JP3378717B2 - リフローめっき部材の製造方法 - Google Patents

リフローめっき部材の製造方法

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JP3378717B2
JP3378717B2 JP00745096A JP745096A JP3378717B2 JP 3378717 B2 JP3378717 B2 JP 3378717B2 JP 00745096 A JP00745096 A JP 00745096A JP 745096 A JP745096 A JP 745096A JP 3378717 B2 JP3378717 B2 JP 3378717B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、リフローめっき部
材の製造方法に関し、更に詳しくは、はんだとの濡れ性
が良好で、曲げ加工性が優れ、耐熱性や耐摩耗性も優れ
ているリフローめっき部材を製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】CuまたはCu合金などから成る基材の
表面をSnまたはSn合金で被覆しためっき部材は、C
uまたはCu合金などが備えている良好な導電性能およ
び機械的強度と、SnまたはSn合金の被覆層が備えて
いる耐食性およびはんだ接合性とがうまく組み合わされ
た高性能導体であって、端子,コネクタ,リード線など
の電気・電子機器部品や電線ケーブルなどの用途に広く
用いられている。 【0003】このような材料を製造する場合は、溶融め
っき法と光沢電気めっき法が広く採用されていた。前者
の方法は、CuまたはCu合金の基材をSnまたはSn
合金の融液の中に連続走行させ、前記基材の表面をSn
またはSn合金で被覆してめっき層を形成するという方
法である。 【0004】この方法の場合、製造コストは安価にな
る。しかしながら、めっき層の厚みを薄くかつ均一に形
成することが困難であり、偏肉の度合が大きいという問
題がある。また、基材(CuまたはCu合金)とめっき
層との界面には、CuSn金属間化合物の厚い層が形成
されやすく、次のような不都合な問題が生じてくる。す
なわち、このCuSn金属間化合物はそれ自体が硬いの
で、その層が厚くなると、得られためっき部材に例えば
曲げ加工を施したときに、当該部材が破断することがあ
る。また、このCuSn金属間化合物はそれ自体が化学
的に安定な物質であるため、その厚みが厚くなると、め
っき部材にはんだ付けを行ったときに、はんだとの反応
が起こりにくくなってはんだ付け性の劣化を引き起こ
す。 【0005】一方、光沢電気めっき法は、厚みが均一で
かつ薄いめっき層を形成することができる方法として多
用されてきた。その場合、SnまたはSn合金のめっき
浴には、ベンジリデンアセトン,シンナムアルデヒドの
ような光沢剤と,にかわ,ゼラチン,β−ナフトロール
のような平滑剤などの添加剤を添加することにより、め
っき層の表面を平滑化し、また光沢化するという処理が
施されている。 【0006】しかしながら、上記した光沢電気めっき法
の場合、形成されためっき層を構成する析出結晶粒の粒
界に前記した添加剤が吸蔵されることにより結晶粒間の
結合力が弱まり、その結果、基材のCu成分などが粒界
を自由に拡散して、めっき層には前記したCuSn金属
間化合物の層が厚く形成され、前記した曲げ加工性の低
下やはんだ付け性の低下などが起こりやすくなる。更
に、前記した添加剤は、析出する結晶粒を微細化させる
ため、結晶粒界における歪みを大きくする。そのこと
は、前記した不都合を引き起こすCu成分などの拡散を
一層助長することになる。 【0007】また、析出結晶粒が微細化すると、結晶粒
界を起点とする変色が進みやすく、その変色は、結晶粒
界に吸蔵されていたり、まためっき層表面に吸着されて
いる添加剤の変質により一層加速される。更には、添加
剤の吸蔵などによって結晶粒間の結合力が弱くなると、
めっき層の耐摩耗性は弱くなり、例えばそのめっき部材
を加工するときに加工治具などと接触して外的な力が加
わると、めっき層が粉体化して基材から剥落するという
問題も生じやすくなる。そして、添加剤は、結晶粒だけ
ではなくウイスカを成長させることもあり、そのため、
得られためっき部材は、電気・電子機器部品としての信
