JP4667819B2 - ベルト駆動制御装置、ベルト装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような画像形成装置では、記録用紙の移動速度、つまり搬送ベルト210の移動速度が一定速度に維持されないと、色ズレが発生する。この色ズレは、記録用紙上で重ね合わせられる各単色画像の転写位置が相対的にズレることによって発生する。色ズレが発生すると、例えば、複数色の画像が重なって形成された細線画像がにじんで見えたり、複数色の画像が重なって形成された背景画像中に形成される黒の文字画像の輪郭周辺に白抜けが発生したりする。
なお、図16に示すように、各画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kの感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された各単色画像を、一旦中間転写ベルト10上に順次重なり合うように転写した後、これを記録用紙上に一括転写する中間転写方式を採用したタンデム型画像形成装置もある。この装置においても、中間転写ベルト10の移動速度が一定速度に維持されないと、同様に色ズレが発生する。
特許文献1には、ベルト厚さ変動がベルト1周にわたりサイン波で発生しやすい遠心成形法で形成されたベルトを装置本体へ組込む前に、製造工程で予めベルト全周における厚みプロファイル(ベルト厚さ変動)を測定し、そのデータをフラッシュROMに記憶させる画像形成装置が開示されている。この画像形成装置においては、その全周の厚みプロファイルデータと実際のベルト厚さ変動との位相を合わせるための基準位置であるホームポジションとなる基準マークを付し、その位置を基準に検出することによって、ベルト厚さ変動によるベルト移動速度の変動をキャンセルするようにベルト駆動制御を行う。
また、特許文献2には、検出用パターンをベルト上に形成して、これを検出センサで検出することにより、周期的なベルト移動速度の変動を検出する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置においては、検出した周期的なベルト移動速度の変動を打ち消すように駆動ローラの回転速度を制御する。
また、上記特許文献2に記載された画像形成装置においては、ベルト移動速度の変動を検出するのに、少なくともベルト1周分の検出用パターンをベルト上に形成する必要がある。そのため、この検出用パターンの形成のために多くのトナーを消費してしまうという問題がある。特に、ベルト移動速度の変動をより高い精度で検出するために、ベルト複数周分のベルト移動速度の変動情報の平均値をベルト移動速度の変動として把握する場合には、ベルト複数周分の検出用パターンを形成する必要があり、トナー消費の問題はより深刻なものとなる。
請求項2の発明は、請求項1のベルト駆動制御装置において、上記ベルトの任意の位置を仮想の基準位置にして、少なくとも該ベルトの厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておき、該基準位置と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該生成した目標基準信号と上記従動支持回転体検出手段の検出結果との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2のベルト駆動制御装置において、上記抽出手段は、ベルト一回転周期のベルト厚さ変動に対応した周波数を有するベルト基本交流成分の位相・振幅と、該ベルト基本交流成分の整数倍のベルト厚さ変動に対応した周波数を有するベルト高調波交流成分の位相・振幅とをそれぞれ抽出することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3のベルト駆動制御装置において、上記抽出手段は、上記交流成分の振幅及び位相に基づく上記駆動支持回転体の回転制御中に得られた上記従動支持回転体検出手段の検出結果と、上記駆動支持回転体検出手段の検出結果との差分から、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分の位相・振幅を抽出することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4のベルト駆動制御装置において、ベルト周囲の環境変化やベルトの経時変化を検知する環境・経時変化検知手段を備え、上記抽出手段は、該環境・経時変化検知手段の検知結果に基づき、上記抽出手段でベルト交流成分の振幅・位相を再抽出して、上記演算手段で目標回転変動を再演算することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5のベルト駆動制御装置において、従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出および基準位置マークの検出をベルト一回転以上にわたり行うことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6のべルト駆動制御装置において、上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記ベルト交流成分の周波数に対して10倍以上の高周波成分を除去する除去フィルタを備えていることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7のべルト駆動制御装置において、上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、周期性のない成分を除去する除去手段を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8のべルト駆動制御装置において、上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記ベルト交流成分以外の交流成分を除去する除去フィルタを備えていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のべルト駆動制御装置において、従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出を上記ベルト交流成分の周波数の10倍以上の周波数で検出することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、該ベルトを駆動するための回転駆動力を発生する駆動源と、複数の支持回転体のうち該回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する従動支持回転体検出手段と、該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する駆動支持回転体検出手段と、該従動支持回転体検出手段の検出結果と、該駆動支持