JP2002030468A - 電子部品用リード線 - Google Patents
電子部品用リード線Info
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Landscapes
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 はんだ付け時にリフトオフを発生せず、はん
だ濡れ性が優れ、また曲げ加工性も優れているリード線
とそれを用いた電子部品を提供する。 【解決手段】 導電性基体1の上に、単一のSn−Bi
合金層2が形成されており、かつ、Sn−Bi合金層に
おけるBiの平均濃度が0.1〜1.0重量%であるか、
または、導電性基体1と、導電性基体の上に形成された
Sn層2Aと、Sn層の上に形成されたBi濃度1〜5
重量%のSn−Bi合金層2Bとから成る。
だ濡れ性が優れ、また曲げ加工性も優れているリード線
とそれを用いた電子部品を提供する。 【解決手段】 導電性基体1の上に、単一のSn−Bi
合金層2が形成されており、かつ、Sn−Bi合金層に
おけるBiの平均濃度が0.1〜1.0重量%であるか、
または、導電性基体1と、導電性基体の上に形成された
Sn層2Aと、Sn層の上に形成されたBi濃度1〜5
重量%のSn−Bi合金層2Bとから成る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子部品用リード線
とそれを用いた電子部品に関し、更に詳しくは、はんだ
との濡れ性が優れ、かつリフトオフが発生しにくく、更
には曲げ加工性も優れている電子部品用リード線に関す
る。
とそれを用いた電子部品に関し、更に詳しくは、はんだ
との濡れ性が優れ、かつリフトオフが発生しにくく、更
には曲げ加工性も優れている電子部品用リード線に関す
る。
【0002】
【従来の技術】CuまたはCu合金から成る導電性基
体、またはCu被覆鋼線のような導電性基体の表面をS
nまたはSn合金でめっき被覆した線材は、Cuまたは
Cu合金が備えている優れた導電性と機械的強度を有
し、かつ、SnまたはSn合金が備えている耐食性と良
好なはんだ付け性を併有する高性能導体であって、各種
の端子、コネクタ、リード線のような電気・電子機器分
野における用途、また電力ケーブルの分野などで多用さ
れている。
体、またはCu被覆鋼線のような導電性基体の表面をS
nまたはSn合金でめっき被覆した線材は、Cuまたは
Cu合金が備えている優れた導電性と機械的強度を有
し、かつ、SnまたはSn合金が備えている耐食性と良
好なはんだ付け性を併有する高性能導体であって、各種
の端子、コネクタ、リード線のような電気・電子機器分
野における用途、また電力ケーブルの分野などで多用さ
れている。
【0003】ところで、上記した線材において、導電性
基体を被覆するめっき層がSnのみで形成されている場
合には、表面酸化に基づくはんだ付け性の劣化が起こ
り、またウイスカーが発生しやすいので短絡事故が起こ
りやすいという問題がある。そのため、めっき層をSn
合金で形成して、上記問題が生じないようにすることが
広く行われている。その場合のSn合金の代表例はSn
−Pb合金であり、これは従来から多用されている。
基体を被覆するめっき層がSnのみで形成されている場
合には、表面酸化に基づくはんだ付け性の劣化が起こ
り、またウイスカーが発生しやすいので短絡事故が起こ
りやすいという問題がある。そのため、めっき層をSn
合金で形成して、上記問題が生じないようにすることが
広く行われている。その場合のSn合金の代表例はSn
−Pb合金であり、これは従来から多用されている。
【0004】しかしながら、Sn−Pb合金中のPb成
分は人体に悪影響を与える虞れがあるということから、
最近では、Sn−Pb合金は優れた性質を備えているに
もかかわらず、その使用が敬遠されている。そのため、
近年、このSn−Pb合金に代わるものとして、Pbフ
リーであるSn−Bi合金が使用されはじめている。し
かし、このSn−Bi合金のめっき層で被覆されている
リード線の場合、基体中のCu成分に対するSn成分の
拡散速度が大きいので、高温の熱処理を行ったときに、
基体とめっき層の界面にSn−Cu層が形成される。通
常、はんだ付けでは、めっき層がはんだ浴に溶けるた