頼性に劣るという問題がある。 【0008】前記した溶融めっき法と光沢電気めっき法
における上記した問題を解消するために、リフロー処理
法が開発され、現在、広く採用されている。このリフロ
ー処理法は、前記した光沢剤は含まず、平滑剤のみが添
加されているSnまたはSn合金のめっき浴を用いて電
気めっきを行うことにより、まず、基材表面にめっき層
を形成し、ついで、そのめっき部材を、所定温度に制御
されている走間炉の中に連続走行させてめっき層を溶融
したのち冷却することにより、その溶融めっき層を再凝
固し、当該めっき層に光沢を付与するという方法であ
る。 【0009】このリフロー処理法によれば、めっき処理
時に結晶粒界に吸蔵された添加剤(平滑剤)は次のリフ
ロー処理時に熱分解除去され、そのため結晶粒間の結合
力は強化される。そして、リフロー処理時に結晶粒界の
応力歪みは緩和される。このようなことから、リフロー
処理法で製造されためっき部材(リフローめっき部材)
は、溶融めっき法や光沢電気めっき法で製造されたもの
に比べて、曲げ加工性,はんだ付け性,耐摩耗性などの
特性は良好になる。 【0010】しかしながら、このリフロー処理法を行っ
ても、リフロー時の処理条件によっては、基材とめっき
層との界面に比較的厚いCuSn金属間化合物の層が形
成されて曲げ加工性やはんだ付け性の低下が起こること
もあり、また、リフロー処理後のめっき層の結晶粒が粗
大化して表面のはんだ濡れ性が悪くなるということもあ
る。 【0011】ところで、近年、電気・電子機器部品の小
型化が進むなかで、前記したリフローめっき部材には、
成形性,ばね性,導電性の諸特性の一層の向上が求めら
れるとともに、苛酷な温度条件下にあっても安定した特
性を発揮することができるような良好な耐熱特性が要求
されるようになっている。しかしながら、リフロー処理
時の条件によっては、基材(CuまたはCu合金)の表
面に形成されているめっき層(SnまたはSn合金)の
溶融状態が変動する。 【0012】例えば、リフロー処理時に基材の走行速度
が遅すぎると、めっき層は溶融してその流動性は高ま
り、逆に走行速度が速すぎるとめっき層の溶融は進まな
いので、リフロー処理後のめっき層には光沢が付与され
ないという問題が起こる。そして、リフロー処理時にお
ける基材の速度が遅すぎて、溶融しためっき層の流動性
が高まったり、またはめっき層の溶融状態が長期間続い
たり、更には、リフロー処理時に基材が激しく振動した
りすると、リフロー処理後のめっき層の厚みは偏肉して
厚い個所と薄い個所が生ずる。そして、このリフローめ
っき部材を高温下で長時間実使用していると、前記薄い
個所では、基材のCu成分やSnCu金属間化合物など
がめっき層の表面にまで拡散してきてそこが変色すると
いうことが起こる。このようなリフローめっき部材は耐
熱性に劣るものである。 【0013】また、上記したリフローめっき部材の主要
用途はコネクタであるが、その場合、めっき層は基本的
にははんだ(Sn−Pb合金)で構成されている。そし
て、電気めっき法ではんだめっき層を形成するに際して
は、Snのウイスカの発生を抑制し、またははんだ付け
性を改善するという観点から、Pb濃度が5〜20重量
%のはんだが採用されている。 【0014】このコネクタの製造に際しては、リフロー
処理を施したリフローはんだめっき部材に、プレス加工
などを行って所望形状に成形することが行われる。この
とき、リフローはんだめっき層の耐摩耗性が悪い場合に
は、上記した成形工程で、成形冶具などとの接触時にリ
フローはんだめっき層の一部が削られて粉体化して剥落
することがある。このような事態が発生しはじめると、
剥落したはんだ粉によって残りのめっき層の摩耗が進行
し、いわゆる粉落ち現象が発生する。 【0015】この粉落ち現象は、製造ラインにおける設
備稼働率の低下を引き起こすとともに、そもそも、最終
製品の歩留り低下を招く。この粉落ち現象は、前記した
溶融めっき法や光沢電気めっき法で製造したはんだめっ
き部材では非常に起こりやすい。しかし、リフロー処理
したはんだめっき部材の場合は、前記2者に比べて粉落
ち現象は起こりづらいとはいえ、それでも、わずかでは
あるが発生している。 【0016】とくに、リフロー処理対象の基材が角線で
ある場合には、溶融しためっき層は、その表面張力によ
り角線の角の部分から平面部分へと流れていき、そのた