回転体検出手段の検出結果との差分に基づいて、該駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置とを備えたベルト装置であって、該駆動制御装置として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のベルト駆動制御装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11のベルト装置において、上記検出手段は、上記ベルトの上記駆動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの上記従動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動距離がベルト周長の(1/2)にある従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11のベルト装置において、上記検出手段は、上記ベルトの上記駆動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの上記従動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動距離が最も長くなる従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出することを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項11、12または13のベルト装置において、上記駆動支持回転体の半径と上記検知手段によって回転角変位又は回転角速度が検知される従動支持回転体の半径とを等しくし、かつ、上記ベルトが該駆動支持回転体と接触する領域の長さと、該ベルトが該検知手段によって回転角変位又は回転角速度が検知される従動支持回転体と接触する領域の長さとを等しくしたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項11、12、13または14のベルト装置において、上記駆動源は、入力信号に対して既定角度回転するモータであることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項11、12、13または14のベルト装置において、上記駆動源は、駆動支持回転体へ回転駆動力を伝達する出力軸と、該出力軸の回転角を検出する回転角検出手段を有しており、該回転角検出手段の検出結果に基づいて、該駆動源のトルクを制御することを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項11、12、13または14のベルト装置において、駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段を備え、該駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から上記駆動源を制御することを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項11、12、13、14、15、16または17のベルト装置において、上記駆動源の駆動力を上記駆動支持回転体へ伝達するための複数の回転体を有する伝達機構を備え、上記伝達機構の回転体の回転周期と、上記駆動支持回転体の回転周期とが整数比であることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項11、12、13、14、15、16、17または18のベルト装置において、上記駆動支持回転体の回転周期と、上記回転角変位又は回転角速度が検出される従動支持回転体の回転周期とが整数比であることを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項11、12、13、14、15、16、17、18または19のベルト装置において、上記駆動支持回転体の回転周期と、上記回転角変位又は回転角速度が検出される従動支持回転体以外の従動支持回転体の回転周期とが整数比であることを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上の顕像を記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記潜像担持体を駆動させるベルト装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のベルト装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる中間転写体と、該潜像担持体上の顕像を該中間転写体に転写する第1の転写手段と、該中間転写体上の顕像を記録材に転写する第2の転写手段とを備えた画像形成装置において、上記中間転写体を駆動させるベルト装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のベルト装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項23の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる記録材搬送部材と、該潜像担持体上の顕像を中間転写体を介して又は中間転写体を介しないで直接に、該記録材搬送部材で搬送されている記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記記録材搬送部材を駆動させるベルト装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のベルト装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項24の発明は、インクを吐出する吐出口を備えたヘッド部と、該ヘッド部と対向し記録媒体を該ヘッド部と対向する位置に搬送する搬送部材とを備え、該吐出口からインクを吐出して該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、上記搬送部材を駆動させるベルト装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のベルト装置を用いることを特徴とするものである。
図1は、本発明を適用する画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図である。図1において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
