JP4596992B2 - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents
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Description
蒸着にアルミニウムを使用した場合には、特に、蒸着と接する側には蒸着と同金属のアルミニウムのメタリコン端面電極を使用したほうが耐食の点で好ましいが、耐食性を維持しながら、融点を低下させるために特に珪素を添加させ、溶射時におけるフィルムの熱劣化を抑えていた。ただし、アルミニウム系は、その表面がめっきし難かったり、はんだ付け用の低溶融金属に濡れ難かったりするので、鉛、錫、銀、銅などからなる合金のメタリコンを端面電極表面に積層していた(たとえば、特許文献2)。
ところで、ここに来て全世界規模で電子製品の鉛フリー化が進められるに至って、実装時のリフロー温度上限が、240−260℃へと引き上げられ、この高温リフロー対応として、端面電極にアルミニウムを溶射後、その上に融点が1000℃を越える銅またはニッケルの単独金属を溶射積層していた(たとえば、特許文献3)。
第1メタリコン層のアルミニウムに珪素を添加することにより、第1メタリコン層と第2メタリコン層との浸漬電位差が小さくなり、メタリコン層間の腐食を抑制することができる。
第1メタリコン層のアルミニウムに珪素を添加し、第2メタリコン層の銅に亜鉛を添加することにより、また、第1メタリコン層と第2メタリコン層間の熱膨張係数差が軽減されるので、メタリコン層間の熱クラック問題を解決することができる。
図1は、本発明に係るフィルムコンデンサの斜視図および断面図である。
1はポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリアミド、またはポリエーテルイミド等の高耐熱フィルムに、アルミニウムを蒸着して金属薄膜を形成した金属化フィルムを2枚、互いにずらして積層して巻回し、最外周にシール用フィルムを巻き付けた素子である。ここで、シール用フィルムは、金属化フィルムの金属を高電圧印加により除去した部分で置き換えてもよい。
2は、この素子1の端面に形成し、金属薄膜に直接接続した第1メタリコン層であり、アルミニウムに珪素を添加した金属からなり、アルミニウムを80%以上、珪素を3%以上含んでいる。膜厚は0.05mmから0.3mm程度であり、0.1mmから0.2mm程度が好ましい。
アルミニウムに対して珪素を12.6%添加することにより、アルミニウムの融点を660℃から約570℃まで低下させることができる。
3は、この第1メタリコン層2に積層した第2のメタリコン層であり、銅に亜鉛を添加したものであり、表面を研磨している。膜厚は0.2mmから0.6mm程度であり、0.3mmから0.4mm程度が好ましい。
第1メタリコン層と第2のメタリコン層の界面は、メタリコン間の接続であるため平面というよりも凹凸状であり、第1メタリコン材と第2のメタリコン材が混在化した部分も存在し、また、合金化した部分のほか単に物理的に接触している部分も含まれる。
4は、第2メタリコン層3に積層した、NiまたはCuからなる第1めっき層である。膜厚は5μmから20μm程度であり、8μmから15μm程度が好ましい。
5は、第1のめっき層4に積層した錫からなる第2めっき層である。膜厚は2μmから20μm程度であり、4μmから8μm程度が好ましい。
なお、実施にあたっては、4、5のめっき層を省略してもよい。
アスタチンは安定に存在しない元素であり使用できない。ビスマス、テルル、アンチモンは脆い材料で線材化できず、タリウム、鉛、カドミウムは環境問題から使用することができない。テルル、ゲルマニウムは半導体であり電極材としては使用できない。アルカリ土類金属であるマグネシウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウムは水や酸素との反応性に富むため、溶射材料としては不適当である。亜鉛は耐食性に劣るので外層電極には適さない。
以上から、選択肢として残るのは、銀、金、銅となる。これら材料の中で、価格的に銅が最も有望な材料となる。
この銅の融点(1067℃)を1000℃以下に下げるためには、合金化して固相線、液相線を低下させることが有効である。
一般に、共晶を形成する元素を添加すると、共晶温度まで固相線温度を低下させることができる。また、包晶を形成する元素を添加した場合、包晶温度が融点より高いケースも低いケースもありうるが、包晶温度が融点より低い場合には、包晶温度まで固相線を低下させることができる。この場合、包晶組成を超えて合金元素を増加させればさらに固相線は低下するが、包晶の組み合わせとなる相が金属間化合物である場合、材料自体が硬くなり、加工しにくくなる問題がある。