め、リフロー処理後のめっき層の厚みが偏肉し、角の部
分が著しく薄肉化した状態になり、上記した不都合な問
題が顕著に発現してくる。このように、リフローめっき
部材は他のめっき部材に比べて優れているとはいえ、な
お、解決すべき問題がある。とくに、リフローはんだめ
っき部材の場合には、粉落ち現象がほぼ完全に起こらな
い状態にすることが求められる。 【0017】本発明は、リフローめっき部材における上
記した問題を解決し、めっき層の偏肉は起こらないこと
は勿論のこと、はんだ付け性、耐食性、耐熱性、曲げ加
工性が優れ、また耐摩耗性も優れているリフローめっき
部材の製造方法の提供を目的とする。 【0018】 【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、少なくとも表面がCuまた
はCu合金から成る基材の前記表面に電気めっき法でS
nまたはSn合金(ただし、Sn−Pb合金を除く)か
ら成るめっき層を形成したのち、所定温度の加熱炉中を
走行させてリフロー処理を行うリフローめっき部材の製
造方法において、前記リフロー処理時に、前記めっき層
が溶融しないときの最も遅い走行速度に対し80〜96
%に相当する走行速度で前記基材を走行させ、ついで、
表層部を中心にして部分的に溶融しためっき層を0.5
秒以内で再凝固させることを特徴とする、内層部におけ
る結晶粒の粒径が表層部における結晶粒の粒径よりも小
さいリフローめっき層を有するリフローめっき部材の製
造方法が提供される。 【0019】 【発明の実施の形態】図1は、本発明方法で製造された
部材を示す断面図である。この部材は、基材1の表面が
後述するリフローめっき層2、2で被覆されている。こ
の基材1としては、全体がCu単体または黄銅,りん青
銅,ベリリウム銅,コルソン合金,洋白のようなCu合
金から成るものが用いられる。また、鋼材やアルミニウ
ム材などを芯材とし、その表面をCuまたは前記したC
u合金で被覆して成る複合材を使用することもできる。
基材の形状は格別限定されるものではなく、線材,条
材,棒材,管材など任意であってよい。 【0020】この基材1の表面を被覆するリフローめっ
き層2はSnまたはSn合金(ただし、Sn−Pb合金
は除く)で構成されるが、Sn合金としては、例えば、
Sn−Ni合金,Sn−Co合金,Sn−Zn合金,S
n−In合金,Sn−Ag合金,Sn−Cu合金,Sn
−Sb合金,Sn−Pd合金などをあげることができ
る。 【0021】このリフローめっき層2では、内層部(基
材1の表面近傍の部分)2a側の結晶粒の粒径が表層部
2側の結晶粒の粒径よりも小さくなっている。一般に、
結晶粒の粒径が小さいほどはんだとの濡れ性は良好にな
るので、上記したリフローめっき層2は、その内層部2
aにおけるはんだ付け性が良好となり、全体としてのは
んだ付け性は向上する。 【0022】また、内層部2aにおける結晶粒は相互に
強固に結合している。これは、電気めっきの過程で粒界
に吸蔵した添加剤などは、後述するリフロー処理時に熱
分解して当該粒界から除去されているからである。その
ため、基材1のCu成分などが粒界を経由してCuSn
金属間化合物を生成しながら表層部にまで拡散するとい
う事態は抑制されるので、はんだ付け性は向上してい
る。 【0023】上記しためっき部材は次のようにして製造
することができる。まず、電気めっき法によって、基材
の表面にSnまたはSn合金から成るめっき層が形成さ
れる。このめっき層は、電気めっき法で形成されるの
で、結晶粒は微細であり、しかも厚みは均一になってい
る。このときのめっき層の厚みが薄すぎると、後述する
リフロー処理を施したとしても、製造した部材を高温下
で長時間実使用していると、基材のCu成分やCuSn
金属間化合物などが表層にまで拡散してきて変色し、は
んだ付け性の低下傾向が現れるようになるので、めっき
層の厚みは2μm以上にすることが好ましい。 【0024】次に、基材を所定温度に管理されている加
熱炉の中に連続走行させたのち冷却することにより、基
材表面のめっき層のリフロー処理が行われる。すなわ
ち、電気めっき法で形成されているめっき層を加熱炉の
中で一旦部分溶融し、加熱炉から導出された基材表面の
溶融しためっき層を冷却して再凝固させることにより光
沢性の付与が行われる。 【0025】このとき、基材の走行速度が遅すぎるとめ
