JP4597336B2 - マグネシウムリン酸塩系ガラス組成物 - Google Patents

マグネシウムリン酸塩系ガラス組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学的耐久性に優れ、さらに熱膨張係数が比較的低く且つ比重が比較的小さいマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物に関し、特にプラズマディスプレイパネル或いはプラズマアドレス液晶ディスプレイのバリアリブ又は誘電体層の形成や電子部品材料等の封着に用いることができるマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品材料等の封着に使用される低融点ガラスとしては、一般的に鉛系低融点ガラスが広く実用化されている。しかし近年、鉛やカドミウム等の元素を含むガラスは環境上の観点から使用が避けられる傾向が出てきている。鉛、カドミウム等を含まない低融点ガラスとしては、リン酸塩系ガラス、ホウ珪酸塩系ガラス、アルカリ珪酸塩系ガラスなどが知られている。その中で低融化及び低比重の観点からリン酸塩系ガラスが着目されている。
リン酸塩系ガラスで開発されている組成の大部分は、アルカリ金属酸化物を含んでいる(特開昭61−36136号、特開昭61−36137号、特開昭61−36138号、特開平8−183632号)。
アルカリ金属酸化物を多く含むガラスは熱膨張係数が高くなりすぎるため封着できる材質が制限されたり、化学的耐久性が十分ではないという問題がある。
また電子部品等の用途で使用する場合、電気抵抗等の面からアルカリ金属酸化物の使用が制限される。
また軟化点を下げるためにZnOを多く含むガラスが開発されている(特開昭51−146510号、特開昭52−11211号、特開昭52−133311号、特開昭52−133312号、特開昭52−133313号、特開平5−132339号、特開平9−188544号、特開平10−101364号、特開2000−53443)が、軟化点が低い反面、化学的耐久性が悪いという問題がある。
またアルカリ金属酸化物を全く含まないガラスも開発されているが、BaOを含むもの(特開昭54−161621号、特開昭54−161622号、特公昭62−3102号)は熱膨張係数が大きくなるか、或いは比重が大きくなるという問題がある。
またZnOを含有する無アルカリのリン酸塩系ガラスも開発されているが、ガラスの成形性または化学的耐久性が悪いという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のリン酸塩系ガラスは化学的耐久性に劣るか、或いは熱膨張係数が高いため、化学的耐久性に優れ且つ熱膨張係数が低い、成形性に優れたリン酸塩系ガラスの開発が強く望まれている。また最近の製品の軽量化の傾向のため、低比重ガラスが着目されている。
そこで本発明は上記従来のガラスにおける問題点を解消し、化学的耐久性が良好で、熱膨張係数が低く、しかも比重が比較的小さく、且つ比較的低温で焼成が可能であるリン酸塩系ガラス組成物を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定組成のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物が化学耐久性に優れ、熱膨張係数が低く且つ低比重であり、また比較的低温で焼成が可能で、成形性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物は、モル%表示で、P:35〜60%、MgO:17〜50%、ZnO:2〜20%、SnO:0〜20%(xは1、2の内の少なくとも1種)、MnO:0〜20%(yは1、1.5、2の内の少なくとも1種)、ただしZnO、SnO及びMnOの内の少なくとも1種:2〜20%、SiO:1〜10%、B:0〜10%、ただしSiO及びBの内の少なくとも1種:1〜10%、更にLiO、NaO及びKOを非含有、の組成を有することを第1の特徴としている。
また本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物は、上記第1の特徴に加えて、モル%表示で、P40〜50%、MgO:30〜45%、ZnO:2〜15%、SnO:0〜15%(xは1、2の内の少なくとも1種)、MnO:0〜15%(yは1、1.5、2の内の少なくとも1種)、ただしZnO、SnO及びMnOの内の少なくとも1種:4〜15%、SiO:1〜%、B:0〜%、ただしSiO及びBの内の少なくとも1種:2〜6%、更にLiO、NaO及びKOを非含有、
の組成を有することを第2の特徴としている。