め、基体表面の活性なCuが露出し、そのことによって
はんだの濡れが実現する。しかしながら、Sn−Cu層
が形成されていると、基体表面には活性なCuが表出し
なくなる。その結果、はんだ濡れ性が劣化するという問
題が生じてくる。
分は人体に悪影響を与える虞れがあるということから、
最近では、Sn−Pb合金は優れた性質を備えているに
もかかわらず、その使用が敬遠されている。そのため、
近年、このSn−Pb合金に代わるものとして、Pbフ
リーであるSn−Bi合金が使用されはじめている。し
かし、このSn−Bi合金のめっき層で被覆されている
リード線の場合、基体中のCu成分に対するSn成分の
拡散速度が大きいので、高温の熱処理を行ったときに、
基体とめっき層の界面にSn−Cu層が形成される。通
常、はんだ付けでは、めっき層がはんだ浴に溶けるた
め、基体表面の活性なCuが露出し、そのことによって
はんだの濡れが実現する。しかしながら、Sn−Cu層
が形成されていると、基体表面には活性なCuが表出し
なくなる。その結果、はんだ濡れ性が劣化するという問
題が生じてくる。
【0005】このような問題に対し、本発明者らは、導
電性基体の表面に、まず、Snめっき層を形成し、更に
そのSnめっき層の上にSn−Bi合金から成るめっき
層を形成することにより、2層構造のめっき層を有する
リード線を開発した(特開平10−229152号公報
を参照)。このリード線の場合、下層に位置するSnめ
っき層におけるSnの拡散速度が上層に位置するSn−
Bi合金層におけるSnの拡散速度よりも小さく下層の
Snめっき層はいわばSnの拡散バリアとして機能し、
そのため、前記したSn−Cu層が形成されにくくな
り、従来のSnめっき層単独で被覆されているリード線
に比べても、ほぼ同等のはんだ濡れ性を発揮する。
電性基体の表面に、まず、Snめっき層を形成し、更に
そのSnめっき層の上にSn−Bi合金から成るめっき
層を形成することにより、2層構造のめっき層を有する
リード線を開発した(特開平10−229152号公報
を参照)。このリード線の場合、下層に位置するSnめ
っき層におけるSnの拡散速度が上層に位置するSn−
Bi合金層におけるSnの拡散速度よりも小さく下層の
Snめっき層はいわばSnの拡散バリアとして機能し、
そのため、前記したSn−Cu層が形成されにくくな
り、従来のSnめっき層単独で被覆されているリード線
に比べても、ほぼ同等のはんだ濡れ性を発揮する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らのその後の研究によると、上記した2層構造のめっ
き層で被覆されているリード線は、耐熱試験後における
はんだ濡れ性が良好で、またアルミ線との溶接強度も大
きいという利点を備えているが、他方では、Bi濃度が
高くなると次のような問題を生ずることが明らかとなっ
た。
者らのその後の研究によると、上記した2層構造のめっ
き層で被覆されているリード線は、耐熱試験後における
はんだ濡れ性が良好で、またアルミ線との溶接強度も大
きいという利点を備えているが、他方では、Bi濃度が
高くなると次のような問題を生ずることが明らかとなっ
た。
【0007】すなわち、第1の問題は、このリード線を
例えば回路基板のランドにはんだ付けすると、はんだが
ランドから剥離する、いわゆるリフトオフと呼ばれる現
象が頻発するという問題である。このリフトオフが発生
する、発生しないという問題は、回路基板と実装部品と
の電気的な接続における信頼性の大小に大きな影響を与
える問題であって、回路基板と実装部品の間で1箇所で
もリフトオフが発生していると、リフトオフが他の箇所
で発生していなくても、製造された実装基板それ自体が
不良品になってしまう。
例えば回路基板のランドにはんだ付けすると、はんだが
ランドから剥離する、いわゆるリフトオフと呼ばれる現
象が頻発するという問題である。このリフトオフが発生
する、発生しないという問題は、回路基板と実装部品と
の電気的な接続における信頼性の大小に大きな影響を与
える問題であって、回路基板と実装部品の間で1箇所で
もリフトオフが発生していると、リフトオフが他の箇所
で発生していなくても、製造された実装基板それ自体が
不良品になってしまう。
【0008】したがって、はんだ付け時におけるリフト