っき層は完全に溶融した状態を経て炉から出る。そし
て、走行速度を次第に速めていくとめっき層の溶融状態
は抑制されていき、ある走行速度になるとめっき層は未
溶融の状態のまま炉から出てくるようになる。なお、こ
の過程で、電気めっき時に使用され、結晶粒界に吸蔵さ
れている平滑剤などの添加剤は熱分解除去される。 【0026】本発明方法においては、基材の走行速度
(V)を、めっき層が未溶融状態になるときの最も遅い
走行速度(V0)に対し、80〜96%に相当する速さ
に設定することを特徴とする。このときの走行速度Vを
0値の80%より遅い速度にすると、リフロー処理後
のめっき層は次のような状態になる。 【0027】まず、電気めっき法で析出した微細な結晶
粒からなるめっき層は完全に溶融したのち炉から出て冷
却されることにより凝固する。この凝固時に結晶粒は再
度析出するが、このときに析出する結晶粒は、電気めっ
き法で析出させた結晶粒よりも粗大化している。しか
し、粒径が粗大な結晶粒は、電気めっき時に形成された
微細な結晶粒に比べてはんだ濡れ性が悪い。したがっ
て、上記した走行速度のリフロー処理後に得られたリフ
ローめっき層では、電気めっき時に形成された微細な結
晶粒が残存していないので、はんだ付け性が低下してし
まう。 【0028】また、上記走行速度でリフロー処理する
と、溶融しためっき層の流動性が高まり、リフロー処理
後のリフローめっき層の偏肉の度合は大きくなり、その
薄い個所で変色を起こして、はんだ付け性のみならず耐
熱性も悪くなる。一方、走行速度VをV0値の96%よ
り速い速度にすると、めっき層の大部分は未溶融の状態
になるため、充分な光沢が付与されないだけではなく、
めっき層の耐摩耗性は低く、めっき層が粉体化して基材
表面から剥落するという事態が起こりやすくなる。 【0029】このようなことから、本発明のリフロー処
理時における基材の走行速度Vは、0.8×V0≦V≦
0.96×V0の範囲となるように管理される。上記した
範囲の走行速度を選定すると、電気めっき法で析出した
基材表面の微細な結晶粒の全ては溶融せず、めっき層の
表層部に位置する結晶粒が溶融してそれは粗大な結晶粒
に転化し、内層部、すなわち基材表面に近い方に位置す
る結晶粒は溶融せず微細な結晶粒の状態が保持されてい
る。 【0030】そのため、リフロー処理後のめっき層は、
はんだ付けを行ったときに、内層部の微細結晶粒の働き
が有効に発揮されることになり、全体のはんだ付け性は
良好に確保される。このとき、めっき層の厚み方向にお
ける内層部と表層部の厚みの割合は格別限定されるもの
ではないが、表層部の割合が多くなりすぎるとはんだ付
け性の低下が顕著となってくるので、通常は、めっき層
の全体の厚みを2μm以上にした場合、表層部の厚みは
1.5μm以下となるように基材の走行速度を設定する
ことが好ましい。 【0031】基材の走行速度を上記した範囲に管理する
ことにより、基材表面のめっき層の表層部が選択的に溶
融することになるが、本発明においては、加熱炉から導
出された基材を冷却するときに、この溶融しているめっ
き層の表層部を0.5秒以内で再凝固する。その理由
は、上記した内層部を残すためであり、また再凝固した
めっき層の偏肉を防止することができるからである。 【0032】このとき、冷却には通常水が用いられる
が、加熱炉の温度との関係で、用いる冷却水の温度を適
宜に設定することにより、導出された基材を当該冷却水
に投入したときにその表層部を0.5秒以内で凝固させ
ればよい。 【0033】 【実施例】実施例1〜8,比較例1〜4 つぎのようにして、リフローめっき黄銅条を製造した。
まず、アンコイラから供給される黄銅条(厚み0.5m
m)を、電解脱脂槽,水洗槽,酸洗槽,水洗槽に順次通
してめっき前処理を行った。 【0034】ついで、黄銅条を銅めっき槽に通して黄銅
条の表面に厚み1.0μmのCu下地めっき層を形成し
たのち、水洗槽で水洗した。石原薬品社製の平滑剤が添
加された有機酸系電解液が収容されているめっき槽に、
前記した黄銅条を通して電気めっきを行い、表1に示し
た組成と厚みのめっき層を形成した。 【0035】ついで、水洗槽に通して水洗し、熱風乾燥
器で乾燥したのち、表1で示した温度に制御されている
加熱炉に表1で示した走行速度で連続走行させ、温度4
0℃の冷却水が満たされている水槽でクエンチし、熱風
乾燥器で乾燥したのち、得られたリフローめっき黄銅条
