JP2005115398A - ベルト駆動制御方法及びその装置、ベルト装置、画像形成装置、プロセスカートリッジ、プログラム並びに記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 従動ローラ502の回転角変位又は回転角速度を検出し、その検出結果から、ベルト500の周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する回転角速度の交流成分を抽出し、この交流成分の振幅及び位相に基づいて駆動ローラ501の回転を制御する。
【選択図】 図1
Description
ここで、電子写真方式によるタンデム型のカラー画像形成装置の一例について具体的に説明する。このタンデム型のカラー画像形成装置では、例えば黄、マゼンタ、シアンおよび黒の各単色画像を形成する画像形成ユニットが記録用紙の搬送方向に順次配置される。そして、レーザ露光ユニットにより感光体ドラム表面に形成された静電潜像が各画像形成ユニットで現像されることによりトナー画像が形成される。そして、静電力により搬送ベルトに付着されて搬送される記録用紙上に順次重ね合わられて転写された後、定着器によってトナーが溶融圧着されることにより、記録用紙上にカラー画像が形成される。搬送ベルトは、互いに平行に配置された駆動ローラと従動ローラとの間に適当なテンションで掛け渡される。駆動ローラは、モータによって所定の回転速度で回転駆動され、それに伴い搬送ベルトも所定の速度で回転移動する。記録用紙は給紙機構によって所定のタイミングで搬送ベルトの画像形成ユニット側に供給され、搬送ベルトの移動速度と同一速度で移動して搬送されることにより、各画像形成ユニットを順次通過する。このようなタンデム型のカラー画像形成装置では、記録用紙の搬送速度、つまり搬送ベルトの移動速度を所定の速度にすることが、記録用紙上で重ね合わせられる各単色画像の相対位置ずれを低減させる上で極めて重要である。
例えば、特許文献1に記載の方法では、あらかじめベルトの厚さを測定し、これに基づきベルトの移動速度を一定にするのに必要な駆動源のパラメータを算出して、駆動ローラの回転数を制御する。しかしながら、この方法は、微小な搬送ベルトの厚さを測定することが非常に困難であることから実施が難しい。また、部品コストはかからないが、生産時あるいは市場でのサービス時に計測データを機器に入力する必要があるため、製造コストやサービスコストが高くなってしまうという問題点を有している。
また、特許文献2に記載の方法では、ベルトの厚さを測定しながら駆動ローラの回転数を補正制御する、あるいはベルト1周分の厚さ変動を記録して、これに基づき駆動ローラの回転数を補正制御する。しかしながら、この方法では、微小な搬送ベルトの厚さをリアルタイムで測定することが非常に困難であり、かつ、検出感度を上げるために高価なセンサ等を使用する必要があり製造コストが高くなってしまうという問題点を有している。
また、特許文献3に記載の方法では、ベルト厚さ変動が1周にわたりサイン波で発生しやすい遠心成形法で形成されたベルトを装置本体へ組込む前に、製造工程であらかじめ転写ベルトの全周における厚さプロファイル(厚さムラ)を測定し、ROMに記憶させる。その全周方向の厚さプロファイルが同様な位相を示す位置にホームポジションとなる基準マークを付し、その位置を検出することによって、厚さ変動によるベルト速度変動をキャンセルするように、ベルト駆動手段を制御する。しかしながら、この方法では、ベルト製造において大幅なコストアップとなるという問題点を有している。
請求項2の発明は、請求項1のベルト駆動制御方法において、上記従動支持回転体の半径と、上記ベルトの該従動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、上記駆動支持回転体の半径と、該ベルトの該駆動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、該ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動時間とを考慮して、上記交流成分を処理し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該処理後の交流成分の振幅及び位相に基づいて行うことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2のベルト駆動制御方法において、上記駆動支持回転体の回転制御に用いる基準信号の振幅及び位相を変化させながら上記ベルトのテスト駆動を実行し、該テスト駆動時に得られた上記交流信号との差分が最小になるように該基準信号の振幅及び位相を設定し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該テスト駆動によって設定された振幅及び位相を有するように生成された基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うことを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1又は2のベルト駆動制御方法において、上記ベルトに設けられた基準位置マークの検出結果を基準にして上記駆動支持回転体を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行し、該テスト駆動で得られた、少なくとも該ベルトの周方向厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておき、該基準位置マークの検出結果と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該生成した目標基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うことを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4のベルト駆動制御方法において、上記交流成分の抽出を、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した互いに異なる周波数を有する複数の上記交流成分を抽出するように行い、上記駆動支持回転体の回転制御を、該複数の交流成分に基づいて行うことを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項6のベルト駆動制御装置において、上記従動支持回転体の半径と、上記ベルトの該従動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、上記駆動支持回転体の半径と、該ベルトの該駆動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、該ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動時間とを考慮して、上記交流成分を処理し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該処理後の交流成分の振幅及び位相に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項6又は7のベルト駆動制御装置において、上記駆動支持回転体の回転制御に用いる基準信号の振幅及び位相を変化させながら上記ベルトのテスト駆動を実行し、該テスト駆動時に得られた上記交流信号との差分が最小になるように該基準信号の振幅及び位相を設定し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該テスト駆動によって設定された振幅及び位相を有するように生成された基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項6又は7のベルト駆動制御装置において、上記ベルトに設けられた基準位置マークの検出結果を基準にして上記駆動支持回転体を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行し、該テスト駆動で得られた、少なくとも該ベルトの厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておき、該基準位置マークの検出結果と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該生成した目標基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項6、7、8又は9のベルト駆動制御装置において、上記交流成分の抽出を、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した互いに異なる周波数を有する複数の上記交流成分を抽出するように行い、上記駆動支持回転体の回転制御を、該複数の交流成分に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
請求項12の発明は、請求項11のベルト装置において、上記駆動支持回転体の半径と上記従動支持回転体の半径とが等しいことを特徴とするものである。
請求項13の発明は、請求項12のベルト装置において、上記ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動距離が、該ベルトの周方向厚さ変動の半周期に対応する長さの奇数倍であることを特徴とするものである。