この原稿読取りに並行して、図示しない駆動源である駆動モータで駆動ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14,15が連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18において潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを回転させ、各感光体ドラム上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。そして、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
本実施形態の複写機では、中間転写ベルト10を一定速度で移動させる必要がある。しかし、実際には、ベルトの厚みにより、そのベルト移動速度に変動が生じる。中間転写ベルト10のベルト移動速度が変動すると、実際のベルト移動位置が目標とするベルト移動位置からズレてしまい、感光体ドラム40Y,40M,40C上の各トナー画像の先端位置が中間転写ベルト10上でズレて色ズレが発生する。また、ベルト移動速度が相対的に速い時に中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。この場合、最終的にシート上に形成された画像には、そのベルト周方向に対応する方向に周期的な画像濃度の変化(バンディング)が表れる。
そこで、以下、中間転写ベルト10を高い精度で一定速度に維持する構成及び動作について説明する。なお、以下の説明は、中間転写ベルト10に限られるものではなく、広く、駆動制御がなされるベルトについて同様であるので、ベルトとして説明する。
また、駆動支持回転体検出手段は、モータに設けても良い。この場合は、モータの回転角やモータの駆動信号から駆動ローラ15の回転角速度または角変位を推測する。
図4は、一般的に用いられるベルトの周方向におけるベルト厚み変動(ベルト厚み偏差分布)の一例を示すグラフである。
このグラフの横軸は、ベルト1周分の長さ(ベルト周長)を2π[rad]の角度に置き換えたものである。縦軸は、ベルト周方向におけるベルト平均厚み(100μm)を基準(基準値0)としたベルト厚みの偏差値である。図4に示すベルト厚み変動は、ベルト厚み変動の周波数成分のうち、基本(一次)成分のみを示したものである。なお、後述するが、本実施形態においてはこのような一次成分のみの厚み変動からベルト駆動を制御するだけでなく、高次成分を考慮に入れて対応可能である。
図5は、駆動ローラ15に巻き付いたベルト部分を、その駆動ローラ15の軸方向から見たときの拡大図である。駆動ローラ15側でのベルト移動速度は、駆動ローラ15のベルト巻付角θ2の(1/2)上における中間転写ベルト10の中央部をベルト駆動位置Xと仮に設定し、このベルト駆動位置での速度とする。
ベルト10の厚さが図4に示すように周方向に沿って正弦的に変化しているとき、駆動位置におけるベルト実効厚みBtは、下記の数1に示す式で表すことができる。この式中の「Bt0」は、ベルト10の平均厚みであり、「Bta」は厚さ変動の振幅値、「θb」はベルト厚さ回転角速度であり、αは、初期位相である。
上記ベルト駆動位置Xからベルト従動位置Yまでの距離は、ベルト一周の長さを2πラジアンとするとき、位相差τラジアンと表すことができる。すると、従動位置Yにおけるベルト実効厚みBt’’は、下記の数4に示す式で表すことができる。
図6(b)からわかるように、駆動ローラ15を一定の回転角速度で回転した場合の従動ローラ14の回転角速度であるCは、ベルトを一定の搬送速度で回転したときの従動ローラ14の回転角速度変動B’と、駆動ローラ15を一定の回転角速度で回転した場合のベルト搬送速度であるAとを重畳したものである。
なお、ここでは、Re=Rd、κe=κd、α=0、τ=1.3ラジアンとしている。
実際には、画像形成装置で機能性を持たせたベルト搬送経路を考慮すると、τをベルト厚み変動周期の丁度2分の1に設定することは難しいが、なるべくその近くに設定できると検出感度が高くなる。ベルト厚み変動が全体で2周期以上有る場合は、その変動周期において、前記の位相差τを丁度π、もしくはπの奇数倍に設定でき、高い検出感度を得ることができる。この関係をベルトの長さで表現すると、ベルト厚み変動の周期Tbに対応するベルト長さの2分の1、もしくはその奇数倍ということになる。
また、位相に対する補正値Τは
となる。
つまり、駆動ローラ15を一定回転させて検出されたベルト回転周期の変動データ(図6(b)の波形C)の変振幅及び位相数値に対して、振幅値は、補正係数ηをかけて、位相Tを加えた値が、ベルトが一定速度で回転させた場合の従動ローラ14の回転角速度の変動データ(図6(b)の波形B’)となる。これがベルト厚み変動に対応したベルトを一定速度で回転させるための従動ローラ14の目標基準信号数値となる。数13〜15は、ローラ径や位相差など、すべてベルト搬送機構の構成に関する数値で求められる。そのため、振幅の補正係数ηと位相補正値Tは、予め決定される定数である。ただし、ベルト厚み実効係数κは、ベルトの材質やベルトの巻付き角に応じて変化するものであり、駆動ローラ15側と従動ローラ14側のベルト厚み実効係数κを事前に把握する必要がある。このベルト厚み実効係数κは、ベルトの平均搬送速度と各ローラの平均回転角速度の関係を計測して求めることができる。ベルト厚み実効係数κは、ベルト材質やベルトの巻付き角が装置すべてに共通であれば、1つの装置において計測すれば他の装置に同じ数値を用いることができる。また、駆動ローラ15と従動ローラ14の半径Rを同一として、さらにベルト実効厚み係数κも同一となる構成にすることで、数13、数14が簡略化されることがわかる。そのことから、駆動側と従動側のκがほぼ同一となるように巻付き角を一致させるようにベルト搬送経路を設計することが好ましい。また、巻付き角がある角度を超える、つまり、駆動ローラ15側と従動ローラ14側の巻付き角を十分に持たせると、ベルト厚み実効係数κは、巻付き角に依らず、ベルト体の構造固有の値に安定することが実験から得られた。このことから、駆動と従動の両者の巻付き角を十分に持たせることで同様にκの比を1とすることが可能である。
また、駆動入力信号は、これに限らず、例えば、駆動ローラ15にロータリエンコーダを設けて、このロータリエンコーダの出力信号を駆動入力信号としても良い。
一方、エンコーダの検知内容が回転角変位検出の場合、エンコーダ出力波形(パルス波)をカウントして回転角変位をエンコーダ回転検出部610で算出してからコントローラ部614へ駆動出力信号を送信する。または、回転角速度結果をエンコーダ回転検出部610で積分して、コントローラ部614へ駆動出力信号を送信するようにしても良い。