をコイラで巻き取った。得られたリフローめっき黄銅条
につき、下記の仕様で諸特性を調査した。 【0036】結晶粒の粒径:リフローめっき黄銅条を塩
酸系電解液に浸漬して、リフローめっき層を電流密度2
A/dm2の条件下でアノード溶解し、リフローめっき層
の表面から0.1μm,1.0μm,2.0μmの深さの
位置の結晶組織を顕出させ、走査電顕を用いて視野10
00倍における結晶粒の粒径と個数を計測し、その平均
値を算出した。 【0037】はんだ付け性:メニスコグラフ法によるゼ
ロクロスタイム(秒)を測定。すなわち、はんだ浴:2
30℃の共晶はんだ、フラックス:25%ロジン/メタ
ノール,浸漬速度:2mm/sec,浸漬深さ:2mm,浸漬
時間10secの条件でリフローめっき黄銅条の一端をは
んだ浴に浸漬し、浮力がゼロになるまでに要した時間
(秒)の長短で評価。この時間が短いほどはんだ付け性
は優れていることを表す。このはんだ付け性の測定は、
リフロー処理直後と大気加熱試験後に行った。 【0038】表面変色の観察:リフロー処理直後と15
5℃の大気中で24時間,48時間加熱したのちのリフ
ローめっき層表面の変色の状態を観察。以上の結果を一
括して表1〜表4に示した。 【0039】 【表1】 【0040】 【表2】【0041】 【表3】【0042】 【表4】【0043】表1〜表4より明らかなように、リフロー
処理時に本発明の走行速度を採用して製造したリフロー
めっき部材のうち、実施例1〜7のものはリフロー処理
後の外観が平滑で光沢があり、はんだ付け性もゼロクロ
スタイムが1.1sec以内と優れたものであった。また、
めっき層の厚みは2μm以上あったが、リフロー処理時
におけるめっき層の流動は認められなかった。更に、表
層部(表面から0.1μmの深さの個所)の結晶粒の粒径
は2μm以上であり、粉落ち現象などは全く発生してい
ない。48時間の大気加熱試験後にあっても変色は僅か
で実用上問題ない程度であり、またはんだ付け性も良好
で、優れた耐熱性を示している。とくに、めっき層が厚
い実施例2と実施例3の場合は、48時間の大気加熱後
においても全く変色せず、はんだ付け性も良好である。
実施例7はめっきしたSn−5wt%Niが融点(650
℃程度)の高いものであったが、はんだ浴中で、表層部
はPbの熱拡散により組成が変化し融点が低下して速や
かに溶融除去され、内層部との間で良好なはんだ付け性
が得られた。なお、実施例8はリフロー処理後の外観お
よびはんだ付け性は良好であったが、めっき層の厚みが
1.5μmと薄かったため、48時間の大気中加熱処理で
変色が生じはんだ付け性も低下している。 【0044】この外に、実施例の各部材について、耐食
性,耐摩耗性,耐ウィスカー性等の特性を調べたが、い
ずれの特性にも優れるものであった。これに対し、比較
例1〜4のリフローめっき黄銅条はリフロー処理時にお
ける走行速度が遅いので、めっき層の内層部も結晶粒径
が大きくなりはんだ付け性が低下している。耐熱性に関
しては、比較例1はめっき層が薄いため48時間の大気
中加熱で変色が生じた。また、比較例2,比較例3はめ
っき層が厚くリフロー処理時にめっき層が流動したた
め、48時間の大気中加熱でめっき層の薄い部分に変色
が生じた。比較例4はリフロー処理時の走行速度が速す
ぎて、めっき層が溶融しないため表面は無光沢となり、
粉落ちも発生した。また、平滑剤が残存したため、結晶
粒界の結合力が弱く、そこを基材のCuが拡散してめっ
き層にCuSn金属間化合物が生成した。その結果、2
4時間の大気中加熱でめっき層は灰色に変色し、変色に
よりはんだ付け性も悪化した。 【0045】実施例9、比較例5〜8 つぎのようにして、リフローはんだめっき黄銅角線を製
造した。まず、アンコイラから供給される黄銅角線(断
面寸法:0.5mm角)を、電解脱脂槽,水洗槽,酸洗
槽,水洗槽に順次通してめっき前処理を行った。つい
で、黄銅角線を銅めっき槽に通して黄銅角線の表面に厚
み1.0μmのCu下地めっき層を形成したのち、水洗
槽で水洗した。 【0046】ついで、電気めっきを行うことにより、上
記Cu下地めっき層の上に、厚み2μmのSn単独めっ
き層,Sn−10wt%Pbのはんだから成る厚み2μm
のはんだめっき層を別々に形成し、2種類の角線とし
た。ついで、各角線を水洗槽に通して水洗し、熱風乾燥
器で乾燥したのち、表5で示した温度に制御されている