オフの発生を抑制することは、実装基板の製造歩留まり
を高めることを考慮した場合には非常に重要な課題とな
る。また、第2の問題は、Bi濃度が高くなると、リー
ド線の曲げ加工性が悪くなり、そのためリード線に厳し
い曲げ加工を行うと、曲率が小さい曲げ部分にクラック
が発生し、その結果、リード線の耐食性が劣化するとい
う問題である。
オフの発生を抑制することは、実装基板の製造歩留まり
を高めることを考慮した場合には非常に重要な課題とな
る。また、第2の問題は、Bi濃度が高くなると、リー
ド線の曲げ加工性が悪くなり、そのためリード線に厳し
い曲げ加工を行うと、曲率が小さい曲げ部分にクラック
が発生し、その結果、リード線の耐食性が劣化するとい
う問題である。
【0009】このような問題は、回路基板へ実装部品を
高密度実装して製品の小型化・多機能化を実現しようと
する最近の動向にとっては不都合な問題であり、リード
線の曲げ加工性の向上ということも、製品の信頼性の向
上にとって重要な課題となっている。本発明は、既述し
た2層構造のめっき層を有するリード線における上記し
た問題を、Sn−Bi合金層におけるBi濃度を適正化
することにより解決し、もって、リフトオフの発生が起
こりにくく、はんだ濡れ性が優れ、更には曲げ加工性も
優れている電子部品用リード線と、それを用いた電子部
品の提供を目的とする。
高密度実装して製品の小型化・多機能化を実現しようと
する最近の動向にとっては不都合な問題であり、リード
線の曲げ加工性の向上ということも、製品の信頼性の向
上にとって重要な課題となっている。本発明は、既述し
た2層構造のめっき層を有するリード線における上記し
た問題を、Sn−Bi合金層におけるBi濃度を適正化
することにより解決し、もって、リフトオフの発生が起
こりにくく、はんだ濡れ性が優れ、更には曲げ加工性も
優れている電子部品用リード線と、それを用いた電子部
品の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、導電性基体の上に、単一の
Sn−Bi合金層が形成されており、かつ、前記Sn−
Bi合金層におけるBiの平均濃度が0.1〜1.0重量
%であることを特徴とする電子部品用リード線(以下、
リード線Aという)が提供される。
ために、本発明においては、導電性基体の上に、単一の
Sn−Bi合金層が形成されており、かつ、前記Sn−
Bi合金層におけるBiの平均濃度が0.1〜1.0重量
%であることを特徴とする電子部品用リード線(以下、
リード線Aという)が提供される。
【0011】また、本発明においては、導電性基体と、
前記導電性基体の上に形成されたSn層と、前記Sn層
の上に形成されたBi濃度1〜5重量%のSn−Bi合
金層とから成ることを特徴とする電子部品用リード線、
とりわけ、前記Sn層と前記Sn−Bi合金層との合計
の厚みが5〜15μmであり、そのうち、前記Sn−B
i合金層の厚みが1〜3μmである電子部品用リード線
(以下、リード線Bという)が提供される。
前記導電性基体の上に形成されたSn層と、前記Sn層
の上に形成されたBi濃度1〜5重量%のSn−Bi合
金層とから成ることを特徴とする電子部品用リード線、
とりわけ、前記Sn層と前記Sn−Bi合金層との合計
の厚みが5〜15μmであり、そのうち、前記Sn−B
i合金層の厚みが1〜3μmである電子部品用リード線
(以下、リード線Bという)が提供される。
【0012】また、本発明においては、上記リード線A
または/および上記リード線Bを用いて組み立てられた
電子部品が提供される。
または/および上記リード線Bを用いて組み立てられた
電子部品が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、リード線Aについて詳細に
説明する。図1はリード線Aの断面構造を示し、このリ
ード線Aは、導電性基体1と、その表面を被覆する単一
のSn−Bi合金層2で構成されている。ここで、導電
性基体としては、Cu、または、黄銅、リン青銅のよう
なCu合金が用いられる。また、鋼材のような基材の表
面が上記したCuまたはCu合金で被覆されているもの
であってもよい。
説明する。図1はリード線Aの断面構造を示し、このリ
ード線Aは、導電性基体1と、その表面を被覆する単一
のSn−Bi合金層2で構成されている。ここで、導電
