温度変化は緩やかに変化する。ここでは、外気温度や装置の可動状態で推移していく。本実施形態では、駆動ローラと速度検出ローラの温度は、約5.9℃の温度差で推移していくことが分かった。つまり、定常状態において、温度差をCとして、T1とT2の関係は、(9)式となる。
この(9)式を先述した(4)式に代わりに用いて、(5)式よりローラ温度を把握する。
このように、過渡状態と定常状態で異なるローラ温度の関係式を用いることになる。ローラの温度変化が過渡状態か定常状態かを判断する方法、つまり、(8)式と(9)式のどちらを用いてローラ温度を算出するかの判断としては、画像形成装置の状態から判断することができる。過渡状態は、電源がOFFで装置内温度が外気温度と同じ状態から、電源がONされて、画像形成の準備を行うウォームアップ動作に発生する。または、装置が省エネルギー状態で出力命令を待っている待機状態からウォームアップ動作を行った場合に発生する。過渡状態はこのような限定された場合に発生することが分かるため、それぞれのウォームアップ動作が行われてから、既定の時間までを過渡状態と判断する。または、(5)式で駆動ローラの温度を管理しながら、既定の温度まで上昇する間を過渡状態としてもよい。
(5)式からローラの温度を算出するにあたり、事前に計測が必要なパラメータがローラ径の単位温度あたりの変化量である。本実施形態で用いた駆動ローラ(材質:EPゴム)と速度検出ローラ(材質:アルミ)の温度上昇による外径変化を計測した結果を図8、図9に示す。図8が駆動ローラで図9が速度検出ローラである。
それぞれプロットしたデータの傾きを求めて、1℃あたりの径の変化量を求めたところ、駆動ローラが0.00289mm(変化率0.0092%)で、速度検出ローラが0.00031mm(変化率0.0020%)であった。ローラ径の単位温度あたりの変化量から、基準温度からの温度上昇とそのときのローラ径、駆動ローラと速度検出ローラとの径比を算出したものが表1である。このように、温度上昇に伴い、径比が変化することが分かる。この径比の変化を駆動ローラと速度検出ローラの回転情報から判断しローラの温度変化を認識する。
以下に回転情報を取得する方法について説明する。この回転情報は、回転角速度(速度情報)、回転角変位(位置情報)のどちらでもよい。数式では、回転量θを用いて位置情報として説明したが、位置情報θをそれぞれ速度情報ωに変換しても温度検出までの過程は変化しない。高精度且つ確実な方法としては、駆動ローラ及び速度検出ローラの回転軸にロータリエンコーダを設置してエンコーダ出力から回転情報を得る方法がある。また、一方のローラを一定角速度または一定角変位で回転するように制御していることを条件に、他方のローラの回転情報のみを得る方法をとってもよい。例えば、駆動モータがステッピングモータ、またはモータ軸にFGセンサが設置されたDCサーボモータを用いて、モータ軸を一定角速度で駆動する。駆動ローラまでの伝達手段ですべりが生じなければ、駆動ローラも一定角速度で回転する。そのときの、速度検出ローラの回転軸に設置されたロータリエンコーダの回転情報から回転角変化量Δθが得られる。例えば、ある既定時間(駆動ローラが既定回転する時間)に回転するロータリエンコーダの回転量が変化した場合、その変化量をΔθとすることができる。また逆に、速度検出ローラを一定角速度となるようにフィードバック制御しているときのある既定時間におけるモータ制御指令値、例えば、ステッピングモータの駆動パルス数を管理することで、速度検出ローラの既定回転に対する駆動ローラの回転角の変化量を求めることができる。これは、(2)式から駆動ローラ回転角θdと速度検出ローラ回転角θeの移項を逆にしてΔθdを用いた(5)式に相当する式を用いて同様のローラ温度算出が可能となる。駆動ローラ又は速度検出ローラのどちらか一方の回転角速度を一定として、他方の回転角を検出する手法は、1つのロータリエンコーダで実現が可能なためコスト面で有利である。また、フィードバック制御をしながらローラ温度算出を行う手法は、フィードバック制御により、転写ベルトの速度変動を抑えながら、ローラの温度変化により径が変化しても、転写ベルトの平均速度の変化を抑制することが可能となる。