請求項14の発明は、請求項11のベルト装置において、上記駆動支持回転体の半径と上記従動支持回転体の半径とが異なり、上記ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動距離が、該ベルトの周方向厚さ変動の半周期に対応する長さの偶数倍であることを特徴とするものである。
請求項15の発明は、請求項11、12、13又は14のベルト装置において、上記検出手段を、複数の従動支持回転体のうち温度による厚さ変動を受けにくい箇所に配置された従動支持回転体について設けたことを特徴とするものである。
請求項16の発明は、上記無端状のベルトが、画像形成装置に用いる感光体ベルトである請求項11、12、13、14、又は15のベルト装置である。
請求項17の発明は、上記無端状のベルトが、画像形成装置に用いる中間転写ベルトである請求項11、12、13、14又は15のベルト装置である。
請求項18の発明は、上記無端状のベルトが、画像形成装置において潜像担持体上の画像を転写する転写位置に転写材を保持して搬送する転写材搬送ベルトである請求項11、12、13、14又は15のベルト装置である。
請求項19の発明は、上記無端状のベルトが、画像形成装置において中間転写体上の画像を転写する転写位置に転写材を保持して搬送する転写材搬送ベルトである請求項11、12、13、14又は15のベルト装置である。
請求項21の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトからなる中間転写体と、該潜像担持体上の顕像を該中間転写体に転写する第1の転写手段と、該中間転写体上の顕像を転写材に転写する第2の転写手段と、該中間転写体を駆動するための回転駆動力を発生する駆動源と、複数の支持回転体のうち該回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて、複数の支持回転体のうち該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該中間転写体の駆動を制御するベルト駆動制御装置とを備えた画像形成装置であって、上記ベルト駆動制御装置は、上記複数の支持回転体のうち上記回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出し、該従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記中間転写体の周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出し、該交流成分の振幅及び位相に基づいて、上記駆動支持回転体の回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項22の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトからなる転写材搬送部材と、該潜像担持体上の顕像を中間転写体を介して又は中間転写体を介しないで直接に、該転写材搬送部材で搬送されている転写材に転写する転写手段と、該転写材搬送部材を駆動するための回転駆動力を発生する駆動源と、複数の支持回転体のうち該回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて、複数の支持回転体のうち該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該転写材搬送部材の駆動を制御するベルト駆動制御装置とを備えた画像形成装置であって、上記ベルト駆動制御装置は、上記複数の支持回転体のうち上記回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出し、該従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記転写材搬送部材の周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出し、該交流成分の振幅及び位相に基づいて、上記駆動支持回転体の回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項23の発明は、請求項20、21又は22の画像形成装置において、上記従動支持回転体の半径と、上記ベルトの該従動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、上記駆動支持回転体の半径と、該ベルトの該駆動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、該ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動時間とを考慮して、上記交流成分を処理し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該処理後の交流成分の振幅及び位相に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
請求項24の発明は、請求項20、21、22又は23の画像形成装置において、上記駆動支持回転体の回転制御に用いる基準信号の振幅及び位相を変化させながら上記ベルトのテスト駆動を実行し、該テスト駆動時に得られた上記交流信号との差分が最小になるように該基準信号の振幅及び位相を設定し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該テスト駆動によって設定された振幅及び位相を有するように生成された基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
請求項25の発明は、請求項20、21、22又は23の画像形成装置において、上記ベルトに設けられた基準位置マークの検出結果を基準にして上記駆動支持回転体を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行し、該テスト駆動で得られた、少なくとも該ベルトの厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておき、該基準位置マークの検出結果と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該生成した目標基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
請求項26の発明は、請求項20、21、22、23、24又は25の画像形成装置において、上記交流成分の抽出を、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した互いに異なる周波数を有する複数の上記交流成分を抽出するように行い、上記駆動支持回転体の回転制御を、該複数の交流成分に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
請求項27の発明は、請求項20の画像形成装置に用いるプロセスカートリッジであって、少なくとも上記潜像担持体及び上記ベルト駆動制御装置を含み且つ該画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたことを特徴とするものである。
請求項29の発明は、請求項28のプログラムにおいて、上記従動支持回転体の半径と、上記ベルトの該従動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、上記駆動支持回転体の半径と、該ベルトの該駆動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、該ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動時間とを考慮して、上記交流成分を処理するステップを、コンピュータを用いて実行させ、上記駆動支持回転体の回転制御は、該処理後の交流成分の振幅及び位相に基づいて行うことを特徴とするものである。
請求項30の発明は、請求項28又は29のプログラムにおいて、上記駆動支持回転体の回転制御に用いる基準信号の振幅及び位相を変化させながら上記ベルトのテスト駆動を実行し、該テスト駆動時に得られた上記交流信号との差分が最小になるように該基準信号の振幅及び位相を設定するステップを、コンピュータを用いて実行させ、上記駆動支持回転体の回転制御は、該テスト駆動によって設定された振幅及び位相を有するように生成された基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うことを特徴とするものである。
請求項31の発明は、請求項28又は29のプログラムにおいて、上記ベルトに設けられた基準位置マークの検出結果を基準にして上記駆動支持回転体を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行し、該テスト駆動で得られた、少なくとも該ベルトの周方向厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶するステップと、該基準位置マークの検出結果と該記憶されている情報に基づいて目標基準信号を生成するステップとを、コンピュータに実行させ、上記駆動支持回転体の回転制御は、該生成した目標基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うことを特徴とするものである。