加熱炉に表5で示した走行速度で連続走行させ、表5で
示した温度の冷却水が満たされている水槽でクエンチ
し、熱風乾燥器で乾燥したのち、得られたリフローはん
だめっき黄銅条をコイラで巻き取った。このとき、表面
が凝固するまでの時間を測定した。 【0047】得られた各黄銅条につき、実施例1〜8と
同じようにして、155℃の大気中で24時間放置した
ときのはんだ付け性を測定した。また、温度105℃,
相対湿度100%の雰囲気中に24時間放置したときの
はんだ付け性も測定した。更に、蛍光X線微小部膜厚計
(コリメータ径0.1mm)を用いて、角線中央部のリフ
ローめっき層の厚み(t1)を測定し、また、定電流ア
ノード溶解法でリフローめっき層の平均厚み(t2)を
測定し、次式:t1/t2で示される偏肉度を求めた。以
上の結果を一括して表5に示した。 【0048】 【表5】【0049】表5から明らかなように、冷却時の条件が
変化すると、偏肉度が大きく変動し、そのことに基づい
てはんだ付け性も大きく変動している。すなわち、実施
例9と比較例5を比べても明らかなように、同一条件で
リフロー処理が行われても、短時間(0.1秒)でリフ
ローめっき層を再凝固させた実施例9は、比較的長い時
間(0.6秒)をかけて再凝固させた比較例5に比べ
て、偏肉度は著しく小さく、またはんだ付け性も著しく
向上している。このことは、比較例6〜8の場合につい
ても同様である。 【0050】 【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明方
法で製造されたリフローめっき部材は、電気めっき法で
基材表面に形成したSnまたはSn合金のめっき層をリ
フロー処理するときに、そのめっき層が溶融しなくなる
最も遅い走行速度の80〜96%の走行速度を採用し、
また冷却を0.5秒以内で行っているので内層部側に
は、電気めっきによって形成され、微細ではんだ濡れ性
が良好な結晶粒が残存し、全体のはんだ付け性は良好に
なり、また、電気めっき時に吸蔵された添加剤などは上
記リフロー処理の過程で完全に熱分解除去されるので、
結晶粒間の結合力は強くなり、基材のCu成分などの表
層部への拡散は抑制され、耐熱性、耐食性は向上する。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のリフローめっき部材を示す断面図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 裕二 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (72)発明者 高橋 和也 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−226194(JP,A) 特開 平6−81189(JP,A) 特開 平5−70994(JP,A) 特開 平4−160196(JP,A) 特開 平3−191089(JP,A) 特開 平3−191088(JP,A) 特開 平2−270990(JP,A) 特開 平2−170996(JP,A) 特開 平2−101190(JP,A) 特許2749773(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 5/50

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも表面がCuまたはCu合金か
    ら成る基材の前記表面に、電気めっき法で、Snまたは
    Sn合金(ただし、Sn−Pb合金を除く)から成るめ
    っき層を形成したのち、所定温度の加熱炉中を走行させ
    てリフロー処理を行うリフローめっき部材の製造方法に
    おいて、前記リフロー処理時に、前記めっき層が溶融し
    ないときの最も遅い走行速度に対し80〜96%に相当
    する走行速度で前記基材を走行させ、ついで、前記加熱
    炉から導出された前記基材のめっき層を、0.5秒以内
    で再凝固させることを特徴とする、内層部における結晶
    粒の粒径が表層部における結晶粒の粒径よりも小さいリ
    フローめっき層を有するリフローめっき部材の製造方
    法。
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