本実施例の転写ベルト搬送装置において、得られる回転情報には、多くの変動成分が含まれており、Δθの検出誤差が発生する。変動成分としては、駆動ローラの偏心による回転周期変動や歯車などで構成された駆動伝達系の偏心や歯の累積ピッチ誤差による回転周期変動、速度検出ローラの偏心による回転周期変動、転写ベルト体の厚み変動による回転変動などがあげられる。これら回転体の周期変動成分は、回転角速度や回転角変位を検出する時間間隔(以下、データサンプル周期と呼ぶ)を、変動周期の公倍数に設定することで、影響を抑えることができる。(同様の考えが特開2002-251079[0044]に説明されている。)
また、データサンプル周期を長くすることで、精度を向上することも可能である。表1に示したように、基準温度から5℃温度が上昇すると、径比が2.0から2.0007に変化する。このとき、駆動ローラを100rad回転させたときの速度検出ローラの回転角は、0℃で200.0、5℃で200.07となり、Δθeは、0.07radとなる。駆動ローラを1000radとすれば、Δθeは、0.7radとなる。データのサンプル周期を長くすることで、S/N比を向上することが可能となる。これは、角速度の検出でも同様である。
本発明では、(4)、(6)、(7)式の1つと(5)式を用いて、予め、ローラ径、ベルト平均厚の2分の1数値、単位温度あたりのローラ径の変化量を(5)式の変数に代入しておき、駆動ローラの回転量と速度検出ローラの回転量の変化からローラ温度変化量を算出する。速度検出ローラの回転量変化を得るには、駆動ローラの回転量に対する速度検出ローラの回転量を2度検出する必要がある。これによって、1回目の検出から2回目の検出までに変化したローラの温度を知ることができる。
この1回目の検出は、いつ行っても良い。例えば、製造工程において、工場内環境で1回目の検出を行う。そして、出荷後、ユーザー環境下で画像出力の際に検出を行い、現在、製造時(工場内環境)に対しどのくらいローラ温度が変化しているか知ることができる。また、別の例として、レジストレーション補正動作時に1回目の検出を行う。そして、随時、2回目の検出を繰り返し、1回目の検出からのローラ温度変化を管理し、モータの平均速度を補正する。レジストレーション補正動作時に1回目の検出を行うことの利点について説明する。レジストレーション補正動作とは、図1に示したタンデム型の画像形成装置の多くで行われている公知の動作で、各作像ユニット上で斜線や山切り状のレジスト検出パターンを作像し、転写ベルト上、又は、用紙上に転写された検出パターンの通過時間を光学センサで読取ることで、各色の検出パターン間隔を認識して、適切な位置関係になるように露光タイミングを補正する動作である。このような、レジストレーション補正動作は、部品精度による画像形成位置の変動の他、転写ベルトの平均速度変化で発生するレジストずれを補正する機能を持つ。このレジストレーション補正動作と本発明であるローラ温度変化の検出及びモータ平均速度補正のタイミングを合わせることにより、それぞれの機能が有効に働き、レジストレーション補正動作の回数は大きく低減される。つまり、レジストレーション補正動作時に1回目の検出を行う。このとき、レジストずれは補正され良好な画像が得られる。そして、ローラの温度変化による径変化が発生した場合、随時、行われる2回目の検出により、1回目に対するローラの径変化が認識され、モータの平均速度は調整される。本発明の効果により、ローラ径変化によるベルトの平均速度変化は抑制されるため、装置内温度の変化に応じて実行が必要とされていたレジストレーション補正動作の実行回数は低減される。逆に、1回目の検出がレジストレーション補正動作と同期していないと、レジストレーション補正された直後に本発明のモータ平均速度調整が行われ、レジストずれを発生させてしまう。
転写ベルトの厚み方向の熱膨張、つまり、転写ベルトが温度により厚み変化する場合、以下のように考慮することで、より高精度に転写ベルトの平均速度変化を抑制することができる。先述したように、本実施例において、速度検出ローラの温度変化は、転写ベルトの熱が伝導されて発生している。ここで、ローラの温度と転写ベルトの温度は非常に近い値を示す。このことから、ローラの温度変化とベルトの温度変化が等しいとして、算出されたローラ温度変化をベルト温度変化として、ベルトの厚み方向の膨張を認識して、モータ平均速度を補正する。