エンコーダの検知内容を角速度と角変位のどちらにするかについては、制御対象としているベルトの周期に応じて決めるとよい。画像形成装置で用いられる中間転写ベルト10などの無端状ベルトとそれを駆動するモータ17や伝達機構18、駆動ローラ15などの駆動系部品の回転周期は、0.1〜5[Hz]が多い。図1で示した画像形成装置の中間転写ベルト10は、約800[mm]の無端状ベルトを160[mm/sec]で搬送するので、回転周期は0.2[Hz]である。このようなベルト回転周期の変動を検出して適切に制御する場合、角速度を検出するよりも角変位を検出する方が変動としては大きくなり、制御性能を高くすることができる。それは、角速度は、ベルト一周期のベルトの速度変動を検出するものであるが、角変位は、ベルト一周期あたりのローラの移動量(回転量)であるからである。例えば、図1の画像形成装置では、ローラの半径が16[mm]で、ベルト平均厚みが100[μm]、ベルトの厚みが±10[μm]変化するものが多い。従動ローラが一定速度で回転した場合とベルトが一定速度で回転した場合とを比較すると、速度変動率は、±0.16[%]であるが、角変位量は、±20[μm]以上となる。このような理由から、本実施形態においては、回転角変位情報を検出する方が適している。ただし、ベルトの回転に対し比較的高い周波数の駆動系回転体に対して、より高精度に制御するために速度フィードバック系を併せて構成してもよい。
上記仮想ホームポジション信号は、ベルトの1回転周期で発生するように設定された信号である。仮想ホームポジション信号は、例えば、駆動ローラの径や駆動伝達系の減速比などを考慮して、ベルト1周回分に相当するモータの累積回転角を設定する。そして、モータの累積回転角が、この設定された値となったら仮想ホームポジション信号が発生するようにする。また、従動ローラの径を考慮して、ベルト1周回分に相当する従動ローラの累積回転角を設定する。従動ローラに設置されたロータリエンコーダで回転角検出して、設定した累積回転角になったときに仮想ホームポジション信号が発生するようにしてもよい。さらに、ベルトが設定された平均速度で搬送されている場合は、ベルト回転周期に相当する時間間隔のクロック信号を設定してもよい。この仮想ホームポジション信号を基準に累積回転角や経過時間を管理することで、現在のベルトの位相を認識することができる。
また上記のように、100[Hz]以上の短い周期でサンプリングを行い、この短い周期でサンプリングしたベルト変動成分をフィルタ処理することで、低分解能なロータリエンコーダであっても、高い精度で周期変動を検出することが可能となる。例えば、ロータリエンコーダの分解能がベルト上に換算して100[μm]程度のロータリエンコーダでも500[Hz]でサンプリングして上記フィルタ処理を行うことで数[μm]程度の精度で周期変動を検出することが可能となる。
上記においては、画像形成毎に目標回転変動(目標関数)を演算しているが、装置にあるCPU、またはDSPの処理能力、メモリ容量に応じて、予め目標回転変動(目標関数)を演算して、数値をテーブル化して保存しておき、画像形成毎に読み出すようにしてもよい。
図13は、エンコーダ回転検出部610から比較器605へフィードバックされるエンコーダ出力信号が回転角変位情報である場合の目標基準信号の生成工程を示したものである。図13に示す、グラフ701は目標関数演算部607から出力された従動ローラ14の目標回転変動(目標関数)である。なお、目標関数は式705である。式705は、1次成分(基本波)のみの場合で、振幅をa1、位相をb1としている。ωbは、ベルトの回転角速度で、tはベルト仮想ホームポジションを検出してからの径過時間を表している。一方、グラフ702は平均目標角変位であり、ベルトの所望の動きを示している。グラフ702の傾きが従動ローラの目標平均速度となっている。そして、グラフ701の従動ローラ14の目標回転変動(目標関数)と、グラフ702の平均目標角変位とを加算器703で加算して、グラフ704に示す目標基準信号が生成される。各グラフ縦軸は変位情報でここでは回転角ラジアンとしている。また、横軸は時間である。CPUまたはDSPでのデジタル処理の場合、これらはすべて量子化された離散データとして扱うが、説明のため曲線としている。目標基準信号がグラフ702の平均目標角変位のみであると、ベルト厚み変動に起因した周期変動分を適切に制御することができない。しかし、本実施形態では、目標関数演算部607で算出されたグラフ701の目標回転変動(目標関数)を平均目標角変位と合成して、この合成したものを目標基準信号としている。これにより、ベルト厚み変動があってもベルトを一定速度で搬送する制御が可能となる。なお、エンコーダ回転検出部610から比較器605へフィードバックされるエンコーダ出力信号が回転角速度情報である場合も同様である。すなわち、平均目標角変位が、平均目標回転角速度となり、この平均目標回転角速度と目標回転変動(目標関数)とを合成して目標基準信号が生成される。なお、このとき、各グラフ縦軸が速度情報となる。
例えば、ベルト材質が温度変化により厚み方向に変化しやすい場合、ベルト搬送装置の周辺に温度センサを設置する。その温度変化をモニターしながら、設定した温度の上昇、下降があった場合に、フィードバック制御中にベルト厚み変動の振幅や位相を更新する。そして、この更新した振幅や位相に基づいて、目標関数を生成しなおして、この生成しなおした目標関数に基づいて、フィードバック制御を行う。また、温度変化によりベルト厚み方向に変化して、その変化が制御性能に影響し、周方向の伸縮が制御性能へあまり影響しない場合、振幅値のみを更新するようにしてもよい。
また、経時変化としては、ベルト体の磨耗による削れ、搬送経路によるベルト体のくせの発生などがあり、時間、画像出力枚数をモニターして、所定時間や所定枚数に達したら、ベルト厚み変動の振幅や位相を更新する。
また、振幅や位相を更新する際には、過去のベルト厚み変動の振幅や位相をメモリしておき、複数のベルト厚み変動の振幅や位相の情報を用いて平均値を求めて、振幅や位相の更新を行うことで、目標基準信号の精度を向上させることができる。また、時間、画像出力枚数、温度変化などの複数の検出情報に重み付けを行い、環境、経時変化への適応性を向上させることも可能である。
以上、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、従動支持回転体検出手段の検出結果と、該駆動支持回転体検出手段の検出結果との差分から、ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する回転角変位又は回転角速度のベルト交流成分の振幅・位相を抽出している。従動支持回転体検出手段の検出結果から駆動支持回転体検出手段の検出結果を引くことで、従動支持回転体検出手段で検出された回転角変位又は回転角速度から、駆動支持回転体の回転角変位や回転角速度の変動成分を除去することができる。その結果、従動支持回転体検出手段で検出された回転角変位又は回転角速度をベルトの厚さ変動に対応した回転角変位又は回転角速度のベルト交流成分とすることができる。よって、従来のように、駆動支持回転体を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行しなくても、ベルト交流成分を得ることができる。
(2)