性基体としては、Cu、または、黄銅、リン青銅のよう
なCu合金が用いられる。また、鋼材のような基材の表
面が上記したCuまたはCu合金で被覆されているもの
であってもよい。
【0014】本発明においては、上記したSn−Bi合
金層2におけるBiの平均濃度は、0.1〜1.0重量%
に設定されている。この平均濃度が0.1重量%より低
い場合には、従来のSn単独層の場合と同じように、S
n−Bi合金層3にその表面酸化やウイスカーの発生が
起こるようになる。また、この平均濃度が1.0重量%
より高い場合は、はんだ付け時にリフトオフが発生しや
すくなるとともに、曲げ加工性が悪くなる。このSn−
Bi合金層におけるBiの好ましい平均濃度は0.2〜
1.0重量%である。
金層2におけるBiの平均濃度は、0.1〜1.0重量%
に設定されている。この平均濃度が0.1重量%より低
い場合には、従来のSn単独層の場合と同じように、S
n−Bi合金層3にその表面酸化やウイスカーの発生が
起こるようになる。また、この平均濃度が1.0重量%
より高い場合は、はんだ付け時にリフトオフが発生しや
すくなるとともに、曲げ加工性が悪くなる。このSn−
Bi合金層におけるBiの好ましい平均濃度は0.2〜
1.0重量%である。
【0015】このリード線Aは、基体1の表面に、Sn
−Bi合金を例えば直接めっきして製造することができ
る。しかしながら、Sn−Bi合金のめっき時には、形
成されたSn−Bi合金のめっき層におけるBi濃度は
目標濃度に対して0.5〜2.0重量%の範囲内で変動す
るのが一般的である。
−Bi合金を例えば直接めっきして製造することができ
る。しかしながら、Sn−Bi合金のめっき時には、形
成されたSn−Bi合金のめっき層におけるBi濃度は
目標濃度に対して0.5〜2.0重量%の範囲内で変動す
るのが一般的である。
【0016】したがって、上記したBiの平均濃度とな
るようにSn−Biめっき層2をめっき法だけで形成す
ることはかなり困難である。もちろん、Bi濃度の変動
量を少なくするためには、めっき浴成分のリアルタイム
での分析と浴組成の管理などによって可能ではあるが、
そのような管理作業は非常に煩雑であり、その結果、リ
ード線製造時における生産性の低下、そして製造コスト
の上昇を招き、工業的には極めて不利となる。
るようにSn−Biめっき層2をめっき法だけで形成す
ることはかなり困難である。もちろん、Bi濃度の変動
量を少なくするためには、めっき浴成分のリアルタイム
での分析と浴組成の管理などによって可能ではあるが、
そのような管理作業は非常に煩雑であり、その結果、リ
ード線製造時における生産性の低下、そして製造コスト
の上昇を招き、工業的には極めて不利となる。
【0017】このような問題を考慮して、本発明におい
ては、上記したリード線Aを工業的に製造するために
も、まず、図2で示したリード線Bが提供される。ここ
で、リード線Bについて説明する。図2はリード線Bの
断面構造を示し、このリード線Bは、導電性基体1と、
その表面を被覆するSn層2Aと、更にそのSn層2A
を被覆するSn−Bi合金層2Bで構成されている。そ
して、これらの層2A,2Bは、いずれも、めっき法で
形成されている。
ては、上記したリード線Aを工業的に製造するために
も、まず、図2で示したリード線Bが提供される。ここ
で、リード線Bについて説明する。図2はリード線Bの
断面構造を示し、このリード線Bは、導電性基体1と、
その表面を被覆するSn層2Aと、更にそのSn層2A
を被覆するSn−Bi合金層2Bで構成されている。そ
して、これらの層2A,2Bは、いずれも、めっき法で
形成されている。
【0018】このリード線Bは、基体1の表面が2層構
造のめっき層で被覆されているものであるが、その場
合、最上層のSn−Bi合金層2BにおけるBi濃度は
1〜5重量%に設定されていることを特徴とする。した
がって、このリード線Bに熱処理、好適にはリフロー処
理を行うと、Sn層2AとSn−Bi合金層2Bはいず
れも溶融して互いに混合し、その結果として、Sn−B
i合金層2BのBi濃度が希釈されてBi濃度がより低
濃度になっている単一のSn−Bi合金層が再凝固して
形成されることになる。
造のめっき層で被覆されているものであるが、その場