請求項32の発明は、請求項28、29、30又は31のプログラムにおいて、上記交流成分の抽出を、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した互いに異なる周波数を有する複数の上記交流成分を抽出するように行い、上記駆動支持回転体の回転制御を、該複数の交流成分に基づいて行うことを特徴とするものである。
請求項33の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するためのプログラムが格納された記録媒体であって、該プログラムが、請求項28、29、30、31又は32のプログラムであることを特徴とするものである。
一方、従動支持回転体がベルトの移動に伴って従動するように回転するとき、ベルトの内周面と同じ速度で外周面が移動するように従動支持回転体が回転する。このベルトの内周面すなわち従動支持回転体の外周面は、ベルト全体としての移動速度(ベルト厚さ方向の中央部の移動速度)よりも遅く移動する。そのため、ベルト全体としての移動速度が一定であったとしても、従動支持回転体の回転角速度は、その従動支持回転体に接しているベルト部分の厚さによって変動する。例えば、従動支持回転体に厚いベルト部分が接しているときは、従動支持回転体の回転が遅くなり、逆に従動支持回転体に薄いベルト部分が接しているときは、従動支持回転体の回転が速くなる。このようにベルトの厚さに応じて従動支持回転体の回転が変動する。
そこで、本ベルト駆動制御方法では、従動支持回転体の回転角変位及び回転角速度を検知し、この検知されたデータから、ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する、従動支持回転体の回転角速度の交流成分を抽出している。この抽出した交流成分の振幅及び位相は、ベルトの周方向の周期的な厚さ変動の振幅及び位相に対応している。従って、この交流成分の振幅及び位相に基づいて、駆動支持回転体に厚いベルト部分が接するタイミングには駆動支持回転体の回転角速度を低め、逆に駆動支持回転体に薄いベルト部分が接しているときは駆動支持回転体の回転角速度を高めるように制御する。この制御により、ベルトの周方向に厚さ変動の影響を受けずにベルトを一定の移動速度で駆動できる。
まず、ベルトの厚さとベルトの移動速度との関係について説明する。
図1はベルトのフィードバック制御の概略構成図である。図1において、ベルト500は駆動ローラ(駆動支持回転体)501と従動ローラ(従動支持回転体)502とに掛け渡されており、ベルト500の厚さ変動は1次成分(ベルト1回転で1周期)しかないとする。そして、ベルト駆動制御装置700を用いてフィードバック制御が実行される。このフィードバック制御では、例えばよく知られているPLL(Phase Locked Loop)制御方式の基準周波数frefとエンコーダ601出力の検出周波数fとの関係がf−fref=0となるようにモータ602の回転が制御される。このフィードバック制御においては、従動ローラ502(従動支持回転体)は一定回転ωoで回転している。この条件下でベルト500の厚さの影響を考察するモデルを、以下のように仮定する。
〔数1〕
ΔRe=ΔRo+r・sin(ωbt+α)
〔数2〕
ΔRm=ΔRo+r・sin(ωbt−π)=ΔRo−r・sinωbt
〔数3〕
v=(R+ΔRo+r・sinωbt)ωo −−−(a)
〔数4〕
ωm=(R+ΔRo+r・sinωbt)ωo/(R+ΔRo−r・sinωbt)
=〔1+{2r/(R+ΔRo)}・sinωbt〕ωo
〔数5〕
ωe=〔1+{2r/(R+ΔRo)}・sinωbt〕ωo
図4は、本ベルト駆動制御方法の基本的な原理を説明するための説明図である。本ベルト駆動制御方法は、図4のように駆動源としてのモータによって駆動される駆動ローラ501と回転角を検出するエンコーダ側の従動ローラ502の両ローラの回転角速度を変動させて制御する。つまり、ベルト速度vが一定になっているとき、ベルト500の最も厚い部分が巻き付いているローラ側の回転角速度が遅くなる状態になるように制御する。
〔数6〕
ωL=V/(R+Δrmax)
〔数7〕
ωR=V/(R+Δrmin)
〔数8〕
ωo=V/{R+(Δrmax+Δrmin)/2}
図5は、本ベルト駆動制御方法の一般化モデルを説明するための説明図である。図5において、ベルト500は周方向に厚さ周期変動(高次の周期変動を含む)を持ち、3つのローラ501〜503に掛け渡されて一定速度Vで移動している。また、左側の従動ローラ502のベルト厚さ変動による回転変動と右側の駆動ローラ501の回転変動との間の位相ずれが、上記図4のようにベルト厚さ変動の半周期(π)となっていない。従って、この変動位相ずれφを考慮して右側の駆動ローラ501の回転角速度が変動するように、ベルト駆動制御装置700でフィードバック制御する必要がある。そして、ベルト速度Vが一定となるよう最適なフィードバック量(たとえばゲイン)を設定する必要がある。
τ:ベルト厚さを考慮した実行エンコーダ検出位置と実行駆動位置間のベルト厚さ変動周期時間差
T:ベルト一回転周期
TN:ベルト厚さN次変動周期T/N(N:自然数)
以下のベルト厚さは実行的な移動速度にかかわる中間転写ベルト厚さ位置で表現
BtN:ベルト厚さN次変動成分最大振幅
Bto:ベルト平均厚さ
Bt:ベルト厚さ
Bt=Bto+BtN・sin(ωNt+αN)
ωN=2π/TN
αN:t=0のときの実行エンコーダ検出位置でのN次ベルト変動位相角
V:ベルト速度
RE:軸にエンコーダが取り付けられている従動ローラ(エンコーダ側ローラ)の半径
RD:軸に駆動系が取り付けられている駆動ローラ(駆動系側ローラ)の半径
ωE:ベルト速度Vで移動しているときの従動ローラの回転角速度
ωD:ベルト速度Vで移動しているときの駆動ローラの回転角速度
〔数9〕
ωE=V/(RE+κBt)
=V/{(RE+κBto+κBtN・sin(ωNt+αN)}
={V/(RE+κBto)}〔(1−{κBtN/(RE+κBto)}・sin(ωNt+αN)〕
={V/(RE+κBto)}−{V・κ/(RE+κBto)2}BtN・sin(ωNt+αN)
−−−(1)
〔数10〕
ωD=V/〔RD+βBto+βBtN・sin{ωN(t−τ)+αN}〕
={V/(RD+βBto)}−{V・β/(RD+βBto)2}BtN・sin{ωN(t−τ)+αN } −−−(2)
なお、上記(1)式及び(2)式はN次のみの表現になっているが、一般化すると以下のように表現できる。
〔数11〕
ωE={V/(RE+κBto)}−{V・κ/(RE+κBto)2}ΣBtN・sin(ωNt+αN) −−−(3)
〔数12〕
ωD={V/(RD+βBto)}−{V・β/(RD+βBto)2}ΣBtN・sin{ωN(t−τ)+αN} −−−(4)
(制御例1)
本制御例1は以下に原理に基づいたフィードバック制御である。このフィードバック制御で用いるフィードバック信号の直流成分及び交流成分のゲインGdc及びGNは、次式で表すことができる。
〔数13〕
Gdc={V/(RD+βBto)}/{V/(RE+κBto)}
=(RE+κBto)/(RD+βBto) −−−(5)
〔数14〕
GN={V・β/(RD+βBto)2}/{V・κ/(RE+κBto)2}
=(β/κ)(RE+κBto)2/(RD+βBto)2 −−−(6)
〔数15〕
ref=ωD
={V/(RD+βBto)}−{V・β/(RD+βBto)2}ΣBtN・sin{ωN(t−τ)+αN}
駆動ローラ501側に移動するベルト500では、上記従動ローラ502のエンコーダで検出されるベルト厚さ変動よりもτ時間だけ位相が遅れた厚さ変動がある。これをエンコーダの出力によって制御するためには、エンコーダ出力のτ時間前の信号を使う必要がある。つまりT−τ=Tτ時間遅れた信号を使う必要がある。あるいは上記(3)式で表される従動ローラ502の回転角速度を基準信号refとして入力し、比較するという方法もある。ただし、変動成分については、従動ローラ側のベルト厚さ変動成分の駆動ローラ側までの時間遅れを考慮して駆動する必要がある。
以下の説明では、上記(4)式で表される駆動ローラ501の回転角速度を基準信号refとして入力した実施例について述べる。
この状態で制御されているとき、ベルト速度変動が最小となる。
更に、図6において低域フィルタの代わりにバンドパスフィルタFωpENの相補的な特性(逆特性)をもつ帯域遮断フィルタを用いることにより、バンドパスフィルタFbpを不要とする構成にしてもよい。
また、基準信号refNと上記交流成分ωpDNとの位相差と振幅差を計測し、その結果ですぐに基準信号を補正するという方法を採ってもよい。この方法では上記交流成分ωpDNをAD(アナログからデジタルへ)変換し、図示しないコントローラがこの値を検出し、その結果をもって基準入力refNを生成すればよい。
〔数16〕
GN=1 −−−(5)
〔数17〕
Bto<<RE、Bto<<RD
〔数18〕
GN=(β/κ)(RE/RD)2 −−−(6)
以下の条件に合うようにベルト駆動系をレイアウトすれば、この条件に合うベルト厚さ変動周波数成分を補正する制御系の回路構成が簡易になる。
(i)エンコーダ側の従動ローラから駆動ローラに至るベルト移動距離がベルト厚さ変動の半周期分の偶数倍(全波)の場合:
この場合は、ωNτ=2πNω(ただし、Nω:自然数)となる。従って、上記(1)式及び(2)式は次のようになる。
〔数19〕
ωE={V/(RE+κBto)}−{V・κ/(RE+κBto)2}BtN・sin(ωNt+αN)
−−−(1)
〔数20〕
ωD={V/(RD+βBto)}−{V・β/(RD+βBto)2}BtN・sin{ωN(t−τ)+αN}