また、本実施形態のベルト駆動装置は、ベルトの任意の位置を仮想基準位置にして、少なくともベルトの厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておく。そして、仮想基準位置と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該生成した目標基準信号と上記従動支持回転体検出手段の検出結果との比較結果に基づいて行う。予め記憶している上記交流信号の振幅及び位相の情報を用いて基準信号を生成することにより、上記ベルト駆動制御が容易になり、制御誤差も累積しにくい。また、ベルトやローラ等の個体差の影響を受けにくいベルト駆動制御が可能になる。また、制御手段でベルトの任意の位置を仮想基準にしている。これにより、従来のようにベルトに基準位置となるマークを設けたり、該マークを検知する検知手段を設けたりする必要がなくなり、コストを低減することができる。
(3)
また、本実施形態のベルト駆動装置は、ベルト一回転周期のベルト厚さ変動に対応した周波数を有するベルト基本交流成分の位相・振幅と、ベルト基本交流成分の整数倍のベルト厚さ変動に対応した周波数を有するベルト高調波交流成分の位相・振幅とをそれぞれ抽出している。使用するベルトの周期変動が基本波として近似するには誤差が大きいときでも、高調波交流成分を用いることでベルト周期変動を近似することができる。よって、ベルト1回転周期で発生する変動成分が1回転1周期のサイン関数から外れた複雑な変動であっても、変動成分を関数化することができるため適切な制御が可能となる。
(4)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、駆動ローラ及び従動ローラの半径や実効ベルト厚さが異なると、駆動側及び従動側におけるベルト移動量と回転角との関係やベルトの同一部分が巻き付くタイミングが異なる。このため、ベルトを一定速度で駆動するための条件が異なってくる。そこで、従動ローラの半径REとベルトの従動ローラに接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さκBtoとの和Aと、駆動ローラの半径RDとベルトの駆動ローラに接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さβBtoとの和Bと、ベルトの従動ローラとの接触部分中央からベルトの駆動ローラとの接触部分中央までのベルトの移動時間τとを考慮して、上記交流成分を処理する。そして、駆動ローラの回転制御を、該処理後の交流成分の振幅及び位相に基づいて行う。具体的には、上記駆動ローラおよび従動ローラの半径と実効ベルト厚さとの和A,Bと、ベルトの従動ローラとの接触部分中央からベルトの駆動ローラとの接触部分中央までのベルトの移動時間τとから振幅補正係数ηおよび位相補正係数Τを算出する。従動ローラの回転角速度または回転角変位から交流成分としてのベルト厚み変動成分の振幅および位相を抽出手段により抽出する。この抽出手段により抽出された振幅および位相を上記補正係数η、Τで補正して目標関数を生成する。この目標関数に基づいて駆動ローラの回転制御を行う。
このように、ベルトを一定に回転させるための目標関数は、ベルトを一定速度で駆動するための条件を異ならせる要因である駆動ローラ及び従動ローラの半径や実効ベルト厚さが考慮されている。よって、従動ローラの回転角変位又は回転角速度を検出し、その回転角変位又は回転角速度が上記駆動ローラ及び従動ローラの半径や実効ベルト厚さが考慮された目標関数となるように駆動ローラの回転数を制御することで、確実にベルトを一定速度で回転させることが可能となる。
(5)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、上記交流成分の振幅及び位相に基づく上記駆動支持回転体の回転制御中に、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度のベルト変動成分を抽出する。これにより、環境や径時の変化があった場合、駆動支持回転体の回転制御中に、ベルト変動成分の位相・振幅を抽出して、この抽出した位相・振幅に基づいて、目標関数の更新を行うことができる。よって、環境や径時の変化があった場合に直ちに目標関数の更新を行うことができる。
(6)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、環境・径時変化検知手段の検知結果に基づき、上記交流成分から抽出するデータを選択している。例えば、温度変化によりベルト厚み方向に変化して、その変化が制御性能に影響し、周方向の伸縮が制御性能へあまり影響しない場合、振幅値のみを更新するようにする。このように、環境変化や径時変化によって変化するのが振幅だけであれば、振幅のみを抽出すればよい。これによって、振幅と位相を抽出するものに比べてデータ処理量を減少することができる。
(7)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、ベルトを一周以上回転させて、従動ローラの回転角変位又は回転角速度および基準位置マークの検出を行っている。具体的には、ベルト複数周回分の従動ローラの回転角変位又は回転角速度データを検知して、これらのデータを加算して平均化する。このように、エンコーダからの検出データが平均化されるので、ランダムに発生する変動成分は減少し、周期的な厚み変動成分は強調される。これによって、高精度にベルト厚み変動に対応した交流成分の振幅および位相を抽出することができる。
(8)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、エンコーダからの検出データから位相・振幅を抽出する前に、フィルタを設けて、ベルト厚み変動に対応した交流成分が有する周波数に対して10倍以上の高周波成分をエンコーダの検出データから除去している。これにより、エンコーダから発生する量子化ノイズや、高周波ノイズを除去することができる。このようにノイズが除去されたエンコーダからの検出データから位相・振幅を抽出することによってさらに高精度にベルト厚み変動に対応した交流成分の振幅および位相を抽出することができる。特に、分解能の低い安価なエンコーダを用いた場合に上記のような高周波ノイズや量子化ノイズが発生しやすい。しかし、このように高周波成分を除去するフィルタを設けることで、分解能の低い安価なエンコーダから発生する高周波成分を除去することができる。よって、分解能の低い安価なエンコーダを用いても、検知された角速度または角変位からベルト厚み変動に対応した交流成分の振幅および位相の抽出精度が落ちることがない。
(9)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、エンコーダからの検出データから位相・振幅を抽出する前に、周期性のない成分を除去する除去手段を備えてエンコーダからの検出データから周期性のない成分を除去している。このように、ノイズが除去されたエンコーダからの検出データを用いることで、さらに高精度にベルト厚み変動に対応した交流成分の振幅および位相を抽出することができる。特に、このような周期性のない成分は定常的なスリップや駆動ローラ、従動ローラ径の誤差である。しかし、このように、周期性のない成分を除去する除去手段を備えることで、駆動ローラ、従動ローラ径を精度よく作成したり、定常的なスリップを抑制する手段をもうけたりしなくても精度よく角速度または角変位からベルト厚み変動に対応した交流成分の振幅および位相を抽出することができる。