たとえば、銅に亜鉛を添加すると、徐々に固相線が低下し、組成32.5wt%から37.5wt%の範囲で903℃の包晶線にまで固相線を低下させることができる。したがって、亜鉛を35%添加した銅合金では、固相線を903℃にまで下げることができる。亜鉛を37.5wt%以上添加するとさらに固相線を低下させることができるが、亜鉛を40wt%以上添加すると、亜鉛のさらに多い金属間化合物相(β相)との2相組織となり、このβ相が耐食性を著しく低下させるので、好ましくない。 したがって、銅-亜鉛合金で耐食性を損なうことなく液相線温度を低下させることのできる亜鉛量40wt%未満の黄銅が耐食性および耐熱性を考慮すると適している。ここで、黄銅とは、亜鉛量20wt%から40wt%の銅合金である。
図2にバイメタル撓みを表すモデル図、数式1にバイメタルの反りを表す式を示す。
表1に、第1メタリコン層にアルミニウムあるいはアルミニウム−12wt%珪素合金を使用し、第2メタリコン層に銅を使用した場合のバイメタル撓みおよびそれを拘束する先端集中荷重の比較例を示す。アルミニウムの熱膨張係数23.5×10−6K−1と銅の熱膨張係数17.0×10−6K−1の差は大きく、表1にみるように大きな撓みおよび拘束荷重を発生させる。第1メタリコン層の材質をアルミニウムからアルミニウム−12wt%珪素合金に変更すると、その熱膨張係数が20.5×10−6K−1と小さくなって、銅との熱膨張係数差が縮小されるため、撓みおよび拘束荷重は半減する。これをさらに軽減するには、第2メタリコン層である銅の熱膨張係数を大きくして、アルミニウム−12wt%珪素合金の値に近づけることが必要である。
固溶体の範囲の合金においては、ベース合金の結晶構造を反映するとともに、添加元素の特性が添加量に応じて影響する。熱膨張係数も同様であり、固溶体で使用する限りは、熱膨張係数の大きな合金元素を固溶体の範囲でできるだけ多く添加することが望ましい。
図2に、純物質の熱膨張係数と融点の相関を示す。熱膨張係数は、大まかに融点に反比例する。この中で、多量に合金化することの困難なアルカリ金属を除外すると最も大きな熱膨張係数を有する元素は亜鉛、カドミウム、タリウム、鉛のグループとなる。このうちカドミウム、タリウム、鉛は、環境問題を背景に、その毒性から使用することができない。したがって、熱膨張係数を向上させる合金元素として、亜鉛が最も有効な元素となる。文献によれば、亜鉛量を30wt%以上にすることにより、熱膨張係数を20×10−6K−1以上とすることができる。
表2に、第1メタリコン層にアルミニウム−12wt%珪素合金を使用し、第2メタリコン層に銅合金を使用した場合のバイメタル撓みおよびそれを拘束する先端集中荷重の比較例を示す。黄銅を使用することで、バイメタル撓みおよびそれを拘束する先端集中荷重を10分の1にまで軽減することができる。
リフローしたサンプルを20℃、30%RH中に12時間放置し、1kHzでの容量、tanδ、定格電圧での絶縁抵抗を測定した後、85℃、85%RHの雰囲気の炉中に投入し、定格電圧を印加した状態で250時間耐湿負荷試験し、その後、再び取り出して20℃、30%RH中に12時間放置し、1kHzでの容量、tanδ、定格電圧での絶縁抵抗を測定した。
表3に耐湿負荷試験前後の特性比較結果を示す。比較例としては、実施例1において第2のメタリコン層を銅、青銅(Cu−10wt%Sn−2wt%Zn)、りん青銅(Cu−13.5wt%Sn−0.33wt%P)に変更し、他のプロセスを同様に実施したものと、実施例1および比較例において第1のメタリコン層をアルミニウムに変更し、他のプロセスを同様に実施した。
本結果より、アルミニウム−12wt%シリコン合金第1メタリコン上に形成する第2メタリコン材料としては、銅に添加する亜鉛の量は20wt%以上40wt%未満が最適であるといえる。
Claims (1)
- アルミニウムを蒸着した金属化フィルムコンデンサの、前記蒸着と接する側の端面電極として、アルミニウムに珪素を添加した第1メタリコン層に、銅に亜鉛を添加した第2メタリコン層を積層した金属化フィルムコンデンサにおいて、第1メタリコン層がアルミニウム−12wt%珪素で、第2メタリコン層の亜鉛添加量が、30wt%から35wt%であることを特徴とした金属化フィルムコンデンサ。
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