={V/(RD+βBto)}−{V・β/(RD+βBto)2}BtN・sin(ωNt+αN)
−−−(2’)
この場合は、ωNτ=π(2Nω+1)(ただし、Nω:自然数)とすると、上記(1)式及び(2)式は次のようになる。
〔数21〕
ωE={V/(RE+κBto)}−{V・κ/(RE+κBto)2}BtN・sin(ωNt+αN)
−−−(1)
〔数22〕
ωD={V/(RD+βBto)}−{V・β/(RD+βBto)2}BtN・sin{ωN(t−τ)+αN}
={V/(RD+βBto)}+{V・β/(RD+βBto)2}BtN・sin(ωNt+αN)
−−−(2'')
ここまでの説明から明らかなように、本ベルト駆動制御方法では、駆動ローラとは別の位置にある従動ローラで検出される回転角速度又は回転角変位を制御に用いている。従って、駆動側で駆動ローラ501とベルト500との間にすべりがあっても従動ローラ側にすべりがなければ、駆動ローラ側でのすべりに影響されずに厚さ変動補正を行うことができる。
次に、学習法を用いた他の制御例について説明する。この制御例は、一周あるいは複数回ベルトを回転させ、それによりベルト厚さの振幅と位相を検知して、それによって厚さ変動補正を行なうものである。駆動源として使用するモータはパルスモータでもサーボモータでもかまわないが、本制御例ではパルスモータを用いた場合について説明する。なお、サーボモータを採用する場合は、学習時の制御に駆動側を等速に制御する系が必要である。そして、学習後の駆動時にはここで生成するクロックを基準にPLL(Phase Locked Loop)制御をするように構成すればよい。また、本制御例の構成に加えて、駆動ローラ側のすべりに影響されないでベルト厚さ変動補正できる構成については後で説明する。
ベルト厚さ変動周波数成分の駆動ローラ側の回転角周波数ωDN、エンコーダ側をωENとすると、次式に基づいて制御するのがフィードバック方式である。
〔数23〕
ωDN=GN・ωEN{t−(T−τ)} −−−(17)
〔数24〕
AE={V・κ/(RE+κBto)2}BtN −−−(18)
AD={V・β/(RD+βBto)2}BtN −−−(19)
〔数25〕
Vv=ωD0・〔RD+βBto+βBtN・sin{ωN(t−τ)+αN}〕
〔数26〕
ωE=Vv/(RE+κBt)
=Vv/{(RE+κBto+κBtN・sin(ωNt+αN)}
=ωD0・〔RD+βBto+βBtN・sin{ωN(t−τ)+αN}〕/{(RE+κBto+κBtN・sin(ωNt+αN)}
〔数27〕
ωE≒ωD0・{(RD+βBto)/(RE+κBto)}〔1+{βBtN/(RD+βBto)}・sin{ωN(t−τ)+αN}〕〔1−{κBtN/(RE+κBto)}・sin(ωNt+αN)〕
≒ωD0・{(RD+βBto)/(RE+κBto)}〔1+{βBtN/(RD+βBto)}・sin{ωN(t−τ)+αN}−{κBtN/(RE+κBto)}・sin(ωNt+αN)〕 −−−(20)
〔数28〕
ωEπ=ωD0・〔1−2{β/(RE+βBto)}BtN・sin(ωNt+αN)〕
〔数29〕
ωD={V/(RD+βBto)}+{V・β/(RD+βBto)2}BtN・sin{ωNt+αN}
ベルト厚さ変動計測時の回転角速度ωD0の設定は目標ベルト速度Vにベルト厚さ変動がないとしたときの回転角速度に設定するため、ωD0=V・/(RD+βBto)となるので、ωDは次のように表すことができる。
〔数30〕
ωD=ωD0+ωD0{β/(RD+βBto)}BtN・sin{ωNt+αN}
〔数31〕
Am=2ωD0{β/(RE+βBto)}BtN=2AE=2AD −−−(21)
〔数32〕
ωE≒ωD0・{(RD+βBto)/(RE+κBto)}〔1+{βBtN/(RD+βBto)}・sin{ωN(t−τ)+αN}−{κBtN/(RE+κBto)}・sin(ωNt+αN)〕 −−−(20)
〔数33〕
A=ωD0・{(RD+βBto)/(RE+κBto)}{βBtN/(RD+βBto)}
=ωD0βBtN/(RE+κBto)
〔数34〕
B=ωD0・{(RD+βBto)/(RE+κBto)}{κBtN/(RE+κBto)}
=ωD0κBtN・(RD+βBto)/(RE+κBto)2
〔数35〕
C2=A2+B2−2AB・cos(a−b)
〔数36〕
C2={ωD0βBtN/(RE+κBto)}2+{ωD0κBtN・(RD+βBto)/(RE+κBto)2}2
−2{ωD0βBtN/(RE+κBto)}{ωD0κBtN・(RD+βBto)/(RE+κBto)2}・cos(−ωNτ)
〔数37〕
C={ωD0BtN/(RE+κBto)}〔β2+κ2・(RD+βBto)2/(RE+κBto)2−2{β/(RE+κBto)}{κ・(RD+βBto)}・cos(−ωNτ)〕1/2 −−−(22)
〔数38〕
B/sinc=C/sin(a−b)
〔数39〕
sinc=B・sin(a−b)/C
=〔sin(−ωNτ)ωD0κBtN・(RD+βBto)/(RE+κBto)2〕
/[{ωD0BtN/(RE+κBto)}・〔β2+κ2・(RD+βBto)2/(RE+κBto)2−2{β/(RE+κBto)}{κ・(RD+βBto)}・cos(−ωNτ)〕1/2]
=〔sin(−ωNτ)〕/[〔(β/κ)2(RE+κBto)2/(RD+βBto)2+1−2{(β/κ)(RE+κBto)3}{(RD+βBto)3}・cos(−ωNτ)〕1/2]
〔数40〕
c=arcsin《〔sin(−ωNτ)〕/[〔(β/κ)2(RE+κBto)2/(RD+βBto)2+1−2{(β/κ)(RE+κBto)3}{(RD+βBto)3}・cos(−ωNτ)〕1/2]》
c=arcsin《〔sin(−ωNτ)〕/[〔{β/(κg)}2+1−2(β/κ)g3・cos(ωNτ)〕1/2]》 −−−(23)
〔数41〕
X=C・sin(a+c)
=C・sin(ωNt−ωNτ+c+αN)
=C・sin〔ωN{t−(τ−c/ωN)}+αN)〕 −−−(24)
〔数42〕
AD={V・β/(RD+βBto)2}BtN
〔数43〕
AD={ωD0・β/(RD+βBto)}BtN
〔数44〕
AD/C=η −−−(25)
〔数45〕
η={ωD0・β/(RD+βBto)}BtN/[{ωD0BtN/(RE+κBto)}・〔β2+κ2・(RD+βBto)2/(RE+κBto)2−2{β/(RE+κBto)}{κ・(RD+βBto)}・cos(−ωNτ)〕1/2]
={(RE+κBto)/(RD+βBto)}/[〔1+(κ/β)2・(RD+βBto)2/(RE+κBto)2−2{(κ/β)・(RD+βBto)/(RE+κBto)}・cos(−ωNτ)〕1/2]
〔数46〕
η=1/[g・〔1+(κ/β)2・g2−2(κ/β)g・cos(ωNτ)〕1/2]
−−−(26)
なお、エンコーダ601より検出される角速度変動をFFTで演算する代わりに、ベルト厚さ変動によるベルト速度変動の抑圧したい周波数成分を通過させるバンドパスフィルタによって角速度変動周波数成分を検出してもよい。
エンコーダで検出される従動ローラ502の回転角速度ωDは、一定時間(単位時間)Tsのエンコーダより検出されるパルス数を計測することによって求めることができる。このパルス数は回転角速度ωDに比例するからである。
(i)図9のIのように一定間隔Ts間のパルスをカウントする方式
(ii)図9のIIのように一定間隔Tc間のパルスをカウントし、一定時間Ts'ごとにその計測値を利用する方式
これらの方式のうち、(ii)の方式の方がデータの変化がなめらかになる。TsあるいはTs'は、データのサンプリングのタイミングに相当する。
このようにして検出される速度信号からベルト厚さ変動周波数成分を通過させるバンドパスフィルタを用いることによって、ベルト厚さ変動周波数を有する交流成分を検知(抽出)することができる。
前述の図5のように回転に応じてパルス列を発生する回転角検出用エンコーダ601は、モータが接続されていない従動ローラ502のローラ軸に取り付けられている。パルスモータへ入力するクロックfの搬送周波数を変えると、駆動ローラ501の回転角速度が変るように制御できる。そして、クロックfをベルト回転周期で適切に振幅と位相が設定された正弦波で、クロックfを周波数変調することによって、1次のベルト厚さ変動によるベルト速度の影響を軽減できる。N次のベルト速度変動の補正は、N次の適切に振幅と位相が設定された正弦波でクロックfを周波数変調すればよい。
駆動ローラ501の回転角速度ωは、次式のようになる。ただし、ωo=V/(RD+βBto)であり、t=0はベルトホーム位置検出時である。駆動ローラ501を正弦的な変動Δωが発生するように制御する必要がある。
〔数47〕
ω=ωo+Δω
Δω=−ηC・sin〔ω1{t−(Th+c/ω1)}〕
駆動ローラ501の基準回転角速度を決めるクロック基準周波数fo、駆動ローラ501の基準角速度から変化させための増分周波数をΔfとすると、回転角速度ωは次式のようになる。ただし、式中のNは、駆動ローラ1回転するのに必要なクロックfのパルス数である。
〔数48〕
ω=2π(fo+Δf)/N
〔数49〕
ω=ωo{1+A・sin(ω1t+φ)}
A=−ηC/ωo −−−(a)
φ=−ω1(Th+c/ω1)=−ω1Th−c −−−(b)
〔数50〕
f=(N/2π)ωo{1+A・sin(ω1t+φ)}
f=fo{1+A・sin(ω1t+φ)} (ただしfo=(N/2π)ωo)
〔数51〕
Pw=1/f=(1/fo)[1/{1+A・sin(ω1t+φ)}]