合、最上層のSn−Bi合金層2BにおけるBi濃度は
1〜5重量%に設定されていることを特徴とする。した
がって、このリード線Bに熱処理、好適にはリフロー処
理を行うと、Sn層2AとSn−Bi合金層2Bはいず
れも溶融して互いに混合し、その結果として、Sn−B
i合金層2BのBi濃度が希釈されてBi濃度がより低
濃度になっている単一のSn−Bi合金層が再凝固して
形成されることになる。
【0019】また、はんだ付け時においても、その熱で
上記2層構造のめっき層は溶融し、冷却時の再凝固によ
って単一のSn−Bi合金層が形成される。したがっ
て、リード線Bの場合、まず、Sn−Bi合金層2Bに
おけるBi濃度、Sn層2AとSn−Bi合金層2Bの
厚みは、熱処理後に形成される単一のSn−Bi合金層
におけるBiの平均濃度が前記した0.1〜1.0重量%
の範囲内におさまるように設計される。
上記2層構造のめっき層は溶融し、冷却時の再凝固によ
って単一のSn−Bi合金層が形成される。したがっ
て、リード線Bの場合、まず、Sn−Bi合金層2Bに
おけるBi濃度、Sn層2AとSn−Bi合金層2Bの
厚みは、熱処理後に形成される単一のSn−Bi合金層
におけるBiの平均濃度が前記した0.1〜1.0重量%
の範囲内におさまるように設計される。
【0020】具体的には、まず、Sn−Bi合金層2B
におけるBi濃度は1〜5重量%に設定される。また、
Sn層2AとSn−Bi合金層2Bの合計の厚みは5〜
15μmに設定し、そして、そのうち、最上層のSn−
Bi合金層2Bの厚みは1〜3μmに設定することが好
ましい。ここで、合計の厚みが5μmより薄い場合に
は、上記した熱処理を受けたときに、基体1との界面に
Sn−Cu層が形成されやすくなり、その結果、はんだ
濡れ性が悪くなる。また、合計の厚みが15μmより厚
くなると、リード線Bの曲げ加工性が悪くなって曲げ加
工時にクラックが発生しやすくなる。
におけるBi濃度は1〜5重量%に設定される。また、
Sn層2AとSn−Bi合金層2Bの合計の厚みは5〜
15μmに設定し、そして、そのうち、最上層のSn−
Bi合金層2Bの厚みは1〜3μmに設定することが好
ましい。ここで、合計の厚みが5μmより薄い場合に
は、上記した熱処理を受けたときに、基体1との界面に
Sn−Cu層が形成されやすくなり、その結果、はんだ
濡れ性が悪くなる。また、合計の厚みが15μmより厚
くなると、リード線Bの曲げ加工性が悪くなって曲げ加
工時にクラックが発生しやすくなる。
【0021】更に、Sn−Bi合金層2AにおけるBi
濃度が1重量%より低かったり、その厚みが1μmより
薄くなると、熱処理を受けて形成された再凝固のSn−
Bi合金層におけるBiの平均濃度が低くなってしま
い、Sn単独層の場合と同じように表面酸化やウイスカ
ーの発生が起こってくる。また、Bi濃度が5重量%よ
り高かったり、その厚みが3μmより厚くなると、熱処
理後のSn−Bi合金層におけるBiの平均濃度が高く
なって、はんだ付け時のリフトオフが発生しやすくな
り、更には曲げ加工性が悪くなって曲げ加工時にクラッ
クが発生しやすくなる。
濃度が1重量%より低かったり、その厚みが1μmより
薄くなると、熱処理を受けて形成された再凝固のSn−
Bi合金層におけるBiの平均濃度が低くなってしま
い、Sn単独層の場合と同じように表面酸化やウイスカ
ーの発生が起こってくる。また、Bi濃度が5重量%よ
り高かったり、その厚みが3μmより厚くなると、熱処
理後のSn−Bi合金層におけるBiの平均濃度が高く
なって、はんだ付け時のリフトオフが発生しやすくな
り、更には曲げ加工性が悪くなって曲げ加工時にクラッ
クが発生しやすくなる。
【0022】なお、Sn層2Aの厚み、Sn−Bi合金
層2Bの厚みとBi濃度の設定に際しては、次式: 0.1≦C×{(R+T)2−(R+T−t)2}/{(R+
T)2−R2}≦1.0 を満足するように、C,R,T,tの各値を設定すれば
よい。なお、上記式において、Rは導電性基体1の半径
(mm)、TはSn層2AとSn−Bi合金層2Bの合計
の厚み(mm)、tはSn−Bi合金層2Bの厚み(m
m)、CはSn−Bi合金層2BにおけるBi濃度(重
量%)を表す。
層2Bの厚みとBi濃度の設定に際しては、次式: 0.1≦C×{(R+T)2−(R+T−t)2}/{(R+