タンデム方式のフルカラー画像形成装置は、フルカラーの画像がモノクロとほぼ同様な短時間で形成可能であり、高速プリントに優れた方式であるが、高画質化の点で課題が多い。特に色ずれ防止を達成することが難しい。しかしながら、本発明により転写搬送ベルトを精度良くフィードバック制御することにより、高速プリントと色ずれ防止を両立させることができ、高画質なフルカラー画像を短時間で得ることが可能となる。
尚、本発明によるベルト装置のフィードバック制御は、モノクロ画像形成装置に対しても適用可能であるが、上述したように、タンデム方式のフルカラー画像形成装置における色ずれ防止に特に効果を発揮するものである。
ところで、本例のレーザプリンタにおいては、ベルト速度検出手段としてのエンコーダ20が付設されている右下ローラ66の周長と、各色作像ユニットの各感光体ドラム11間の距離(以下感光体ピッチという)の比が概ね整数比となるように設定している。その理由は、ベルト速度検出手段としてロータリエンコーダを使用した場合、その構成部品の一つであるスリットディスク(本例ではディスク21、図4参照)の軸(本例では右下ローラ66の軸66a)への取り付けに非常な高精度が要求される。しかし、スリットディスクの取り付け偏心をゼロにすることは無理であり、したがって、この偏心による誤差を考慮しておく必要があるためである。
すなわち、スリットディスクの偏心による誤差はベルトの速度変動として検出されるため、その検知結果の逆位相がフィードバック制御されて、転写搬送ベルト50が駆動される。よって、このような逆位相によるベルト速度の変動が発生した場合でも色ずれを起こさないようにする必要がある。また、同様に速度検出ローラ自身の振れ精度も同じ理由により色ずれとなる。そこで、上記のように、右下ローラ66の周長と感光体ピッチの比が概ね整数比となるように設定することで、本例の場合、右下ローラ66の周長を感光体ピッチの1/2とすることで、エンコーダ取り付け軸が2回転すると(2回転する分だけベルトが移動すると)ちょうど次の感光体にトナーが転写される位置となる。このため、各感光体位置では、ディスクの取り付け偏心によって引き起こされるベルトの速度変動周期の位相が合うために、各色画像の位置ずれ量(色ずれ量ではない)は同量となり、その結果、色ずれは発生しないことになる。当然、ローラ周長と感光体ピッチの比は本例の1:2に限定されるものではなく、整数比であれば問題ない。
速度検出ローラ自身の振れ精度に関しては、その精度を上げるしか無く、これは工法・選択する材質・構成(肉厚)で解決できる。具体的には、ステンレスやアルミの場合、鉄に比べて表面処理工程を省略できる為、高精度を得やすい。また、構成を薄肉よりも厚肉にすれば、加工時の変形を防ぎやすい。但し、むやみに厚肉を増やすと慣性モーメントが増加し、フィードバック制御性能が低下するので、両立をさせる必要がある。
尚、上記説明では煩雑化を避けるために“ローラ周長”と記載したが、より厳密には、(ローラ径にベルトの厚みの1/2を加えた値)に円周率を掛けた値と感光体ピッチが概ね整数比となるように設定するものとする。また、“概ね整数比”は、製造時の許容誤差程度とし、この程度の誤差であれば人間の視覚上色ずれを感知しないので問題ない。
ここで説明したように、熱の影響でベルトが部分的に伸びるとベルト速度が低下したり、速度検出ローラが膨張したりするとベルト速度が増加して色ずれが発生する。しかし、本発明によりベルト速度を検出してフィードバック制御することにより色ずれの発生を効果的に防止することができる。また、上記のようにローラ周長と感光体ピッチの比を概ね整数比とすることにより、エンコーダディスクの偏心誤差によりベルト速度の検出に誤差が発生した場合でも、そのフィードバックによる色ずれの発生が防止される。
ところで、本例では、転写搬送ベルト50の速度検出手段としてロータリエンコーダを用いた。ロータリエンコーダは簡単な構成でエンコーダの構成要素を覆う(密閉する)ことができ、トナーやほこり等による汚れの影響を容易に防ぐことができる。また、ロータリエンコーダは単品でセンサ部の調整を行うことが可能であり高精度の維持が容易である。すなわち、速度検出手段としてのロータリエンコーダは、高耐久・高制度を比較的簡単に実現することができる。