また本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物は、上記第1又は第2の特徴に加えて、CaO及びSrOの内の少なくとも1種を10モル%以下含有することを第3の特徴としている。
また本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物は、上記第1〜第3の何れかの特徴に加えて、CuO(zは0.5、1の内の少なくとも1種)、WO及びTiOの内の少なくとも1種を10モル%以下含有することを第4の特徴としている。
また本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物は、上記第1〜第4の何れかの特徴に加えて、Alを2モル%以下含有することを第5の特徴としている。
また本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物は、上記第1〜第5の何れかの特徴に加えて、プラズマディスプレイパネル(PDP)或いはプラズマアドレス液晶ディスプレイ(PALCD)のバリアリブ又は誘電体層の形成に用いることを第6の特徴としている。
また本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物は、上記第1〜第6の何れかの特徴に加えて、軟化点が600℃以下であって、且つ50〜400℃の熱膨張係数が65×10−7〜90×10−7/Kの範囲にあることを第7の特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物における、各成分の限定理由を下記に説明する。
は本発明のガラスの網目を形成する酸化物であり、35〜60モル%の範囲で含有させる。Pが35モル%未満の場合は、ガラスが得られることはあるが軟化点が高くなりすぎるおそれがある。また60モル%を超える場合は、化学的耐久性の低下を招くおそれがある。従ってPの含有量は、軟化点、化学的耐久性等を考慮すると40〜50モル%であることがより好ましい。
【0006】
MgOは熱膨張係数を下げ、且つ比重を低く抑える成分であり、17〜50モル%の範囲で含有させる。MgOが17モル%未満では所望の熱膨張係数が得られず、また化学的耐久性も良好とならないおそれがある。逆に50モル%を超える場合は、ガラスが得られることはあるが、軟化点が高くなりすぎるおそれがある。従ってMgOの含有量は、化学的耐久性、軟化点、熱膨張係数等を考慮すると30〜45モル%であることがより好ましい。
【0007】
ZnOは熱膨張係数を下げ、且つ軟化点を下げる成分であり、25モル%以下含有させることができる。ZnOが25モル%を超える場合は、化学的耐久性が悪くなるおそれがある。ZnOの含有量は化学的耐久性等を考慮すると、24.5モル%以下が好ましく、更に20モル%以下がより好ましく、15モル%以下であることが最も好ましい。また熱膨張係数及び軟化点等を考慮すると、ZnOは2モル%以上含有させることが好ましい。
【0008】
SnO(xは1、2の内の少なくとも1種)は軟化点を下げ、且つ化学的耐久性を向上させる成分であり、25モル%以下含有させることができる。SnOが25モル%を超える場合は、熱膨張係数が高くなりすぎるおそれがある。SnOの含有量は熱膨張係数等を考慮すると、20モル%以下であることが好ましく、更に15モル%以下であることがより好ましい。また軟化点及び化学的耐久性等を考慮すると、SnOは2モル%以上含有させることが好ましい。
【0009】
MnO(yは1、1.5、2の内の少なくとも1種)は軟化点を下げ、且つ化学的耐久性を向上させる成分であり、25モル%以下含有させることができる。MnOが25モル%を超える場合は、熱膨張係数が高くなりすぎるおそれがある。MnOの含有量は熱膨張係数等を考慮すると、20モル%以下であることが好ましく、更に15モル%以下であることがより好ましい。また軟化点及び化学的耐久性等を考慮すると、MnOは2モル%以上含有させることが好ましい。
【0010】
ZnO、SnO、MnOは、少なくともその1種以上を2〜25モル%含有させる。ZnO、SnO、MnOをそれぞれ上記範囲で含有させ、且つその何れか1種以上を2〜25モル%、好ましくは2〜20モル%含有させることにより、化学的耐久性をあまり低下させず、しかも軟化点、熱膨張係数の調整をすることができる。軟化点、熱膨張係数等を考慮すると、ZnO、SnO、MnOは、少なくともその1種以上を4〜15モル%とすることがより好ましい。
【0011】