(10)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、エンコーダからの検出データから位相・振幅を抽出する前に、フィルタを設けて、エンコーダの検出データからベルト厚み変動以外の周期性のある変動成分を除去している。これにより、フィルタを通過したエンコーダからの検出データの周期性のある変動成分は、ベルト厚み変動成分のみとなり、さらに高精度に厚み変動に対応した交流成分の振幅および位相を抽出することができる。
(11)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、角速度または角変位のベルト厚み変動に対応した交流成分の周期に対して10倍以上の短い周期でエンコーダの検出データをサンプリングしている。これにより、エンコーダで検出されたアナログの厚み変動に対応した交流成分を正確に再現することができる。よって、このエンコーダの検出データを用いることでさらに高精度にベルト厚み変動に対応した交流成分の振幅および位相を抽出することができる。また、ベルトの厚み変動に対応した交流成分の周期に対して10倍以上の短い周期でエンコーダの検出データをサンプリングすることで、フィルタによって上記エンコーダから発生する量子化ノイズや、高周波ノイズを除去するときの影響を抑制することができる。
(12)
また、本実施形態のベルト装置によれば、上記(1)〜(11)のベルト駆動制御装置を用いることで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができる。
(13)
また、本実施形態のベルト装置によれば、ベルトの駆動ローラとの接触部分の中央の位置(駆動位置)からベルトの従動ローラとの接触部分中央の位置(従動位置)までのベルトの移動距離がベルト周長の(1/2)にある従動ローラの回転角変位又は回転角速度を検出する。これにより、駆動ローラを一定速度で回転させたとき、上記ベルト周長の(1/2)にある従動ローラで検知されるベルトの厚み変動に対応した回転角速度の交流成分がベルト搬送速度に対して2倍の振幅を有するようになる。すなわち、ベルト厚み変動に対応した交流成分の検出感度が最大となる。その結果、ベルトの速度変動があった場合、ベルト周長の(1/2)に位置する従動ローラで検知した角速度または角変位と目標関数との差と、ベルト周長の(1/2)以外の位置に位置する従動ローラで検知した角速度または角変位と目標関数との差とを比べると、前者の方が大きな値となる。このため、ベルトの駆動ローラからベルト周長の(1/2)にある従動ローラ回転角変位又は回転角速度を検出することで、精度よく駆動ローラの回転を制御することができる。また、数14、16からわかるようにΤ=0となり、目標関数を算出するための演算負荷を抑制することができる。
(14)
また、(13)に述べたように、ベルトの駆動ローラとの接触部分の中央の位置からベルトの従動ローラとの接触部分中央の位置までのベルトの移動距離がベルト周長の(1/2)にある従動ローラの角速度を検出することで、最大感度を得ることができ良好な回転制御を行うことができるが、ベルト装置のレイアウト上、上記位置に配置することができない場合がある。このような場合においては、ベルトの駆動ローラとの接触部分の中央の位置(駆動位置)からベルトの従動ローラとの接触部分中央の位置(従動位置)までのベルトの移動距離が最大となる従動ローラの角速度を検知することが好ましい。これにより、このベルト装置において、最大感度(振幅が最大となる)で角速度を検出することができる。よって、駆動ローラの回転数を精度良く制御することができる。
(15)
また、本実施形態のベルト装置によれば、駆動ローラの半径とエンコーダによって角変位又は角速度が検知される従動ローラの半径とを等しくし、かつ、ベルトが駆動ローラと接触する領域の長さと、ベルトがエンコーダによって角変位又は角速度が検知される従動ローラと接触する領域の長さとを等しくしている。これにより、駆動ローラ側のベルト厚み実効係数κdと、エンコーダによって角変位又は角速度が検知される従動ローラベルト厚み実効係数κeの比を1とすることができる。これにより、数13、数14に示す式が簡略化され、演算負荷を抑制することができる。
(16)
また、本実施形態のベルト装置によれば、入力信号に対して既定角度で回転するモータであるステッピングモータや、振動波モータを採用することができる。これにより、容易かつ正確に駆動ローラの回転角速度を設定することができ、駆動ローラの回転数を精度良く制御することができる。
(17)
また、本実施形態のベルト装置によれば、モータの出力軸の回転角を検出して、この検出結果に基づいて、モータのトルクを制御することで、駆動ローラの回転数を精度良く制御することができる。
(18)
また、本実施形態のベルト装置によれば、駆動ローラにエンコーダを設置して、駆動ローラの角変位や角速度を検出して、この検出結果に基づいて、モータのトルクを制御することで、駆動ローラの回転数を精度良く制御することができる。
(19)
また、本実施形態のベルト装置によれば、伝達機構の回転体の回転周期と、駆動ローラの回転周期とを整数比としている。駆動ローラの偏心や回転体偏心による変動は、一回転を一周期とするものである。よって、回転体の回転周期と、駆動ローラの回転周期とを整数比とすれば、エンコーダの検出データにおける駆動ローラの偏心に対応する交流成分の周期と、回転体の偏心に対応する交流成分の周期も整数比の関係になる。このような関係を有するので、例えば、駆動ローラの偏心に対応する周期を有する交流成分を除去するフィルタを設計すれば、このフィルタに、回転体の偏心に対応する周期を有する交流成分を除去する機能を容易に持たすことができ、フィルタの設計を容易に行うことができる。
(20)
また、本実施形態のベルト装置によれば、駆動ローラの回転周期と、エンコーダによって角変位又は角速度が検出される従動ローラの回転周期とを整数比としている。これにより、エンコーダの検出データにおける駆動ローラの偏心に対応する交流成分の周期と、角変位又は角速度が検出される従動ローラの偏心に対応する交流成分の周期を整数比の関係にすることができる。よって、駆動ローラの偏心に対応する周期を有する交流成分と変位又は角速度が検出される従動ローラの偏心に対応する交流成分とを除去するフィルタを容易に設計することができる。
(21)
また、本実施形態のベルト装置によれば、駆動ローラの回転周期と、エンコーダによって角変位又は角速度が検出されない従動ローラの回転周期とを整数比としている。これにより、駆動ローラの偏心に対応する周期を有する交流成分と変位又は角速度が検出されない従動ローラの偏心に対応する交流成分とを除去するフィルタを容易に設計することができる。