また、本例では、エンコーダ20を付設した右下ローラ66と駆動ローラ63間に、ベルトに対してテンションを付与するテンションローラ65を設けている。このとき、各ローラ63、65、66のベルト移動方向における位置関係は、駆動ローラ63の下流側にローラ65、ローラ65の更に下流側にローラ66があるものとする。このような位置関係でエンコーダ20を付設した右下ローラ66と駆動ローラ63間にテンションローラ65を配置することで、エンコーダが付設された右下ローラ66部でのベルトのスリップが防止されるため、より正確にベルト速度の検出が可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態として、中間転写ベルトのフィードバック制御を行うものを説明する。
図5に示す画像形成装置は、中間転写ベルト30の上辺に4色分の作像ユニットを並べて配置した4連タンデム方式のフルカラープリンタである。中間転写ベルト30は、従動ローラ31、駆動ローラ32、対向ローラ33、押し込みローラ34の4つのローラに掛け回されている。この中間転写ベルト30の下に、対向ローラ33部で中間転写ベルト30に接して転写ベルト35が配設されている。その転写ベルト35に隣接して定着ユニット7が配置されている。その他、図1のレーザプリンタと同じ部分又は同等の部分には、図1と同じ符号を付して説明を省略する。
本例の中間転写方式のフルカラープリンタにおいては、各作像ユニットの感光体ドラム上に形成した各色画像を中間転写ベルト30上に重ね転写し、中間転写ベルト30上でフルカラー画像を形成する。そのフルカラー画像は、給紙カセット3から給送された転写紙上に、対向ローラ33と転写ベルト35が対向する転写位置にて転写され、定着ユニット7へ搬送されてトナー像が定着される。定着後の用紙は装置上面の排紙トレイ8又は装置側面の排紙トレイ(符号なし)に排出可能である。
さて、本実施形態においては、中間転写ベルト30の速度を図示しない速度検出手段により検出し、中間転写ベルト30が狙いの速度となるように制御する、いわゆるフィードバック制御を行っている。中間転写ベルト30の速度検出手段としては、任意の構成のものを採用可能であるが、ここでは、ロータリエンコーダを従動ローラ31に付設するものとする。ロータリエンコーダの構成・動作については図1の実施形態の場合と同様である。
本実施形態においても、定着装置の熱の影響を受けて、ローラ径が変化したことを回転情報から認識することで、中間転写ベルトの平均速度の変化を抑制し、フィードバック制御の精度を向上させ、色ずれを効果的に防止することができる。すなわち、中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置における色ずれを効果的に防止することができる。
また、速度検出手段をロータリエンコーダとする場合、そのディスクが装着されるローラ(本例では従動ローラ31)の周長と感光体ピッチの比が概ね整数比となるように設定することで、色ずれの発生を防止できることも同様である。
尚、本発明によるベルト装置のフィードバック制御は、中間転写方式のモノクロ画像形成装置に対しても適用可能であるが、上述したように、中間転写方式のタンデム型フルカラー画像形成装置における色ずれ防止に特に効果を発揮するものである。
次に、本発明の第3の実施形態として、感光体ベルトのフィードバック制御を行うものを説明する。
図6は、像担持体としてベルト状感光体を備えるフルカラー画像形成装置の要部構成
を示す断面図である。この図に示すように、本例においては、三角形状に張設された感光体ベルト40の上辺に沿って、44M、44C、44Y、44Kの4つの現像装置がタンデム配置されている。感光体ベルト40は、従動ローラ41、出口ローラ42、駆動ローラ43の3つのローラに掛け渡されている。
感光体ベルト40の図において左方には中間転写ドラム45が配設されている。また、その中間転写ドラム45の図において左方には転写ベルト46が配置されている。そして、転写ベルト46の上方に定着ユニット7が配置されている。その他、図1のレーザプリンタと同じ部分又は同等の部分には、図1と同じ符号を付して説明を省略する。
本例の中間転写方式のフルカラー画像形成装置においては、感光体ベルト40上に各色画像情報に対応して形成した静電潜像に各色現像装置44からトナーを付与して可視像化し、これを順番に中間転写ドラム45に重ね転写することで中間転写ドラム45上でフルカラー画像を形成する。そのフルカラー画像は、給紙カセット3から給送された転写紙上に、中間転写ドラム45と転写ベルト46が対向する転写位置にて転写され、定着ユニット7へ搬送されてトナー像が定着される。定着後の用紙は装置上面の排紙トレイ8に排出される。