T)2−R2}≦1.0 を満足するように、C,R,T,tの各値を設定すれば
よい。なお、上記式において、Rは導電性基体1の半径
(mm)、TはSn層2AとSn−Bi合金層2Bの合計
の厚み(mm)、tはSn−Bi合金層2Bの厚み(m
m)、CはSn−Bi合金層2BにおけるBi濃度(重
量%)を表す。
【0023】このリード線Bを熱処理することにより、
前記したリード線Aが製造される。このとき、リード線
Aにおける単一のSn−Bi合金層2は、溶融合金が再
凝固したものであるため、その表面は平滑であり、しか
も耐酸化性やはんだ濡れ性が向上した状態になってい
る。なお、上記した熱処理時に温度制御を行って、Sn
層2Aにおける基体1側の部分が溶融しないようにする
と、再凝固によって形成された単一のSn−Bi合金層
の厚みが均一になるので好適である。
前記したリード線Aが製造される。このとき、リード線
Aにおける単一のSn−Bi合金層2は、溶融合金が再
凝固したものであるため、その表面は平滑であり、しか
も耐酸化性やはんだ濡れ性が向上した状態になってい
る。なお、上記した熱処理時に温度制御を行って、Sn
層2Aにおける基体1側の部分が溶融しないようにする
と、再凝固によって形成された単一のSn−Bi合金層
の厚みが均一になるので好適である。
【0024】本発明の電子部品は、上記したリード線
A,Bを用い組み立てられたものであって、例えば、ダ
イオード、コンデンサ、抵抗器などをあげることができ
る。
A,Bを用い組み立てられたものであって、例えば、ダ
イオード、コンデンサ、抵抗器などをあげることができ
る。
【0025】
【実施例】線径0.5mmのCu被覆鋼線に電解脱脂、酸
洗の前処理を行ったのち、Snめっき、Sn−Bi合金
めっきを順次行って2層構造のめっき層2A,2Bが形
成されているリード線Bを製造した。このとき、各めっ
き条件を変えることにより、厚みとBi濃度が表1で示
した値となっているリード線Bにした。そして、下記の
仕様でリフトオフの発生状況、はんだ濡れ性、曲げ加工
性を調べた。
洗の前処理を行ったのち、Snめっき、Sn−Bi合金
めっきを順次行って2層構造のめっき層2A,2Bが形
成されているリード線Bを製造した。このとき、各めっ
き条件を変えることにより、厚みとBi濃度が表1で示
した値となっているリード線Bにした。そして、下記の
仕様でリフトオフの発生状況、はんだ濡れ性、曲げ加工
性を調べた。
【0026】1)リフトオフの発生状況:リード線Bを
所望の長さに切断したのち回路基板のスルーホールに装
着し、ついで噴流式はんだ槽内で両者をはんだ付けし
た。はんだ浴としては、Sn−0.7%Cu浴(はんだ
浴A)と、Sn−3.5%Ag−0.7%Cu浴(はんだ
浴B)の2種類を用い、いずれのはんだ浴も浴温250
℃とした。はんだ付け後、徐冷時間を実機よりもやや長
めにして冷却し、リフトオフが発生しているスルーホー
ルの個数を数え、それを装着数で除算してリフトオフの
発生率(%)を求めた。
所望の長さに切断したのち回路基板のスルーホールに装
着し、ついで噴流式はんだ槽内で両者をはんだ付けし
た。はんだ浴としては、Sn−0.7%Cu浴(はんだ
浴A)と、Sn−3.5%Ag−0.7%Cu浴(はんだ
浴B)の2種類を用い、いずれのはんだ浴も浴温250
℃とした。はんだ付け後、徐冷時間を実機よりもやや長
めにして冷却し、リフトオフが発生しているスルーホー
ルの個数を数え、それを装着数で除算してリフトオフの
発生率(%)を求めた。
【0027】2)はんだ濡れ性:リード線に、温度17
0℃で24時間の熱処理を行ったのち、所望の長さに切
断し、Sn−3.5%Ag−0.5%Cuのはんだ浴(浴
温240℃)に、ロジン25%のフラックスを用いて2
秒間浸漬し、そのときの濡れ面積を測定し、その値を浸
漬面積で除算して濡れ面積の比率(%)を求めた。
0℃で24時間の熱処理を行ったのち、所望の長さに切
断し、Sn−3.5%Ag−0.5%Cuのはんだ浴(浴
温240℃)に、ロジン25%のフラックスを用いて2
秒間浸漬し、そのときの濡れ面積を測定し、その値を浸
漬面積で除算して濡れ面積の比率(%)を求めた。
【0028】3)曲げ加工性:リード線Bに、温度75
0℃でリフロー処理を施してリード線Aにし、このリー
ド線Aを90°直角に折り曲げ、その折り曲げ箇所を光