(22)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、感光体ベルトを上記(12)〜(21)のベルト装置を用いることで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
(23)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、中間転写ベルトを上記(12)〜(21)のベルト装置を用いることで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
(24)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、用紙搬送ベルトを上記(12)〜(21)のベルト装置を用いることで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、用紙に転写される画像の濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
(25)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、インクジェットプリンタの用紙搬送ベルトを上記(12)〜(21)のベルト装置を用いることで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、用紙に転写される画像の濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
14 従動ローラ
15 駆動ローラ
17 モータ
18 伝達機構部
Claims (24)
- 無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、
該複数の支持回転体のうち回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する従動支持回転体検出手段と、
該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する駆動支持回転体検出手段と、
該従動支持回転体検出手段の検出結果と、該駆動支持回転体検出手段の検出結果との差分から、該ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する回転角変位又は回転角速度のベルト交流成分の振幅・位相を抽出する抽出手段と、
上記抽出手段で抽出した上記ベルト交流成分の振幅に下記数1で示される振幅補正係数ηを乗算し、上記抽出手段で抽出した上記ベルト交流成分の位相に下記数3で示される位相補正値Tを加算して、上記ベルトが一定速度で回転したときの上記従動支持回転体の回転速度変動である目標回転変動を演算する演算手段と、
上記従動支持回転体検出手段の検出結果に基づいて、上記従動支持回転体の回転速度変動が、上記目標回転変動となるよう上記駆動支持回転体の回転を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするベルト駆動制御装置。
Re:従動支持回転体の半径
Rd:駆動支持回転体の半径
κe:従動支持回転体側のベルト厚み実効係数
κd:駆動支持回転体側のベルト厚み実効係数
Bt0:ベルト平均厚み
τ:ベルトの従動支持回転体との接触部分中央からベルトの駆動支持回転体との接触部分中央までのベルトの移動時間 - 請求項1のベルト駆動制御装置において、
上記ベルトの任意の位置を仮想の基準位置にして、少なくとも該ベルトの厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておき、該基準位置と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該生成した目標基準信号と上記従動支持回転体検出手段の検出結果との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項1または2のベルト駆動制御装置において、
上記抽出手段は、ベルト一回転周期のベルト厚さ変動に対応した周波数を有するベルト基本交流成分の位相・振幅と、該ベルト基本交流成分の整数倍のベルト厚さ変動に対応した周波数を有するベルト高調波交流成分の位相・振幅とをそれぞれ抽出することを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項1、2または3のベルト駆動制御装置において、
上記抽出手段は、上記交流成分の振幅及び位相に基づく上記駆動支持回転体の回転制御中に得られた上記従動支持回転体検出手段の検出結果と、上記駆動支持回転体検出手段の検出結果との差分から、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分の位相・振幅を抽出することを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項1、2、3または4のベルト駆動制御装置において、
ベルト周囲の環境変化やベルトの経時変化を検知する環境・経時変化検知手段を備え、上記抽出手段は、該環境・経時変化検知手段の検知結果に基づき、上記抽出手段でベルト交流成分の振幅・位相を再抽出して、上記演算手段で目標回転変動を再演算することを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項1、2、3、4または5のベルト駆動制御装置において、
従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出および基準位置マークの検出をベルト一回転以上にわたり行うことを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項1、2、3、4、5または6のべルト駆動制御装置において、
上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記ベルト交流成分の周波数に対して10倍以上の高周波成分を除去する除去フィルタを備えていることを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6または7のべルト駆動制御装置において、
上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、周期性のない成分を除去する除去手段を備えていることを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7または8のべルト駆動制御装置において、