SiOはガラスの成形性を向上させると共に、リブ又は焼成膜の表面状態を向上させるために10モル%以下含有させることができる。SiOが10モル%を超える場合は、軟化点が高くなりすぎるおそれがある。SiOの含有量は軟化点等を考慮すると、6モル%以下であることがより好ましい。またガラスの成形性及びリブ又は焼成膜の表面状態等を考慮すると、SiOは1モル%以上含有させることが好ましい。
【0012】
はガラスの成形性を向上させると共に、化学的耐久性を向上させるために10モル%以下含有させることができる。Bが10モル%を超える場合は、軟化点が高くなりすぎるおそれがある。Bの含有量は軟化点等を考慮すると、6モル%以下であることがより好ましい。またガラスの成形性及び化学的耐久性等を考慮すると、Bは2モル%以上含有させることが好ましい。
【0013】
SiOとBは、少なくともその1種以上を1〜10モル%含有させる。SiO、Bをそれぞれ上記範囲で含有させ、且つその何れか1種以上を1〜10モル%含有させることにより、軟化点をあまり上げず、ガラスの成形性を向上させることができる。化学的耐久性、リブ又は焼成膜の表面状態及び軟化点等から考慮すると、SiOとBは、少なくともその1種以上を2〜6モル%含有させることがより好ましい。
【0014】
上記必須成分の他に、必要に応じてCaO及びSrOの内の少なくとも1種を10モル%以下含有させることができる。上記範囲でCaO、SrOを含有させることによりガラスの成形性が良くなり、また軟化点を低下させることができる。10モル%を超えて含有すると熱膨張係数が高くなりすぎる。CaO、SrOの含有量はガラスの成形性、軟化点、熱膨張係数等を考慮すると、2〜6モル%であることがより好ましい。
【0015】
また上記必須成分の他に、必要に応じてCuO(zは0.5、1の内の少なくとも1種)、WO及びTiOの内の少なくとも1種を10モル%以下含有させることができる。CuOを上記範囲で含有させることにより、化学的耐久性を低下させずに軟化点を低下させることができる。またWOを上記範囲で含有させることにより、軟化点をそれほど上昇させずに化学的耐久性を向上させることができる。更にTiOを上記範囲で含有させることにより、熱膨張係数を調整することができる。軟化点、熱膨張係数、化学的耐久性等から考慮すると、CuO、WO及びTiOは少なくともその1種以上を5モル%以下含有させることがより好ましい。
【0016】
また上記必須成分の他に、必要に応じてAlを2モル%以下含有させることができる。Alを上記範囲で含有させることにより、ガラスの成形性を向上させると共に、化学的耐久性を向上させることができる。Alを2モル%超えて含有させると、軟化点が高くなりすぎるおそれがある。Alの含有量はガラスの軟化点等を考慮すると、1.5モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが一層好ましい。またガラスの成形性、化学的耐久性等を考慮すると、Alは0.5モル%以上含有させることが好ましい。
【0017】
また上記必須成分の他に、必要に応じてLiO、NaO及びKOの内の少なくとも1種を4モル%以下含有させることができる。LiO、NaO、KOは、軟化点を低下させることができる。ただし、LiO、NaO、KOを含有するガラスを電子部品等に使用する場合には、これらの成分は制限される場合があるので、含有しないことが好ましい。
【0018】
本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物は低温で焼成でき、且つ低比重で低熱膨張であるため、歪点が570〜610℃の高歪点ガラスを基板とするプラズマディスプレイパネル(PDP)やプラズマアドレス液晶ディスプレイ(PALCD)のバリアリブ又は誘電体層の形成に使用できる。そのため、軟化点が600℃以下であって且つ50〜400℃における熱膨張係数は、65×10−7〜90×10−7/Kの範囲にあることが好ましい。
また下記の測定方法による1日あたりの単位面積当たりの重量減少量は、10×10−3g/cm・日以下が好ましい。
【0019】
以上のガラスを得るための原料としては、上記ガラスの酸化物になり得るような化合物であれば特に制限はない。例えば、P成分の原料としては、正リン酸(HPO)やリン酸アンモニウム(NHPO)などの他、アルカリ土類成分や亜鉛との化合物の形で使用しても良い。MgO成分の原料としては、メタリン酸マグネシウムや水酸化マグネシウムなどが使用できる。
本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラスの製造手段としては、特に制限はなく、粉体原料、或いは正リン酸を使用して調製したスラリーを乾燥、粉砕後バッチチャージして溶融する等の方法がある。