学顕微鏡で観察し、クラックの発生の有無を調べた。ク
ラックなしの場合を◎、小さくクラックの発生の場合を
○、中位の大きさのクラック発生の場合を△、大きいク
ラック発生の場合を×とした。
0℃でリフロー処理を施してリード線Aにし、このリー
ド線Aを90°直角に折り曲げ、その折り曲げ箇所を光
学顕微鏡で観察し、クラックの発生の有無を調べた。ク
ラックなしの場合を◎、小さくクラックの発生の場合を
○、中位の大きさのクラック発生の場合を△、大きいク
ラック発生の場合を×とした。
【0029】
【表1】
【0030】表1から次のことが明らかである。 (1)実施例1〜5のリード線は、いずれも、リフトオ
フの発生はなく、はんだ濡れ性も95%以上と合格水準
にあり、しかも曲げ加工性が優れている。 (2)しかし、実施例6のようにリード線BにおけるS
n−Bi合金層2Bの厚みが5μmのものは、その厚み
が1〜3μmの範囲内にある実施例1〜5に比べて、曲
げ加工性において小さくクラックが発生している。この
ようなことから、Sn−Bi合金層2Bの厚みは1〜3
μmに設定することが好適である。
フの発生はなく、はんだ濡れ性も95%以上と合格水準
にあり、しかも曲げ加工性が優れている。 (2)しかし、実施例6のようにリード線BにおけるS
n−Bi合金層2Bの厚みが5μmのものは、その厚み
が1〜3μmの範囲内にある実施例1〜5に比べて、曲
げ加工性において小さくクラックが発生している。この
ようなことから、Sn−Bi合金層2Bの厚みは1〜3
μmに設定することが好適である。
【0031】(3)また、リード線Bにおけるめっき層
の全体の厚みが、実施例7の場合のように5μmより薄
くなると、熱処理時に基体表面が露出することによって
はんだ濡れ性が若干劣るようになり、逆に実施例8の場
合のように15μmより厚くなると、Biの絶対量が増
加するためリフトオフが発生したり、曲げ加工性も若干
劣るようになる。このようなことから、全体の厚みは5
〜10μmに設定することが好適である。
の全体の厚みが、実施例7の場合のように5μmより薄
くなると、熱処理時に基体表面が露出することによって
はんだ濡れ性が若干劣るようになり、逆に実施例8の場
合のように15μmより厚くなると、Biの絶対量が増
加するためリフトオフが発生したり、曲げ加工性も若干
劣るようになる。このようなことから、全体の厚みは5
〜10μmに設定することが好適である。
【0032】(4)比較例6〜9で明らかなように、単
層のSn−Bi合金層2Bを形成したリード線の場合、
その層におけるBi濃度が高くなるにつれて、はんだ濡
れ性は向上していくが、他方ではリフトオフが発生しや
すくなり、またクラックも発生して曲げ加工性が悪くな
っている。例えば、比較例1ではBi濃度が低いのでは
んだ濡れ性に劣り、比較例2の場合には、Bi濃度が高
く中位のクラックが発生している。更に、比較例3〜5
の場合は、Bi濃度が非常に高いのでリフトオフの発生
率が非常に高くなっている。
層のSn−Bi合金層2Bを形成したリード線の場合、
その層におけるBi濃度が高くなるにつれて、はんだ濡
れ性は向上していくが、他方ではリフトオフが発生しや
すくなり、またクラックも発生して曲げ加工性が悪くな
っている。例えば、比較例1ではBi濃度が低いのでは
んだ濡れ性に劣り、比較例2の場合には、Bi濃度が高
く中位のクラックが発生している。更に、比較例3〜5
の場合は、Bi濃度が非常に高いのでリフトオフの発生
率が非常に高くなっている。
【0033】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
リード線はPbフリーであるため環境に優しく、はんだ
濡れ性を良好に保ちつつリフトオフの発生がなく、回路
基板に実装部品を実装したときにその製品歩留まりの向
上に資する。また本発明のリード線は曲げ加工性に優れ
ているので高密度実装にもちいた場合でもクラックの発
生が抑制され、安定した耐食性を保持するので、製品の
信頼性の向上に資する。
リード線はPbフリーであるため環境に優しく、はんだ
濡れ性を良好に保ちつつリフトオフの発生がなく、回路
基板に実装部品を実装したときにその製品歩留まりの向
上に資する。また本発明のリード線は曲げ加工性に優れ
ているので高密度実装にもちいた場合でもクラックの発