〔数52〕
Pw=(1/fo)・[1−A・sin(ω1t+φ)] (ただし、1>>A)
基準周波数のパルス幅Pwo=1/foをPwから差し引いたΔPwは、次式のようになる。
〔数53〕
ΔPw=−(A/fo)・sin(ω1t+φ)
=−(A・Pwo)・sin(ω1t+φ)
〔数54〕
ΔPw={−Nc・A・sin(ω1t+φ)}δP
〔数55〕
tn=(T/L)・n={2π/(Lω1)}・n (ただし、n=1,2,−−−L−1)
上記振幅Aについては乗算をする。
上記foのNc逓倍のパルスを得るためには、公知のPLL回路を使って生成してもよい。あるいは、出力にクロック周波数Nc・foが現れる発振器を使ってもよい。
〔数56〕
Pw=Pwo−Pwo・A・sin(ω1t+φ)
=[{Nc・M−Nc・A・M・sin(ω1t+φ)}/M]・δP
図示しないコントローラは、ゲインNcAセットレジスタへ上記(a)式よりAを決定してデータNcAを乗算器へ送る。NcはNcAの値によってAの精度が十分表現できる自然数を選ぶ。また、位相φ設定遅延回路へ上記(b)式よりφを決定し、2π―φよりデータφn(ただしnは0からL−1の整数)を送る。M・sin{2π(n/L)}テーブル・ROM(符号1ビットとデータmビット)は、Lアドレスカウンタで指定されたアドレスnのデータM・sin{2π(n/L)}を出力する。Lアドレスカウンタはクロックfs=fo/K(ただし、Kは自然数)によって0〜L−1までカウントしている。Kは正弦波のテーブルの大きさLを決定すると一義的に決まる。T=LK/foつまりK=foT/Lである。ベルト一周の基準位置を検出するホームセンサ出力のホームパルスに対してコントローラより指定されたデータφnに相当するクロックfsのφnカウント後に、位相φ設定遅延回路よりReset信号が出力される。したがってホームパルス検出から位相をφnパルス分ずらせてM・sin{2π(n/L)}テーブル・ROMよりデータを出力することが可能となる。そして、乗算器と減算器を通して発生パルス幅τcを生じさせるデータがτcレジスタへ送られる。ここで、減算器出力の下位0〜m−1ビットデータを削除することは、Mで割算を実行することと等価である。従って、τcレジスタへは下位0〜m−1ビットデータは送られない。このτcレジスタに基づいてプリセッタブルカウンタからクロックfが出力される。プリセッタブル減算カウンタは、初期化としてコントローラからリセット信号CRを受けてクリアされるが、その後すぐNcfoクロックが到達すると出力BRが発生され、τcレジスタのデータをセットする。そして、Ncfoクロックでカウントダウンしていき、データがゼロになると出力BRからパルスを発生し、同時にτcレジスタの内容をまたセットする。そのとき指定されたパルス幅データがセットされるのである。このBR出力が求めるクロックfである。
次に、ベルト500と駆動ローラ501との間のすべりとベルト厚さ変動を同時に軽減したい場合は、エンコーダ出力と比較する基準パルスを生成し、次式のη´を求める。
〔数57〕
AE/C=η´ −−−(27)
駆動ローラ501の回転軸にもエンコーダを付し、この出力をフィードバックすることにより駆動ローラ501を一定に回転角速度ωDで回転させてベルト500の変動の一回転周期のデータを蓄積する。そして、その変動データの振幅Cと正弦的波形のゼロクロス点のゼロ位相(立ち上がり部)が検出されたホーム位置からの時間Th´を計測し、ホーム位置から(Th´+c/ω1−τ)時間にゼロクロス点が来る正弦的波形の振幅が前記データCをη´倍した振幅−η´Cが得られるようなDCモータの制御クロックを生成すればよい。
エンコーダ側の従動ローラ502の回転角速度ωeは、次式のようになる。ただし、ωeo=V/(RE+κBto)であり、t=0はベルトホーム位置検出時である。この場合は、エンコーダ側の従動ローラ502に正弦的な変動Δωeが発生するように制御する必要がある。
〔数58〕
ωe=ωeo+Δωe
Δωe=−η´C・sin〔ω1{t−(Th´+c/ω1−τ)〕
エンコーダ側の従動ローラ502の基準回転角速度を決めるクロック基準周波数をfeo、従動ローラ502の基準角速度から変化させための増分周波数をΔfeとすると、従動ローラ502の回転角速度ωeは、次式のようになる。ただし、Neはエンコーダが1回転するのに必要なクロックfeのパルス数である。
〔数59〕
ωe=2π(feo+Δfe)/Ne
〔数60〕
ωe=ωeo{1+A・sin(ω1t+φ)}
〔数61〕
A=−η´C/ωeo −−−(a´)
〔数62〕
φ=−ω1(Th´+c/ω1−τ)
=−ω1Th´−c+ω1τ −−−(b´)
図12における基準クロックfrefに、ここに述べたクロックを用いると、ベルト厚さ変動とベルトと駆動ローラ間すべりによるベルト速度変動を軽減することができる。図12はこの基準入力frefとエンコーダ出力feとを比較する位相比較器と、チャージポンプ、そしてループフィルタで構成される公知のPLL制御系で構成されている。図12におけるサーボアンプはモータの電流を検出するとによって構成できる公知の電流源型の構成を取っている。
パルスモータ駆動用クロックfpは、基準周波数frefの位相θfrefとエンコーダ出力パルス周波数のfeの位相θfeを比較した位相差θε=θfref−θfeに応じて生成される。
基準周波数のパルス幅を示す前記図10のτcレジスタ出力データでセットされるプリセッタブルカウンタ(語長はたとえば最大基準パルス幅Ppwの2倍)Cntwから、図13の位相比較器PD出力エンコーダパルス幅間隔を、図10のNcfoクロックのG倍の周波数のクロックで計測する。このことは等価的に制御系のゲインをG=Mpl/Npl倍していることに相当する。このGは目標制御誤差によって決定される値である。クロックGNcfoは、図13のように位相比較器、チャージホンプ、ループフィルタ、可変電圧制御発振器(VCO)、と二つのカウンタのよって構成されるPLL回路によって発生される。エンコーダ出力の位相が遅れている場合は、前記プリセッタブルカウンタCntwをダウン(Down)つまり発生パルス周波数を上げるようにし、進んでいる場合はアップ(Up)する。プリセッタブルカウンタへのτcレジスタの内容のセットは位相比較器PDの位相比較結果の出力パルスの前側エッジでセットする。プリセッタブルカウンタCntwがキャリーあるいはボロー出力が出る状態になったときはカウンタCntwがオーバフローするのでそれ以上カウントするのを停止してその状態を保持する。そして、位相比較器PD出力パルスの後側エッジでプリセッタブルカウンタCntwの出力をバッファレジスタBufcwにセットする。バッファレジスタBufcw出力がモータ駆動パルスのパルス幅を示している。さらに、パルス発生用プリセッタブル減算カウンタCntpgを設ける。このカウンタCntpgには、カウンタCntpg出力BRgによってバッファレジスタBufcw出力がセットされる。この減算カウンタCntpgへの減算カウントは、Ncfoクロックにて行なう。つまりプリセッタブルカウンタCntwにセットされる基準周波数frefに基づく基準パルス幅Ppwを中心に位相比較器PD出力に応じてカウンタの値Cntwが変化しているからである。たとえばクロックGNcfoで減算カウンタCntpgへの減算カウントをすると基準パルス幅Ppwも変調されてしまう。カウンタCntpg出力BRgは、パルスモータの駆動周波数fpとなる。周波数変換器は、図13におけるNcfoからGNcfoに周波数変換する回路と同様に構成される。
ローラ温度上昇により、ベルトの温度が伝播により上昇し、ベルトが伸び、ベルトの厚さが薄くなった状態になる。ベルト温度が冷えない状態で駆動ローラに巻き付くと、同じ回転で駆動ローラが回転しているとベルト速度が遅くなる。このときベルトの伸びの影響はテンションローラで吸収している。またローラ温度上昇による温度伝播は、このローラの上流側へも伝わる。つまりこのローラに巻き付いたベルトはベルト厚さが変動を起こす。したがって、このような位置にエンコーダを付設すると、温度の影響で誤った情報を得てしまう。
温度によるベルト厚さ変動は、加工時に生じる初期にあるベルトの厚さ変動周期より緩やかな変動である。したがって制御的にはDC変動に近いとみなしてもよい。エンコーダを温度変化の少ない位置に設置して、この情報に基づいて制御すると、前記制御例及びベルト駆動制御装置の構成例において、DC成分は、エンコーダの情報をそのままフィードバックして制御する。DC成分は、温度によるベルト厚さ変動を受けない位置で制御しているので、ローラの温度変化による速度変動が生じないことになる。駆動ローラでは、加工時に生じてしまう初期からあるベルト厚さ変動に加えて、機械レイアウトによってはDC的な温度による厚さ変動が付加される状態が生じる。このDC的な変動の影響はエンコーダを温度変化の少ないところに設けることで影響を受けない。初期からあるベルト厚さ変動はいままで述べて制御例及びベルト駆動制御装置の構成例で影響を受けないようにできる。
図15は、画像形成装置としてのカラー複写機の概略構成図である。図15において、潜像担持体としての感光体101は、閉ループ状のNLのベルト基材の外周面上に、有機光半導体(OPC)等の感光層が薄膜状に形成された無端状の感光体ベルトである。この感光体101は、3本の支持回転体としての感光体搬送ローラ102〜104によって支持され、駆動モータ(図示せず)によって矢印A方向に回動する。