なお、さらなる熱膨張係数の低下の必要が生じた場合、適宜β−スポジュメン、ジルコン等のフィラーを単独または複数混合して添加できる。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。ここで、実施例1、2、4、6、8、10、13、14、19、23、24、25、26、28、29、32、38、39、49、50、52、54、56、57、58はSiOを含まない本発明の参考例、また実施例40、41、43、44、47、49、51、52、55はLiO、NaO、KOの何れかを含む本発明の参考例である。更に実施例7、18、22、30、61は、ZnOの含有量が2〜20モル%より外れる為、本発明の参考例である。残る実施例が本発明の実施例である。
なお実施例、比較例において使用した原料はHPO、Mg(OH)、ZnO、SnO、MnO、SiO、HBO、Ca(OH)、SrCO、CuO、WO、TiO、Al(OH)、LiCO、NaCO、KCOである。
また実施例、比較例においてガラス転移温度(Tg)、軟化点(Mg)、熱膨張係数(α)、密度(d)及び化学的耐久性(溶出速度Q)は下記の方法により測定した。
(1).ガラス転移温度(Tg)、軟化点(Mg)
100メッシュをパスしたガラス粉末(約40mg)を白金セルに入れ、示差熱分析装置(DTA、理学電機製TG8110)を用いて、アルミナ粉末を標準試料として室温から20K/minで昇温して得られたDTA曲線より、最初の吸熱の開始点(外挿点)の温度をガラス転移温度、その吸熱の極小値の温度を軟化点とした。
(2).熱膨張係数(α)
ガラスを直径約5mm、長さ15〜20mmのロッド状に加工し、熱機械分析装置(TMA、理学電機製TMA8140)を用い、石英ガラスを標準試料として室温から10K/minで昇温して得られた熱膨張曲線より50〜400℃の平均値として求めた。
(3).密度(d)
ガラスを約5×5×5mmの大きさに加工し、アルキメデス法を用いて測定した。
(4).化学的耐久性(JIS R3254に準ずる)
ガラスを約20×20×2mmの大きさに切断し、表面全てを研磨紙を用いて研磨(最終仕上げ研磨の研磨紙#3000)し、よく洗浄して乾燥した後、重量を精秤し、試料ラックに取り付けた。一方、500mlの溶出用ビーカーに400mlのイオン交換水を入れ、これを溶出振とう装置に取り付け、溶出液(イオン交換水)が50℃になるように保持した。溶出液が50℃になってから、ガラスを取り付けた試料ラックを溶出用ビーカーに挿入するが、このとき振とう方向と試料ガラスの広い方の面が平行になるように配置した。浸積直後から時間を計測し、5時間振とう後試料ラックを引き上げてガラス試料を試料ラックから取り出し、洗浄・乾燥後、重量を精秤した。ガラス試料の溶出速度(Q)を式1によって求めた。
式1
Q=(W−W)/(t×S)
ここでW:溶出試験前の試験片の重量(g)
:溶出試験後の試験片の重量(g)
t:溶出時間(日)
S:溶出試験前の試験片の表面積(cm
【0021】
実施例1
ガラスの組成がP:51モル%、MgO:32モル%、ZnO:15モル%、B:2モル%となるように各成分原料を秤量し、溶融する石英ルツボ内で混合した。その後、このルツボを乾燥器に入れ、150℃で14時間乾燥を行った。その後電気炉に入れ、炉を1300℃まで上昇させて2時間溶融し、双ロール法で急冷してガラスフレークを得ると共に、予め加熱しておいた鉄板に流し出してブロックを作製した。その後ブロックはガラス転移点より約50℃高い温度に設定した炉に入れ、徐冷を行った後切り出して研磨し、熱膨張係数、密度及び化学的耐久性を測定するサンプルとした。ガラスフレークは粉砕を行い粉末とした。このガラスの物性を上記方法に従って測定したところ、ガラス転移温度Tgは477℃、軟化点Mgは520℃、熱膨張係数αは71.9×10−7/K、密度dは2.581g/cm、溶出速度Qは1.90×10−3g/cm・日であった。測定結果をまとめて表1に示す。
【0022】
実施例2
ガラスの組成がP:40モル%、MgO:35モル%、ZnO:10モル%、SnO:5モル%(xは1、2の内の少なくとも1種)、B:10モル%となるように各成分原料を秤量し、溶融する石英ルツボ内で混合した。その後、このルツボを乾燥器に入れ、150℃で14時間乾燥を行った。その後電気炉に入れ、炉を1300℃まで上昇させて2時間溶融し、双ロール法で急冷してガラスフレークを得ると共に、予め加熱しておいた鉄板に流し出してブロックを作製した。その後ブロックはガラス転移点より約50℃高い温度に設定した炉に入れ、徐冷を行った後切り出して研磨し、熱膨張係数、密度及び化学的耐久性を測定するサンプルとした。ガラスフレークは粉砕を行い粉末とした。このガラスの物性を上記方法に従って測定したところ、ガラス転移温度Tgは544℃、軟化点Mgは577℃、熱膨張係数αは71.4×10−7/K、密度dは2.783g/cm、溶出速度Qは1.74×10−3g/cm・日であった。測定結果をまとめて表1に示す。