さて、本実施形態においては、感光体ベルト40の速度を図示しない速度検出手段により検出し、感光体ベルト40が狙いの速度となるように制御する、いわゆるフィードバック制御を行っている。感光体ベルト40の速度検出手段としては、任意の構成のものを採用可能であるが、ここでは、ロータリエンコーダを従動ローラ41に付設するものとする。ロータリエンコーダの構成・動作については図1の実施形態の場合と同様である。
本実施形態においても、定着装置の熱の影響を受けて、ローラ径が変化したことを回転情報から認識することで、感光体ベルトの平均速度の変化を抑制し、フィードバック制御の精度を向上させ、色ずれを効果的に防止することができる。すなわち、すなわち、感光体ベルトを備えるフルカラー画像形成装置における色ずれを効果的に防止することができる。また、
以上、本発明を図示の実施形態により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。同様の手法を用いて、インクジェット方式で用いられているベルト搬送装置や定着ベルト搬送装置においてもローラの熱膨張を認識してベルトの平均速度を一定に保つことができる。
また、搬送される用紙に像担持体(感光体)から直接各色画像を転写する方式(第1の実施形態)において、転写搬送ベルトは移動可能(少なくともベルトの一部分が一部の感光体に対して接離可能なものに限らず、固定配置された(常に像担持体に接触している)転写搬送ベルトであっても良い。
また、タンデム方式は4連(4色)に限らず、3色のフルカラーあるいは2色の多色方式であっても良く、色数は限定されない。画像形成装置における光書き込み装置、現像装置、定着装置等の各部構成は、任意な構成のものを採用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリであっても良いことは言うまでもない。
以上説明したように、上記実施形態における画像形成装置は、無端状のベルト50と、ベルト50が掛け渡された複数の支持回転体とを備え、これら支持回転体のうち、2つの回転体63、66は、単位温度変化あたりの直径変化率が異なり、第1の回転体63の回転量又は回転角速度に対する第2の回転体66の回転量又は回転角速度の変化量から、ローラの温度変化を算出し、無端状ベルト50の駆動源の回転速度を制御するようになっている。そのため、装置内に温度計を設置することなく、回転体の回転情報から、ローラの温度変化を認識することが可能となり、ローラ径の変化によるベルト搬送速度の変化を一定に保つことが可能となる。
また、上記実施形態における画像形成装置は、第1の回転体63及び第2の回転体66の軸に回転角検出手段を設け、それぞれの回転量及び回転速度検出情報から前記第1の回転体63の回転量又は回転角速度に対する前記第2の回転体66の回転量又は回転角速度の変化量を認識するようになっている。そのため、回転体に設置した回転検出器(ロータリエンコーダ)を用いて、高精度にローラの温度変化を認識することが可能となる。
また、上記実施形態における画像形成装置は、第1の回転体63を回転駆動力が伝達される駆動支持回転体とし、前記第2の回転体66を回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体とし、駆動源となるモータは、出力軸を一定角速度で回転する機能を有しており、第2の回転体66の軸に回転角検出手段を設け、第1の回転体63の回転量又は回転角速度に対する第2の回転体66の回転量又は回転角速度の変化量を認識するようになっている。そのため、第1のローラ63を駆動ローラとして、モータ(駆動源)が一定速度で回転するステッピングモータやDCサーボモータとすることにより、駆動ローラを(伝達歯車による変動はあるが)一定角速度で回転させることが可能となり、第2のローラ66にロータリエンコーダを設置するだけで、ローラの温度変化を認識することが可能となる。