感光体101と中間転写体117は、それぞれの駆動源(図示せず)により、矢印A、B方向にそれぞれ駆動される。この状態で、まず、帯電器105に−4〜5kV程度の高電圧が電源装置(図示せず)から印加され、帯電器105が感光体101の表面を一様に−700V程度に帯電させる。次に、継ぎ目センサ115が感光体101の継ぎ目を検知してから、感光体101の継ぎ目を回避するように一定時間が経過した後に感光体101にLSU106からブラックの画像信号に対応したレーザビームの露光光線114が照射され、感光体101は露光光線114が照射された部分の電荷が消えて静電潜像が形成される。
そこで、感光体ベルト1の駆動を前記ベルト搬送制御装置を用いて制御する。この制御により、感光体101上に濃度ムラ、色ズレのない高精度な画像を形成でき、高品質な画像を得ることができる。
複写機本体100には、中央に、無端状のベルトである中間転写体10を設ける。中間転写体10が、本請求項における無端状ベルトに相当する。図17に示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14、15、16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、3つのうち第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。また、3つのうちの第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、ブラック・シアン・マゼンタ・イエロの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。
上記2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
更に、上記回転角変位又は回転角速度変動を検出する従動ローラの配置については制約がないため、ベルト500の支持ローラの配置に関して設計自由度を確保することができる。また、ベルトの移動速度を検知して駆動ローラを制御のためにベルト表面の周長方向に沿って複数のマークを等間隔に形成する必要もない。
また、本実施形態においては、エンコーダ601で検出した従動ローラ502の回転角変位又は回転角速度変動の検出データから、従動ローラ502の回転角速度の直流成分を抽出し、この直流成分の大きさに基づいて駆動ローラ501の回転を制御してもよい。この制御を行った場合は、従動ローラ502の径と駆動ローラ501の径とが異なる場合でも、ベルト500の移動速度の絶対値が所定の値になるように制御できる。
また、本実施形態においては、従動ローラ502の回転角変位又は回転角速度変動の検出データから、ベルト500の周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数以外の周波数を有する、従動ローラ502の回転角速度の交流成分を抽出してもよい。そして、この交流成分の振幅及び位相の情報に基づいて、駆動ローラ501の回転を制御してもよい。この場合は、ベルトの厚さ変動以外の要因、例えば駆動ローラの偏心や駆動伝達機構の偏心等によるベルト500の移動速度の変動を防止することができる。
また、本実施形態においては、駆動支持回転体(駆動ローラ501及び従動ローラ502)の半径や実効ベルト厚さが異なると、駆動側及び従動側におけるベルト移動量と回転角との関係やベルト500の同一部分が巻き付くタイミングが異なるため、ベルト500を一定速度で駆動するための条件が異なってくる。そこで、従動ローラ502の半径REと、ベルト500の従動ローラ502に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さκBtoと、駆動ローラ501の半径RDと、ベルト500の駆動ローラ501に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さβBtoと、ベルト500の従動ローラ502との接触部分中央からベルト500の駆動ローラ501との接触部分中央までのベルト500の移動時間τとを考慮して、上記交流信号を処理するのが好ましい。この処理後の交流信号の振幅及び位相に基づいて、駆動ローラ501の回転制御を行う。この場合は、駆動ローラ501及び従動ローラ502の半径や両ローラ間の位置関係を自由に設計できるという設計の自由度を確保しつつ、ベルト500の周方向に厚さ変動の影響を受けずにベルト500を一定の移動速度で駆動することができる。
特に、本実施形態においては、駆動ローラ501の回転制御に、上記交流成分に対するゲインがA2/B2であり且つ上記交流成分に対して(T−τ)だけ遅延させた信号を含むフィードバック信号を用いてもよい。ここで、上記Aは従動ローラ502の半径REとベルト500の従動ローラ502に接触している接触部分の実効ベルト厚さκBtoとの和であり、上記Bは駆動ローラ501の半径RDとベルト500の駆動ローラ501に接触している接触部分の実効ベルト厚さβBtoとの和である。また、上記τは、ベルト500の従動ローラ502との接触部分中央からベルト500の駆動ローラ501との接触部分中央までのベルト500の移動時間であり、上記Tはベルト500の一回転周期である。このように各ローラの半径や両ローラ間の距離に関連したベルト移動時間τを考慮したフィードバック信号又は目標基準信号を用いることにより、各ローラの半径や設置位置を自由に設計しても上記ベルト500の駆動制御を確実に行うことができる。
また、本実施形態においては、上記駆動ローラ501の回転制御に用いる基準信号refの振幅及び位相を変化させながらベルト500のテスト駆動を実行し、そのテスト駆動時に得られた上記交流信号との差分が最小になるように基準信号refの振幅及び位相を設定してもよい。上記駆動支持回転体の回転制御は、上記テスト駆動によって設定された振幅及び位相を有するように生成された基準信号refと上記交流成分との比較結果に基づいて行う。この場合は、上記基準信号refの設定を試行錯誤することなく上記テスト駆動で最適化することができるため、駆動制御装置の立ち上がりが早くなる。また、適当なタイミングで上記テスト駆動を実行することによって経時変化や温度変化に強いベルト駆動制御が可能となる。また、ベルトやローラ等の個体差の影響を受けにくいベルト駆動制御が可能になる。更に、ベルト500の一回転のホーム位置を検出するホームセンサを用いずに上記ベルト駆動制御を行うことができる。
また、本実施形態においては、ベルト500に設けられた基準位置マークの検出結果を基準にして駆動ローラ501を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行してもよい。ここで、テスト駆動で得られた、少なくともベルト500の周方向厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておく。そして、上記駆動支持回転体の回転制御は、基準位置マークの検出結果と、上記テスト駆動によって記憶されている情報に基づいて生成された基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行う。この場合は、予め記憶している上記交流信号の振幅及び位相の情報を用いて基準信号を生成することにより、上記ベルト駆動制御が容易になり、制御誤差も累積しにくい。また、ベルトやローラ等の個体差の影響を受けにくいベルト駆動制御が可能になる。
また、本実施形態においては、上記交流成分の抽出を、ベルト500の周方向の周期的な厚さ変動に対応した互いに異なる周波数を有する複数の上記交流成分を抽出するように行い、この複数の交流成分に基づいて駆動ローラ501の回転制御を行ってもよい。この場合は、複雑な厚さ分布を有するベルト500に対しても、そのベルト500の周方向に厚さ変動の影響を受けずにベルト500を一定の移動速度で駆動することができる。
また、本実施形態においては、駆動ローラ501の半径とエンコーダが付された従動ローラ502の半径とを等しくしてもよい。この場合は、上記フィードバック信号の生成のためのゲインの演算処理が簡易になる。また、この場合は、ベルト500の従動ローラ502との接触部分中央からベルト500の駆動ローラ501との接触部分中央までのベルトの移動距離が、ベルト500の周方向厚さ変動の半周期に対応する長さの奇数倍になるように構成してもよい。この構成の場合は、上記フィードバック信号を生成するときの遅延回路が不要になる。
また、本実施形態においては、駆動ローラ501の半径とエンコーダが付された従動ローラ502の半径とが異なる場合は、上記両ローラの接触部分中央間のベルトの移動距離が、ベルト500の周方向厚さ変動の半周期に対応する長さの偶数倍になるように構成する。この構成の場合も、上記フィードバック信号を生成するときの遅延回路が不要になる。
また、本実施形態においては、従動ローラが複数ある場合、それらの従動ローラのうち温度による厚さ変動を受けにくい箇所に配置された従動ローラについて上記エンコーダ601を設けるのが好ましい。この場合は、エンコーダ601によって検出する従動ローラ502の回転角変位又は回転角速度の検出データが、温度の影響をうけにくくなる。
また、本実施形態によれば、上記駆動制御装置を画像形成装置の感光体ベルト、中間転写ベルト又は搬送転写ベルトの駆動制御に用いることにより、各ベルトに周方向の厚さ変動がある場合でも各ベルトを一定速度で駆動できる。従って、画像の濃度ムラや位置ずれのない高画質の画像を得ることができる。特に、カラー画像形成装置に用いた場合は、色ずれのない高画質の画像を得ることができる。また特に、中間転写ベルトから搬送転写ベルト上の転写紙に画像を転写する画像形成装置の場合に、上記駆動制御装置を中間転写ベルト及び搬送転写ベルトの駆動制御に用いることにより、両ベルトの速度差に起因する画像の伸縮を防止することができる。