上記従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記ベルト交流成分以外の交流成分を除去する除去フィルタを備えていることを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のべルト駆動制御装置において、
従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出を上記ベルト交流成分の周波数の10倍以上の周波数で検出することを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、該ベルトを駆動するための回転駆動力を発生する駆動源と、複数の支持回転体のうち該回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する従動支持回転体検出手段と、該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する駆動支持回転体検出手段と、該従動支持回転体検出手段の検出結果と、該駆動支持回転体検出手段の検出結果との差分に基づいて、該駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置とを備えたベルト装置であって、
該駆動制御装置として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のベルト駆動制御装置を用いたことを特徴とするベルト装置。 - 請求項11のベルト装置において、
上記検出手段は、上記ベルトの上記駆動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの上記従動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動距離がベルト周長の(1/2)にある従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出することを特徴とするベルト装置。 - 請求項11のベルト装置において、
上記検出手段は、上記ベルトの上記駆動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの上記従動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動距離が最も長くなる従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出することを特徴とするベルト装置。 - 請求項11、12または13のベルト装置において、
上記駆動支持回転体の半径と上記検知手段によって回転角変位又は回転角速度が検知される従動支持回転体の半径とを等しくし、かつ、上記ベルトが該駆動支持回転体と接触する領域の長さと、該ベルトが該検知手段によって回転角変位又は回転角速度が検知される従動支持回転体と接触する領域の長さとを等しくしたことを特徴とするベルト装置。 - 請求項11、12、13または14のベルト装置において、上記駆動源は、入力信号に対して既定角度回転するモータであることを特徴とするベルト装置。
- 請求項11、12、13または14のベルト装置において、
上記駆動源は、駆動支持回転体へ回転駆動力を伝達する出力軸と、該出力軸の回転角を検出する回転角検出手段を有しており、該回転角検出手段の検出結果に基づいて、該駆動源のトルクを制御することを特徴とするベルト装置。 - 請求項11、12、13または14のベルト装置において、
駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段を備え、該駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から上記駆動源を制御することを特徴とするベルト装置。 - 請求項11、12、13、14、15、16または17のベルト装置において、
上記駆動源の駆動力を上記駆動支持回転体へ伝達するための複数の回転体を有する伝達機構を備え、
上記伝達機構の回転体の回転周期と、上記駆動支持回転体の回転周期とが整数比であることを特徴とするベルト装置。 - 請求項11、12、13、14、15、16、17または18のベルト装置において、
上記駆動支持回転体の回転周期と、上記回転角変位又は回転角速度が検出される従動支持回転体の回転周期とが整数比であることを特徴とするベルト装置。 - 請求項11、12、13、14、15、16、17、18または19のベルト装置において、
上記駆動支持回転体の回転周期と、上記回転角変位又は回転角速度が検出される従動支持回転体以外の従動支持回転体の回転周期とが整数比であることを特徴とするベルト装置。 - 複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上の顕像を記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記潜像担持体を駆動させるベルト装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のベルト装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる中間転写体と、該潜像担持体上の顕像を該中間転写体に転写する第1の転写手段と、該中間転写体上の顕像を記録材に転写する第2の転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記中間転写体を駆動させるベルト装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のベルト装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる記録材搬送部材と、該潜像担持体上の顕像を中間転写体を介して又は中間転写体を介しないで直接に、該記録材搬送部材で搬送されている記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記記録材搬送部材を駆動させるベルト装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のベルト装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - インクを吐出する吐出口を備えたヘッド部と、該ヘッド部と対向し記録媒体を該ヘッド部と対向する位置に搬送する搬送部材とを備え、該吐出口からインクを吐出して該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
上記搬送部材を駆動させるベルト装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のベルト装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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