生が抑制され、安定した耐食性を保持するので、製品の
信頼性の向上に資する。
【図1】本発明のリード線Aの断面構造を示す断面図で
ある。
ある。
【図2】本発明のリード線Bの断面構造を示す断面図で
ある。
ある。
1 導電性基体 2 熱処理後の単一なSn−Bi合金層 2A Sn層 2B Sn−Bi合金層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 智 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 松田 晃 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 瀬川 勲 大阪府寝屋川市楠根北町2番5号 協和電 線株式会社内 (72)発明者 杉江 欣也 大阪府寝屋川市楠根北町2番5号 協和電 線株式会社内 Fターム(参考) 4K044 AA06 AB04 BA10 BB01 BB03 BC02 BC05 BC08 CA11 CA13 CA15 CA18 CA62 5F067 DC11 EA04
Claims (4)
- 【請求項1】 導電性基体の上に、単一のSn−Bi合
金層が形成されており、かつ、前記Sn−Bi合金層に
おけるBiの平均濃度が0.1〜1.0重量%であること
を特徴とする電子部品用リード線。 - 【請求項2】 導電性基体と、前記導電性基体の上に形
成されたSn層と、前記Sn層の上に形成されたBi濃
度1〜5重量%のSn−Bi合金層とから成ることを特
徴とする電子部品用リード線。 - 【請求項3】 前記Sn層と前記Sn−Bi合金層との
合計の厚みが5〜15μmであり、そのうち、前記Sn
−Bi合金層の厚みが1〜3μmである請求項2の電子
部品用リード線。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの電子部品用リ
ード線を用いて組み立てられた電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000219817A JP2002030468A (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 電子部品用リード線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000219817A JP2002030468A (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 電子部品用リード線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002030468A true JP2002030468A (ja) | 2002-01-31 |
Family
ID=18714529
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000219817A Pending JP2002030468A (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 電子部品用リード線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002030468A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100664424B1 (ko) * | 2002-12-16 | 2007-01-03 | 엔이씨 일렉트로닉스 가부시키가이샤 | 전자부품 및 그 제조방법 그리고 제조장치 |
-
2000
- 2000-07-19 JP JP2000219817A patent/JP2002030468A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100664424B1 (ko) * | 2002-12-16 | 2007-01-03 | 엔이씨 일렉트로닉스 가부시키가이샤 | 전자부품 및 그 제조방법 그리고 제조장치 |
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