501 駆動ローラ(駆動支持回転体)
502 従動ローラ(従動支持回転体)
601 エンコーダ(検出手段)
602 モータ(駆動源)
700 ベルト駆動制御装置
Claims (33)
- 無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、
上記複数の支持回転体のうち上記回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出し、
該従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出し、
該交流成分の振幅及び位相に基づいて、上記駆動支持回転体の回転を制御することを特徴とするベルト駆動制御方法。 - 請求項1のベルト駆動制御方法において、
上記従動支持回転体の半径と、上記ベルトの該従動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、上記駆動支持回転体の半径と、該ベルトの該駆動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、該ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動時間とを考慮して、上記交流成分を処理し、
上記駆動支持回転体の回転制御を、該処理後の交流成分の振幅及び位相に基づいて行うことを特徴とするベルト駆動制御方法。 - 請求項1又は2のベルト駆動制御方法において、
上記駆動支持回転体の回転制御に用いる基準信号の振幅及び位相を変化させながら上記ベルトのテスト駆動を実行し、
該テスト駆動時に得られた上記交流信号との差分が最小になるように該基準信号の振幅及び位相を設定し、
上記駆動支持回転体の回転制御を、該テスト駆動によって設定された振幅及び位相を有するように生成された基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うことを特徴とするベルト駆動制御方法。 - 請求項1又は2のベルト駆動制御方法において、
上記ベルトに設けられた基準位置マークの検出結果を基準にして上記駆動支持回転体を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行し、
該テスト駆動で得られた、少なくとも該ベルトの周方向厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておき、
該基準位置マークの検出結果と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成し、
上記駆動支持回転体の回転制御を、該生成した目標基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うことを特徴とするベルト駆動制御方法。 - 請求項1、2、3又は4のベルト駆動制御方法において、
上記交流成分の抽出を、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した互いに異なる周波数を有する複数の上記交流成分を抽出するように行い、
上記駆動支持回転体の回転制御を、該複数の交流成分に基づいて行うことを特徴とするベルト駆動制御方法。 - 無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、
上記複数の支持回転体のうち上記回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出し、該交流成分の振幅及び位相に基づいて、上記駆動支持回転体の回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項6のベルト駆動制御装置において、
上記従動支持回転体の半径と、上記ベルトの該従動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、上記駆動支持回転体の半径と、該ベルトの該駆動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、該ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動時間とを考慮して、上記交流成分を処理し、
上記駆動支持回転体の回転制御を、該処理後の交流成分の振幅及び位相に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項6又は7のベルト駆動制御装置において、
上記駆動支持回転体の回転制御に用いる基準信号の振幅及び位相を変化させながら上記ベルトのテスト駆動を実行し、該テスト駆動時に得られた上記交流信号との差分が最小になるように該基準信号の振幅及び位相を設定し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該テスト駆動によって設定された振幅及び位相を有するように生成された基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項6又は7のベルト駆動制御装置において、
上記ベルトに設けられた基準位置マークの検出結果を基準にして上記駆動支持回転体を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行し、該テスト駆動で得られた、少なくとも該ベルトの厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておき、該基準位置マークの検出結果と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該生成した目標基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 請求項6、7、8又は9のベルト駆動制御装置において、
上記交流成分の抽出を、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した互いに異なる周波数を有する複数の上記交流成分を抽出するように行い、上記駆動支持回転体の回転制御を、該複数の交流成分に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とするベルト駆動制御装置。 - 複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、該ベルトを駆動するための回転駆動力を発生する駆動源と、複数の支持回転体のうち該回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて、複数の支持回転体のうち該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置とを備えたベルト装置であって、
該ベルト駆動制御装置として、請求項6、7、8、9又は10のベルト駆動制御装置を用いたことを特徴とするベルト装置。 - 請求項11のベルト装置において、
上記駆動支持回転体の半径と上記従動支持回転体の半径とが等しいことを特徴とするベルト装置。 - 請求項12のベルト装置において、
上記ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動距離が、該ベルトの周方向厚さ変動の半周期に対応する長さの奇数倍であることを特徴とするベルト装置。 - 請求項11のベルト装置において、
上記駆動支持回転体の半径と上記従動支持回転体の半径とが異なり、
上記ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動距離が、該ベルトの周方向厚さ変動の半周期に対応する長さの偶数倍であることを特徴とするベルト装置。 - 請求項11、12、13又は14のベルト装置において、
上記検出手段を、複数の従動支持回転体のうち温度による厚さ変動を受けにくい箇所に配置された従動支持回転体について設けたことを特徴とするベルト装置。 - 上記無端状のベルトが、画像形成装置に用いる感光体ベルトである請求項11、12、13、14又は15のベルト装置。
- 上記無端状のベルトが、画像形成装置に用いる中間転写ベルトである請求項11、12、13、14又は15のベルト装置。
- 上記無端状のベルトが、画像形成装置において潜像担持体上の画像を転写する転写位置に転写材を保持して搬送する転写材搬送ベルトである請求項11、12、13、14又は15のベルト装置。
- 上記無端状のベルトが、画像形成装置において中間転写体上の画像を転写する転写位置に転写材を保持して搬送する転写材搬送ベルトである請求項11、12、13、14又は15のベルト装置。
- 複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトからなる潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上の顕像を転写材に転写する転写手段と、該潜像担持体を駆動するための回転駆動力を発生する駆動源と、複数の支持回転体のうち該回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて、複数の支持回転体のうち該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該潜像担持体の駆動を制御するベルト駆動制御装置とを備えた画像形成装置であって、