また、上記実施形態における画像形成装置は、第1の回転体63を回転駆動力が伝達される駆動支持回転体とし、第2の回転体66を回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体とし、第2の回転体66の軸に回転角検出手段を設け、検出情報に基づき、第2の回転体66の回転量及び回転角速度が一定となるように、第1の回転体63の回転量又は回転角速度を制御する機能を有し、第1の回転体63への制御数値から、第1の回転体63の回転量又は回転角速度に対する第2の回転体66の回転量又は回転角速度の変化量を認識するようになっている。そのため、従動ローラを一定角速度で回転させることが可能となり、第1のローラ(駆動ローラ)の駆動源であるモータへの制御数値を認識するだけで、ローラの温度変化を認識することが可能となる。
また、上記実施形態における画像形成装置において、2つの回転体63、66は、一方がゴム素材で構成され、他方が金属素材で構成されている。そのため、一般的で低コストな素材で2つの回転体の熱膨張率の差を大きくすることができ、ローラの温度変化の検出精度が向上する。
また、上記実施形態における画像形成装置は、第1の回転体63を回転駆動力が伝達される駆動支持回転体とし、第1の回転体63をゴム、第2の回転体66を回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体とし、第2の回転体66を金属としている。そのため、駆動側をゴム、従動側を金属とすることにより、ベルトと駆動ローラ間のスリップが少なく、且つ、ロータリエンコーダが設置された従動側では、ローラの偏心が少なく高精度に製造できるので、検出ノイズが少ない。また、高精度に検出が可能となる。
また、上記実施形態における画像形成装置は、2つの回転体63、66の回転周期は整数比となる周長関係であり、第1の回転体63の回転量又は回転角速度に対する第2の回転体66の回転量又は回転角速度を検出するサンプリング周期を2つの回転体63、66の回転周期の公倍数に設定している。そのため、第1の回転体63の偏心によるベルト体の速度変動の影響や第2の回転体66の偏心による回転検出誤差の影響を受けずに高精度に検出することが可能となる。
また、上記実施形態における画像形成装置は、第2の回転体66の回転周期と無端状ベルト50の回転周期が整数比となる周長関係であり、第1の回転体63の回転量又は回転角速度に対する第2の回転体66の回転量又は回転角速度を検出するサンプリング周期を第2の回転体66の回転周期と無端状ベルト50の回転周期の公倍数に設定している。そのため、ベルト体50の厚み変動によるベルト体50の速度変動の影響や第2の回転体66の偏心による回転検出誤差の影響を受けずに高精度に検出することが可能となる。
また、上記実施形態における画像形成装置は、ウォームアップ状態であることを認識する手段を備え、その認識情報から、ローラの温度が急激に変化している過渡状態かローラの温度が緩やかに変化している定常状態かを判別している。そのため、第1と第2のローラに温度差が発生する画像形成装置においても、正確に両ローラの温度変化を認識することが可能となる。
また、上記実施形態における画像形成装置は、無端状のベルト50に隣接して配置された複数の像形成手段と、前記像形成手段とは異なった位置に設けられ前記像形成手段により形成された像を読取る読取り手段と、読取り手段により読取られた像に基づいて露光タイミングを補正する補正量を算出する手段を有し、第1の回転体63の回転量又は回転角速度に対する第2の回転体66の回転量又は回転角速度の変化量は、露光タイミングを補正する補正量を算出し、露光タイミングを補正した時を基準とした変化量となっている。この場合、検出パターンを読取り、YMCK各色のレジストずれ(画像先頭位置ずれ)の検出した情報に基づいて、露光タイミングを補正し、その時の第1の回転体に対する第2の回転体の回転量を記憶して、それを基準に随時、第1の回転体に対する第2の回転体の回転量を検出して変化量を認識する。これによって、露光タイミング補正が有効に機能し、且つ、温度変化による再補正を行うことなく、レジスト位置が適切に保たれる。
また、上記実施形態における画像形成装置は、前記算出されたローラの温度変化量から前記無端状ベルト体の温度変化を認識し、前記無端状ベルト体の膜厚変化量を算出し、無端状ベルトの駆動源の回転速度を制御するようになっている。そのため、ローラの径変化だけでなく、ベルト体の厚みの温度変化がある場合、ベルトの厚み変化も考慮することで、より高精度にベルトの搬送速度を一定に保つことが可能となる。