【0023】
実施例3〜61
ガラス組成が表1〜表6に示す組成となるように各成分原料を実施例1と同様に秤量、混合し、乾燥を行い、その後電気炉に石英ルツボを入れ、炉を1200〜1300℃まで上昇させて2時間溶融し、双ロール法で急冷して得たガラスフレークを、鉄板に流し出してブロックを作製した。測定した各物性値を表1〜表6に示す。
【0024】
比較例1
ガラスの組成がP:48モル%、MgO:9.5モル%、ZnO:38モル%、SiO:4.5モル%となるように各成分原料を調合し、溶融する石英ルツボ内で混合した。その後、このルツボを乾燥器に入れ、150℃で14時間乾燥を行った。その後電気炉に入れ、炉を1200℃まで上昇させて2時間溶融し、双ロール法で急冷してガラスフレークを得ると共に、予め加熱しておいた鉄板に流し出してブロックを作製した。その後ブロックはガラス転移点より約50℃高い温度に設定した炉に入れ、徐冷を行った後切り出して研磨し、熱膨張係数、密度及び化学的耐久性を測定するサンプルとした。ガラスフレークは粉砕を行い粉末とした。このガラスの物性を上記方法に従って測定したところ、ガラス転移温度Tgは413℃、軟化点Mgは450℃、熱膨張係数αは74.9×10−7/K、密度dは2.736g/cm、溶出速度Qは512×10−3g/cm・日であった。測定結果をまとめて表7に示す。このガラスはZnOの含有量が多いので、化学的耐久性に劣る。
【0025】
比較例2
ガラスの組成がP:45モル%、MgO:25モル%、ZnO:10モル%、SiO:5モル%、LiO:15モル%となるように各成分原料を調合し、溶融する石英ルツボ内で混合した。その後、このルツボを乾燥器に入れ、150℃で14時間乾燥を行った。その後電気炉に入れ、炉を1200℃まで上昇させて2時間溶融し、双ロール法で急冷してガラスフレークを得ると共に、予め加熱しておいた鉄板に流し出してブロックを作製した。その後ブロックはガラス転移点より約50℃高い温度に設定した炉に入れ、徐冷を行った後切り出して研磨し、熱膨張係数、密度及び化学的耐久性を測定するサンプルとした。ガラスフレークは粉砕を行い粉末とした。このガラスの物性を上記方法に従って測定したところ、ガラス転移温度Tgは406℃、軟化点Mgは436℃、熱膨張係数αは117.8×10−7/K、密度dは2.641g/cm、溶出速度Qは4.71×10−3g/cm・日であった。測定結果をまとめて表7に示す。このガラスはLiOの含有量が多いので、熱膨張係数が高すぎる。
【0026】
以上の実施例及び比較例の物性から明らかなように、本発明のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物は化学的耐久性に優れ、さらに熱膨張係数が比較的低く且つ比重が比較的小さいことがわかる。
【0027】
【表1】
Figure 0004597336
【0028】
【表2】
Figure 0004597336
【0029】
【表3】
Figure 0004597336
【0030】
【表4】
Figure 0004597336
【0031】
【表5】
Figure 0004597336
【0032】
【表6】
Figure 0004597336
【0033】
【表7】
Figure 0004597336
【0034】
【発明の効果】
本発明は以上の構成及び作用からなり、請求項1に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物によれば、鉛等の環境汚染のおそれのある物質を含有せず、しかも化学的耐久性に優れ、さらに熱膨張係数が比較的低く、また比重が比較的小さく且つ低温での焼成が可能である。
またSiOを1〜10モル%としたことで、ガラスの軟化点が高くなりすぎないようにしながら、プラズマディスプレイパネル(PDP)或いはプラズマアドレス液晶ディスプレイ(PALCD)のバリアリブ又は焼成膜の表面状態を向上させることができる。
また更にLiO、NaO及びKOを非含有としたので、ガラスの熱膨張係数が高くなるのを防止すると共に、化学的耐久性が不十分となるのを防止することができる。
また請求項2に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物によれば、前記請求項1に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物による効果を一層向上させることができる。