上記ベルト駆動制御装置は、上記複数の支持回転体のうち上記回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出し、該従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記潜像担持体の周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出し、該交流成分の振幅及び位相に基づいて、上記駆動支持回転体の回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトからなる中間転写体と、該潜像担持体上の顕像を該中間転写体に転写する第1の転写手段と、該中間転写体上の顕像を転写材に転写する第2の転写手段と、該中間転写体を駆動するための回転駆動力を発生する駆動源と、複数の支持回転体のうち該回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて、複数の支持回転体のうち該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該中間転写体の駆動を制御するベルト駆動制御装置とを備えた画像形成装置であって、
上記ベルト駆動制御装置は、上記複数の支持回転体のうち上記回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出し、該従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記中間転写体の周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出し、該交流成分の振幅及び位相に基づいて、上記駆動支持回転体の回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトからなる転写材搬送部材と、該潜像担持体上の顕像を中間転写体を介して又は中間転写体を介しないで直接に、該転写材搬送部材で搬送されている転写材に転写する転写手段と、該転写材搬送部材を駆動するための回転駆動力を発生する駆動源と、複数の支持回転体のうち該回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて、複数の支持回転体のうち該駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該転写材搬送部材の駆動を制御するベルト駆動制御装置とを備えた画像形成装置であって、
上記ベルト駆動制御装置は、上記複数の支持回転体のうち上記回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出し、該従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出結果から、上記転写材搬送部材の周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出し、該交流成分の振幅及び位相に基づいて、上記駆動支持回転体の回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項20、21又は22の画像形成装置において、
上記従動支持回転体の半径と、上記ベルトの該従動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、上記駆動支持回転体の半径と、該ベルトの該駆動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、該ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動時間とを考慮して、上記交流成分を処理し、
上記駆動支持回転体の回転制御を、該処理後の交流成分の振幅及び位相に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項20、21、22又は23の画像形成装置において、
上記駆動支持回転体の回転制御に用いる基準信号の振幅及び位相を変化させながら上記ベルトのテスト駆動を実行し、該テスト駆動時に得られた上記交流信号との差分が最小になるように該基準信号の振幅及び位相を設定し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該テスト駆動によって設定された振幅及び位相を有するように生成された基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項20、21、22又は23の画像形成装置において、
上記ベルトに設けられた基準位置マークの検出結果を基準にして上記駆動支持回転体を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行し、該テスト駆動で得られた、少なくとも該ベルトの厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶しておき、該基準位置マークの検出結果と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成し、上記駆動支持回転体の回転制御を、該生成した目標基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項20、21、22、23、24又は25の画像形成装置において、
上記交流成分の抽出を、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した互いに異なる周波数を有する複数の上記交流成分を抽出するように行い、上記駆動支持回転体の回転制御を、該複数の交流成分に基づいて行うように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項20の画像形成装置に用いるプロセスカートリッジであって、
少なくとも上記潜像担持体及び上記ベルト駆動制御装置を含み且つ該画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するためのプログラムであって、
上記複数の支持回転体のうち上記回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度の検出データから、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度の交流成分を抽出するステップと、
該交流成分の振幅及び位相に基づいて、該駆動支持回転体の回転を制御するステップとを、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。 - 請求項28のプログラムにおいて、
上記従動支持回転体の半径と、上記ベルトの該従動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、上記駆動支持回転体の半径と、該ベルトの該駆動支持回転体に接触している接触部分の移動速度の基準となる実効ベルト厚さと、該ベルトの該従動支持回転体との接触部分中央から該ベルトの該駆動支持回転体との接触部分中央までの該ベルトの移動時間とを考慮して、上記交流成分を処理するステップを、コンピュータを用いて実行させ、
上記駆動支持回転体の回転制御は、該処理後の交流成分の振幅及び位相に基づいて行うことを特徴とするプログラム。 - 請求項28又は29のプログラムにおいて、
上記駆動支持回転体の回転制御に用いる基準信号の振幅及び位相を変化させながら上記ベルトのテスト駆動を実行し、該テスト駆動時に得られた上記交流信号との差分が最小になるように該基準信号の振幅及び位相を設定するステップを、コンピュータを用いて実行させ、
上記駆動支持回転体の回転制御は、該テスト駆動によって設定された振幅及び位相を有するように生成された基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うことを特徴とするプログラム。 - 請求項28又は29のプログラムにおいて、
上記ベルトに設けられた基準位置マークの検出結果を基準にして上記駆動支持回転体を一定角速度で回転させるテスト駆動を実行し、該テスト駆動で得られた、少なくとも該ベルトの周方向厚さ変動の一周期分の上記交流信号の振幅及び位相の情報を記憶するステップと、該基準位置マークの検出結果と該記憶されている情報とに基づいて目標基準信号を生成するステップとを、コンピュータに実行させ、
上記駆動支持回転体の回転制御は、該生成した目標基準信号と上記交流成分との比較結果に基づいて行うことを特徴とするプログラム。 - 請求項28、29、30又は31のプログラムにおいて、
上記交流成分の抽出を、上記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した互いに異なる周波数を有する複数の上記交流成分を抽出するように行い、
上記駆動支持回転体の回転制御を、該複数の交流成分に基づいて行うことを特徴とするプログラム。 - 無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するためのプログラムが格納された記録媒体であって、
該プログラムが、請求項28、29、30、31又は32のプログラムであることを特徴とする記録媒体。
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