また請求項3に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物によれば、前記請求項1又は2に記載の構成による効果に加えて、CaO、SrOの内の少なくとも1種を10モル%以下含有させるようにしたので、ガラスの成形性を一層良くし、また軟化点を一層低下させることができる。
また請求項4に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物によれば、前記請求項1〜に記載の構成による効果に加えて、CuO、WO、TiOの内の少なくとも1種を10モル%以下含有させるようにしたので、化学的耐久性、軟化点及び熱膨張係数の調整ができる。
また請求項5に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物によれば、前記請求項1〜に記載の構成による効果に加えて、Alを2モル%以下含有させるようにしたので、ガラスの成形性及び化学的耐久性を向上させることができる。
また請求項6に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物によれば、前記請求項1〜に記載の構成による効果に加えて、プラズマディスプレイパネル(PDP)或いはプラズマアドレス液晶ディスプレイ(PALCD)のバリアリブ又は誘電体層を良好に形成することができる。
また請求項7に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物によれば、上記請求項1〜6に記載の構成による効果に加えて、軟化点が600℃以下であって、且つ50〜400℃の熱膨張係数が65×10−7〜90×10−7/Kの範囲にあるので、化学的耐久性が良好で、熱膨張係数が低く、しかも比重が比較的小さく、且つ比較的低温で焼成が可能となり、プラズマディスプレイパネル(PDP)或いはプラズマアドレス液晶ディスプレイ(PALCD)のバリアリブ又は誘電体層の形成に好ましく用いることができる。

Claims (7)

  1. モル%表示で、
    :35〜60%、
    MgO:17〜50%、
    ZnO:2〜20%、
    SnO:0〜20%(xは1、2の内の少なくとも1種)、
    MnO:0〜20%(yは1、1.5、2の内の少なくとも1種)、
    ただしZnO、SnO及びMnOの内の少なくとも1種:2〜20%、
    SiO:1〜10%、
    :0〜10%、
    ただしSiO及びBの内の少なくとも1種:1〜10%、
    更にLiO、NaO及びKOを非含有、
    の組成を有することを特徴とするマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物。
  2. モル%表示で、
    40〜50%、
    MgO:30〜45%、
    ZnO:2〜15%、
    SnO:0〜15%(xは1、2の内の少なくとも1種)、
    MnO:0〜15%(yは1、1.5、2の内の少なくとも1種)、
    ただしZnO、SnO及びMnOの内の少なくとも1種:4〜15%、
    SiO:1〜%、
    :0〜%、
    ただしSiO及びBの内の少なくとも1種:2〜6%、
    更にLiO、NaO及びKOを非含有、
    の組成を有することを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物。
  3. CaO及びSrOの内の少なくとも1種を10モル%以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物。
  4. CuO(zは0.5、1の内の少なくとも1種)、WO及びTiOの内の少なくとも1種を10モル%以下含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物。
  5. Al を2モル%以下含有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物。
  6. プラズマディスプレイパネル(PDP)或いはプラズマアドレス液晶ディスプレイ(PALCD)のバリアリブ又は誘電体層の形成に用いることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物。
  7. 軟化点が600℃以下であって、且つ50〜400℃の熱膨張係数が65×10−7〜90×10−7/Kの範囲にあることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のマグネシウムリン酸塩系ガラス組成物。
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